健康と青汁タイトル小
 栽培方法インデックス

栽培方法(1)
栽培方法(2)
栽培方法(3)
栽培方法(4)
栽培方法(5)
栽培方法(6)
栽培方法(7)




1. 植える土がない

    高知市 T.N. 

     鉢に入れる土を農協で購入しましたが、後で詳しく農薬・下肥・化学肥料等が混入していないか聞いてみると、

       『明確に入っていないということは言えない。』

     この土は、高知では庭園などに多く一般に使われている山の赤土(福井の土と高知では呼ばれている)ですが、

       『その山が、元みかん畑などであった場合、農薬・化学肥料が使われていたことは充分考えられる。それが、土に残留していないとはいえない。大体、現在そのような土(農薬・化学肥料に汚染されていない土)は得がたいではないか。第一、農薬などは空気中にも分解してその成分は含まれているのだから』
       『また、有機肥料をと思って、土の中に入れる腐葉土・鹿沼土・魚粉・油粕・米ぬかなども、よくよく元をただせば、農薬・化学肥料に汚染されているおそれがある。』

    (以上農協の人の話し)

     このようになると、土や肥料をどの程度きれいなものを使えばよいか迷っています。
     会より先日(10月)送っていただいたもの(種子)も定植できる程になりましたので、定植のための土を用意しているところです。
     いま用意している土でいかない場合は、無農薬営農をしている農家にでも頼んでゆずり受けるようにしなくてはと考えてはおります。


     ○農協さんの言うとおり、いま一般の農地には安全な土はありません。だから、それでいいというものでもありません。いくらこういう農協にすがってもラチはあきません。
     長く健康・自然栽培(有機農法)を手がけている、会の高知支部―香美郡夜須町手結山の野村幸正さんに相談してください。
    (61・11)


2. ケールの周年栽培

    ケールを年中利用するためには、少なくとも3回(播種)

    1. 4〜5月(夏秋用)
    2. 7・8・9月(秋冬用、11月頃、十分大きくしておき、冬中もたす)
    3. 10月中旬〜11月(地方により多少ズレる)

    1、2は翌年4〜5月頃開花し、葉がとれなくなるが、
    ちょうどその頃3が大きくなっている。


3. 救国の農法 奈良県五條市財団法人慈光会の主張

     理事長・医師 梁瀬 義亮

    1、緒論
     「農は国の大体」この言葉は古くから言われて来たことです。
     現代の日本では工業や商業、特に工業が大変重要視されて農業は軽視乃至は無視され、農業は今の政治の厄介者とまでの言葉を某政治家から聞いたことがあります。
     これは全く飛んでもない誤りです。
     工業にしろ商業にしろすべての社会の営みを行うのは人間です。
     その人間の生命と健康を支えるのが農業ですから、正に「農は国の大体」であります。
     農作物はその量のみならずその質が国民の健康や生命の重大な極め手となるのですから、どのように栽培されたか、どの様に保管、輸送されたか分からぬような外国の農作物に依存しようとする現代日本の政策は極めて危険なものです。
     現に農薬汚染や人工放射性物質による汚染の甚しい、或は品質不良な外国産の農作物が輸入され国民の健康や生命を脅かしています。
     歴史を見ても国内農業を軽視して生き残った国は無いと言われます。
     遠くはあの強大なローマ帝国滅亡の最大原因は主食を植民地に依存したことであると言われ、近くは英国が二度の大戦にひどい目に遇って危く滅亡の危機に瀕したことは私等の記憶に新しいところであります。
     現在、世界の主要国の多くは国内農業を大切にし、皆100パーセント近く或はそれより遥かに高い国内農産物による自給体制を確保しています。
     独り日本のみ僅か32パーセント位の自給能力しかないことは全く世界の常識を逸脱した暴挙であると思われます。
     速やかに正しい農政と農法を確立し健康な自国農産物による自給体制を確保しなければ日本民族の存在は危いのです。

    2、近代農法を反省する

     ――化学肥料と農薬を二大支柱とする近代農法は土を殺し、益虫(天敵)を殺し、人を殺す死の農法です――
     化学肥料(以下、化肥と略称)を用いると土壌は荒廃します。
     物理的には土壌の団粒(だんりゅう)組織が単粒(たんりゅう)組織となり(こつこつの固い土になる)、通気性、保水性、保湿性が失われます。
     これは植物の根にとって致命的痛手です。
     化学的には土壌が酸性化し、変性してしまいます。
     そして重要な成分の根からの吸収が不能状態になったり或は重要成分が土から流亡してしまったりして植物を栄養不良、或は栄養アンバランス状態に陥れるのです。
     微生物学的には植物の大切な栄養や風味、耐病性物質の供給者である土中の微生物や小動物等を滅亡させてしまいます(後述)。
     かく化肥は地力(土の農作物を育てる力)を弱らせ終には殺してしまうのです。
     こんな土壌に育った農作物は化学薬品のみを吸収して大きくなるので、形ばかり大きくても栄養欠乏、或は異常栄養(例えば発癌性物質を人体内で生ずるニトロ化合物を含む等)の農薬物で生命力が弱く、不味で且味や香りがありません。
     この様な生命力の弱い農作物にこそ病虫害が必ず発生します(後述する様に生命力のつよい農作物には病虫害は極めて少ない)。
     病虫害が発生する現代農法はその栽培方法の誤りを反省せずに、結果である病虫害だけ農薬という恐ろしい毒物(化学薬品)で処理しようとします。
     農薬を用いるとどうなるでしょう。
     はじめは害虫は益虫諸共皆殺しになり人間は農作物を独占出来ます。
     然し害虫というのは草食性昆虫です。
     草食性昆虫である害虫はこの地上に於て生命力、適応性の最もつよい動物であることは昆虫学の教えるところです。
     過去の経験によれば、どんな農薬にも必ず4〜5年経つとそれに抵抗する害虫が現れます。
     一方益虫というのは害虫(草食性昆虫)を喰べる肉食性昆虫で、このものは農薬に対して抵抗性が弱く滅んでしまいます。
     結果、農薬に抵抗性を持った害虫は、これを阻止する天敵(益虫)が居ないので我が世の春とばかりに繁殖をつづけます。
     又、今まで天敵(益虫)のために押えられて害虫としての害作用が現れていなかった新しい害虫まで出現してくるのです。
     私の地方は柿のよく出来る産地ですが、以前、柿は私の地方では大変つくり易い果樹でした。
     終戦後、よりよい柿が出来るという訳で6月と8月の年2回強力な殺虫剤を使う様指導されましたが、成程一時的に害虫は押さえられましたが次第に害虫が増加し、且抵抗性が増し、今や8〜10回殺虫剤を用いなければ出来なくなりました。
     又、以前は柿の害虫と言えばヘタ虫とイラ虫の二種類だけでしたが、今やそれ以外にブランコ毛虫、スリツブス、尺とり虫、お蛾、かきのくだあざみうま、と七種類に増えて農家を困らせています。
     かくの如く農薬はこれを使えば使う程、その使用目的とは反対に、益虫(天敵)は滅亡し抵抗性害虫ばかりが増加し猖獗するという結果になり、ここに悪循環が出来るのです。
     又、農薬はこれを使用する農民の心身を侵してその労働意欲を低下せしめ、たのしく勇ましく堆肥で土つくりするよろこびを失わしめ、一見安易に見える化肥に頼らしめます。
     ここにも悪循環が起こります。
     消費者も残留農薬によって心身の害を受けるのです。
     又、弱った土で化肥を吸収して育った農作物は形ばかり大きくて、栄養欠乏し、或は毒物を含有していて、それを食べている人の心身を弱らせ、ここに第三の悪循環を生じます。
     かくて化肥、農薬を二大支柱とする近代農法は、土を殺し、益虫(天敵)を殺し、人を殺す、「死の農法」であります。
    (次回は4月号)(63・7 慈光通信より)


4. 救国の農法(3)奈良県五条市財団法人慈光会の主張

     理事長・医師 梁瀬 義亮

    5.生態学的輪廻の法則

       20世紀の最もすばらしい学問の一つは、今迄見落していた生命という事実と生命の連関という事実を事実として認めて発展した学問、すなわち生態学であります。勿論人間をふくめてあらゆる動物、そして植物、大自然はすべて生きているのです。すべての生命体を密接な相互関係に生きている状態に於て観察し、法則を見出してゆく、これこそ真の科学であります。生命という事実を忘れて発達した学問は非現実的な抽象論にすぎず、生きた現実にこれをそのままで適用するとき破綻の来ることは当然です。

       さて地上の一切の生命は水の輪廻の枠内に於てのみ生存が可能です。すなわち雨が降って地上や地下を流れて海に入り太陽熱によって水蒸気となって上昇して雲となり再びまた雨となって地上に降りそそぎます。この水の輪廻の中でのみ地上の一切の生命の存続が可能なのです。若しこの輪廻をどこかで切りますと忽ち地上は大旱魃に襲われすべての生命は枯渇死するのです。酸素の動植物間の輪廻についても同様のことが言えます。
       今一つここに地上の生命の生存にとって極めて大切な輪廻があります。それは生態学的輪廻です。即ち植物が太陽エネルギーを利用して極めて複雑な構造の、むしろ神秘的とも言うべき合成物(有機性物質)を合成してくれます。動物は植物のつくってくれた有機物を喰べてのみ生きることが出来ます(肉食動物は間接に植物をたべて生きています)。動物の排泄物や死骸や植物の死骸である落葉や枯木、枯枝は微生物によって地上で好気的に分解され好気性完熟堆肥となります。これが植物の最も大切な食べものです。

        (註)微生物には空気の流通のよい状態に於てのみ活躍して有機物を分解するもの(好気性微生物)と、空気の流通の悪いところを好んで活躍するもの(嫌気性微生物)とあります。前者によって分解され堆肥化したものを好気性堆肥と言い、これは芳香性のよい香りがして大切な植物の食物です。嫌気性微生物によって出来た分解産物を嫌気性堆肥と言い、これはべたべたして悪臭があり植物にとって悪食物で、植物に病虫害を起こさせます。

       地上の好気性完熟堆肥はまた徐々に地中に浸透しますが、地中には地上より約30cm位までの深さのところにバクテリア、カビ、藻類、微少動物から蚯蚓、もぐらに至るまで数限りない生命が生きていて一つの世界をつくっています(土中生態系)。地中に浸みこんだ好気性堆肥はこの土中生態系を健全に養う大切な食糧です。
       さて土中生態系がつくる数限りない有機質(蛋白、脂肪、炭水化物、酵素、ビタミン類等々)を植物は根から吸収して、水、空中の炭酸ガスと共に太陽のエネルギーの利用の下にあの神秘的な有機性物質の合成を行うのです。これを生態学的輪廻と申します。

       この輪廻をどこかで切ると土は砂漠化し、植物は枯れ、動物は死滅します。エジプトや中近東の砂漠の相当部分が家畜の飼いすぎによるこの輪廻の切断によっておこったものです。最近シルクロードの映画で、遊牧民が草地を求めて羊を養うとき、羊にその土地の草を喰いつくさせるとあとが砂漠になってしまうからいいかげんたべたら移動するのだと言っていましたが、正にその通りです。
       近代農法は化肥や農薬等化学薬品で土壌を荒廃させ、土中生態系を絶滅せしめて図2(図略)のB点で生態学的輪廻を切断してしまうのですから、正に自然法則を無視した暴走農法と言うべきです。最近アメリカの穀倉地帯であるイリノイ州の農地が約3分の1砂漠化して来たと大問題になっていますが、それはこの実例です。日本は多雨ですから所謂砂漠にはなりませんが、地力の低下か砂漠並みの農地が多く出現して憂に耐えません。更に前述の如く農薬の使用は地上の昆虫の生態系を破壊し、益虫皆無、農薬抵抗性害虫蔓延の極悪生態系をつくるので尚更です。こんな恐ろしい「死の農法」を現在正統農法としているのです。

    6.生命の農法
       大自然の生命の法則である生態学的輪廻の法則を遵守したときは農作物は正しい栄養によって成長し、生命力が旺盛で病虫害に強く、ここに完全無農薬有機農法が可能となります。これこそ健康に役立つ唯一の「生命の農法」であります。
       この農法を一言に要約して言えば、

        「土から出たもの(あらゆる有機物)は必ず地上で土にして(好気性完熟堆肥にして)土に返す」

       ということです。
       日本のあらゆる有機性廃棄物(草、藁、生ゴミ、屎尿等々――但し紙その他化学薬品によって汚染されたものを除く)はすべて市町村単位で好気性完熟堆肥にして清浄化し、日本の土壌に還元すべきです(紙は必ず再生して用うべきです)。これに日本に多産する石灰を適用すれば日本の土は極めて地力に富み、健康な農作物はおのずから生育し化肥、農薬を使用する必要はありません。国民の健康はおのずから増進し、精神も健全化するのです。(次回は10月号)


5. 救国の農法(W) 奈良県五条市財団法人慈光会の主張

     理事長 梁瀬義亮

    7、有機農法実施に当って特に注意すること

      (イ)生の有機質(油カスや鶏糞等の有機肥料や生草等々)は決して生のまま土中へ埋めこんではいけません。これは極めて大切なことです。
      (ロ)嫌気性になった堆肥−(アンモニア臭等の悪臭のある堆肥)――や未熟な堆肥――(堆肥が完全に熟するには必ず半年乃至一年を要し、その間3〜4回切り返す必要がある)――は決して土に埋めこんではいけません。
      (ハ)堆肥を土壌に施すのは必ず毎年1回だけ。木の葉の落葉する時期に地上或は極めて浅い土中に施します。それ以外の時期には施さない。その他の時期の追肥はボカシ或は生の油カスや綿実カスをうすく地表に施します。この時うすくまくことが大切です。5月半ばから6月一杯、8月半ばから10月半ばまでの害虫発生期にはこのことは特に大切で、うすくまかないと虫害が出ます。その他適地適作、播種期の適正等の大切なことは言うまでもありません。
      (ニ)石灰の施用について
       石灰の施用はしばしば篤農家によって非難されます。然し酸性の強い日本の土壌(勿論地方によって差はあります)では堆肥だけで土壌の酸性度を匡正するのは仲々困難です。
       そこで十分に堆肥を施すという条件の下に上手に石灰を用いる方が作物はよく出来ます。
       その際、消石灰、苦土、石灰、炭カル、硅カル等を時々交代して用いる方がよいと考えます。
       量は土地によって差がありますが、10アール当り5袋位が標準です。
       私の方は苦土石灰を中心にしています。最近は酸性雨が降りますから余計石灰が大切になります。
       堆肥を施し足りずに石灰を用いると土が痩せてしまいますから注意して下さい。
       貝殻末等の有機石灰は土や土中生態系に害を与えず大変よいものですが、土壌の酸性を匡正する力が弱く且徐々であるという欠点があります。

      8、財団法人慈光会
         昭和27年、私は、化肥によって栽培された農作物は欠乏食であり且しばしば毒性を持ち病気の原因や誘因になることに気付き、同時に近代農法が量産と外形のよさにのみ眼を向け、最も大切な人間の健康を忘れていることに気付きました。
         そして篤農青年と共に人間の健康を主目標とした農法を追及して研究をすすめ、それは化肥を全く用いない完全有機農法でなければならぬことの確信を得たのは昭和32年でした。
         他面、昭和31年夏頃から私の地方に多発していた一見肝炎様症状の患者についてその原因を追求していた私は、昭和34年2月に至ってそれが農薬による亜急性、乃至慢性中毒であることを発見し、その害の深刻且広汎さに驚愕して農薬の害についての啓蒙運動に乗り出しました。
         同時に化肥、農薬の理念自身が誤りであること(前述)に確信を持ち、完全無農薬、完全無化肥の有機農法の理念と実技の研究を推進し、財団法人慈光会の前身である「健康を守る会」を設立したのです。爾来試行錯誤をくり返し乍らも終にその原理と実技を完成いたしました。
         昭和46年、財団法人の認可を得ました。
         稲作、蔬菜は25年、果樹は16年完全無農薬有機農法で栽培し、量、質共に満足すべき成果をあげています。
         又協力農家の皆さんはこの農法を実施して以来、頓に健康が増進し、大きなよろこびをもって生き生きと農にはげんでいます。
         この点、不健康で農業を嫌う傾向のつよい一般農家との大きな差です。協力農家の奥さん方が話されました。

           「嘗て化肥と農薬で農業をやっているときは生活は地獄でしたが、今は天国です。」と。

      9、(財)慈光会農民の信条
        (イ) 大自然は吾々に農作物を与えてくれる超生命であり、慈母です。大自然の運行と大自然による生態系の運営の中に人間が生かされているのです。
         大自然への畏敬の合掌、これが慈光会員の自然の姿です。
        (ロ) 農作業は一般に考えられているような作る作業でも取る作業でもなく、大自然がつくってくれる農作物をいただく作法と考えます。
        よいものをたくさんとる或はつくるのではなくて、正しい作法によって十分にいただくのです。
        (ハ) 害虫は決して敵ではありません。害虫も大切な生態系の一員です。
         又益虫の餌でもあります。正しい栽培をすれば害虫は作物を5パーセント位たべる位でそれ以上増えません。
         害虫を異常繁殖させるのは、人間が生態学的論廻の法則を無視して悪い条件をつくるからです。
         その意味で、害虫の異常発生は栽培方法の誤りに対する警告、或はインディケーターと考えられます。
         例えば、正しく栽培されて害虫のほとんど発生していないキャベツ畑の一部に鶏糞を埋めたり、化肥、硫安を施しますと、そこのあたりに害虫が多く発生してきます。
         (註、6月、9月の害虫大発生期には害虫に弱い作物の幼弱期をさけること)。
         害虫を殺すのではなくて、害虫の暴れないよい環境をつくるのです。
        (ニ) 雑草は農業の敵ではなく大切な協力者です。雑草は土を肥し、その流亡を防ぎ、清浄化してくれるのです。
         化肥や農薬で土を痩せさせるから作物は出来にくく、痩せ土に生える強力な雑草が生えてくるのです。
         よい土が出来てくると雑草の種類が変ります。雑草を上手に利用させて貰う工夫が大切です。
         勿論一部の人が言う様に雑草を生えるままにすてておくという意味では決してありません。
         適当に草とりや草刈りをしてコントロールすることが必要ですが、本来雑草は前述の様な大切な意義をもっているのです。
         除草剤はもっての外です。
        (ホ) 生産者、消費者、流通に関与する人々は、お互みんな生かし合い、生かされ合う恩人同志であるということの確認と自覚。
        (へ) 豊かな情操と正しい世界観、人生観、自然観、生命観をもつことは人間として当然のこと乍ら、農民には極めて大切です。農民はもっともっと教養を高める努力が必要です。

      ――完――


6. 無農薬栽培 日南での思い出

     田辺 光正 

     日照時間の長い南九州で、健康を願うにふさわしい環境に、ケールの栽培地をと思い、昭和48年頃に探しました。折しも大きな源氏蛍の飛ぶのを見て感心したのが日南でした。此地の川には稚海老の列や川ニナと蛍がいる。更に農家では刈草を牛の餌にしているのが、すごく嬉しかった。堆肥に抗生物質汚染もありません。(此頃は公害・農薬たれ流しで蛍は絶滅したと言われていました)実に、素晴しい自然環境があり、ケールをここに作りたいと決めたものです。

     今まで協力的だった農協の指導員さんが、無農薬では菜っ葉は作れませんと言い残されて去られたことを思い出します。結局一部の篤農家のご協力でケールの無農薬栽培が始められました。この地では4月初めに田植という気候の好さに、虫のことが心配になり、少しとまどいましたが、先ず畠に堆肥を5トン〜10トン入れてもらい、土作りから始めて、ケールを植えつけました。
     大きくならない内にもう虫がついている。季節が進むと虫を捕っても捕ってもわいてくる季節があります。それでも天敵が出てくるまではと言っては、見るも無惨な虫食いケール葉を買い取って頑張って貰いました。
     そして3年目から小鳥は勿論、雀も群がりだした。5年目位から青蛙が目につきはじめて以後毎年多くなり、8年目頃には蛙を足で踏つける程に殖えてきました。この様に次々と新しい天敵が出て応援してくれていますが、しかし今でも虫がわいて捕っても捕っても追いつけないこともあります。
     葉菜類の無農薬栽培には多くの努力が必要です。その後、健康を求める人々が次々色々と試みられていました。しかし今では低農薬栽培とかの新語を使う人やグループが多くなったように聞きますが、残念な思いがいたします。
     人に、なぜ無農薬なのかと聞かれても、なかなか答えにくいですが、以前に私は「このケールを食べる人の中には、一日に2kgちかくも食べる人もいる。となるとたとえ農薬は少なくても弱くても、病弱な人が、健康な人のなん十倍もの農薬を食べることになって、それが病気の治療に障っては申訳ありますまい。」と答えたことがありました。
     或る肝臓の悪い(肝炎)人に無農薬、有機栽培のケールの乾燥加工品を食べて貰って、病院からの退院が非常に早くなったと喜ばれたことがありました。その友達の慢性肝炎の人は、10年以上も通院してよくならなかった、80才の老人も、此のケールの乾燥品を食べて4ヶ月間で急に良くなったと礼にみえられた。
     此の人の親戚の肝硬変のご婦人の顔の色素沈着がとれた。病気が治ったより嬉しいとの便り、その2ヶ月後の検査ではデーターまで良くなってきて、医者も驚いたそうです。他にも腎炎・慢性腎炎の尿蛋白が減った。糖尿、痛風、筋ジストロフィー、10年来の喘息が、痔が手術せずに、癌治療薬の薬害が非常に軽かった。最近多い、子供のアトピー、花粉症鼻炎にも意外に効果のある場合が多い。こんな物でと、びっくりする程の効果を見ることに、数々でくわします。

     しかし同じようなケール製品でも、或る人が(上記2番目の人)2ヶ月程、他のケール(無農薬製)を用いて、肝機能のデーターGOTが40以下に降っていたものが急に80になり、又別のケール製品に代えたが一向に良くならない。とのことで、前の物がほしいと言われたことがありました。
     無農薬ケールで同じはずなのに、データーが何故悪くなったのか、不思議がっておられました。青野菜を増やして健康になるということは、野菜不足だったということです。健康な時から、いや乳児の子供の時から、毎食少しづつでも、安全な青野菜分を与えて正しい栄養と味覚を体験すると、皆んな幼児がアメ玉や甘い菓子を口に入れずに、玩具にしてもち遊びます。その後も大人の味覚で、甘い菓子などを、子供におしつけなければ、元気で病気しない子供になってくれます。

    (1988・8)


7. 連作のせいか

    奈良県 N.M. 

     一昨年10月より、畠を少々借り、ケールを自作し、青汁仲間が8人ふえました。
     不思議なことに、昨年の春は大変大きな葉が出来ましたが、連作した所、葉が小さく、後から新土地に植えた方が却って大きくなります。
     連作はやはりいけないのでしょうか。
     色々研究してみようと思っております。

    (平成2・1)

    ○ そうだろうと思います。できれば連作しない方がよろしい。


8. 母なる大自然!

     梁瀬 義亮 

    「農業で害虫を殺さなければ収穫はゼロになる」
    「化学肥料を使わないと収穫は減ってしまう」
     学者も為政者も農民も一般消費者も皆そう信じ切っています。
     これはとんでもない錯覚です。
     大自然は私達を生かしてくれる偉大な慈母なのです。
     大自然の法則に素直に従えば害虫は決して跳梁出来ないのです。
     そして私達はたべものを十分に豊かに、与えられるのです。
     慈光会の直営農場や協力農家の田畑では永くて26年短くて17年間農薬や化学肥料を全く用いないで品質、収量共に十分立派な収穫をいただいているのが何よりの証拠です。
     去る11月15日山辺郡山添村で農業の研究会がありましたがその席で北九州市の農業改良普及員の宇根豊さんがウンカについての御研究の写真をいろいろと見せて下さいました。
     いままで数字的にしか知らなかったことを具体的に写真で見せて頂けて大変興味深く又示唆されることが多うございました。
     御存知の様に毎年春になると中国から黄塵が飛んで来て薄黄色いモヤが立ちこめますが、その黄塵と一緒に稲の大害虫であるウンカの大群が飛んで来ます。
     そのウンカの大群によって日本の稲は大被害を受ける筈なのです。
     ところが稲田にはいろいろな種類の蜘蛛がたくさん居まして(10アール当り5〜6万匹)1日に20乃至30万匹のウンカの幼虫をたべてくれます。
     蜘蛛の外に多くの種類の蜂やその他トンボ、雨蛙、カマキリ、コーロギ等々がウンカから稲を守ってくれています。
     結局1匹の成虫ウンカから生まれた200個程の卵の中で無事に成虫になるのは精々5匹位です。
     更にこのウンカの成虫を或種のダニやウンカ独特の寄生虫類がその発育と繁殖を押えてくれるのです。
     その上正しい堆肥を用いて土つくりをしておきますと稲の根はしっかりと張り、茎や葉が堅実に出来ますからウンカは喰べにくい上に少々喰べられても稲はビクともしないのです。
     それですから別に農薬を用いてウンカを殺そうとする必要はないのみならず、反って農薬を使いますと蜘蛛や蜂、その他の益虫(天敵という)が先に死滅してしまって抵抗性のあるウンカが我がもの顔にのさばって繁殖し稲に大害を与えるのです。(ウンカは天敵よりはるかに抵抗力がつよく、中にはどんな農薬にも抵抗するものすらあります)。
     又化学肥料を用いますとウンカをやっつけるウンカの寄生虫が奇妙に減るのです。
     今から10年余り前五條市一帯に物凄いウンカの大発生がありました。
     ウンカの為に前が見えなくて蒸気機関車が止ったのもこの時でした。
     殺虫剤を散布しても一夜で全滅或は半全滅する田も多かったのでした。
     この年も慈光会の協力農家の田は全く農薬を使っていないのに平年作の収穫がありました。(勿論田の一部に穴があいた様に2米四方位やられた場所はありましたが)。
     大自然の守りをこの時程泌々感じたことはありませんでした。
     この文のはじめに自然の法則に素直に従えば自然は害虫の跳梁を押さえてくれると申しましたが正にその通りなのです。
     化学肥料や農薬を使うことは自然の法則を破ることです。
     完全無農薬有機農法で質的にも量的にも立派な野菜や果物が出来るのも同じ原理です。
     近代農法の誤りは、植物(農作物)の生命という事実、また生態系の一員であるという事実(農作物が昆虫やその他の動植物、又地中の微生物や小動物や藻類等ともちつもたれつの相関関係の中でのみ生き又生育出来るという事実)や又あらゆる生命は大自然によって生かされ又その生態をコントロールされているという厳粛な且ありがたい事実を見落とし、何もかも(声明の世界まで)人間の力でどのようにでも出来ると錯覚していることです。
     思えば近代文明全体がこの錯覚に陥っていて、そのため科学に推進されたこのすばらしい筈の文明が人類滅亡の死の淵と変ってしまったのです。
     今こそ人類はその驕慢な錯覚から目覚めて母なる大自然の前に謙虚に懺悔の合掌をして、人間同士は勿論のこと、人類を生かせてくれているあらゆる生命に懺悔と畏敬の念を持つべきときが来ていると存じます。
     (今まで人類は随分誤ったことを永年して来ましたので現時点では様々の苦悩と矛盾が出て来るでしょうが、原則的に)それが人類が生き残り繁栄する唯一の道と存ずるのです。
    (慈光通信6号より)


9. 犬にすっかりやられ

     確か58年だったと思いますが、先生がケールの青汁が、健康によいことを話されているのを新聞で拝見。丁度その頃少々健康を害しておりましたので、お願いして種子を送って頂き、以後、今年の5月頃迄、毎年栽培し、青汁をいただいて参りました。
     お蔭様で今では健康を取りもどしております。今年も10月に入って種子を播いたのですが、少し生えて来たところを私の不注意から犬にすっかり掘り返され、腹が立つやら悔やしいやら残念でなりません。このままケールがなくなってしまうのはつらいのですが、種子物屋さんにはございませんし、もう一度、お願い申し上げます。


10. 春夏用のケール

     この10月中〜下旬に播種、12〜1月に移植してください。春〜秋まきの花がつくころ大きな葉とれだします。


11. 夏のケール

    広島市 T.T. 

     3月初め蒔きましたケールの青汁を5月19日まで喜んで感謝して飲みました。
     おかげで幼果がありました。けれど、これから夏はケールは虫のため、とても出来ないのです。先生はどうしていらっしゃいますか。私はパセリ、青チソ、サツマ芋の葉、ツルムラサキ他、夏野菜を工夫して飲んでみます。夏のケールの作り方がわかりません。お知らせ下さい。
    ○ 私どものところでは青汁は配達されていますので、今では、ケールはほんの見本をつくっているだけですが、気づいたこと申し上げてみましょう。

    1. 春まきのケールは夏〜秋用です。5月には葉がまだ小さいので、すぐなくなってしまいます。葉は、十分大きくなってとること。葉が上向きの間は、まだ成長中ですから、水平になってから(春まきだと6月ごろです)とり始め、夏〜秋まで。

    2. 虫はせっせと見まわり、とること。初めのうちは大変ですが、年々被害は少なくなります(天敵があらわれて)。ケールは特に虫がつきやすいので、ほかのナッパキャベツ、コマツナ、ナタネ、カキハダイコン、COなど植えておくこと。サツマイモ、ツルムラサキも結構でしょう。私は食用アオイ、バイアムなどもつくっています(主に惣菜用)が青汁にも利用できます。

    3. なお、ケールを1年中利用するためには、春、初夏、初秋と10月中〜下旬の3〜4回まくとよろしい。初夏〜初秋まきは秋冬用。11月ごろまでに十分大きくしておきます。春〜秋まきは翌春花がつき葉がなくなりますが、それにそなえるのが晩秋、10月中〜下旬にまき12月〜1月に移植します。春3月ごろからしだいに大きくなり、花時には十分間にあうようになり、春から夏、つづいて翌春までもちますが、だんだん弱ってきますから、これだけにたよるのは危険です。

    (平2・8)(遠藤)




クリック 栽培方法インデックスへ戻る






ご意見・ご要望はこちらへクリック
階層リンク 田辺食品 青汁 健康と青汁 上の階層へ
サービスリンク 更新記録 全体構成 商品紹介 注文方法

Copyright 2011 09 田辺食品株式会社