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芋・豆・ナッパの食べ方 インデックス
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芋・豆・ナッパの食べ方(1)
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芋・豆・ナッパの食べ方(2)
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芋・豆・ナッパの食べ方(3)
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芋・豆・ナッパの食べ方(4)
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芋・豆・ナッパの食べ方(5)
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3-1. 青団子汁
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白米は良くない。
パンも安心できない。
ウドンやソバも純粋なものはない。
およそ市販のものには、実際、どんな仕懸けがしてあるか、どんな混ぜものがしてあるか、知れたものではないのです。できることなら、何もかも家庭でつくって、安心して食べたいものだと、今では、誰れしもが思うことですが、なかなか、それも大変なことで、とても、出来っこありません。
仕方なさと、便利さのため、ずるずると、市販のもので済ましているわけですが、できそうなものから、何とか実現してゆきたいものです。そこで一つ。少々手数はかかりますが、こういうのはどうでしょう。戦時中のことを思えば、やれぬことはない筈です。
小麦を粒のままでもとめます。これも、自分の畑で、肥料にも、農薬にも、気を配ってつくったものに越すものはないのですが、これは、ちょっとむつかしいので信頼できそうな農家からゆずってもらいます。それを製粉します。
自家製粉が理想で、安心ですが、これも、信頼できる製粉所にたのめば、まず間違いはないでしょう。せいぜいフスマもすりこんでもらいます。しかし、フスマがはいっていると変質しやすいので、1ヶ月位で食べてしまえる程度の分量を製粉しておきます。
そして「蒸しパン」や「流し焼き」などにつくるのもよろしいが、簡単なのは団子汁です。それも、菜っ葉の粉(青汁粉末、緑養粉末)を1−2割入れた青団子。(むしパン、流し焼きでも同じ)こうすれば、栄養的にも完全食にちかいし、卵や牛乳がはいればなお結構です。
汁の実には、季節季節の野菜(なるべく緑菜、人参、南瓜などの有色菜)、芋類、豆腐、油揚、卵、小魚なども入れます。これに緑の団子を適宜の大きさにちぎって投げこみ、味は自家製の味噌。あるいは塩味。それもなるべくうすく。味は殆んどつけてないくらいのうす味でも、結構おいしくいただけます。腹ごたえも、腹もちもよろしい。味がうす過ぎて食べづらければ、味噌をそえるか、自家製の塩昆布少々をそえます。ソバ粉でも同じことです。また、小麦粉にキナ粉や大麦粉=そのまま粉にし、あるいはコガシ(ハッタイ)粉、キビ粉、芋粉=サツマイモをうすく切って乾し粉にしたもの、などを混ぜてもよろしい。
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3-2. 健康的な食べ方
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医学博士 遠藤 仁郎
こうみてくると、健康的な食べ方の条件は
まず、すべての食品が、良質、純正、安全なものでなければならぬこと。主食には、コメよりはムギ。
それよりも、ソバ、アワなどの雑穀がよく、マメ・イモ類はさらによい。そして大体に控えめの方がよいこと。
蛋白食では、獣鳥魚介の切り身(肉)よりは、内臓、卵、全体(骨内臓とも)食できる小魚類や乳がよく、ダイズはさらによいこと。
そして、それらのいずれにしても、多いか少いか、ともかく十分の良質菜っ葉を添えなければならぬことです。
ところで、主食でも、蛋白食でも、質のよいものほど、添えなければならぬ菜っ葉の量が少くてすみ、質の劣るものほど菜っ葉の多くを必要とします。
しかも、この大切な菜っ葉が、実はあまり好まれません。
そこで、この余り好まれない、しかし、栄養のバランスをとるためには無くてはならぬ菜っ葉が、少くてすむ食品や食べ方ほどすぐれているといえるわけです。
その他、 調理はなるべく簡単に、調味はなるべく淡薄なること。また、食量はなるべく少く、必要の最小限に止むべきこと。
つまり、健康食の原則は昔からいわれている通り、粗食の少食で、いわば、まずいものを少しだけ食べていればよい、ということになります。
なるほど、それは、理論的には、確かにその通りであり、それが正しいのだろう。いや正しいにちがいないのであろう。
けれども、うまいものがいっぱいの今日のことだのに、なぜそうしたものばかりでなければならないのか。
また、腹一杯たべたいのは人情だのに、なぜ少しだけでなければいけないのか。食は人生の大欲。楽しんで食べるべきものだろうに、なぜいやいやながら、そうしたもので我慢して甘んじなければならぬのか。といった疑問もおころうというものです。
ところがです。青汁をやりだし、菜っ葉を食べだすと、なんと、それが、実に何の苦もなく、やれ出す。
いや、それだけではない。むしろ、そうすることに喜びを覚えるようになるのです。
たとえば、白米飯の代りに、ソバを食べ、イモを食べ、マメを食べるというわけですが、雑穀類はまだしも、イモ、マメともなると、ふつうはうまく味をつけて飯にそえられます。
それを主食代りに食べることだけでも、すでにかなりの抵抗があります。
私は、好んで腎炎や糖尿病や高血圧などに、イモ類を主食としてすすめるのですが、病気をもっていながら、2、3日でももうかなわぬようですし、一週ともなると随分苦痛のようにみえます。
アズキやキントキマメといった類は、まだ出したことはありませんが、おそらく同様、いや、より以上に嫌がられることでしょう。
ダイズものや豆腐を飯代りや、肉魚代りというのにも、ずいぶん抵抗がありましょう。
まして、それらを常食にしようというのですから、とても大変なことにちがいないのですが、それが、不思議と、全く苦もなくやれ出すのです。
青汁党の多くは、しだいに米飯をへらし、麦飯または小麦粉ものになり、ソバに移り、ついにはイモ、マメを食べ、蛋白食ではダイズものや豆腐に傾いてくるのですが、そこに、少しも無理も矛盾も感じません。
しかも、それは、そういう食べ方が、従来の食べ方に比べ、栄養的にも安全性においてもすぐれているという理屈からだけでなく、一つには、確かに、体の調子の好転がはっきり自覚されること、 いま一つには、それらを食べていて、けっしてまずくはない、からでもあります。
勿論たまに白米飯を食べると、たしかに口当りはよろしい。
けれども、マメを食べ、イモを食べることに少しも抵抗を感じません。
また、肉や魚の旨い料理が、さまで魅惑的とも感じず、もっと食べたいとも、ずっと食べたいといった欲望もおこって来ないばかりか、むしろ、それらがいとわしくなって来、ふつうにはまずいと嫌われているイモ、マメ、ダイズ、豆腐などを食べることに満足を覚え、愉快さを感じます。
ですから、いわゆる旨いものを食べなくても少しも不満はありませんし、いわゆるまずいものも決して我慢して食べるものでもなければ、それに甘んずるという情ない気づまりな感じももちません。
また、こうした食べ方だと、腹ごたえがあり、十分満足感もえられるので、物足りなさを感ずることもありません。
それどころか、そうした食べ方自体が喜びであり、感謝でさえあるのです。
だが、そこまで徹底するには、相当の覚悟と努力がいるだろう、と思われましょうが、決して、そうむつかしいことでもありません。
ともかく、青汁をのみ、菜っ葉を食うことです。
そうして何でもがおいしくなって来れば、奇妙に一般の食べものが、自然に良質のものに――白米よりはムギ、それよりもマメ、イモ、肉や魚介の切り身よりは小魚、ダイズという風に――嗜好がかわって来ます。
そして、必らず健康になり、老化現象はへって行き、病気の治りもよくなります。
青汁を飲むだけでも、また菜っ葉を食べるだけでも確かによろしい。
しかし、青汁は薬ではなくて、栄養のバランスをとるためです。
ですから、いかに青汁を飲んでいても、また菜っ葉をつとめて食ってみても、一方で甚しく偏った白米飯、肉類、糖、酒などを多くとっていたり、有害な添加物のある加工食品ばかり食べ飲みしていては、効果はないか、少くとも、十分のものは期待できません。
青汁を飲み、菜っ葉を食い、すべての食品を純正安全なものにし、主食には、白米よりは雑穀、あるいは、イモ・マメ。蛋白食には、肉や魚介の切身や卵などの過食をさけ、ダイズや、精々がとこ小魚にする。
そして、味はなるべく淡薄に。
そうしてはじめて、それまで得られなかった真の効果は現われるというもの。
そして、その手始めは青汁をのむこと、菜っ葉を食うことです。
いわば、青汁や菜っ葉食は健康的な食べ方の第一歩であり、正しい食べ方へむかっての行進にあたって、頑強に抵抗する「習慣」という壁をきりくずす、手がかり、足がかりとなる突破口といったものだろうと、私どもは考えます。
ともかく、がむしゃらに青汁をのむくせをつけ、菜っ葉を食うくせをつけることです。
そして、菜っ葉の味がわかりだす頃には、体の調子はよほどよくなっており、本当に正しい、本当に健康的な食べ方への飛躍も、もうほんの一息というところまで来ているでしょう。
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3-3. 簡単な干燥ケール 粉末の作り方
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札幌市 K.K.
ケールを作って今年は3年目。夏の最盛期には、今年は雨も多く、よく繁り、ジュースを作っても尚有り餘る程取れるので、何とかこれを干燥粉末にして、冬期間青葉の不足の折に利用せんものと思い、一寸試みた処、非常に簡単に出来ましたので、皆様に参考になれば幸いと存じ、御報告致します。
先づ粉末にするケールはあまり大きくない物の方がよい様です。熱湯の中に3‐5秒間位さっと入れ、取り出し、水に入れて冷し、金アミの様なものに入れ、風通しのよい処で、天日にて半日位干燥すれば、充分です。これをスリ鉢にてすり、良く粉末となし、フルイに掛けて仕上げれば、立派にケール粉末が出来上ります。
注
熱湯には30秒くらい漬けたほうがよろしいし、水で冷やすことはしないほうがよいでしょう。
チソの生葉干燥(湯に通さず行う)
チソは雨上りの晴天の日に取り、糸に通して風通しのよい処で、なるべく日蔭につるしてよく干燥して、スリ鉢にて粉末となし、フルイにかけて微粉末を取り、貯えて置けば冬に青物下足の折には色々と利用出来ます。
注
やはり湯通しするほうがよいでしょう。においは無くなりますが。
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3-4. 冬期の工夫
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北海道 K.N.
毎月中頃に来る薄い封筒に入った健康と青汁紙は、私の待ちこがれる便りの一つです。手術台に4回あがった私は、7ヶ月入院して退院したのが満6年前。青汁のおかげを沢山いただきました。
北海道や東北、北陸など雪の中になる地方は、冬期の青いものには、誰れも不自由します。毎年秋になると、大根葉乾燥粉末をつくりましょうと心に期していながら、左上腹部の痛みに6年間悩まされたり、他の作務の都合で、つくることができませんでしたが、昨秋、念願の粉末が一斗鑵に軽く一杯つくることができました。
この冬は、人参、玉ネギ、漬物類などと共に、盛んに利用しています。毎食のお味噌汁、ふりかけに、うどんやそばにも、小麦胚芽、きな粉にも混ぜます。大そう濃い緑色にて、乾燥のため細かくなり、少々のシンは口の中でかんでいるうちに、結構食べられます。生葉の時には、ニガ味やカラ味があり、ちょっとキツくて飲みづらいのが、乾燥すると、全くそれらのイヤ味がなくなり、そのまま食べても甘いくらいで、歯ざわりも美味にいただけます。
青汁を作るのに摺りこ木と摺鉢を用いていましたが、鈴木式ジュースマシンを求めて試みました所、矢張り、スリコ木とスリ鉢が操作が簡単で、昨秋は、桑の木で握り太のスリコ木をつくりました。雪の中でも笹は青々としていますので、細かく切ってゴリゴリ摺り、少し水を加えてつくりましたが、笹のある場所へ行くのが難儀なので、続きませんでした。近くに手廻る人は利用をおすすめします。私も、今一息で痛みからも解放されるものと、努力しています。「嘉言躍々として人に迫る。唯、人これを行わざるのみ」と嘆かせないようにつとめねばならないと精進しております。
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3-5. 青汁に加えて毎日 イモ・マメ・ナッパで
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総会での先生のお話から
その一
青汁は、別に決して、なにか特定の病気の治療薬や予防薬ではなく、ただもう毎日の食物で、ほかならぬ青野菜・緑葉を最も有効に、そして多量に食べこむ方便である。そしてそのねらいは、栄養に調和をはかって完全な栄養にして、健康をよりいっそう増進することであるが、このごろ盛んに宣伝されている栄養剤や保健薬のようなものではない。
けれども毎日せっせと青汁をのんでいると、いな、そうして初めて、どんな栄養剤や保健薬にもまして本当に栄養が完全になり、しんそこから健康になるのだ。
そして体力、わけても万病に対する抵抗力が強化されて、ちょっとやそっとでは病気にかからず、かかっても治りやすくなるのだ。
青野菜が必要不可欠なのは
そのわけは、こうだ。健康に生きていくには、その土台に完全な栄養が必要不可欠であるが、それは毎日の食物でとりいれているわけである。ところが、お互い日本人は食習慣から、熱量と蛋白質はほぼ必要なだけはとっており、人によっては必要以上にとりすぎている。
けれども、これが体内で栄養として利用されるのに必要な、カルシウムその他のミネラルと各種のビタミンが、ほとんどすべての人に著しく不足している。
それはたとえば、風呂をわかすのに、燃料は十分つぎこんでいるが、空気はほどよく通わせていないようなものだ。ために、あちこち体具合がおかしくなって仕事に精が出ず、あれこれと病気にかかり、かかれば容易に治らないのは、当然の成り行きである。
ところで、こうしたミネラルとビタミンを十二分に補足するには、良質の青野菜をもっと多量にとらねばならず、それも、できるだけ生のまま食べるのが有効である。
これ以外に、これに代わる妙手はないのであって、栄養剤では、そうたいした効果はなく、ときに副作用までも引き起こすことがあるのだ。
青汁にして日に1合以上いな2合ほど飲むのは
それでは、日にどれくらい食べたらよいかというと、お互い日本人の実状からみて、ふつうの成人で、ごくおおまかにいって、もう300g、いな500gほどふやす必要がある。
ところで、これだけの青野菜を生のまま食べるとなると、どうしてもやわらかめのものとなる。
それも、よくかんで食べないと、栄養成分がうまく吸収されず、また胃腸もいためる。だがそうなると、とかく成分の劣ったものばかりになりやすく、歯や胃腸の弱い人は、なおさらである。
そして、そうしたものでも、実状ほとんどすべての人に、必要なだけ十分入手することが困難である。
けれども、これをすりつぶして汁だけとって青汁にすれば、多少まずくはなるが、必要な成分が最も効率よく吸収され、胃腸をいためる恐れもない。
その上、どんな固い青野菜でも、さらに広く家畜の飼料その他の緑葉でも利用でき、それだけ良質の材料が入手しやすくなる。広く青汁に使われているケールは、もともと家畜の飼料なのだ。
そこで実際上の工夫としては、毎度の食物に青野菜を、煮たものでもよし、生であればさらによし、とにかくできるだけふやすと共に、それ以外に青汁を、日に1合以上、いな2合ほど飲むことが大切である。生の青野菜約250gから1合の青汁がとれるからだ。
ただしホウレンソウやフダンソウの類は、成分上、生食にも、ましてや青汁には不適格である。
イモ・マメ・ナッパが有効適切なのは
ところが、ただそれだけでは、人により病気によって、期待通りに効果があらわれてこない場合がある。それは、毎日の食物に栄養上著しく不調和なものが多く、ために、それだけ多量に青野菜をとらねばならないからである。
その主なものは白米(白い麦やパンやウドンもほぼ同様)と切り身だけの魚や肉だ。
その上、ほとんどすべての食品が、原材料からして農薬その他で多少とも有毒化しており、さらに、広く使われている加工食品には、これまた有毒な添加物が多少とも加わっており、それに、成分もかなり低下しているからだ。
そこで大切なことは、そうした食物まで改めて、日に一食、いな二食は、できれば三食とも、白米はジャガイモでも、サツマイモでも、とにかく芋に、魚や肉は大豆にすることである。
それは、白米や魚や肉では、栄養に調和をはかるのに、青野菜を(最もありふれた大根葉で)、ともに原材料の目方で、2倍から3倍ほど添えなければならないが、芋や大豆では、半分ほどですむからである。
その上、芋や大豆は実状、農薬その他で有毒化している場合が最も少ないからだ。
イモ・マメ・ナッパで工夫するには
それでは、イモ・マメ・ナッパをどれくらい食べたらよいかというと、総会の昼食でその基本を示した通り、一食分として、芋200g、大豆30g、青野菜200gである。
そして、芋と大豆は、ただやわらかく蒸したり煮たりしただけであり、青野菜は、洗って少しツユをつけたまま、ほどよく冷やしてピンとさせ、もちろん生のまま、固いジクだけとって適当に手でちぎり、生の油と酢と少量の塩で調味しただけである。(なお総会では、これ以外に青汁1合と豆乳1合を加え、また調味には、さらにチリメンイリコ10gと、イリゴマとニラとワカメを少量加えて、味と成分を強化した)。
ところで、お互い、実状、毎日毎度こうした基本的な食構成だけで食事をすることは、好みや変化や材料入手その他の都合で、いろいろ困難である。
そこで工夫したいことはこうだ。まず主として熱量をとる芋には、玄米(ただし安全なもの)、玄小麦やソバその他の雑穀粉、大豆以外の豆などをあれこれと、ほどほどに加えたり、ときに代えたりすること。
そして、白米や白いパンやウドンは極力ひかえることである。
つぎに主として蛋白質をとる大豆には、まるごと食べる小魚、レバーやモツ、卵、牛乳、トウフなどをあれこれと、ほどほどに加えたり、ときに代えたりすること。
そして、切り身だけの魚や肉、あるいはハムやソーセージなどは極力ひかえることである。
とくに加工食品は、添加物のはいっていない安全なものでない限り、とくにそうだ。さらに主としてミネラルとビタミンをとる青野菜には、黄色や白色の野菜を加えてもよいが、まえにもふれたように毎度の食物に、煮たものでもよいから、できるだけ沢山そえ、さらに生のものを、つとめて沢山そえ、それ以外に必ず青汁を、日に1合といわず2合以上飲むことである。
そして、三度の食物のうち、芋や大豆だけにする度数や度合が少なければ少ないほど、それだけさらに沢山青汁を飲むことである。
なお、とくに青汁材料には必ず、栽培に農薬を使っていない安全なものを使うことが肝要である。
(それではさて、こう工夫すると効果はどうか、そして、それはどういうわけか、次号で。文責在友成)
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3-6. イモ・マメ・ナッパで青汁をしっかり飲むと
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イモ・マメ・ナッパの基本は、日に一食、いな二食は、できれば三食とも、白米は(白いパンやウドンもほぼ同様に)芋に、切り身の魚や肉は大豆にきりかえると共に、三食とも青野菜を添えることである。
そのおおよその分量は、一食分として、芋200g、大豆30g、青野菜200gである。
そして、大豆と芋は、ただやわらかく煮ただけであり、青野菜は、生のまま油と酢と塩で調味する。
そして、人その人の実際的な工夫としては、芋には、玄米、玄小麦やソバその他の雑穀粉、大豆以外の豆などを、大豆には、小魚、レバーやモツ、卵、牛乳、トウフなどを、あれこれと、ほどほどにつけ加えたり、ときにとりかえたりするわけである。
また青野菜には、黄色や白色の野菜を加えてもよいから、とにかく三食とも、煮たものでもよし、生であればさらによし、できるだけ沢山そえると共に、それ以外に必ず青汁を、日に1合といわず2合以上と、できるだけ沢山のむわけだ。
そして、こうした食品には、農薬の残留していないもの、添加物のはいっていないものをえらび、とくに青汁には、この点細かく注意することが大切である。
不治といわれている難病も治ってきた
さて、こうした食養生をすすめたところ、それまで青汁を日に1合2合と飲んだが、どうもうまく治らなかった病気が、意外と順調に治ってきた。
また、青汁はそれ相当量は飲んではいるが、どうも人並に丈夫になれなかった体が、つかれも知らずに仕事に精が出るようになった。
それだけではなく、青汁を日に4合ないし6合にすると共に、芋や大豆やトウフと青野菜だけを適量とり、それ以外は、ほとんどなにもとらないようにしたところ、医学では不治といわれているような難病も治ってきた。
たとえば例のスモン病、これはまだ原因も分からず治療法もきまっていない厄介な難病であるが、これにかかって休職期間もきれかけていた人が、意外と早く快方にむかって復職し、その後1年以上、別にそう悪化していない。
また、これまた原因も分からず治療法もきまっていないブドウ膜炎という眼病にかかり、その症状を軽くする治療薬の副作用も起こって、失明を宣告され、すでに失業していた人が、やはり快方にむかって再び就職し、その後数年間、別にそう悪化してないのだ。
その他、かなり悪化していたレントゲン潰瘍がほぼ完全治って、その痛みから解放された人など、いろいろと事例は多い。
その一部は、この総会出席者がみずから体験を語る通りだ。
ふつうの療養食とはおもむきがちがうが
というと、広く病院その他で、その道の専門家がすすめている療養食とか栄養食とは著しくおもむきがちがっているがと、不審に思われるかも知れない。
だが、そうした療養食は実のところ、厚生省が定めている栄養摂取目安量に比べてみても、なるほど熱量や蛋白質などは十分盛り込まれているが、各種のミネラルとビタミンはかなり不足している。
そしてこれは、栄養剤と補足しようとしているらしい。
その事情や効果のほどはともかくとして、イモ・マメ・ナッパでは、この目安量に比べて、熱量はやや少な目になるが蛋白質は十分になり、ミネラルとビタミンは十分をはるかにこえて多量になる。
ところで実は、本当に完全な栄養をはかるには、こうした栄養摂取が有効適切なのである。
それは、こういうわけだ。
- まず第一に、熱量や蛋白質は、必要なだけはぜひとらねばならないが、必要以上にとりすぎると、その始末がよけいな生理的負担になって健康を防げるようになる。
それに、ミネラルとビタミンが不足していると、さらに未利用のものがふえて、なおさらである。
- けれども第二に、ミネラルとビタミンは、食物わけても良質の青野菜でとる限り、どんなに多くても少しもさしさわりはない。
そして、多ければ多いほど、熱量や蛋白質がうまく利用されるので、それだけ生理的負担が軽くなって、よりいっそう体力がついてくるのだ。
その上、熱量や蛋白質が少なくてもすむので、なおさらである。
- それに第三に、ミネラルとビタミンは、熱量や蛋白質に比べて、調理による損失が多く、消化吸収率も劣っているのだ。
ところで、このミネラルとビタミンは、栄養剤ではなく、食物でとることが肝要なのである。
それは、どんなにすぐれた綜合栄養剤でも、すでに究明されているもののごく一部であり、まだ究明されていないものが数限りない(と考えねばならない)からだ。
ために栄養剤では、既知未知各種のミネラルやビタミン相互の間の調和を乱して、思わぬ副作用を引き起こす恐れがある。
それに、しょせん人工的なものである以上、はたして自然のほんもの通りの効果があるかどうかも疑わしいからだ。
イモ・マメ・ナッパこそ本当の栄養食・療養食
従って、ミネラルとビタミンは、食物わけても、それが既知未知すべてにわたって最も豊富であり、しかもよく調和している(と考えられる)良質の青野菜・緑葉でとりいれることが肝要なのである。
それも、青汁にして、最も効率よく、しかもできるだけ多量にとって、各種のミネラルとビタミンを十分に、いな、それをはるかにこえて余裕があるくらいに、とりいれることが大切である。
そして熱量や蛋白質は、必要ほどほどにとりいれ、それも、芋や大豆、あるいはこれとほぼ同様に、栄養に調和をはかりやすいものでとることが大切である。
そうして初めて本当に完全な栄養になるのであり、さらに、医学では不治といわれているような難病でも、みずから治していく体力がついてくるのであって、イモ・マメ・ナッパで青汁をしっかり飲むことこそ、本当の栄養食であり療養食なのである。
いかにも味気ないようではあるが
なお、こうした食養生をすすめると、広く人々の食習慣や好みとは正反対であるので、ふつう人並に健康な人々でも、さぞ味気ないものと思われるかも知れない。
けれども、とにかく食べてみると意外とおいしいのだ。
そして、芋や大豆に、よい品質のものをえらび、とくに青野菜には、成分も味もよい品種をえらび、昔ながらの栽培をしたものを使えば、よりいっそうおいしくなる。
一度も食べたことのない人でも、みなひとしく、おいしいといって沢山食べるのだ。
しかも毎日つづけても、別にそうあいてくるようなことはない。
これに、めいめい好むものをほどほどに、あれこれとつけかえていったら、毎日の食物がいよいよもっておいしくなる。
それは、こうした食物で本当に完全な栄養になるからであり、これをつづけていると、生来備えている好みがマトモにもどってくるからだ。
おいしいものは身につく、というのは、まさにこうしたことなのだ。
(難病でも治ってくる緑葉の特異な効能と、 そうした緑葉の品種や栽培については次号で。
文責在友成)
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3-7. イモ・マメ・ナッパ
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医学博士 遠藤 仁郎
このごろ、私どもは、最近の医学の進歩にもかかわらず、難治あるいは施すべき術もないといった厄介な病気にたいし、ともかく食べものを直してみることだと、徹底したイモ・マメ・ナッパ食をすすめ、時に、驚くほどの効果があることを経験している。
その一 失明寸前の眼疾
葡萄膜炎という眼の病気の一青年(健康と青汁129号、42・5月参照)。
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)をつかうとよくなるが、やめると忽ちまた悪くなる。
そういったことを2年あまり繰り返しているうちに、ホルモン剤の副作用として最も恐れられている緑内障(あおそこひ)がおこって来た。
薬をつかわねば葡萄膜炎が悪くなって目がつぶれる恐れがあるし、かといって使えば緑内障が高じて、ついには失明するかも知れぬ。
いずれにしても失明寸前という、全くせっぱつまったドタン場に追いこまれてしまった。
そして、藁をもつかむ思いで、救いを私どもの食にもとめて来たというわけ。
きくかきかぬか、効果のほどは勿論やってみなければわからぬ。
それまでも、多少の青汁は飲んでいたのだが、ともかくやる程なら、一つ徹底的にやってみようじゃないかと、まず、初の日は青汁だけ6合。ついで、生ナッパ150グラムを加え2日間。4日目から、ジャガイモ、サツマイモ各300計600グラム、牛乳3合を加え3日間。
その後、大豆100グラム、豆腐1.5丁を追加。つまり、主食にジャガイモ600グラム、蛋白食に大豆100グラム、豆腐1.5丁、牛乳3合。それに青汁6合、生ナッパ150グラム。イモ・マメ・豆腐とも味つけなし。
調味料としてチリメンジャコ、味噌、サラダ油、食塩、酢、いずれも少々。間食に南京豆少量、という食。
これでグングンよくなり、2年かかって治らなかったのが、僅か2ヶ月で完治退院、その後もずっと好調をつづけている。
いま一人、同じ葡萄膜炎の青年があったが、これも同様の食で、約3ヶ月で退院出来るまでよくなった。
その二 スモン
近ごろやかましくなったスモン。これも2年あまり苦しんでいた青年。
同様の食べ方で殆んど完治した(健康と青汁152号、44・4月参照)。
いま一人、20才の女性。発病後比較早かった(約3ヶ月)ためか、同様の食(青汁4〜5合)約3ヶ月余で完全に治癒した(健康と青汁158号、44・10月参照)。
その三 レントゲン潰瘍
レントゲンを強くあてて出来た火傷部は、傷がついたら、現在の医学の常識では、まず不治とされている。
そのレントゲン潰瘍に施した手術創(痛がはげしいために、患部を切除する手術をした)が、同様の徹底した青汁食で、丸々2ヶ年はかかったが、ついに完全に治癒した。
そして、その後も、同様の食をつづけている間はよいが、何かの都合で、食がみだれ、青汁が少くなると忽ちジクジクして来る、ということだ(未発表)。
その四 癌
癌によかった例についても、健康と青汁149号、(44・1月)その他、報告をうけている。
高血圧、動脉硬化、糖尿病などの成人病、あるいは腎炎、肝炎、アレルギー病(喘息、リウマチ、ジンマシン)その他、すべての病気のばあいにもよいし、健康食としてもよい。
さて、この食の特長は、
- 栄養のバランスがよくとれ、ミネラルやビタミンにうんと余裕のあること。いや、むしろ多すぎるほどであること。
- すべて安全な純正食品ばかりであり、有害な農薬や、危険な添加物のあるものは、出来るだけさけていること。
- そして、なるべく自然のまま、あるいは自然に近い形で食べていること。
では、なぜこういう食をすすめるか。それは、まことに素朴な考え方からだ。今の医学では、それぞれの病気について、いろいろむつかしい学説がいわれているが、古くは、すべて、ひとからげに、血の濁り(?血)によるとした。
この血の濁りは、おそらく、広い意味で、代謝の異常にもとづくもので、日常生活のあやまり、ことに食のあやまり(不完全栄養)による所が大きい。
しかも現在は、なおその上に、あらゆる食品が加工され精製されることによって、大切な栄養分を失い、乱用される薬品類(農薬や各種添加物)によって有害化・有毒化さえされている。
水や空気の汚濁もはなはだしい。また医薬の乱用。こうして、食べものからも、水からも、空気からも、薬品からも、とり入れられる有害有毒物は、直接間接に、からだの組織、臓器をおかし、代謝の異常と血の濁りを招き、あるいは強めているだろう。
そこで、現代人の血の濁りは、ただに食の組み合せのあやまり(不完全栄養)だけの場合よりも、いっそう甚しくなっているにちがいない。
ために、病的変化が、以前に比べ、より早期に、かつより高度に現われるようになっているばかりでなく、これまでとは違った形の変化をも生ずる(新しい病気、新しい症状)ことにもなっているのであろう。
そして今日のように成人病がふえ、また若年化し、あるいは、今まで無かった病気まで出て来るようになっているのではあるまいか。
だから、ともかく食べ方を改め、出来るだけバランスのよくとれた完全食にするとともに、なるべく安全なものー有害・有毒物のないものにし、しかも、それをなるべく加工せず、自然のままか、自然に近い形で食べるならば、血液は浄化されようし、こうした厄介な病気の予防も出来、治すことにも役立つのではないだろうか。
また、生食することで、生の力、生命力といった神秘の力も与っているかも知れない、と、まあ、こういう風に考えるからだ。
が、どうも、それだけでも無さそうだ。というのは、安全食、生食についてはともかく、栄養のバランスということになると、さほど大量のナッパ、青汁の必要はない筈だからだ。
わが国平均の食べ方、つまり主食の白米飯に肉魚をそえた食の場合でも、青汁の2合(もとの材料ナッパ500グラム)ものめば、バランスは結構とれる。
まして、それよりも遥かに少量のナッパで済むイモ・マメ食では、僅か1合(もとのナッパ250グラム)で十分釣り合う。それだのに、少量(それでもバランスをとるには十分)の青汁では効果がなくて、4〜5〜6合もの大量(もとの材料1〜1.5キロ)ではじめて、しかも時には奇蹟ともいいたいほどの効果があらわれるというのは、栄養のバランスということだけでは理解できない事実で、どうしても、もっと他の何ものか、それも極く微量にしかない、しかも欠くことの出来ぬ大切なものー未知のビタミンか、あるいはむしろ、いわゆる痕跡因子といわれるミネラル分ーの効果ではないだろうか。
乾燥製品(青汁粉または緑葉粉)でも、十分の量をとれば、往々、生の青汁に劣らぬ効果がみられることも、それを思わしめるもののようにも感じられる。
それはともかく、本当の健康食、治病食の条件としては、イモ・マメ・ナッパ食といったように、
- 食品自体が安全であり、
- 栄養のバランスが完全にとれているばかりでなく、
- ナッパ・青汁はなるべく多く、むしろ多すぎる位にすべきで、多ければ多いほどよいといってよいようだ。
なお、材料ナッパの栽培にあたっては、なるべく十分の堆肥、とくに根の深い草木(表層土はミネラル分ことに痕跡成分に乏しくなっているが、深層には豊富にあるので)や海草の堆肥を施すことが大切と思われるわけである。
| 熱量 | 蛋白質 | 脂肪 | 糖質 | カルシウム | 燐 | 鉄 | A | B1 | B2 | C | |
ジャガイモ 300 | 360 | 3.9 | 0.6 | 83.1 | 72 | 120 | 2.1 | 9 | 0.45 | 0.12 | 90 | |
サツマイモ 300 | 231 | 5.7 | 0.3 | 51.9 | 15 | 126 | 1.5 | 0 | 0.30 | 0.09 | 45 | |
大豆 100 | 392 | 34.3 | 17.5 | 26.7 | 190 | 470 | 7.0 | 6 | 0.50 | 0.20 | 0 | |
豆腐 1.5丁 | 348 | 36.0 | 21.0 | 11.4 | 720 | 516 | 8.4 | 0 | 0.12 | 0.12 | 0 | 1丁400 |
牛乳 3合 | 318.6 | 15.7 | 17.8 | 24.3 | 540 | 486 | 0.54 | 540 | 0.16 | 0.81 | 0 | |
コマツナ 100 | 20 | 2.3 | 0.3 | 2.6 | 170 | 63 | 3.3 | 2000 | 0.10 | 0.15 | 90 | |
青汁 6合 | 291.6 | 31.8 | 3.21 | 34.2 | 3132 | α | α | 48600 | 0.672 | 3.348 | 1134 | |
青汁 (1合) | (486) | (5.3) | (0.54) | (5.7) | (522) | (α') | (α') | (8100) | (0.112) | (0.558) | (189) | |
計 | 1,961.2 | 129.7 | 60.74 | 234.2 | 4,839 | 1,783+α | 22.84+α | 51155 | 2,302 | 4,838 | 1,359 | |
| (1,718.2) | (103.2) | (58.0) | (205.7) | (2,229) | (1,783+α') | (22.84+α') | (10,655) | (1,742) | (2,048) | (414) | |
理想栄養量 | 2000〜2400 | 70〜80 | | | 1.5 | 1.5〜3.0 | 10〜15 | 5000 | 2.0 | 2.0 | 100 | |
| カロリー | グラム | グラム | グラム | ミリグラム | ミリグラム | ミリグラム | 国際単位 | ミリグラム | ミリグラム | ミリグラム | |
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3-8. 豆乳かす
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医学博士 遠藤 仁郎
1月号に記したように、わが家では自家製の豆乳を飲んでいるが、かす(おから)がかなり出来る。
が、本職の豆腐屋のおからとちがって、ずい分大豆のかけらが残っているので、捨ててしまったり、肥料にするのは勿体ない。
油いりやおから飯
ふつうのおからのように、野菜を入れて油いりにしたり、おから飯に炊くのもよいが、そうそう始終は食べづらい。
ご汁
しぼらずに、そのままを味噌汁(ご汁)にして食べる手もあるが、かけらがかみ砕きにくい上に、のどにさわって、どうも感心しない。そこで、次のようにして食べてみているが、なかなか工合がよいようだ。
- 豆乳かす団子汁 かすを小麦粉(ソバ粉でもよい)で練って、団子にして汁に入れる。ご汁よりずっと食べよい。
- 豆乳かす団子 この団子をフライパンで焼くか揚げものにすると、とてもおいしい。結構お八つにもなる。
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3-9. 8月15日にエンサイを食べましょう
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宮崎市 渡辺忠夫
8月15日、終戦の日に、南方の憶出と共に召上って下さい、と印刷して、エンサイの種子を、毎年毎年、晩春の播種適季に、配布を続けてきた。
昭和35年に最初の種子袋の印刷をしたから、早くも10年続けた事になる。
此の年に種子を差上げた事から、遠藤先生を知り、健康をつくる根本対策、緑葉食・青汁の実際の御著書等にも載せて頂くことになった。
エンサイ(甕菜)は、台湾の他、広く熱帯アジアで栽培されている夏野菜で、マレー語ではカンコンと呼ばれている。
カライモナ及びアサガオナの和名があるが、台湾名のエンサイが日本でも通り名になっているので、此の野菜を普及する為の同志会として延才会が生れた。
日本の夏は台湾やインドネシアに劣らぬ暑さだから、エンサイは良く出来る。
何より嬉しいのは、青虫や蛾虫が寄りつかないので、全く農薬を使わずに、よく出来る事だ。
夏の季節に、此の様に容易に繁茂する、作りやすい野菜は他に例がない。
畑の土が乾かない様に、ジャンジャン潅水する事が唯一の栽培要領で、甘藷の蔓に似て、みずみずしく、軟かい。
緑の茎葉は、摘み取るに従って、脇芽を生じるから、家庭菜園の一坪か二坪程の畑で、朝に晩に食膳にのぼらす事が出来る。
まず、朝の味噌汁のみにして美味しく、昼食はお浸しにしたり、白あえにして、夕食は豚肉と一諸に油いためして、と料理の方法を変化させれば、エンサイばかり飽食しても嫌気が来ない。
生野菜のまま、エンサイをサラダとして生食しても、一寸オツな風味だ。
健康青汁の原料野菜としても、ケールに次いで立派な青汁が出来る。
8月15日を迎えて、エンサイを味わいながらの感慨は、遠く南の果ての地に及び、戦中戦後の激しい変遷に、倒れた先輩や戦友に比べ、今日の経済復興の世に生き残った自分の幸を考え、無量に憶いだが、此れは戦中派の年代に特有のものかも知れない。
決して、いわゆる臥薪嘗胆の思いで復しゅうを誓う気持ではない。
エンサイは美味しくて、甘藷の蔓とは、似て否なる味だ。
終戦の記念日を迎えての感情は各人各様で異るものがあるでしょう。
中には、全く無関心か、憶い出すのも嫌だと考える方もあるだろうが、エンサイが一番繁茂する時期で、丁度、月遅れのお盆に当る日だから、夏の暑さに負けないで健康と長寿を保つ、食物本来の使命からも、土用の丑の日に鰻を食べる食習慣と比較して、更に一層切実、有効な銷夏法として、声を大にして提唱するものである。
(延才会幹事)
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3-10. ソバ葉
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3-11. 黄粉より納豆
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長崎市 Y.I.
釈迦に説法で失礼と思いましたが、さきに、つまらぬ思考で、黄粉を混じての玄麦粉(ハッタイ粉)、それに緑粉を加えたものの試食を、1ヶ月位、1日1食だけ続けましたところ、胃を悪くしました。
いろいろ聞き質しましたところ、黄粉とした場合、蛋白質が極めて堅く、不消化になるとのことで、中止しました。
やはり大豆蛋白を最も有効的に、しかも美味に食べる方法は、糸引納豆が最良です。
納豆については、故山崎農博の著書で、十数年まえから概念を有してはいましたものの、うかつにしていましたが、簡単に、各家庭で作りやすい方法と、種子菌の入手も容易く、昔から自家製でやっています。
ご指導のイモ・マメ・ナッパのマメは、必ず納豆にして食べるべきもの、と思っています。
大豆を混炊しただけの蛋白質消化は、記録で50%、納豆は実に85〜90%。
消化率で大差あり、その上美味です。
商店の青野菜をもとめての青汁は安心できませんので、晩春頃、飲みきれぬほど繁ったケールを、僅か熱湯に浸し、かげ干して作った青粉を玄米飯にかけて、目下食べています。
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3-12. すりえ
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歯が悪くて、よくかめない場合に大切なことは、乳鉢か小型の摺鉢をそなえ、食べものは、すべて、よく摺りつぶして、つまり、鶯や目白の餌のように「すりえ」にして、食べることだ。
でないと、かたい繊維の強いもの、ことにミネラルやビタミンに富む野菜、果物の栄養分の利用が不十分なため、胃腸をいためないまでも、ひどく偏った栄養になってしまう。
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3-13. エンサイの七福
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3-14. 「トーグルトの試作」
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友成 左近
トーグルトというのは、牛乳ではなく豆乳で乳酸菌を繁殖させたもので、ヨーグルトをもじって、遠藤先生がこう名付けて下さったのです。こんなものを作っている方が他にあるかどうか、まだ調べてみたことはありませんが、このごろ私は、試みにこれを作って食べています。来客にも、ときに試食してもらっています。
その動機は
それは、つぎのような動機からです。昨年夏、三重県亀山で外科病院を開いておられる成田先生を、私と同様にレントゲン障害で苦労されているとのことで、亀山でケールの栽培と配達をしておられる朝倉さんに案内してもらって訪ねたときのことです。
食養生の工夫として、青汁以外の一つにヨーグルトを食べており、これは、ブルガリヤ菌で作っておられるとのことです。で、それを試食させて頂いたところ、このごろ市販のものとは格段においしく、学生時代に食べた味わいを思い出し、また、この乳酸菌は人体に最もなじみやすく、また、これで作ったヨーグルトが最もおいしいとのことです。
そこで後日、このヨーグルトをタネ用に分けて頂いて、私の宅でも作って食べはじめたのです。また、親しい宅にもタネ用をさしあげて試食・試作してもらいました。が、私たちは平素、遠藤先生のご指導で、このごろ市販の牛乳は大部分、成分が劣っているだけでなく、いろいろな薬品がはいっているので、必ずしも安全ではなく、そのうえ高価でもあるので、その代わりに、その昔わが国で病人食・栄養食として重宝されていた豆乳を活用するように心がけています。
また、ふつう栄養食・蛋白食として重要視され、ご馳走ともされている肉や魚は、栄養全体に調和をとりにくいだけでなく、このごろ市販のものは大部分、牛乳と同様に安全ではなく、そのうえ高価でもあるので、その代わりに、ドイツでは「畑の豚肉」といわれている大豆を活用するように心がけています。そこで、豆乳でヨーグルトを作って毎日食べるようにしては、と思いたったのです。
で、遠藤先生に相談してみたところ、大豆の食べ方としては最も有効適切であろう、ということで、その意味や作り方を教えて頂きました。というのは、大豆の食べ方としては豆乳にして飲むのが、味わいの点はともかく、成分の消化吸収が最も優れているが、これで乳酸菌を繁殖させたら、そこで生成する乳酸が蛋白質に作用して、さらに消化吸収が優れてくるからです。また、乳酸菌を多量に食べこむので、腸内の細菌関係が改善されて、腸の調子がよくなり、また、ビタミンの生成にも役立つからです。が、そんなことは、マアとってつけたリクツで、実は引退生活でひまのあるのにまかせて、いわばモノずきに作って食べてみているしだいです。
最も簡便な作り方
この作り方としては、今のところ最も簡便で、ムダがなく、出来具合もよいのは、つぎの通りです。まず、材料には、一度に大豆カップ1杯(約130g)で作るとして、黒砂糖50g、タネ用トーグルト茶サジ5杯、用具にはナベ(2−3Lもの)、ミキサー、ジャー(2−3Lもの)、トーグルト用器(1−1、5Lのホーロー引きフタつきポット)、温度計、計量カップ、茶サジ、重量計などを準備します。(注―1.砂糖を加えるのは、豆乳には、牛乳のように、乳酸菌が繁殖するのに必要な糖分がないからです。2.これに黒砂糖を使うのは、白砂糖よりも成分が優れており、また豆乳の少しイヤな臭いや味をやわらげるからです。3.大豆130gに黒砂糖50g使うのは、乳酸菌が十分繁殖してトーグルトができた後、なお少し甘味が残って、食べておいしいからです。4.トーグルト用器に、プラスチックスでなく、ホーロー引きを使うのは、熱い豆乳を入れても差し支えないからです。)
つぎに、作り方の主な手順は、つぎの通りです。
- 大豆を洗ってナベに入れ、水をカップ5杯ほど加えて、約一昼夜、大豆が倍量以上にふくれるくらい浸しておきます。(注――水をカップ5杯加えるのは、ミキサーにかけるとき丁度適量であり、またトーグルトの出来具合にも適量であるからです)
- 黒砂糖を加えて、弱火で約2時間、色も味も変わってこないが、つまんでつぶれるくらい柔かく煮ます。(注――煮るとき、浸し水をそのまま使います。大切な成分がかなりとけ出ているからです。といって夏分、浸し水がくさくなっていたら取り換えます)
- しばらくむらして約60度にさめたところで、煮汁をカップ1杯ほど、ポットのすすぎ用に残して、ミキサーに約5分間かけ、指先に固形が全く感じなくなるくらい十分にすりつぶして豆乳にして、トーグルト容器に移します。(注―1.ポットの大きさによっては二度以上に大豆と水を等分してかけます。2.豆乳は、水分が少し蒸発しているので、ポットをすすいだ分もあわせて、カップ5杯弱できます)
- ジャーに約45度の湯をほどほどに入れて、内部を温め、湯の温度を41−42度にします。(注―トーグルト用器を入れた後に、ジャー内の温度を、約4時間、35度前後に保つためであって、冬分は必要ですが、夏分は不要でしょう)
- 豆乳が42−3度にさめたところでトーグルトをタネに加え、よくまぜあわせてジャーに入れます。(注―タネが10度ぐらいであるため41−2度にさがりますが、タネを入れるとき、入れてからの温度をほぼこの程度にすることが肝要です。これ以上であると乳酸菌がだんだんと死滅していく心配があり、これ以下であると繁殖しにくいからです)
- 約4時間入れておいた後、かきまぜて味をみて、出来具合を確かめます。(注―1.タネと同様にドロドロになっておらず酸味も少ないようであったら、もうしばらく入れておきますがジャー内の温度が20度以下であれば、熱湯を少し加えて約35度にあげます。2.あまり長時間入れておくと、菌が繁殖しすぎて酸味がきつくなり、甘味が殆んどなくなってしまいます。3.ほどよく出来たら、少し醗酵しているので、カップ6杯ほどになります。4.タネを多量に入れると短時間にでき、少量入れると長時間かかります)
- ほどよくトーグルトになってきたら、10−15度以下の冷蔵庫に入れて保存します。(注―これ以上のところに放置すると、菌が繁殖をつづけるので、酸味がきつくなり、そのうち糖分が全くなくなって菌が死滅し始める心配があります)
食べ方は
この食べ方は、ヨーグルトやアイスクリームなどに似かよった持ち味があるので、それに準じたらよいわけです。が、参考までに付け加えてみますと、こうです。まず食べる時機ですが、昨年11月から試作して、主として昼食に、青汁をカップ3杯とこれを1杯食べ始めましたが、どちらも10度前後であるため、冬の寒い日はカラダがシンから冷えてきます。で、そんな日は間食にまわしますが、ほどよい酸味と甘味と冷さで、気分転換に適切です。夏分、わけても汗をかいたあとには適切でしょう。つぎに味つけは、まえにもふれたように適度の甘味が残っているので、別になにも付け加える必要はありません。といって、味の好みは人さまざまですから、めいめい好みによって味つけしたらよいでしょう。が、砂糖その他で、これ以上に甘味をつけるのは、栄養上すすめかねます。
もうひとつ食べる分量についてですが、間食またはデザート食にするか、毎日毎度の主な食物にするかによって、かなりちがってきます。私は今のところ、昼のデザート食または間食にしているので、日にカップ1杯ほど食べています。ところで、大豆を食べる主なねらいは蛋白質の摂取ですが、最近の栄養基準では蛋白質が70g、食料構成基準では大豆が20gとなっています。そして、大豆カップ1杯(130g)でトーグルトがカップ6杯できるので、トーグルト1杯あたりの大豆は21g、蛋白質は7gであり、市販の牛乳カップ1杯の蛋白質は6gです。そこで、というほどではありませんが、私は今のところ、間食かデザート食として日にカップ1杯食べています。が、毎日の食事で、主として蛋白質をねらったものとして、他に大豆や肉・魚・卵などをそう食べないとすれば、毎日6杯(蛋白質43g)食べたらよいでしょう。
前記以外の作り方
ところで、前記の作り方が最も簡便・適切であると分かるまでには、いろいろな作り方をしてみたので、参考までに付記すると、その主な点はこうです。
第一に、ふつうの作り方で豆乳を作ってからトーグルトを作る場合です。これには、前期のように大豆を水に浸した後、ミキサーに約3分間かけて豆乳をしぼりとってから煮る場合と、ミキサーにかけた後、いったん煮てから豆乳をしぼりとる場合があります。(煮沸5分間以上)が、いずれも、しぼる手数がかかるうえに、煮るときに、つききっていても、ふきこぼれたり(アワを消して、ふきあがるのを軽くする油剤がありますが)、しきついたりして、なんとも厄介です。また、出来たトーグルトが、時間がたつにつれて水分が分離して、ドロッとしたところがなくなり、なにかすっぱい豆腐といった感じがして、ヨーグルト代用らしくないようになります。このため、水分が分離しないようにと、ゼライスやコンスターチなどを加えてみましたが、どうもうまくいきませんでした。
もうひとつ、しぼりカスのオカラは、ウノハナにしたり、小麦粉をつなぎにして野菜もきざみこんで、テンプラにすると、市販のオカラよりおいしいものができます。が、トーグルトを毎日多量に作るとなると、もう沢山、ということになるかも知れません。が、オカラをとらずに、前期のような作り方をすると、こうした欠点がなくなって、ヨーグルト代用というよりも、また豆乳そのままよりも、なにか別に新たな食べ物といったものができます。そのうえ大豆を、センイまで細かくすりつぶして食べるので、100%活用することができます。
第二に、豆乳を作らずに豆腐を使う場合です。よくまぜくだいて、あたためて作るわけで、豆乳を作る手数もなく、殺菌剤を添加してあるものでも出来ます。が、出来具合は、豆乳を作ってから作る場合と同様です。また高価にもつきます。
第三に、これはいうまでもないことですが、ふつう市販の乳酸菌や、ヨーグルトやヤクルトなどをタネに使っても出来ます。そして、こうした乳酸菌で作ったものと、ブルガリヤ菌で作ったものを食べ比べてみましたが、私の舌には優劣はつきませんでした。
(48・2・1)
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3-15. 枝豆サラダ
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枝豆は、播種時期の加減で7月初めから10月終りごろまで、利用できる。ふつう、塩ゆでしてツマミにするが、枝豆サラダという趣向はいかが。
季節のもろもろの新鮮野菜・果物、マッシュポテトに枝豆(マッシュしてもよい)を適宜か、キナコ、ゴマ、ナンキンマメ、クルミなどで和え、レモン、スダチ、ユズのしぼり汁、少量の食塩、ニラ、ネギ、タマネギの薬味で食べる。これこそ、まさにイモ・マメ・ナッパの完全食。仲々おいしくもある。
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3-16. 根の深い野菜 大根・ゴボウ
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大根 |
成分表でみると、大根にはそう大して栄養があるようには思えない。それだのに、昔から、大根おろしが健康上非常によい、といわれているし、それを実証しているかのような人も、まま見かける。
本草綱目には、「時珍曰く、根葉同効」とあり、
つれつれ草にはこんな話も出ている。
「筑紫に、なにがしの押領使など云ふやうなる者のありけるが、土大根を萬にいみじき薬とて、朝ごとに二つ宛焼きて食ひけること、年久しくなりぬ。或時、舘の内に人も無かりける隙を計りて、敵襲ひ来りて、囲み責めけるに、舘の内に兵二人出て来て、命を惜まず戦ひて、皆追ひ返してけり。いと不思議に覚えて、日頃此処に物し給ふとも見ぬ人々の戦ひ給ふは、如何なる人ぞと問ひければ、年来頼みて朝な朝な召しつる土大根らにさぶらふ、と言ひて失せにけり。深く信を致しぬれば、斯る徳もありけるにこそ。」
なにか特別の成分でもあるのだろうか。
ところで、大根は深く地中にはいって行く。守口大根などとなると、祐に一米もあろう。ということは、根の浅いものよりは、ずっと地下の深部のミネラルを吸収しているだろう、ということだ。つまり、地表に乏しくなっている大切な痕跡成分にとんでいるのではないか。そして、それ故にこそ、青汁同様の力をもっているのであろうか。
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ゴボウ |
同じことがゴボウにもいえそうだ。
正月のお節料理に欠かせぬのも健康とのかかわりを示すものだろうし、俗に精力がつくともいう。これも、成分表では理解しかねる。たくましい外観からの連想か、芳香分の刺激、あるいはホルモン様の成分があるのかも知れないが、やはり、真直ぐに深くのびている根に意味があるのではないか。
もっとも、この節のゴボウは、真偽のほどは知らぬが、適当の時期に植えかえ、横なりに伏せておくということだから、これでは、おそらく大した効能は望めないのではないか。
それはともかく、こうした点で、根の浅いものよりは、根の深いものの方がより健康的な食べものなのではないだろうか。
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3-17. 大豆油
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大豆の油は、不飽和脂肪酸にとんでおり、血液コレステロールを上げない(下げないまでも)。で、動脈硬化の予防や治療によい、といわれているわけだが、そのほか、エストロゲンの作用もあるという。
このエストロゲンは、卵巣ホルモンで、中年の婦人に心筋梗塞(心臓冠状動脈の硬化で来る)が少ない理由にあげられているもの。もっとも、大豆油のエストロゲンの量は、ごく僅かのようだが、それでも、あるいは動脈硬化の予防や治療に役立っているのかも知れない。
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引き続き、芋・豆・ナッパの食べ方(4)へ
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