健康と青汁タイトル小
添加物の害インデックス

添加物の害(1)
添加物の害(2)
添加物の害(3)
3-01 191号 天然添加物
3-02 191号 黄色エンピツは危険です
3-03 191号 くだもの「カン詰め」中毒の恐れ メッキのスズ溶ける
3-04 203号 有毒色素入り茶ソバ 岡山のモグリ業者製造
3-05 203号 中性洗剤 ネズミ胎児に障害
3-06 209号 食品添加物
3-07 209号 中性洗剤 皮膚呼吸で肝臓障害
3-08 209号 やかんから多量のホルマリン0.05PPMを検出
3-09 211号 油脂の酸敗
3-10 212号 こわい洗剤 なんでそんなに買いあさる
3-11 212号 過運動症
3-12 214号 発育促進剤
3-13 225号 出回れば〃PCB〃皮膚障害の恐れ 古紙再生製品から
3-14 225号 サッカリンと癌
添加物の害(4)



3-01. 天然添加物

     食品に化学的合成品を添加する場合は、容器や包装にその旨標示しなければならなくなったので、メーカーは、標示の必要のない天然物をつかい出した。つまり、天然物の色や味がつかわれるのだが、かといって、これらが自然のそのまま使われるのではなく、やはり種々の化学操作を加えて精製される。そこで、その際に用いられる薬品(中には有毒有害のものも少なくない)が残っていることもあり得るから、天然添加物だからとて、必ずしも安全とはかぎらぬわけだ。




3-02. 黄色エンピツは危険です

     ケガで腫りゅうに 幼児、目が見えなくなる

     「黄色エンピツは危険。体内にしんがはいると細胞をこわし腫りゅうをつくる」という研究結果が、群馬県前橋市で開かれている日本臨床眼科学会で21日、岡山大眼科学教室によって報告された。黄色エンピツのしんでまぶたを突いたため、まぶたがはれて、目が見えなくなった幼児の治療と黄色顔料のベンジジンイエローの動物実験から危険性を明らかにしたもの。

     黄色エンピツの障害について発表するのは岡山大医学部の松尾信彦助教授。ケガをして目が見えなくなった患者は、岡山市内の2歳の男の子。今年1月25日、階段からエンピツを持ったまま落ち、エンピツで右の上まぶたを突き、目をはらした。3日たってもはれがひかないため、同大眼科の診察を受けた。
     松尾助教授は化膿性の炎症と考えて抗生物質を使用したがききめがなかった。この2月末、松尾助教授がまぶたを切開したところ、まぶたのうらから、眼球のところまで腫りゅうができていたのでこれを摘出した。腫りゅうの色は黄色で大きさは直径2センチほどのだ円形。けがをしたとき、まぶたの筋肉内にはいったけし粒程度の小さなエンピツのしんが、細胞を破壊しながら増殖していたわけで、この肉芽腫の影響で、上まぶたを開閉する筋肉が障害を受け、この幼児は目を開けることができなくなった。
     そこで松尾助教授は、他の色エンピツがこれと同じような肉芽腫をつくるかどうか確かめるために黄、青、赤、桃、茶、白各色のしんをマウスの背中の皮下に接種した。実験の結果、赤、桃、茶、白色のしんは皮下に腫りゅうをつくったが、腫りゅうは小さく2週間以内に消失した。青色は1ヵ月後まで腫りゅうを残したが、それほどひどい症状はみせなかった。黄色だけが強い腫りゅうをつくり、4ヵ月たっても消えなかった。なお、ふつうの黒いエンピツのしんは腫りゅうをつくらなかった。

     この黄色エンピツの顔料はベンジジンイエローという化合物。黄色エンピツの顔料には以前、黄鉛が使われていたが、衛生上よくないという理由で、現在では各メーカーともベンジジンイエローを使うようになっている。
     エンピツ業界の話によると、色エンピツをつくっているメーカーは大手だけで3社。全国で2700万ダースの色エンピツが出回っている。このうち問題のベンジジンイエローを使っているのは黄色のほかにオレンジなどもあって900万ダースにのぼると推定される。
     べンジジンイエローの障害について、トンボ鉛筆の川崎動技術部長は

      「これまでエンピツのしんをなめる人がいるので、なめても毒性がない顔料を使うように心がけてきた。黄色エンピツの顔料として黄鉛をやめたのはそのためだ。そういう点ではベンジジンイエローは最高のものと思うが、これが肉芽腫をつくるとは初耳だ」

     とびっくりした表情。何はともあれ、親が注意してほしいという。三菱鉛筆の三好秀雄技術部長も「思いがけない事故だ。乳幼児は何をするかわからない。誤ってけがをしても腫りゅうができない顔料をこれからの問題として考えねばなるまい」といっている。
    (46・11・22サンケイ)




3-03. くだもの「カン詰め」中毒の恐れ メッキのスズ溶ける
  消費者連盟厚生省へ申し入れ

     ミカンなどのくだものかん詰めはメッキのスズがとけやすく、中毒の恐れがある―日本消費者連盟創立委員会(岸田友和代表委員)は11日、スズ溶出量の分析結果を持って厚生省を訪れ危険なくだものかん詰めの規制を求めた。

     同連盟ではさる9月、埼玉県所沢市のメッキ工から「ミカンのかん詰めをあけたら、スズがとけて黒くなっている」という知らせを受け、都内のスーパーから大手メーカー6社のミカンかん詰めを買い集め、東京都消費者センターに分析を依頼した。その結果、開かん時で最低45.5PPMから最高127.6PPMのスズがとけ出しており、また兵庫県川西市の東洋食品工業短大付属研究所の調査では、開かん後空気にふれるにしたがって溶出量がふえ、48時間後には400PPMを越えることもわかった。
     かん詰めのスズ・メッキについては、さる33年、かん入りジュースで中毒事件が起きたため、かん入りジュースについてのみ、開かん時150PPM以下に押えるよう規制。ことし6月にはベビーフードのジュースや、くだものかん詰めにも溶出が認められたため、赤ちゃんへの影響を考えて回収、スズ・メッキから特殊塗装に改めさせた。
     しかし、スズ溶出はかん入りジュースやベビーフードばかりではないとして同連盟では

    1. くだものかん詰めも150PPM以下に規制すべきだ
    2. 開かん後の溶出がひどいので、かん詰めのラベルにスズ溶出の注意麦示をすべきだ

     という要望をまとめ、厚生省に提出した。これに対し、同省食品衛生課では「スズによる下痢、腹痛などの中毒が起きているのは日本だけ。国際的にはスズは無害といわれているので、日本だけで規制するのはむずかしい。しかし、注意表示については日本缶詰協会も実施を約束しており、近く代表者を呼んでどんな表示にするか話し合う」といっている。
    (46・12・12サンケイ)




3-04. 有毒色素入り茶ソバ 岡山のモグリ業者製造

     県衛生部は22日、岡山市下伊福、製めん業、川上研一(62)方を食品衛生法違反で調べ、製品の“茶ソバ”50箱(計450キロ)を廃棄処分にするとともに、関係府県に出回っている同製品を処分するよう連絡した。
     川上は、31年から製めん業が許可制になっているのに無許可のまま茶ソバをつくり、まい日50箱−100箱を広島や大阪、愛知方面に出荷していた。
     処分の対象となった有毒色素「黄色一号」は、42年1月15日から使用禁止になっているが、モグリ営業の川上はこのことを知らずに使用、このほど愛知県豊橋市からの連絡で違反事実がわかった。




3-05. 中性洗剤 ネズミ胎児に障害

     中性洗剤の主成分ABS(アルキルベンゼンスルホン酸塩)が皮膚からも吸収され、肝臓、副じん皮質などに臓器障害を起すことをハツカネズミの実験で明らかにした三重大学医学部の三上美樹教授(解剖学)が、さらに厚生省の見解などに従って妊娠中のハツカネズミに体重1キロにつき3百ミリグラムの最大無作用量以下のABS洗剤を塗付する実験を続けたところ、胎児が全身出血、脊椎(せきつい)披裂、脊椎の中心管閉鎖、口蓋(がい)裂などの異常な障害を受けることをつきとめた。
     厚生省はABSに催奇性はないとしているものの、23日には斎藤厚相が「手のかぶれやひび割れがしないことをメドに安全基準をつくり規制する」と明らかにしている。
     しかし、同教授は「皮膚障害がなくとも胎児に障害がある。全面的な製造、販売禁止が必要」といい、7月広島市で開く第13回日本先天異常学会でこの実験結果を発表する。
     現在市販されている中性洗剤はABS分17%といわれ、2リットルの水に3.5ミリリットルを溶かして使用するよう指示しており、同教授は、これらの指示、見解による影響を調べた。
     実験では、100ミリリットルの水に洗剤(ABS17%)15ミリリットルを溶かして、0.5ミリリットルをハツカネズミの背中の毛を4センチ四方刈取って塗った。
     対象は受胎直後の5匹で、妊娠13日目まで塗り、17日目に流産した1匹と出産した1匹を除いた3匹から計41匹の胎児を取出した。親ネズミの5匹とも外見的に皮膚のかぶれはなかったのに、胎児41匹は平均体重が0.69グラムで正常な胎児の約半分。
     そのうえさまざまな異常が出た。それは

    1. 内臓、腹腔(ふっこう)、皮下など全身出血しているもの98%
    2. 脊椎をおおっている骨の欠損(脊椎披裂)、脳脊髄(ずい)液の通路がないもの(中心管閉鎖)が70.2%
    3. 口蓋裂40.7%
    4. 浮腫(ふしゅ)39%
    5. 脳が飛出しているもの(脱脳症)、死仔(し)が各2.5%だった。

     また出産した1匹からの胎児11匹のうち、口蓋裂と足が曲らなかったりする下肢(し)方向異常が各36.3%もあった。
     同教授によると、脊椎披裂、中心管閉鎖は自然発生はなく口蓋裂、脱脳症の自然発生率はそれぞれ0.82%、0.14%で、今回の実験では、皮膚から吸収されたABSが明らかに胎児に異常をもたらす催奇性も証明された。
     三上教授は「胎児は“感受性”が強く、人間でも受胎後3−5週間目で重さが0.1−0.25グラムの胚子(はいし)時代なら0.03ミリグラムでも影響をうけることになる」といい、さらに実験を続けることにしている。

    メーカで追試も
     田尻辰夫日本家庭用合成洗剤工業会専務理事の話  三上教授が行なった実験の条件をよく調べないとなんともいえないので、同教授の学会における発表を聞いたうえで検討したい。
     今回の問題についても三上教授の実験を追試しようと考えているメーカーもある。
     いずれにしても皮膚の弱い人などは手がかぶれる可能性もあるので、品質表示に書かれている使用方法を厳守してほしい。
     (48・3・26・朝日)




3-06. 食品添加物

     先進文明国では、現在、年間一人当り1キロ以上もの添加物を食べ(いや食べさされ)ている、という。許可されている添加物は、使用法さえ厳重にまもられていれば、危険を伴うことはない筈。
     しかし、現実には、違反が少なくないようだから、規定以上の量のこともあろうし、不許可のものの使用もうたがわれる。
     また、たとえ、使用法は正しいとしても、殆んどすべての食品に、数多くの添加物のあるばあい、食品の中で、あるいは体内で、それら同士の間で、互に影響しあって、有害になったり、毒性をつよめる可能性もないとはいえない。




3-07. 中性洗剤 皮膚呼吸で肝臓障害

     【金沢】市販の大部分を占めるソフト型中性洗剤の主成分、LAS(リニアアルキルベンゼンスルホン酸)が皮膚から吸収され微量でも肝臓障害を起こすーという動物実験結果が三重大医学部の三上美樹教授と坂井美雄講師によってまとまり29日、金沢大で開かれた日本解剖学会第33回中部地方会で三上教授らが発表した。
     発表によると三上教授らは生後3ヵ月のハツカネズミを使い12日間、LASを22%含む市販のソフト型中性洗剤を0.1%から17%まで7段階の濃度に薄め、段階別に毎日0.5mlずつぬり続けた。
     このあと臓器を取り出し、調べた結果、LASが皮膚からも吸収され、0.1%液でも7匹全部に肝臓や副ジンに障害が出たことを突きとめた。
     0.1%液の場合、1日のLAS吸収量は体重1Kg当たり0.015mgで、これは厚生省が中性洗剤特別研究報告などに基づいて考えている「口からはいる毒性の許容量」の2万分の1という微量だった。
     肝臓障害は症状の差はあってもパターンは同じで

      1. 細胞シュ(腫)ができる
      2. 細胞が変性して壊死する

    −などが見られ、肝臓の酵素代謝の低下が起きるほか、血液中の成分についてもコレステロールや中性脂肪が増加するなどの変化が観察された。
     中性洗剤にはABS(アルキルベンゼンスルホン酸)を主成分とするハード型もあるが現在ではソフト型が市販の大半を占め、また高級アルコール系が「毒性がない」として生産量が増えているが、三上教授は「障害の強さはハード型もソフト型も同じ。高級アルコール系はこれよりも毒性は低いが動物実験ではやはり肝臓などに障害が出る」といっている。
    (48・10・2 サンケイ)




3-08. やかんから多量のホルマリン0.05PPMを検出

     つまみが熱で溶けひどい悪臭も放つ

    【広島】フタのつまみからホルマリンが溶け出している“欠陥やかん”が、近畿、中国、四国など全国的に出まわっていることが、このほど広島市内の県立消費生活センター(戸谷哲雄所長)の調べでわかった。
     このつまみはフェノール樹脂製でネジ部分が水蒸気と熱で溶け出すためで、ひどい悪臭まで放っており、人体にも有害なところから、同センターでは通産省を通じて“欠陥やかん”の製造中止と回収を始めるよう近く通告する。

     問題のやかんが同センターに持ち込まれたことしの春。
     広島市内の主婦(40)がN社製のやかん(2L)を買って使っていたところ、わかした湯からひどい刺激臭がし、飲めなくなった。
     このため、広島県の消費生活センターに検査を依頼した。
     同センターでやかんに8分目の水(160cc)を入れて、実際にふっとうさせてみると、水道法で検出されてはいけないホルマリンが0.05PPM検出された。
     さらにフタについているフェノール樹脂製のつまみを600ccの水につけ、10分間ふっとうさせると、ホルマリンが0.38PPMも検出された。
     この原因は、フェノール樹脂がフェノールとホルムアルデヒド(この溶液がホルマリン)の合成物質であり、水蒸気と熱でホルムアルデヒドが遊離したものだった。
     また、悪臭は溶けたフェノールが水道水のカルキと化学反応を起こすためとわかった。
     この実験中にも、広島市内の主婦から「湯がくさくて飲めない」と相ついで苦情が出たので、同センターはこのほど、大手メーカーなど15社の製品51点を市内の専門店、デパート、スーパーから買い、同じような実験をして調べた。
     このなかには、ネジの部分が水蒸気に当たらないよう工夫されていて、問題ないものもあったが、半数ほどは、まったく同じようにホルマリンが検出された。戸谷所長は「苦情を持ち込まれるとき、ほとんどは水道の水がくさくて困るというのだったが、この実験でやかんに欠点があることがはっきりした。
     全国で40社のメーカーが月間50万個もつくり利用されているものだけに、早急にデータをまとめ、社名を公表、回収させたい」
    といっている。

    (サンケイ)




3-09. 油脂の酸敗

     油脂が酸敗すると、栄養価が下り、味が悪くなるだけでなく、下り、嘔吐、腹痛、あるいは倦怠感といった中毒症状をおこす。もっとも、この毒性が何ものによるか、まだ十分には解明されていないようだ。
     この変質を防ぐために、いわゆる抗酸化剤が添加されるわけだが、それには、ビタミンC、あるいはEなど無難なものの他に、BHA(ブチール・ハイドロキシ・アニソール)やBHT(ブチール・ハイドロキシ・トルエン)といった毒性のあるものもある。これらはDDTと同じく吸収されて脂肪組織にたくわえられる。
     英誌ランセット(1969、8月)によると、英国人の脂肪中のBHTは、0.49PPMであり、アメリカ人では3.19PPMにも達しており、急に痩せるような時には中毒をおこすおそれがある、といわれている。これらの抗酸化剤は、バタ、マーガリン、ラード、その他の油脂はもとより、魚肉ハム・ソーセージ、魚肉の加工貯蔵品、また冷凍品にも加えられている。




3-10. こわい洗剤 なんでそんなに買いあさる


 3-10-1. 合成洗剤は脳卒中の引き金 ABS飲料水にコレステロール増やす

    東京医歯大 Y. 

     (広島)血管の内側にたまって動脈硬化や脳卒中をおこすコレステロール。
     この現象がABSという合成洗剤の主成分によって促進されることが、東京医科歯科大難治疾患研究所、柳沢文徳教授の動物実験でわかり、広島大学で開かれている日本公衆衛生学会で14日、報告された。
     ABSは分解しにくいため、家庭から排出されて井戸水にまじり、ときには上水道に潜入していることもある。汚染国ニッポンの水は死亡原因第1位の脳卒中にもかかわり合いを持っていることになる。

     柳沢教授の実験は、ウサギ3匹を一群として、1%のコレステロールをくわえた飼料を一日150グラム食べさせABS混入の飲料水を500C.C.与えた。
     水のABS濃度は100PPMと500PPMの2種類。
     この結果、ABS500PPM飲料水のウサギ群の血清100C.C.から、10日後、一匹平均700ミリグラム以上という多量のコレステロールを検出、飼料に混ぜたコレステロールが、ABSの働きで分解、吸収されていることがわかった。
     17日後には1000ミリグラムにはね上がった。これはABSの混じっていない水を飲ませたウサギのコレステロール吸収量のちょうど2倍。
     日本では、いま、年間70万トン余りのABS合成洗剤を使っており、アメリカ、西ドイツに次いで世界第3位。平地面積が狭いことから、使用密度は世界最高。しかも下水道が普及していないことから、その多くが地中に吸収され、井戸水のABS汚染濃度は平均1PPM以上、上水道にも川に流れたABSが混入している疑いが強いという。

    (48・10・16 サンケイ)



 3-10-2. 35%に皮膚障害

     食器・野菜用合成洗剤の普及率は高く、92%の主婦が使用している。
     しかし、そのうち35%に皮膚障害があり、全体の78%の主婦が不安を感じながら使っている―など、食器・野菜用合成洗剤の調査結果が29日、消費科学連合会(三巻秋子会長)の手でまとまった。

     この調査は、国民生活センターの委託を受け、全国46都道府県の主婦3054人を対象にアンケート調査、さらにそのうち皮膚障害が顕著で、医師の治療を受けたもの100人については面接調査を行った。
     同連合会の調べによると、現在約150種類の食器・野菜用合成洗剤が出回っているが、回答を寄せた2901人(回収率95%)中、使用している主婦は92%、使用経験はあるがいまは使用していないもの7%で、まったく使用したことがないのはわずか1%という驚くべき普及率を示した。
     使用用途は、食器だけが60%、食器と野菜の両方が34%、野菜など食品だけが2%で、食器用へのウエートが高かった。
     これは合成洗剤にたいする不安が強く、食品への使用を控えさせたためとみられ、「体内にはいったら有害と思うか」という問いに、41%が有害、37%が有害とはいい切れないまでも不安と答え、両方を合わせると78%が疑いを持っていた。
     皮膚障害は全体の35%の主婦に現れ、そのうち17%は医師の治療を受けたほど。平均治療時間は3ヵ月で、なかには10年たっても完治しない主婦もいた。

    間違い使用6割も
     これら治療経験のある主婦のうち百人について面接調査したところ、一定量の合成洗剤を水に薄めて使用すべきなのに、スポンジに原液をたらしたり、直接食器にたらしたり、間違った方法で使っている主婦が60%もいた。
     また使用量も表示に関係なく使っているものが19%と、使用法、使用量がかなりズサンで、あることがわかった。
     ところが、手がカサカサにヒビ割れしたり、なかには指紋もなくなるようなひどい障害を受けながらも、合成洗剤への需要は根強く、皮膚障害に苦しんだ主婦のうち81%が「それでも使っている」という結果が出た。
     このため同連合会では、市販洗剤20検体について品質表示テストを行ったが、家庭用品品質表示法にたいする表示違反はなかった。
     しかし、なかには「安心して食べられます」と表示をしながら、使用上の注意として「こどものシャボン玉には使わせないように」など、矛盾した表示をしているものもあり、同連合会では、この調査結果をもとに近く「品質面で安全性を高めるとともに、消費者が理解できる表示をするよう」―通産、経企庁など関係省庁に要望書を提出する。

    (48・8・30 サンケイ)



 3-10-3. PCBの毒性強める 生殖細胞を破壊

     皮膚障害など人体への毒性が指摘されている中性洗剤の主成分・ABS(アルキル・ベンゼン・スルホンサンソーダ)は、PCB(ポリ塩化ビフェニール)の毒性をいちじるしく強め、この二つの物質が同時に体に入ると生殖細胞を破壊することが京大医学部衛生学教室の糸川嘉則助手と、京都市衛生研究所の蒲原一隆・主任研究員の動物実験でわかった。
     5月5日から札幌市で開かれる日本衛生学会で発表されるが、PCBとABSの相乗作用がつきとめられたのははじめて。

     糸川助手らは、食品汚染で問題になっているPCBと、中性洗剤の主成分であるABSが同時に体に入った場合、どんな結果が生まれるかを調べるため、一昨年末から実験に着手。オスのラット48匹を(1)普通のエサと水(2)普通のエサと100PPMのABS入りの水(3)500PPMのPCB入り飼料と普通の水(4)500PPMのPCB入り飼料と1000PPMのABS入りの水―を与える四群に分け7ヵ月間食べた。

     その結果、ABSを与えた(2)のラットの肝臓は(1)の普通のラットと大差なかったが(3)の群(PCB)の肝臓は2倍(4)のABSとPCBの群はさらに3倍も肥大し、肝臓の組織は破壊されかかっていた。
     また(4)群のラットはすべてコウ丸の生殖細胞の重量が減少、精子をつくる能力もまったくなく、組織はほとんど死滅。肝臓コレステロールも増加し、動脈硬化がみられ、他の群とはいちじるしく悪化していた。

     このことから、糸川助手らは「相乗作用のメカニズムはまだわかっていないが、ABSがPCBの毒性を強めることははっきりした」といっている。人体に蓄積するPCBは増える傾向で、一方、ABSも三重県立医大の実験で、皮膚を通じて体内に入るとされているだけに、ABSを含んだ洗剤を毎日使っている主婦には赤信号。
     しかし糸川助手らは、実験で使用したPCBやABSは極めて量が多いので、こんご実生活に近い10PPM程度の量で実験をするという。

    (48・4・22 サンケイ)



 3-10-4. しのびよる薬剤禍 あいつぐ奇形騒動

    倉敷市 T.O. 

     “犯人は農薬か、合成洗剤か、あるいは別の汚染物質なのか……”
     化学の発達で次々と生まれる各種の薬剤の影響から県下でも背ビレのとけたような奇形魚や、手足の指の欠けた野生のサル、それに幹が異常に曲がったり、枝分かれする奇形スギまであらわれてショックをあたえた。
     まだ、それほど公害の魔手が伸びていないはずの県西北部―高梁川水系成羽川上流や、国の天然記念物にも指定されている高梁市・臥牛山自然動物園などで起きた“異変”だけに関係者もおっかなびっくり。
     まだ、原因ははっきりしていないが、農業経営や住民生活に結びつく農薬、合成洗剤に起因するのでは……という薬剤禍説が強いようだ。

     奇形魚騒ぎの起きた高梁川水系の成羽川は、県内でも“清流”として知られるところ。
     最初に奇形魚が発見されたのはその支流の領家川(川上郡川上町)。
     地元の商業、藤川安治さん(50)が“47・7豪雨”後に5回にわたってフナのタテ網漁をしたところ、約500匹のフナのうち1割が奇形魚だった。
     いずれも頭の先端がへこんでいたり、口も下部が突き出ており、背ビレもとけたように欠けたものが多かった。体も全体が金色がかっていて頭もゴツゴツしていた。

     奇形フナがみつかった場所は川の流れがカーブした淵で白いアワがいっぱい。近くには汚染物質をたれ流すような工場もない。上流の集落(約千数百戸)から流れ込んだ合成洗剤が“犯人”ではないかとされた。
     川の淵にあわだつ白いアワがその証拠だというのだ。

     奇形フナは高梁川本流の新見市長屋地区でもみつかった。同じ高梁川水系でも新見市と川上町は100キロ以上も離れているうえ、水源もまったく異なる。瀬戸内の児島湾でも1年ほど前、これとよく似た奇形フナが見つかっている。
     美作地方や旭川下流の岡山市でもボラやハエの奇形魚があらわれたり、ハゼの大量死が続発したり・・・。県環境部の水質保全課でも県下の主要河川を中心に85の観測点でたえず水質検査を進めているのだが、奇形魚の原因は発生地点の環境などからみて農薬か、合成洗剤などによると推定しているだけではっきりした確証はまだつかんでいない。

     一方、高梁市にある臥牛山・自然動物園を舞台にした奇形ザル騒動は13年ほど前から持ちあがっていた。ひどくなったのは数年前からで、今年4月19日に生まれたユリコと呼ばれるメスの赤ちゃんは、体重260グラムでふつうだったが、右の手足の小指が欠けていた。しかも指の長さは4センチとふつうの子ザルの2倍近い長さ。手足も自由に動かせないという奇形児。
     藤田村治・園長によると、こうした奇形ザルは1年間に誕生する25匹前後の赤ちゃんのうち2割前後におよぶそうだ。ここでは32年から野生ザルにエづけして放し飼いをはじめた。奇形ザルがあらわれはじめたのは、観光客など人間とサルとの接触が生まれてから。その原因として近親婚よりは冬の受胎期に母親がインフルエンザ、ハシカのウイルスに感染した 農薬公害―などがあげられるという。

     さらに県北の真庭郡中和村と苫田郡上斎原村にまたがる山乗山国有林で発生した奇形スギについても全林野労組はベトナム戦争の枯れ葉作戦にも登場した強力なホルモン除草剤に起因するという疑いを強めている。
     その依頼でさる11月はじめ、現地調査した京大農学部植物生態学教室の堤利夫教授らも“薬禍説”をほのめかした。
     これに対し、農林省・林業試験場の柳沢總雄・造林科長らはこのあとの現地調査で“雪害説”を打ち出してはいるが……。
     いずれにしてもわれわれの生活環境をむしばむ公害は工業開発の余波というかたちであらわれているとは限らず、合成洗剤などのように生活の中へはいり込んだ化学薬剤などに派生しているケースもふえているわけ。
     高梁川の汚染にからんで高梁市などでは合成洗剤の使用で手が荒れるなどの被害を受けた女子教員、主婦らの手で“安全な洗剤を選択するウーマンパワー”も生まれた。
     業者のペースにはまり込んだり、どちらかといえばスローモーな公害行政に頼ろうとしていてはもう生活は守れなくなってきたのだろうか・・・。

    (47・12・22 サンケイ)



 3-10-5. 主婦ら不買運動へ

     (新見)手が荒れるなど人体に悪影響を与えるような危険な合成洗剤は追放しよう―
     岡山県高梁市で23日、地元の主婦ら約40人が“洗剤問題学習会”をひらき炊事や洗たくなどを通じて得た自分たちの身近な体験をもとに、市販の合成洗剤は有害だとして、同県下はもとより西宮など京阪神の主婦らと連携しながら、その追放と不買運動を積極的に推進することを申し合わせた。

     合成洗剤の追放に立ちあがったのは、高梁市津川町今津、教員、岡本和子さん(27)をリーダーとする「合成洗剤を追放する会」(5人)と、高梁地区母親連絡会(渡辺つや子会長、350人)
     岡本さんらによると、市販の合成洗剤には皮膚炎などをおこしやすいアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダやリニアアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダが含まれていて、長い間使用すると手が荒れるなど皮膚をいためるもとになる。
     また、これを含んだ家庭下水の流入で高梁川支流の有漢川などでは、リン酸などの含有量が増えプランクトンの異常発生を誘発、フナなどの奇形魚を産むもとになっているという。
     岡本さんも最初は知らずに合成洗剤を使っていたが、冬になると指がヒビ割れして血がにじむなどの被害を受け、医者にかかっても治らないというにがい体験をした。
     このため、独自で医学書などを研究、合成洗剤を使用すると皮膚炎などをおこしやすいことを知った。そこで、その使用をきっぱりやめた結果、約2ヵ月で手の荒れはきれいに治ったという。
     また、この日集まった主婦のなかには、合成洗剤で洗たくした着物を赤ちゃんに着せたら腹や胸などにシッシンができたなどの実例も報告され、有害な合成洗剤の追放をめざして不買運動の輪を全国に広げることになった。

    (47・9・24 サンケイ)





3-11. 過運動症

     B.F.Feingold博士によると、現在、アメリカの子供の食べているインスタント食品、菓子、アイスクリーム、チョコレート、その他のソフトドリンクなどには、不必要な香料や着色料が加えられている。
     かれらは、毎日、これらの加工食品の厖大な量を消費しているし、ビタミン剤にも添加剤が用いられている。博士によると、これらの添加物は、学童の極度の過運動症と学習異常を原因しているという。
     かれらは殆んど男児にかぎられ、多くは、他のアレルギー症をもっており、すべてが大量の加工食品を食べている。なお、カリフォルニアには、この症状をしめす児童は、過去10〜12年間に2%から20〜25%に増加し、一部には、全生徒の40%にたっするところもある。
     これらの子供を、添加物を除いた食事にしたところ、数週以内に15名は劇的な改善をしめした。
     たとえば、7才の少年は、数週間も過運動性で、自宅にいるときは、とびまわり、ドアをバタンとしめ、壁をけり、自動車を自転車で追跡するという具合で、学校では、動きまわりすぎて勉強せず、クラスの他の生徒を妨害し、小児科医、神経科、精神科医を一廻りして治療をうけたが、効果なく、最後に博士の食事療法をうけることになった。
     この少年は、食事調整をうけてから数週間に落つき、学校でよく勉強するようになり、家庭でも動作が正常になった。
     面白いことに、食事の違反があると、ほとんど即時に、もとの過運動性にもどった。博士によると、食事を調節するだけで、意のままに過運動症にしたり、なおしたりできる。但し、いつも成功するとは限らない、という。

    メジカルビュー 48・9月、    
    メジカルトリビューン 48・9・20号より




3-12. 発育促進剤

     医学博士 遠藤 仁郎 

     子牛・子豚・子羊・雛など家畜の成長を促進する目的にも、いろいろのものが、飼料に添加される。

    抗生剤
     ペニシリン、クロールテトラサイクリン、その他。ニトロフラン誘導体のような化学薬品。

    合成ホルモン
     エストロゲン。抗甲状腺(甲状腺のはたらきを抑える)剤。
     砒素剤、銅剤など。これらのうち、ペニシリン、合成ホルモンのエストロゲン、抗甲状腺剤、砒素には癌原(癌を発生する)性がいわれているし、ニトロフラン系の化合物の中にも同様発癌性のあるものがあるらしい。
     抗生剤はアレルギーを原因する可能性もある。こうしたものが、少量ではあろうが、肉・卵・乳に残っており、われわれの口にはいって来るわけだ。
     もっとも、いずれも、その量は極く少なく、痕跡程度にすぎないし、調理でこわされるものもあるから、心配はあるまい、とはいわれている。




3-13. 出回れば〃PCB〃 皮膚障害の恐れ 古紙再生製品から検出

     大阪市内に出回っているトイレットペーパーにPCB(ポリ塩化ビフェニール)が含まれていることが27日、大阪市消費者センター(信山清所長)の調査でわかった。ゲカ人まで出た年末年始のトイレ紙不足が、さる2月1日の標準価格制のスタートでやっと一段落したと思ったら、わずか3ヶ月足らずで、こんどは有害トイレ紙の出現。センターでは、「PCB入りのトイレ紙を使えば、皮膚にニキビ状の発疹が出るなどの人体影響の心配がある」として、通産省などに分析結果を報告、近く業者を呼んで事情を聞くとともに調査にのりだす。

     大阪市消費者センター 実態調査へ
     同センターはトイレ紙が標準価格制になったのを機会に、市立工業研究所の協力で市内の百貨店、スーパー、小売店で売られている22品目を抽出、JISで規定されている長さ、幅、強さなどと合わせて、PCBの検査を実施した。
     その結果、調べた22品目のうち、3品目からPCBを検出した。いずれも古紙を再生したトイレ紙で、高知県と愛媛県の中小メーカーの製品だった。
     トイレ紙の場合、PCBの含有量の検査(定量検査)は技術的にむずかしく、今回はPCBが含まれているかいないかだけを調べる〃定性検査〃の方法をとり、3個から、はっきり、 PCBを検出したという。同センターでは「PCBの含まれたトイレ紙を長期間使った場合、粘膜から吸収されたPCBの毒性で、皮膚に発疹状態が起きたり、周辺部がはれるなどの症状が出る恐れがある」と指摘している。
     古紙を再生したトイレ紙は、上質の紙を使った雑誌、計算紙で使う紙などからつくられている。さる47年5月、静岡県衛生研究所で、当時市販されていた再生トイレ紙から最高700PPMのPCBを検出したことがある。当時メーカーのほとんどがPCBを含んだノーカーボン紙を再生していたためで、メーカー側はその後、自粛を申し合わせ、さいきんではトイレ紙からPCBが検出されたことはなかった。
     〃PCB復活〃の原因について、同センターは?いまだに古紙のなかにノーカーボン紙が含まれている?印刷物のインクにPCBが付着している――などが考えられるとしている。
     また、これらのメーカーは再生段階で出るPCBを含んだ汚水を〃たれ流し〃している恐れがある。このため、海水のPCB汚染を警戒する意味からも、同センターは、これらのメーカーを呼び、事情を聞くことにしている。 (サンケイ 49・5・29)




3-14. サッカリンと癌

     ヒックス氏らの実験によると、
     ラットにメチ−ルNニトロソウレアという発癌剤をあたえて出来る膀胱癌が、サッカリンで促進されることがわかった。
    (Hicks ら Nature. 1973. 6. 8 号)




引き続き、添加物の害(4)へ 






ご意見・ご要望はこちらへ
階層リンク 田辺食品 青汁 健康と青汁 上の階層へ
サービスリンク 更新記録 全体構成 商品紹介 注文方法

Copyright 2010 09 田辺食品株式会社