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12-01 300号 人間しょせん動物(1) 食養生に大切な心得
12-02 302号 人間しょせん動物(2) 食養生に大切な心得
12-03 303号 人間しょせん動物(3) 食養生に大切な心得
12-04 304号 人間しょせん動物(4) 食養生に大切な心得
12-05 305号 人間しょせん動物(5) 食養生に大切な心得
12-06 306号 人間しょせん動物(6) 食養生に大切な心得
12-07 307号 人間しょせん動物(7) 食養生に大切な心得



12-01. 人間しょせん動物(1) 食養生に大切な心得

     友成 左近 

     幸い縁あって、ながいこと遠藤先生のご指導にあずかって、青汁食養生につとめていますが、その間たえずご注意いただいているのが、標題の心得です。
     まずこの意味を、ひと口でいえば、めいめい人生なにより大切な健康は、日々ただ口にまかせて食べていては、とうてい保っていけない、人間とて動物の一種であり、食べてから後のことは大差ないので、動物の食べ方をよくみて、食養生の手がかりをつかむことが大切である、ということですが、それをもう少し詳しく筋道たてて考えてみたいと思います。

    食養生というのは
     私たち人間は、ある意味では、「習慣の束」であって、毎日の食事も、めいめい生来身につけてきた習慣に従っています。
     そしてこの食事には、いうまでもないことですが、3つの側面があって、第1が、めいめい生きた体に必要な栄養分を摂りいれる生理的栄養的側面、第2が、食べて味わいを楽しむ心理的文化側面、第3が食料を調達する社会的経済的側面です。
     ところで、めいめい習慣通りに毎日の食事をすませて、こうした3つの側面をすべてうまく充たすことができるのであれば、なにも食事に問題はないのですが、そうはうまくいってないのが実状です。
     そして当節、とくに重大な問題になっているのは、人々だれでも(といって人によって程度の差はありますが、それはともかく)、食料が、以前とは比較しがたいほど、多種多様にわたって豊富に市販され、また家計豊かになってきたので、毎日めいめい好みにあって美味しいものを手軽に調達して、それを存分に食べて楽しんでいるが、生きた体に必要な栄養分は十分摂っていないこと、そのうえ有害有毒物をそれ相当量食べこんでいることです。

     そこをもう少し詳しくいうと広く、人々が好んでいる米・麦・砂糖や魚・肉・卵など、それも高度に精製したものは、存分に食べて楽しんでいますが、野菜とりわけ青野菜は、下賎の食べる低級品で、なんとも不味いものと嫌って、なにほども食べていません。
     ために、エネルギー分や蛋白質は必要なだけは十分摂り、人によっては必要以上に摂りすぎているのですが、これが体内で栄養に利用されるのに必要な、各種の無機質やビタミンが著しく不足しています。
     従って、せっかく摂ったエネルギー分や蛋白質が栄養に十分利用されないので、結果的には栄養不足になり(栄養失調を招き)、そのうえ未利用分が栄養と健康に障害を引き起こしています。
     また、見た目の美しいものを好み、ムシくいのアトのあるものや形のいびつなものなどは嫌うため、農産物とりわけ野菜や果物の栽培に有害有毒な農薬が使われ、それが食べるときまで、有毒なまま、多少とも残留しています。さらに炊事の手数を厭うため、加工食品とりわけ調理ずみの加工食品が、多種多様にわたって豊富に市販されていますが、それには殆どすべて、保存をはかり、また購買意欲をそそるように、見た目を美しくするため、それも原価を引き下げて営利をはかるために、有害有毒な添加物があれこれと使われています。
     ために、たとえそうとは気づいていなくても、毎日それ相当量の有害毒物を食べこんでいます。
     このため、人生なにより大切な健康が冒され、それも、医療の進歩普及にもかかわらず、その効果が予防にも治療にも及びかねる厄介な病気にかかっている人が目だって増えているのですが、そうした病気は、めいめいかけがえのない生命に直接深くかかわることはいうまでもありません。
     そこで、めいめい生来身につけてきた食習慣を改めて、生きた体に必要な栄養分がすべてもれなく、毎日必要なだけ十分摂れるように、また有害有毒物は食べこまないように努めることが大切なのであって、食養生というのは、毎日の食事をこういうふうに改めていくことです。
     そしてその手がかりは、いうまでもなく栄養学で究明していることに求めるわけですが、さらに広く、その地方の伝統的な食べ方に、また動物の食べ方にも求めることが大切なのであって、このうち動物の食べ方に求めるのは、つぎのようなしだいです。
    (つづく)




12-02. 人間しょせん動物(2) 食養生に大切な心得

     友成 左近 

     私たち人間は、めいめい生来身につけてきた習慣に従って、毎日の食事をすませていますが、前記のように当節は、以前とは比較できないほど、好きなものがラクに手にはいるので、それを存分に食べて心楽んでいます。が、生きた体に必要な栄養分は十分摂れていないのであり、そのうえ有害有毒物をそれ相当量食べこんでいます。ために、医療の進歩普及にもかかわらず、その効果が予防にも治療にも及びかねる、厄介な病気にかかっている人が目立って増えています。
     そこで、めいめい人生なにより大切な健康をはかっていくには、ほかにもいろいろ大切なことがありますが、まずもって食養生に心がけて、毎日の食事を改めることが大切です。
     そしてそれには、人間の食べ方を動物の食べ方と比べてみて、そこにひとつの手がかりをみつけることが大切なのであって、それはつぎのようなしだいです。

    動物の食べ方と人間の食べ方

       まず第一に、いうまでもないことですが人間は、生きものとしては動物の一種であって、その生理や栄養は、動物とりわけ哺乳動物と大差ありません。従って、人間と動物とでは、食料を口に入れるまでの食べ方、すなわち食習慣と食習性は著しく異なっていますが、口に入れてから後のこと、とりわけ生きた体に必要な栄養分は細かくみれば、あれこれ相異はありますが、大筋ではほぼ同様です。
       それで、栄養や薬物毒物などの研究は、動物実験をした後に人体実験をしているわけです。

       第二に、生きた体に必要な栄養分にも、また、この栄養分を摂りいれるための各種の食料の成分にも、任意に変えることのできない自然の厳然とした法則があります。従って食養生は、こうした法則にかなうように毎日の食事を改めるわけであり、そして栄養学は、こうした法則を究明して、食養生に手がかりを提供しているわけです。

       ところで第三に、動物の食習性は、種類によって相異はありますが、いずれも生得的に極めて強力に完備している本能に基づいているので、生まれたときにはほぼ完成しています。従って動物は、生来みずから、自然のままの環境のもとで、食料の種類も食べ方も食べる分量も、すべて食習性のままに食べているのですが、それが栄養の法則にかなっているので、環境によほどの異変が起こらない限り、必要な栄養分は十分摂っています。
       そして、有害有毒物は、とくに野生では決して食べこんでいません。

       けれども第四に、人間の食習慣は、動物と同様に生得的な本能に基づいてはいるのですが、この本能が極めて微弱であるため、ただそれだけでは、どうにも食べていけません。が、生後両親その他周囲の人々に養育されて食事をしていく間に、それがつぎのように補強されて、動物の食習性とは著しく異なる食習慣を身につけてきます。まず人間は、生後養育されて生活していく間に、動物とちがって知能が高度に発達してくるので、それによって学習した知識、すなわち、これこれのものを、こういうふうに取り合わせて、こういうふうに調理して、こういう作法で食べるのだ、これこれのものは食べてはいけない、といった世にいう常識によって食習慣を基礎づけていきます。
       また人間は、同様に感情が高度に発達してくるので、食習慣は、好き嫌いといった感情に着色されて、好きなものは求めて食べて楽しむが、嫌いなものは排して食べない、という傾向を伴なってきます。
       そして、食料が多種多様にわたって豊富になればなるほど、とかくこうした傾向が強くなります。
       さらに人間は、動物のように、自然のままの環境から食料を選択するのではなく、高度に発達した知識技能によって、広く自然界から食料に適切なものを選択して、それを生産し貯蔵し加工し、さらに社会的に交換して食料を確保しています。
       従って人間は、動物とちがって、地球上どこでも生活しているわけであり、また、個体数が制限されることなく、人口が増加しているわけです。

       ところで第五に、こうした食習慣のままに毎日の食事をすませていては、とりわけ「美味しいものが身につく」などといって、好きなものばかり食べていては、動物のように、必要な栄養分を十分摂りいれることも、有害有毒物を排除することもできません。
       それはいうまでもなく、食習慣を基礎づけている常識には、動物の食習性を基礎づけている本能とちがって、必要な栄養分についても、それを摂りいれるための食料の成分についても、従って毎日の食料の取り合わせ方その他についても、あれこれと不行届や間違いがあるからです。
       また、食習慣を着色している好き嫌いの感情は、食料の成分の優劣には関連少なく、多くの場合、広く人々が好きなものには、栄養分を十分とるのに不適切なものが多く、嫌いなものには、適切なもの、さらには必要不可欠なものが少なくないからです。
    (つづく)




12-03. 人間しょせん動物(3)−食養生に大切な心得

     さらに、食料を生産し加工し販売する人々とりわけ企業は、専ら営利を目的にしているため、栄養分の摂取に、また安全の確保に適切なものより、とかく人々の好みにあったものを扱い、しかも、それを刺激もして扱うからであり、そして人々は、そうした刺激的宣伝には弱いからです。

     そこで第六に、めいめい生来の食習慣は改めなければならないのですが、これはなにぶん文字通り身についているので、改めるのには、身を切るような思いがします。
     けれども、もともと生来身につけてきたものであり、これまでもだんだんと変わってきているので、これからも、人生なにより大切な健康のためにはと、その気になれば変え改めることができます。
     そしてそれには、これまでみてきたようなしだいで、動物の食べ方をよくみて、そこにひとつの手がかりをみつけることが大切なのであって、「ウサギのマネなどできるか」と、文化人気どりにハネあがってはなりません。
     それでは動物の食べ方の、どういう点を手がかりにするのが当面適切であるか、というとつぎの通りです。

     * 

     人生最大の苦痛である病気を予防もし治療もして、人生なにより大切な健康をはかっていくには、いろいろ必要なことがありますが、そのうち実情最も重要なことは、食養生に心がけて、めいめい生きた体に必要な栄養分を毎日十分摂りいれること(けれども有害有毒はとりいれないこと)です。
     そしてそれには、前記のようなしだいで、人間の食べ方を動物の食べ方と比べてみて、そこにひとつの手がかりをみつけることが大切なのですが、その主要点はつぎの通りでしょう。

    動物の食べ方に食養生の手がかりをみつけること
     まず第一に、主として食料構成にかかわることですが、動物わけても哺乳動物は、その食習性によって、草食動物と肉食動物と雑食動物に大別されていますが、多少の例外はあるものの殆んどすべて、緑色の濃いハッパを、直接、あるいは間接に食べています。
     それは、すでに栄養学で究明しているように、緑葉には、およそ動物の体に必要な栄養分が、すべてもれなくそろっているからです(それで、野生の草食動物や放牧中の牛馬は、青草だけを食べて栄養分を十分まかなっているわけです)。
     そして、緑葉以外の食料には、エネルギー分や蛋白質は多いのですが、これが体内で栄養に利用されるときに必要な、各種の無機質やビタミンがあれこれと不足したり、全く欠けたりしているのですが、緑葉には、この無機質とビタミンが格別に豊富であるからです。

    (なお、ここで間接にというのは、主として野生のライオンやトラなどの肉食動物についてですが、専門家の観察によれば、そうした肉食動物が食べるのは、必ず草食動物であって、しかも真先に必ず食べるのが、胃腸内でなかば消化している青草です。それは、肉食だけでは、各種の無機質やビタミンが十分摂れないため、これが豊富な青草を、それ相当量食べなければならないのですが、胃腸の構造や機能から、青草をそのまま、それ相当量食べることができないからです。
     そこで、かつて上野の動物園で試みたとのことですが、病弱化したライオンやトラに、青草を消化しやすいように青汁にして、飼料にまぜて与えたところ、とにかく食べ、うまく消化もして、健康が向上したそうです)。

     ところで人間は、胃腸の構造や機能などから雑食動物に差別され、そして実際、食料が各種の動植物にわたっています。
     が、実情とかく嫌って、なにほども食べていないのが、この緑色の濃い菜っ葉です。けれどもこれは、どんなに嫌いであっても、めいめい生きた体に必要な栄養分を十分摂るには、毎日それ相当量(ふつうの成人で日に約500g、体重の約1%)は食べなければならないのであって、そこを、栄養学の究明により、また動物の食べ方によって確かと心得ることが大切です。




12-04. 人間しょせん動物(4) 食養生に大切な心得

     第二に、主として食料の確保についてですが、動物の食べ方は文字通り自然食であって、自然にある動植物をそのまま食料にして(そしてそれを、つぎにみるように、なにも手を加えずに、自然のままで食べて)います。
     けれども人間の食料は、自然にあるものを採取したものは少なく、殆んどすべて栽培飼育したものです。
     そして、その技術の向上によって、食料を多種多様にわたって豊富に確保しています。
     けれども反面、たとえばケールに比べたキャベツのように、広く人々の好みや高級品志向にあうように品種改良をして、成分が著しく劣ってきたものが多くなっています。
     ために、こんな食料では、毎日それ相当量食べても、栄養分は十分摂れません。
     そしてこれは、食品成分表をみれば、よく分かることであり、また動物に、たとえばケールとキャベツを同時に与えると、キャベツは見向きもしないことからでも分かります。
     であれば、口ざわりがよいとか、アクが少ないとか、その他広く人々の好みにあうように品種改良したものには、成分が著しく劣っているものが多いことを確かと心得て、ただ好みのままに、また世にいう高級品ばかり選択せずに、つとめて自然に近い品種のものを、自然の理法にかなった栽培や飼育をしたものを選択するように心がけることが大切です。
     また、栽培や飼育にあたって、営利をはかるあまり、広く人々の好みにあうように見た目の美しさをはかり、また、その手数を省略し、さらには量産をはかり、あるいは季節はずれのものを作るため、成分が劣っているだけでなく、そこに使った農薬などで、多少とも有害有毒化しているものが増えています。
     従って、こうした点からも、ただ見た目の美しいものや季節はずれのものなどを好んで求めることなく、つとめて自然に近い状態で作ったもの、とくに野菜は、露地で、有機質肥料と石灰を十分使い、危険な農薬は決して使わずに栽培した季節のもの、そしてムシくいのアトもあるようなものを求めるように心がけることが大切です。

    (つづく)




12-05. 人間しよせん動物(5) −食養生に大切な心得

     人生なにより大切な健康をはかっていくには、いろいろ必要なことがありますが、そのうち実情最も重要なことは、食養生につとめて、めいめい生きた体に必要な栄養分を毎日十分摂りいれること(けれども有害有毒物はとりいれないこと)です。
     そしてその手がかりは、いうまでもなく栄養学で究明していることに求めるわけですが、さらに広く、その地方の伝統的な食べ方に、また動物の食べ方にもみつけることが大切です。

    動物の食べ方に食養生のてがかりをみつけると
     ところで、動物の食べ方で当面重要な手がかりになるのは、前記のように、まず第一に、緑色の濃い菜っ葉を、たとえ嫌いでも、毎日それ相当量は食べる、ということ、そして第二に、食料はすべて、見た目の美しさや口ざわりのよさやアクのなさなど、生来の好みにあうものより、できるだけ自然に近いものがとれるように栽培飼育したものを選ぶ、ということです。さらに第三に、まえにもふれたように動物は、自然にある動植物を食料にしているだけでなく、それを自然のままで食べています。そしてこの食べ方と著しく異なる点は、まずひとつには、口にかなう限り、全体をマルごと食べていることです。
     けれども人間は、口にも胃腸にもかなうものでも、口ざわりその他を美味しくするために精製して、その一部を廃棄しています。
     ところで精製すれば、たとえば精白米を、食品成分表で玄米と比べてみれば分かるように、殆どすべての場合、各種の無機質やビタミンを著しく損失します。そして、食料はいずれも、ただ1種では、生きた体に必要な栄養分をとるのには、成分があれこれと不足し、それも、野菜は果物以外では、エネルギー分や蛋白質に比べて各種の無機質やビタミンが不足しています。
     ために、精製すればするほど、各種の無機質とビタミンがますます不足するようになるので、たとえ美味しく食べても、ビタミンがますます不足するようになるので、たとえ美味しくたべても、カンジンの栄養分は十分摂れないようになります。
     そこで食料は、口や胃腸にかなう限り精製せずに、調理を工夫して、全体をマルごと、よくかんで食べること、精製するとしても、必要最小限にとどめることが大切であって、実情この点とくに留意しなければならないのは、つぎの通りでしょう。

     まず、米は原則として玄米を使い、精米を使うとしても、半つき米か胚芽米にして、精白米は極力使わないこと、小麦はつとめて全粒小麦粉を使い、精製したものを使うとしても、歩どまり80%以上の赤黒いものにすること、大麦は黒い筋が幅広く残っている押麦を使うこと、ジャガイモの皮むきはウス皮だけにし、サツマイモは皮もいっしょに食べること、砂糖は原則として黒砂糖を使い、白砂糖は極力使わないことです。
     つぎに、魚は切り身だけにせず、手に入る限り、つとめて小魚を使うと共に、煮干しや丸干しなどの塩干小魚を常用して、かならず全体をマルごとたべること、魚のアラや鶏のガラをつとめて手に入れてダシ用に使うことです。

     もうひとつ、ダイコン葉、カブ葉、ニンジン葉、キャベツの外葉などは決して廃棄せず、必ず食用すること、すべて野菜は、口や胃腸にかなう限り、皮むきやアクぬきしないことです。
     第四に、動物の食べ方で人間の食べ方と著しく異なる点は、もうひとつ、すべて自然のまま、生のまま食べていることです。
     けれども人間は、果物や野菜や魚などは一部、生のまま食べていますが、その他は加熱その他の調理をして食べています。
     そしてこれには、病原菌を処理すること、保存しやすくすること、胃腸の負担を軽くすること、消化吸収がよくなること、口ざわりその他の味わいがよくなること、その他いろいろな効能があり、そして人間の消化器官には、こうした食べ方が必要なのです。

     とはいっても反面、栄養分の摂取や安全の確保にあれこれと支障をきたしているので、これは最小限にとどめることが大切であって、実情この点とくに留意しなければならないのは、つぎの通りでしょう。
     まず加熱すると、その程度にもよりますが、各種の酵素とある主のビタミンが分解して無効になり、また各種の無機質やビタミンが活性を失ってきます。ために、ある動物実験では、熱処理したものばかり食べさせられたところ、成長が妨げられ、また体力が低下し、さらに病気にかかりやすくなり、やがては生殖能力が衰えてきたとのことです。そこで、とくに野菜は、加熱しなくても口にかない、消化吸収もよいものは、ぜひ生のまま、よくかんで食べることが大切です。

     つぎに調理すると、ひとつには前記のように成分を損失するのですが、もうひとつには調味をあやまって、栄養に障害を招くことがあります。
     そして当節、この点とくに重大なことは、食塩や砂糖や、これが主成分になっている調味料を使いすぎていることであって、ここは確かと弁えて、できるだけうす味にして、食料それぞれの持ち味を活かすように工夫することが大切です。
     また、とかく化学調味料に依存して、その効果や有害の点はともかく、栄養上大切な成分を摂りそこねている場合があるので、昔ながらにコンブ、カツオブシ、シイタケ、イリコなどを使うことが大切です。
     もうひとつ、保存のための加工は、昔ながらの塩干や熱処理後のビンカン詰めなどであれば問題はないのですが、当節は有害有毒な保存料を使い、また見た目や口ざわりや舌先の味わいをよくするために、さらにあれこれと有害有毒な添加物を使っています。そして、こうした加工が、以前は家庭でしていた調理の段階にまで及んでいるものが、多種多様にわたって市販されています。
     そこで、市販の加工食品は、実情やむをえない場合以外は使わず、つとめて家庭で安全に加工して保存することが大切です。そして、そう加工しても、食料は本来、クサリもすればカビもはえ、またムシもつくものと心得て、そうならないうちに食べることが大切です。
    (つづく)




12-06. 人間しょせん動物(6) 食養生に大切な心得

     友成 左近 

     これまでみてきたように、人生最大の苦痛である病気を予防もし治療もして、人生なにより大切な健康をはかるには、まずもって食養生に心がけて、めいめい生きた体に必要な栄養分を毎日十分摂りいれること、そして、有害有毒物はとりいれないことが大切です。
     そしてその手がかりは、いうまでもなく栄養学に求めるわけですが、さらに広く各地の伝統的な食べ方に、また動物の食べ方にもみつけることが大切です。ところで、食養生の手がかりを動物の食べ方にみつけるのは、人間は生きものとしては動物の一種であって、食料を口に入れるまでの食べ方は、人間と動物とでは著しく異なっていますが、口に入れてから後のこと、とりわけ生きた体に必要な栄養分については、ほぼ同様であるからです。
     そして、この生きた体に必要な栄養分にも、これを摂りいれるための各種の食料の成分にも、任意に変えることのできない自然の法則があるのであって、動物の食べ方は、この法則に合致しているのですが、人間の食べ方には、うまく適合していないところがあるからです。
     そこで、人間の食べ方を動物の食べ方に比べて、そこに食養生の手がかりをみつけるわけなのですが、その主要点は、まず第一に、緑色の濃い菜ッ葉を、たとえどんなに嫌いでも、毎日それ相当量(ふつうの成人で日に約500g、めいめい体重の約1%)食べること、
     そして第二に、食料はすべて、見た目の美しさや口ざわりのよさやアクのなさ、その他の味わいが、広く人々の好みにあうものより、できるだけ自然のままに近いものがとれるように栽培飼育したものにすることです。
     さらに第三に、実際に食べる食べ方としては、すべて食料は、口や胃腸にかなう限り精製せず、調理を工夫して、全体をマルごと食べること、精製するとしても、必要最少限にとどめること、
     もうひとつ第四に、調理にあたって、とくに野菜は、加熱しなくても口にかない、消化にも差し支えなければ、必ず生のまま食べること、また、つとめて薄味にして、塩分や砂糖分は極力ひかえること、もうひとつ保存には、有害有毒な保存料その他の薬品は使わず、昔通りの塩干などにすることです。

    (つづく)




12-07. 人間しょせん動物(7) 食養生に大切な心得

     友成 左近 

     この他いろいろありますが、それとは少し意味あいのちがったことで、序に言い添えておきたいのは、栄養剤についてです。
     前記のように毎日の食事を改めて食養生につとめるのは、実は主として各種の無機質とビタミンを十分摂りいれるためですが、当節この食養生を怠って栄養剤に依存している人が少なくないようです。

    • それはおそらく、栄養学の究明にもかかわらず、人々だれしも、とかく生来の習慣とりわけ好き嫌いに執着するからであり、そして栄養士も、また広く食事の世話をする人々も、自他共に、そこをあまやかすからでしょう。
    • そして他方、科学技術の発達につれて、薬品企業が栄養剤を重要商品に取り上げて、それを巧妙に宣伝しているからでしょう。
    • それに、自称文化人がハネはがって、美味しいものを食べて楽しむのが人生である、それで不足する栄養分は栄養剤で補えばよい、これが文化的な食べ方であって、ウサギのマネなどする必要はない、と吹聴するからでしょう。

     ところで、人々ふつうの毎日の食事で不足している栄養分は、既知未知にわたって数多いのですが、栄養剤は、その既知のうちの、ごく一部についてです。
     従って、どんなに優れた綜合栄養剤を処方しても、不足している栄養分を、すべてうまく補足することはできません。そのうえ、その多くは化学的に合成したものであって、その構造式は本物と同様であっても、それは人知の及ぶ範囲のことで、あるいは本物と同様の効能はないかも知れません。
     また栄養剤は、ひとつひとつは無害有効であっても、体内の栄養では、多種にわたる無機質やビタミンが相互に関連して作用しているので、もしある種のものだけを過剰にとるなど、使い方をあやまると副作用を引き起こすことがあります。
     それに、意外と多額の費用がかかることは、いうまでもありません。

     そこで、不足している栄養分は、毎日の食事を改めて補足することが大切なのであって、栄養剤は、緊急に栄養分を補給しなければならない場合や、なにか特別な薬効を期待する場合に、一時利用するのは、それ相応の意義はあるのですが、それ以外で利用するものではありません。
     そして、この毎日の食事を改めるのに、動物の食べ方も手がかりすることが大切なのですが、そこで蛇足ながら付け加えておきたいのは、こうです。

       人間は動物とちがって文明を開き、科学技術を開発して、これを進展していますが、食料も例外ではなく、ますます多種多様にわたって豊富に生産して供給しています。けれども、生きた体に必要な栄養分には、科学技術によって任意に変えることのできない自然の法則があります。
       従って食料には、この法則通りに栄養分をとるのに適当なものを生産し、そこに科学技術を活用することが大切なのであって、成分や安全などは二のつぎにして、ただ広く人々の好みにあうようなもの、あるいは、ただ炊事の手数が省けるようなもの、さらには、ただ儲けさえすればよいようなものの生産に使って、人間が開発したもので、人間をいためつけるようなことをしてはなりません。

       もうひとつ、めいめい生きた体に必要な栄養分には侵すことのできない法則があるのに対し、人々生来の食習慣は、たとえどんなに執着しているようであっても、それを基礎づけている知識も、着色している好き嫌いの感情も、これまでと変わってきているのであり、これからも変わっていくものである、ということをシカと分別することが大切です。
       そして、人生なにより大切な健康をはかるためには、変えることのできない法則通りに栄養分がとれるように、変えることのできる食習慣を変え改めていくように、たゆまず努めることが大切なのであって、これを怠れば、病苦に泣くようになると、シカと心にとめておかねばなりません。
      (おわり)




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