|
食材あれこれインデックス
|
|
|
食材あれこれ(1)
| |
|
食材あれこれ(2)
| |
|
食材あれこれ(3)
| |
|
食材あれこれ(4)
| |
|
食材あれこれ(5)
|
|
|
|
|
|
食材あれこれ(6)
| |
|
食材あれこれ(7)
| |
|
食材あれこれ(8)
| |
|
1. サクラ
|
医学博士 遠藤 仁郎
花の木としてだけでなく、民間薬としても、なかなか効用があるらしい。
樹皮
煎じ汁にせき止め効果や収歛作用があり、薬も出来ている。
ヤニ
幹の傷口から滲み出るヤニを、酒や水にとかして飲めば、咳をとめ、顔色がよくなり、食欲を増す、という。
根
本草網目に、「根(東行根とことわってはあるが)の煮汁を服すれば、たちどころに寸白(サナダムシ)、蛔虫を下す」(大明)とあるし、インジアンは、いろいろの病気に根の煮汁をもちいているという。
サクランボ
本草網目主治に、「中を調へ、脾気を益し、人をして顔色よからしめ、志を美ならしめる」(別録)。「洩精、水穀痢をと止める」。
さいきんの研究では、通風や関節炎によく、1日に1・5ポンド食べると、血中の尿酸がへる、という。 生でも、鑵詰でも、果汁でもよい。もっとも、これは西洋種のミザクラの果実のことだが、日本のふつうのサクラの実はどうだろうか。
葉
やわらかい葉は、塩漬けにしてたくわえ、サクラ餅につかわれるが、そのまま食べてもよい。ふるい葉は揚げものにしてもよし、乾燥して粉にしても利用できる。
青汁の材料にもなる。
効能について本草網目には、「桜桃葉蛇咬に擣汁をのみ、ならびにつける」、とあるだけだが、すべての緑葉と同じく応用できる。
|
|
2. ツタ
|
医学博士 遠藤 仁郎
本草綱目に、
「煮て服し、酒に浸けて服す」(蔵器)
とあるが、若くやわらかいときは生で食べられる。青汁にしてもよい。
「凡そ一切の癰疽、腫毒の初期に、茎葉一握りをとり、研汁を酒に和して温服、悪者を利下し根本を去る。」(時珍)
「丁瘡の黒凹に、搗汁に蜜を和し、一盞を服す」(聖恵方)
「鼻衂やまぬに、水に擂って飲む。」(聖済録)
「白髪を黒変す。」(時珍)
などとあり、癰や疔、出血によく、若返りの効もあるとされているわけだ。要するに、緑葉一般の効能だ。
|
|
3. 玄米粥
|
医学博士 遠藤 仁郎
玄米は米のうちでは一番よい。
栄養的に、白米や半搗米にくらべ、ずっとすぐれており、玄米を完全食にするには同量のナッパで十分だが、半搗米は2倍、白米では3倍要る。
しかし、イモチの予防に使用された農薬の水銀や砒素(殆んど糠の部分に集っている)が、まだ、いささか気になる。
もっとも、今は水銀農薬の使用は禁止されているので、直接にかかるものはなくなった。けれども、多年乱用され土壌の中にたまっている農薬は、ここしばらくは残っているから、相当量が、まだ吸収されていると考えられるからだ。
玄米論者からは、米の水銀はフイチンとかたく結合していて吸収されないから大丈夫だ、といわれてはいるが、白米を食っている(この中の水銀もフイチンと結合している)日本人の髪の中の水銀が、欧米人にくらべ、はるかに多いこと。外国留学から帰って来た日本人の髪に、忽ち水銀が多くなる事実から、全然懸念がないとはいい切れないように思われる。
実は、私も数年まえまでは玄米党だったが、農薬問題がやかましくなってからやめていた。
さいきん、ずっと農薬をつかってないという玄米を、もらうようになったので、時に食べてみる。
しかし、玄米飯を炊くのは少々厄介だ。圧力釜もなし(といって、これでは温度が上りすぎると折角のビタミンがこわれる心配がなくもない――130度になるとB1はこわれる)、電気釜では時間がかかる。そこで、もっぱら玄米粥にしている。
少し塩加減でもすればとてもおいしい。ナッパをはじめ、いろいろの野菜を入れた雑炊もうまい。
手数はかからぬし、食べすぎにならぬ点もまことにぐあいがよい。
|
|
4. スギナ
|
医学博士 遠藤 仁郎
ツクシの親草。名は「葉、杉のごとし」から(大和本草)。
根はふかくはいっておりなかなか引きぬけない。信州では龍宮にとどいている、というそうだ。
春先からドンドン繁る。いかにもうまそうに見え、馬は好んで食うが、味はあまりよくないらしい。
「葉はあぶらくさきものなり。灰汁にてよく炊し食ふべし」
(救荒本草抜粋)
蔭凉軒目録、文正元年閏1月7日の条に、
「浦上来話のついでに、余に語りて曰く、細川殿・・・讃岐の人なり。在京もっとも貧乏たり。・・・スギナといふ物をそぶつ(蔬物)にして喫い、朝夕を送る。・・・同朋見て笑う。仍ち一首を詠ふ。
侘人は春こそ秋よ中々に
世をばスギナのあるにまかせて
窮乏時には、また飯にもたいた。
「茎葉ともによく煤で、水に浸し、米麦に雑て粮となすべし」
(備荒草本図)。
真田伊豆守信幸、或とき船中より岸の杉菜を眺めて、供中へ、
「杉菜めし喰べ候や」と尋ねるに、喰べたるものなしといふ。
「さぞあらん、天下平均の徳なり。某は勝頼没落のみぎり、道にて毎日それを食す。甚だ喰べにくきものなり。また稗粥をも折々食べけるが、さてさていやなものなり。この憂目を見るも、今家中を憐む一徳となる」
よし申聞かせられし、となり
(続武家閑談)(足立 日本食物史より)
「利尿の効があり、淋(小便渋通)によい」とか、
「漆にかせたるに土筆の葉(俗にスギナといふ)古をホロホロにして用いてよし」
(烈公食薬)。
などとある。
生食もでき、青汁にも差支えない筈だが、腎臓を刺激するとの説があるし、
「瘡疹を患る人食することなかれ」(救餓録)
ともいわれているから、あまりよい材料ではなさそうだ。
|
|
5. クサギ
|
医学博士 遠藤 仁郎
くにでは嫩葉をイリナや油いためにして、よく食べた。あの特有の臭気がすっかりなくなって、おしい。乾かしてたくわえておくところもある。主に食糧のたしまえにするわけだが、治療の目的にも応用されており、青汁にもしている。もっとも、これだけの単味の青汁は、ちょっと飲みづらいようだ。
本草主治には「時気、頭痛、大熱」とあって、いろいろの熱病、流行性感染症、マラリヤ、扁桃炎、丹毒などによい。「金石薬の毒を解す。」「蛇の咬傷に汁をのみ、かすをつける。」「黄疸に主效」。など、すべてほかの緑葉と同様、どんな場合に応用してもよい。
大甞会にもちいられる白酒(き)、黒酒は、いただくときにかしわでを打つことになっているほど神聖なものとされているようだが、この黒酒は、白酒(モロミを荒目の布でしぼった濁酒)にクサギの茎をむし焼きにした薬灰を和してつくるという。
クサギに、もっとほかに、なにか特別の意味があるのだろうか。
|
|
6. ツルムラサキ
|
ツルムラサキ科の一年生蔓草。
熱帯アジア原産。水はけのよい砂質土が適し、深耕して堆肥などすきこむ。
4〜6月ごろ播種。坪あたり6株程度。覆土は浅めに。約2週間で発芽し、ぐんぐん伸びて、2〜3米にもなるので支柱をたてる。
8月が最盛期。除草、中耕、追肥する。広大かつ厚い葉が得られる。
垣根にまきつかせたり、鉢植えにもできる。観賞をかね食用に利用。
調理法はいろいろ試みられたい。青汁にもなる。成分では、カルシウムや鉄分にとみ、ビタミンではとくにAが多い(Cも多いがBは少ないようだ)。
|
|
7. カシワ
|
医学博士 遠藤 仁郎
カシワモチのあの葉。
くにではシバの葉といった。
大きい葉だけにいろいろ利用される。
もともとは飲食物をもるのにつかわれた。
本居宣長によれば、カシハは炊敷葉の義で、飲食を盛る樹の葉の総称。
古く、炊くに、葉を敷きもし、覆いもしたし、椀にも盃にもしたわけで、「カシハの葉のいとふさはしければ専ら用ひしなるべし」だ。
カシワモチはその名残というものだろうか。
梅雨もよいの山に走って、濡れた大きな葉を籠いっぱいとって来る。
それでくるんだあん入り餅(正しくは団子)。
蒸籠(せいろ)から上げたばかりの、湯気の立っているのを舌を焼きながらほほばる。
ひき立ての小麦粉の餅の風味はまた格別だった。
たけたかたい葉はらくにむけるが、わかい軟い葉は半透明の膜のようにへばりついて、なかなかうまく離れない。
面倒くさくなって葉ごと食べたものだが、葉の香りがあっていっそううまいように感じた。
なんでも明智光秀が作戦に熱中して、出された柏餅を皮ごと食べたと後の世までのわらい草になっているとのことだが(ウソかホントウかは知らない)、ナッパや青汁など緑葉の効能を知ってみると、少しも笑いごとではなくて、実は、そのほうが本当の、また本来の柏餅の食べ方ではないか、とも思われる。
この木のことはバイブルにも出ているし、ギリシャ、ローマの古代から神聖な木とされ、この葉の冠は非常にたっとばれたものだそうだ。
また、ゲルマン人は堅実、剛毅、自由独立のシンボルとした。薬用にもつかわれ、緑葉は腸出血、婦人出血、下痢、肺労に有効といわれ、すりつぶして腫瘍に外用もされた。
漢方では本草書に、
「葉甘苦平無毒。痔を療し、血及び血痢を止め、潟を止める」()。
「血を活し、小便を利す」
(時珍)
とされ、生の汁や煎汁がつかわれている。
「鼻衂やまぬに葉の擣汁一小盞頓服」
(聖恵方)
「淋(小便渋通)かしわの葉を刻てニ匁、葱の白根一匁、水茶碗に2杯入れ、6分目に煎じつめ、すきはらに用ふべし」
(懐中妙薬集)
春の芽だちの頃のやわらかい葉は生でも食べられるし、ゆがいて乾燥し、粉末にして使用することもできる。青汁にもなる。
|
|
8. カナムグラ
|
医学博士 遠藤 仁郎
川原や土手に多い蔓性の草本。茎や葉柄にこまかいトゲがあり、他のものにからまり、一面におおいかぶさって繁っているのを、よくみかける。カナは鉄のことで、蔓がかたいから。ムグラは、ヤエムグラのムグラで、よく繁る草だからの名。漢名 葎草。
救荒用に、ゆでて食べているが、生でも食べられ、青汁にもなる。かなり大きい葉だし、炎暑時でもよく繁茂するので、真夏の野菜不足のときに都合のよいものの一つだ。
効能は一般緑葉と同じだが、本草書や民間薬には、次のようなことが出ている。
「悪血に主效。精を止め気を益し盛にす」(別録)。
「五穀を消化し、五臓を益し、温疫(流行性熱病)をさける(時珍)。
「利尿(恭)とあり、浄血、強壮、消化、利尿や、熱病をさける効がいわれている。
「結核や傷寒(流行性熱病)などの虚熱、瘧に生汁」
五淋に主效。(淋は排尿回数の多いもの)
石淋の神方として、「生茎葉をあはせ搗取汁1升、日に三」(小品方)とある。升は今の量目でほぼ合。また、消潟(糖尿病)にもよい。「水痢を病む」(恭)とか「久痢を療す」(頌)とあって、下痢にもよい。といったぐあい。
|
|
9. ハギ
|
萩。秋の七草の筆頭。
咲きほこる花にはえもいわれぬ風情がある。
栄養分にとむ、すぐれた飼料のようだが、うまくない。家畜もあまり好かぬものらしい。
「牛馬は夏には生葉を好まぬものであるが夏をすぎると、一般に嗜好するにいたるものが多い。タンニン酸その他の原因によるものであろう」、
と飼料学の本には書いてある。
しぶ味のほかに軽い刺戟味と、なにか舌をしびれさせるような感じがある。
救荒食として湯がいて食っているのも、そのゆえだろう。
「葉も茎も炊て食べし。又、あえもの等にすべし」
(救荒本草抜粋)
だから、生では、少々をサラダや青汁に入れるのが精々、というところで、こればかりの青汁は、おそらく飲みにくいだろう。
|
|
10. ケイトウ(鶏頭)
|
|
|
11. ハハコグサ(ホウコグサ)
|
|
|
12. フジ
|
葉、食べられる。
むかし救荒食品として、ゆがいて食べたり、飯に入れたり(藤葉飯)、乾していり粉にした。
「嫩葉、蔬となし、飯となし食ふ。花も亦食べし」。(救荒本草啓蒙)
「若芽若葉は灼て食べし。老葉はいりこにすべし。花は灼いて煮ても食ふべし」。(救荒本草抜粋)
「嫩葉を麦米に合せ飯に炊くべし」。(救餓録)
生で食べてもよい。
青汁にもなる。
マメ科特有のなまくさ味があり、あまりうまくはない。
また、あげものにするとふるい葉も食べよくなる。
実は、「焼食へば味栗の如し。」(救荒本草啓蒙)だそうだ。
|
|
13. ヤエムグラ
|
八重葎。ヤエムグラ。弥重葎。
いく重にも重なりあってよく繁る故の名。
畑地、垣根などによく見かける。
八重葎しげれる宿の淋しさは人こそみえて秋は来にけり
茎も葉も……て食べし。(救荒本草抜萃)
生でサラダに加え、青汁の材料にもなる。
欧州民間薬の本には、
癌瘡に、まず下痢。ついでヤエムグラの煎汁をのむところがある。
また、しぼり汁は、水腫の利尿に、胸の疾やリンパ腺の腫れによい。
甲状腺の腫れに内・外用する。
などとある。(V. Hovo-rka a.Kronfeld)
|
|
14. ムクゲ
|
|
|
15. コウゾ(楮)
|
医学博士 遠藤 仁郎
樹皮の繊維がつよい。
和紙の原料。
そこで、紙麻(かみそ)から転じてコウゾ。
わかい軟い葉は、そのまま生でも食べられ、煮てもよし、たけたものは揚げものにすれば食べよくなる。
青汁にも利用されている。
味、平。
「楮葉は茶にして諸病を治し、若葉は菜にし、又、古株より菌を生ず(コフズタケといふ)。」
(烈公食楽)
出血に
本草主治に、 | 「衂血、吐血に主效」。
|
民間薬に、 | 「衂血、楮の葉を搗きただらし、その汁を飲みてよし」
(妙薬手引大成) |
痢に、 | 「嫩葉を茹へば赤白下痢を去る」
(蘇恭)
「楮葉炒って研り、麪に和し餅にして食へば痢を断つ」
(本草百病主治) |
また、 | 「小便を利し、風湿、腫脹、白濁、疝気、癬瘡を去る」
(時珍)
「嫩葉を茹へば、四肢の風痺を去る」
(蘇恭)
「面風熱(面腫)楮葉粥に煮て食ふ」
(百病主治) |
むつかしい病名がならんでいて、何のことかわかりかねるが、まあ、要するにいろいろのものによいだろうことだけはわかろう。
なお、外用として浴湯がいわれている。
「小児の身熱で、食しても肌を生ぜざるに、浴湯がよし。また悪瘡に主効、肉を生ず」
(別録)
「刺風身癢を治す」
(大明)
肌色のよくない子、梅毒瘡、カブレのかゆみなどによい、というわけ。
夏、アセモが出ると、桃の葉イチジクの葉などと同様。
コウゾの葉を入れた湯の行水をしたことがあるが、これも、そういうところから出たものだろう。
イチゴも食べられる。
もっとも救荒本草には、
「樹にて熟せる楮桃、紅色なるを取り之を食ふ。甘美なれども久しく食ふべからず、人骨を軟ならしむ」
と注意されている。
|
|
16. シュロ
|
医学博士 遠藤 仁郎
かたい葉だから、そのまま食べたり、青汁にはならぬ。
しかし、煎じたり(シュロ茶)、乾燥末や黒焼末にして、応用されている。
寒暑にたえる強靭さだけからみても、おそらく、この葉にはビタミンやミネラルが多いことだろう。生葉をせんじて茶代りにすれば(生葉茶)、少なくともビタミンCのよい供給源になるに相違ない。
全身の浮腫を去る。カゼの薬なる。血圧を下げる。中風にもよい。
「シュロの葉をせんじ、たくさん用ふべし」(掌中妙薬集)
「中風、半身かなはざるに、シュロの葉一つかみを、一寸に切り、甘草少し入れ、水1升入れ、5合にせんじ用ふ」(諸国古伝秘方)
毒けしにもなる。
「シュロの葉、古一味、乾して細末にし、白湯にて匙一つづつ用ふべし」(和方一万方)。
長血、「シュロの青葉、黒焼、細末にし、さゆにて用ふ」(経験千方)。
|
|
17. 茶がらの利用
|
|
|
引き続き、食材あれこれ(6)へ
|
|
|
ご意見・ご要望はこちらへ
|
|
|
|