|
芋・豆・ナッパの食べ方 インデックス
|
|
|
芋・豆・ナッパの食べ方(1)
|
|
|
芋・豆・ナッパの食べ方(2)
|
|
|
芋・豆・ナッパの食べ方(3)
|
|
|
芋・豆・ナッパの食べ方(4)
|
|
|
|
|
|
芋・豆・ナッパの食べ方(5)
|
|
|
4-1. 味噌のつくり方
|
米沢藩の碩学位戸善政編の「かてもの」(米沢図書館版)に出ているもの。
ぬか味噌の法
米粃一石、大豆二斗(また一斗にても)、塩二斗、(また一斗五升にても)。
大豆を釜にて煮て、釜へコヌカを水にてしめり合うほどにねりて入れ、大豆の汁にて蒸し、とくとよくむせたる時、火を止め、よくつき、塩・コヌカ・大豆おもい合う程に搗きあわせ、桶に入れ置き、30日ほど経て用いるなり。久しく置きて変らず。
又の法
米粃一石、大豆一斗、酒糟一斗。製法前に同じ。
又の法
米粃一石、酒糟一斗、醤油渣一斗。コヌカを釜にてよく煮て搗き合するなり、酒糟なくば入れずともよし。
又の法
米粃八俵、大豆一俵、塩三斗五升。コヌカはいりて、ほどよきしめりに蒸籠にてふかし、さてさまし、人肌ならん時、糀室に込め、糀をまじえ、桶に押し置くなり。
五斗味噌の法
大豆一斗、麹一斗、酒糟一斗、米粃一斗(いりて)、塩一斗。右、一同に搗き合わせ置きて用う。麹を入れずともよし。
飛弾味噌の法
大豆一斗、塩三升。常のみそのごとく製し用うるなり。
未醤の法
大豆一斗をよく煮熟し、臼にて搗き、玉となし、数日を経て黄色になりたる時、水にて洗い、臼に入れ、搗きくだき、ふるいて細末にし、塩三升を入れ、水を合わせ、臼の中にてねりあわせ、手にてすくい上ればトロトロとする程にして、桶に入れ置き、数日を経て用うれば、色よく味もよし。
|
|
4-2. ケールのトウ
|
春になると、ケールのトウがどんどん出て来ます。
種子とり用の少しを残して、やわらかいうちに折りとり、せいぜい食べて下さい。
サラダによく、煮物にもよし、漬物にしても、とてもおいしい。
なお、アリマキ(アブラムシ、ゴマ粒くらいの小さい虫)がつくと、種子はとれません。
トウのとっ先きに、まずつきますから、早目に見つけ出して、指でつぶして下さい。
|
|
4-3. 質問箱:バイアム
|
広島 W.
問
バイアムが大きくなりました。利用法をご教示下さい
答
油いため、いり菜。汁の実にして仲々うまい。
種子用に1〜2本残してあとはなるべく若いあいだ(30〜40センチにのびた)に食べて下さい。
青汁にもなります。ただし味はやや劣るようです。
|
|
4-4. こちらの山菜料理
|
米沢市 Y.M.
こちらへまいりましてから、土地の方々に教えていただきましたのは、大体、あえもの、ひたしもの、煮物(身かき鰊と煮付けることが多いようです)ということですが、私流に試したものを書きそえご報告いたします。
1、こごみ(クサソテツ)
緑色のあざやかな、形もまるくまとまったシダ類です。アクもなく、やわらかく、食べよい山菜です。ゆがいて、先のまるい所はそのまま、軸の方はきざんでクルミあえ。クルミはスリ鉢ですった方がよいのかも知れませんが、私は庖丁で微塵にきざんだものをあえます。その方がクルミの香と味がそこなわないようで、他のクルミあえも、みな、この方法で致しました。クルミのないばあいはゴマを使いますが、この時はたっぷり多目に使います。
2、アケビ(もえ)
秋の果実のほかに、春は新芽をつんで(小さくて集めにくいのですが)、さわやかな苦味がなんともいえない魅力です。ゆがいて、クルミあえ、レモンと醤油で酢のもの、おろしあえ、納豆あえなど。(納豆あえは、納豆をきざんであえた方がよいと思います。)
3、トリアシショウマ(とりあし)
先端が鳥の足のように三つに分れているので、その名がついた由。これもクセのない山菜です。
- 煮物
ゴマ油でいためてから、味醂醤油で甘辛く煮付け。
- クルミあえ。じんだあえ
青豆をやわらかくゆでて、スリ鉢ですり、酒・塩少々の薄味をつけると、豆の甘味も出て、とてもおいしくなります。
- 粕漬け
2〜3日塩漬けしたものを、塩ぬきして、粕漬けに(米沢地方は粕漬けの盛な所で、良質の粕が手に入ります)。一週間ばかりで試食してみましたが、もっとおいた方がよいようです。
4、タラの木(たらのもえ)
採ったことがある人は、一度で覚えられるほどに、沢山のトゲのついた木の先に出た芽をとってしまうので、初めは残酷な気がして、とらずにしまいましたが、大変強い木で、次々に芽が出るという話をきいて、今年はいただいて来ることにしました。まずテンプラに。まだ試みる機会がありませんが、アルミホイルにつつんで蒸し焼きするとよい由。これにレモン汁でもかければと思います。ほかに、ゆでてゴマ味噌あえが最高と聞きました。粕漬けは昨年試みましたが、風味がうすれて、生のものには大分劣ります。
5、ネマガリタケ(たけのこ)
これは、まだ採取したことがありませんので、市販のものを使います。当地へ来てから、毎年、味が忘れられず、春を待って買いにゆくものの一つです。エグ味のない甘みと、心地よい歯ざわりで、色々な料理にむくようです。そのうち私どもの試したものだけを報告します。
- ふつうの筍のように、木の芽あえ、春の貝類、ウドなどとともに。
- テンプラ 思いがけない甘味と歯ざわりのおいしいものです。
- 煮 物 鶏肉、生椎茸、ニンジンと共に煮付け。(当地では鰊、鮭缶と煮付けるそうです)
- 姿 焼き 皮つきのまま、熱灰につきさし、先端から湯気が出たら、皮をむいて、酒・味醂で調味した醤油か味噌で食べる、という方法を教わりました。是非やってみたいと思います。
6、シオデ
ちょっとグリーンアスパラガスに似た山菜です。アスパラと同じように、ゆでてマヨネーズ、バターいためなどにしてみました。やはり風味のよいものです。
7、イヌドウナ(どうな)
大変やわらかく、薄緑の美しい山菜です。ほろ苦い味は独特です(一緒に行った人達はあまり関心がないようでしたが、私達には大変おいしい山菜と思えます)。
- 先の方を、食べよい大きさにつんでテンプラに
- ゆがいてマヨネーズ・ゴマあえ・クルミあえ。
- 油でいためて、味醂・鰹節・醤油で煮付け。
8、ミヤマイラクサ(あいこ)
ご近所からのいただきもので一度しか食べたことがありませんので、教えられた通り、ゆでてクルミあえにしました。
9、みずな(ウワバミソウ)
根元のうす紅が美しい、ヌルミのある山菜です。これもいただきものを2〜3度試みました。
- 茎の部分の下の方は、生のまま細くきざんでヌメリを出し、レモン酢と少々の醤油であえる。
- 茎の上部、切りあえ。焼味噌(フォークに丸めた味噌をつけ、火にかざしてコンガリと焼く)と一緒に、微塵に切り合わせ、小鉢に盛って、削り鰹を天もりにする。
10、山ひじき
海藻のヒジキに似た形の緑色の美しい山菜ですが、近頃は栽培物が殆んどだそうで、市販品です。歯ざわりがよく、全くクセのない、人気のあるもののようです。ゆがいて、辛子醤油であえます。
11、オオバギボウシ(うるい)
少し葱に似た、甘味とヌラめきのある、おいしい山菜です。
12、ナンブアザミ(あざみ)
先の穂は切りおとし、葉もとって、茎だけにする。熱湯に塩を加えたものにしばらく漬ける。これを水にさらした後、フキのように皮をむく。あらためてゆがき、
(1)油いため、
(2)煮付け、
(3)あえもの、汁の味など。
フキ料理に準じた方法で。これも独特の風味がありおいしい。フキノトウの長く伸びたのも、同じようにして食べられます。雪国のフキノトウはそんなに伸びたものでもやわらかく、驚きました。
13、カタクリ
ユリ科植物らしい可憐な姿の葉も、花さえも食用にするのは、ちょっと驚きですが、珍らしく甘味をもつ山菜として、同行の皆様は競って、それはそれは沢山に採取されたのです。熱湯にさっとくぐらせてあえものその他の山菜の多くの料理と同様に扱うようですが、好天に恵まれた数日をさいわい干してみました。
皆様の話では、生のものの甘味より干したものの甘味の方がおいしい由。
ゆでてすぐに試みましたが、少し青くさいというか、薬草めいた甘味でした。干したものは、水にもどし、煮付け、油煮、油いためなどにする由です。干し上げたばかりで、まだ試しておりません。
生のままテンプラにしてみましたが、これは、甘味がとんでしまって、失敗ではないかと思います。
それから青シソ・ニンニク・味噌の食べ方をそえてみます。
ニンニクは小さければそのまま、大型のものは2〜3ヶに切ります。これをたっぷりの油(揚げ物と、いため物との中間くらいに油を十分に使います)、外側に少し色がつくくらい、強火でいためます。
味噌(好んで味醂やゴマを加える)を用意し、洗って水気を切ったシソ葉に、ニンニク・味噌を自由にとって、つつみながらいただきますが、お味噌を控目にすれば、次々と随分沢山のシソの葉をいただくことになって、夏の暑い日には、特に好評です。
(52・5)
|
|
4-5. 生食用ナッパ
|
良質ナッパは、青汁にするほか、なるべく多くを生で食べたい。それには、カキハダイコン、コマツナ、COなどを、春さきから夏までと、初秋から晩秋11月ごろまでに、2〜3度づつまき次ぎ、堆肥・石灰、油カス、鶏糞・魚粉など有機質肥料で栽培。せいぜい、10〜15センチまでの、わかい、やわらかいところをサラダにする。水洗、水きりした、イキのよいナッパ(大きいものは、手頃にちぎり)を、キナコ、すりゴマ、ナンキンマメと、酢、少量の食塩で調味する(なれれば調味なしでも結構おいしく食べられる)。
|
|
4-6. 青汁パン
|
津山市 S.D.
安心できる材料を使って青汁パンを作ってみませんか。焼きたての味は格別です。
青汁パン
(バタロールの大きさで24ヶ分)
材料
強力粉 500g
青汁 330g
黒砂糖 20g
バター 20g
塩小匙 1〜2杯
イースト 15g
作り方
- 分量の青汁の中から、約半カップとり、イーストをといておく。
- ボールの中に粉、塩、砂糖、とかしたイースト、残りの青汁を入れて、まぜ合せる。
- だいたいまざったらこねる。はじめベトベトしていた生地が手につかなくなるまで。餅つき機を使うと便利。
- バターを少しづつねり込んで、ひとまとめにし、ビニール袋に入れる。倍位にふくれるのでしっかりした大きめの袋がよい。
- 夏は室温でよいが、寒い時は暖い所に置く。27〜8度で1時間位たつと倍にふくれる。
- ふくれた生地をボールに出し、中にたまったガスを押し出し、ビニール袋に入れてもう一度発酵させる。
- 又倍位にふくれたら(こんどは30分位でふくれる)、好みの大きさに切り分け、型作り天板に並べる。生地の表面が乾かぬようにぬれフキンをかけるなど工夫する。
- 倍ちかくふくれたら(約30分)、あたためておいた天火で焼く。バタロールの大きさなら12〜20分(天火によりちがう)。天火のない場合は、同様にして作った生地を、油で揚げたり、蒸してもおいしいのが出来ます。
生地のかたさなどのみこめたら、青汁のカス、やわらかく煮た大豆、おから、キナ粉、そば粉等々、混ぜて色々な味を楽しんでみて下さい。
|
|
4-7. 落花生のトーフの作り方
|
倉敷市 S.Y.
材料
- 豆 1カップ
- 水 4〜5カップ
- メリケン粉(片栗粉でもよい) 1カップ(100グラム)
作り方
- 豆を一晩水に浸し、しぶ皮を取る。
- 分量の水を利用し、豆をミキサーで撹拌し、濾し袋又は拭布にて濾す。(絞り粕は俗にオカラで別に料理する)
- メリケン粉は、出来れば篩にかけ、鍋に入れ、2の豆の入った分量の水にて、少量づつ注ぎながら撹拌し、強火にて炊き始める。
- 沸湯まで強火。後は弱火にて炊き続ける。
ポコポコと煮え立ち出し、その後、10〜15分にて鍋の底が焦げつき感がする。 火を止め、出来上る。(炊き始めて約25〜30分間) 注意 最初から最後まで、絶えず鍋の底を適当の強さで撹拌し続ける
- 流し箱へ水を通し、その中に出来上りのものを入れ、冷して食す。
|
|
4-8. ナッパを食べよう
|
医学博士 遠藤 仁郎
ナッパを食べよう
食べものはいろいろあるが、主食品にしても、蛋白食品にしても、野菜・果物類にしても、そのもの一つだけでよい、すなわち、それだけで完全に栄養分のそろっているものは殆んどなく、たいていは何かが不足した不完全食品だ。
けれども、ナッパ(正しくは良質ナッパ)だけは、あらゆる栄養素が完全にそろっており、それだけでも、十分に生きてゆくことができる。
だから、ナッパだけ食っていてもよい筈だが、そういう物好きな人は、まず、いない(それに近い生活をしている人もあるにはあるが)。
しかし、世の中にはそれを生涯つづけているものがいる。
それは、野生の草食動物。
ゾウ・サイ・キリンでも、ウシ・ウマ・ヤギなどの家畜でも、野生の状態で食っているものは、木や竹や草の葉ばかり。
栄養のバランスをとるのによい
穀・豆・芋や、肉・魚など、ナッパ以外のものに共通して不足しているものは、ミネラルことにアルカリと各種のミネラルや、ビタミン類だが、これらはすべて良質ナッパには豊富に含まれている。
そこで、何を食べるにしても、ナッパさえそえれば、その分量しだいで、完全にすることができる。
つまり、食品のうち、ナッパだけは、かならず食べなければならないが、ほかのものは何でもよい。
主食には、米でも、麦でも、ソバでも、豆でも、イモでもよいし、蛋白食品では、肉や魚、卵、乳製品のどれでもよく、大豆や胡麻、ナッツ類でもよい。
しかし、そのいずれのばあいにしても、多いか少ないか食品によってちがいはあるが、ナッパはそえなければならない、というわけだ。
ビタミン・ミネラル
ナッパに多いビタミンA・B・Cやミネラルには、いろいろな病原体(細菌・ビールス・寄生虫など)の感染を防ぐ作用だけでなく、癌防衛にたいしても有利な作用のあることが知られている。
また、ナッパはカルシウム・鉄・その他微量のミネラル(痕跡ミネラル)が多いほか、とくにアルカリ性がつよい(毒虫にさされたとき葉汁がきくのもそのため)。
良質蛋白質
まさか、と思われようが、ナッパには、量こそ少ないが、肉類にくらべ少しも遜色のないほどにすぐれた蛋白質がある。
そこで、ナッパさえ十分に利用すれば、動物食品はなくてもよいわけだし、少なくとも、動物食品を節約することができる(但し、同じ菜食でも、ナッパ以外のふつうの菜食では、蛋白不足をおこし、栄養失調になる)。
もっとも、植物性蛋白質は、動物性蛋白質にくらべ、一般に、消化・吸収が劣っているので、胃の働きのよくないばあい(胃を全部とったり、慢性胃炎、老人や病人など)は、蛋白不足に陥るおそれがないとはいえない。
繊維が多い
ナッパには繊維が多い。
歯をまもる。
これをよくかむことで、歯は自然に掃除され、歯垢がのぞかれ、ウ蝕からまもられる。
また、歯肉・歯槽骨がきたえられ、歯周炎(歯槽膿漏)の予防にも役立つ。
過食を防ぐ
満腹感が得やすいことや、栄養分(コレステロールも)の吸収が妨げられることで、過剰栄養や血液コレステロールの増加が防がれ、肥満・高血圧・動脉硬化・糖尿病・痛風などの予防に効果がある。
但し、あまり繊維が多すぎると、逆に栄養分の損失を増し、栄養不足をまねくことにもなりかねない。
なお繊維には、発癌物質など有害物を吸着する作用がある、といわれている。
便通がよくなる
繊維による腸管の刺戟で便通がよくなることや、腸内の異常分解がへる、などのことから、大腸の病気、痔、大腸炎、憩室、癌なども防がれる。
また、腸内分解産物の処理にあたっている肝臓の負担を軽くし、そのはたらきに有利に影響する。
なお、腸管内の細菌叢が健常化され、ビタミンの合成がさかんになり、人体への供給が増すことにもなる。
葉緑素
ナッパには葉緑素がある。
もっとも、自然の葉緑素は殆んど吸収されないから、加工して吸収しやすくした葉緑素剤にいわれているような効果はのぞめない。
だから、青汁の効果を、葉緑素の効果とするのは(そう考えている人が少なくないようだが)、あたっていない。しかし粘膜への直接効果はあるから、口腔のアレ、胃腸粘膜のタダレや潰瘍には有効だし、糞便や異常分泌物の分解による悪臭などにたいする脱臭効果はある。
酵素その他
ナッパ、ことに生のナッパには各種の酵素がある。(ビタミンやミネラルは、すべて酵素のかたちで存在するのだから、生のナッパは酵素の宝庫ともいえよう)。
ナッパに、発癌物質による細菌の突然変異を防ぐ作用、つまり、抗癌作用がいわれているのも、繊維による吸着作用のほかおそらく、なにかの酵素によるものであろう。
その他、まだ十分解明されていない有効成分(未知成分)も少なくないであろう。
現代病を防ぐ
さて、現在、先進文明国が悩まされている、原因不明の現代病は、おそらく、あまりにも不自然・不合理な日常生活、ことに、環境のよごれ、運動の不足、精神的ストレスの過剰なども、もちろんあずかっているのだろうが、中でも重大なのは食のあやまりであろう。
その食の特長は、肉(獣鳥魚介)・卵・乳製品、精製穀、砂糖・酒にかたより、高度に加工(精製・調理)され、濃厚に味つけされた(糖・塩・香辛料・化学調味料などで)美贅食を飽食していることだ。
そして、酸性食品が多くアルカリ性食品が少ないこと、豊富な(いや豊富すぎる)カロリー、蛋白質にたいし、ミネラル・ビタミン類が不足していること、繊維にも乏しいことなど、はなはだしく不完全な欠陥栄養になっており、さらに、有害有毒食品さえもはんらんしている。
ために、代謝の不完全、血のにごりを招いているところにあるように考えられる。
それを防ぐのはナッパ
それを防ぐには、この欠陥をのぞき、栄養的に完全な食とし、代謝を正常化し、血を浄化すべきであり、それにもっとも適しているのは、アルカリ性がつよく、ミネラル・ビタミンを完全にそなえ、繊維にもとんでいる、良質ナッパであり、それ以外にはない。
したがって、良質ナッパを中心とする野菜・山菜・海藻・果物などを十分にとり、つとめて有害有毒食品をさけ、調理・調味を簡単にすることこそが、現代病を防ぐ(治すにも)唯一の、そして、もっとも有効適切な方法であろうとかんがえられる。
必要量
そのために必要なナッパの量は、少なくみても500グラム。理想的には1キロ以上。
しかも、その成分を完全に利用するためには、生で、よくかまなければならない。
けれども、それは、なかなかむつかしいので、大部分は青汁にしよう(ナッパ250がほぼ1合)。
そして、あとの適当量はナッパとして食べよう、ということになる。
食べかた
生食
ビタミンやミネラルを無駄にしないためには、できるだけ調理は簡単に、調味はうすくすべきだから、やわらかいものはなるべく生食する。
グリーンサラダが最上。
広い葉なら、何でもくるんで食べるのもおもしろい趣向だ。
歯がよくなければ、スリバチですりつぶすか、ミキサーで粥状(ミキサー粥)にして食べる。
つけもの
うす塩の一夜漬けは、殆んど生食にちかい。
が、ふつうの漬物は、塩分が問題になるし、かみつぶしにくいものが欠点。
火食
煮物
加熱によるビタミンの破壊と、ビタミンやミネラルの煮汁へのとけ出しがさけられない。
ロスの少ない調理法としてはイリ葉、油イタメ。
あるいはその他の野菜、山菜・海藻・果物とともに雑炊に入れるなど。
かたいナッパ
たけたものや、もともと繊維のつよいものは、生食はもとより、漬物・煮ものにも不向きだが、アゲモノにすれば食べよくなる。
青汁や、ミキサー粥(あらい繊維をのぞく)、あるいは乾燥粉末として利用する。
もちろん、これらのばあい、不安定なビタミン(Cなど)のロスはさけられない。
良質ナッパ
ビタミンやミネラルにとんでいる良質ナッパは、緑色が濃くて、ホウレンソウ・フダンソウ以外であればどれでもよい。
私どもが重宝しているものをあげれば、ケール、ダイコン(養鶏用のカキハダイコン)葉、カブ葉、コマツナ、ミズナ、CO、ナタネ、シソ、パセリ、ニンジン葉、バイアム、サツマイモ葉、エンサイなど。
その他、その土地土地に適しているものがいろいろあろう。
これらを、年中いつでも利用できるよう計画栽培する(周年栽培)。
周年栽培
ビタミン・ミネラルにとんだ良質ナッパをつくるには、無化肥・無農薬栽培する(自然農法、健康農法)。耕地は日あたり、水はけ、風通しのよいところ。
なるべく深耕し、堆肥を主とし、石灰、木灰、油カス、鶏糞、魚粉などの有機質肥料を施行。
農薬は、もちろん、一切つかわない。
播種
土地の条件によってちがうか、参考までに、私がやっているのを誌してみよう。
春の彼岸ごろ、ダイコン、カブ、コマツナ、COなどを播く。
はやくトウ立ちするものもあるが、1〜2度追播きし、夏の初まで。
双葉から14〜5センチまでの若いものはサラダ、たけたものは青汁、ミキサー粥、漬物、煮物、あげ物に。
真夏は、これらの栽培は無理なので、シソ、バイアム、サツマイモ、エンサイなどを5月ごろに播いておくと、夏中利用できる。
秋口、8月末から9月初めに、ふたたび、春と同じく、ダイコン、カブ、コマツナ、COなどを播き、一〜二度まき次ぐと、秋から翌年トウ立ち(3〜4月ごろ)まで利用できる。
また、最後は、冬ちかい11月に播いてみているが、トウ立ちがおくれるので、うまくゆくと、春の端境期にそなえることができる。
青汁用のケールも、春の彼岸、6月終りから7月初め、そして最後は10月中旬にまくことにしている。
春から秋口まきは翌春花がつき、10月まきの葉が、ちょうどその頃大きくなるので、うまく加減すると、年中いつでもあるようにつくることができる。
(53・2)
|
|
4-9. ケールのトウ料理
|
福島県 T.S.
昨年ケール種子をいただき、だいじに育て、飲み、おかげさまで毎日健康の日々をすごしております。
春、トウが立って花が咲く前、つんでオヒタシや油いため、ゴマあいなどで食べたところ、ふつうの野菜とちがって、コクのあるおいしい料理ができました。
種子を、主人の会社の同僚や、近所の人にわけてあげてよろこばれております。
少しですが送ります。
来年も、できたら送りたいと思っています。
|
|
4-10. ウムワカシー
|
医学博士 遠藤 仁郎
「おばあさんの伝える味」(沖縄タイムス社発行)には沖縄のふるさと料理がいろいろ紹介されている。中でも、大里村の幸地カメさんのウムワカシーは、わが家の朝食とそっくりなので、とくに興味をおぼえた。
これは、主食と副食をかねた食べもので、ごはん代りに食べたサツマイモのおツユで、
「ダシをとるといういまの考え方が通用する時代ではありません。お年寄りは、イモから出る甘味がなによりのダシだと決めてかかっていました。
ひと口にイモといっても皮は白、中の方が紫のミーハナクラガー、皮も中も黄色のダイワヌー、赤い皮に白い実のクラガーなどいろんな種類がありました。
なかでも一番おいしかったのは、皮が赤で実が黄色のウランダー、ねばりも味もよくウムワカシーにも最適でした。
作り方はいたって簡単。荒く大きく切ったイモを水でたき、イモがすっかりたけたらイモの若葉を入れ、ミソと塩少々で味をつけるだけです」
わが家では季節季節のナッパ何でもよろしい。大根葉、コマツナ、CO、ミズナ、ケール、バイアム、サツマイモの葉、エンサイ、アオイなどなど。イモは主にサツマイモだがジャガイモ、サトイモのこともある。
作り方も全く同じ。ダシにコジャコを入れ、味つけなしでも結構食べられる。ミソを少しそえればとくにおいしい。だしジャコも食べてしまう。大豆(豆腐・煮豆・納豆・キナコ)を入れれば、それだけでイモ・マメ・ナッパの完全食というわけだ。(55・11)
|
|
4-11. 若草汁
|
遠藤 仁郎
この2月の異常低温はひどくこたえた。
比較的気候の温暖なこの地方の市内でもマイナス9度になったのだから、山の上の私の畑はおそらく10度以下だったろう。
しかもそれが、しばらくつづいたのだからたまらない。
春まきナッパが間にあいだすまではもたせようと、丹誠こめてつくっていた野菜が大方ダメになってしまい、わずかにミズナとCOだけがカチカチにいてつきながら、なんとかもちこたえてくれた。
なんしろわが家では、毎日300〜400グラムのナッパが必要なので、それが日に日にめだってへってゆく。
おそまき(11月まき)のナッパはまだ小さくてものの用にたちそうもない。
ケールは健在だが、これは種とり用で手をつけるわけにはゆかない。
これではやがてこと欠くようになりそうだと心もとながっていたが、さすがは弥生。
遅い春とはいいながら3月下旬ともなると、みずみずしい若草が庭いっぱいにもえはじめた。
ヨモギ、ハコベ、ヨメナ、タンポポ、ナズナ、セリ、ミツバ、ノエンドウ、アルファルファ、ヤエムグラ、イヌノフグリ、ノカンゾウ、ノビル、アザミ、カラスムギ、ノイバラ、等々。
これをあれこれとりまぜザル一杯つんできて、細かくきざみ、いつものイモナ汁にしてみた。
や、これはいける!大根葉やミズナ、COなどと少しもかわらない。
いや、いやどうして、むしろこの方がうまいようだ。
これこそ本当に自然の味というものであろう。
きざんであるから、ふつうでは食べられそうもないアザミやノカンゾウ、カラスムギなども、少しも気にならない。
春をまちかねた昔の人が野辺の若草をもとめて食べたのも、おそらく、こうではなかったろうか。
それは、七種粥をつくるのに、「唐土の鳥が日本の国に渡らぬさきにトコトントン」とうたいはやしながら、細かくきざんだことにもうかがえよう。
それはともかく、これでここ当分はしのげるし、そうしているあいだにミズナやCO、おそまきのナッパも大きくなるだろう。
ありがたいことだ。
(56・3)
|
|
4-12. ナッパの貯金
|
医学博士 遠藤 仁郎
栄養のバランスからいって、ふつう一般の習慣食のばあい、それを完全にするために必要な良質ナッパの量はざっと400〜500グラム。
しかし、その穀類をイモに、肉類を大豆にすれば、約半量の200〜250で足りる。
私は平素、主食にはなるべくイモを多くし、蛋白食には大豆もの、小魚・卵をとるようにしているが、それではナッパは300〜400もあれば十分になる。
それを、ここ数年来、一日1キロを目標にしてみている。
といって、それだけのナッパを食べるのは、とてもできっこないので、大部分700〜800グラムは青汁にしてのみ(約3合)、残り200〜300を食べている。
そのねらいは、
1、必要量の2倍ものナッパをとっているから、ミネラルやビタミンにはうんと余裕があり、熱量や蛋白質を少々とりすぎても、バランスのくずれる心配がない。そこで、うまいものがいっぱいであり、もともと食いしん坊の私のこと、つい手を出したくなるつまみ食いも安心だろう、というわけ。
2、栄養のバランスはいつも完全にとれているから、代謝はうまく行われ、血はきれい。からだ中のあらゆる機能は円滑かつ活溌で、肝臓の解毒能もぐんとさかんになっているにそういあるまい。したがって、どんな危険がひそんでいるか知れない保存・加工食品の氾濫している現在、よほど気をつけても避けられそうもないそれらの害も、おそらく、かなり防がれるのではなかろうか。
とかんがえるからで、いうならば、不時の支出にそなえてのナッパの貯金だ。
もっとも、この考えが本当に正しいかどうか、もちろんわからない。
けれども、あまり度はずれの不養生をやらないかぎり、まず間ちがいはなかろうと思っているんだが、いかがなものであろうか。
(56・3)
|
|
引き続き、芋・豆・ナッパの食べ方(5)へ
|
|
|
ご意見・ご要望はこちらへ
|
|
|
|