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06-01 179号 食養断想 病気の今昔 主として高血圧と動脈硬化について(上)
06-02 180号 食養断想 病気の今昔 主として高血圧と動脈硬化について(下)
06-03 181号 食養断想 病気の今昔(上) 主として糖尿病について
06-04 182号 食養断想 病気の今昔(下) 主として糖尿病について
06-05 183号 青汁教室の食養断想 ガンの予防について(1) 発ガン原因と予防の着眼点
06-06 184号 青汁教室の食養断想 ガンの予防について(2) 発ガン性物質の排除
06-07 185号 青汁教室の食養断想(3) ガンの予防について
06-08 185号 食生活のくふう 自然をうまく生かして
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06-01. 食養断想 病気の今昔 主として高血圧と動脈硬化について(上)

     友成 左近 

     高血圧や動脈硬化、これが主な原因で起こる脳出血・脳梗塞といった脳卒中や、狭心症、心筋梗塞といった心臓病が、この頃目立って多くなっている。
     新聞で報道されている有名人の死因にも、こうしたものがヤタラと目につく。
     死因統計でも、脳卒中が第一位、心臓病が(その他の心臓疾患も含めて)ガンについで第3位になっており、年令が高くなればなるほど、その割合が多くなっている。だが昔は、そうではなかった。とくに心筋梗塞は西洋には多かったが、わが国では殆んどなかった。また高血圧は主として中年期からかかっていたものだが、この頃は壮青年期でかかる人がふえ、地域によっては中学生でもうすでに多数かかっている。

     * * * 

     これはおそらく、お互い日本人の生活環境・生活様式が、目立って変わってきたからであり、わけても毎日の食物が、著しく間違った方向で向上し、ゆがめられた仕方で洋風化してきたからであろう。
     と共に医学が、これまでもっぱら病原菌による病気に重点をおいていたため、こうした病原菌によらない、病気の予防や治療が、まだなにほども研究・普及していないからであろう。
     従って、この予防も治療も、毎日の生活、わけても食物の改善以外に、これに勝る妙手はないのだ。

     * * * 

     生きた体は、すみからすみまで、たえず栄養を消費しているが、この栄養は血液で運ばれ、この血液は、血管を通り、心臓の圧力で送られている。そこで血液は、血管に圧力をかけて通るわけで、この圧力が血圧というものである。
     そしてこれは、大動脈・小動脈・細動脈・毛細管に至るほど低くなり、戻りの静脈では、さらに低くなり、心臓に戻るときには降圧になっている。
     ふつう血圧は、上腕動脈で測定し、心臓が収縮したときの最大血圧と、拡張したときの最小血圧をはかる。
     日本人の統計では、最大は年令に90を加えたあたり、最大と最小の開きは50といったところが、おおよその標準になっている。

     * * * 

     血圧を一度計ってもらって、標準より少し高かったからといって、ただそれだけで高血圧症というわけではない。
     血圧には、素質による個人差が著しいからである。
     従って、他に頭痛・耳なり・目まい・どうき・息ぎれ・手足のしびれといった自覚症状はなく、その上、尿・血液・心電・眼底検査などをして別に異常がなければ、それが当人にとって正常なのだ。
     また血圧は、心身の状態によって、たえず上ったり下ったりするからである。
     はげしい運動をしたとき、急に冷えこんだとき、一度に大食したあと、酒やタバコをとりすぎたとき、びっくりしたときなど、心身が緊張したときには一時高くなる。
     平素より多量の栄養・酸素が必要であるため、心臓がより強い圧力をかけて血液を送り出すわけであって、これは、生きた体の当然・正常な営みなのだ。
     そこで血圧は、まず第一に、心身ともに平静なときに、何回も計ってみることが大切である。
     そして、その度毎に標準以上であれば、一応、高血圧症ではないかと疑ってみればよい。
     そして第二に、自覚症状だけにたよることなく、尿・血液・心電・眼底検査などをして、そこに異常がある場合に、高血圧症ときめることが大切である。

     * * * 

     高血圧症になる主な原因としては、

    • まず第一に、標準体重を10%以上もこえて、肥満している場合である。
       血液を送りとどける範囲が広くなったので、心臓がより強い圧力をかけねばならないからだ。(標準体重としては、自分の身長をcmで表わした数から100を引いて、0.9をかけたkgをとるのが簡便)。
    • 第二は、細動脈が神経過敏になって、たえずケイレンしたり、あるいは硬化したりして、血液が通りにくくなっている場合である。
       心臓がより強い圧力をかけなければ、体に栄養を供給する毛細管まで血液がとどかないからである。
       なお、こんな場合は最小血圧の方が高くなる
    • 第三に、他に厄介な病気わけても腎炎がある場合には、細動脈の血液が通りにくくなるので、高血圧症を併発する。
    • その他、太い動脈に弾力性が少なくなった場合、血液がねばっこくなった場合、たえず怒ったり心配したりして、精神的ストレスがある場合などである。

     * * * 

     動脈硬化というのは、たとえばゴムホースが古くなって硬くなるように、弾力性が少なくなり、また狭くなり、モロくもなることである。
     が、人々だれでも生命あるものとしては、成長期をすぎれば、だんだんと硬化してくることはまぬがれないわけであって、年令と共に血圧が高くなるのは、このためである。
     だが人によって、早期に異常に硬化することがあって、こんな場合が動脈硬化症である。
     そしてこれは、太い動脈と細い動脈で様子が少しちがっている。
     太い動脈では、コレステロールが、はれもののように内膜にたまる場合が最も多い。
     ために血液の通過を妨げるようになるが、高血圧症を引き起こすほどたまることは少ない。
     細い動脈では、膜壁全体が厚くなる場合が最も多い。ために血液の通過を妨げるようになるが、全身にわたって異常に硬化することは少ないので、これがために高血圧症になる場合は、そう多くはない。
     高血圧症の大部分の原因は細動脈のケイレンであって、これは全身にわたって起こりやすいからだ。

     * * * 

     動脈硬化症の度合は、血圧のように測定することができない。
     血液検査でコレステロールのたまりぐあいを調べたり、心電検査で心臓のはたらきぐあいを調べたり、眼底検査で細動脈のごく一部の様子を調べたりなどして、おおよそのところを推定するわけである。

     * * * 

     高血圧症になっていると、その症状のため、毎日の仕事に精が出ず、日常生活も不快であり、ときに目まいなどによって災害を招くことがある。
    (つづく)




06-02. 食養断想 病気の今昔 主として高血圧と動脈硬化について(下)

     友成 左近 

     また、心臓が負担過重でまいってくる。細動脈がケイレンしている場合は動脈硬化を引き起こす。
     そして、脳の細動脈のばあい、これが破れて脳出血が起こったり、血液が通らなくなって脳軟化が起こったりして、生命にかかわることがある。生命はとりとめても、日常生活にさえ不自由する後遺症を引き起こすことが多い。
     他方、心臓の細動脈の場合には、血液が一時うまく通らなくなって狭心症を起こしたり、全く通らなくなって心筋梗塞を起こしたりして、生命にかかわることがある。
     高血圧や動脈硬化は、別に病原菌で起こるわけではなく、毎日の生活が人間しぜんの理法に反しているため、早期に異常に老化してきたわけであって、いわば身から出たサビである。そのうち最も重大な違反は、毎日の食物である。
     高血圧の主な原因のひとつである肥満は、過食、わけても白米や砂糖、肉や魚や動物性油のとりすぎと、運動不足の結果だ。
     戦中・戦後の食糧不足の時代には高血圧が少なかったことや、毎日の食物を減量して、標準体重に調整しただけでも高血圧が治る場合が少なくないことが、これを物語っている。
     もうひとつの原因である細動脈のケイレンは、毎日の食物が栄養上著しく不調和不完全であるため、これを養なう血がにごっているので、異常に神経過敏になっているからだ。
     こうした点、神経的ストレスについても同様である。脳神経が過敏になっているから、ちょっとのストレスにもヤタラとハラもたち心配もするからだ。
     動脈硬化も同様、毎日の食物が不完全であるため、すなわちマトモに食わせもせずにコキ使っているため、早期に老化したからだ。
     病気といえば多くの場合、クスリを連想するが、高血圧や動脈硬化には有効適切な予防薬も治療薬もない。  あれこれと宣伝されてはいるが、殆んどすべて、ただ血圧を下げるか、コレステロールを減らすだけで、なかには副作用のあるものもある。
     なお、血圧を下げるクスリには、神経に作用するものが多いが、その効果は一時的なもので、高血圧症の原因を取り除くものではない。従って、血圧が異常に高く、目まいなどで災害にあったり、脳卒中を起こしたりする恐れのある場合にだけ使用する性質のものである。それも、必ず医師の指導に従って、それ相応に食物を改めた上で使用することが重要である。
     高血圧や動脈硬化が、この頃目立って多くなってきたのは、毎日の食物が著しく間違ってきたからであって、その予防には、これを改めて、過食をつつしむと共に、栄養上よく調和のとれた完全食につとめることが大切であって、これ以外に妙手はない。
     それには、まず第1に、野菜果物、わけても緑色の濃い青野菜を、日に体重の1%以上と、できるだけ沢山食べることが肝要である。そしてこれを、青汁にし、また生のまま、あるいは煮たきして食べるわけだ。(なお、ホウレンソウの類は、青汁にして飲んだり、生のまま食べてはならない。シュウ酸が多いので、カルシウムの利用を妨げ、また腎臓結石をつくる恐れがあるからだ)。そうすれば栄養がうまく調和するからであり、こうする以外に栄養に調和をはかる方法はない。他のどんな優れた食物でも、カルシウムその他ある種のミネラルと、各種のビタミンが不足しており、青野菜だけに、これが最も豊富であるからだ。
     また、こうすれば、おのずと過食しないようになる。青野菜はカサばっているので、他にそう沢山食べなくても胃袋が満足する。その上、栄養がうまく調和してくれば、しぜんと体が過食を求めないようにもなるからだ。
     けれども、過食をつつしむからといって、無分別に少食にすると、ときに栄養失調を招くことがある。青野菜をへらすと、でなくても少なすぎているので、なおさらである。
     第2に、栄養上著しく調和の欠けているものをひかえて、調和のとれやすいものにきりかえることが大切である。
     まずもって、飲み物・煮ものに使う砂糖と食塩、菓子と酒を極力ひかえることだ。好みとしてはともかく、栄養上は不必要なものであり、すぎては有害となるからである。
     つぎに、白米飯や精白パンなどをひかえて、芋や雑穀や未精白のものにきりかえることだ。
     さらに、筋肉部だけの魚や肉や動物性油をひかえて、大豆やマルごと食べる小魚やレバー・モツや植物性油にきりかえることだ。
     なお、食物はすべて、よく吟味して、原材料としては、農薬その他の有害物で汚染されていないもの、加工食品としては、有害な添加物のはいっていないものを使うことが大切である。とくに多量に食べる青野菜・青汁には、この点極めて重要である。
     第3に、こういうふうに毎日の食物を改めたら、しぜんと便通がよくなるが、なお工夫して、毎日すっきりと排便するように習慣づけることが大切である。
     大便がたまっていると、神経を刺激してケイレンを引き起こす毒素ができて吸収されるからだ。とくに動物性食物が宿便になって腐敗すると、これが著しい。
     こういうと、それで栄養が十分とれるのかと心配する人があるかも知れない。だが実は、こうして初めて本当に完全な栄養がとれるのであって、ふつう栄養食といわれているものは、あたかも木をみて森をみないようにトンだ見当ちがいをしている場合が多いのだ。
     また、いかにも粗食で、毎日の食物が味気ないのではと思う人があるかも知れない。が、確かに初めの間はそうである場合が少なくないが、しばらくつづけて栄養状態がよくなると、しぜんとこうしたものが最高においしくなる。これが、人間しぜんの理法というものである。
     高血圧や動脈硬化を治療するには、こうした食べ方をさらに徹底すればよい。いな、そうする以外に妙手はない。クスリは、こうしたうえで、なお必要があれば、医師の指導で活用すべきであって、その逆になってはならない。
     この徹底の仕方としては、病状に応じて、つぎのようにだんだんとすすめていったらよい。
     まず第1に、青汁を日に3合4合と、できるだけ沢山飲むと共に、なおその上に青野菜を、煮たものでもよし、生であればさらによし、できるだけ沢山、よくかんで食べる。すなわち青野菜を、日に体重の2%以上、大便が緑色になるほど食べるわけだ。
     とくに肥満体の人は、日によっては、こうしたものだけとって、他に何も食べないようにすると、よりいっそう有効である。
     第2に、砂糖と菓子を殆んど全くとらない位にひかえることだ。これが、肥満とコレステロールの生成に意外と強く作用しているからである。
     第3に、食塩を無塩食に近いくらい最小限にすることだ。食塩中のナトリウムが神経を過敏にする一つの元凶であるからである。  第4に、白米飯や精白パン・ウドンを殆んどすべて芋にきりかえることだ。これが、肥満と栄養不調和の元凶となっている場合が多いからである。
     第5に、肉・魚などの動物性食品を殆んどすべて大豆と植物性油にきりかえることだ。とくに陸にすんでい動物の油は、コレステロールを体内にふやすが、植物性油は、これを逆に調整するからである。
     すなわち、イモ・マメ・ナッパを主要柱として毎日食物を構成するわけだ。
     と共に、一時的にも血圧を高めるようなこと、すなわち、はげしい運動をすること、体を急に冷やすこと、酒やタバコをすうこと、ハラをたてたり心配したりすること、便秘すること、便所でいきむことなどは極力さけることが大切である。脳卒中などを起こす恐れがあるからだ。




06-03. 食養断想 病気の今昔(上) 主として糖尿病について

     友成 左近 

     糖尿病患者が、このごろ目立って多くなっている。専門家の調査によれば、お互い日本人で、40歳以上では100人中5人というほど多数かかっており、また30歳からこれにかかる人が急に多くなり、全体では100人中1人がかかっているといわれている。だが、昔は、そう多くはなかったのであり、また30代でかかる人は極めて少なく、とくに戦中戦後の頃には、これにかかる人はまれであったのだ。

     糖尿病というのは、尿に糖分が出てくる病気であるが、これは、健康に生きていくエネルギー源として必要不可欠な糖分が、体内でうまく利用されないため、血液の糖分濃度が異常に高くなって、腎臓から出てゆくのである。糖尿病にかかると、全身にわたって、あれこれと症状があらわれ、さらに合併症を引き起こす。

       第一に、口がかわいて水を沢山のみ、小便の回数も量も多くなり、便所に独特の臭いが起こってアリがたかるようになる。また、体力・気力・精力が衰えて、体がだるく、仕事に精が出なくなる。さらに、食欲がまし、甘いものが格別ほしくなる。

       第二に、手先や足先がしびれたり、神経痛が起こったり、視力が衰えたり、ソコヒになったりする。

       第三に、体があちこちカユクなり、湿疹が出、病原菌に対する抵抗力が衰えて、化膿その他あれこれと細菌による病気にかかりやすくなり、かかれば重症になる。

       第四に、血管に異常が起こり、眼の網膜から度々出血してついには失明することがある。また、腎炎が起こることがある。さらに、脳や心臓に動脈硬化が起こって、脳出血や脳軟化、狭心症や心筋梗塞を引き起こすことがある。

       第五に、糖分の利用が全くできなくなって酸毒症を起こし、生命にかかわることがある。

     尿に糖分が出るのは、腎臓の故障による場合もあるが、大部分は、体内で糖分がうまく利用されないためであって、これが糖尿病なのであり、それは、こういうわけだ。

       体の細胞は、血液からブドウ糖をとりこんで、これを分解してエネルギーにかえているのであるが、このときインシュリンというホルモンが作用しないと、うまく利用ができない。このインシュリンは、胃の裏側にあって消化液をつくっている膵臓のなかに、無数にちらばっているランゲルハンス島という、特別の組織の細胞から分泌され、直接血液にはいって全身に送られている。
       そこで糖尿病が起こるのは、このラ島に、生まれつきか、その後の変化か、とにかく故障があって、インシュリンを十分に分泌しない場合や、十分分泌してはいるが、正常に作用する能力のないインシュリンを分泌している場合や、あるいは、正常に作用するインシュリンを十分分泌してはいるが、なんらかの作用をうけて正常に作用しなくなった場合である。

     実は、ここのところがまだよく分かっていないのであるが、いずれにしても、体内における代謝という生理作用が異常になったために、糖尿病が起こるのだ、と考えたら、このごろ目立って多くなっているわけがよく分かり、この予防や治療の手がかりがえられる。
     糖尿病は、その原因からみても、その症状や合併症からみても、全身的なものであって、まことに厄介な病気である。しかもこれは、いちどかかると、胃炎や肺炎などとちがって、全治せず、終生つきまとうのだ。そこで、これはぜひ予防しなければならないが、それには、体内の代謝作用の正常化をはかる以外に妙手はない。が、そうすれば、糖尿病だけでなく、その他の病気、わけても高血圧や動脈硬化などの成人病の予防にも有効である。これが生きた体というものだ。

     代謝の正常化をはかって糖尿病を予防する最も手近な工夫は、標準体重に調整することである。それは、スモウとりに糖尿病が多いように、肥満すると、かかりやすくなるからだ。(なお標準体重は、自分の身長をcmで表わした数から100を引き、0.9をかけたkgとするのが簡便)。
     肥満するというのは、必要以上に脂肪がつくことであって、肥満すると、ただその体をもちはこぶためにも、また不必要な脂肪の代謝のためにも、よけいなエネルギーが必要になり、それだけ多量のインシュリンが必要になって、膵臓内のラ島によけいな負担がかかるようになる。ところが、内臓、わけても膵臓やラ島は、成長期をすぎると、だんだんと老化こそすれ、成長はしない。だが体重は、成長期をすぎてもふえ、とくにこの頃は、異常にふえている人が多いのだ。そこで、成長期でも同様であるが、とくに30代40代ともなれば、ぜひとも標準体重に調整することが大切なのだ。
     だが、ここで重要なことは、ただたんに標準体重になることだけではなく、心身ともにますますさわやかに、毎日の仕事に精が出るようになることである。それには、いかにも平凡なことながら、美食・過食をつつしんで、毎日の食物に完全栄養をはかると共に、適度の運動と睡眠と精神的安定に心がけることが大切である。だが、これにはお互い、すなおにみずから反省して、細心の注意と非凡の努力を払わなければならない。
    (つづく)




06-04. 食養断想 病気の今昔(下) 主として糖尿病について

     糖尿病を予防する最も手近な工夫としては、肥満しないように標準体重に調整して、心身ともにさわやかに仕事に精が出るようになることが大切である。
     それには、美食・過食をつつしんで、人間しぜんの正しい食物をとって、体内の代謝が正常化するように、完全栄養をはかることが、その土台として肝要である。そしてその上で、適度の運動と睡眠と精神的安定に心がけることが大切である。

     完全栄養をはかるには、お互い日本人の実状からみて、まず第一に肝要なことは、緑色の濃い青野菜を、日に体重の1%以上、青汁にして飲み、また生のまま、あるいは煮たきして、よくかんで食べることだ。
     これ以外に、これに代わり、これに勝る決め手はない。他のどんな食物でも、健康に生きていくのに必要不可欠な熱量源や蛋白質はそれ相当量あるが、その代謝・利用に必要不可欠な各種のビタミンと、カルシウムその他ある種のミネラルが不足しているからであり、これがありあまるほどの豊富なのが青野菜であり、青野菜だけであるからだ。ために、他に食物をどんなに工夫しても、青野菜をそれ相当量食べなければ代謝の正常化ははかれないのだ。
     これは、栄養・食物のごく初歩的な理論からしてもそうなのであり、あれこれと病気にかかる人、わけても糖尿病などの成人病にかかる人は、必ずといってよいくらい、青野菜をなにほども食べていないことからでも、よく分かることだ。

     いったい、人間もその一種である動物は、例外なくすべて、緑色の植物をそれ相当量食べなければならないのだ。ライオンやトラなどの肉食動物も、野生の状態では、まず最初に食べるのが、とらえた動物の胃腸の中の青草であり、動物園の肉食動物は、とかく病気にかかりやすいが、エサに青汁をまぜて(草のままでは習性上食べないので)与えると丈夫になる通りだ。
     だが、この青野菜が有毒な農薬その他に汚染されていると、栄養上はともかく、その有毒作用で代謝異常が起こるので、この点よく注意しなければならない。
     なお念のため。ひと口に野菜果物といっても、なかのなかまで緑色の濃い青野菜以外は、ビタミンやミネラルがケタちがいに少ないので、これをあれこれと沢山食べても、なおその上、青野菜をそれ相当量食べなければ完全栄養ははかれない。
     また、青野菜ではあっても、ホウレンソウの類は不適格である。ゆがいて、ほどほどに食べるのはよいが、毎日多量に、それも青汁にしたり、また生のまま食べてはならない。なるほどビタミンは多いが、とくに生のままではシュウ酸が多いので、カルシウムの吸収と体内における利用を妨げ、ときに腎臓結石をつくることもあるからだ。

     青野菜を日に体重の1%以上食べると、ふつう世間並に食べておれば、栄養がよく調和して一応完全になる。だが、なおつとめて、主として熱量源や蛋白質をとる食物についても、砂糖や精白した米麦や、魚や肉の筋肉部だけの切り身はひかえて、それを芋や雑豆や未精白の米麦や、大豆や小魚や乳などにきりかえること、と共に、調味に塩分をひかえることが大切である。

     前者は、ふつう美食とされ、また、これで大いに栄養がつくと考えている向きもあるが、代謝に必要なビタミンやミネラルが著しく不足しているからであり、ために、栄養が不調和不完全になり、おのずから体も要求して沢山食べるようになるからだ。
     とくに砂糖と塩分は、好みや味つけとしてはともかく、栄養上は不必要であり、すぎては有害となる。後者は、ふつう粗食とされているが、代謝に必要なビタミンとミネラルが、前者に比べると、はるかに多いからだ。ために、青野菜を日に体重の1%以上と沢山食べる効果がよりいっそうあらわれて、栄養が十二分に調和して完全になり、おのずから体も過食を求めないようになって、しぜんと標準体重になる。
     また、だんだん好みが変わってきて、こうしたものがおいしくなり、ふつう美食とされているものが、食べておいしくはあっても、そう食べたくはなくなる。なお、こうした食物もすべて、青野菜と同様に、よく吟味して、できるだけ安全なものを使うこと、また、つとめて原材を使い、既製の加工食品はできるだけ使わないこと、使うにしても、有害な添加物のはいっていない純正なものを使うことが大切である。

     とはいっても、この頃の食料事情からしても食習慣からしても、これは容易なことではない。そこで大切なことは、成長期をすぎ、さらに30歳以上ともなれば、肥満してきたときはいうまでもなく、別に肥満してこなくても、なんらかの症状に気づいたら、念のため尿・血液検査をうけてみることだ。
     とくに血縁者に糖尿病がある人には、これが大切である。
     こんな人は、それが主として素質の遺伝のためか、胎児のうちからの生育条件のためか、とにかくかかりやすいという統計があるからだ。
     いったい病気というものはすべて、早期に発見して必要な手当をすることが大切であるが、とくに糖尿病では、これが重要である。いったん発病したら全治せず、終生つきまとう病気ではあるが、早期に発見して、前記のように食物を改め、なおその上、適度の運動や睡眠などに気をつければ、ただそれだけで、軽症のうちに進行をくいとめ、そうした手当をつづけていけば、ふつう人並の生活ができ長生きもできる。

     糖尿病は、早期に発見して、それ相応の手当をつづけていかないと、だんだん進行して重症になる。けれども、ある程度まで進行しても、その症状に応じた手当をすれば、少々厄介ではあるが、そこでくいとめることができる。
     だが、これを怠ると、加速度を加えて進行し、あれこれと生命にかかわる合併症を引き起こす。この手当は、常に必ず医師の指導に忠実に従わねばならないが、その土台は食養生である。そしてその上で、適度の運動と休養と精神的安定をはかり、さらにクスリを活用するのだ。
     だが、クスリで調子がよくなったからといって、クスリにたよって、その他の手当を怠ってはならない。もともと糖尿病は、毎日の生活、わけても食物に間違いがあって、全身の代謝が異常になって発病したわけであるからだ。そしてこのクスリは、ただ血液の糖分濃度を下げるだけのものであるからだ。
     ために、クスリの適量活用はやめてはならないが、クスリだけにたよると、たとえ糖尿は出なくなっても、全身の代謝異常はそのままつづいているので、あれこれと厄介な病気が起こる。それにクスリの副作用もあるので、なおさらだ。
     だが実状、とかく安易にクスリだけにたよって、さらに厄介な病気を併発する人が多い。ために、このクスリを開発した学者は、はたして人々の真の健康に貢献しえたのかと、ひとり考えこんでいるそうだ。
     ある程度まですすんだ糖尿病の食養生としては、前記の予防法を徹底的に行なえばよい。たとえ自覚症状がなくなっても、これを怠ってはならない。この徹底の仕方として、とくに大切なことは、

    • まず第一に、青汁を日に4合以上のみ、さらに青野菜を、煮てもよし、生であればなおよし、できるだけ沢山食べて、日に青野菜を少なくとも1キログラムにすることだ。そして、体重が標準以下でなければ、なおつとめて、週に1日か10日に1日か、こうしたものだけ食べて、他になにも食べないようにすることだ。
    • 第二に、野菜果物以外の食物は、できるだけ芋と大豆と小魚や牛乳にして、総熱量を体重1キログラムあたり30カロリー以下にすることだ。

     こうすれば、摂取した熱量源も蛋白質も完全に利用されて代謝が正常になり、体重も標準になって心身ともさわやかに、食事もまた楽しく、けっこう人並に生活できる。




06-05. 青汁教室の食養断想 ガンの予防について(1)
――発ガン原因と予防の着眼点

     ガン対策が、最近、高血圧対策などと共に、大きくとりあげられている。
     それはいうまでもなく、お互い日本人で、ガンにかかる人、それで死亡する人が最近目立ってふえてきたからである。死亡原因の統計でも、ガンが、高血圧・脳卒中についで第2位にのしあがっており、しかも、男は45歳から55歳の間、女は30歳から60歳の間では第1位、小児では、事故についで第2位になっているのだ。

     * * * 
     ガンにかかる人、それで死亡する人が最近目立ってふえてきたのは、つまりは、その原因となるものがふえてきたからであろうが、それがまだよく分からず、従ってまた、有効適切な予防法がみつかっていないのだ。
     そして治療法は、手術と放射線、さらに治療薬の面でも、さいきん、かなり進歩してはきたようだが、それでも、早期に発見して治療しなければ有効でない場合が多いからである。
     けれども、早期では自覚症状が無い場合も少くないし、また、簡便有効な検診法がまだも一つ十分には開発されていないのだ。
     それに、人々の間に「ガンの診断は死の宣告」といった考え方が根強いため、みずからすすんで定期に検診をうける人が少なく、また、早期に発見しても、とかく治療をためらう人が少なくないのだ。
     * * * 
     ガン対策としては、学者の間では、その原因と共に予防法や治療法の究明がすすめられているようであるが、お互い素人には、定期の検診による早期発見と早期治療ということになっており、最も重要な予防については、まだなにほども手がうたれていないようだ。
     まだ科学的に究明されていないことには、軽々しく発言しないのが学者の心得であろう。
     だが、これほど重大問題となっている以上、お互い素人にできる大切なことを、学者の識見から、なんとか言ってほしいものである。
     それが、もしあとで、ガンの予防としては的はずれになっても、健康全般の向上に役立つことであり、別に決して妨げとなることでなければ、少しも差し支えはないはずだ。
     * * * 
     ガンというのは、その他の病気と少々様子がちがって、体をつくりあげている細胞が、異常になって増殖し、そこに新生物・腫瘍ができて、その器官に障害を引き起こす病気である。
     生きた体の細胞は、たえず新陳代謝をしている。
     そして、成長期では正常に増殖して組織は大きくなるが、一定の大きさになれば、その現状を維持するだけの新陳代謝をし、損傷をうけた場合にだけ、それを修復するために増殖する。
     ところが、なんらかの原因で、細胞が異常になって、とめどもなく増殖し始めると、そこに新生物ができるわけである。そしてこの新生物は、その性質によって、引き起こす障害や、増殖や転移の様子がちがい、悪性・良性の点で各種各様である。
     ガンというのは、このうち悪性のものであって、無制限に増殖してゆくだけでなく、ある程度まで進行して来ると、他の器官に転移して、そこでも異常に増殖し始めるといったものだ。(皮膚にできるただのイボのようなものは、新生物ではあるが、良性のもの)
     また、ひと口にガンといっても、病名に○○ガンとか○○肉腫とか白血病といったものがあるように、できる場所や性質によって、いろいろなものがある。
     * * * 
     ガンの原因としての遺伝の関係については、今では昔ほどやかましくは考えぬようになっているようだ。
     他にあれこれと原因があることが、だんだんと究明されているからであって、これは、およそつぎの四面から探求されている。
     第一面は発ガン性物質である。石炭タールを、たえず皮ふが塗っているとガンができることがあるように、ある種の物質には、その刺激がつづいていると、ガンができる性質があるのだ。
     第二面は放射線である。原爆にあった人や、放射線を扱っている人にガンができることがあるように、一定限以上、放射線にさらされるとガンができるのだ。
     第三面は組織細胞の異常変性である。胃潰瘍にかかっていると胃ガンになることがあるように、どこぞ体の細胞に、ある種の異常がつづいていると、その刺激によってガンができるのだ。
     第四面は発ガン性ビールスである。ある種のビールスの感染によってガンができることがある、というわけだ。だが今のところ、どんなビールスでどんなカラクリでガンができるのか、まだはっきりとはしていない。
     その他に、栄養状態の不良である。およそ病気にかかるのは、その原因に対して、これに抵抗する体力・栄養状態が劣っているからであって、ガンにかかるのも、ひとつには栄養状態が不良であるからであろう。
     * * * 
     ガンは、今のところ、どうやら、外的な発ガン物質の刺激や、ビールスの感染や、内的な細胞の変性や、栄養状態の不良といった、いろいろな原因が、それ相当期間、あれこれと作用しあっている間にできるのだ、とでも考えたらよいものらしい。
     そう考えたら、その昔もガンにかかる人があり、それが主として老人であったことがよく分かる。
     長年生きているうちには、いわばやむをえず、こうした原因があれこれと積み重なることがあるからだ。
     と共に、最近目立ってガンにかかる人がふえ、しかも、だんだんと年令が若くなっているわけや、とくに小児に多くなっているわけがよく分かる。
     発ガン性物質や、各部器官の細胞に異常を引き起こす有毒物が、生活環境に、労働環境に、さらにお互い毎日の食物に、最近急速にふえてきたからである。それに栄養摂取が向上してきたといわれているが、それは偏って向上しているのであって、栄養状態は、かえってますます不調和・不良になっているのだ。
     ために、その昔より、はるかに年若いうちから、発ガン原因になるものが、あれこれと積み重なっている人がふえてきたのだ。
     そしてこの作用は、身体各部の組織が急速に分化・発育する胎児には極めて強いのであるが、最近の妊婦に、これを知ってか知らずか発ガン原因をつくるような食べ方をしている人が、意外と多いのだ。
     * * * 
     そこで、ガンにかからないように、ガンにかかるような子供を生み育てないように、これを予防する食べ方の工夫としては、すべての食物をよく吟味して、発ガンの原因になるようなものを極力排除すると共に、毎日の食物構成を改めて、できる限りの完全栄養をはかり、発ガン原因に抵抗できる体力を養なうことが大切である。
     これ以外に、当面、これといった妙手はないのだ。




06-06. 青汁教室の食養断想 ガンの予防について(2)
――ガン性物質の排除

     ガン予防の食養には、すべての物をよく吟味して、発ガンの原因になるものを極力排除すると共に、毎日の食物構成を改めて、できる限りの完全栄養をはかることが大切である。

     * * * 

     発ガンの原因になるものとして、まず第一に排除しなければならないのは、食品添加物のはいっている加工食品である。
     最近いよいよ多量に使われている市販の加工食品・既製食品には、殆んどすべて多かれ少なかれ、人工の着色料・発色剤・漂白剤・甘味料・香料・防腐剤・殺菌剤・酸化防止剤・品質改良剤・乳化剤・糊料等々といった数多くの添加物があれこれとはいっている。
     そしてこれらは、殆んどすべて、多かれ少なかれ有害有毒作用を及ぼすものだ。
     従って、このあいだ、ズルチンやチクロなどが禁止されたように、発ガン性その他の毒性のあるものは、使用が禁止されたり制限されたりしている。
     けれども、実状、その疑いのあるものが今なお少なからず許可されており、また使用基準も、それではたして安全なのか、また実際、その通りに使われているか、極めて疑わしいのだ。

     * * * 

     このうち、発ガン性の疑いの強い主なものは、紫色・黄色・赤色といったタール系着色料と、サフロールなどの香料類。
     また、ハム・ソーセージなどの発色および防腐の目的に使われている亜硝酸塩は、肉や魚のアミンと化学反応を起こして、強力な発ガン物質ができるおそれがあるもの。
     またクン製品には、煙や煤の発ガン性成分がついている。
     その他の添加物のうちにも、今後の研究で、発ガン性のあることが分かってくるものがあろう。
     これまでの経過から、そう予想することができるのだ。

     * * * 

     食品添加物は、発ガン性以外に、殆んどすべて多かれ少なかれ、肝臓・腎臓・神経その他に有毒作用を及ぼし、従ってまた体の抵抗力を弱めて、ガンができやすい素地をつくるわけだ。

     * * * 

     そこで、ガンを予防するには、添加物がはいっているもの、というよりも、およそ市販の加工食品は極力食べないこと、食べるとしても、よく吟味することが大切である。
     たとえひとつひとつの食品には、ごく微量であっても、どれにもはいっている以上、よせ集めると、かなりの量になり、しかも各種の添加物は相互に作用しあって、よりいっそう有毒になることもある。
     それに、こうした添加物は、多少とも体内に蓄積する性質があるので、毎日食べるとなると、なおさらに有毒作用を及ぼすようになるのだ。
     これはたとえば、きれいに見えるような部屋でも、掃除をしてみると、意外とゴミが多いようなものだ。

     * * * 

     発ガンの原因になるものとして、第二に排除しなければならないのは、有害有毒な農薬や医薬や産業排出物に汚染されているものである。
     この頃の食料は殆んどすべて、栽培や飼育に、また保存のために、有害有毒な農薬や医薬その他の化学薬品があれこれと使われ、それが残留していることがあり、また地域によっては、有毒な産業排出物に汚染されており、その発ガン作用は、市販の加工食品とほぼ同様である。

     * * * 

     発ガンの原因になるものとして、第三に排除しなければならないのは、カビた南京豆や黄変米などである。
     このカビが、強力な発ガン性毒素をつくるからだ。
     従って、これを原料にした加工食品も、これを飼料にした食料も、この毒素が残留しているので、同様に排除しなければならない。
     とはいっても、これは、添加物のはいった加工食品や農薬などに汚染された食料と同様に、いな、それ以上に、お互い素人には見分けがつかない。
     であれば、業者に誠実を期待すると共に、食品行政をシカと監視しなければならない。

     * * * 

     発ガンの素地をつくるものとして、第四に排除したり制限したりしなければならないのは、使い古した油や白砂糖や食塩などである。
     油は、何回も使っていると、空気と熱で酸化して毒物ができ、胃ガンの素地をつくる。
     また胃ガンそのものをつくる疑いもある。
     従って、使い古した油や、これを使った市販のアゲモノは排除しなければならない。

     * * * 

     砂糖わけても白砂糖は、たえず多量にとっていると、栄養が不調和になって抵抗力を弱める。
     いったい砂糖というものは、ふつうに食物をとっておれば、栄養に必要な糖分は十分とれるので、調味上はともかく、栄養上にはなくてもよいものであって、これを極力ひかえることが大切である。
     菓子もまた同じであり、なおその他に種々の添加物の害も加わる。
     食塩の食べすぎも、胃癌の原因になるといわれている。
     塩分は栄養上必要不可欠であり、食塩は食物の調味や貯蔵に重宝である。
     だが、ふつうに食物をとっておれば、その原材料に塩分があって、ほぼ必要なだけはとれるのだ。
     ひどく汗をかいたり、下痢や嘔吐をしなければ、食塩は、ことさらにはとる必要はないので、できるだけひかえめにすることが大切である。

     * * * 

     およそ食物というものは、水と食塩を除いては、本来すべて自然の動植物であり害性毒性のないものである。
     従って、それぞれ特有の色や味や香りや口ざわりがあり、時間がたてば、カビもはえ、腐りもするのだ。
     そこで肝要なことは、動物とちがった、人間固有の胃腸その他の生理的構造や機能にかなうように、栽培・飼育・加工といった手を加えなければならないのが、できるだけ自然のままに近い色や味や香りや口ざわりで食べること、そして、カビもはえれば腐りもするようなものを、カビがはえず腐ってこないうちに食べることである。
     決してよけいな手を加え、それも、自然の動植物以外の人工的な化学薬品を加えないことだ。
     これが人間本来の食べ方であり、そうして初めて、毎日の食物がおいしくなり、文字通り、おいしいものが身について、栄養がよくなり、ガンをはじめ、その他厄介な病気を予防する体力・抵抗力が養なわれるのだ。
    (友成)




06-07. 青汁教室の食養断想(3) ガンの予防について ―抵抗力強化・完全栄養の必要

     友成 左近 

     ガン予防の食養には、一方においては、すべての食物をよく吟味して、添加物のはいった加工食品や農薬その他に汚染した食料、カビた南京豆や黄変米、使い古した油や食塩といった、発ガンの原因になるものを排除したり制限したりすることが大切である。それ自体に発ガン性のあるものや、発ガンの素地をつくるものがあり、また、殆んどすべて肝臓・腎臓・神経その他に病気を引き起こして、ガンに対する抵抗力を弱めるからだ。そして他方においては、毎日の食物構成を改めて完全栄養をはかり、ガンに対する抵抗力を強化することが大切である。発ガンの原因になるものを食物から排除しようとしても、実状、そこには限度があるからだ。また、生活環境や労働環境にも発ガンの原因になるものがあり、これは個人として、どうにも排除しきれない場合があるからだ。

     もうひとつ、ガンができるのは、ある種のビールスの感染によるのではないかとみられているが、まだその正体がつかめず、有効適切な予防薬も治療薬も開発されていないからだ。であれば、一般的な抵抗力を強化して予防する以外に方法がないわけである。ガンに限らず、およそ毒物や病原菌による病気にかかるのは、その中毒・感染力に対して、体の抵抗力が劣っている場合である。このうち病原菌による場合は、抵抗力がそれ相当に強ければ、よほど強力な病原菌に、しかも濃厚に感染しない限り、そうは簡単に発病するものではなく、発病しても、そう悪化するものではない。それに、病原菌によっては、有効なワクチンができており抵抗力をよりいっそう強化することができる。
     また、よい治療薬が開発されているものもある。
     このため、その昔、死亡原因の上位を占めていた急性伝染病にかかる人は、今では皆無に近くなっている。また、赤痢にかかる人は、まだそう少なくはなっていないが、これで死亡する人は極めて少なくなっている。さらに、慢性伝染病である結核にかかる人、これで死亡する人はだんだん少なくなっている。

     しかし、もともと感染力が弱く、病気をおこすこともなかったような細菌による病気があらわれ、いっこうに少なくならず、しかも、目立って多くなっているものもあるのだ。それは、最近の技術でも、まだ有効なワクチンや治療薬が開発されていないからでもあろうが、実は体の抵抗力が、その昔に比べて低下してきたからであり、その主要原因は、毎日の食物が、栄養上著しく不完全になってきたからではなかろうか。あるいはまた、農薬や産業排出物による空気や水や土の汚染など、生活環境の不自然化が甚しくなって来たからだろう。ガンが、もしビールスによる場合もあるとすれば、それはおそらく、ほかの感染におけると同様、完全栄養をはかって抵抗力を強化すれば、これはうまく予防できるのではなかろうか。

     だが毒物による場合は、病原菌による場合と事情が少々異なる。
     毒物が弱毒・微量であり、抵抗力がそれ相当に強ければ、そう簡単には発病せず、また「なれ」という現象も起こる。けれども、毒物である以上、肝臓・腎臓・神経その他の重要な器官を多少とも損傷し、「なれ」といっても、免疫とちがって、別に抵抗力が強化するわけではない。しかも毒物は、殆んどすべて、多少とも体内に蓄積する性質があるので、たとえ弱毒・微量であっても、たえずとり入れていると、やがては重大な損傷を与えて病気を引き起こし、従ってまた、抵抗力が低下してくる。それに、いったんとり入れた毒物を有効適切に解毒する治療薬は、まだなにほども開発されていないようだ。
     ガンや、その他あれこれと厄介や病気が、この頃目立って多くなっているのは、ひとつには、生活環境に、労働環境に、さらに毎日の食物に、原材料であれ、加工品であれ、殆んどすべて多かれ少なかれ、いろいろな毒物が含まれているからである。しかもこれは、不可抗的な自然の成り行きではなく、人工的なのだ。
     であれば、これはぜひ、よく注意して排除すると共に、そうした食物が全くなくなるように、業者と食料行政をシカと監視しなければならない。だが当面、どんなに努力しても、毎日の食物から完全に排除することは困難であり、ために、たえず多少とも、体のあちこちが損傷することはまぬがれない。そのためにも、それがうまく修復するように、できる限りの完全栄養をはかることが大切である。

     完全栄養をはかるには、お互い毎日の食物全体からみて、なにはさておき、まず第1に、なかのなかまで緑色の濃い青野菜を、日に体重の1%以上と、できるだけ沢山食べることが肝要である。と共に、さらに砂糖や精白した米麦、そうしたものを材料にした菓子・酒・パン・ウドンなどをひかえて、芋や未精白の米麦にきりかえ、また、筋肉部だけの切り身の魚や肉をひかえて、大豆やマルごと食べる小魚や内臓にきりかえること、そして、つとめて薄味にして、ハラ八分に食べることが大切である。
     これはこういうわけだ。以下次号。




06-08. 食生活のくふう 自然をうまく生かして

    山形県 initial 

     食べざかりのこども3人をかかえて、身体障害者でもある労務者のわたくしは、わたくしなりに真剣になって食生活に取り組まざるをえません。8年前に、約2600平方メートルの荒地を借り、懸命に畑づくりをはじめ、そのほかにも、およそ考えられるいろんなことをやってみました。収入が少ないので、いくぶんなりとも食糧を補おうと思ったからです。
     現在では、年間にダイズ210キロ、アズキ、コウリャン、アワ、ヒエ、トウモロコシなどが120キロぐらい取れますので、それらの雑穀類をせいいっぱい生活面に活用しています。
     まずダイズを食べない日はありません。みそはコウジをたっぷり入れた自家製です。市場で販売されているものよりも、おいしくて大粒のナットウをつくれるようになりました。簡単なトウフづくりの装置を設けて、思うぞんぶんにトウフや油アゲを食卓にのせるほかに、こどもたちのための豆乳も欠かしません。押しつぶして、まぜごはんにもしています。

    すっかり健康に
     ダイズは副食物としても好適でいろんな調理方法をくふうしたり、他の人から聞いたりしては、絶えず変化に富んだものをつくっていますが、調理の種類が多いのに、おどろくくらいです。おやつ用としては、砂糖でかためたいり豆や、雑穀類といっしょに焼き上げるせんべいが、とくに喜ばれるようです。理由はわかりませんが、毎日大豆を食べる習慣をつけてから、家族全員見違えるほどじょうぶになったように、思われてなりません。
     アズキも、ダイズと同じ要領ですが、主食として混入するときは幾分量をへらしています。ダイズほどは融通がきかないので、副食物としてよりも、主食とおやつ用です。ただ冬季間に、もやしの原料として大いに役立たせています。

    雑穀も半分以上
     そのほかのコウリャン、アワなどは、はじめから主食として考え、お米の10分の1程度の量を入れて食べましたが、どちらも物足りなくて、いまでは雑穀の種類を変化させながら、半分以上になっています。あたたかいうちは、お米のないほうがかえっておいしいので、雑穀だけの食事をする場合もあります。また、製粉したのは、モチやダンゴはもちろん、何にしても、みなから歓迎されますので、間食にも大いに応用しています。いずれも米食だけと違って、腹にもたれることがなく、もうやめられません。窮すれば通ずと思ってやったことが大成功でした。

    〃山菜〃の宝庫
     次に、わたしの家の近くに、山菜の宝庫といわれる山野があり、川魚の多い小国川にも目をつけました。5月中旬から約50日間、一家の全力をあげて、ワラビ、ゼンマイ、山ウドなど10種の山菜を集めます。当座に食べる物以外は、ゼンマイは乾燥し、その他は全部塩づけにして貯蔵します。家族5人で1日に2キロずつ食べる目標にしていますが、進物用になるのもあって、実際にそこまで行きません。ことしは約500キロの成果でした。それでも食べきれないほどの山菜が、毎日食卓をにぎわしてくれます。

    雑草でウサギも
     網を使用したり川干しなどで大量にとれる川魚は、クシにさして長時間火を通しますと長く保存できますので、くだいて味付けにしたり、つくだにや弁当の副食になります。こどもたちが学校から帰った空腹のときなど、天井にぶら下がっている小ざかなのクシを手にして、ガリガリやったりしますが、全員1日10本平均食べているのではないでしょうか。
     山野に繁茂している雑草を利用し、ウサギも飼っています。10日に1匹あての兎肉との計算でしたが、このほうは越冬の干し草までは手が回らず、1か月平均1匹半、目方で約2キロ程度の兎肉しか見込めません。

    ひけつ、一夜づけ
     それから、わたくしの家庭での健康のひけつともいうものに、一夜づけがあります。ダイコンのはしっこやニンジンの葉、カボチャのつるとかサツマイモの茎に至るまでいろんなものを集めて軽く塩をふり、かめの中に一夜づけにして、食卓に出すのです。野菜だけでなく野草も結構風味があって、とくに早春の野原に群生するツクシ、フキノトウ、ヨモギの若葉、アケビの木の芽、または秋のキクなど、すばらしく美味です。みんなが食事ごとに軽くどんぶり1杯も平らげます。


     こういうわけで、わが家の食生活は、大豆を主とした雑穀のほうが多い主食と、食べほうだいの山菜と一夜づけと、豊富にとる干した川魚が特色でしょう。
     恵まれた自然のおかげではありますが、より豊かな食生活をと、戦傷で不自由な右足にもめげず働くわたくしに、家族全員がいっしょになって汗を流してくれ、このように貧しいながらも健康な生活をつづけられることに感謝しています。
    (41・12・15 サンケイ新聞)




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