健康と青汁タイトル小
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材料の菜っ葉について (1) (2) (3)
材料の菜っ葉について(4)
4-1 質問箱:フキの葉は 106号 フキの葉 クリック
4-2 アカザ 109号 アカザ クリック
4-3 身体が温まる 111号 アカシアの葉 クリック
4-4 ナズナ 113号 ナズナ クリック
4-5 ハコベ 114号 ハコベ クリック
4-6 アシタバ 121号 アシタバ クリック
4-7 オオイヌノフグリ 126号 イヌノフグリ クリック
4-8 ワラビ 131号 ワラビ クリック
4-9 竹の葉 133号 竹の葉 クリック
4-10 シャシャンボ 136号 シャシャンボ クリック
4-11 麦苗 137号 麦苗 クリック
4-12 コンフリーで胃石 137号 ※コンフリーの有害性について→ クリック
材料の菜っ葉について (5) (6) (7) (8)


4-1. 質問箱:フキの葉は

    秋田県 M. 

     問
     フキの葉はどうですか。
               
     答
     差支ありません。しかし、何分味がニガくて、ちょっと飲みにくいようです。また成分もさほどよくはありません。


4-2. アカザ

     アカザはかなり青汁の材料にされているようです。
     よく知られている食用野草で、戦時中からはいささかなじみ深くもなっていました。
     また夏季には荒地などに多くみかけられ、軟かくて汁にもしやすく、味もそう悪くない、といった関係からでもありましょう。
     栄養成分も決して悪くなく、ミネラルもビタミンも多く、蛋白質はとくに優秀だといわれています。
     したがって、青汁用に大いに推賞されてよいのですが、気をつけておかなければならぬことが一つあります。
     それは、ひょっとすると中毒する恐れがあるかも知れないからです。
     藜の羮といえば、中国では古くから庶民の食べものとして最も普通のものだったようです。
     貧民はとくによく食べると見え、華中や満鮮では、以前からその中毒症、いわゆるアカザ病が知られていました。
     もともとわが国には無かったのですが、戦時中、野草食が盛になってから現われ、専門誌にも報告されていました。
     これはアカザに含まれている感光物質による一種のカブレで、ひどいのになると、直射日光にあたった部分がカユくなり、赤く腫れ、出血したり、水ぶくれが出来たり、甚しくは潰れて傷になったり、といった大層なことになることもあるそうです。
     もっとも、それは、非常に大量を長い間とり続けたとき、はじめて出るのですから、普通の食べ方では、まず問題にはなりません。
     しかし、青汁ともなると、毎日の量がかなり大量ですし、効果をあげるためにはずっと続けなければなりません。
     そこで、あるいはカブレにかかるかも知れないからです。
     昔の救荒時の食べ方をみると、

    「苗葉を採り、湯引(ゆび)き熟し、水を換え浸し淘洗浄し、油塩に調へ食ふ。
    晒乾し焼き食ふ尤(もっとも)好し
    (救荒本草)
     などとあり、アク抜きに注意してあるのはあるいはこうしたことへの顧慮もあったのでしょうか。


4-3. 身体が温まる

    北海道 S.H. 

     アカシアの葉をスリバチですり、家内と二人でのみ実行に入りました。私は飲むと十分くらいで身体が温まって来ます。


4-4. ナズナ

     七草の惣代としてのナズナかな

     という句があるが、実際私など、子供のころは七草といえばナズナのことと ばかり思っていた。そして、ある日には、母や妹などと、方々あるきまわって ナズナを探し、もし見つからぬと、何か、ひどく物足りなさを感じたものだ。
     さて、ナズナが七草の惣代になっているのは、おそらく、七草にする野草の 中ではナズナが大型のものであること、そして、あの頃にはもうかなり大きく なっていること、などからであろう。しかし、成分表をみて驚くことは、ナズ ナにはすばらしくミネラル分の多いこと、ことにカルシウムの多いことだ。鉄 やマンガンも多いそうだし、ビタミンもそろって多い。
     カルシウム 0.3−0.5、
     燐     0.1−0.2グラム。
     ビタミンA 2500国際単位。
     B1    0.16、
     B2    0.28、
     C     40ミリグラム。
     私どもの習慣食、ことに正月の食物には、餅といい、煮物といい、とかく、 カルシウムやビタミンの乏しいものが多い。これを補う点からだけでもナズナ を食べることの意味は大変大きいわけだ。
     その上、蛋白質も多く(5−7グラム)しかも質的にすぐれているのだから、  すべての点で優秀な野草ということができよう。
     こうしたことは、ナズナがながい間の経験から、七草の惣代にえらばれた科 学的の裏付けというものでもあろうか。

    「苗食ふべし。東坡曰く、天此物を生じ、幽人山居の福となす。これ味よき故なり」
    (大和本草)
     で、ナズナやイヌナズナは味がよい。しかし軍配ナズナのように、辛いもの もある。
    我独りからなつなこそ悲しけれ、身をつみてだに問ふ人もなし
    (清輔集)
     但しこれも、
    「葉を採り(ゆび)き熟し、水に浸し、酸辣味をとり、復(また)水を用い、淘浄して韮あえものを作り油塩に調へ食ふ」
    (救荒本草)
     で、ゆがいて辛味をぬけば結構食べられる。ふつうヒタシなどにするが、こ れ程質のよいものを、下手に料理するのは勿体ない。清潔なところに出来てい るものならばグリンサラダに加えて生食すべきだ。味も、その方がずっとよろ しい。
     効能について、古医書の記載を総合すると、
    「中を和し、気を益し、五臓を利し、目を明かにす」
     というところのようだが、これは成分のよさからも理解できる。
     西洋でも以前は局方薬であり、古くは屡々用いられるらしく、ミトリダテス 王(紀元前小アジア東部にあったポントスの王で、毒殺を恐れて解毒薬の研究 をしていたが、軍に敗れ毒薬自殺をはかった時は、免疫になっていて、毒がき かなかったという)の解毒剤の中にも入れられていたという。なお、最近の検 索によれば、ナズナに止血作用や利尿作用、血圧降下作用のあることも知られ ている。


4-5. ハコベ

     ハコベ(繁縷)、古名ハクベラ(波久倍良)。春の七草の一つ。
     私の郷里ではヒズルという。ヒズリというところもあり、ヒヨコグサというところも多いようだ。
     子供のころ、春さき、ヒヨコが出ると、口もとにのぞけてやり、上手に食べるのを感心してみていたことが思い出される。
     また、目白や鴬の餌にすりこむのを、出来ている所を知っていて、大人どもから言いつかって、採りに走らされたことも愉快な思い出だ。
     軟かくて味もよい。が、いかにも弱そうな草でありながら、きびしい冬の風霜にもめげず、広く根をはって、辛棒づよく春を待つシンの強さには、何か不思議な力さえ感じさせられる。
     こんなところから、ヒズルとかヒズリなど、「秀る」という意味の名もついたのだろうか。
     ままごと遊びに、よく、これを搗いて草団子をこしらえなどしたものだが、ハコベの青汁としての応用は、随分古くからあったもののようだ。
     健康法として、端午の旦(あした)に茎葉の搾り汁を飲んだというのもある。

       ハコベの汁で薬を飲む、

     というのもあり、民間薬(富士川游博士)には、

       「河豚中毒に、牛角の細末ハコベのしぼり汁にて用ふ」
      (経験千方)、

     などと出ている。
     また、盲腸炎(正しくは虫垂炎)にハコベの塩もみ汁がよいのも周知のところだ。
     誰れでも知っている草だし、軟らかくて汁にしやすく、味もよいので、今でも、青汁材料として、よく使われているようだ。
     しかし、何分、葉が小さいので、たとえよく繁ってはいても(よく繁るので「繁縷」というのだが)、とても十分の量は供給しにくいし、一度採ると、次が仲々急にはのびてくれない。
     それに、湿っぽいところに育つ草なので、とかく不潔になりやすく、農薬をかぶっているかも知れない、といった恐れもあり、青汁にするには、余程注意が必要なわけだ。
     なお、古方では、煎じ汁を飲んだり、黒焼や暴乾(強い陽当で急乾したもの)末にもして利用しており、
     民間薬に、

      「尿閉に繁を水にて煎じ多く飲ますべし」
      (懐中妙薬集)
      (尿閉=小便つまり)

      「疳(かん)にハコベの黒焼、ハコベのしぼり汁にてのますべし」
      (経験千方)

      「白帯下(こしけ)にハコベ黒焼、酒にて用ふるも又よし」
      (同)

     本草綱目には、

      「産後、腹に塊痛あるに、酒に炒り汁を絞り、温服する。また暴乾し末し、醋糊を和し丸じ、服すれば悪血を下す」
      (臓器)

     などとある。
     また、医心方には、

      「煮て羹(あつもの)を作り、之を食へば甚だ人を益す」
      (晤玄子張)。

     本草には、

      「韲(あえもの)にして久しく食へば、よく髭髪を黒くす」
      (聖恵方)。

     などと健康長寿の効がいわれ、七巻終には、消渇(糖尿病)を主るとして、渇家可食物に数えてある(医心方による)。

     烈公食薬には、

      「ヒタシモノ等にし、常に食して、積年の悪瘡、痔病を治し、血を破り、乳汁を通す。婦人平常食して益あり」

    とか、

      「脚気水気に繁縷やわらかなるものヒタシモノにして食すよし、」

     などとあるが、実際、以前は、疔や癰などのおでき、乳不足で困るときには、大抵ハコベを食べたものだ。
     ふつうは、このようにヒタシモノにしたり、羹、または塩もみ、塩づけ、あるいは味噌で調えて食べているが、私はむしろグリンサラダにすべきだと思う。
     たけたものでも、先端だけを摘めば結構食べられる。
     春の七草も、安全なものならば、やはりサラダにすべきだろう。
     私のところでは、下肥も農薬も一切使わないので、野菜の間に生えている野草も一緒にサラダにするが、ハコベもその一つだ。
     雑草類は生活力がたくましくて、野菜の負けるような不良条件にもよく繁茂するので、そうした時の材料確保の点からも都合がよい。


4-6. アシタバ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     アシタクサ、明旦草。此草、日暮に子を蒔く時は、晨に芽を生ず。故にアシタ草という。(大言海)
     牧野博士によれば、「明日葉にて、今日、其葉を切り採るも、其株強壮にして、明日直ちに萌出するの意」だという。伊豆、八丈島、その他暖地に産する撒形科植物。
     このアシタバの種子を、伊豆大島の服部一郎氏からいただいたのは、もうかれこれ10年以上も前の秋のこと。指示どおり、すぐ播いてみたが、一向に芽の出る様子もない。気候のちがう私どもの所では無理なのだろう、となかばあきらめていたが、翌春になって、ミツバに似て大型の、見なれぬ草が数本生えているのに気づいた。春から夏にかけてグングンそだち、つややかな大きな葉が逞しくのび出し、草たけは約1米にもなった。
     秋には沢山の花穂がついたが、十分実ののらぬうちに、寒くなって、枯れてしまった。それでも、ともかくと、ふりまいておくと、翌春には、そこここに芽を出しているから、やはりみのったものもあると見える。こういうことを繰返していまだに、毎年、5‐6本づつは、庭のどこかに生えている。暖地では多年生らしく、「三年にして花あり」(両国本草)ということだから、よほど様子がちがうようだ。

     食べ方としては同書に、「葉は米麦を交えて煮食す」とあるように、嫩葉を米麦にまぜてアシタバ飯にするのが普通で、米麦の節約のためのいわゆるカテモノだ。ところで、このアシタバについて面白い話が、中山太郎氏の日本民俗学辞典に出ている。

       「アキタハクサ(あきたは草)。八丈島に此草がある。昔、疱瘡神が此島に渡り、此草を見て、恐れて逃げ去った。それ故に此島には疱瘡がない(塩尻巻二)。按ずるに鹸草の事で、他書にはアシタ草とある。」

     疫病神がこの草を恐れてにげ出したというのだが、これは、決していわれのないことではなさそうだ。今はどうなっているか知らぬが、昔の八丈島では、魚介類を多く食い、飯といえば、米麦はチラホラとしか見えぬ程度のアシタバ飯が常食だった。味つけには、魚の臓物の塩漬け(エンバイ)や、橙、九年母などの柑橘類が用いられた。魚介にしても、米麦にしても、ともに蛋白質や熱量は多いが、ビタミンやミネラルは乏しい。多少の内臓や柑橘類がそえられるにしても、とても十分のバランスはとれっこない。そこへビタミン・ミネラルに富むアシタバがしこたま加えられるとなると、全く完全な栄養食ができ上る。そして疫病神も寄せつけぬ健康体が出来上るわけ。疫病神がこのアシタバに恐れをなして退散したのももっとも至極といったものだ。まことに興味津々たる話ではないか。
     伊豆大島では、この佃煮が名物になっているそうだが、炒り菜にしても仲々うまい。生でサラダに入れても一種の芳香があって、よい風味をそえてくれる。「根は三年にして食う」「炊いて外皮を去て心を食用とす」(両国本草)るのだそうだが、私どものところでは、秋には枯れてしまうので、まだ試食の機会にめぐまれない。それはともかく、私どもの所でも結構そだつのだし少くとも夏の緑菜不足(いわゆる夏枯れ)時のナッパの補いには甚だ好適している。青汁の材料にもなりそうだし(まだ試みていないが)、見た眼にも立派で観賞価値もあるから、大いに試作をすすめたいところだ。もっとも、私どもの所では種子を差し上げることはできないが。



4-7. オオイヌノフグリ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     イヌノフグリという、まことに愉快な名は、二つならんで出来るこの実が、犬の陰嚢(ふぐり)そっくりだからだ。特別の効能がいわれているでもなし、食べてみて美味しいわけでもない。
     全く、これというとりえのない、そして、どこにでもある雑草だ。しかし、寒い、ながい冬の、春のたよりもまだ聞かれぬころ、梅にさきがけて、いち早く咲き出す清楚な小さい碧い花――その姿に、いつも、レーノルズの天使(写真下)のかおを思いうかべるのだが――の可憐さがこたえられないのだ。
     救荒本草には、「苗葉をとり、ゆで熟し、淘浄し、油塩に調へ食ふ」とあるが、茎は線維が強くて食べにくいので、私は晩冬から冬、春さきにかけて、やわらかい新芽や葉だけを、グリーンサラダに混ぜて食べる。春さきよく繁るので(ちょうどハコベと同じように)青汁の材料にもなる。


4-8. ワラビ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     青汁はやりたいが、適当なナッパがない。何かよい材料もがなと、野山をあるいて、目につくのは、原っぱいちめんに生えているワラビの親葉(シダ)だ。
     葉は少々かたく、汁は少なそうだが、こいつがつかえれば、まさに無尽蔵なんだが・・・…。が、どうやら、こいつ生憎くと、青汁にはむかぬらしい。というのは、このシダの芽であるワラビに、アノイリナーゼという、ビタミンB1をこわす酵素があるので親葉のシダも、おそらく同じだろうと思われるからだ。
     よく知られているように私どもの日常習慣食にはB1が不足がちだ。そこへ、わざわざ、この大切なB1をこわす成分のあるものを食べて、でなくても乏しいB1を破壊するのは余りにも勿体ないことだ。というわけだ。B1が不足すると脚気になること。脚気になるほどではなくても、ねむくなったり、からだがだるくなり、精力が衰えるなどということは、よく知られている。
     ところで、わが国最古の医書である「医心方」(丹波康頼撰)のワラビの項には、「多食すれば睡り、人身を重からしむ(崔禹)」本草綱目には、「多食すれば陽気を消す。故に人をして睡らしめ、人の脚を弱からしむ(蔵器)。食医要編には、「人をして睡らしめ、陽を弱くす。小児之を食へば脚軟へて行く能はず」などとあるが、これらはいずれも、この間の消息をものがたるもののようだ。
     もっとも、ふつうには、煮て食べるから、そういう酵素はこわれてしまう筈なので、それは問題ないわけではある。しかしまた、ワラビの根には、一種の毒素があり、失明や流産をおこすとか、サナダ虫や蛔虫の駆除作用がある、ともいわれているので、ワラビやシダにも、そういう成分が微量にでもありはしないだろうか。それはともかくとして、ワラビは、生にしても、乾物にしても、よく煮、十分アク抜きして少しだけを食べるべきもののようだ。そして、その親葉であるシダを利用するとすれば、やはり、同様、十分熱処理して、乾燥粉末にでもすべきで、青汁にすることなどはもってのほかのことだといえそうだ。


4-9. 竹の葉

     医学博士 遠藤 仁郎 

     竹の葉、笹の葉は青汁にどうか、と時々聞かれます。
     竹は成長がはやく、寿命もながい。寒暑にもよく堪えます。
     また、動物も好んで食べます。ジャングルの象の食べものは笹の葉だし、ゴリラの主食は筍だ、などのことからも、おそらく、その成分は素晴らしいものに相違ないでしょう。
     それに、山にも、野にも豊富。しかも、年中いつでもあります。
     しかし、何分にもあの硬さ。ごく若い芽のほかは(新芽のシンのところは軟いので、そのままでも、煮ても食べられる)、繊維がつよい上に、水分も少いので、青汁をとることはちょっと無理です。
     まあ、さしずめ、十分すりつぶし、水を加えてしぼりとって飲む。あるいは、乾燥し、粉末にして利用するくらいしかありますまい――
     笹の葉の青汁、と銘うって売り出されているものもあるようですが、あれも、多分、こうした類のものでしょう。

     民間療法では黒焼きにもしています。
     「魚中毒に、竹の葉、萵苣の葉、紅梅の梅干の黒焼を白湯でのむ」

    (掌中妙薬集)

     煎じてもいます。
     血の道に、竹の葉に紅花を入れ、せんじて用いて妙」。
     生葉をにえ湯に入れただけの笹茶(一種の香りのある、なかなかおいしい茶になる)をのんでもよいわけです。
     また、煮汁で粥(竹葉湯粥)や飯をたき、酒にもしています(竹葉酒)
       「竹葉湯粥 渇を止め、心を清す。」
       「飯は暑を避ける。」
       「竹葉酒 諸風、熱病を治し、心を清し、意を暢べる。」
     といった具合。
     下界の笹より高山の熊笹がよいとか、どこかの島の熊笹は、とくに癌にきく、などといわれているようですが、べつに、どんなのでも、どこのでもよろしい。

     竹の葉に共通した効果はあろうというものです。
     本草書には
       元気を益す。暑を避ける。心を清す。意を暢べる。温疫によい。煩熱を除く。汗を発す。痰を消す。悪瘍を治す。酒毒を解す。丹石の毒を圧す。口瘡を治す。喉痺(扁桃炎)。失音不語。嘔を止める。嘔を止める。吐血。虫を殺し、悪気を去る。消渇をとめる。驚癇、迷悶、不睡。妊婦のめまい。卒倒(頭旋、倒地)。目を明にし、目痛を治す等々。
     ずいぶんと、色々の効能がいわれているようです。
     殺菌力があるともいいます。
     賀茂の祭の「ちまき」は熊笹につつんだ団子ですが、あれは、いつまでおいても腐らず、カビもはえぬそうです。


4-10. シャシャンボ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ツツジ科。低地の林に生ずる常緑木。高さ2〜3メートル。漢名 南燭。一名楊桐。また牛筋という変った名もある。汁をとって米を浸け、烏飯を作り食うと、牛筋のように健康になるというので、この名があるのだそうだ。
     シャシャンボはササンボ。小々坊、小々ん坊で、小さい実という意味。実が丸く小さいことによる。またの名 サシブノキ。古くからよく知られた木とみえ、古事記の仁徳記にも出ている。
     南方熊楠全集七巻に、

       「古事記、仁徳帝の御歌(注 正しくは仁徳帝の大后の御歌)に、「川の辺に生立るサシブをサシブの木」と有る倭姫世紀のササムの木、神名帳の伊勢の竹、佐々夫江の社のササブ、宇鏡のサセブで、紀伊其他でシャシャンボと云物だ。此木、古く神に縁厚く、至尊の御詠に迄出たが、今は田舎の児童が採り、実を食うのみ」。

     と出ている。
     また、ワクラバという名もある。ワクラバは病葉。「嫩葉が紅色を帯びているところから、緑葉に雑じるこの紅い葉を病葉と見立てての名」だと牧野先生はいわれている。しかし、老葉も紅藍色をおびているのがあり、いかにも病葉のようにみえるからではなかろうか。
     はじめてこの木を記したのは梁の陶弘景で「草木の王」と尊称してあるという。本草綱目には、「泄を止め、睡を除き、筋を強くし、気力を益す。久服、身を軽くし、天年を延べ、人をして饑えざらしめ、白を変じ、老を却ける」(蔵器)、とあり。木の葉の汁でつくる烏飯(またの名、青精飯)も、「顔色を益し、筋骨を堅くし、行歩を能くする」(蔵器)、「久服白を変し、老を却ける」(蘇頌)、といわれている。

    烏飯の法
     「南燭の茎葉を搗き砕きとれる清汁に、粳末を浸し九浸九蒸九曝す云々」(蔵器)。
     この飯は、もと仙家の服食法であったが、後には、仏教寺院で、多く4月8日に、これをつくって仏前に供えるようになった。なるべく色をよくつけるために、柿の葉や白楊の葉などを入れたり、鉄を入れたという。
     なお、「小児の疳病を去るに、この葉を煎じ、茶に代へてのむ」とも出ているが、冬にも青々とした葉があるので、いつでも利用出来るし、茶葉のように製しておいてもよいだろう。
     実は径4〜5ミリの小球状で、冬黒熟し、多少の白色をおび、甘酢っぱい。これにも、「筋骨を強くし、気力を益し、精を固くし、顔をとどめる」(時珍)と、
     葉と同様、強壮強精、不老長寿の効がいわれている。野山にある、およそ食べられるほどのものは何でも食べた、田舎そだちの私だが、これだけは、今まで、知らなかった。毎月の徒歩の会のたびに探がしてあるいていたが、ようやく昨年、瀬戸内の島や海岸の山にことに多いことを知った。
     夏7月、小さい白い花がついて、冬12月には黒い少さい実になっていた。つややかな、形のよい葉にも少し酸っぱ味があり、歩きながらしがむと仲々うまい。少々かたいが青汁材料にも結構なるし、真冬にも青々とした葉が得られることも有難い。


4-11. 麦苗

     医学博士 遠藤 仁郎 

     麦苗葉、大麦でも小麦でもよい。
     煮て食べてもよし、生のままサラダにし、また、青汁にもする。野菜その他の青汁同様、どんな場合にも応用できるが、古くから、酒毒を消すとか、黄疸や熱病によいし、顔色がよくなる、などといわれている。
     本草綱目に、

     苗汁酒に酔わぬ。酒毒を消すに、擣汁を日毎に飲む。
     温瘧に主效。
     大麦苗 諸種黄病に小便を利す。杵汁を日々服す(類要)。
     小麦苗 あえものを作って食えば甚だ顔色を増す(日華)。
     わが民間療法にも、黄疸に、生の小麦の苗をとり、搗絞り汁を取り、茶碗七八分目づつ、昼夜四度用うべし、三四日にして治す(妙薬手引大成)。
     といったぐあい。
     また、「麦わら黒焼蛔虫を去る」といわれているが、戦後の寄生虫蔓延し、薬品の欠乏していた当時、麦稈煮がつかわれ、相当の効果をあげた。何か特効成分があるのだろう。駆虫効果は一般の菜っ葉にもあるから、そうした意味では麦苗汁は一層有効かも知れない。麦の有難いことは寒さに強いので、冬から春先の、いわゆる冬枯れの間にも利用できることだ。そのためには、少し早まきする。ふつうの麦蒔きは稲刈りの後の11月ごろだが、この目的のためには9月ごろに蒔き、冬の初めまでに出来るたけ大きくしておくことだ。


4-12. コンフリーで胃石
コンフリーの禁止について

    滋賀県 M.M. 

     私たち、青汁用材料の一部として、さいきん非常に話題になっているコンフリーという葉を使用していたのですが、このコンフリーについてショッキングなニュースを聞きました。
     さきに、名古屋でおこなわれた逓信医学総会で、大阪逓信病院外科の田中敏行、森下智、下山清太、内山節夫、上古代靖治の5人の先生が協同で、コンフリーの根を食べると、胃の中に胃石が出来ることがあるらしい、と報告がなされました。
     38才の男性の患者さんですが、10年来のゼンソクに、家人のすすめで、毎日コンフリーの根を一本づつ、すりおろし、7日間食べたところ、胸やけ、吐気、嘔吐と、みぞおちの痛みを訴えたそうです。
     大阪逓信病院内科で診察、レントゲンで胃角部に陰影欠損が認められ、さらにファイバースコープで検査したところ、黄緑色の腫瘍ようのものが認められ、胃潰瘍をともなった胃石、の診断を下し、外科にうつし、胃切除の手術の結果、胃角部に、0.5×0.05×0.3センチ大の潰瘍があり、重量67グラム。黒褐色の胃石が発見されました。
     この胃石には、微細な植物繊維に、ゼラチンのような物質によって構成され、コンフリーの根をおろし金でおし固めたものと、非常によく似ていたそうです。以上のような記事が、「暮しと健康」誌9月号に載っていたので、心配で心配でなりません。




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