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1. カキハ大根

     医学博士 遠藤 仁郎 

     野菜といえば、まず大根を連想するほどに、私どもにはなじみぶかいもの。しかし、好んで食べられている「根」の部分の栄養価は、ゼロではないにしても、まことに心細いものにすぎません。それにひきかえ、葉の成分となると、とても素晴しいものです。
     熱量蛋白質石灰B1B2
    大根(葉)405.2190303000.00.100.3090.0
    大根(根)161.128170.00.030.0220.0
    リンゴ460.35123.30.020.035.0
    白 米3426.461600.00.100.040.0
    牛 肉13320.1621010.00.060.082.0
    牛 乳593.010090100.00.030.150.5
     カロ
    リー
    グラムミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    国際
    単位
    ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
     まず蛋白質が相当あり、質もよろしい。動物のそれに匹敵するほどです。カルシウムが多く、吸収もよろしい。米、肉、リンゴ、大根(根)のそれと比べ、いかに多いか。カルシウムの多いといわれる牛乳の倍ちかくもあることに、特に注目して下さい。
     ビタミンでは、Aがずばぬけて多く、B1はさほどでないが、B2はすごく多くあります。それはB2が多いといわれる牛乳と比べてみると、よくわかります。こうしたよい菜っ葉が、双葉(かいわり)か、まびきまでくらいは、それでもまあ食べられていますが、そののちは大抵すてられるか、家畜の餌にされてしまっています。まことに惜しい、勿体ないかぎりといわねばなりますまい。長けた葉でも、歯さえよければ、漬物にしてもよいし、煮て食べてもよいが、油いためか、テンプラにすればなお食べよくなります。また、少し手はかかるが湯通しして乾燥粉末にしておけば、利用法はさらに広くなります。
     しかし、やはり、何といってもいちばんよいのは生食です。もっとも、普通の大根葉はからいので(夏大根はことに)、サラダにしても、ほんの薬味の程度にしか食べられないし、青汁にはとてもできません。この点で養鶏用のカキハ大根が工合がよろしい。
     まだケールの手に入らぬ前のこと、病院で青汁の給食を始めた当初、キャベツや小松菜、大根葉などを材料にしていたのですが、栽培を委托した農家の人が、「養鶏用の」と念をおしておいたのに、ふつうの大根とまちがえて沢山つくってくれたので、全く始末に困ってしまった、からい思い出もあります。
     このカキハ大根というのは、根は、ふつうの大根のように太らず、精々拇指か、もちっと太い位ですが、葉はどんどん繁ります。それを、次々にかいで鶏にやるのでカキハ大根の名が出ているわけです。地方によっては苗代の緑肥にする苗代大根とよばれるものも、これのようです。葉は、ふつうの大根よりは、むしろ大きくなり、無毛でやわらかいので食べよいし、味もよろしい。

       生食
       わかい、3‐4寸にのびたものは、生菜としておそらく第一級でしょう。そのままバリバリやってもよいし、マヨネーズや酢味噌をつけてもよろしい。サラダ油、食塩、酢、胡椒のフレンチドレッシングは、とりわけ食べよいようです。

       青汁
       夏分はややからいようですが、秋から冬、春には殆んどから味がないので、青汁の材料にもなります。

       漬物
       大きく長けたものや、春さきのとう立ちは、漬物にして、ふつうの大根葉よりずっと軟かくて、とてもおいしい。

     煮たり、油いためにしたり、テンプラにするのも勿論結構です。その上、春まき秋まきもでき、日かげをえらび灌水に気をつければ、夏でも出来ないことはありませんから、殆んど年中利用できるわけです。で、私は次のようにやっています。

     春は彼岸から4月初に下種。厚まきして、漸次大きいものからまびいて食べます。その後、3‐4週毎にまきついでゆくと、梅雨あけの頃まで、いつでも、いきのよい嫩葉が食べられます。
     盛夏期は、虫害や旱害などで手数がかかるので、中止し、秋口をまって、再び春と同じことをくりかえします。これは、秋から冬中、そして春のとう立ちまで、ながく楽しむことが出来ます。大根をつくるならこれに限るし、これほどよいものを鶏の餌だけにして、人間が食べないというのは、あるいは、人間が食べてはいけないかのように思っているのは、馬鹿気きったことだ、とつくづく思います。それはともかく、大根葉はもっと大いに利用したいものです。その家の人の健康度はゴミ溜をみればわかる、と私どもはよくいうのですが、実際、大根葉が捨てられているような家には、間違いなく病人が多いものです。




2. マメ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     豆にはいろいろの種類がありますが、ここには、大豆、落花生を除いた、アズキ、ササゲ、インゲンマメ(ウズラマメ、キントキマメ)、エンドウ、ソラマメなどの雑豆について考えてみましょう。

     ◇ 

     熱量は、いずれも、だいたい同じくらいで、穀類と大差ありません。
     主に澱粉と蛋白質。蛋白質は、穀類に比べ遙かに多いのですが、質的には大してちがいはないようです。
     ミネラルでは、カルシウムも鉄も多く、カルシウム対燐の比は1:3.1(インゲンマメ)ないし1:6.2(エンドウ)。
     ビタミンではとくにB1にとんでいます。
     そこで、豆類は穀類ことに白米の欠陥を補うのに適しています。
     白米に小豆を同量まぜた小豆飯だと、熱量677カロリーにたいしB1は590ガンマで、その比は殆んど理想にちかくなります(至適比は1カロリー対1ガンマ)。
     小豆餅また同様で、小豆100グラムに砂糖(上白)50グラム入れた餅では、熱量518カロリーにたいし、B1 500ガンマで、砂糖の害も消えようというものです。
     ほかの豆類でも、その関係は同じです。

     ◇ 

     このように、豆類は栄養的に、穀類にくらべ、遙かにすぐれた性質をもっていますが、もうひとつよいことは、満腹価が大きくて、すぐに腹にこたえ、多量に食べられないので、減食するのにぐあいのよいこと。
     また、繊維が多くて便通をよくするので、食べすぎや便秘の好ましくない成人病の予防や治療に適していることです。
     ◇ 

     ところで、注意せねばならぬことは、豆類が、多くは添え物になっていることです。
     なるほど、豆類はビタミンやミネラルにとんでいて、米食の欠陥を、確かに、一部は補ってくれます。
     けれども、白米に豆をそえるだけでは、必要なすべての栄養素がそろうわけではなく、完全な食にするためには、どうしても、良質ナッパ類を十分に(表や図にしめすように、同量でよいのですが)そえられなければなりません。ですから、豆を副食とすることは、米ばかり食べるよりはましにしても、それだけで、野菜がいらぬ、というわけではありません。
     つまり、豆類は栄養分のありかたからは、米麦と同様、主食とすべきものです。
     あるいは、米をへらすためのもので、野菜のかわりになるものではないのです。
     もっとも、むきエンドウや、むきソラマメのように、生の豆は、ビタミンAやCもあって、よほど野菜にちかい、いわば主食と副食との中間のものです。
     しかし、それとても、これだけで完全な食でもないし、これを添えただけで完全食になるというものでもなく、やはり良質ナッパの若干をそなえなければなりません(もちろん乾燥物にくらべ、ずっと少くてよろしいが)。

     ◇ 

     豆が余り好まれないのは味がよくないことと、消化の悪いことです。
     そこで調理が問題になります。
     豆類は、いずれも、固い繊維のため簡単にやわらかくなりません。
     ふつう、まず、ながく水につけておき、ある程度軟くなったうえで、気ながに炊くのですが、この際、浸し水にいく分ぬけて行く成分があるようですし、ゆがいてアク抜きをすれば、さらにロスは大きくなります。
     かといって、重曹を入れると、いっそうひどくビタミンはこわれます。
     こうして調理によって、折角の、豆のすぐれた性質(ミネラルやビタミンにとむという)が失われます。
     また味つけでは、小豆はもとより、ほかの豆類でもとかく、甘煮が好まれるので、砂糖とBとのバランスのみだれがおきがちです。

     ◇ 

     もう一つの問題は市販の豆類。食料品店には、おいしく軟かく炊いた、そして見た目にも美しい、しかも安い、いろいろの煮豆類が並んでいます。
     勤め帰りに、ちょっと立寄って買って行けば、それでこと足るのですから、時間的に余裕のない忙しい主婦にとっては、まことに便利、まことに重宝至極といったものです。
     しかし、安くておいしい味は、まず、砂糖でない証拠といってよいでしょう。
     さて、それがサッカリンならばまだしもですが、サッカリンは煮るとニガくなるので、煮て味が変らず、砂糖の味にいちばんよく似ているズルチンがつかわれます。
     が、このズルチンは長い間には肝臓に癌ができるという物騒なものです。
     また、やわらかく煮てあるのは、おそらく重曹、あるいはその他の軟化剤がつかってあるのに相違ないでしょう。
     そして、色つけがしてあるのは言わずもがなです。
     が、果して、これらの添加物がすべて安全無害なものばかりでしょうか。甚だ不安です。

     ◇ 


     こうした間違いも、もとはといえば、豆が副食にされているからです。まず、豆は主食であるということをもう一度はっきりさせましょう。
    そして、軟く炊いて、そのままか、あるいはイモなどと混ぜ、精々わずかの塩味をつけたキントン風のものにするとか、それも面倒ならば、初めから粉にしておいて、小麦粉、ソバ粉、イモ粉などと混ぜ、むしパン、流し焼、団子などにしましょう。
     それに、野菜のおかずをそえて食べる。または、キントンや粉に青汁粉か乾燥緑葉末を加えるのも面白いでしょうし、その他こうした類の、家庭で簡単にやれる調理法の工夫がのぞましいものです。



    熱量 蛋白質 カルシウム B1 B2
    小豆 326 21.5 75 350 4.8 500 100
    白米 351 6.2 150 0.4 90 30
    小豆100+ 375 26.7 265 380 6.2 3000 600 400 90
    大根葉100
    ササゲ 324 23.9 75 400 5.6 500 100
    インゲン 325 20.2 130 400 6.0 500 200
    ソラマメ 331 26.0 100 440 5.7 50 500 200
    エンドウ 335 21.7 58 360 5.0 33 720 150
    生エンドウ 102 6.7 19 120 1.8 83 250 80 15
    生ソラマメ 89 7.0 27 128 1.9 33 150 70 25


    小豆100 +大根葉100
    小豆+大根葉

     (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)




3. イモ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     代表的なものはサツマイモとジャガイモ。
     いずれも栄養分のありかたからすれば穀類と野菜との中間のもの。
     水っぽい割に熱量にとんでいます。
     主に澱粉で蛋白質は少く、質的にも穀類と大差ありません。
     これらは穀類に似ています。
     ミネラルでは、アルカリ性でカルシウムもかなりあり、燐は割と少ないこと(サツマイモでカルシウム対燐の比は1:1.6)。
     ビタミンでは、B1が熱量にたいし余裕のあること。
     また生ですからCもあること。
     などは野菜に似ています。
     なお、このCは調理による破壊が少ないといいます。
     こうした性質があるので穀類に比べれば、はるかにすぐれたものといえます。
     しかし、そのミネラルやビタミンにしたところが、穀類のそれらの不足を補うほど十分ではないので、ふつうにやられているように、イモを副食とすることは、マメのばあいと同様、結局、主食ばかりを食べているのと大差ないことになります。
     イモに不足している栄養分がすべてそろっているのは良質ナッパです。
     ですから、イモ食を完全にするためにも、やはり、ナッパが必要なことはいうまでもありません。
     ただ、その分量が、穀類や豆類に比べ、ずっと少量ですむだけのちがいです(サツマイモで2分の1でよろしい。表及び図参照)。

     ◇ 

     ところでサツマイモを常食している芋所の人は、体格もよく耐久力も強いが、それが米所に移ると、たちまち弱体化するといいます。
     また北欧の農民はジャガイモを主食としており、イモの豊凶はただちにその健康状態を左右するといわれていますが、第一次大戦の食糧不足の際、肉やパンの増配でもよくならなかった健康状態が、ジャガイモが出まわるに及んで目立ってよくなったそうです。

     ◇ 

     これらのことがらは、ともに、いかに芋が栄養的にすぐれた食品であるかを物語る事実といってよいでしょう。

     ◇ 

     私の家内は、戦時中、腎炎をやりましたが、毎回の尿の蛋白の出方やからだの調子を参考にして、ジャガイモが一番刺戟が少いこと、次が小麦粉。
     そして白米がもっとも刺戟の強いことを知って、ながい間、ナッパとイモ(ジャガイモやサツマイモ)だけを食べていました。
     調子がよくなると、多少の小麦粉を加え、さらによくなると米を加える。
     調子がくずれて来ると、米をへらし、あるいは止して、小麦とイモにする。
     それでもよくなければイモだけにする。そして、そのいずれの場合も、十分のナッパ(青汁も)をそえる。というやり方で、5年かかるにはかかりましたが、ともかく、ついに、完全に腎炎を治してしまいました。

     ◇ 

     この経験に教えられて、私は、腎炎はもとより、高血圧や糖尿病にもそういう菜食をすすめていますが、確かによいようです。

     ◇ 

     南方系のハワイ土人は、里芋そっくりのタロ芋を搗いてつくるポイを主食にしていますが、その健康状態は、米食している日系人より、はるかによいといわれています。
     サトイモの成分も、白米にくらべ、ずっとよろしい。
     季節の制約はありますが、これも、なるべく利用したいものです。

     ◇ 

    ヤマイモ、ナガイモ、ツクネイモの類
     栄養価の上からはサツマイモにちかいようですが、生食できるのはすぐれている所でしょう(サツマイモ、ジャガイモも工夫しだいで、生でも結構食べられますけれど)。
     なお、これにイモ類のよいことは満腹価が大きく腹ごたえがよくて、沢山食べられない。
     したがって減食するのに都合がよいことです。
     現在、食べ過ぎ、とくに偏ったご馳走の食べすぎのため成人病が多くなっているのですが、緑葉菜を十分利用するとともに、せめて1日1食か、一週に1−2日くらいは、イモ食にするなど、大いにイモを活用して、減食したいものです。
     いま一つ、イモのよい点として、私どもが、期待をかけていたのは、多分、イモには農薬はつかってないだろうということでした。
     けれども、最近知ったことですが、ジャガイモの貯蔵にあたって、腐敗防止のためにペニシリンが使われているそうです。しかも、ご念の入ったことに、土色の粉に混ぜて塗ってあるというのです。ペニシリンであれば、別に、中身までしみこむわけではないのですから、よく洗い落せばよいので、まだしもというものです。
     しかし、なぜ土色の粉を混ぜるのでしょうか。ここに、妙にシコリが感じられるのですが。
     またサツマイモは寒さに弱いものですが、これにたいしても、何か薬がつかわれていると聞いたことがあります。
     事実とすれば気にかかることです。
     それはともかく、安全だと思ってよろこんで食べていた芋も、決して安全ではなかったのは、いかにも情ないことです。




    熱量 蛋白質 カルシウム B1 B2
    サツマイモ 120 1.3 24 40 0.7 150 40 30
    ジャガイモ 77 1.9 42 0.5 100 30 15
    サトイモ親 92 2.8 32 59 0.7 150 50 10
    91 2.4 14 43 0.5 90 40 10
    ヤマイモ 121 3.5 21 46 0.7 80 20
    白米 351 6.2 150 0.4 90 30
    サツマイモ100+ 144.5 3.9 119 55 1.4 1503 200 190 75
    大根葉50


    甘藷100 +大根葉50
    甘藷+大根葉

     (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)




4. 香煎

    香煎
     農山村では常食の一部。
     三河の山村などでは、昔の人達は粉を口中にほうり込んでのみ込む術が非常に上手だったが、今時の者はむせたり、こぼしたりして、へたであるといっている。
     土佐の吾川郡、高岡郡の山方の村では、学童の弁当が蒸し芋か袋に入れたコンコ、すなわち黍粉香煎であった。
     ハッタイ、コーバシ、コガシ、コヅキ、カミコなどいろいろ地方名があって、大麦の煎粉が主であったが裸麦、屑米を原料とする所もあり、豆粉、唐黍粉、麦粉を混ぜてつくる所もある。
     煎粉は粉のまま食うばかりでなく、熱湯や熱いお茶を注いで練って、夏季の朝食にする地方が多く、石川県の山村には米飯は原則として1杯かぎりで、そのほかは煎粉をかいて食べたという所がある。
     大和地方では、粥に煎粉をふって食べた。
     富山県の野方の村では、みのりの悪い稲の籾を煎って粉にしたものを飯にふりかけてカクママといい、この粉を粥に入れて炊いたものをゾロといった。
     壱岐の島ではフリカケ飯といって、飯に小麦粉をふりかけて炊く。
     生の米粉を米麦混合の飯の上に戴せて炊いてコモシという地方もある。
     伊豆の島々では、米麦の飯に甘藷の粉を入れて炊いて、これをマブリツケという。
     島根県の日原地方では、稗粉の粥のネバシにするという。

    (民俗学辞典)




5. 桑の葉

     医学博士 遠藤 仁郎 

     桑の葉の栄養価は、蚕の発育ぶりからも、想像できようというもの。ケシ粒ほどの卵から生まれた1ミリ内外の小虫が、僅か3週間くらいで指の太さほどになり、あの美しい強い糸を吐くのです。桑の葉には蛋白質が多く、質はマメ科の葉のそれを凌ぐ程で、殆ど濃厚飼料に近いといわれています。ミネラルでは、カルシウムや鉄やマンガンが多く、葉の成熟とともに増し、秋の落葉前に最も多くなるそうです。

     ビタミンAは、1000〜2500国際単位、
     B1は、緑葉菜なみ、
     B2は、3〜4ミリ、
     Cは、2〜300ミリもあると言います。

     そして、家畜の飼料としても頗るよい成績が上がっているそうですが、われわれ人間の食糧としても見逃すことのできないすばらしいものです。


    食べ方
     肥後熊本の細川銀台はあるとき桑の葉飯を食べたと伝えられている(日本食物史)そうですが、わかい軟い葉はサラダとしても、煮て食べても、よろしい。たけた葉は硬くて、舌触りがよくありませんが、テンプラにすれば食べられます。


    乾燥末
     また乾燥粉末として利用します。

     牧野先生によれば、
     「周防国大島郡比良居村大字土居にては、その土地の習俗、桑葉を生のまま日に干し乾きたるを、揉み毀はし烙焙で炒り、之を茶の如く湯に入れて飲む。ただ口さはり軟き感あるをもって飲用するなり。また時に茶粥に入れることあり」
    ということですが、

     これは決して「口さはり」だけの問題ではありません。蚕糞でも高血圧によい、といわれているほどです。これには不老長寿の効あるに相違ありません。しかし、こうした利用法も、おそらく、今ではもう惜しいことにも、すたってしまっているのではないでしょうか。それにしても生のまま乾したものよりは、製茶法に準じ、蒸したのち乾燥したほうが、貯蔵もきいて、なおよいでしょう。抹茶に代用し、フリカケにし、飯に混ぜ、餅につきこみ、小麦粉、ソバ粉に混ぜて、「流し焼き」や「むしパン」にするなど、利用法はいくらでもあります。

     この「むしパン」で面白い失敗談があります。
     終戦の年の夏召集されて九州の山奥にいた時のことです。米は十分にあるし、大豆も方々に集積されていて、いくらでも配給されましたが、副食の野菜がありません。もともと乏しいところへ多くの部隊がやって来たので、気の利いた野菜の調達は全然不可能。明けても暮れても、野山に自生している筍と蕗ばかりという羽目になってしまったのも、止むを得ぬしだいでした。
     野草をあさって、青汁にもし、副食にもあてましたが、すぐになくなってしまいます。そこで目をつけたのが、その辺りの畑にあった桑の葉です。しかし、もうたけていて汁の実にも、おさいにもならぬし、青汁は粘って飲みてがないので、乾燥粉末にして蒸しパンにしてみました。
     菓子製造が本職の炊事兵もおり、当時の地方ではとても手に入れることができなかった砂糖もうんと奮発してもらったので、見た目にも立派な出来栄えだったし、味も相当のものでした。
     ところが、兵隊は、それでもまだ、いくらか食べてくれましたが、将校連はてんで見向きもせず、「蚕じゃあるまいし……」と数々の悪評。勿体ないことに殆ど捨ててしまい、お釈迦さんではないが、「縁なき衆生……」とつくづく感嘆したことでした。


    青汁
     桑の葉は、質は良いし養蚕地方なら無尽蔵です。下肥や農薬の心配もなし、味や匂いも格別悪くはありません。青汁材料としてまことに好適といいたいところですが、この青汁、まるでトロロのようにねばりいささか飲みづらい。もっともあの粘りがとても良いという人もあり、飯にかけて食べるという人もありますから、そこはやはり好きずき一口には言えないようです。なお、この青汁は米粉、麦粉、豆粉、芋粉などに粘りをあたえ、「流し焼き」や「蒸しパン」や団子にするのに都合がよろしい


    桑茶
     これも昔から愛用されていたようです。本草には、「葉を炒って茶代わりに飲むと渇を止める。」とあり、葉の煎じ汁は盗汗労咳(結核)によいとか、脚気水腫を除くとか、目を明らかにし、髪を長くするなどと もあります。
     また古くから桑の木は、中風の霊薬とされ、その予防に桑の木の枕や箸や楊子を使い、桑粥を食べ、桑茶や桑酒を飲みなどしました。そのほか飲水(糖尿病)や不食(食欲不振)によく、久服すれば無病長寿をうるとも出ています。ですから、葉と枝を煎じ、茶代わりに飲めば、なおよいわけです。生葉茶ならいっそうよいでしょう。
     なお、桑の葉は霜後の葉とか、冬至後にとったがよい、あるいは新茶と老茶を合わせ用いる、などといわれていますが、これは老葉にカルシウムやマンガンなどの多いことと関係があるのでしょうか。桑湯も面白いでしょう。


     ともかく、桑の樹は、諸仏菩薩の樹なりといわれ、中国では茶の樹とともに、大切な樹として尊敬されたということですが、たしかにいろいろの効用があるようです。古い川柳に、「薬いぢりの植える桑の木」とありますが、一本やニ本は、庭に植えておきたいものです。




6. 蓼

     医学博士 遠藤 仁郎 

     タデといえば、まず郷里の川が思い出される。
     真夏の太陽を一杯にうけて、川原一面に生い繁った川蓼。悪太郎どもと、瀬の一部をせき切り、上手から、搗きつぶした汁を流して魚をとったこともある。冬は、枯れた蓼原に、小鳥のワナ(コブツといった)を仕懸けたり、雪の日にはトリモチを仕懸けたりしたものだ。
     その頃、この川では鮎がよくとれた。投網(とあみ)で瀬うちをやったり、淵に足網をひきめぐらして、一網打尽にごっそりとったこともあった。魚籠の蓼をかきわけて、香りたかい銀鱗をみるのは、とても楽しいものだった。
     しかし、ただ獲るのが面白かっただけで、特別な食べ方は知らなかった。通人によれば、このとりたての鮎を、その場でつくった蓼酢につけて、頭かぶりに丸ごと食べるほど旨いものはないそうだ。また、どこの料理屋でも出す塩焼鮎にも蓼酢はつきものだ。これも、もとは、おそらくその場で焼き、すぐそこにある蓼がつかわれたことだろう。いずれにしても、自然にそなわったそのままのところに、真の味があるということだ。
     もっとも、蓼が使われるのは、手近な調味料というだけでなく、解毒の効があると信じられているためでもあるらしい。貝原益軒著の大和本草には「凡そ蓼は魚毒を殺す。魚膾と鮓に加ふべし」とあり、一茶の句には、肴屋の裏と知れけり蓼畑ともあるほどで、今でも刺身には必ず「芽蓼」がつく。
     但し、解毒の目的には、相当の分量をとらねば実効は覚束ないだろうが、あの辛さでは、「蓼食う虫も好きずき」「好いて食えば利根になる」とはいえ、とても十分には食べられそうもなし、食べるべきでもあるまい。
     「然れども、血液をかわかし、へらす。多く食すべからず。性よからず(大和本草)。馬や豚でも、食べすぎると急性胃腸炎や血尿をおこすという。だから、やはり薬味としての意味しかないといってよかろう。けれども、ただ香辛味だけではなく、ビタミンやミネラルの供給源をかねている点から、そうでないものに比べ、大いにすぐれているとはいえるわけだ。
     なお、「羹に加えればその汁甘い。乾蓼を僧家に用ふ羹の甘味を助け、鰹魚を用ふるが如し。(大和本草)」とあるから、こうした意味で仲々調法な調味料とみえる。
     また、サラダの薬味にしてもよし、イヌタデ、ボントクタデといった辛味のない馬鹿蓼ならばサラダの材料にもなる。私は夏から秋にかけては庭の雑草の葉をサラダにするが、これらも、そのうちだ。
     味がとくによいわけではないが、真夏にもよく繁ることと、「目を明にし、口を温め、風寒に堪え、水気を下し、(中略)大小腸の邪気を除き、中を和し、気を益す。(医心方)などとあるのを買っているわけだ。
     なお蓼の生汁は霍乱や痩利によいらしい。蛇咬に搗いてつけ汁をのむといい、駆虫の効もいわれている。橘南渓の蕉窓雑話には、犬蓼の摺り汁が著効を奏した和田東廓の話が出ている。もっとも、これらはいずれも緑養共通の効で、蓼に限ったことではないようだが。




7. (カワラヨモギ)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     黄疸によい、つまり肝臓によい、というものにカワラヨモギがある。
     和名は川原に生ずるヨモギの意。
     漢名の茵は陳(ふる)きに因(よ)って生ずるの意。
     春さき古株に群がり出る毛状の新芽の銀色に光る風情はなかなか小粋なものだ。
     本草には、
     「風湿寒熱、邪気熱結、黄疸を主(つかさど)る(本経)。とか、
     「全身発黄、小便不利を治し、頭熱を除き云々(別録)とあって、
     熱病や黄疸によく、利尿作用がある。
     ふつうは煎じて飲むのだが、
     「細に切り羹(あつもの)にして食う、生食もよし(食医心経)」とか、
     「危子(クチナシ)田螺(タニシ)とすり爛らし酒で服す」とか、
     「酒に醸す」、
     などしても利用される。また、ヨモギと同じように駆虫の効もあるし、
     「久服すれば、身を軽くし、気を益し、老衰に耐え、顔色を白くし、快活にし、天年を長くする。白兎は食って仙となる(本経)。」
     と不老長寿の効もいわれている。
     川原に行けばいくらでもあり、株を移せばどこでもよくそだつ。この肝臓病時代、そして肝臓薬の流行時代、ひとつ(カワラヨモギ)ブームでもおこしてみてはどうだろう。




8. なんきん

     南瓜は三杯酢にもプデンにも、またはパイにもするが結構。

     南瓜はよく蒸してから砂糖をかけ、バターや塩で焼くも味好し

    (村井弦斎 食道楽 附録料理心得の歌)

    南瓜の三杯酢
     細く切り塩でもみ、水で洗いシソの葉を細かくきざんでそれへ交ぜ三杯酢をかける。
    (同上 秋の巻)




9. ナズナ

     七草の惣代としてのナズナかな

     という句があるが、実際私など、子供のころは七草といえばナズナのことと ばかり思っていた。そして、ある日には、母や妹などと、方々あるきまわって ナズナを探し、もし見つからぬと、何か、ひどく物足りなさを感じたものだ。
     さて、ナズナが七草の惣代になっているのは、おそらく、七草にする野草の 中ではナズナが大型のものであること、そして、あの頃にはもうかなり大きく なっていること、などからであろう。しかし、成分表をみて驚くことは、ナズ ナにはすばらしくミネラル分の多いこと、ことにカルシウムの多いことだ。鉄 やマンガンも多いそうだし、ビタミンもそろって多い。
     カルシウム 0.3−0.5、
     燐     0.1−0.2グラム。
     ビタミンA 2500国際単位。
     B1    0.16、
     B2    0.28、
     C     40ミリグラム。
     私どもの習慣食、ことに正月の食物には、餅といい、煮物といい、とかく、 カルシウムやビタミンの乏しいものが多い。これを補う点からだけでもナズナ を食べることの意味は大変大きいわけだ。
     その上、蛋白質も多く(5−7グラム)しかも質的にすぐれているのだから、  すべての点で優秀な野草ということができよう。
     こうしたことは、ナズナがながい間の経験から、七草の惣代にえらばれた科 学的の裏付けというものでもあろうか。

    「苗食ふべし。東坡曰く、天此物を生じ、幽人山居の福となす。これ味よき故なり」
    (大和本草)
     で、ナズナやイヌナズナは味がよい。しかし軍配ナズナのように、辛いもの もある。
    我独りからなつなこそ悲しけれ、身をつみてだに問ふ人もなし
    (清輔集)
     但しこれも、
    「葉を採り(ゆび)き熟し、水に浸し、酸辣味をとり、復(また)水を用い、淘浄して韮あえものを作り油塩に調へ食ふ」
    (救荒本草)
     で、ゆがいて辛味をぬけば結構食べられる。ふつうヒタシなどにするが、こ れ程質のよいものを、下手に料理するのは勿体ない。清潔なところに出来てい るものならばグリンサラダに加えて生食すべきだ。味も、その方がずっとよろ しい。
     効能について、古医書の記載を総合すると、
    「中を和し、気を益し、五臓を利し、目を明かにす」
     というところのようだが、これは成分のよさからも理解できる。
     西洋でも以前は局方薬であり、古くは屡々用いられるらしく、ミトリダテス 王(紀元前小アジア東部にあったポントスの王で、毒殺を恐れて解毒薬の研究 をしていたが、軍に敗れ毒薬自殺をはかった時は、免疫になっていて、毒がき かなかったという)の解毒剤の中にも入れられていたという。なお、最近の検 索によれば、ナズナに止血作用や利尿作用、血圧降下作用のあることも知られ ている。




10. 大豆

     医学博士 遠藤 仁郎 

     大豆は熱量が多く、蛋白質にも脂肪にもとんでいます。しかも、この蛋白質には栄養上大切な、つまり血や肉になるのに無くてはならぬアミノ酸が、殆んどそろっており、動物蛋白にちかい良質のものです。最も、シスチンというアミノ酸だけはやや少いが、このシスチンは米には多いので、米に大豆を添えると、互に不足を補いあって、肉や卵に劣らぬりっぱな蛋白質になります。
     また大豆の脂肪は、レシチン(類脂体の一種)や必須不飽和脂肪酸が多いせいか、バタやマーガリンや牛豚脂などとちがい、血液中のコレステロールを増やさないばかりか、むしろ、これを減らす作用があるので、動脈硬化の発生や進行を防ぐ力があるともいえるわけです。

     ミネラルではカルシウムや鉄にもとんでいます。そしてカルシウムと燐の比は1:3(理想比は1:1〜2)で、穀類や雑豆類にくらべ(白米では1:25、豆ではインゲン豆1:3.1〜エンドウ1:6.2)カルシウムに有利、アルカリにとんでいるわけ。ビタミンはBだけで、A・Cはありません。B1は非常に多く、熱量392カロリーに対しB1、500ガンマ(理想比1カロリー対1ガンマ)。しかし体内代謝でB1の不要な脂肪が多いので(17.5%)B1には十二分の余裕があるわけです。
     したがって大豆は、白米を主食としているわが国の習慣食の改善にとっては、まさに、欠くことの出来ないもの。余り肉食をしなかったわが祖先の蛋白源として大切な食べ物でしたし、今でも大豆をよく食べる地方には長生きするものが多いといわれている所以でもあります。

     なお大豆は、ただ栄養的だけでなく、安全さという点でもすぐれています。それは、大豆には、肉や卵や乳などの動物食品のように、飼料が不完全であるための影響もうけなければ、飼料中の農薬、あるいは疾病の予防や治療にもちいられる薬品などによる汚染の危険もないと考えられるからです。このように大豆は、確かに優秀で安全な食品ですが、けっして総ての栄養素が完備した完全な食品ではなく、やはり適当量の良質菜っ葉が添えられなければならぬことはいうまでもありません。もっともその量は比較的少くてよく、たとえば大根葉だと、大豆100グラムに対し僅か50グラムでもほぼ釣り合いはとれて来るし、100グラムにすれば殆んど理想にちかいバランスになります。

     このことからも、いかに大豆がよいものであるかがうなづけるわけです。大豆飯 大豆は米の欠陥を補うのに適しています。白米100グラムに大豆30グラム入れた大豆飯にすると、大根葉200グラムでほぼ釣り合いがとれます。白米100に大根葉300、大豆30には15〜30、計315〜330が必要なところが200ですむのですから、確かに大豆飯の方がよいわけですし、菜っ葉を入れた大豆菜飯にすれば、それだけでも完全な食が出来上るわけです。
     欠点は消化のよくないこと。(煮豆の利用率は65%にすぎない)。あらかじめ長く水かしし、十分ふやかした上、そのかし水のまま飯に炊くことと、出来るだけよくかむこと。戦時中私のいた部隊では大豆飯をよく出しましたが、その度に下痢患者が多く出ました。大豆餅も同じ。煮豆 軟かく炊くコツは、十分ながく水にかし、とろ火で炊くことなのですが、余り時間をかけるとビタミンが減るそうです。もっとも、早く軟かく炊こうとして重曹を入れると、ビタミンの破壊はいっそうひどくなりますから、やはり気永に煮るほかはないわけです。多少のビタミンのロスはあっても止むを得ないでしょう。

     なお煮豆は、ふつう味つけして「おかず」にしますが、これでは主食ばかりの偏食になる上味よくするため砂糖が多くつかわれ、偏食の度はさらに甚しくなるので、これは感心できません。素煮きのままか、精々、ごくうすい塩味(昆布や和布を入れて煮る程度の)くらいにして、野菜を十分そえて、飯代りに食うべきものです。

    枝豆  栗や甘藷と一緒に蒸した枝豆の味は、田舎そだちの私どもには忘れられない秋の味覚の一つです。たいてい間食にしましたが、今時の子供の間食が危険な菓子ばかりになってしまっているのにくらべ、健康的であった私どもの幼い時代の有難さが、今さらのように、しみじみ感じられます。
     今では早蒔き種もあって夏のうちからビールのつまみなどにも出されます。美味しくもあり、なま物ですから野菜にちかく、ビタミンCの多いのも嬉しいところです。そして、白米100グラムに枝豆100グラムと大根葉150グラムで、うまくバランスがとれるのですから、こうした配合の枝豆飯にしたり、煮豆と同様、主食代りにすれば、いっそう素晴しいわけです。
    納豆  納豆菌のため消化がよくなり、ビタミンB2もうんと殖えています。(B1は菌の繁殖のため消費されて少くなっていますが)もっとも、嗜好の点でやや一般的でないうらみがないでもありません。関東や東北では非常に好まれていますが、関西ではさほどでないし、私どもの地方では、むしろ嫌われます。以前、病院で出してみたことがありますが、「こんな腐ったものを!」と、食養係がひどく叱られました。また、粘素のため、かみにくい点もありますが、納豆汁のように、すりつぶせばよいわけです。
    黄粉  炒るため、いく分ビタミンがこわれますが、他には大して失われないし、消化はよろしい。但し、市販品には、かなりの麦粉(はったい粉)がはいっているし、色づけされているのでないかの疑いがなくもありません。手数でも、家庭で、味も香りもよいつくり立てを食べたいものです。ご飯にまぶしても、おさいの黄粉和えも、汁物に入れても黄粉茶にしてもよろしい。小麦粉、ソバ粉、芋粉などの粉食料理にも、かならず入れることです。

    生粉
     なまのままの粉はなおよろしい――もっとも油気があって後の掃除が大変なので製粉屋はいやがりますが。この生粉に沸湯をかけてソバかきのようにして食べてみたことがありますが、なかなか美味しいものです。
    豆腐  大豆製品のうちでは、いちばんなじみ深いものは豆腐でしょう。食べよくもあり、消化もよく、栄養にもとんでいます。もっともビタミンはかなり減っているようです。カルシウムが多いのは、最近の豆腐には凝固剤として石膏(硫酸カルシウム)がつかわれているからでしょう(以前はニガリ=塩化マグネシウムでしたが)。
     そのせいかどうか、この節の豆腐は、むかし田舎の豆腐屋でつくっていたものとは格段に味が悪くなっているようです。私はよく夕食の豆腐を買いに走らされましたが、帰り道で、ちょいちょい角をかいで失敬したものですが、あの頃のは本当においしかった。今では、ビニール袋入りなど、保存のきくものも出来ていますが、添加されている防腐剤は果して無害なものばかりでしょうか。
     豆腐は、やはり、新しいもの。そして時間がたてば腐るようなものに限る、と私は思います。それはともかく、豆腐100グラムに大根葉50グラム添えれば、それだけでも完全にバランスがとれて来ますから、すぐれた栄養食品であることに間違いはありません。

    揚げ豆腐
     これも昔のはおいしかった。学生時代、ハイキングの折など途中の豆腐屋で揚げたてを求め、山の中や野っ原で、何もつけず、そのままを食ったものですが、とても美味しかった。今は、豆腐の質がおち、油もよくないのか、いかにもカスカスしていて、とんとうま味がありません。
    豆乳  水によくかした大豆を臼でひき、しぼったもの。これに凝固剤を入れて豆腐をつくるので、豆腐のもとといったもの。そのまま飲んでもよろしい――ひと頃健康法としてこの飲用が宣伝され流行したこともありました。調理用に、水代りにつかうのもよいでしょう。


     ともあれ、大豆はもっと大いに利用すべきであり、なるべく成分の損失のない、しかも美味しくて消化吸収もよい食べ方が、もっといろいろ工夫されなければなりません。なお、大豆や大豆製品はふつう副食として主食にそえられていますが、栄養素の関係からは主食に準ずるもので、十分の菜っ葉をそえて、飯代りに食うべきであることを忘れてはなりません。


     熱量蛋白質脂肪カル
    シウム
    B1B2
    大豆
    39234.317.51904707.065002000
     仝+大根葉50
    416.536.917.852854857.7150655035045
     仝+ 〃 100
    44139.518.23805008.4300660050090
    大豆飯 白米100
        大豆30
    458.616.396.05632912.51.8240900
      仝+大根葉200
    556.626.797.454433515.36001.8440690180
    煮豆
    28216.49.8672002.8050300
    枝豆
    12512.13.6982003.01303007045
    枝豆飯 白米100
        枝豆100
    47618.34.41043503.413039010045
    仝+大根葉150
    549.526.15.453893955.54630540550180
    納豆
    19116.510.0921903.30705600
    黄粉
    42638.419.21905009.054001500
    豆腐
    586.03.5120861.4020200
     仝+大根葉50
    82.58.63.852151012.115007015245
    揚豆腐
    34618.631.43002304.2020200
    豆乳
    423.62.015491.2030200
    カロリーグラムグラムミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    国際
    単位
    ガンマガンマミリ
    グラム





11. アカザの天ぷら

    大隅 J.O. 

     アカザについては、本紙9月15日号上(昨年)遠藤博士が書かれているし、昔からよく知られていますが所謂食生活の豊富で、その多用化している今日では、かえってよくわからないのではないかと思われますので、博士の文と重複の所もあるかと思われますが、私の体験と共に次のことを御紹介したいと思います。

     戦争末期の20年春の事、所用で岡山県総社市(当時は町)へ行った時、かねてほしいと思っていた「食用野草」に関する本で、陸軍獣医学校研究部著、毎日新聞社刊の“食べられる野草”を入手しました。当時不自由な食生活にどれほど助けられたか分らない事が、なつかしい思い出になっています。

       「アカザの類は栄養(蛋白質及塩類)に富み、永い間軟かく、各地に分布群生し、採草容易で利用価値大。高さ1〜2米位。茎は稍木化する。葉は柔かく、幼葉は紅紫色の粉を頂きつけた様で(美しい)、夏秋にかけて黄緑色の細かい花を穂状に着ける。
       稚葉が白味を帯びたものを特にシロザ(ギンザ)というが、同じ植物である。分布は、樺太より台湾まで各地。食用部位、葉、種子。食べ方。葉は蒸したり、茹でて汁の実、和へ物、お浸し等。或は飯に交ぜる。ハウレン草に似る。種子は醤油漬とし、蒸して皮を去り米に交ぜて飯とし、或は粉にして団子等を作り、乾して貯える。又同種の物に「コアカザ」あり、高さ30糎位、葉は小さい。次に「ハマアカザ」あり。海辺に生ずる草で高さ60糎位。夏秋に淡緑色の小花を開く。両種共食用部位はアカザに同じ」

     というものであります。「種子」については、以前知人から「薬用」になるとききましたが、何に効き、どうするかについては忘れました。御存知の方は御教示願いたいと存じます。もう大分前になりますが、私はフト気付いて「天ぷら」にして見ました。所が、大変風味もよく、甘味もあり、適当な歯ごたえもありで、今日では私の大好物の一つとなり、毎年実の熟する頃が待ち遠しい程になっております。
     前述の「種子団子や、醤油漬、種子飯」等はまだ試食しませんが、今年は一つやって見たいと思っています。定めし好食の一つではあるまいかと考えています。一つお試しあられん事を――。
     それから今一つ、春先き少し大きくなったもの2、3寸〜5寸位のものを浸物にしましたが、軟らかく、美味しく、何んとも云えません。種子を保存し都合のよい時まけば、いつでも食膳に供する事も出来るとも考えています。又アカザの木はまことに軽く、昔から「長寿の杖」としているともききました。




12. 浜チサのおすすめ

    香川県 R.S. 

     今から25年くらい前に、少し田舎の老人より浜チサというものをいただきました。
     浜チサは人間に大変よいとのことで、久邇宮大妃殿下=今の皇后様の母様は大変おすきで毎日召し上っていられた由。
     浜チサのの実と、ハト麦と、池に出来る菱の実をあわせていただくと癌が全快するとか申します。
     私も、本年春から、ケールが全部虫にとられて困りますので、色々考えた末、浜チサを青シソや人参葉などで青汁をつくって、この夏をすごしております。ごくつくりやすい品ですから手間もかかりませぬ。
     不用の土地へ、種子を三つづつくらいまきます。
     いちど植えたら毎年ひとりで繁殖して、実に便利ですからおすすめします。大変水をすきますから、毎日朝夕、米のとぎ汁などやっておきますとよろしゅうございます。
     繁って生えましたら、根から抜かずに、元の近くに、葉の間から新芽が出来ますから、その新芽をとらぬように、新芽の上の方から摘みとって召し上り下さい。
     種子をまくより早く役にたちます。ちょっと湯通しいたしまして、おしたし、または胡麻味噌などにて、召し上り下さい。




13. ゴマ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ゴマは、本草綱目に

       「久服身を軽くし老いず」(本経)、
       「耳目を聡明にし饑渇に耐へ天年を延べる」(別録)、

     などといわれていますが、栄養価をみれば、それも、なるほどとうなづかれます。
     熱量は、脂肪の多いものだけに、564となかなか多く、熱量対ビタミンB1のバランスもよくとれています。しかも、熱量の半分以上が、体内代謝でB1を必要としない脂肪なので、B1には十分余裕があるわけです。
     蛋白質も多いし、その質も仲々よいようです。また、もっとも注目すべきことは、カルシウムが目立って多いことと、カルシウム対燐の比が1:1.35と、理想的の釣り合いになっていることです。
     鉄にもとんでいます。ビタミンAとCはないがBでは、B1にとむほか、B2もかなりあります。それに、農薬の心配も、まず、なさそうです。
         
    熱量 蛋白質 脂肪 カル
    シウム
    B1 B2
    ゴマ 564 19.7 50.9 630 850 16.0 500 100
    同+大根葉200 662 30.1 52.3 1010 910 18.8 6000 700 700 180
    白米100+ゴマ20 464 10.16 11.0 132 320 3.6 190 50
    同+大根葉200 562 20.56 12.4 512 380 6.4 6000 390 650 180
    半搗米100+ゴマ20 458 10.86 11.7 133 370 3.9 350 90
    同+大根葉150 531.5 18.66 12.75 418 415 6.0 4500 500 540 135
    玄米100+ゴマ20 450 11.36 12.5 136 470 4.3 460 120
    同+大根葉100 495 16.56 13.2 326 500 5.7 3000 560 420 90
    カロリー グラム グラム ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    国際単位 ガンマ ガンマ ミリ
    グラム

     そして、大根葉150〜200グラム添えれば、それだけでも、まず完全な食になります。
     このようにゴマは、ちょうど、私どもの一般習慣食に不足している脂肪、カルシウム、ビタミンB1にとんでいます。
     しかも、この脂肪は、動物脂肪のように血液コレステロールを増すことはなく、むしろ、これを減らす効果があるので、ゴマの利用は、私どもの習慣食の欠陥の改善には、もっとも好適しているといってよいでしょう。
     今かりに、米100グラムに、ゴマ20グラムを入れ、それに大根葉を加えてみると、白米には200、半搗米で150グラムでほぼ完全になり、玄米ならば100グラムで殆んどよくなります。
     これを、白米だけでも300、半搗米で200、玄米で100グラムの大根葉が必要なのに比べると、ゴマを加えることでずっと少い大根葉で釣り合いがとれて来ることがわかります。
     この事実は、いかにゴマが米食の欠陥を補正するのに有力であるかを示すもので、昔から、ゴマ飯が「仙家の食」といわれ、強壮強精・不老延年の効がある、とされているいわれもここにあるわけです。

     
    胡麻100+大根葉200 胡麻100+大根葉200


    ゴマ飯
     炊き上った飯に炒ったゴマを加えれば、香ばしいゴマ飯が出来るし、菜っ葉を十分混ぜこめば、栄養完全なゴマ菜飯になります。

    ふりかけ
     飯にも、いも、豆、肉、魚、卵、野菜などすべてのおかずにも、うんと振りかけます。

    ゴマ味噌、ゴマ塩
     ともに食塩が多くなるのは感心できません。なるべくゴマ勝ちにすべきです。

    粉食料理
     小麦、ソバ、キビ、いも、豆などの粉食料理(パン、むしパン、流し焼、ウドン、ソバ、団子、菓子類など)にも、また、マッシュもの(いも、豆、栗、百合など)にも、必ずうんと混ぜこむこと。味がよくなるだけでなく、栄養的にも素晴しくよくなります。

     ところで、昔から、薬用や健康食用には黒ゴマがいわれています。玄米、黒豆、黒胡麻が弘法さんの健康食といったぐあいです。
     但し、栄養価の点で、白と黒には大して差はないようですから、恐らくは「くろ(玄)」の神秘力といったものにでもよるのでしょうか。
     それはともかく、近頃の黒ゴマには、色づけされたものが少くないのは困ったことです。仕出し屋の幕の内や駅弁などで、振りかけてある黒ゴマの下が紫色に染っているのは、大抵の方が経験されているでしょう。本当の黒ゴマからは、決して、ああした色は出て来るものでありません。
     使ってある色素が無害のものであれば、もちろん問題はないのですが、果してどうでしょうか。食べさせられている私ども一般大衆には、それはわかりません。
     それでも、ふつうには、食べる分量が少いのでよいようなものですが、十分に食べる場合はもとよりのこと、他の食べもの飲みもの、皆、何か彼か、ともすると危険なものも添加されている当今のことです。
     君子危きに近よらず。なるべく、そういうものは避ける方が賢明でしょう。

    ゴマ苗
     なお、ゴマ苗についても、本草には、

       「気を益し、脳髄を補し、筋骨を堅くする。久服すれば百目聡明となり、饑えず、老衰せず、寿命を増す(本経)」

     と、子実と同じような効がいわれており、道家で多くこれを食うのだそうですし、葵(アオイ)に劣らず美味しいものだ、ともいわれています。
     また「早をおそれず、大早にもよく生長す(大和本草)」
     るという重宝なものだとありますから、夏の青物の不足の際の補いにもなりましょう。
     青汁にもよい筈ですが、私どもにはまだ経験がありません。
     もっともこの青汁で嘔吐したという報せをうけたことがあります。





14. クルミ(胡桃)

     医学博士 遠藤 仁郎 

    熱量
     脂肪にとんでいる(60%)ので、熱量は626カロリーと、すごく多い。

    蛋白質
     相当多い。質もよいらしい。果物とナッパ類ばかりを食べている果食家での観察で、蛋白質は良質らしいと栄養学者もいっている。

    ミネラル
     カルシウムもかなりあり、カルシウム:燐は1:3、12(理想比1:1−2)と、酸性度は比較的少い。

    ビタミン
     A、Cはないが、B1は多く、熱量源の大部分がB1の不要な脂肪なので、B1にはうんと余祐があるし、B2もかなりある。

      熱量 蛋白質 脂肪 カル
      シウム
      B1 B2
      クルミ 626 23.1 60.3 93 290 2.4 500 80
      +大根葉200 724 33.5 61.7 473 350 5.2 6000 700 680 185
      カロリー グラム グラム ミリ
      グラム
      ミリ
      グラム
      ミリ
      グラム
      国際単位 ガンマ ガンマ ミリ
      グラム

       (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)


     ヒポクラテスのいう通り
     「熱気をおこし栄養にとむ」
     わけだし。漢方では、
     「肺を温め、腸を潤ほし、気を補し、血を養ふ。
    食して肥健ならしめ、肌を潤ほし、頭髪を黒くす。
    久しく食すれば、小便を利し、五痔を去る」
     ともあるが、また
     「性熱なるが故に多食すべからず。
    胆液過多の人には害あり」
     ともある。
     西洋の民俗で、多産のシンボルとされ、また死のシンボルとして墓地に植えるもの、とされているというのも、あるいは、胡桃が熱量の多いこと、したがって精力もつくだろうが、偏った過多は却って死をはやめることになるというのだろうか。

     この欠陥を補い、うまく調和をとるためには十分の野菜が必要だが、大根葉では150−200グラムという勘定になる。
     ともかく、わが国の習慣食に不足がちな脂肪とB1にとんでいるので、その有力な給源として大いに利用し白米飯偏重の害をへらしたいものだ。
     しかし、このあたりには小型の日本クルミしかない。この種は殻がかたくて割りにくい上に、肉は少ししかないので、精々悪太郎どもがとって食べるくらいのものだ。
     私どもも秋になって自然に落ちるのが待ちきれず、まだ青いのを、石を投げたり棒でたたき落して、小川のほとりで、黄い汁の出る皮をとり除き、石でたたき割って食べたものだが、両手はまっ黒になるし、うっかりすると着物まで汚すので、よくおふくろに叱られた。
     信州や東北など寒い地方のは大型で割りやすいし肉も大きく(朝鮮クルミ、西洋菓子につかってある、いわゆる菓子クルミ)、和え物など料理に利用されているのが、確かによいことだ。

     なお、ディオスクリデスは、
     「多く食べると條虫を駆除する」
     といっているが本草網目の油胡桃の主治にも、
     「虫を殺す」
     とあり、わが国にも、
     「クルミでサナダ虫がとける」
     という俗信があったらしい。
     今昔物語に、寸白(スパク=條虫のこと)を持った女が子を生み、長じて官となり、信濃の守として赴任した。
     歓迎の席で、一面に胡桃ばかり出され、非常に苦しむ。
     これを、ある老人が認めて、寸白が人になって来たもの、と感づき、酒に胡桃を濃くすり入れてさしたところ、ついに白状して、水になって消えた、という話が出ている。

     
    胡桃100+大根葉200 胡桃100+大根葉200





15. ウコギ(五加木)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     子供のころ、春には、よくワラビ狩に出かけたが、ワラビの少いとき、いつも、探したのはウコギだった。
     やわらかい新芽の群りついた枝を見つけ出すと、ワラビの敵打ちのように、丸坊主にしてしまったものだ。
     その頃は、たいていイリ菜にしたり、ウコギ飯に炊いて食べた。
     最近では、春さきのハイキングに、酢味噌や、サラダ油、塩、酢を用意して行き、その場でサラダ(グリーンサラダ)にして食べる。
     ちょっとホロ苦味はあるが、仲々おいしい。青汁の材料にもなる。
     いちど沸え湯をとおすか蒸して乾かし、貯えておけば、軟い葉がいつでも、そのまま食べられる。

       「老葉はいりこにすべし」(救荒本草抜萃)

     とあるが、茶代りにもなる(五加茶)。

       「気を益し、躄を療し、中を補い、精を益し、筋骨を堅め、志意を強くす。久服すれば、身を軽くし、老い耐う」(食医要編)。

     本草綱目には、

       「5月5日は、五加の茎を採り、7月7日に葉を採り、9月9日に根を採り、修治して篩い、方寸ヒづつ酒で服す。一日三服。久しく服すれば風労を去る」。

       「煮て酒に醜してのめば(五加酒)人を益す。(弘景)」

     などと、仲々大した効能のようだ。
     この辺りでも、以前は、大抵の農家にあったそうだが、今は、殆んどみかけないし、もう食べた経験のあるものもないのではなかろうか、ということだ。

       「江准呉中では、往々藩マガキにしている」(本草綱目)

     とあるが、米沢あたりでは、家の周囲に植えてある。枝にトゲがあり、密生するので生垣としても結構だし、新鮮な薬の供給源としてもありがたい。
     当地にいられる矢野仁一先生(京大名誉教授)は米沢のご出身で、わざわざ米沢からとりよせられたウコギを庭に植えていられ、毎春、おいしい新芽をいただいていた。
     一昨年だったか、大きな株を分けて下さった。余り大きいので、三つに分けて植えたのがこれだ。(写真)
     今年は挿木して、うんとふやしたいと思っている。




16. ナンキンマメ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     原産は南米。わが国へは宝永年間に南京から来たというので南京豆。または唐人豆。落花生は漢名で、花がすんだ後、土中にもぐって莢を生ずるからの名。
     血液コレステロールを増さず、むしろ低める作用のある、良質脂肪源としてすぐれた食品の一つで、脂肪の含量は46.6%。したがって、熱量が多く100グラム中553カロリー。蛋白質にもとみ、25.6グラムで、質は大豆なみに優秀なものらしい。
     カルシウムはやや乏しく、燐は多い。カルシウム対燐の比は1:6.8.この至適比は1:1−2ですから、酸性度はかなり強いわけです。
     ビタミンでは、AとCは皆無ですが、B1B2ともに多く、とくに生では著しく豊富です。
     熱量とB1の比は、生では553カロリー対800ガンマ、炒りでは571対200。
     この至適比は、非脂肪(脂肪以外の)カロリー1に対しB1 1ガンマですが、南京豆の熱量の大部分は、体内代謝でB1を必要としない脂肪によるものなので、炒り南京豆でも十分バランスはとれており、いく分かは余猶があるくらいですし、生ならば、いっそう余猶は大きいわけです。
     そこで、米食ことに白米に不足するビタミンB1や脂肪、蛋白質などを補うには、まことにぐあいのよいものといえます。
     ただ、ミネラルことにアルカリに乏しいこと、ビタミンA・Cのないことなどの点で偏っていますが、良質緑葉、たとえば大根葉の100グラムも添えれば、それだけでも殆んど釣り合って来ますし、150にすれば十分にバランスはとれた完全食になります。
     それに、味がよろしい。香ばしく炒ったのや、バターピーナツは、お八つやビールのつまみに何よりです。また、菓子に入れ、パンに入れ、餅に入れ、あるいは、ピーナツバターやすりつぶした南京豆を和物に入れれば、その味はグンと引きたって来ます。

     つまり南京豆は、邦食の改善に役立つばかりでなく、同時に調味料の効用もあるという重宝なものです。その上、農薬の心配もまずないようですから、大いに活用したいものですし、事実、かなり広く利用されているようです。
     しかし、これでも、やはり、気がかりなことが無いでもありません。それは、南京豆につくカビのうちには、肝臓をおかしたり、癌を発生するような危険な毒素を出すものがあるという、おそろしい事実があるからです。
     ですから、品質にたいし十分の吟味が必要なわけで、いたんだものや、カビの気配など、少しでも怪しいところのあるようなものは、一切食べてはなりません。
     とはいえ、たとえ、いかに気をつけるといっても、それは、せいぜいがとこ、殻のままか、丸粒のものについてだけいえることで、砕いたり、つぶしたり、製粉したものなど、加工品ともなれば、はたして安全な材料だけが使われているかどうか、どうにも見わけはつきません。ただただメーカーの良心にまつほかはないわけで、甚だ心もとない次第です。
     また、そうした汚染豆が家畜の飼料になっていないでしょうか(毒素は肉に残ったり、卵や乳に出るおそれがないでもないのです)。カビは高温多湿という条件の下で生じやすいから、熱帯産のものにはとくに危険が多いわけだし、内地でも梅雨時は少しも油断できません。
     当局においても、輸入品や貯蔵品の監視は出来るだけ厳重にやっていただきたいものです。
     ところで、ふつうは炒って食べます。そうしたほうが香ばしいからです。しかし、栄養の点からは上記のように、生のままのほうが、はるかに有利です。
     もっとも、食べ初めはちょっと、なま臭いようです。けれども、二つ三つ食べているうちに、少しも気にならなくなります。しかも、炒ったもののように、胃にもたれることがなく、いくらでも食べられます。生豆の利用法としては南京豆豆腐くらいのようですが、もっと色々工夫してみたいものです。

        
     熱量蛋白質脂肪カルシ
    ウム
    ビタミン
    AB1B2C
    落花生 55325.646.6563801.808001000
    57126.348.2573801.90200800
    生+大根葉 10060230.847.32464103.2300090040090
    15062733.447.73414253.94500950550 135
    炒+大根葉 10062031.548.92474103.3300030038090
    15064534.149.33424254.04500350530135
    カロリーグラムグラムミリグラムミリグラムミリグラム国際単位ガンマガンマミリグラム

    (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)





17. 松の実

     朝鮮にながくいた人の話では、金剛山には、今でも仙人が住んでおり、松の実と松葉を食って、とても長生きしているそうだ。
     日本の松の実は、ちっぽけで、精々、小鳥の餌になる程度にすぎず、とても、われわれの食糧にはならぬが、朝鮮のは、ずっと大きいし、その栄養価もすばらしい。
     熱量は、実に634カロリー。
     これに釣り合うべきビタミンB1は160ガンマで、少し少いようだが、この至適比1カロリー対1ガンマのカロリーは非脂肪熱量、つまり脂肪以外のカロリーのことなので、熱量源の大部分(6割以上も)が脂肪である、この松の実のばあいは、十分バランスはとれている。
    熱量蛋白質脂肪カル
    シウム
    B1B2
    松の実63414.660.8155506.2160400
    同+大根葉20073325.062.23956109.060053601000182
    上 大根葉30078130.262.958564010.490054601300272
    カロ
    リー
    グラムグラムミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    ミリ
    グラム
    国際単位ガンマガンマミリ
    グラム
     蛋白質も相当あり、質もかなりのものらしい。
     カルシウム対燐のバランス(至適比1:1〜2)は、1:36.6で、酸性度は相当つよい。
     ビタミンでは、AとCは少いが、B群とくにB2にとんでいる。
     酸性のつよいことと、ビタミンA・Cに乏しい点では劣っているが、それでも良質緑葉たとえば大根葉を200グラムも添えれば、ほぼ釣り合い、300では十分完全になる。
     松葉には、おそらくミネラルもビタミンも豊富だろうから、金剛山の仙人が、松の実と松葉で生活しているというのも、あながち無稽の沙汰でもなさそうだ。
     また、松の実が脂肪にとむ高熱量食品だけに、比較的少量でもよいわけだし、この脂肪には、コレステロールを高め、動脉硬化を招く作用もなかろうから、かれらが長生しているというのも、多分、大出鱈目の嘘っぱちではあるまい。





18. 栗

     医学博士 遠藤 仁郎 

     秋の味覚、栗。
     見るからに、健康そのものといった形であり、色あいですが、栄養成分を見てみると、その感は、さらにふかくなります。

     熱量 180カロリー。
     これに対し、ビタミンB1は、倍量ちかい300ガンマ。
     この至適比は、熱量1カロリーに対しB1 1ガンマですから、B1には十分余祐があるわけです。
     蛋白質は比較的少く(3.1グラム)、質的にも、そうすぐれてはいないようです。
     カルシウムは穀類に比べれば遙かに多く、カルシウム:燐の比は1:2.06で、このバランスも理想的(至適比1:1〜2)。
     ビタミンは、B1にとむだけでなく、B2も多く、AもCもあります。
     もっともAはごく僅だけですが。
     つまり、すべての栄養素がそろっており、そのバランスも、かなりうまくとれています。
     しかし、蛋白質、カルシウム、ビタミンAなどが、やや十分ではありません。
     けれども、これらも、良質ナッパ、たとえば大根葉50グラムもそえれば、すべて十分に補われ、完全にバランスのとれた食となります。
     そのうえ、危険な農薬の心配も、まずありません。
     ですから、芋類と同様、主食として第一級のものといって差支えないでしょう。

     本草綱目には、

    「気を益し、腸胃を厚くし、腎気を補し、人をして飢に耐えしめる」
     とか、
    「腰脚不逐を治す」
     とあり元気がつき、腸胃をつよくし、腎虚(蔭萎縮)や脚腰の弱りを治すなど、健康増進、強精不老といった効能がのべられています。
     正月の縁起ものとして、勝栗を蓬莱にそなえたり、歯固めに食べるのも、まことにむべなるかな、というところでしょう。
     ところが、兼好法師のつれつれ草には、
    「因幡の国に、何の入道とかやいうものの女、かたちよしと聞きて、人数多いいわたりけれども、この女ただ栗をのみ食いて、更に米のたぐいを食はざりければ、かかる異様のもの、人に見ゆべきにあらずとて、親ゆるさざりけり。」
     とあって、栗ばかり食って、米を食べぬような娘だから、嫁にはやれぬと、ことわってしまったというのは、何としたことでしょう。
     この娘、綺量ばかりでなく、きっと、健康であり、気立てもよかったにちがいあるまいに、全くむごいことをしたものだ。
     それにしても、むかしから、米を食うものがまともな人間で、米以外のものを食べるものは変人あつかいされることが、これでもよくわかるわけですが、甚だもって、怪しからぬ話ではありません。
     なお、栗の葉の腐蝕土は最上の肥料だそうですが、生の葉は食用にもなります。
     但し、タンニンがあるので、
    「若葉をよくゆでて、黄色になるまでよくさわして食べし(救荒本草抜萃)、
     とされています。
     もっとも、芽出しの、ごくやわらかいところは、そのままサラダに加えて、結構たべられます。

        熱量 蛋白質 カル
      シウム
      B1 B2
      栗100グラム 180 3.1 32 66 1.0 23 300 140 30
      仝上+大根葉50グラム 205 5.7 137 81 1.7 1523 350 290 75
        カロリー グラム ミリ
      グラム
      ミリ
      グラム
      ミリ
      グラム
      国際単位 ガンマ ガンマ ミリ
      グラム

       (注 表の単位 熱量はカロリー。蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす)

       
      栗100+大根葉50 栗100+大根葉50






19. 南瓜子

     医学博士 遠藤 仁郎 

     勿体ないことに、惜し気もなく、捨てて顧みられないものにカボチャのタネ(南瓜子)がある。
     中華料理にはつきものであることは周知の通りだが、なかなか栄養にもとんでいる。
     熱量578カロリー。蛋白質が多く(29.7グラム)質も良い。
     脂肪も多く(48.9グラム)、不飽和脂肪酸にとんでいるので、血液コレステロールを下げ、動脉硬化を防ぐ効がある。
     ミネラルについては、成分表に記載がないので明でないが、カルシウムは少いらしい。
     ビタミンでは、Aはごく僅かだけだが、B1は0.65ミリグラムとすこぶる多く、B2もかなりあり、(0.13ミリグラム)、但しCは皆無。
     昔から、サナダ虫駆除に特効がいわれており、私どもが医局にいた頃には、綿馬根という、うっかり中毒すると、生命をとられたり、眼がつぶれるといった、物騒な薬しかなかったので、たいてい、これをつかった。
     クルミやカヤ(榧)の実にも(いずれも脂肪にとんでいるものだが)同じ効能がいわれているから、何か共通した成分でもあるのだろうか。
     もっとも、カボチャは果肉だけでも効くそうだが。
     虫のほうは、しかし、衛生思想が進みよい薬もできた今日では、もうその必要もあるまいが、もっと耳よりなのは、この南瓜子が、現代の男性に多い、そして成人病の一つといってよい、前立腺肥大や蔭萎に有効ということだ。
     ハンガリヤのジプシー、ブルガリヤの山地人、アナトリアのトルコ人、ウクライナ人、トランシルバニアのドイツ人などは、ロシア人がヒマワリの実を精力源として食べるように、南瓜子を食べているが、かれらには前立腺の病気は殆んど無いし、精力もさかんだという。

    (R.Lucas著Natures Medicinesによる)

     だから、おやじを、いつまでも元気で働かしたいならば、こいつを食わすべしだ。また、女性の子宮筋腫は前立腺肥大に似たもののようだから、あるいは、その予防にもなるかも知れない。
     冬至に食えば中風にならぬ、といわれているように、南瓜にも健康長寿の効があることだ。
     一つ、大いに食おうではないか。
     しかも、かならず、タネごと調理すること。
     そして、ワタもタネも(やわらかいものはそのまま、かたいものは中の仁だけ)も残さず、みんな食ってしまうこと。
     どうしても、タネをとらねばならぬばあいは、よく洗って乾燥すること。
     そのままでも、炒ってでも、ビールのつき出しに出してよし、お八つにもすこぶる結構というもの。
     少々手はかかるが、子仁だけをとり出せば、ゴマや南京豆と同じく、すばらしい調味料として、いろいろ利用できる。





20. もち米

     医学博士 遠藤 仁郎 

     精白したものは、もち米でも、うるち米でも、熱量やカルシウムや燐ともに同じ。
     蛋白質とビタミンは、もち米がやや多いだけで、良質菜っ葉による完全化には、大根葉で3倍は必要だから、栄養的には、うるち米と大差はないわけです。
     但し、成分の縮合の度合いが少いのと、糖質の大部分が、澱粉より少し消化された形のデキストリンなので、もち米自体の消化は、うるち米に比べ、ずっとよろしい。けれども、もち米と小豆を蒸してつくる赤飯は、十分軟化していないので(オコワといわれているように)消化はよくありません。
     餅も同様で、とくに時間がたって堅くなったものは、こなれにくい。その上、餅は嵩が少くなっているため、とかく過食になりがちなので、食滞しやすい。餅腹三日とか七日とかいわれる所以です。
     しかし、オコワにしても餅にしても、十分よくかめば、あるいは、軟く炊いたものは、うるちの飯や餅(ひねりもち)よりは、むしろ消化はよろしい。
     もち米や餅が「中を温める」とか、「気を益す」などといわれているのは、消化のよいためでしょう。そして、力が出る(力餅)というのは、腹ごたえも、腹もちもよいからでしょう。
     本草には、

    「大便を堅からしめ泄を止める」
     とありますが、オコワや餅を食べるとよく便秘しますし、消化のよいため便の分量が少くなること、ビタミンB不足がおき腸管の筋肉の活動が衰えて、腸管内容(つまり便)の運行が悪くなるためです。
     ですから、正月の前後には、よほど気をつけて十分の野菜を食べておかぬと、ひどく結して、さんざん苦労させられることがよくあります。したがって下り(泄)にもよいわけです。
     「久泄を止め、大便をして堅からしむ(大和本草)」。
     また、
     「小便を縮める」として、老人の小便頻数なるもの夜半に食うとよい、と本草書に出ています。
     確かに、餅を食べると尿量がへります。これは、消化のよい糖質が吸収されて組織にはいる場合、水分をひく性質があるためで、餅を食べて顔や手がはれぼったく感じるのもそのためです。
     「自汗を収む」というのも同じ理でしょう。「人をして多く睡らしめる」ともあります。これはビタミンB不足の症候です。オコワでも、餅でも、嵩が低いのでつい食べすぎになり、糖質とビタミンBとのアンバランスから、からだがだるくなり、ねむくなるのです。
     また「久食すれば心悸及び癰疽、瘡節中の痛を発する」とあるが、心悸はビタミン欠乏で、心臓がよわるため。おできの痛は、食べすきによるアシドージスのため、炎症性、滲出性質となり、化膿しやすくなったり痛が強くなったりするため酒と同時に食えば酔って醒め難い」とあるのは、酒が加わればビタミン不足の影響はさらに大きくなるからでしょう。
     なお、「筋を緩にす」とか、「小猫や犬が食えば脚が屈んで歩行し得なくなり馬が食えば足が重くなる」とあるが。これは人間でも同じ。もち米や餅(砂糖でも)を食べすぎて手足が倦くなり、しびれ、ついにはすっかり力がぬけて動けなくなる、という発作がおこることがあります(発作性マヒ)。
     これは、糖質が筋肉にはいり糖原になるとき、血液中のカリウムを奪い、カリウム欠乏によってマヒがおこるのだ、といいます。とすれば、カリウムの多い野菜をしっかり食べれば予防できる筈だし、実際、そういう発作のおこる人には野菜嫌いのものが少くないようだし、菜食して発作のおこらなくなることも少くありません。
             
     熱量蛋白質カルシ
    ウム
    ビタミン
    AB1B2C
    もち米 精白3516.561500.40100400
    同100+大根葉30049822.15762404.69000400940270
    うるち米 精白3516.261500.4090300
    同100+大根葉30049821.85762404.69000390930270
    カロリーグラムミリグラムミリグラムミリグラム国際単位ガンマガンマミリグラム





21. オカラ

     医学博士 遠藤 仁郎 

     一般に食べすぎ、それもご馳走の食べすぎに陥っているために、からだをこわしている今日。
     減食することが、健康上にも、治病上にも大切なわけですが、なかなか、いうべくして行いがたいものです。
     とくに、減食がこたえるのは、食べる分量が少くなると、快い満腹感が得られないことです。
     そこで、いろいろカサ高の食べものを食べて、腹ごたえ、腹もちをよくしようとするのですが、この目的にうまくかなうものにオカラ(豆腐のしぼりかす、きらず、うのはな)があります。
     栄養分は僅かなもので、殆んど繊維ばかりみたいですが、ミネラルことにカルシウムや、ビタミンのあるのは、おろそかに出来ません。

            熱量 65カロリー
           蛋白質 3.5グラム
            脂肪 1.9グラム
            糖質 6.9グラム
         カルシウム 76ミリグラム
             燐 43ミリグラム
             鉄 1.4ミリグラム
           A・C 0
            B1 0.05ミリグラム
            B2 0.02ミリグラム

     以前は糖尿病食などによくつかわれました。
     むかしの糖尿病食には、穀類や芋などの糖質食品はいかん。肉や魚の蛋白食品も、やはり糖になるからダメ、というので、いきおい脂肪をうんと食べさせる。
     というのがその方針だったので、脂肪をしみこますのに都合のよい(また野菜を食べるのにも具合のよい)オカラが好まれたのでした。
     しかし、最近では、糖質も蛋白質も、必要量だけは食べなければならぬこと、脂肪のすぎることはよくないことがわかって来たので、そうしたらオカラ料理はスッカリ忘れられてしまったようです。
     そのうえ、一般の食餌がいわゆる栄養本位となり、また贅沢にもなりつつあることとで、栄養的に貧弱な豆腐のしぼりかすのことなど、よほどの物好きか困窮者でもないかぎり、見向きもされなくなりました。
     また、家畜の飼料としても余りよろこばれぬらしく、豆腐屋もその始末に弱っているとみえ、とても安い。諸物価高騰の折からなのに、なんと4−5円も出せば、祐に1日分の大きな玉がもらえ、100円も出せばバケツ一杯もあろうほどで、まずは廃物同然のオカラなのですが、どうして、どうして、とても重宝なものです。
     ことに減食にとっては、おそらく、これほど工合のよい有難い食べものは、チョット見当らぬのではないでしょうか。


    オカラ飯
     オカラをうんと入れて炊く。オカラパン、オカラ流し焼き、もよいでしょう。コロッケにも、マッシュポテトにも、しっかり混ぜこむ。
     汁にもよろしい。
     中学校の寄宿舎で、朝食にはいつも味噌汁でしたが、いちばんうまかったのはウノハナ汁という、オカラのはいったサツマ芋汁でした。
     あの味はいまだに忘れられません。


    煮物
     煮物にも精々いれる。


    いりオカラ
     オカラだけでもよし、もろもろの野菜(カサを増すのが目的ですから、何でもよろしい)、筍、ワラビ、ゼンマイ、キノコ、その他の山菜、野草、海草など、うんと混ぜこみ、油いりにする。
     小ジャコ、コンニャク、豆腐、アゲなど適宜に。
     これをうんとかければ、それだけでも飯の量はずっと減ります。
     もっと効果的には、つけ味なしか、ごくうす味にして、菜葉の漬物、塩昆布などをそえて、主食代りに食べるのです。
     せめて毎日1回。また時時、たとえば、週1回こればかり食べる日にする(オカラ日)。
     こうすれば、腹は十分たって、しかも実際には、かなり減食になっています。
     成人病の心配のある人、ことに、ふとりすぎや、便秘ぐせの人には、ぜひ、すすめたいものです。





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