健康と青汁タイトル小
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材料の菜っ葉について(6)
6-1 ツユクサ 167号 ツユクサ クリック
6-2 サツマイモの葉 168号 サツマイモの葉 クリック
6-3 エンサイの青汁 168号 エンサイ クリック
6-4 良質の青野菜とは 171号 パセリ、シソ葉、ニンジン葉、コマツナ、ミズナ、タカナ、ナタネ、カブ葉、ダイコン葉、カキバダイコン、ケール、シーオー、レープ、シュンギク、ミツバ、セリ、レタス、チシャ、ニラ、ネギ……他 クリック
6-5 エンサイを作りましょう 176号 エンサイ クリック
6-6 オバコ(車前草) 177号 オバコ(車前草) クリック
6-7 飲める葉が知りたい 178号 クローバー クリック
6-8 サトイモの葉 179号 サトイモの葉 クリック
6-9 182号 アイ クリック
6-10 コンフリー 187号 ※コンフリーの有害性について→ クリック
6-11 アケビ 188号 アケビ クリック
6-12 オナモミ 190号 オナモミ クリック
6-13 質問箱 193号 ダイコン葉 クリック
6-14 質問箱 198号 CO クリック
6-15 質問箱 199号 ケール クリック
材料の菜っ葉について (7) (8)




6-1. ツユクサ

     野傍や畑の、湿りがちの荒地に多い。
     夏、あみ笠状の苞のあいだに藍色のかわいい花がひらく。
     で、ボウシバナ、アオバナ。漢名、鴨跖草。
     古名、ツキクサ。
     むかし、花をとって衣に摺りつけたが、よく染めつくので着草。それから月草ともいう。
     私どもの田舎ではギースグサといった。
     ギースは、ギース、ギース、チョンギースとなくキリギリスのこと。
     野原からとって来たギースの籠には、いつもツユクサを入れてやった。
     食用される。
     救荒野譜に、

      「嫩き菜葉を摘み、煮たる後、洒し、再び煮食するか、和物、浸物等として食す」

     とあるが、生のまま、グリーンサラダにしてもよい。
     軟くて、すりつぶしやすいので青汁の材料にもなる。
     本草綱目、主治には、

      「寒熱、瘴瘧、痰飲、丁腫、渋滞、小児丹毒、発熱狂癇、大腹痞満、身体面部気腫、熱痢、蛇犬咬傷、癰疸の毒」。(蔵器)

     と、むつかしく書いてあるが、まずは、いろいろの熱病、化膿、丹毒、腫れ、胃腸病、食肉中毒、蛇や犬の咬傷といったものによい、というところらしい。
     また、

      「赤小豆と和し煮食すれば、水気、湿痺を下し、小便を利す。」
      (大明)
      「小便不通に一両。車前(オオバコ)一両の擣汁に、蜜少量を入れ、空心に服す」
      (集簡方)
      「喉痺(扁桃炎・ジフテリーの類)に擣汁」

     ともあるが、要するに、すべての青汁に共通の効能だ。



6-2. サツマイモの葉

    新潟市 T.E. 

     私こと、青汁材料に、常に困っておりましたが、サツマイモも盛夏によいと、会報に読んでから、5本ほど植えましたところ、大変よく繁り、大助りでした。



6-3. エンサイの青汁

    東京都 H.E. 

     春にお送りいただきましたエンサイ、芽の出はじめには、虫にたべられ、日暮から、何度か虫取りをして、大切に育てました。
     おかげさまで、大変によく大きくなりまして、毎日青汁がいただけますので、子供が、夏中元気にくらせる、といってよろこんでいます。



6-4. 良質の青野菜とは

     どんな病気を療養するにも予防するにも、そして疲れも知らず仕事に精を出すにも、その土台として完全な栄養をはからなければならない。
     それも、すでに栄養学で明らかにされている成分についてだけでなく、既知未知すべてにわたって本当に完全な栄養をはかることが大切である。それには必ず青野菜を、日に体重の1%以上と、できるだけ多量に食べねばならない。厄介な病気にかかっている場合は、さらに多量に食べる必要がある。そして、この青野菜を有効に食べるには、つとめて生のまま、よくかんで食べると共に、さらに青汁にして飲むことが大切である。
     ところで、ここで肝要なことは、この青野菜が良質安全なものであることだ。でないと、少々多量に食べても、それだけの効力はない。ときに思わぬ副作用も引き起こす。それに、おいしくもない。それでは良質の青野菜とは、どんなものか。

    青野菜というのは
     青野菜というのは、なかのなかまで緑色の濃いナッパである。いうまでもないことながら、青汁をすすめると、ときに、キャベツやハクサイ、あるいはニンジンやトマトなどでジュースを作って飲む人があるので、まず最初に念のため言っておかねばならない。ところで、こうした青野菜にも品種が多く、成分や味、栽培の難易や収量の多少、あるいは食べ方による向き不向きといった点について各種各様である。良質の青野菜とは、まずもって成分にすぐれ、副作用のないものであるが、そうしたものは多くの場合、味もよく、栽培もしやすく収量も多く、どんな食べ方にも向いている。

    品種について
     そこで、数多い品種のうちから手頃なものをあげて品定めをすると、こうだ。最もすぐれている特急品は、パセリ、シソ葉、ニンジン葉である。これにつぐ一級品は、コマツナ、ミズナ、タカナ、ナタネ、カブ葉、ダイコン葉、といった在来からの青野菜と、カキバダイコン、ケール、シーオー、レープといった、ふつうは家畜の飼料にしているものや、作りそこねて結球しなかったキャベツである。こうした特級品と一級品が良質の青野菜である。
     そして、シュンギク、ミツバ、セリ、レタス、チシャ、ニラ、ネギといったものは、青野菜ではあるがまず二級品である。ところで、野菜の王様などといわれているホウレンソウやフダンソウは、緑色が濃くて一級品のようではあるが余りよくない。シュウサンが多いため、カルシウムの吸収と利用を妨げ、多量に食べると腎臓結石ができる恐れがあるからだ。
     なお、ニンジン、カボチャ、トマトといった黄色の野菜やピーマンは二級品に近く、エンドウその他のサヤ豆は、緑色の濃いうちは一級品に近い。ところで、ハクサイ、キャベツなどには緑色や黄色のものもあるが、なにぶん淡色であるので、もはや青野菜ではなく級外品である。ましてや白いハクサイ、キャベツ、あるいはダイコン、レンコン、タマネギ、キウリ、ナスなどは、さらに級外品である。なお果物のうち、ミカンだけは二級品に相当するが、その他は級外品である。この他、野草や木の葉のうち、成分の点では一級品や二級品に相当するものがいろいろあるが、味や入手量、あるいは農薬その他による汚染などの点で、それそれ難点がある。

    食べ方による向き不向きについて
     さて、こう品定めした青野菜も、食べ方によって、それぞれ多少とも向き不向きがある。良質のもののうち、とくにすすめたいものについていうと、こうだ。青汁には、まず第一にケールである。これにつぐものがシーオー、レープ、カキバダイコンだ。ホウレンソウは決して青汁に使ってはならない。生食には、パセリ、シソ葉、カキバダイコン、シーオー、レープ、コマツナの若葉である。調理食には、良質のものはいずれもそれぞれ、あげもの、いためもの、にものといったものに向いている。が、とかく見捨てられているダイコン葉、カブ葉、シソ葉などは大いに活用することが大切である。

    栽培について
     ところで、たとえ品種としては優れていても、栽培を誤ると、成分も劣り味も悪くなり、さらに有毒化する。ひと口でいえば昔ながらの栽培が大切であるが、その主な要件はこうだ。

       まず第一に、深耕することである。それも時に、1メートル位まで、あるいは地盤にとどくまで天地がえしをすることだ。そうすれば、作物の根が深くはり、底深く沈んでいた大切な無機質成分が表土に出て吸収しやすくなる。また、空気が底深く達して有益細菌やミミズが繁殖して、施した有機質肥料を有効化する。その昔、3年に一度はゴボウを作れ、といわれたのはこのためである。

       第二に、ワラ、草、木の葉、豆粕、鳥糞、魚粉といった有機質肥料を十分施すことである。また時に山土、わけても木の葉の腐蝕したものを客土することだ。そうすれば、作物に必要な肥料成分が既知未知すべてにわたって完全になる。その昔、せっせと山草を刈れ、木の葉を掻け、といわれたのはこのためである。

       第三に、石灰を適量施すことである。日本の国土は石灰分が少なく、作物の成長に不十分であるからだ。けれども、それ以外の化学肥料はひかえめにすることが大切である。ましてや、有機質肥料を十分施さずに化学肥料ばかり多量に施してはならぬ。そんなことをすると、見た目には立派なものが早く成長するが、成分も劣り味も悪く、病気にもかかりやすくなる。毎年くりかえしていると、有益細菌が減少して土地がやせてくる。その昔、買い肥ばかりすると農家はつぶれる、といわれたのはこのためである。

       第四に、農薬としては、除虫菊、ニコチン、デリスコンといった付着性のもの、それも必ず純正なものを、必要やむをえないときに、使うのは差し支えない。だが、最近広く使われている滲透性のものは決して使ってはならない。確かに効果は高いが、せっかく作った青野菜が有毒化する。毎年くりかえしていると、有益細菌が死滅して土地が死んでしまう。こんな危険な農薬が盛んに使われ始めたのは十数年前のことである。そして、これを追うかのように病人が多くなっている。それも、その昔は極めて少なかった病気が目だって多くなり、その上、原因も治療法も分からない新しい病気も発生しているのだ。

    自家栽培・委託栽培のすすめ
     ところが残念なことに、このごろ市販されている青野菜には、品種としても良質のものが少なく、その上ほとんどすべて、化学肥料と危険な農薬を多量に施したものである。そこで、こうすすめたい。戦中戦後のように、僅かな土地でも活用して自家栽培をすることである。その土地がなければ、ベランダでもよし、日あたりさえよければ鉢作りをすることである。そして特級品や一級品を作るのだ。
     これができない場合はいうまでもなく、これだけでは十分自給できない場合は、本当に正しい栽培をしてくれる人に委託して供給してもらうことである。いかにも思いすごしのようではあるが、この頃の事情では、まずもってこうすすめないわけにはいかない。ことは、かけがえのない自分自身の健康と生命にかかわることであるからだ。

    (45年度の総会で遠藤先生がお話しになったことを、平素くりかえし力説されていることで補足しながら、ながながとお伝えしてきたが、ここでひとまず終わりとする。文責友成)


6-5. エンサイを作りましょう

     宮崎市 渡辺 忠夫

     エンサイは丈夫で作りやすい野菜です。甕菜(エンサイ)は、甘藷に近縁の植物で、いもは着きません。いわば甘藷の蔓だけ作るようなもので、夏の季節の野菜としては、最も作りやすく、素人作りで容易に出来るものです。
     種子の他、甘藷の蔓を挿す様に、挿枝でも直ぐ発根して繁殖する丈夫な植物です。台湾や南支南洋方面では最も普及した、最も安価な野菜ですから、南方に行った方は大概良く知って居るものです。戦前の価格ですが、台湾の市場の小売は、一斤(600グラム)で2銭か3銭が通り相場でした。
     日本の夏は台湾やインドネシヤに負けない暑さですし、その上、日本の夏の方が日照時間が長いので、エンサイの生育と繁茂には条件が良い訳です。堆肥や鶏糞等の有機質肥料を与えれば、畑土も肥えて、驚く程よく出来ますが、痩せた土地でなければ尿素や硫安等の化学肥料も併用出来ます。

     エンサイは特に水が好きですから、畑の土が乾かない様に、ジャンジャン水を掛けて下さい。ケールや夏だいこん等の栽培で悩みの種の、青虫やカ虫は、植物の性質上、エンサイに寄りつきません。畑に流れる程水を与えますと、夜盗虫やコオロギ等の害虫は溺れたり、逃げ出したりして防ぐ事が出来ますから、全然農薬を使わなくて、うまく栽培出来るのは、エンサイの利点です。
     太陽を食べる、と申しますか、豊かな夏の日光の恵みを、緑の野菜の形に替えて、思う存分食べましょう。ジュースにして飲むのも宣しいでしょう。それなら甘藷の蔓でも、と考える方もありましょうが、形こそ似ていますが、エンサイはケールやホウレンソウと仝等以上に、軟かくて美味しい野菜です。甘藷の蔓とは全く味が違います。
     播種の適期は4〜5月ですが、梅雨季でも、うまく播種育苗すれば夏に間に合います。エンサイが水を好み水に強い点で、梅雨季の育苗が出来るものです。作りやすくて、美味しい、エンサイを何とか、日本の家庭菜園に、広く普及し度いのが、半年以上の長い年月を、台湾で過して此の野菜に特別の親しみを感じる小生等の念願です。
     緑葉食で健康長寿を目的とした、貴会とは全く同じ目的ですが、特に延才会を組織して普及に努力して居ります所以です。(延才会幹事)
     ◎種子は宮崎市丸山町 延才会 渡辺忠夫氏宛、または遠藤青汁の会宛へ申し込んで下さい。


6-6. オバコ(車前草)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     南方全集に、

    「撈海一得に、本邦の小児がガマを殺し、土を掘って、オホバコをしき、死んだガマをのせ、またオホバコを被せ、子供等取巻て、蛙殿のおにしやった、オンバク殿の御弔い、と誦へると忽ち跳り出す」
     と出ているとあるが、
     私どもも、地面にたたきつけてのびた蛙を、オバコの葉にのせ、オバコの花穂で腹をたたいて、いきかえしたものだ。
     牧野先生によると、
    「オバコに、カヘルハとか、ゲーロッパといふ名のあるのはこれからだ」
     そうだし、
     「支那で蝦蟇花と称するが、これは、蛙が好んでこの葉の下に隠れ伏しているからの名だ」
     という。
     なお南方全集には、
     「ホール僧正のセレクト・ソーツ(1647年)に、動物が各々其病を自ら治す術を列べて、ヒキカヘル病めばオホバコの葉を憑む、と書いた」
     ともあるから、蛙とオバコとはよくよく縁がふかいとみえる。
     また私どもは、オバコをスモトリグサ(相撲取り草)ともいって、悪童たち大勢で、花穂の強い軸をもちより、一本づつからませて、引きちぎり合う相撲取りあそびをやった。
     庭の草取りで、いつも感心するのは、ほかの草はみな楽に抜けるのに、こいつばかりは仲々抜けず、スコップや鍬で掘りおこしたり、けずりとらねばならぬ、根の頑強さだ。
     漢名で車前草というのは、好んで路傍に生え、車にしかれても栄えるからだそうだし、ドイツ名ウエゲワルツ(道番)というのは、
     「女が情人を街道で待ち侘びて此草になり、土にひっつきをるのだ」(南方全集)
     という。そのいわれもうなづけるわけだ。
     さて、この利用については、カゼや百日咳の咳によいというので、陰干して煎じ、茶代りにのむことくらいしか知らなかったが、青汁に興味をもち、古医方をしらべてみて、煎用、黒焼、食薬としてのほかに、青汁の応用の記載の多いのに、実は、少なからずおどろいた。
     中でも目立って多いのは止血に関するもの。金瘡の血を止めるほか、衂血、下血、血淋(血尿の出しぶるもの)、月経過多、産後の出血、などに良効がいわれている。
     また、
     「よく五臓を補し、目を明にす」とか、子供の「疳」によい。あるいは、泄精に主效あり、遺精・夢精に甚だ効験がある」。
     さらに、烈公食薬には、
     「ふい(車前草の別名)嫩葉をヒタシモノにし、その他にも煮などして食し、婦人産を軽くす。詩経に、婦人楽有子とふいの詩にいへるは此效ある故か」
     とあるなど、強壮・強精効果もあるようだ。なお、小便を利し、浮腫によく、「五淋を通ず」とあって、小便の出しぶるにもよい。
     便秘にも、下痢(血痢にも)、咽頭痛やフグの中毒によいともある。材料はいくらでもあるし、味も悪くはない。
     安全な場所に出来たものならば、青汁として大いに利用すべきだ。食用には、ふつう、嫩葉をゆがき、水にさらし、ヒタシモノにするとあるが、もちろん生で食べてよい。
     わかいものや小型のものはサラダにも出来るが、たけたものや大型のものは、繊維が少々強すぎて、いささか食べつらい。あげものにすると食べよい。


6-7. 飲める葉が知りたい

    京都府 N.S. 

     ケールの種子ありがとうございました。芽が2センチほど出て、毎朝水をやり、大きくなるのを楽しみにしております。
     青汁は相変らず、くさくって、にがくって、なかなか好きになれません。
     でも、胃の痛みが情ないので、一生懸命、柿の葉、イチジクの葉を若葉のとき飲みました。
     コップに半分ほど1ヶ月続けました。今は葉がかたく、ジューサーでも汁が出て来ませんので、何も飲む葉がないので、1ヶ月ほど飲まないでいますと、すっかり忘れていた痔が出て来て、「あっそうか、痔が治っていたのだ」と気がつきました。
     また病院へ行くと、若いのに260もあったコレステロールが、薬も飲まないのに180に下がっているのでびっくりしました。
     「やはり青汁は効果がある」と、神も人も信じない、ひねくれ者の私も信じました。
     市販のリンゴ、キャベツを1ヶ月つづけましたが、何の効果もなし。
     やはり青葉です。買物に出ると、道ばたにいっぱい青葉がありますが、どれを飲んだらいいのか、さっぱりわかりません。
     前号の新聞に、ヨモギが美味しいといっておられる方がありましたが、私は、くさくって、くさくって、のめません。
     名前が書いてあっても、どんな形の葉か、クローバーしか知らない私には、わかりません。
     どんな葉をのんだらいいのか教えて下さい。田園地方ですので、いろいろな青葉はありますので。


     実物をおくって下さい。お答えしますもっとも枯れるとわかりにくくなるので、全部はお答え出来ないかも知れませんが。


6-8. サトイモの葉

     夏から秋にかけてのサトイモの葉は、いかにも、青汁によさそうに見える。
     しかし、あの芋と同様、のどを刺戟する、いらがゆさのため、とても飲めない。


6-9. 藍

     藍染めのアイ。タデ科。いろいろの効能がいわれている。

      解毒  本草綱目には、「あらゆる薬毒を殺す」(別録)とあって、鳥頭、斑猫(カンタリス)、水銀、砒素、その他があげてある。
      食中毒  民間薬には、「スッポン毒に藍の葉しぼり汁のむべし」(経験千方)、「銀杏に中るに藍汁のみてよし」(済急方)
       また、本草には、「傷寒の発狂に主效」とある。
       肺炎やチフスの脳症によいというのだろう。
      出血  吐血、衂血、下血、血尿など、すべての出血に搗汁。
      感染  ひょう疽に汁(経験千方)。痢や赤痢に汁をのんだり甘草と煎じてのむ。
      嘔吐  「汁をしきりに飲めば噎膈を治す」とあるが、噎膈とは食道や幽門がせまくなって嘔吐のあるもののことだ。
      喘息  「上気咳嗽、息に咽ぶごとき声あるに汁をのみ、杏仁粥を食ふとよい」とあるのは、喘息(気管支性ある心臓性の)のことか。
     はては、
     「縊死に藍汁をそそぐ」といったぐあいであり、毒虫にさされたり、馬の咬傷、毒矢の負傷には藍染めの布や糸を浸けた汁をのんでもよい、とある。

     忍者の衣類が藍染めになっているのは、闇にまぎれるカムフラージュの意味は勿論だが、手負いのときの血止めや、中毒や急病にたいする備えでもあったようだ。
     タデ科だが、特別の味はない。生食も出来る。青汁党の菜園にあってもよいものの一つだが、藍染めのすたった今日では、本場の阿波でも、もう殆んど作っていないそうだ。
     子供のころ、私の村には紺屋もあったし、藍畑もあった。写真は、徳島の木村氏が私のためにようやく見つけ出して下さったもの。


6-10. コンフリー

     医学博士 遠藤 仁郎 


     クコの次にブームになったコンフリー。
     いろいろの効能がいわれ、奇蹟の草ともてはやされている。
     たしかによいものらしい。それは、コンフリーの根が深くはいるので、ふつうの草では不可能な、深層の養分(ミネラル)の利用ができること、したがって、ふつうの草よりは成分にとんでいることが考えられるからだ。
     また、栽培にあたって、多量の堆肥が必要であることもあずかっていよう。
     コンフリーに限らず、どんな作物でも、堆肥が十分施されるほど質がよくなり、味もよくなる。

     つぎに、コンフリーには虫がつかず、夏の材料として、まことに都合のよいことだ。青汁材料として、私どもはケールをとりあげているが、それは、質がよく、味のよいことのほかに、年中大量に供給できるからなのだ。しかし、困ったことに虫によわい。岡山大学農学部の研究所が倉敷にあるが、その昆虫科では、かねて、害虫飼育に必要な飼料に困っていられたそうだが、ケールが導入されてから、その悩みは簡単に解消したという。ことほど左様に、よく虫がつく。そして、うっかりしていると、忽ちのうちに網の目のように食い荒らされてしまう。

     ところが、このコンフリーは虫がつきにくいので、夏場の材料の補いにと、私どももはやくから目をつけ、一時栽培を試みた。
     けれども、惜しいことに夏場だけで、冬はすっかりダメになってしまう。
     そのうえ、ねばりがあってしぼりにくいのは我慢するとしても、どうも味がも一つ感心できず、アクが強いというか、ドス黒い、いかにもいやな色あいになり、いささか飲みづらいので青汁の材料にすることは断念した。

     勿論、効力が変るわけではなし、からだにさわるわけではないから、飲んで少しも差支はない。(もっとも、ねばりのため胃に石が出来るといわれているから、うすめて飲むか、ほかの材料に混ぜるのが無難だろう。)
     それに、青汁として飲まなくても、調理用とたとえば粉食料理の水代りにつかってもよいわけだ。そのまま食べてもよいが、十分のびた葉は舌ざわりがよろしくない。
     ごく若い軟いところは食べよいが、大きくのびるものだけに、わかいうちに摘みとってしまうのは勿体ない。あげものにすれば食べよいし、おいしくもあるが、これとて、とても十分の分量は食べにくい。乾燥粉末にすれば利用しよいし、冬場にそなえることも出来るから、大根葉の乾燥法や製茶法に準じて精々貯蔵しておくべきだ。

     ところで、コンフリーはもともと主に根が用いられ、しかも、外用が多かったようだ。根をすりつぶして布にのばし、巴布として貼りつけると、火傷や外傷、骨折あるいは化膿の炎症部、痛風やリウマチの関節、壊疽、脱疽、湿疹その他の皮膚病にもよい。
     また、医者もサジをなげるほどの皮膚癌瘡に応用して著効をあげた、などのことから奇蹟の草といった名も出たらしい。

     そして、根だけでなく、葉でもよいし、外用だけでなく、煎汁を飲んだり、根や生葉のしぼり汁や、乾燥葉の粉を飲んでも、胃潰瘍、喘息、心衰弱などによいといわれている。
     その効はアラントインによるものだという。このアラントインというものは、傷の治りをよくする成分なので、外用の場合は、あるいは、それで説明されよう。しかし、青汁や粉末の効果は、やはり栄養の改善によるものに相違あるまい。
     したがって、いかに成分がすぐれているとしても、栄養のバランスをとるに足るだけの十分な量が必要であることはいうまでもない。このことは、さきに流行し、はやくも忘れ去られたクコでも同様で、決して、あのちっぽけな葉を一日数枚食べるだけでとか、コンフリーの少々を食べるだけで、健康になり、不老長寿の効が得られるといったものではない。
     なお、先年、ジキタリス(心臓薬にされる毒草)の葉をコンフリーとまちがえて、飲み、中毒した例があったことを、念のため付記しておく。


6-11. アケビ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     山地に自生する蔓性の木本で、秋、長腎臓形の実が出来、たてに裂けて肉をあらわす。そこで開肉(あけび)。
     その形が女陰を思わすからだろう、山女の異名もある。茸狩の行きかえりなど、甘ったるい中身を、あらそい食べたものだ。
     葉も食べる。煮ても、生でも食べられ、青汁の材料にもなる。
     もっとも、ややしぶ味がある。
     嬉遊笑覧は、

       「鞍馬木芽(きのめ)漬は、通艸(あけび)、忍冬(にんどう)、木天蓼(またたび)等、春末夏初の新芽なり。安斎云ふ。出羽国人の談に、其土俗、毎年四月、老若男女、山野に出て、木芽を採り煮て食ふ。或は塩に漬て畜ふ。其木芽といふはアケビの芽なり、アケビは木通なり。鞍馬の木芽漬も是なりといふ。」


6-12. オナモミ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     青汁の効能については、もう充分に理解されているので、ここでは「作り方」について2、3の体験を申上ましょう。

     川原や路傍によくみかける。
     丈は50〜60センチ。葉はちょっとナスに似て緑色。茎や葉柄にいくぶん赤味がある。秋に、朝鮮アサガオの実に似た、粗いとげの密生した指頭大のイガが数ヶむらがって出来、衣類などにへばりつく。
     漢名、蒼耳。
     本草網目に苦、辛、徴寒小毒ありとあるが、食用されている。苗はよくゆがき、よく浸して食ふべし(救荒本草抜萃)。
     青汁にもなる。味はそう悪くはない。
     効能は一般緑葉の青汁と同じだから、どんな場合にも利用できるが、本草書や民間薬に出ているものは、およそ次のようだ。

    強壮効果
     「睡を少くす。久服気を益し、耳目を聴明にし、身を軽くし、志を強くする。」(蘇恭)

    感染
     一切の風熱を去るの要剤で、流行病の予防にも用いられている。
     「癰疽に酒に擂り用ひ汗をとる」。
     「瘧(マラリア)久しくおちざるに蒼耳をつき汁をしぼり飲みてよし」(懐中妙薬集)。
     「5月5日、午の時、嫩葉をとり、陰乾し、収め、時行病(流行病)の時、末し、冷水にて2銭(匁)を服すれば疫病に染らぬ」。

    癩病にもよい。
     「蒼耳草を、端午日又は6月6日寅時、露ともに取り、搗絞り、その汁を煎じつめて膏となし、大鯉魚重1斤余あるを一つ、腹を開て腸をその儘置き、右の蒼耳膏をかため入れ、線にて腹を縫合せ、好酒2腕ほど入れ、とろ火にて煮て、酒乾きたる時病人に与へ食さすべし。鯉魚12喉用ひて、即ち愈ゆ。淡味を食することと百日ほどすべし」。(妙薬博物筌)

    狂犬にかまれた時
     「ヲナモミの葉を煎服すべし」。(妙薬手引大成)
     「酒に煮て服す。」(臓器)
     「汁をとり1盞を服み渣を伝るに妙」。

    中毒
     毒蛇や毒虫で救いがたい状態になったものに、「嫩苗1握りの汁をとり、酒に和し温服し、滓を傷処に厚くはるが妙」。(勝金方)

    食中毒にも。
     いやいや、それどころか癌瘡にもよいとある。
     「反花悪瘡(癌瘡)肉の飯粒の如く破れるにしたがって続出するに、葉の搗汁3合を服し、ならびに1日2回塗る」(聖済総録)

    肝疾
     「服石発黄(薬石をのんで黄疸になったもの)に搗取汁」(新録方)
     下痢にもよい。

    出血
     「衂血止まざるに搗汁」(聖恵方)「痔疾血はしり下るにナモミ茎葉ともかげぼしとなし、細末、飯のとりゆにて用ふべし」(経験千万)「長血(婦人長皿)ナモミ黒焼さゆにて用ふ」(同)

    小児
     神経質なもの。「小児疳虫を殺す」。「夜啼にナモミ、ケイトウゲの陰干を粉にして湯にて用ふべし」。(万病妙薬集)等々。


6-13. 質問箱

    宮崎県 T. 


     ダイコン葉の青汁はとてもからいのですが、飲んでよろしいか。


     ふつうの大根葉の青汁はとても飲めません。
     夏大根はとくにそうです。無理に飲むと胃を悪くします。
     もっとも真冬にはカラ味がぐっとへりますから差支ありません。
     なお、養鶏用のカキハダイコンは少しもカラくないので、いつでも青汁になります。


6-14. 質問箱

    愛媛県 匿名 


     COという菜のことがよく出ますが、どんなものですか。利用法は?


     語原はわかりませんが、油菜とキャベツの合いの子だといいます。
     もともと飼料用ですが、とてもおいしい野菜です。
     春秋にまき、生食や青汁用によく、煮もの、漬物にもよろしい。
     種子は、大きな種苗店か飼料種子をあつかっている店にはある筈です


6-15. 質問箱

    奈良県 Y. 


     会で、青汁材料としてケールを推賞されているのは、どういうわけからですか


     成分がよいこと、味がよいことのほかに、大きな葉になるので収量の多いこと。酷寒多雪地方を除いて、年中とれること(もっとも台湾など熱帯地方では雨期はダメだそうです)など、十分の青汁を年中とるのに、これほど適当しているものは、ほかには、ちょっと、見当らないからです。




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