健康と青汁タイトル小
添加物の害インデックス

添加物の害(1)
添加物の害(2)
2-01 127号 食品の有害色素締出し タール系の7種 厚生省きめる
2-02 136号 ズルチン近く全面使用禁止へ 発ガン、血液障害も
2-03 140号 ここにも不安な商品 紙食器 真白いほど疑いの目を
2-04 146号 あと断たぬ不安な商品 規制いつも後手 生産性より…
2-05 147号 着色はんらん跡を断たぬ法無視
2-06 157号 カン・ビン詰めの「全糖」半数が人工甘味 主婦連インチキ表示と発表
2-07 158号 タール系食用色素
2-08 167号 危険な台所用洗剤市販
2-09 170号 『白』ご注意 マスクと紙ナプキン
2-10 176号 許せぬ横暴 チクロかん詰まだ売っていた
2-11 176号 こんどは“化粧品公害”
添加物の害(3)
添加物の害(4)



2-01.  食品の有害色素締出し タール系の7種 厚生省きめる

     厚生省は、食品の色つけに使われている人工着色料の安全性を検討しているが、近くタール系色素7種類の使用を禁止する方針を決めた。
     禁止されるのは赤色4号、同5号、だいだい色1号、同2号、黄色1号、同2号、同3号。これらの色素はソーセージ、合成ジュース、つけ物、果物のビンづめ、チーズ、マーガリンなどに多く用いられており、この7種類の色素が使われなくなると、その影響はかなり大きく、店頭の食品から、どぎつい赤色や黄色がぐんと減って、自然食が目立つようになるだろうという。
     タール系色素は石炭を原料とする着色料で、安価なうえ、着色力も強いところから、食品加工に盛んに使用され、現在22種類の色素が使用を認められている。
     しかし、この色素を含んだ食品を長期間摂取すると肝臓、じん臓障害を起すという毒性があるため、欧米では徐々に使用を規制する方向にあり、米国で現在使用が認められているのは10種類だけ。日本でもかってたくあんやバターを黄色く色づけするのに使われていたバターエローやオーラミンなどのタール系色素に発がん性が確認されて使用を禁止されたこともあり、科学的な研究が進むにつれて、食品の人工的な着色は制限されつつあるのが世界的傾向だという。
     このため厚生省も、その安全性の検討をはじめ、その結果1、これら7種のタール系色素はとくに毒性が強いことが判明、さらに2、EEC各国と米国ではすでに7種の使用を禁止しており3、禁止色素を使った食品は、これらの地域に輸出できなくなる、などの事情も明らかになったので、わが国でも近く使用禁止の措置をとることにしたもの。同省食品化学課の話だと、近く開かれる食品衛生調査会にはかったうえ、7月早々にも「食品、添加物等の規格基準」を改正、7種の使用を禁止する告示を出す予定だという。

    小高厚生省食品化学課長の話
     現在の基準でも健康を損わぬ範囲に使用量を制限している。しかし、各国とも人工添加物は制限する方向にあるので、とりあえず、EECの基準に足並みをそろえることにした。メーカーへの影響を考慮し、告示から半年間ぐらいの猶予期間をおくが、それ以降は7種類の色素入りの食品は厳しく取締まるつもりだ。

    食品メーカーの一つである国分商店食品仕入課の話
     こちらとしても、着色料はあまり使いたくないが「目で食べる」人も多いのでどうしても食欲をそそるような色つけをすることになる。使用色素を制限されると、思い通りの着色がしにくくなるが、工夫してみる。

    (朝日・41・4・17)




2-02. ズルチン近く全面使用禁止へ
   発ガン、血液障害も
   食品衛生調査会が答申

     ひろく食品に使われている人工甘味「ズルチン」が人体におよぼす危険性について、厚生省は食品衛生調査会(会長・小林芳人東大名誉教授)に諮問していたが、24日、同調査会は「ズルチンは発ガンや血液障害を招く恐れがあり、こどもたちが好むアイスクリームやジュースなどには全面的に使用禁止し、一部特定食品にも基準量を設けて使用すべきである」と答申した。同省では5月末ごろ「ズルチンの使用禁止および制限」を告示、12月から実施にはいる。
     こんど同調査会がきびしい最大限度量の条件つきで使用を許可することにした食品は、つけ物、つくだに、魚介かん詰め、ソース、しょう油・みそ、魚肉ねり製品(魚肉ハム、ソーセージを除く)、ジャム、魚介乾製品および煮豆の計9品目だけ。
     これ以外の清涼飲料水、アイスクリーム、菓子、くだもののカン(ビン)詰など、とくに小児、幼児が口にしやすい食品にズルチンが使われることは一切禁止になった。同調査会ではとくに「こんごできるだけ早い時期に全面禁止の方向にもってゆくべきだ」という付帯意見をつけて答申しており、厚生省食品化学課では「有害性のデーターがととのいしだい全面禁止措置に踏み切る」という意向だ。
     ズルチンは1883年(明治16年)、ドイツで発明された人工甘味料で、砂糖の四百倍近い甘味をもっているところから、砂糖の代用品として糖尿病患者の食品に使われるようになり、さらに戦後の砂糖不足時代に花々しく登場してきた。ズルチンの値段は砂糖の3%という安さのため、38年行なった添加物調査では食品業者の28%がズルチンを使っており、品目ではジュースの89%、アイスクリームでは47%がズルチンで加工されていた。
     この数字は4年前のもので、現在ではこれより減っているとみられるが、ズルチンは同じ人工甘味料のサッカリン、チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)の二種にくらべて毒性が強く、動物実験により長期間使うと発ガン、肝臓・ヒ臓障害、血液障害などの慢性中毒をおこすことがわかっている。すでにアメリカでは使用禁止になり、ドイツでもきびしい使用制限を受けている。
     日本でも岩手でズルチン末を多量になめた農家のこども2人(38年4月)島根県でボタモチ数個をたべた老女(41年7月)がそれぞれ中毒死するなど“ズルチン事故”が発生、野放しのままのズルチンの危険性が叫ばれていた。
     厚生省の調べによると、わが国のズルチン年間生産量は40年で583トンに達して人工甘味料総生産量8187トンの7.1%を占めており、こんどの使用制限が実施されれば14あるメーカーは“40%減産”を強いられるものとみられる。

    (朝日42、4、25)




2-03. ここにも不安な商品 その1 紙食器 真白いほど疑いの目を

    兵庫県 T.M. 

     「使いすて時代」といわれ、持運びが簡単で値段の安い紙食器類が、かなりのスピードで普及している。家庭の食卓を見てもアイスクリームや、ジャムのカップ、和菓子の包み紙、紅茶のティバッグ・・・・。町かどでは自動販売機のジュースやコーヒーの紙コップ。さらに肉店で包んでくれる竹も皮も、いつか紙製の模造品になっていた。

     毎年、厚生省が行う歳末の食品一斉取締りでは「ケイ光染料が使用されている」という理由で、この紙製食器や包み紙が2、300件も食品衛生法違反でヤリ玉にあがっている。41年末に、大阪市衛生局が、市内の食料品店で紙製食品容器や包み紙の抜取り検査をしたところ、24件のうち4件にケイ光染料が見つかった。昨年9月に、東京都衛生局でも同じような検査をしたが、これも61件のうち10件にケイ光染料が見つかり、45万枚が回収、破棄処分にされた。ちょっと古い調査だが4年ほど前、東京都立衛生研究所で調べたところ、紙コップは70%、お菓子のパイをのせるサラなどは82%、バターやガン詰のカニを包んである硫酸紙が69%も不合格品とわかり、係官をびっくりさせたこともあった。

     ケイ光染料は、ケイ光増白剤とも呼ばれる化学薬品で、紙や布を白くする作用がある。このため、紙はもちろんワイシャツやシーツの材料にする布などの漂白にも使われる。
     問題はその毒性だ。ある種のケイ光染料を100匹のネズミに、体重1キロについて2・6グラムずつ注射したところ、1時間半で54匹も死んだ、という実験データもある。「人体への影響については、その数学的な度合いこそはっきりしていないが、肝臓やじん臓に有害であり、発ガン性物質がある、などの説が多い」と、東京薬大衛生学教室の細貝祐太郎教授はいう。
     だが、ケイ光染料で漂白した紙で包んだだけで、食品そのものにもケイ光染料がしみこむのだろうか。41年5月、京都市衛生局が同市の中央卸売市場で、栃木県産のかんぴょう袋からケイ光染料を見つけた。中のかんぴょうそのものも調べたところ、やはりケイ光染料が検出された。だから、食器はもちろん、食品の包み紙のたぐいまで、ケイ光染料を使うことはいっさい禁じられている。

     これに対して業界はこう反論する――
     「食品用ケイ光染料を使わない紙を特別に作っているはずだが、末端の加工業者の中にはケイ光染料入りの一般用紙を買って、コップやサラを作っているものもないとはいえない。最近、紙・パルプ連合会の中には、対策協議会を作って、改善に努力している。ただケイ光染料は紙1トンに100gぐらいしか使わないから実害はないはずだ」。大阪・ミナミの百貨店の台所用品売場――ずらり並んだ紙食器類の中には「当製品にはケイ光染料を使用していません」というラベル付きもある。当然のことをわざわざ表示しなければならないのが、この業界の実情でもあるようだ。

     「白度競争」という言葉がある。白ければ衛生的、と思いこんでいる消費者の〃迷信〃につけこんだ業者の作戦だ。国立衛生試験所の井上哲男食品添加物部長は「いまの世の中では、むしろ真白なものを疑ってかかった方がいい。紙製品ではないが、その点、コーヒーのこし布なども、熱湯で十分煮沸してから使うべきだ」といっている。(43・1・22朝日)




2-04. あと断たぬ不安な商品 規制いつも後手 生産性より…

     燃えだす電気アンカ、スズのとけだすカン詰ジュース・・・・・・と、消費者に不安を投げかける商品があとを断たない。それでも、規制のはっきりしているものは、監視の目さえ光らせば出まわりを防げる。やっかいなのは不安を問題にされながら、研究や規制のおくれているものだ。樹脂加工の布地、農薬の残る農産物、火災時の新建材に対する「不安」をさぐってみよう。

    泣かせる布地
    はだ着にもホルマリン
     大阪・ミナミで、ある大衆向き衣料品店をのぞいてみた。色あざやかなプリント地やカーテンの反物を積上げた売場はプーンと薬くさい。しばらくすると目が痛くなり、涙が出そうになった。
     この目を痛くする“犯人”はホルマリンである。樹脂加工のホルマリンが分離してとぶのだ。樹脂加工は、これまで主として木綿やレーヨンの防縮シワ防ぎのためのものだった。ところが最近は、型くずれを防ぐなどの目的で、合成繊維をはじめウール、絹にまで一部で使われている。
     はだ着類も例外でない。名古屋市立大学医学部衛生学教室の青山光子助教授が、さきごろ名古屋付近の婦人服縫製工場を調査した。アイロン仕上げ担当の従業員40人がホルマリンのために強い刺激をうけ、うのうち20人は指先がガサガサ、4人は皮膚炎を起していた。
     洋裁店を調べたら、ノドがかれる、という苦情が多かった。いつも布地を扱っている人たちだけではない。

    • 「綿プリント地を買って、家で体にあてながらデザインを考えていたら、数時間後に顔が赤くはれた」
    • 「小さな部屋にレーヨンのカーテンをつるしたら、目がチカチカして2、3日頭痛がした」。
    • 「買ったばかりの下着を着たら湿疹ができた」

     など、ホルマリンのしわざらしい事故が報告されている。
     浜松市内にある一流染色工場。樹脂加工の建物にはいるとクラクラッときた。「安もののカーテンや服地では採算がとれないので、仕上げの水洗いを省略する場合もままある」という。そして「ホルマリンは目が痛む程度で、人体にたいした害はない」と業者は断言する。

     だが、青山助教授はこれに強く反論している。「目や粘膜、皮膚を刺激し、体によくないことはたしかだ。衣料のホルマリンの量を規制するべきではないか」。
     新繊維が出そうにないので、近ごろの業者はあれこれ手を加え、目先を変えようとする。樹脂加工のほかに、手ざわりを柔らかくするための柔軟剤、合繊が静電気を起さないようにする帯電防止剤、真白に見せるけい光剤、それに防虫剤、防水剤・・・・・・ときりがない。しかも規制は野放し状態。科学技術庁が、やっと今年度から「衣料処理剤の諸影響に関する研究会」を発足させたばかりだ。

    農薬リンゴ
    水洗いでは落ちぬ毒物
     色あざやかなリンゴが出回りの最盛期。そのリンゴに「付着している農薬が多い」という声が保健関係者の間に強まっている。東京のベターホーム協会にある「暮しの研究室」が国立公衆衛生院の末永泉二薬学博士らの指導で、さいきん実際に調査した。
     その結果「リンゴを皮ごとたべるのは避けた方がいい」ということだった。調べたのは、店先で買ったばかりの「国光」(昨年産)と「祝」「スターキング」(今年産)の3種類のリンゴのほか、キュウリ、トマト、リンゴジャムなど全部で16品目。
     洗わないままでは

    • 「祝」から5.8PPM(1PPMは百万分の1)、
    • 「スターキング」から4.2PPM、
    • 昨年の「国光」からは1.9PPM

     の鉛が検出された。
     リンゴのほかでは、ブドウ、キュウリ、トマトが1PPMをわずかに越えただけだから、リンゴの鉛がきわ立って多い。鉛は体の中にたまる性質があり、少しずつでも蓄積されると内臓や神経をおかす。そのため食品に添加することはいっさい禁じられている。
     しかもリンゴの場合、鉛が多ければ砒素(ひそ)も多いことが推定できるという。リンゴの害虫を防除するため砒酸鉛という砒素と鉛の化合物を年に数回まくからだ。このリンゴを2分間水洗いしたが、とれた鉛はわずか2割前後だった。
     農薬がきく間、雨に打たれても流れないよう展着剤を吹きつけているためだという。
     中性洗剤で洗って半分程度。
     1%の酢酸溶液につけて7割程度。
     最後に皮をむいてやっと9割まで鉛がとれたという。
     さいきん学校給食にもよくリンゴが出る。たいてい皮つきだ。大阪のある小学校では「でも中性洗剤で洗っていますから」と安心しきった口ぶりなのだが・・・・・・。
     店先のリンゴに農薬が付着していることはかなり前から問題になっていた。3年前、国立公衆衛生院が生産地で白い粉のついているリンゴを調べたら、16PPMもの鉛が検出されたし、中性洗剤で洗っても3分の1ぐらいしかとれない実験結果も出た。
     リンゴの鉛ばかりでない。昨年春、浮田忠之進東大教授らが米にふくまれている農薬の水銀について警告しているし、別の実験では、牛にある有機塩素剤の農薬を与えたところ、牛乳からその農薬が検出されたこともある。それなのに、なぜ手が打たれなかったのか。ひとことでいえば「生産第一」という考え方が強いためだ。いまある制限といえば、暫定的な厚生省の局長通達だけ。やっと来春までにリンゴなど数品目の農産物について、残留農薬の許容量を決めるというが、それでも10年近く前にほとんどの野菜、果物について決めているアメリカなどにくらべると、まだまだ不十分といえるようだ。

    毒ガス建材
    火災起すとたまらぬ煙
     最近の火災は煙が多い――消火に、人命救助に、危険な火災現場にとびこむ消防士の嘆きである。煙の量をふやしているのは、各種の新建材、と建設省などでははっきり目ボシをつけている。
     大阪・西区にある日本建築材料協会の展示場。ひと昔前からみれば、ほとんどが新しく開発された建材だ。ポリ製タイル、同浴そう、ビニールのトイ、スダレ、化繊の壁布、合板はほとんどが表面をプラスチック塗装だ。発泡(はっぽう)スチロールの断熱材、タタミも並ぶ。
     展示場にはなかったが、電気の絶縁材料やガラスにもプラスチックが使われている。どの新建材がどれほどに煙を出すのかは、まだはっきりしていない。ゴミを燃やすとき、プラスチックなどの化学製品がまじっていると、もくもくとたいへんな煙が出ることは、たいていの主婦が知っている。
     ビルや地下街の火災では内装材料が猛煙を出すうえ、煙の逃げ場がない、と大阪市消防局などでは頭の痛い顔だ。見える煙だけならまだよい。見えない煙―有毒ガスも発生する。消防庁の調べでは、塩化ビニールを普通の空気中で燃やした場合、炭酸ガスや一酸化炭素のほかに、ホスゲンや塩化水素が発生。さらに火災の進んだ場合を考えて酸素を約半分にすると、シアン化水素やアンモニアまで出てくる。
     ポリエチレン、ポリアミドなども同じようにアルデヒドなどの有毒ガスを出すことがわかっている。昨年一年間の焼死者は全国で1111人。10年前にくらべると2倍近くにふえている。しかも、消防庁への報告では、その半分以上が煙にまかれたためだ。新しくふえた煙や有毒ガスのための犠牲者はなかった、といいきれるだろうか。これまでの火災対策は、耐火、防火中心のものだった。いったん燃えだしたあとのことは、まったく考えにはいっていなかった。建設省もおそまきながら腰をあげ、煙による災害防止のための建築物構造基準や発煙性新建材の使用基準作成などの研究にやっと手をつけはじめた。
     便利なもの、きれいなものを作るために、また生産性を高めるために、さまざまな化学薬品や材質が使われだした。だが、それらの目的にだけせっかちで、安全性の確認があとまわしになっていることが指摘される。ベターホーム協会大阪地方協議会の藤原叔子会長は「大きな事故が起る前にきちんと規制してほしい」と次のように訴えている。
     「私たちはまったく不安な商品にとりかこまれて生活しているといえる。欧米のように、有害の疑いのあるものはまず使わせないという方針で、安全性を確かめてから、国が使用許可を出すべきだ。日本では、大量の犠牲者が出ないと規制を考えてくれないのではなかろうか。国民の健康を、命を、もっと真剣に考えてほしいものです。」
    (朝日 42・12・12)




2-05. 着色はんらん跡を断たぬ法無視

    肝臓・じん臓泣いている
     黄色4合、同5合、赤色2号、同102号、同103号、紫色1号、青色2号――ペンキの種類ではない。あるチョコレートに使われている着色剤の正体である。

     「さやをむいた生えんどうを買って豆ごはんをたいたら、ごはんまであざやかな緑色に染まってしまった」。神戸生活科学センターに豆ごはん入りのおひつ片手に、一人の主婦が駆けこんできた。
     同センターが生のえんどうを調べたところ、古いえんどうを水にひたして柔らかくしたうえ、青色1号と黄色4合で着色、新えんどうが出回る直前に売り出したものとわかった。

     検査のために水に浸してあった古えんどうから、数日後には芽が吹き出して、職員一同大笑いになった。この話、笑いごとですんだのは、使用されていた着色剤が食品衛生法で決められたものだったためだが、法を破って色を使った例も跡を断たない。

     昨秋開いた兵庫県立社(やしろ)高校の文化祭。市販のだ菓子を集めて、どんな色が使われているか展示しようとの話が持ち上がった。さっそく買い集めた14種類のゼリーやビンズ、ガムなどを同センターで分析したところ、十種類にのぼる色素が複合して使われており、うち一種は使用禁止のものを使った「ひ菓子」だった。
     同県衛生部で問い合わせた製造元は「知らなかった」とケロリ。東京でも5月始め発ガン性のある着色料を使った「きな粉」が見つかり、販売停止処分になった。

     またつい最近、神戸の食品会社製の違反色素を使ったチョコレートが北海道で発見され、廃棄処分になっている。これらはいずれも「黄色1号」が犯人。ジュース、ジャム、たくあん、つくだに類が着色されていることは誰でも気ずくが、ハム、ソーセージ類も本来の肉の色ではない。七味とうがらしや、白ゴマを化粧した黒ゴマにいたっては、ご存知ない主婦も多いだろう。

     ところで背番号もどきの赤色2号や黄色5号とは、いったいなんだろう。
     現在使用されている着色料は、おおざっぱに分けると二種類。タール系色素とそれ以外の天然色素や鉄および銅の化合物だ。
     さきほどの「黄色1号」は学名を「ナフトール・イエローS」というタール系色素、赤色2号、同3号、青色1号など“背番号色素”はすべてタール系だ。
     この色素の“正体”は石炭から取れるコールタールで、本来は染料用。
     したがって合成の過程で有害物質が混じるケースが多い。

     赤色103号。タール系色素学名エオシン。赤く染まった福神づけや赤いソーセージなどの化粧品はこれ。赤インクの原料でもある。
     サンセットイエローFCF、映画の題名ではない。オレンジジュース、たくあん、うになどの黄色の本体、黄色5号だ。タール色素を使った食品を長く食べると、多少の差はあってもすべて肝臓やじん臓に影響することがわかっているほか、タール系色素の中には発ガン性の疑いが濃いものもある。
     このため厚生省はここ三年間に赤色1号、4号、5号、101号、黄色1号、2号、3号、緑1号などタール系色素の使用を次々に禁止した。

     他のタール系色素はどうなんだ―禁止された赤色4号や黄色1号がつい最近まで大手を振って使われていただけに、消費者や学者は疑問を投げかけている。
     一方、野菜、チューインガム、こんぶ、みつ豆の緑色寒天用などには、葉緑素に鉄や銅をくっつけた非タール系の鉄クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウムが使われている。
     また最近にんじんやとうがらしなどの黄色色素―ベーター・カロチンは毒性がないというので、バターやチーズの着色に用いられている。
     「カロチンにしても天然ものなら大丈夫だが、合成となるともう安全とは言い切れない」
     阪大医学部の後藤稠(しげる)助教授(衛生学)は言うのである。

    (43、6、25、日経新聞)




2-06. カン・ビン詰めの「全糖」半数が人工甘味 主婦連インチキ表示と発表

     “ウソつき食品”に監視の目を光らしている主婦連(奥むめお会長)が、こんどはカン詰め、ビン詰めの「全糖」表示を調べ、二日「半数近くは人工甘味料入りのインチキ表示」と発表した。
     この調査は公取委から委託されたもので、主婦連ではこの結果をもとに「不当表示の取り締りと監視を強化するよう」公取委に要望することになった。
     調査の対象になったのは市販のくだものカン詰め、ビン詰め、カン入りのジュース類、アズキやおしるこのカン詰めなどのうち「全糖」や「人工甘味使用せず」などの表示がある50点。
     このうち、表示どおり、まったく人工甘味を使用せず、砂糖やブドウ糖だけで味つけしてあった“正直表示”は27点(54%)
     糖類以外に、ズルチンやサッカリン、サイクラミン酸塩類などの人工甘味を加えたものが23点(46%)もあった。
     とくにインチキが多いのはミカン、モモ、パインなどのくだものカン詰めで、26点中15点が人工甘味入り。これらは食品衛生法で、人工甘味入りを表示しなければならないことになっているが、公然と違反している。
     とくに外資系の製品は、4点全部がインチキ表示というひどさだった。成績がよかったのはアズキ、おしるこ類(カン詰め、ポリ袋入り)で、12点中人工甘味を使用したものはなかった。主婦連では「全糖」表示がただの成分表示ではなく、メーカーがことさらこれを強調して、高級品や特選品のイメージを消費者に与えていることから公取委にたいし取り締まりと監視の要望をする。




2-07. タール系食用色素

    「緑色1号」全面禁止へ
     厚生省が公示 発ガン、肝臓障害のもと
     これまで一部のジュース、ドロップ、こんぶなどの色つけに使われていたタール系食用色素「緑食1号」が発ガン、肝臓障害などをおこす疑いが濃くなり、
     厚生省では
     「緑食1号」を食品、医薬品などに使うことを全面的に禁止することをきめ、このほど公示した、すでに一昨年から計9種のタール系色素がヤリ玉にあがっており、こんどで三度目の有害色素追放となる。
     問題の「緑食1号」は、石炭乾溜の副産物であるコールタールからつくられるタール系色素の一つで、これまでアメリカなどでは禁止されていたが、日本では一部のドロップ、こんぶ、わかめ、ジュース、そば、ある種のミドリ色の錠剤などの着色に使われていた。
     厚生省食品化学課の調べでは、現在わが国で生産されるタール系食用色素は、年間約300トンで、このうち「緑食1号」は3トンぐらいと見られる。
     同省では、これまで無害とされていたため今すぐ禁止すると混乱を起こすとして半年間の猶予期間をおき、7月23日から全面的に使用禁止、製品の廃棄などにはいる。

    (産経新聞)




2-08. 危険な台所用洗剤市販

     「メタノールを含んだ危険な台所用洗剤が市販されていた」
     と28日、日本消費者協会が発表した。同協会が台所用合成洗剤20種を商品テストした結果わかったもので、問題の商品に含まれていたのは化粧品に認められている許容量の10倍。
     同協会では「食品に残留する可能性が強いだけにきわめて危険だ」ときめつけている。
     問題の商品は、京都市右京区西京極中沢町1、明成化学工業会社(貴志久太郎社長)製造の「ハイソープ」。500C.C.入りが100円で市販されている。
     メタノールは、体内にはいると、視神経などを痛め失明することさえあるため、日本薬学会の食品衛生試験法では、食品残留については1C.C.あたり1ミリグラムが限度とされている。
     法律的には薬事法、食品衛生法による直接の規制はないが、化粧品については「0.2%以下」と決められており、有害性は高いという。今回のテストは、1社1銘柄、10本ずつを都内のスーパーマーケット、小売り店で購入、有害成分テストのほか、あわ立ちの程度や酸性度、洗浄力などをテストした。同協会では「ほかには有害物質がはいったものはなかった。不純物として原料の段階ではいったのではないか」とみている。

    (S45・4・30山陽)




2-09. 『白』ご注意 マスクと紙ナプキン 長期使用肝臓も痛める

    兵庫県 T.M. 

     市販されているガーゼマスクや紙ナプキンのほとんどが、色を真っ白にするため、発ガン性のある危険なけい(蛍)光増白剤を使っていることが4日、東京都消費者センターの調べてわかった。清潔な感じのガーゼマスクまで、人体をむしばむ〃伏兵〃だったわけ。この増白剤は、医療用ガーゼ、食品にふれる食器や包装紙などには、薬事法、食品衛生法で使用が禁止されているが、ガーゼマスク、紙ナプキンは、〃直接食べ物にはふれない〃という理由で野放しになっている。このため、東京都は同日、厚生省に食品衛生法、薬事法を改正して、ガーゼマスクや紙ナプキンにもけい光増白剤の使用を禁止するよう厳重に申し入れた。

     消費者センターが調べたのは、駅の売店や薬局で買ったガーゼのマスク21点(21メーカーの製品)と、デパートの食堂、レストラン、バーなどで集めたナプキン30点。けい光物質を使うと白さや明るさが増し、製品が真っ白にみえるが、紫外線をあてると青紫色か緑青色のけい光を出すところから、同センターはこれらの製品に紫外線をあてて分析した。
     この結果、ガーゼマスクは21種類全部、ナプキンは30種中28種類からけい光物質を検出。けい光増白剤を使ってなかったのは、中華料理店と喫茶店のナプキン2点だけだった。
     このけい光増白剤は「ジアミノ・スチルベン系化合物」を主成分として長期間、多量に体内に蓄積されると発ガンのおそれがあるほか、内臓―とくに肝臓をいためるといわれる危険な化学物質。現在、薬事法、食品衛生法により、医療用ガーゼや食品に直接ふれる紙容器類には使用が禁止されている。
     ところがガーゼを使ったマスクや、紙ナプキンは直接、食べ物にふれないので規制外とされ「衛生マスク」とか「ナイロンマスク」といったかんたんな表示だけで、零細企業の手で野放しに製造、販売されているという。
     しかし、実際には、ガーゼマスクは直接口にあてるし、紙ナプキンで口をふいたり、サンドイッチやナイフ、フォークをまいたりするので、けい光物質が口にはいり込むケースは大いにありうること。
     このため都は「病気を予防するはずのマスクに危険な物質がはいっているのは許せない」として、厚生省に「食品衛生法や薬事法を改正してこれらの製品についてもけい光物質の使用を禁止してほしい」と文書で申し入れた。

     ところでこの有毒ガーゼマスク摘発のきっかけとなったのは、同センターの消費者リーダー養成講座。食品添加物の実験の一つとして着色剤のけい光度を暗室でテストしているうち、カゼをひいてマスクをかけていた主婦に紫外線があたり青白く光った。これに不審をもった主婦たちがマスクばかりでなくナプキンや紙容器類を買い集めて検査してわかった。(サンケイ 45・7・6)




2-10. 許せぬ横暴 チクロかん詰まだ売っていた

     東京 28万個も
     業界、回収にそっぽ

     東京都内に出回っているかん詰の100個に1個はチクロ入り、大阪でも販売店の5軒に1軒がチクロ入り食品を売っている―東京都衛生局の調べでこんなショッキングなデータが出た。
     東京の違反品は一流メーカーを中心になんと28万8208個(うちビン詰2万942個)小売業者から「廃棄する」との誓約書をとったが、監視の目をかすめて売られる恐れも十分ある。ほかの食品より7ヵ月も回収を猶予しているのにこの無責任。業界の姿勢はどうなっているのだろうか―。

     都の立入り検査は1日から14日まで食品Gメン延べ約3千人を動員、あらかじめ作ったチクロ入りかん詰のリストに従い店頭から見つける方法で3万3989店で行なわれた。うち7675店がチクロ入りかん詰を売っていた。
     とくに違反の多かったブランドは

      「マルは」  = 大洋漁業、   約5万個。
      「あけぼの」 = 日魯漁業    約2万5千個。
      「サンヨー」 = KK逸見山陽堂、約2万個。
      「ちょうした」= 田原缶詰、   約1万3千個。
      「こけし印」 = 三井物産、   約8千個。
      「ノザキ印」 = 野崎産業、   約3千個。
      「コスモス」 = 北洋商事、   約3千個の順。

     とくに「マルは」印「まぐろ味付」かん詰の一部は食品衛生法で表示を義務づけられている「人工甘味料添加」のラベルがないうえ、チクロが検出され、“二重違反”だった。
     また「ちょうした」のさんま蒲焼かん詰の一部は、チクロを使用していながら「合成甘味料含有」の表示を塗り消してあった。明治製菓製のチクロ入りの桜桃かん詰24個の場合は、明治商事KK東京食品支店から6日に10ケースを卸売りされていた。
     これらのかん詰はいずれも厚生省が発ガン性のある人工甘味料チクロ(サイクラミン酸塩)の使用を禁止した昨年11月10日以前に製造したもので、今月1日から販売禁止になってからもメーカー、問屋とも積極的に回収をせず、店頭に出回っていたわけ。しかも、清涼飲料水など他の食品は2月1日から販売禁止されたのに、かん詰類だけは食品業界が「このままでは倒産する」と泣きつき猶予したいきさつがあるだけに、都は「業界の事後対策はデタラメ。モラルを疑う」といい、今後監視を強化する方針。



     禁止直前にたたき売り

     なぜ、チクロかん詰がまかり通っているのか。メーカー側は販売禁止になる直前の9月中旬まで工場原価の半値で“たたき売り”して在庫品の一掃をはかった。
     これが問屋、小売店へと流れ、安売りされているわけ。全国缶詰問屋協会の北田専務理事は「原則として返品は認めていない。売れ残ったものは廃棄するか、自家消費してもらうほかはない。小売業者の中には禁止前に安く大量に仕入れて、値引きして売り、こんなに売れるとは、と喜んでいるところもあった」と安売りを認めている。
     大洋漁業本社(東京)缶詰事業部の佐田克郎副部長は「監督不行届きだった」と認めながら「チクロかん詰の大口出荷は2、3ヵ月前にやめているが、小口の出荷は9月まで続けた。そのさいは“9月中に売切れるように”といってある」と弁明、そして「商品が市場へ流れれば所有権は問屋や小売店へ移る。その処理をいちいち本社からはできない。それぞれの流通機構で自主的に判断してもらわねば……」と責任を回避している。
     また日魯漁業の場合は鞍橋俊典加工品販売課長が「昨年10月から製造を中止した。チクロのラベルも当時の在庫品(5百万個)を大幅に上回る1700万枚を印刷して小売店まで流した。小売店は酒屋、スーパーマーケットからパチンコ店にまで広がっているので“目こぼれ”があったかもしれない」と話している。



     4万個を摘発 神奈川
     大阪5軒に1軒落第

    【横浜】神奈川県衛生部はチクロ食品の販売がいっさい禁止された1日から県内各保健所と協力、食品加工、製造所、販売店の一斉摘発を続けているが15日現在、製造所1、販売店1355、飲食店、パチンコ店87の計1443の業者から4万7千個のチクロ入りかん詰類を摘発、4万個を販売禁止、7千個を廃棄処分にした。出回っていたチクロ入りかん詰類は果実のかん詰が90%で、残りは魚介類かん詰、ビン詰ソース、ポリ容器入り水菓子など、同部は一度摘発、行政処分されたにもかかわらず再び販売している悪質販売店には告発など強い態度で臨む。

     大阪市衛生局は22保健所の係員約100人と大阪府警の協力で1日からはじめ、これまでに食料品の販売店を中心にデパート、スーパー、パチンコ店など計985点を対象に調べた。この結果、カン詰、ビン詰、タル詰、ツボ詰食品のうち、サイクラミン酸塩(チクロ)入りの食品を売っていたのが208店もあった。販売店5軒に1軒の割。違反品目は304品目、個数にして8249個で、うちチクロ表示の185件、5417個をただちに廃棄処分にさせた。
     このほか「合成甘味料添加」とあるだけで、チクロ入りかどうかわからない72件、3823個は移動禁止処分にするとともに、大阪市衛生研究所で分析をいそいでいるが、22日までに分析した43件のうち27件までが違反食品だった。

    (45・10・23 毎日)




2-11. こんどは“化粧品公害”

    医師もお手上げ 厚い企業秘密の壁
     原因不明と見られていたしつこい皮膚炎が、実は薬用石けんや口紅、ファンデーション、香水などの化粧品によるものである場合が非常に多い―との研究報告が、4日、東京都庁舎で開かれた第3回日本都市医学会総会で慶応大学皮膚科の中山秀夫博士、東京都立広尾病院皮膚科の佐々木伸子医師らによって発表された。
     そして現在の薬事法によると、化粧品の内容成分は一種の企業秘密だが皮膚炎の原因を究明するためには化粧品についても医薬品同様、成分を公開しなければならないことが強調された。

    薬用石けんで死者も
     広尾病院の調査によると、最近1年間に化粧品が原因とみられる皮膚炎の患者が96人訪れた。これは、皮膚科外来患者全体の4.3%にのぼる。16歳から62歳の女性からアンケートをとったところ、全女性が化粧品による皮膚炎の経験をもっていることがわかった。
     化粧品に含まれている物質で皮膚炎の原因になる可能性のあるものは、香料、色素、殺菌剤、染料、清涼剤など十数種類におよぶが、中山博士によると、これらのうちでも香料と殺菌剤が問題。香料と名のつくものは、世界中で約5千種類。中でもよく使われるものが4百種類ほどだが、この成分や配合方法などは厚生省への届け出義務がない。
     ローズオイルは石けんや美容院でよく使われるクリーム類、化粧水の中などにたっぷりはいっているが、ある美容師は毎日のようにこれを使ったため、顔と手にひどい湿しんができた。
     いちばん原因をつかみにくいのが薬用石けん。これには香料もはいっているが、ビオチノール、トリブロモサリチルアニライド、ヘキサクロフェンなどの殺菌剤が全身の皮膚炎を起こし、なおも知らずに使用を続けたために死んだ老人の例が発表された。
     ビオチノールは現在、生産が中止されているが、その石けんはまだ売られている。このように成分と皮膚炎の因果関係が明らかになったのは中山博士がたくさんの試験紙をつくって、患者のハダの反応を調べたため。もしも、メーカーが全製品の成分と量を明らかにして、試験紙を全国の皮膚科医に配っておけば、患者はどこにいても簡単に自分のハダに合わない化粧品を発見できるという。参加者の間では“化粧品公害”に無策の厚生省と化粧品会社の姿勢に対して強い不満の声が多かった。

    (45・10・6 サンケイ)




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