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癌インデックス:掲載紙面選択
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癌(1)
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癌(2)
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癌(3)
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癌(4)
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1. 癌にきくか
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医学博士 遠藤 仁郎
“青汁は癌にきくか”という質問をよくうけます。
「青汁なんか・・・・・・」と小馬鹿にする人も少くありませんが、じっさいいろいろの病気にききます。
奇蹟といいたいほどの効果もしばしばみられることは、皆さんもよくご存じの通りです。
そこで「癌にも・・・・・・?」とは誰れしも考えられるところです。
癌は最近だんだんふえたといわれます。
どうもそうらしく、ただ診断がうまくなっただけではないようです。
それにはまたいろいろの原因がありましょうが、食べ物の間違いも確かに関係しています。
甚しい不完全食である上に、食べ物に加えられる雑多な操作や添加薬品、色素、甘味料などが、ことに大きな意味をもっているのではないかと考えられます。
ですから、食の改善、ことに、その自然化を目的とする緑葉食、青汁が悪い筈はない。
いやたしかによい筈だ。ひょっとしたら治るかも知れぬ、と私も考えぬことはありません。
しかし直接私の扱ったうちには、まだ治った人はありませんし、青汁を随分熱心にやっていながら、乳癌ができ、そのため遂になくなった婦人を知っていますので、私には、青汁だけで「癌が治る」とか「予防でける」とかいうだけの勇気はありません。
で、現在のところ、医学の常識にしたがい、なるべく早く発見して、なるべく早く手術し、あるいは放射線や化学療法を施し、青汁を中心とした栄養の完全化をはかるのが、最も合理的なやり方ではないかと思います。
ところで最近、須磨の西川先生と園部の石川先生から別項のようなご報告をいただきました。
青汁には、何も抗生剤やその他の薬剤のような強い殺菌力や抗菌力があるわけではないのですが、それでも、それらバイ菌による病気に罹りにくくなったり、治ったりします。
たとえば化膿症は化膿菌の感染によるものですが、化膿するなんてことはなくなり化膿しているものも早く治ってしまいます。
少くとも薬がよくきくようになります。
それは、緑葉食、青汁による栄養の改善で、からだに化膿菌に対する抵抗力が出来るからです。
また、ビールスによる風邪や流感でも同じです。
癌もビールスが原因らしいといわれてますから、同じく、からだの抵抗力が出来れば、そのはびこりは防がれる筈です。
癌の病人をみていると、食事の出来る間は、割と進行がおそいが、食べられなくなると、急に進むものです。
それは、病気の進行がひどいから食が衰えるのだ、ともいえぬことはありませんが、どうも、その逆みたいに感じられることがよくあります。
また、食のとれなくなるような癌ほど経過がみじかい、という事実もあります。
消化器の場合、食道の癌が一番早い。
胃では入口(噴門)のが早く、次が出口(幽門)ので、中程(胃体)のは比較的ながくもちます。
大腸や直腸や肛門のになると、さらに経過はながくなり、子宮や乳といった、消化吸収と関係のない所のものでは、随分ながいのがある、という風に、栄養、したがって体力のいかんが大いに関係します。
それと同じく、何か体力をもりあげる方法があれば癌の進行を食いとめ、あるいはたたきつけることも出来ぬことはないように思われます。
青汁の効もそこにあるのではないでしょうか。
西川先生のご報告は、まさに、それを裏書するもののようです。
しかしそうかといって、先生も仰言っているように決して軽々しく、それで癌が治ったなどとはいえません。
民療家の中には「必ず治る」とか、「青汁さえやっておれば手術の必要もない」などという人があるようですが、そうしたことには充分慎重でなければならぬと思います。
というのは、癌が自然に治ることは、決して「ないことではない」のですが、それは極く稀な、例外的のことであり、そうそう無暗に奇蹟が起るものではありません。
それは、石川先生のお報らせによく窺われます。
レントゲンでも癌とされたのが青汁で治っています。
先生は、「レントゲンの誤診だった」と卒直に仰言っていますが、実は、こういうのが、世間でいわれている「青汁で治った」例であったり、「俺が治した」と誇称されている例であろうと思われます。
癌の診断は余程確実にはなりましたが、間違なく診断することは仲々むつかしいことなのです。
外部から見えたり触ったりできる所のものはまだよろしいが、私ども内科医者の「探り」を入れるところのものでは、随分誤診します。
石川先生のばあいのように塊りがさわり、レントゲンでそれらしい所がみえても、必ずしも当りません。
それどころか、腹を開けて、直接手で触ってみてさえもまだ間違うのがある程です。
確実には、その一部をとって来て、顕微鏡できめたのでなければ、ほんとうに癌とはいえず、また、そういうのが治ったのでなければ、ほんとうに青汁で治ったとはいえません。
青汁はよいにちがいありません。
少くとも悪い筈はありませんから、やれれば大いに、さかんにやってみて欲しいものです。
しかし、これだけで治るなどとは軽々しくいうべきでないことも、よく心得ていただきたいと思います。
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2. 癌報告二題
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西川 慶治
青汁の同志もお蔭で次々と増加し喜んで居ります。
昨年7月兵庫県立医大で「ここ1週間の寿命」と宣告された75才の老婦人(直腸癌)が、どうせ駄目なら自宅でと退院し、青汁を続けて飲んだところ、1年後の今日もなお病状は依然として、左程悪化もせず奇蹟的に生命を保っていられます。
小生は他にも2、3経験を持って居りますが、青汁で癌が治るか治らないかということは別の問題として、少くとも制癌作用のあることは最早疑うわけにはまいりません。
(34、7、3)
京都府 S.I.
青汁は以前から愛用し、患者にもすすめ、親戚の者にも飲用させて居ますが、最近これが奏功した一つの実験例を御報告申上ます。
○
患者は66才の僧侶です。200−120ミリの高血圧症にて、肩こり、心悸亢進等に悩まされて居るとのこと。
早速青汁の効用を説き用いさせて居た所、気分良好なるに喜んで、ミキサーまでも購入して、全くの青汁党となって居ました。
所が患者の妻君。同じ頃より、他医より胃痙攣の発作とて、時々注射を受けて居るとのこと。
私が診察せるに、心窩部に抵抗あり、圧痛甚しく、癌の疑にてX線検査の結果(病院にて)胃癌との診断。
本人は手術は全然承諾せず。それより死んでも構わぬ青汁をのむとのこと。
爾来熱心に1日2−3合位続けて、X線の誤診か、だんだんと胃痛も去り、食慾出で、他覚的にも抵抗感も少く、気分爽快となれり。
爾来心窩部の疼痛発作はなくなり、目下あの当時とは打って変って健康体となれり。
胃潰瘍か、平素の疼痛は胆石発作であり、X線検査は間違であったか。
病気は治れば、原因は別に研究するとして、本人はそれでよいのであるから、満足して、それより一層青汁を愛用して居ます。
(34、7、14)
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3. 医者に見離された胃ガン
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仙台市 S.E.
近所の知人…胃ガンと診断され、しばらく入院中の処、生命も年内せいぜいとの内報に、家族一同悲嘆に暮れて退院しました。病中のこととて用便もままならず、匍匐して漸く用便の状態、終日寝たきりして衰弱、輸血等、手当てに困雑していました処、青汁を毎日実行して1ヶ月余りとなりました。
今日身体の調子が全く一変して、食慾が出て終日起きて、新聞、雑誌をよみ手紙を書き、その上家の中の雑用などの御手伝もやれるようになって来ました。
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4. 食道ガン治る(?)
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福岡県 Y.H.
私の懇意にしている人が昨年9月ごろより、食道ガンで食事ができず、医師の注射だけでもって居り、医師も、このままでは1年位しかもてぬだろう、手術の方法もあるが、この食道は日本でも専門医が少い。
千葉の中山博士がこの専問家だから、そちらへ行ったら、とすすめられたが、中味は開いてみねばわからず、もし遠方の千葉までいって、附添いに行ってくれる妻とともに、いつまでも帰れぬとか、死んだとかなったら、どうにも始末つかんので、行き兼ねてる内に、日一日とやせ衰えて、全くの骨皮の人間剥製となって、うす気味悪く、家人も感じて、何とか頼る薬はないものかとあれこれ心配しておりました。
たまたま新聞で青汁のことを読んで、いろいろたずね、朝食ぬきで1日飯わん2杯のみ続けたところ、ぐんぐん元気となり、体重も健康時と同様またはそれ以上に快復した。
奥さんも、主人が青汁だけなので、一人だけご馳走食うわけにもいかず、またそれどころでない心配が大きく、青汁を主人にのませながら、自分もお相伴に青汁をのみ出したところ、これもまたぐんぐん元気になって、とても起居動作が身軽くなって来た、とよろこんでいます。
もちろんこの人は、文字通り青汁だけに生命を托して居ります。
(36・11・3)
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5. 乳癌 奇蹟的によくなる
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米国・加州 S.S.
私のお友達で、手術(子宮の肉腫除去)ののち、ホルモン注射やホルモン薬を使用したため乳癌になり、本人も医師も知らぬ間に手おくれ。
早速手術するように医者もすすめましたが、癌専門医によりホルモンを運ぶすじを切断してもらいました。はじめの医師は、どんなにしても、2、3ヶ月の寿命だ、といい渡されました時、私が青汁新聞をさし上げました。
それから熱心な青汁信者になり、奇蹟的に元気になって、昨今は自身でケールを作って、毎日2杯づつ飲用されております。
勿論癌は切開したわけでありませんから癌患者なのですが、乳房も以前のように小さくなりました。
2年にもなりますが、三月毎に病院にかよっております。青汁のことは医師には知らせていないので、今さら言えずにいられますが、医師も本人も不思議がっていられます。
(64・5・15)
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6. 力強い薬
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岐阜県 S.T.
ほんとうに力強い気分になりまして服用したしております。
まだ一週間にしかなりませんのですが、何となくききめがあると思います。
実は一昨年7月1日に幽門狭窄症胃癌というような病名で手術いたし、胃も3分の1に小さくしてもらいました。
その後、大変ぐあいもよろしく今日にいたっております。
66才でございます。
労働というほどの仕事もいたしませんけれど、農家でございますので鍬仕事もいたし、かなりの力仕事に体を動かしております。
食事はおいしくいただけますけれど、量は少ししか食べられません。
ちょっと多いと思いますと、胸のあたりにつかえた気持で、ゲップが出れば気持よく、わざとに指を入れて出す時もあります。
青汁を服用してから、この胸の気持悪いのが大変よいように思います。
ほんとうに青汁を今後力強い薬と思って服用いたしたいと思います。
このごろは菜っ葉がございませんので、ゲンノショウコ、クズの葉、ヨモギ、イチジクの葉、松の葉、南瓜の葉など用いております。
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7. 魔の力 子宮癌を制圧
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貝原 邦夫
昭和38年8月初旬、母の健康状態について相談があると、父に呼ばれて郷里を訪ねた時の様子。
母が3ヶ月ほど前から土地の病院に通院しているが、異常が無いと言われながらも、何かしら体の状態がよくないので婦人科の診断を受けた。
ところが、どうも子宮筋腫らしいので、手術した方がよいとのことだが、如何したものかとの話であった。
そこで早速自宅につれ帰り、遠藤先生にお願いして倉敷中央病院で精密検査を受けました。
その結果は、筋腫ではないらしいが、1日も早く手術した方がよろしいとすすめられました。
この時私は悪性腫瘍だと直観はしていましたが――。
8月6日中央病院入院、8月9日吹田婦人科医長の執刀で手術。
私が役所の務を終えて、病院に母を見舞ったのが午後6時過ぎ。
鼻からゴム管を通し、酸素吸入のテントの中に、こんこんと眠るベッドのそばで、つめかけた家族、親族から大変な手術だった。手術中も心臓が衰弱のため脈搏がとれず、心電図をかけとおしであったこと等々聞きました。
午後8時過、吹田医長さんに呼ばれて、父と二人で、摘出した患部を前に説明を聞きました。
子宮口がふさがれて、中に癌が発生、肥大して遂に2ヶ所で穿口、腹膜炎をも併発全く手遅れだった。
これが筋腫ならば問題ないんだがと、同日手術された人の標本を前に、そして腹腔から洗面器に排出した膿約5合を指さして、この中はすべて癌細胞で一杯である。子宮は全部摘出したが、恐らく転移もしているだろうし、心臓が非常に衰弱しているので今晩中が危険である。
若し持ちこたえても二度と生きて帰れると思ってくれるなとの宣告を受けました。
年老いた母とはいえ、肉親の絶望を宣告されたあの瞬間は、未だに私の脳裡から消え去ることはできません。
当日は麻酔科の医長さんも徹夜で附添って下さいました。
輸血、点滴、酸素吸入、強心剤等々・・・・・・。このように中央病院の先生方の献身的なお力添えを頂いて、ようやく死線を脱し、1日1日と快方に向いました。
手術跡いえてコバルト照射をはじめましたが、クール半ばで白血球減少を来し、食慾も衰え、貧血著しく、10月15日4回目の輸血。
全治を待たずして11月3日、文化の日に退院いたしました。
あれから5年。この間定期的に検診を受け、婦人科医長さんが不思議だ、不思議だと頭をかしげられていたということを、人づてに聞きましたが、昨年(昭和43年)夏で完治の喜びの日を迎えることが出来ました。
この長い恐怖の戦慄とも言うべき5年間の母の生活を、皆様にご紹介して、お世話になった倉敷中央病院の先生方に感謝の意を表するとともに、宿命に泣く癌患者の人たちや、癌予防の意味からも、心から青汁の大量飲用をおすすめしたいと思います。
子供は成人しても親から見れば乳飲児同然、誠に頼りないものと思われるのが世の常。
私がいくら青汁をすすめてみたところで仲々聞いてもらえなかったように記憶いたしておりますが、入院以来誠に熱心な青汁信者になりました。
退院の日、遠藤先生から現代の医学では今まで病院で行ったのが最善の処置。
退院後の患者にしてさしあげることはもう何一つありません兎に角青汁をしっかり飲んで癌細胞に対する抵抗力をつける以外に方法はないのだからと、親切なご教示を頂きました。
ちょっと話が横道にそれますが、私どもが青汁製造器具のないのに困惑していたさなか、富士電気株式会社よりジューサーを持参して遠藤青汁の会で推薦してほしいとの申入れがありました。
だが、実験の結果、1回目も、2回目も拒否。遂に3回目に汁とかすの分離出来るものを開発され、しかも分析した結果非常に良質な汁であることがわかりました。
これで家庭用のジュース製造も青汁を始めて十数年目ようやく解決できました。
それにしても138億3000万円という大メーカーが、田舎の片隅から提唱している青汁のため、よくぞ協力してくれたものと感謝し、喜こびあったのが、母の発病当時だったと思います。
退院後は早速この富士ジューサーを使用して毎日青汁を3合〜4合飲用しました。
勿論母が自分で製造。その頃家にケールがなかったため農家で栽培しているキャベツの外葉(冬期のため農薬の心配はなかったと思います)を使用しました。
昭和39年の春さき父から、母が青汁をはじめてからは冬中風邪一つひかないで、今までにない最高の健康状態だ。
ほんとに青汁とはえらいものだなあという中間報告を聞いたことも記憶いたしています。
兎に角5年間の対癌生活はこの青汁飲用を忠実に実行したこと。
農薬、着色、人工甘味、防腐剤等による有毒、有害食品をさけたことのみであります。
このような平凡な生活で、4回に亘る大量輸血に血清肝炎も出ず、5年完治の喜びをかち得たわけであります。
しかし考えて見ると現代の文化生活。テレビにラジオに売らんかなの宣伝に明け暮れる世の中で原始生活を続行することも仲々生やさしいことではなかったことと思います。
この困苦を克服する忍耐力、この努力こそ癌制圧の極め手であったと私は確信いたしております。
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8. 十字科植物と癌
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腸管内には発癌物質(ベンツピレンやジメチールベンツアントラセンなどの)を分解する酵素があるが、この酵素の活性は食べものによって変化する。
Wattenbergの実験によると、この酵素活性は、飢餓動物では0。
釣り合いのとれた精製食(カゼイン、スターチ、コーン油、塩類、ビタミン)動物でも殆んど皆無(0〜0.1±0.1)だ。
しかし、この精製食に乾燥野菜を25%加えると著明に増強される。
すなわち
ハナ芽キャベツで 23.8±2.0
キャベツ 11.7±0.7
カブラ葉 5.4±0.2
ブロッコリ 3.5±1.4
カリフラワー 1.0±0.0
アルファルファ 2.6±0.3
ホウレンソウ 0.6±0.1
レタス 0
朝鮮アザミ 0
で、その効果は十字科野菜でとくに著しい(Cancer誌28・1971)。
この事実は、食品によって、腸管内での発癌物質分解能にかなりの影響のあること。
その摂り方しだいでは、発癌に予防的効果があるかも知れないこと。
また、十字科の野菜、とくにキャベツ類が有効であること、をおしえるもののようだ。
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9. 乳癌
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わが国で、乳癌がもっとも多いのは東京都と神奈川県。次は岩手県。一般に、乳癌は文化の高い地方に多い(胃癌が少なくて乳癌が多いのは西欧型。文明国のすべてで、女性は胃癌が少なくて乳癌が多い)ものなのだが、岩手県に多いのは例外的だ
(瀬木三雄、日本臨床47・7月号)。
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10. 黒人の癌死急増
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アメリカの1950年と1967年の癌死亡率は、黒人は人口10万人につき147から177(20%)に急増した。
白人は150で不変。
1950年には黒人は白人にくらべ2%低くかったのが、1967年には18%高くなった。
黒人女子は146から142(3%)に減り、白人は139から126(9%)減。
黒人男子は147から220(50%増)。白人は158から181(16%増)。
この急増の原因は、いろいろ考察の結果、環境因子によるらしいとされている。
すなわち、工場で、発癌物にさらされやすいとか健康に害のあるものには、主に黒人があたっていること。食習慣が黒人では急に変ったこと(白人は同じ変化にずっと長くかかった)。シガレット喫煙も、黒人の方が急にふえたらしいこと。
これは肺癌(またおそらく膀胱癌も)の増加の原因であろう。
またアルコール消費の増加は、口腔、食道、肝の癌と関係していよう。
(Ulrich K.Henschke la, Cancer,1974.4月号)
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11. 癌のこと
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シヤトル M.S.
問
アメリカでは、心臓と癌、乳癌などで一番多く死んでいます。
今度、日本と米国との共同にて、癌のリサーチ(研究)するということです。
米国の研究は、もう、とても長いのですが、まだハッキリわからないらしいですが、私は、あんまりむつかしく深く入りすぎたのではないか、もっともっと、気のつかないイージーな所に薬があるのではないか、と思うのです。
× ×
アメリカの子供には、白血病が大変多い。母乳をやらないために、子供の白血病が多い。
子供が生れたら、母乳をやらず、美容のためとか、出ないとから、人工栄養をやるため、と私は思うのです。
母乳の、最初に出るきいろい乳は、とても子供のおなかをきれいにします(カニババを出す)。
そういう、神様のつくられたものをやらず、あのカニババも出さないで大きくなった子供、そういう子供に白血病が多い。
母乳で大きくなった子供はとても丈夫で、病気にたいして強いです。乳がよいことにちがいありません。
こちらでも、いまごろになって母乳を奨励しているのです。
× ×
また母親は、乳道の油を出さないので、乳癌になる率が多い、と思います。
× ×
私の経験では、肉食すると乳が出なくなる(3日続けたら止ってしまいました)。日本食の、むかしからの習わしのものをいただくとたちまち乳がでました。
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12. こどもの癌
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医学博士 遠藤 仁郎
現在、わが国幼少児の死因の第1位は事故。次が癌。
戦後間もないころ、アメリカにはこども専門の癌病院ができていると聞いてたまげたのは、ついこないだのことのように思い出されるが、何のことはない、日本も、もう、そこまで来てしまったのだ。
こどもの癌は、主に白血病。
その他、淋巴系や神経系のものなどで、ふつう大人にみられるような癌は殆んどない。
が、ともかく、どんどんふえており、まだ適確な療法もないままに、あたら、いたいけな生命が次々にうしなわれている。
環境汚染
原因には、遺伝ももちろんあろう。
けれども、やはり、主には環境性。発癌性の化学物質や、放射線の影響とされている。
つまり、わが国でも、そうした汚染がアメリカなみに、あるいはそれ以上になっていること。
また、こどもの体質も、アメリカなみに悪くなり、抵抗力がよわくなってきていること(欧米模倣により妊産婦やこどもの食をはじめとする日常生活が不自然不合理化された結果)によるのであろう。
抵抗力
発癌刺戟にたいする抵抗力は幼弱なものほどよわい。
切迫流産の治療のために用いた合成卵巣ホルモンのスチルベストロール(動物実験で乳癌や子宮癌ができることがわかっていた)で、母体には何の影響もなかったのに、生れた女児には、生後20年もたって(年頃になって)から、性器(膣)に発癌することが知られている。
また、グリセオフルビン(水虫薬)によるマウス(南京ネズミ)癌は、幼仔では、成獣のわずか4000分の1という微量でも発癌する。
これらは、ともに、いかに胎児や幼仔が、発癌刺戟にたいして感じやすい(抵抗力がよわい)かをしめすものだ。
また、胎仔の発癌剤にたいする反応も、胎生の時期によってちがい、早い時期(胎生の初めの1/4期)ではたいてい死亡(流産)し、次の1/4期では、奇形を生じ後半期では発癌する。
しかも体内ですでに発癌するものもあれば生後ある期間(潜伏期)をおいて(長短まちまちだが)発癌する。
つまり、後で癌になる下地をもって生れるわけであり、この下地(素因)のうえに、生後、同じあるいは別の発癌刺戟が加わると、いっそう発癌しやすくなる。
また、こどもの癌には先天異常をもつものが多い。
とすると、癌(こどもの癌はもとより、成人癌にしても)の芽ばえは、すでに幼時、ことに胎生時や乳児期において、あらかた形づくられており、その上に、その後くりかえされる発癌刺戟によって、ついに発癌するようになっているのかも知れない。
癌の予防
とすると、その予防は、なるべく早く、妊娠の初期から(性細胞の遺伝子への影響もあるだろうから、理想的にはもっと早く、両親の日常から)始められなければならない。
そして、それには、今のところ、
- 発癌刺戟を極力さけることと、
- 抵抗力のつよい、本当に健康なこどもをうみ、健康にそだてること、
しかない。
発癌刺戟
さて、発癌物質は、いまやいたるところ、大気にも、水にも、大地にも、食べものにも、職場にも家庭にもいっぱい。
しかし、妊産婦や乳幼児で問題になるのは、主に食べもの、および、精々、医薬品や放射線の害くらいであろう(職業上接触のさけられないものを除き)。
薬や放射線
薬品のうちにも、発癌性のあるもの、体内で発癌性になるものがあること、放射線に発癌性のあることは、よく知られているが、これらの害は、妊産婦や乳幼児が本当に健康で、医療をうける必要さえなければ、少しも問題にはならない。
また、本当に健康であれば、発癌にも抵抗しうるわけだが、そういう本当の健康のもとは正しい日常生活、ことに正しい食=安全で、栄養素の完全にそろい、バランスのよくとれた食にある。
食の合理化
すなわち、癌の予防は妊娠中から幼児期にかけての母・児食の合理化(安全化・完全化)から始められなければならないわけだ。
食の安全化
食品には、発癌性のあるものはもとより、危険な農畜水産用薬や、産業廃棄物、あるいは、各種の添加物や洗剤などに汚染されていたり、そのおそれのあるもの、ことに、加工食品、貯蔵食品、インスタント食品は、つとめて避け、なるべく、自然の安全食品をえらぶ。
それは、これら汚染物の中には、発癌性(発癌を原因したり、発癌をたすける)のあるものもあれば、それ自体には、直接発癌性はなくても、いわゆる複合汚染で、それら相互の間の作用によって、発癌性を生じたり、強めるものもあり、あるいは、大切な組織や臓器を傷害して、一般抵抗力をよわめ、関節に発癌をうながすように働らくかも知れないからだ(医薬品についても、同じことがいえる。)この意味からいって、現在市販の食品中には、まず、本当に安心して食べられるものはないわけだが、主食品では、米麦よりは雑穀、豆、芋。
蛋白食品では、肉、卵類よりは大豆もの、安全水域産の小魚が比較的安全であろう。
なお、発癌性を生ずるおそれのある調理法(肉類の焙焼、フライ油のつかい古しなど)、化学調味料の乱用などもさける。
食の完全化
バランスのよくとれた完全食には、主食品・蛋白食品にたいし十分(大凡そ2〜3倍)の良質ナッパが必要(もちろん農薬汚染のない安全なものでなければならない)。
そして、過度の加工(精製・調理)をさけ、調味はうすく、なるべく、自然にちかいかたちで食べる。
すなわち、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食といった自然食が適当であり(食の自然化)、あるいは、せめて青汁だけでもウント(1日3〜4合、もとのナッパ7、800〜1000グラム)飲むべきだ。
なお、嗜好品にも十分の注意が肝要。
嗜好品
果物
もっとも無難だが農薬汚染に注意。
菓子
食のバランスをみだし、体抵抗力に不利にはたらくだけでなく、安全性(添加物)にも問題がある。つとめて避ける。
コーヒー
発癌性がうたがわれている。控えめ。また、砂糖にぬき。
コーラ
同様疑問の多いもの。なるべく避ける。
酒
胎児の発育に悪影響。病弱児・奇形を原因する。禁。
タバコ
厳禁。発癌性がある。発育不良、奇形、病弱児を原因。こども部屋での喫煙も危険といわれている(間接喫煙)。
妊産婦食
妊娠の初期ほど危険は大きいので、妊娠と気づいてからでは、実は、もうおそい。理想的には平素から。少なくとも妊娠計画のはじめから、こうした安全で完全な食を中心とする合理的日常生活をおくれば、妊娠や分娩の障害を防ぐことができ、胎児の発育はよく、本当に健康なこどもをうむことができる。また、産後の経過は順調であり、母乳の分泌もよい。
乳児食
乳児の理想食は、健康な生母の乳を初乳からのますこと。母乳には免疫成分があり(初乳はとくに富んでいる)、感染予防だけでなく、癌防衛能もあるという。
幼児食
離乳後の幼時にも、同様の安全・完全食をあたえること(青汁だけでも余程ちがう)。
なお、幼児でとくに気をつけなければならないのは間食。いまでは、こどものお八つはほとんど菓子。
チョコレート、ケーキ、キャンデーなど、危険なものばかりになっている。
栄養のバランスをみだすうえ、添加物の害も加わる。
コーラ、ジュースや氷菓類また同じ。
これらにたいする無関心が、あるいは、こどもの癌多発の原因になっているのかも知れない。
なるべく安全なもの。イモ、マメ、コンブ、スルメ、あるいは手製の安全なものにしたい。
こうして、胎生期から乳児・幼児期をとおして、発癌物との接触をできるだけ避け、健康で抵抗力のつよいこどもをうみ、そだてるよう努めるならば、可愛いざかりのこどもを、むざむざ奪ってゆかれる悲劇も、そうそうはおこらないであろうし、その後の癌にしても、あるいは、もっと減らすことができるのではあるまいか。ともあれ、がん予防の第一歩は、妊娠中から幼児期にかけての母・児の食の合理化・自然化(安全・完全化)にあるといっても、少しもいいすぎではあるまい
(51・1)
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13. 肺癌
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医学博士 遠藤 仁郎
肺に原発する癌(ほかの癌から肺に転位したものは除いて)。
現在、世界中の文明国でもっとも恐れられているもの。わが国でも、さいきんドンドンふえており、いまに胃癌にとって代るだろう、とさえいわれている。
発癌因子
直接気道の粘膜に作用する発癌物には、空気のよごれ、タバコの煙、煤煙、排気ガス、粉塵(石綿、クローム、ニッケルなど)。血液からはたらくものとしては、とり入れられるすべての発癌物(食品、薬品など)、あるいは、体内(胃腸管その他)で発生するもの。
タバコ
なかでもタバコ。ことにシガレットの影響がもっとも重視されている(シガー、パイプではやや少ないというが、煙をふかく吸いこめば、どれも大差はない。口だけの喫煙はあまり問題でないようだ)喫煙歴のながいほど、喫煙本数の多いほど、とくに若年で吸いはじめたものほど危険度は大きい。
猛煙家は、男女をとわず肺癌で死ぬ危険は、禁煙家にくらべ20倍大きい(JAMA,1975.5.12号癌のトピック)。15才で吸いはじめたものが、60才で肺癌になる率は、28才以後に吸いはじめたものにくらべ、2倍たかい。
(Lancet,7951:131.1976)
- タバコの煙には、ベンツピレン、ベンツアントラセンその他の発癌物質があるほか。
- 煙の中のアミンやフェノールからは、胃の中で亜硝酸と化合して発癌性のナイトロサミンやパラニトロフェールが生じうること。
- 前発癌物質(体内で発癌性になるもの)の発癌性転化をすすめる酵素のはたらきをつよめる作用のあること。
- トリプトファン(アミノ酸の一つ)代謝に影響して発癌性の分解産物を生ずること。
- 煙の中にあるニッケル、カドミウム、鉛などの作用もうたがわれている。
など、タバコには多くの発癌因子や発癌促進因子(他の発癌性を助長するもの)がある。
大気汚染の害も喫煙とかさなると、とくに甚しくなる。
抵抗力の低下
生れつきよわいものもあるかも知れない(素質)。
気管支や肺の慢性の疾患による抵抗力の低下もあろう。また、不自然・不合理な日常生活。すなわち、あやまった食養――贅美食、ことに欧米風の肉・脂・糖にかたよった不完全食、有害有毒食品などによる欠陥栄養。酒・タバコ・菓子・薬品の乱用。運動不足。などによる?血(血の濁り)のための抵抗力・免疫能の低下もあずかっていよう。
私には、肺癌でなくなった知人が3名あるが、いずれおとらぬ猛煙家。
休むひまもないほどに吸いつづけていた。同時に、共通していたのは、肉食を好み、運動は不足がち(高級官吏、医師、大学教授)であったこと。
そして、2名は大酒家。1名は大の甘党であり、野菜・果物は殆んど見むきもしないという甚しい偏食家もあった。
予防
そこで、肺癌にかからぬためには、発癌因子をできるだけさけること。
まず禁煙。ことに未成年者の喫煙を厳禁すること。どうしてもやめられなければ、本数をへらし、口だけで吸って、ふかく吸いこまないこと。
環境の浄化・管理につとめること(工場・鉱山、廃棄物処理など)。
そして、抵抗力の強化をはかるため、栄養の合理化。発癌性のある、あるいはそのおそれのあるものはもとより、すべて有害有毒、またはその疑がわれる食品はつとめてさけ(安全化)、良質安全なナッパを主とする野菜・山菜・海藻を十分そえ(完全食)、調理は簡単。調味はうすく。
酒、菓子、コーヒーなどをひかえること。緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食という安全完全食に徹しきれないまでも、せめて青汁だけでも十分(少なくとも1日3合〜4合、もとのナッパ7〜800〜1000グラム)のむこと。
適度の運動、イライラ解消など、日常生活の合理化・自然化につとめることではないだろうか。
(51・3)
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14. 乳癌
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医学博士 遠藤 仁郎
乳癌は、穀・芋を常食しており、胃癌の多い、アジア・アフリカの低開発国には少なく、肉食がさかんで、胃癌の少ない、アメリカや西欧の先進国には非常に多い。
日本は、これまで、世界一少ない文明国といわれていたが、近来、日常生活とくに食の欧米化とともに、しだいに、ことに都会に、ふえて来た(田舎にはまだ少ない)。
高脂肪食
そして、高脂肪(動物性飽和脂肪)食が、もっとも有力な原因とされている。
動物実験でも、高脂肪食で乳癌ができやすい。
なお、乳癌の多発している国の上位10か国に共通していることは、牛乳、チーズ、バター、クリームなど酪農製品の食べすぎであり、乳脂肪に含まれているエストロゲン前駆物質に問題があるのかも知れない、という
(Fratkin 日経メディカル 52号より)。
エストロゲン
エストロゲンは卵巣ホルモンの一つだが、乳癌との関係については、卵巣をとり去ると、乳癌の経過に好影響がみられ、動物では乳癌ができにくいこと、発癌物質をあたえた動物にエストロゲンをあたえると、発癌しやすいこと、などが知られている。
もっとも、エストロゲン自体には発癌性はなく、ただ発癌物質の作用を助長するだけだ、という。
発癌因子
ところで、乳癌も他の癌と同じく、発癌因子によって、抵抗のよわっている乳腺細胞が癌性化することにはじまるのだろう。
発癌因子には、汚染された大気・水・食物などによってとり入れられるものや、体内で発生するもの。あるいは薬品・放射線など、化学的・物理的なものが主であろう。
ビールス
しかし、生物学的のもの(ビールス)もあるかも知れない。
ネズミの乳癌はビールスによるそうだが、そのビールスと殆んど区別できないビールスが人乳にもあり、ことに、乳癌家系の婦人の乳汁に多くみとめられる、という。
ただし、このビールスと乳癌との関係については、まだ確実なことはわかっていない。
抵抗力低下
遺伝的に乳癌にかかりやすい家系がある。
また、過去に乳腺の病気のあったもの、ことに閉経後の乳腺のシコリ、あるいは、放射線治療をうけたものも、かかりやすい。
これらは、生れつき、あるいは病的に乳腺の抵抗力がよわっているからであろうか。
また、多くの高脂肪食家にみられる全身的の抵抗力の低下もあずかっていることだろう。
それは、高脂肪食が、ただ脂肪のとりすぎというだけではなく、肉・糖・精製穀食にかたより、野菜ことに有色菜の乏しい、栄養的に不完全な(熱量・蛋白質にはとんでいるが、ミネラル・ビタミン、また繊維にも乏しい)欠陥食であるうえ、各種有害有毒(発癌物質をふくめた)物に汚染されているおそれも多分にあること。
さらに、タバコ、酒、薬の乱用や、運動の不足、精神的ストレス過剰といった、日常生活の不自然・不合理化の結果、とかく、悪血(血の濁り)をまねきやすく、ために、一般ならびに局所の抵抗力・免疫能の低下をまぬかれないであろう、と考えられるからだ。
ホルモン系の変調
乳腺は、もともとホルモン系との関係がふかい。
乳癌が、子供の多い女性や、十分に授乳した女性には少なく、独身・晩婚、あるいは授乳しないか、授乳期間の短かった女性に多いのは、正常の生殖機能をいとなむことによって、ホルモン系が正常に保たれ、乳癌にたいする抵抗力にも有利に影響するのに反し、それが抑制されるばあい、ホルモン系の不調をまねき、抵抗力・防衛能にも不利に影響するのであろう。
また、高脂肪食、ことに乳脂肪のとりすぎにしても、おそらく、ホルモン系の不調をもたらすことによって、乳癌にたいする抵抗力がよわめられるのではないだろうか。
なお、初潮年令の若い、ことに12〜10才以下で来潮するもの(つまり性的早熟)や、体格の大きいもの(発育過良)に乳癌の危険度が大きいといわれているが、これまた、おそらく、高脂肪食(というより肉食を主とする美贅食の飽食)によるホルモン系の変調と関係があるのだろう。
予防
ともあれ、乳癌の予防には、なるべく、発癌物質をさけること、とともに、一般抵抗力・防衛能の強化をはかること。すなわち、発癌物質汚染のおそれあるものはもとより、すべて有害有毒食品はつとめてさけ、なるべく、自然の、安全良質食品のみをえらび、うまくバランスのとれた完全食を、なるべく自然のままか、自然にちかいかたちで食べること。
緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食。
あるいは、せめて青汁だけでも十分(少なくとも1日3合、もとの材料7〜800グラム以上)のむ。
菓子、コーヒー、酒、タバコ、薬品類の乱用をさけ適度の運動、環境の改善など、日常生活の合理化、自然化につとむべきであろう。
乳癌素因
なお、このことは、乳癌の危険が大きいといわれている女性。
中年以降の独身者、晩婚者、既婚者でも子がないか少ない(1〜2名)もの、授乳しなかったか、授乳期間の短かったもの、肥満、高血圧、糖尿病のあるもの、職業婦人、血縁に乳癌のあるもの、既往に乳腺の病気をしたもの、乳腺の放射線治療をうけたことのあるもの、初潮の早いもの、体格の大きいもの、毎日脂濃い肉食や乳製品を多くとっているもの、ピル(内服避妊薬)をのんでいるもの(エストロゲンが主薬になっている)、などには、とくに大切であろう。
(51・5)
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15. 乳癌と初産年令
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WHOがおこなった大規模な国際協力研究の結果、共通して、乳癌に最大の危険をしめたのは初産年令の高いことで、これが、もっとも重要であることがわかった。
初産年令の高い人は、妊娠期間や授乳期間のため、必然的に分娩回数が少ない。
また、結婚年令の高い人は、当然、初産年令が高くなる。
教育年数の長い人は、他の女性にくらべ結婚がおくれ、かつ初産が高年になる。
福祉国家では女性の教育年数が長いなどのため、結婚年令が高いか、または、初産年令が高くて乳癌が高率になったと考えられる。
また、この人たちは、一般に授乳期間も短かった。
で、乳癌の第一次予防、すなわち、発生防止のための対策として、女性は、20才代に第一子を産み、ついで、適当に、第二子、第三子を産み、それぞれの子に母乳をあたえ、母体が適当の栄養をとることだ。)。
(湯浅秀 国立公衆衛生院、癌の臨床第62集、昭51・4より)
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