健康と青汁タイトル小
 芋・豆・ナッパの食べ方 インデックス

芋・豆・ナッパの食べ方(1)
芋・豆・ナッパの食べ方(2)


芋・豆・ナッパの食べ方(3)
芋・豆・ナッパの食べ方(4)
芋・豆・ナッパの食べ方(5)



2-1. おいしい青野菜の食べ方(1)
   青野菜のとり方と食事の工夫

     友成 左近 

    −緑葉食・青汁のすすめ

     それでは、実際、どういうふうに工夫して、毎日、必要なだけの青野菜を食べるか、というと、だいたい、こうです。

    毎度の食事に生の青野菜を約50g
     第1に、毎度の食事に、必ず生の青野菜を沢山食べるようにします。目安は50g(だいたい片手でワシづかみした程度)でしょう。やわらかめのものを、よくかんで食べるようにします。
     もし外食その他で十分食べかねる場合は、他の食事で、それだけ沢山食べるようにします。けれども、せいぜい70gか80gが限度でしょう。とくに歯や胃腸の丈夫でない方は、やわらかめのものでも、またよくかんでも、カスをださなければ、時に胃腸をいためる恐れがあります。

    調理した緑黄色野菜を補足して
     第2に、とはいっても、毎度の食事に、こうした生の青野菜の都合がつきかねる場合があります。こんな場合は、むしたり、ゆでたり、煮たり、いためたり、あるいは漬物にしたものでもよいから、必ず青野菜や黄野菜をつけるようにします。目安は、生の場合より、かなり多い目にします。とにかく、毎度の食膳を必ず緑で濃く色どるようにするのです。

    青汁を1合か2合のんで生の青野菜を十二分にとり入れる
     第3に、こうして、毎度の食事で青野菜を、それも、できるだけ生で食べるようにつとめても、とうてい必要なだけは、容易にとれないものです。そこで、毎日1回か2回、食前でも食間でも、いつでもよいから、青汁を飲んで、不足分を補うようにします。
     目安は、3度の食事の内容その他によって、一口にはいえませんが、青野菜がかなり多い場合は1合、少なめの場合は2合、殆んどない場合は3合といったところでしょう。大便が濃い緑色となるのが一つの目安です。

    その他の野菜、果物、牛乳、海草などもいろいろ取り入れて
     なお第4に、毎日毎度、こうして青野菜を十分食べるようにすると共に、毎度の食事に、献立の都合上、キャベツその他の白色または淡色野菜(つとめて生のまま)や、トマトやミカンその他の果物や、牛乳やコンブその他の海草など、を、いろいろ工夫して、沢山そえることは、大いにけっこうです。
     けれども、こうしたものを沢山つけているからといって、青野菜を少々へらしてもよいと考えてはなりません。ミカンやトマト、牛乳や海草は、いくらかましですが、その他の青野菜や果物は、青野菜に比べたら、栄養成分が段ちがいに劣っているからです。少々沢山食べても、とうてい追いつかないからです。
     この頃、こうした野菜や果物はだんだん多くなっているのに、青野菜の方は却って少なくなっている傾向があるので、とくに、こうした点に気をつける必要があります。

    豆類、芋類もいろいろ取り入れて
     また、毎度の食事に、献立の都合上、煮豆、トウフ、アゲ、その他の豆類や、ジャガイモ、サツマイモその他の芋類を、いろいろ工夫して、沢山そえることも、大いにけっこうです。といって、青野菜を減らしてはなりません。

    砂糖類は極力使わず食塩はごく控え目に
     さらに、調理に油(とくに植物性)を使うことは大いにけっこうでが、砂糖は極力使わないこと、食塩や香辛料はごく控え目にすることが大切です。
     間食は、つとめて控えることが大切ですが、とるとすれば、菓子や甘い飲み物は極力控えて、果物や豆や芋や牛乳にします。

    ごはんや肉魚卵を食べすぎないように
     こういうふうに、毎度の食膳に、青野菜その他の野菜や果物や、芋や豆などを沢山つけて見たところ(青汁は一応別にして)、ごはん(パンやうどんも含めて)と肉魚卵などに対して、青野菜その他が2倍か3倍になるようにします。ごはんや肉魚を一口食べる前に、他のものを2口か3口は食べるようにするのです。
     それは、食事といえば、ごはん(とりわけ白米飯、これがよくないときけば、パンやうどん)を主食として食べすぎたり、ご馳走といえば、肉魚卵などを食べすぎたりするのを防ぐためです。こうしたものは、ぜひ必要なのですが、とかく食べすぎる傾向があり、食べすぎると却って有害ともなるのです。青野菜その他が不足しておれば、なおさらです。
     事実、この頃の病人には、ごはんの食べすぎ、ご馳走の食べすぎの方が非常に多いのです。こうしたものを食べすぎると、せっかく青野菜を沢山食べても、とうてい追いつかず、また、そう沢山食べられもしないので、どうしても相対的にビタミンとミネラルが不足して、栄養に調和がとれなくなります。

    クスリではなく食物でからだに栄養をつける
     念のため第5に、もうひとこと付け加えておきましょう。
     毎日毎度の食事に、こんな工夫をしなくても、好きなものを好きなように食べておればよい、これが一番身につく、運悪く病気にかかったら、クスリを飲んだらよい、医者にかかればよい、と考える方があるかも知れません。これは、いうまでもなく全く乱暴な考え方で、だいたい運悪くいくことばかりでしょう。
     それから、嫌いな青野菜など、そうムリして食べなくても、まあ好きなものをおいしく食べて、不足する栄養素は栄養剤て補えばよかろう、いろいろ売り出されているから、と考える方があるかも知れません。ちょっと賢そうな考え方ですが、大きくマがぬけています。
     いったい栄養剤というものは、どんなに立派なものでも、しょせん人間の作ったもので、とうてい自然に作られた食物には、はるかに及びません。栄養剤にしても、その他のクスリにしても、病気の場合、応急的に使うものです。しかも、これは補助的な効果をはたすものであって、病気が治り、丈夫になるもとは、からだ自身の栄養なのです。そして、この栄養は、いつに毎日毎度とる食物にかかっているのです。
     「クスリヤより、ヤオヤへ」ということわざもある通りです。病気を治し、丈夫になるには、まずはさておき青野菜を沢山とり入れて、食物全体を改めることが大切です。そして、その上で、必要な場合だけ、それも医師の指導に従って、クスリを利用するようにしなければなりません。

      よくきくクスリほど副作用が強い
     なお、クスリというものに両刀の剱であって、よくきくものほど、反面、副作用が強いのです。クスリをのみすぎて、却って厄介な病気にかかった方が少なくないのです。
     丈夫になり、毎日はればれと働くには、まずもって毎日毎度の食物を、栄養上よく調和したものに改めることがカンジンです。それには、毎日毎度の食事に、必ず生の青野菜を沢山とりいれること、調理したものでもよいから青野菜や黄野菜を沢山とりいれること、その上、青汁を飲むこと、こうした工夫が、数ある工夫のうちで、最も手近で、最も確実で、最も安心です。
     こういうふうに工夫していくと、いつの間にか、からだがシンから丈夫になり、毎度の食事が、本当においしく楽しく、いただけるようになります。

    附記
     この稿は、毎月第3金曜日の夜 倉敷中央病院の古久賀会館で開かれている青汁教室で、遠藤先生がお話しになったことを、主題にそって、まとめたものです。




2-2. おいしい青野菜の食べ方(2)
   青野菜のとり方と食事の工夫

     それでは、実際、どういうふうに工夫して、毎日、必要なだけの青野菜を食べるか、というと、だいたい、こうです。

    毎度の食事に生の青野菜を約50g
     第1に、毎度の食事に、必ず生の青野菜を沢山食べるようにします。目安は50g(だいたい片手でワシづかみした程度)でしょう。やわらかめのものを、よくかんで食べるようにします。
     もし外食その他で十分食べかねる場合は、他の食事で、それだけ沢山食べるようにします。けれども、せいぜい70gか80gが限度でしょう。とくに歯や胃腸の丈夫でない方は、やわらかめのものでも、またよくかんでも、カスをださなければ、時に胃腸をいためる恐れがあります。

    調理した緑黄色野菜を補足して
     第2に、とはいっても、毎度の食事に、こうした生の青野菜の都合がつきかねる場合があります。こんな場合は、むしたり、ゆでたり、煮たり、いためたり、あるいは漬物にしたものでもよいから、必ず青野菜や黄野菜をつけるようにします。目安は、生の場合より、かなり多い目にします。とにかく、毎度の食膳を必ず緑で濃く色どるようにするのです。

    青汁を1合か2合のんで生の青野菜を十二分にとり入れる
     第3に、こうして、毎度の食事で青野菜を、それも、できるだけ生で食べるようにつとめても、とうてい必要なだけは、容易にとれないものです。そこで、毎日1回か2回、食前でも食間でも、いつでもよいから、青汁を飲んで、不足分を補うようにします。
     目安は、3度の食事の内容その他によって、一口にはいえませんが、青野菜がかなり多い場合は1合、少なめの場合は2合、殆んどない場合は3合といったところでしょう。大便が濃い緑色となるのが一つの目安です。

    その他の野菜、果物、牛乳、海草などもいろいろ取り入れて
     なお第4に、毎日毎度、こうして青野菜を十分食べるようにすると共に、毎度の食事に、献立の都合上、キャベツその他の白色または淡色野菜(つとめて生のまま)や、トマトやミカンその他の果物や、牛乳やコンブその他の海草など、を、いろいろ工夫して、沢山そえることは、大いにけっこうです。
     けれども、こうしたものを沢山つけているからといって、青野菜を少々へらしてもよいと考えてはなりません。ミカンやトマト、牛乳や海草は、いくらかましですが、その他の青野菜や果物は、青野菜に比べたら、栄養成分が段ちがいに劣っているからです。少々沢山食べても、とうてい追いつかないからです。
     この頃、こうした野菜や果物はだんだん多くなっているのに、青野菜の方は却って少なくなっている傾向があるので、とくに、こうした点に気をつける必要があります。

    豆類、芋類もいろいろ取り入れて
     また、毎度の食事に、献立の都合上、煮豆、トウフ、アゲ、その他の豆類や、ジャガイモ、サツマイモその他の芋類を、いろいろ工夫して、沢山そえることも、大いにけっこうです。といって、青野菜を減らしてはなりません。

    砂糖類は極力使わず食塩はごく控え目に
     さらに、調理に油(とくに植物性)を使うことは大いにけっこうでが、砂糖は極力使わないこと、食塩や香辛料はごく控え目にすることが大切です。
     間食は、つとめて控えることが大切ですが、とるとすれば、菓子や甘い飲み物は極力控えて、果物や豆や芋や牛乳にします。

    ごはんや肉魚卵を食べすぎないように
     こういうふうに、毎度の食膳に、青野菜その他の野菜や果物や、芋や豆などを沢山つけて見たところ(青汁は一応別にして)、ごはん(パンやうどんも含めて)と肉魚卵などに対して、青野菜その他が2倍か3倍になるようにします。ごはんや肉魚を一口食べる前に、他のものを2口か3口は食べるようにするのです。
     それは、食事といえば、ごはん(とりわけ白米飯、これがよくないときけば、パンやうどん)を主食として食べすぎたり、ご馳走といえば、肉魚卵などを食べすぎたりするのを防ぐためです。こうしたものは、ぜひ必要なのですが、とかく食べすぎる傾向があり、食べすぎると却って有害ともなるのです。青野菜その他が不足しておれば、なおさらです。
     事実、この頃の病人には、ごはんの食べすぎ、ご馳走の食べすぎの方が非常に多いのです。こうしたものを食べすぎると、せっかく青野菜を沢山食べても、とうてい追いつかず、また、そう沢山食べられもしないので、どうしても相対的にビタミンとミネラルが不足して、栄養に調和がとれなくなります。

    クスリではなく食物でからだに栄養をつける
     念のため第5に、もうひとこと付け加えておきましょう。
     毎日毎度の食事に、こんな工夫をしなくても、好きなものを好きなように食べておればよい、これが一番身につく、運悪く病気にかかったら、クスリを飲んだらよい、医者にかかればよい、と考える方があるかも知れません。これは、いうまでもなく全く乱暴な考え方で、だいたい運悪くいくことばかりでしょう。
     それから、嫌いな青野菜など、そうムリして食べなくても、まあ好きなものをおいしく食べて、不足する栄養素は栄養剤て補えばよかろう、いろいろ売り出されているから、と考える方があるかも知れません。ちょっと賢そうな考え方ですが、大きくマがぬけています。
     いったい栄養剤というものは、どんなに立派なものでも、しょせん人間の作ったもので、とうてい自然に作られた食物には、はるかに及びません。栄養剤にしても、その他のクスリにしても、病気の場合、応急的に使うものです。しかも、これは補助的な効果をはたすものであって、病気が治り、丈夫になるもとは、からだ自身の栄養なのです。そして、この栄養は、いつに毎日毎度とる食物にかかっているのです。
     「クスリヤより、ヤオヤへ」ということわざもある通りです。病気を治し、丈夫になるには、まずはさておき青野菜を沢山とり入れて、食物全体を改めることが大切です。そして、その上で、必要な場合だけ、それも医師の指導に従って、クスリを利用するようにしなければなりません。

      よくきくクスリほど副作用が強い
     なお、クスリというものに両刀の剱であって、よくきくものほど、反面、副作用が強いのです。クスリをのみすぎて、却って厄介な病気にかかった方が少なくないのです。
     丈夫になり、毎日はればれと働くには、まずもって毎日毎度の食物を、栄養上よく調和したものに改めることがカンジンです。それには、毎日毎度の食事に、必ず生の青野菜を沢山とりいれること、調理したものでもよいから青野菜や黄野菜を沢山とりいれること、その上、青汁を飲むこと、こうした工夫が、数ある工夫のうちで、最も手近で、最も確実で、最も安心です。
     こういうふうに工夫していくと、いつの間にか、からだがシンから丈夫になり、毎度の食事が、本当においしく楽しく、いただけるようになります。

    附記
     この稿は、毎月第3金曜日の夜 倉敷中央病院の古久賀会館で開かれている青汁教室で、遠藤先生がお話しになったことを、主題にそって、まとめたものです。




2-3. おいしい青野菜の食べ方(3)
   おいしい青野菜の生食法 その1

     毎度の食事に、青野菜を生のまま、手の平一杯50g以上、よくかんで食べて下さい、といわれると、ちょっと閉口する方があるかも知れません。が、いろいろ工夫してみて下さい。本当においしくいただけます。といって、酒のみの酒のように、また甘党の菓子のように、どぎついうまさではなく、番茶や漬物のように、やさしいうまさです。毎日毎度、なくてはすまされない味わいです。

    適切な品種
     それには、やはり、適切な品種をえらぶことが大切です。数多い青野菜のうちで、栄養成分がすぐれており、生で食べておいしく、少々沢山食べても別に副作用のないもの、それから、栽培し易く、手に入れ易いものとなると、だいたい、こんなものでしょう。

    一級品
     一級品としては、パーセリ、ニンジン葉、シソ葉、それから、ハツカダイコン葉、カブ葉、カキハダイコン葉、COといったところでしょう。カキハダイコンとCOは、もともと家畜の飼料ですが、若葉の間は、すばらしい青野菜です。その他のものも、まぶきはともかく、市場に出ているものは、殆んどみな、十分成長しているので、生食には少し不向きです。生食には、まだ、あまりたけていない若葉の間を利用するのです。その目安は、品種や季節によって多少ちがいますが、だいたい10cmから20cm位に成長したところ、濃い緑色とならず、少し黄味がかっている間、上に向いてピンとのびている間、といったところです。あれこれ食べてみる間によく分かってきます。たけたものは、他のものに、ほどほどにまぜて生食するか、調理するか、青汁にします。

    二級品
     二級品としては、ウグイスナ(成長したのはコマツナ)、キョウナ(別名ミズナ)、シュンキクといったところでしょう。こうしたものも、たけたものは、生食に少し不向きですから、若葉の間に利用します。なお、黄野菜のニンジン(根)は、だいたい、この級です。これも、けっこう生でおいしく食べられます。

    三級品
     三級品としては、カキチシャ、タマチシャ(別名サラダ菜)、広くレタスといって、生食に利用されているものです。やわらかくて、アクが少なく、至って食べ易い代わりに、栄養成分がかなり劣っています。一級品や二級品を食べていると、味といい、口ざわりといい、どうもたよりない感じがします。なお、果物のうち、ミカンだけは、どうやらこの級ですが、トマトとなると、さらに劣ります。

    級外品――薬味用
     級外品としては、普通のダイコン葉、カラシナ、ビタミン菜、それから、ニラ、ネギ緑部、タマネギ緑部、セリ、セロリー葉、ミツバ、ハトウガラシなどがあります。いずれも刺激が強いので、これだけを沢山食べてはいけません。ほどほどに他の青野菜(または淡色野菜)にまぜて下さい。ほどよい薬味となります。一級品のうち、シソ葉、パーセリ、ニンジン葉なども、たけたものはこういうふうに利用すれば、適切な薬味となります。
     第二に、ナズナ、ツルナ、ヨメナ、ヨモギ、タンポポの葉、クコの葉などの野草があります。いずれも若葉の間でも、味にクセがあり、刺激も強いので、これだけを沢山食べてはいけません。ほどほどに他の野菜にまぜると、野趣もあって、ほどよい薬味となります。
     第三に、アルメロン、バイアム、エンサイ、シャクチリなどの外来種や、サツマイモの葉がありますが、いずれもクセがあるので、一般向きではないでしょう。なお、念のため云いそえておきますが、ホウレンソウ、フダンソウ(ナツチシャ)、野草のスイバなどは、生のままでは、よくない成分が多いので、あまり生食してはいけません。

    計画よく栽培すれば年中不足することなし
     いずれにしても、これだけの品種があるので、私たち(岡山県南部居住者)には、計画よく栽培すれば、年間通じて、そう不足することはありません。不足し易いのは冬、それから夏です。冬には、CO、カキハダイコン、パーセリ、シュンキク、ビタミン菜、クコの葉などで、夏には、シソ葉、パーセリなどで、けっこう間にあいます。また、冬には、ビニール(少し栄養価が劣る恐れもあるが)かカンレイシャを、夏には、カンレイシャを利用すれば、その他のものも、いろいろ栽培できます。それに、害虫の防除にも役立ちます。

    栽培上の注意
     ところで、こうした青野菜でも、栽培の仕方を誤まると、栄養成分も味も劣ってきます。また、場合によっては、食べて却って病気にかかるようなことも起こります。ご参考までに、ぜひ心得ておいていただきたい、ごく重要な点をあげておきましょう。

      清浄栽培をすること
       第一は、下肥を決して使わずに、清浄栽培をすることです。なにぶん生のまま食べるのですから、回虫卵その他の有害物がついていては困ります。完全に腐熟したものであれば心配ないわけですが、どんなことで未熟なものがはいっているか知れませんので、使わない方が賢明です。

      安全栽培をすること
       第二は、パラチオンその他の滲透性農薬を絶対に使わないように、よそからとんでこないように、安全栽培をすることです。回虫卵などであれば、ある程度まで、洗い落とすことができます。(熱を加えて調理すれば殺すことができます)。また、青野菜を十分とって丈夫であれば、少々回虫卵がはいっても、めったにわきません。たとえわいても、比較的早く分かり、治療も容易です。
       けれども、滲透性農薬は、葉から茎から根から、作物の内部にしみこんでいるので、どんなに洗っても落ちません。(また、回虫卵のように生き物でないので、熱を加えて調理しても、有毒作用は決してなくなりません)。さらに、これは肝臓、腎臓その他に慢性的に中毒作用を与えるので、発見が容易でなく、発見されても、治療が極めて厄介です。(なお序ながら、人工色素料、人工甘味料、防腐剤、漂白剤などの食品添加物は、たとえ厚生省が使用を許可しているものでも、これと、ほぼ同様な中毒作用を与えます。この頃、肝臓、腎臓の悪い方が目立って多くなり、そうしたクスリがいろいろと売り出されているのは、こうした農薬や食品添加物が主な原因となっているように思われます)。栽培には、滲透性農薬を決して使わないことが肝腎です。使ってよい農薬は、除虫菊、デリス根、ニコチンなどの付着性農薬で、滲透性農薬のまざっていない純粋なものだけです。

      有機質肥料を十分に
       第三は、堆肥その他の有機質肥料を十分に、石灰を適量に施こすことです。清浄栽培というと、化学肥料だけで栽培するように誤解されていることがあります。けれども、化学肥料だけでは、たとえ見た目には立派なものができても、成分も味も劣ってきます。病害虫にも弱くなります。ワラ、クサ、木の葉その他台所の廃棄物、それから、きゅう肥(ブタのは不適当)、鶏糞、油かす、魚粉など、とにかく腐っていく有機質を十分施こすことが大切です。完全に腐熟したものが望ましいのですが、未熟であってもかまいません。十分施こすことです。目安は、坪あたり毎年、5―8kg、干ワラに換算すると3―5kgです。こうして、土壌がフワフワしており、ほりかえすと、みみずがウヨウヨしていることが大切です。
       それから、青野菜を成分も味もよく、また丈夫に育てるには、これ以外に、石灰が必要です。目安は、坪あたり毎年、150―200gです。なお、初めて畑にする場合は、有機質も石灰も、もっと沢山3、5倍やる必要があります。

      追肥として配合肥料を
       第四に、こうした肥料を基肥として十分施こした上、追肥として化学肥料を適量やることは、けっこうです。それも、硫安だけを単一にやるのはさけて、配合肥料にします。また、鶏糞、油かす、魚粉などの腐熟したものを、水にといてやるのも、けっこうです。

      自家栽培を
      栽培者と消費者の組合を
       第五に、ところで、こういうふうに栽培した青野菜は、ただ今のところ、残念ながら、市場には殆んど出ていません。そこで、さしあたっては、戦中戦後のように、各家庭で、空間地を利用して自家栽培をするしか、方法がありません。
       あるいは、「倉敷安全青野菜の会」のようなものを作って、本当に信頼できる農家に作ってもらって配達をうける以外に、仕方がありません。というのは、この頃の農法では、下肥はともかく、農薬を使わないというのは、(とくに冬分以外では)全く例外であるからです。また、有機質肥料を十分施こしていない場合も多いからです。さらに、手間や値段の都合もあってか、ちょうどよい食べ頃のものを、収穫して市場に出すことも、極めて少ないからです。




2-4. おいしい青野菜の食べ方(4)
   おいしい青野菜の生食法 その2

    洗い方の注意
     さて、こうして栽培した青野菜を、だんだんと、まぶいていったり、葉をかいでいったりして利用するのです。が、一度に沢山とらずに、必要なだけ、その都度とるようにします。

    とりたてを食べること
     それは、できるだけ、とりたてを食べるようにするためです。とりたてを食べるのが最もおいしく、また栄養成分も殆んどこわれていないのです。なお、一度に沢山とったら、できるだけ早めに洗って、つゆをつけたまま、あまりおさえつけないようにして、ビニールの袋か何かに入れて、できれば冷蔵庫で保管するようにします。

    水道の水を流しながら
      洗うのはゴミをとるためですから、水道の水を流しながら洗うだけで、けっこうです。元葉のまま、あまり傷をつけないようにして洗います。長い間水につけておいたり、切ったり傷つけたりして水につけると、成分が水にとけ出るのです。

    中性洗剤は使わぬこと
     なお、念のため付け加えておきたいことは、野菜を洗うとき、決して中性洗剤は使わないことです。これを使えば、ゴミもよくおち、回虫卵などもよくとれます。けれども、清浄栽培をしたものですから、回虫卵などの心配はないわけです。それに、これを使うと、これは野菜の内部にしみこむので、あとで少々水洗いをしても、かなり残っています。ところが、これは、滲透性農薬や食品添加物と同様に、一度にとる量がどんなに微量でも、そして、さしあたり、別に異状は起こらないようでも、毎日つづけていると、慢性的に肝臓その他に中毒作用を引き起こすのです。

    調味と食べ方の工夫
     青野菜を、生で、おいしくいただくには、これまでみてきたように、適切な品種をえらんで、味がよいように、また安全清浄に栽培し、ちょうどよい食べ頃のときに収穫して、とりたてを食べることが大切です。と共に、上手に調味して食べることも大切です。

    食卓で調味すること
     ひと口でいえば、食べる直前に、できれば食卓で、調味して食べることです。菜ッ葉が、塩気でグニャッとならずに、ピンとはっている間に食べることです。洗いあげた青野菜を、よく水気をふりきって(清潔にふきとれば、なおよいのですが)、食卓にはこび、手で適当にちぎって、深い目の皿に入れ、自分の好みにあわせて、調味して食べるのです。

    油と酢と塩で調味 何か薬味も入れて
     調味の基本材料は、油と酢と塩です。それに何か薬味を入れたら、味がひきたちます。すなわち、フレンチ・ドレッシング風に調味した「グリーン・サラダ」にして食べるのです。これは、フランス料理の大家である小松妙子さんに教えていただいた食べ方ですが、フランスでは「サラダ」といって、家庭料理の最高なのだそうです。油は、サラダ油が万人向きのようですが、好みによっては、ゴマ油、テンプラ油でもけっこうです。いずれにしても、植物性食用油であること、まだ火の入っていない生油であることが大切です。酢は、醸造酢であることが大切ですが、ダイダイ酢やリンゴ酢を使うと、味が引き立ちます。塩は、塩味のように、化学調味料をまぜたものが好都合です。が、つとめて少なめにすることが大切です。薬味としては、シソ葉、ダイコン葉、ニラ、ネギ、セリ、ミツバといった青野菜や、さらしタマネギ、ニンニク、コショウ(これは、ごく少量にすること)などが適切です。まず油をふりかけ、つぎに塩をパラットふりかけ、それからこの塩をとかすようにして、酢をふりかけて、適当にまぜあわせます。薬味は、コショウ以外は、予め青野菜をちぎって皿に入れた後、パラッと加えておいたらよいでしょう。こういうふうに調味し、調味して、すぐ食べるのは、おいしいだけでなく、成分の消化吸収もすぐれ、またそうした調味料も、栄養上、必要適切なのです。

    マヨネーズ、酢みそ
     こうしたフレンチ・ドレッシング以外に、マヨネーズも適切です。(もっとも高血圧の方は、さけた方が賢明です。)が、これは、既製品を使うよりも、家庭で、純粋な材料で、好みにあわせて、その都度、作る方が賢明です。卵の黄身一に、油カップ(180C.C.)1、酢大さじ(15C.C.)1、塩小さじ(5C.C.)半分といった割合が、おおよその目安です。まず容器に卵黄を入れ、あわだてでよくかきまわした後、油を一滴ずつ落としながら、よくかきまわし、それから少しかたくなって、かきまわしにくくなったら、塩をといた酢を少しずつ入れながら、引き続き、よくかきまわします。このとき、すべての容器に水気が全くないこと、十分かきまわすこと、できるだけ同じ方向にかきまわすことが大切です。でないと、油が分離して出来そこなうことがあります。なお、フレンチ・ドレッシングを予め作っておいても、けっこうです。これは、油カップ1、酢カップ半分、塩小さじ1といった割合が、おおよその目安です。作り方は、マヨネーズとほぼ同様ですが、一度に沢山作ると、どうしても油が上にういてくるので、使うときに、よくふりまぜます。いずれも、青野菜100gに、小さじ4杯か5杯というのが、だいたいの目安です。わが国の在来のものとしては、酢みそがあります。みそには、大豆の蛋白質と脂肪に、塩がはいっているので、栄養成分からいって、マヨネーズとほぼ同様です。

    グリーン・サラダ
     が、とにかく、こうした調味料や薬味を、それそれ自分の好みにあわせて入れて、グリーン・サラダを作り、菜ッ葉がまだピンとしている間に食べると、すばらしくおいしくいただけます。

    グリーン・サンド
     これを、うすく切ったパンにはさんで、「グリーン・サンドウィッチ」にして食べると、また格別おいしくいただけます。青野菜の生食に、まだなれていない方も、けっこう、おいしく、いくらでも食べられます。

    よくかむこと
     ここで念のため、ひとこと云いそえておきたいことは、よくかんで食べることです。ごく柔かいものであれば、ともかく、普通の青野菜であれば、よくかんで食べなければ、栄養分の吸収も悪く、沢山食べると、胃をいためることもあります。歯の悪い方、総入れ歯の方は、とくに、よくかむことが大切です。なお、胃腸が弱い方は、よくかんだ後、カスを出すようにするのも一考です。

    いろいろ工夫して食べてみること
     こう云ってきますと、青野菜を生で食べるのは、ちょっと面倒くさく感じる方があるかも知れません。が、青野菜の種類がどうのこうの、調味料や薬味の分量がどうのこうのと案じることなく、とにかくやってみることです。いろいろ工夫して食べてみる間に、最も自分の好みにあった食べ方が分かってきます。そして、味塩を少しふりかけただけでも、けっこう、おいしく食べられるようになります。その間に、時に、胸やけがしたり、下痢をしたりすることがあるかも知れません。が、これは少しも心配する必要はありません。少し控え目にして続けていると、間もなく馴れてきます。とにかく実際やってみることです。これほど手軽な食べ方はなく、これほどおいしいものはなく、来客の食事にも、まことに適切です。自家栽培とて同様です。やっている間に本当に楽しい暮しの一つとなります。

    ホワイト・サラダとのちがい
     なお、念のため云っておきますと、夏分よく作る「ホワイト・サラダ」についてです。これは、キャベツ、トマト、リンゴ、キウリなどに、さらしタマネギか何ぞを薬味に入れて、フレンチ・ドレッシング風に調味するのです。が、食べる2−3時間前に、調味して冷蔵庫に入れ、味がよくととのうようにするのです。(煮たジャガイモ、ニンジンと生のキャベツ、キウリ、リンゴなどを主材料として、マヨネーズで調味する野菜サラダもほぼ同様です)。けれども、グリーン・サラダをこうしますと、味も匂いも悪くなります。時間がたつにつれて、青野菜特有のアクが出てくるからです。食べる直前に、できるだけ食卓で、手で適当にちぎって、すぐ調味して、葉がピンピンしている間に食べるのが、青野菜を生でおいしくいただくコツです。




2-5. おいしい青野菜の食べ方(5)

    おいしい青野菜の調理法
     青野菜は、できるだけ、新鮮なうちに、生のまま、よくかんで食べるのが、最も望ましいのです。
     けれども、生食に適切なものを、毎日、必要なだけ手に入れることは、そう容易ではありません。
     いったいに青野菜は、レタスなどを除いては、殆んどみな、たけすぎると、生食には不向きとなります。
     けれども、よほど計画的に栽培し収穫していっても、とかく、たけすぎてきます。
     また、品種によっては、例えばホウレンソウやフダンソウなどのように、よくない成分が含まれているため、生食に適切でないものもあります。
     ところが、この頃、市場に出廻ってくるものは、殆んどみな、こうしたものばかりです。
     そこで、こうした青野菜も、うまく調理して、食べるようにしなければなりません。
     そうすれば、生食には及びませんが、他の食物では容易にとれないビタミンやミネラルをとりいれて、生食の不足分を補ない、毎日の食物を栄養上よく調和したものにするのに、大いに役立ちます。

    調理の要点
     青野菜を調理して食べるには、いうまでもなく、できるだけ、つぎのようなことに注意することが大切です。

    栄養成分のよいものを
     第一に、つとめて栄養成分のよいものを選ぶことです。せっかく調理して食べるのです。つとめて成分のすぐれたものを食べたいものです。
     成分が極めて優れており、調理の仕方によっては、すばらしくおいしいのに、なにほども食用にせず、捨てているものがあります。
     ダイコン葉やニンジン葉などは、その代表的なものです。

    栄養成分が減らぬように
     第二に、できるだけ新鮮なうちに、栄養成分が減っていかないようにすることです。成分によっては、熱を加えれば加えるだけ、こわれて役に立たなくなるものがあります。ゆで汁や煮汁にとけ出ていくものがあります。できるだけ、短時間サッと熱を加えるように、また、ゆでなくてすむように、煮汁は捨てないようにしたいものです。

    おいしくなるように
     第三に、青野菜それそれの持ち味を生かして、うまく調味して、おいしく食べられるようにすることです。
     青野菜には、それそれ持ち味があります。調理を誤まると、この持ち味がなくなってきます。持ち味に合った適切な調理をして、おいしくなるようにしたいものです。

    消化吸収もよいように
     第四に、消化吸収もよいようにすることです。よく煮れば、消化はよくなるわけですが、それだけ成分がこわれます。
     歯や胃腸の状態に応じて、このかねあいに注意したいものです。また、つとめて油気を加えたいものです。
     おいしくなるだけでなく、ビタミン(とくにA)の吸収がよくなるからです。

    沢山食べられるように
     第五に、できるだけ沢山食べられるようにすることです。青野菜を調理するのは、青味をそえて、見た目に変化をつけたり、薬味にしたりするためではなく、それ相応に沢山食べるためです。
     このため、できるだけ塩気を少なく、万事うす味にしたいものです。

    品種の優劣
     こういたしますと、数多い青野菜にも、おのずから優劣がつきます。

      一級品
       最も栄養成分がすぐれ、食べておいしく、収穫も多く、手にも入り易い一級品となると、ダイコン葉、カブ葉、ニンジン葉、パセリ、シソ葉といったところです。ニンジンは、根の方もすぐれていますが、葉の方は、さらにすぐれています。ダイコンやカブは、根の方には、なにほども値打がないのですが、葉の方は、極めてすぐれているのです。いずれも、うまく調理すると、すばらしくおいしいのです。

      二級品
       これにつぐ二級品としては、カラシナ、コマツナ、キョウナ、ビタミン菜といったところです。

      三級品
       それから三級品としては、ホウレンソウ、フダンソウ、トウナ、サントウサイ、(ニンジン)、さらに、シュンキク、ミツバ、セリ、ピーマン、ニラ、ワケギ、葉ネギ、(カボチャ)、あるいは、ナズナ、ヨメナ、ツルナといったところです。

    調理の工夫
     調理法にも、青野菜の種類によって適不適がありますが、やはり、おのずから優劣があります。

      第一級調理法
       最も望ましい調理法は、てんぷら、からあげ、油いためです。熱を長時間加えず、ゆでもせず、煮汁も捨てず、それに油が加わるからです。
       これに適したものは、ダイコン葉、カブ葉、ニンジン葉、シソ葉、パセリなどです。固いジクを取り除き、水気をふり切って、好みに合った味つけをして、こうした調理をすれば、すばらしくおいしいものとなります。
       多くの家庭では、とかく捨てて食用しないものばかりですが、もったいないことです。

      第二級調理法
       これにつぐ調理法は、いりなです。多くの場合、一度ゆがいて、ゆで汁を捨てたり、かなり長時間熱を加えるわけですが、栄養成分のよいものが利用でき、それにふつう油かアゲを加えるので、油気もはり、おいしくもなるからです。
       これに適したものは、一級品のダイコン葉、カブ葉、ニンジン葉、シソ葉、二級品のカラシナ、コマツナ、キョウナ、ビタミン菜、三級品のセリ、ミツバ、ピーマン、ナズナ、ヨメナ、ツルナなどです。
       ごく固いジクは取り除き、サッとゆがいて、軽くしぼり、できるだけ細かくきざんで、好みに応じた調味をして汁気が殆んどなくなるまで、いりあげるわけです。

      第三級調理法
       青野菜の調理法として、これまで広く用いられているものに、この他、煮つけ、あえもの、おひたしがあります。
       これは、だいたい一度ゆでて、ゆで汁を捨てます。また、煮つけは、とかく長時間熱を加えたり、煮汁を食べ残すことがあります。
       けれども、魚の煮汁を使ったり、肉、あげ、卵などを加えて煮たり、あるいは、トウフ、ミソ、ゴマ、カツオブシその他を加えて調味したり、その上、少々固いものも利用できるので、至って好都合です。
       これには、殆んどすべての青野菜が、それそれ持ち味に応じて、利用できます。が、ダイコン葉、ニンジン葉、シソ葉、パセリなどは少し不向きのようです。
       なお、この調理法で気をつけてほしいことは、青野菜の種類やたけぐあいによって加減しなければなりませんが、ゆで汁はできるだけ少なくして、もと葉のまま、にたった湯にサッと通して、ゆでるように、できれば、つゆのついた葉ッパのまま、むしゆでにするように、あるいは、にたった湯でサッとむすように、つとめることです。
       また、ゆでた後の水さらしは決してしないことです。(フキの葉などのように、格別アクの強いものは別ですが)。
       それから、ゆで汁は、できるだけ捨てずに利用することが大切です。けれども、ホウレンソウ、フダンソウなどのゆで汁は、捨てて食用しないことが大切です。

    漬物について
     私たち日本人には、漬物は好みにあった食べ方ですが、これに青野菜を大いに利用したいものです。それも、一夜漬けにしたいものです。これには、ダイコン葉、カブ葉、コマツナ、キョウナなどが適切です。よく洗った後、もと葉のまま漬け、水洗いをせずに食べられる位、ごく薄塩にすること、できるだけ細かくきざんだ上、よくかんで食べることが大切です。
     荒がみで食べすぎると、胃腸をいためます。それから、この漬け汁を調理に使うのも、大いにけっこうです。
    なお、青野菜を一度に沢山手に入れた場合、短期間保存するには、そのまま冷蔵庫に入れておくか、適度の塩気で漬物にするか、あるいは、サッと湯に通した上、いたまないようにして(できれば冷蔵庫に入れて)保管するようにします。
    長期間保管するには、ふつうの漬物にするか、サッと湯に通して、かげぼしにして、乾燥野菜にします。

    安全清浄栽培したものを
     こうして調理して食べる場合でも、有機質肥料と石灰を十分施こした上、安全清浄栽培をしたものであることが肝腎です。
     回虫卵はサッと湯に通せば、だいたい処理できますが、内部にしみこんでいる危険な農薬は、どんなによく洗っても、漬物にしても、また、どんなによくゆでても煮ても、どうにも処置の仕方がないのです。なお回虫卵は、漬物にしただけでは、死滅しません。




2-6. おいしい青野菜の食べ方(6)

    おいしい青汁の作り方飲み方 その一

     毎日毎度の食事で、生の青野菜を、つとめて沢山、食べるようにしたいものです。
     またその上、調理したものでもよいから、青野菜や黄野菜を、つとめて沢山、食べるようにしたいものです。
     けれども、どんなにつとめても、必要なだけは、量からいっても質からみても、容易に十分とれません。
     それは、さしあたり、生食用は云うに及ばず調理用でも、とにかく良質の青野菜が、毎日体重の1%以上と、必要なだけ、手に入りにくいからです。
     また、たとえ手に入っても、私たちの胃腸が、必要なだけは、ちょっと受けつけにくいからです。
     そこで、私は、青汁にして、毎日1合2合3合と飲むように、おすすめしているのです。
     こうすれば、胃腸をいためることなく、十二分に青野菜が生でとれます。
     また、たとえ生食用に調理用に不向きであっても、ケールなどのように極めて良質のものが、けっこう利用できます。
     といっても、毎日青汁をおいしく正しく飲むには、材料や作り方や飲み方について、それ相応の注意が必要です。

    青汁材料
     青汁にする材料については、およそ、つぎのような点に注意を払う必要があります。

      適切な品種
       まずもって、適切な品種をえらぶことです。

         第一は、ケールです。
         これは、もともと家畜の飼料ですが、栄養成分が極めてすぐれています。それに、味も臭いもよく、全く毒性がなく、また刺激性が極めて少なく、よくない成分も含まれていません。それに、私たち(岡山県南部居住者)には、年間通じて栽培し易く、さらに葉が大きくて厚く、地面から離れてつくので、汁も沢山とれ、洗浄にも好都合です。

         第二は、CO、カキハダイコン、レープ、アブラナです。
         これも、もともと家畜の飼料ですが、成分その他の性質はケールとほぼ同様です。
         ただ夏季の栽培がむつかしく、坪あたり収穫がやや少なく、葉は厚いが、少し小さいので、収穫や洗浄にいくぶん手がかかります。
         けれども、若葉の間は、生食しておいしく、この点好都合です。
         なお、カキハダイコンは、春から夏にかけて、とくにトウだちの頃は、少しカラ味があるので、こんなとき、これだけで青汁を作るのは適切でありません。

         第三は、コマツナ、キョウナ、カブ葉といった普通の青野菜です。
         これは、ケールやCOなどに比べると、味はともかく、成分がやや劣り、坪あたり収穫も少なく、収穫や洗浄にも手がかかります。
         けれども、若葉の間は生食用に利用でき、たけたら調理用に利用できるので好都合です。
         そこで、青汁材料を、事業として栽培する場合は、今のところ、主としてケールとなっていますが、自家用に栽培する場合には、ケールの他にCOやカキハダイコンなどを、さらに、コマツナ、キョウナ、カブ葉などを栽培すると、年間通じて収穫が安定し、その上、生食用や調理用も手に入るので、至って好都合です。

      注意を要する品種
       ところで、普通の青野菜は云うに及ばず、家畜の飼料や野草や木の葉のうちでも、この他に、青汁材料に利用できるものがあります。
       けれども、いろいろな点で欠点があるので、わざわざ青汁材料として栽培する必要はないでしょう。
       といって、手に入れば利用してもよいわけですが、この場合、注意を要する品種があります。

         第一に、普通のダイコン葉、カラシナ、ニラなどは、刺激がきついので、これだけで青汁を作って飲んではいけません。が、風味薬味として適量利用するのは、別に差支えありません。

         第二に、ホウレンソウ、フダンソウ、ナツチシャ、スイバなどは、なるほどビタミンは多いのですが、蓚酸が多く、カルシウムがこれと結合しているので、吸収が悪いのです。
         それに、青汁にすれば、なにぶん多量にとるので、蓚酸が吸収され、腎臓結石を起こす心配があります。ゆがいて、おひたしか何かにするのであれば、けっこうですが、青汁にはしないことが大切です。

         第三に、普通の青野菜以外に、サツマイモの葉、豆の葉、麦の苗、あるいは、クローバー、ナズナ、ヨメナ、ツルナといった野菜、クコの葉、柿の葉、アカシヤの葉といった木の葉なども青汁に利用できます。
         が、それぞれ一長一短があるので、簡単に手に入れば、ほどほどに利用すればよいでしょう。
         わざわざ栽培して多量に利用する必要はないでしょう。
         利用するとしても、農薬も下肥もかかっていない、安全清浄なものでなければなりません。

         第四に、野草や木の葉のうちには、ドクダミ、ヨモギ、アロエ、松葉などのように、これまで薬用として利用されていたものがあります。
         それぞれ副作用も強いので、ごく少量、薬味として利用するのであれば、ともかく、こうしたものだけで青汁を作ったり、多量に利用したりしてはなりません。
         たとえ作っても、臭いも味も悪く、飲めたものではありません。
         いったい、青汁を飲むのは、何か薬効のあるものをとるためではなく、ビタミンとミネラル(とくに吸収し易い良質のカルシウム)を十分にとりいれるためです。
         それには、ケール、CO、カキハダイコン、レープ、アブラナ、あるいは、コマツナ、キョウナ、カブ葉などが適切ですから、専らこうしたものを栽培し利用すればよいのです。
         それで、けっこう間にあいます。わざわざ野草や木葉をあさる必要はありません。

         なお第五に、念のため、分かりきったことですが、青汁には、中の中まで緑色の濃い、本当の青野菜、その他の緑葉を利用しなければならないのです。
         白色または淡色野菜であっては、なにほども効能がありません。
         例えばキャベツです。緑色の濃い外側の部分、ふつうは捨てて食用しない部分は青汁材料となりますが、内側のうす緑色となり、もはや青野菜ではなく、青汁に利用しても、なにほどの効果もありません。

    栽培上の注意
     こうした青汁材料も、前にも述べたように、栽培を誤ったものは、それだけ成分が劣り、あるいは却って有害となります。

       第一に、滲透性農薬は絶対に使わず、また、よそからとんでこないように、流れこまないように、安全栽培をしたものでなければなりません。
       第二に、下肥も決して使わず、また、よそから流れこまないように、清浄栽培をしたものでなければなりません。
       第三に、堆肥その他の有機質肥料を十分に施こし、石灰も適量施こして栽培したものであることが大切です。でないと、成分が劣り、味も悪くなり、その上病害虫に弱く、連作がむつかしくなります。

    自家栽培をしたものか特定栽培をしたものを
     ところで、前にも述べたように、こういうふうに栽培することは、この頃の農法では、全くの例外です。地域により人によって、下肥は使わない場合があります。
     けれども農薬を使わないのは、例外です。とくに冬期以外では、どこでも、だれでも、必ず、といってよいほど、農薬を使っています。
     このため、市場に出廻っている青野菜は、殆んどみな、成分や味はともかく、農薬や下肥に汚染されています。安全清浄ではありません。
     ですから、市場に出ている青野菜は、決して青汁に利用してはなりません。
     こうした青野菜を、生食や調理食に利用するのも、考えものですが、この場合は、食べる量が少ないので、それほど有害とはならないでしょう。(体の弱い人、とりわけ肝臓や腎臓を患っている方には危険です)。
     けれども、こうした青野菜を青汁に利用すると、何分、毎日、多量に食べるので、有害有毒物も、それだけ多量に食べこむようになるわけで、極めて危険です。
     そこで、青汁材料には、安全清浄に、その上、成分も味もよいように、自家栽培をしたものを使用するのが最も望ましいのです。
     といって、この頃では、必要量だけ、自家栽培ができない方が、極めて多いわけです。
     こんな方は、だれぞ信頼できる特定の方に、とくに青汁材料として、安全清浄に栽培してもらうか、あるいは、「遠藤青汁の会」が指定した農場で栽培したものを、配給してもらう以外に、さしあたり方法がないわけです。
     手ッとりばやく、青汁を「遠藤青汁友の会」から配達してもらう方法もあります。




2-7. おいしい青野菜の食べ方(7)
   おいしい青汁の作り方飲み方 その2

     青汁道具
     青汁を作るというのは、青野菜をすりつぶして、汁をしぼりとることです。すりつぶす道具には、今のところ、自家用として、スリバチ、スリコギ、ミンチ、ミキサー、ジューサーといったものがあり、それぞれ一長一短があります。

     スリバチ
     スリバチ・スリコギは、だいたい、どこの家にもあるので、わざわざ道具を買い求めなくても、早速利用できます。それに、材質が焼き物と木であり、手ですりつぶすのでマサツが弱く、栄養成分のこわれ方が最も少ないようです。けれども、1合か2合作るのであれば、ともかく、それ以上となると、手間がかかって厄介です。十分手間をかけて、よくすりつぶして、かたくしぼらないと、しぼりカスに大切な成分が沢山残ります。青汁のとれる割合が少なくなります。

     ミンチ
     ミンチ(またはチョッパー)は、青汁用に改装したり特製したものでなければ、うまくいきません。この頃、こうしたミンチが発売されていますが、2千円か3千円位です。(動力付きとなると、1ケタ高くなります)こうしたミンチは手まわしですから、ちょっと力がいりますが、3合や4合は雑作なく作れます。だいたい、よくつぶれて汁が十分とれるのですが、やはり手で固くしぼらなければなりません。なお、材質が鉄であるとビタミンの一部(とくにC)がこわれ易いので、アルミか何かの合金か、ステンレスなどが望ましいのです。

     ミキサー
     ミキサーは、動力つきで丈夫なものでなければなりません。手まわしでは、ケールその他の良質のものは、センイか固く、その上、汁にねばりが強いので、とうてい役に立ちません。ミキサーで作るには、そう力はいりませんが、予め材料を細かくきざむ手間がかかります。また、ポットに水を入れるので、青汁がうすくなり、それだけ沢山飲まねばなりません。
     ところで、ミキサーは、青野菜をすりつぶすというよりも、細かく切るというわけですから、青汁のとれる割合が、それだけ少なく、カスが多くなります。もっとも沢山時間をかければ、カスは少なくなりますが、かきまわす間に、空気を盛んにまぜこみ、マサツも強くかかるので、ビタミンの一部が、それだけ沢山こわれます。そのかねあいがむつかしいのです。また、手で固くしぼらないと、カスに大切な成分が沢山残ります。

     ジューサー
     ジューサーは、今のところ、富士電機の連続自動型が最も適当です。これ以外のもの、特に汁とカスが分離して出ない型は不適当です。作ってみて、なにほども青汁がとれないからです。このジューサーで作ると、成分のこわれ方も少なく、手でしぼる必要もなく青汁のとれる割合も高く、至って好都合です。が、値段が少し高く、使った後の分解掃除に、かなり手間や時間がかかります。

     各種の道具一長一短
     こういうわけで、4種の道具の一長一短は、だいたい、こうです。

    • 第1に、成分のこわれ方が少ない点や青汁が沢山とれる点からみると、スリバチ、ジューサー、ミンチ、ミキサーの順でしょう。
    • 第2に、力のいらない点からみると、ジューサー、ミキサー、ミンチ、スリバチの順でしょう。
    • 第3に、手間や時間のかからない点からみると、ミキサー、ミンチ、ジューサー、スリバチの順でしょう。
    • 第4に、値段の安い点や長もちのする点では、スリバチ、ミンチ、ミキサー、ジューサーの順です。
    • 第5に、飲み易い点からみると、スリバチ、ミキサー、ミンチ、ジューサーの順のようです。

       しぼり布
     ジューサーを除いては、すりつぶした後、汁をしぼりとるわけですが、これには、モメン・ドウフ用の袋あたりを利用して、適当な袋を作って使うのが最も適切です。目があらいので汁が出やすく、丈夫であるからです。ガーゼを2枚か3枚重ねて袋を作ってもよいわけですが、すぐ破れます。サラシなどは1週間も使えば、汁のねばりが布目に残って、少々よく洗っても取れず、うまく汁が出ません。カスに成分が沢山残って不経済です。なお、今のところ、自家用に適切なしぼり器がないので、少し力がいりますが、手でしぼる以外に方法がありません。

     臭いのや味の悪くなるのはさけられない
     なお、どんな道具を使っても、青汁にすれば、ある程度、臭いや味が悪くなりますが、これはさけられません。それは、こういうわけです。青野菜に含まれている大切な栄養成分の大部分は、人体では消化しない固いセンイの膜でつつまれている細胞内にあるのです。青汁を作るのは、この細胞膜をすりつぶして、内部の成分がうまく消化吸収するようにするためです。けれども、細胞膜をすりつぶすと、成分が多少変質するので、どうしても、いやな臭いや味が出るのです。それに時間がたち、また空気にさらされると、成分がだんだん変質して、臭いや味がさらに悪くなります。どんなに味のよい材料を使っても、この点、やむをえないのです。そこで、青野菜は、青汁にせず、生のまま食べた方が、臭いも味もよいのです。
     けれども、なにぶん消化しない固いセンイが多いので、丈夫な歯で、どんなによくかんでも、青汁にして飲むほどには、沢山食べきれません。また、たとえ沢山食べても、道具ですりつぶすようには、十分かめないので、大切な成分が、ムダなく、消化吸収しないのです。
     青汁にして飲むのは、青野菜を必要なだけ沢山、生で食べ、食べたものがうまく消化吸収するようにする工夫なのです。こうすれば、どんなに歯や胃腸の弱い方でも、けっこう青野菜が必要なだけ生で食べられます。このため、少々いやな臭いや味は、辛抱してもらいたいわけです。もっとも、なれてくれば、別にそういやとは感じなくなります。冬分は、とてもおいしくなります。

       ビタミンCの損耗は そう心配する必要なし
     それから、ミキサーや鉄製のミンチで作ると、どうしてもビタミンの一部(とくにC)がかなりこわれます。けれども、もともと沢山あるので、少々こわれても、まだまだかなり沢山残っています。もっとも作って5時間以上もたつと、Cは大部分こわれるようです。けれども、ビタミンCは、その他の野菜や果物を生食すれば、必要なだけは十分とれます。青汁を飲むのは、他のとんな食物でも、容易に十分とれない成分、従ってまた、私たちの栄養摂取で最も不足している成分(とくにビタミンA、B2、カルシウムなど)を十二分にとるためなのです。
     で、ミキサーや鉄製ミンチで作ると、ビタミンCが少々こわれるからといって、別にそう心配する必要はないのです。ましてや、ビタミンCが少々こわれるというのに、Cを落として、ビタミンがこわれるとか、ビタミンまで落として、成分がダメになると、早合点してはなりません。こんな早合点をするのは、だいたい、青汁を飲んでいない方、テンから飲もうとしない方のようです。




2-8. おいしい青野菜の食べ方(8)
   おいしい青汁の作り方飲み方 その3

    青汁の作り方
     青汁を、おいしく正しく飲むには、材料や道具の選択についで、作り方に、およそ、つぎのような点に、よく注意を払うことが大切です。

    新鮮な材料で
     まずもって、できるだけ新鮮な青汁材料で作ることです。鮮度がおち、しなびてくると、それだけ成分も減ってきます。味も悪くなります。すりつぶしにくくもなります。もっとも望ましいのは、畑からとりたてを、すぐ洗って、葉がピンとはっている間に作ることです。けれども、そうはいかないのが実状です。そこで、畑からとったら、できるだけ早く、しなびないうちに洗うことです。元葉のまま、できるだけ傷つけないように洗います。そして、ツユをつけたまま、ビニールの袋がフタつきの容器に入れ、おさえつけないように、空気も多少かわるようにして、保存します。できれば冷蔵庫に入れるようにします。(とくに夏分は)。なお、さいたり、きざんだりするのは、作る直前にします。他から届けてもらう場合にも同様です。できるだけ早く、よく洗って保存します。少々しなびていても、すぐ洗って、ツユをつけてやったら、やがてピンとしてきます。

    万事、清潔に
     つぎに、万事できるだけ清潔に作ることです。なにぶん生のまま食用するのですから、清潔には格別注意を払わなければなりません。とくに夏季とその前後には、そうです。

      材料の清潔
       第一に、材料をよく洗って、清潔に取り扱うことです。もともと安全清浄栽培をしたものですから、土やゴミを洗い落とせばよいわけです。それには、水道の水を流しながら3回ほど洗えば、けっこうです。ドロが沢山ついておれば、やわらかいブラシを使います。(夏分など、アマコその他の虫が少々ついていても、別にタワシでゴシゴシ洗い落す必要はありません。)。洗ったら、これも水道の水でよく洗った容器に入れて、清潔に保存します。なお、水道の水にはカルキが入っているので、カルキをわざわざ入れて洗う必要はありません。水道のない場合は、そのまま飲める水であれば、それでけっこうです。心配であれば、適量カルキを入れたらよいでしょう。(実をいえば、細菌で汚染されていなければ、くみたての水の方が体によいのです)。けれども、前にも述べたように、決して中性洗剤を使ってはなりません。これを使えば、確かにドロはよく落ちます。けれども、別にそう危険ではないドロを落とした代わりに、肝臓や腎臓その他に慢性中毒を引き起こす、危険な薬剤をしみこませます。そして、これは、あとで少々水洗いをしても、とうてい取れきれないのです。

      道具の清潔
       第二に、青汁を作る道具を清潔にすることです。それには、使う直前に、必ず、水道の水を流しながら、よく洗うことです。それから、使った後も、すぐよく洗って、水気を切った後、清潔な布か何かで覆いをして、ゴミがかからず、ハエその他の虫がとまらないようにします。とくに、しぼり布は、使った後、汁をよく洗い落して、日光にあてて乾かすようにします。使う前には、夏でも冬でも、熱湯にひたして洗います。これは、清潔をはかる以外に布目に、はいった汁のねばりを洗い落とすためです。これを怠ると、うまく汁が出ないようになります。マナイタ、ホウチョウの柄などの木質も、布と同様に、格別清潔に注意します。

      手の清潔
       第三に、作るときの手を清潔にすることです。とくに爪は短く切って、ブラシを使って、指先までよく洗うことが大切です。が、この場合も、水道の水を流しながら、よく洗うだけで、けっこうです。けれども、洗った後、ただ水気をふりおとすだけにして、決して手ふきを使わないことが大切です。手ふきは、少々気をつけていても、案外不潔なものです。その他用具についても同様です。使う前に洗ったら、決して布巾を使わないようにします。

    作り方の要領
     それから、すりつぶして汁をしぼるときにも、いろいろ注意が必要ですが、その要領は、だいたい、こうです。

      スリバチの場合
       固いジクは取り除いて、ツユのついたまま、適当にまるめて棒状にします。それを手にもって、スリバチの筋目に直角にすりつけて、おろしていくようにします。それから、スリコギですったり、軽くついたりします。十分つぶれてドロドロになってから、しぼり袋(予めボールに入れておいて)にとって、両手で固くしぼり、カスを捨てて、これをくりかえします。この場合、あまり小さいスリバチではラチがありません。また、初めから、スリコギですっては、なかなかつぶれません。細かくさいたり、きざんでおいても、そうです。しぼるとき、袋の外から、指先で中味をよくもむようにして、しぼります。なお、冬分は、汁にねばりが強いので、うまく汁が出ないことがあります。こんな場合は、少しぬるま湯を、スリバチに入れて、よくすりまぜてから、袋にとるようにします。なお、しぼりカスの目方が、当初の青野菜(固いジクを取り除いた後)の30%以下であれば、十分すりつぶして、しぼりとれたものと思われます。もっとも、材料や季節によって、かなり異なってきます。

      ミンチの場合
       ごく固いジクは取り除いて、ツユのついたまま、細長く引きさきます。それから、ミンチをまわしながら、2枚か3枚位ずつ、ハシからさしこんで、引きこませるようにして、すりつぶしていきます。出口にボールをおき、その中に袋の口を開いておき、ドロドロになった青野菜がおちこむようにします。そして、手でしぼるのに、ほどよい量になったら、しぼり、カスを捨てて、くりかえします。この場合、一度に沢山入れたり、また、ジクやスジを取り除きすぎたり、小さくちぎったり、きざんだりして入れると、重くなったり、つまったりして、調子よくいきません。こうなったら、少し逆にまわしてみると、調子がよくなります。また、最後に水を少し入れると、後の掃除がし易くなります。しぼり方の要領やカスの目方は、すりばちの場合と同様です。(なお、学校、病院、職場その他で、大量に作る場合は、今のところ、動力つきの大型ミンチを使い、また、しぼり器その他を使っています)。

      ミキサーの場合
       固いジクやスジを、できるだけ取り除いて、できるだけ小さくきざみます。それから、ポットに水を適量入れ、まづ1回量の半分位を入れて、スイッチをかけます。だいたいつぶれたら、残り半量を入れ足していって、頃合いをみて、スイッチを切り、ボールの中の袋に取って、しぼり、カスを捨てて、くりかえします。この場合、ジクやスジが多かったり、きざみ方が大きかったり、あるいは一度に沢山入れたりすると、モーターの負担が重くなり、時にやけたりします。また、かけている時間が短かすぎると、カスが多くなり、長すぎると、ビタミンの一部のこわれ方がはげしくなり、味も悪くなります。おおよその目安は1分間少々でしょう。なお、初めに入れる水に、食塩を少し(青汁にかかすかに塩気を応じる程度)入れておくと、ビタミンCのこわれ方が、いくぶん少くなるでしょう。なお、初めに入れる水の代わりに牛乳を入れると、成分もよくなり、のみ易くもなって、大いにけっこうです。けれども、2度目に作るときの水に、青汁の分量がふえるのをきらって、1度目の青汁を入れるようなことは、やめます。成分がよけいにこわれ、また味も悪くなるからです。しぼり方の要領は、ミンチの場合と同様です。が、カスの目方は、30%をこえ、40%以上となることがあります。

      ジューサーの場合
       固いジクは、できるだけよく取り除いて、適当にひきさきます。それを手先で細長くまるめるようにして、さしこみ付属の器具で、おさえつけます。このジューサーは、汁とカスが分離して出るので、しぼる必要はないわけです。なお、最後に水を少し入れると、後の掃除がし易くなります。カスの目方は、だいたい30%以下です。

    道具の手入れ
     なお、道具は、つねに清潔に扱う以外に、よく手入れをしなければなりません。使った度毎に、カスが残らないように洗うこと、洗った後は早めに水気をきること、湿気のない安全な場所に保管すること、布や木は日光にあてて乾かすこと、必要なところに油をさすこと、それからムリな使い方をしないこと、などが大切です。それから、とくに、スリバチの目、ミンチやミキサーのナイフ、ジューサーのオロシガネ、こういった大切な部品がいたんできたら、ほどほどに取り換えることが大切です。




2-9. おいしい青野菜の食べ方(9)
   おいしい青汁の作り方飲み方 その4

    青汁の飲み方
     青汁は、臭いといい、味といい、決してそうおいしいものではありません。けれども、いろいろ工夫すれば、それなりに、けっこう毎日おいしく飲めます。


      作りたてを飲むこと
       最もおいしく、また正しい飲み方は、これまでみてきたように、成分も味もよい品種をえらび、成分も味もよくなるように栽培したもので、青汁を作ることです。と共に、できるだけ新鮮なうちに作り、作った手で、作りたてを、生地のまま飲むことです。こうすれば、飲み易いだけでなく、それだけ成分もこわれていないのです。

      作りたてが飲めない時は
       といって、自宅で作る場合でも、時に、作りたてが飲めない場合があります。配達してもらう場合は、とうてい作りたては飲めません。ところが、いったん青汁を作ると、時間がたつにつれて、だんだん臭いも味も悪くなり、また成分も劣ってきます。こんな場合は、ひとまず、フタをした上、冷蔵庫か冷水に入れておいて、できるだけ早く飲むことが大切です。青汁は別に薬ではないので、食前、食後、食間を問わず、いつ飲んでも、けっこうなのです。

      時間がたった青汁は
       ところが、つい時間がたちすぎて、臭いも味もかなり悪くなることがあります。これでも、ただ飲みにくいだけであって、飲んでも別に差支えありません。また、作りたてより成分はかなり劣っていますが、大切な成分(とくにミネラル)は、まだまだ沢山残っています。こんな場合、牛乳をませて飲んだら、案外らくに飲めます。といって、臭いも味も、さらに色も、度はずれて、おかしくなったのを、ムリして飲む必要はないでしょう。なお、青汁は、時間がたつと、黄色い汁と青い汁が上下に分離します。(とくに夏分では)。これは、別に変質したわけではありません。黄色の汁にも大切な成分が含まれているので、よくふって、みな飲むことが大切です。また、ジェリー状になったものが上にういたり、白い沈澱ができたりします(とくに冬分では)。これも、別に変質したのではなく、澱粉質が固まったためです。よくふって、みな飲むことが大切です。

      飲みなれること
       それから、青汁をおいしく飲むには、おかしな云い方ですが、飲みなれることです。「なれる」ということは、まことに不思議なことです。もともと、そうおいしくはない青汁も、飲みなれてくると、別にそうまずいとは感じなくなります。毎日飲まないと、モノ足りない感じがします。

      まずい季節おいしい季節
       春の中頃から夏の間は、どうしても臭いも味も悪くなるのですが、それでも、「まずうなったなァ」といって、けっこう飲めます。秋の終わりから冬の間は、いやな臭いもなく、甘味も加わってきますが、こんなときには「うまいッ」といって飲むようになります。で、青汁は、いつ飲み始めてもかまわないのですがどうも飲めないという方は秋の終わりか冬の初めから飲み始めて、おいしい間にならすのも一考です。が、とにかく「なれる」ことです。この頃、トマトをアオ臭いといって食べない方は、殆んどないでしょうが、大正の末頃はだれも閉口したものです。

    材料の配合とその適否
     とはいっても、とくに飲み始めの頃には、いろいろ工夫して、飲み易くするのも一考です。それには、青汁を作るとき、青野菜の他に、好みにあった材料を配合する工夫があります。が、それには注意が必要です

      ミカン、牛乳は適切
       まず、ミカン類(温州ミカン、夏ミカン、ダイダイ、スダチ、ユズ、レモンなど)や牛乳やバターが適切です。アオ臭みがかなり消され、味もよくなります。それから、ミカンには及びませんが、トマトも適切です。といって、ほどほどに配合することが大切です。主材料である青野菜を減らすようなことがあってはなりません。なお、バターの代りにマーガリンを使うのは、あまりおすすめできません。とくに高血圧の方にはいけません。バターもひかえた方がよいでしょう。

      リンゴ、人参は不適切
       けれども、リンゴやニンジン(根)は不適切です。これには、すりつぶして空気にふれると、ビタミンCをこわす成分が含まれているので、青汁の成分が、それだけ劣ってくるからです。で、こうしたものを好む方は、青汁とは別に汁を作って、飲む直前にまぜるか、青汁を飲んだ後の口なおしに飲むか、いっそ汁にせずに、かじるようにするのが賢明です。

      風味、薬味には
       それから、青汁に風味、薬味をそえるために、好みによって、シソ葉、パーセリ、ニンジン葉、ダイコン葉、ミツバ、セリ、ニラ、ネギ、タマネギ、ニンニクなどを、あまり刺戟が強くならない程度に、配合するのは、けっこうです。

    材料の配合は効能上 別に必要なし
     なお、時に、青汁材料には、これこれを配合しなければ、効能が少ない、という方がいます。これは何かの誤解です。前に云った、ケールやCOなどのように立派な材料で作るのであれば、これだけで、けっこうです。別に何も配合する必要はありません。青汁は、漢方薬か何かのように、これこれ、しかじかの薬ではないのです。

    調味の工夫とその適否
     青汁をおいしく飲むためには、とくに飲み始めの方には、好みにあわせて、調味する工夫があります。が、この場合にも、やはり注意が必要です。

      食用油は適切
       最も適切なものは食用油(サラダ油、てんぷら油、ごま油などの植物性)です。青汁1合に数滴加えると、よほど臭いも消され、味もよくなり、その上ビタミン(とくにA)の吸収がよくなります。が、この場合、まだ火の入っていない生油であることが大切です。でないと、人によっては、胸やけが起こります。なお、ハラ具合が悪い場合、とくに食あたりをして下痢したとき、一日か二日、生の油を加えた青汁だけを、日に2合か3合のみ、その他はせいぜい番茶程度にして絶食すると、早く治り、治った後のハラ具合がスッキリとします。それから、油と同様に適切なものは、生卵(黄味だけでも全卵でもよい)やバターです。が、高血圧の方は、さけたほうが賢明です。

      酢、塩も適切
       つぎに適切なものは酢や塩です。これを少し加えると、アオ臭さみも少しは消え、味もごまかされます。油を加えた上に、さらに酢と塩を加えると、よほど飲み易くなります。といって塩は、ごく控え目にして、僅かに塩気を感じる程度にするのが賢明です。なお、酢の代わりに、前にみたミカン類の汁を使うのは、大いにけっこうです。

      甘味には注意が必要
       甘いものが好きな方はは、甘味を加えるのも一考です。これには、純粋の蜂蜜や糖蜜か粗糖が適切です。といっても、ほどほどに加えることが大切です。その他の砂糖やアメでも差支えないのですが、こうした成分のものは、他でも、とかくとりすぎるので、できればさけた方が賢明です。それに、そう飲み易くもなりません。けれども、サッカリン、ズルチン、シュガロンなどの人工甘味料は決して使ってはなりません。青汁の成分が悪くなるわけではありませんが、こうした人工甘味料は、少量でも、毎日とっていると、慢性中毒を起こす恐れがあるからです。とくに妊婦や授乳婦や子供、体の弱い方や病気中の方は、決して使ってはなりません。なお、甘いものが好きな方は、飲み始めの工夫として、氷砂糖を口に入れておいて、青汁を飲みながら、とかすようにするのも一考です。氷砂糖の代わりに、ドロップス、キャラメル、ヨウカンなども使えますが、これには人工甘味料、人工色素料、防腐剤、漂白剤などの有害な添加物がはいっていることが多いので、注意が必要です。この点、市販の蜂蜜やアメについても同様です。

      飲料にも注意が必要
       この他、カルピス、ヤクルト、シロップ、ジュース、サイダー、ラムネなどで調味すると、人によっては飲み易くなります。けれども、こうした飲料には、殆んどすべて、色々な添加物がはいっています。本当にはいっていない、安心できるもの以外は、決して使ってはなりません。たとえ一時使ったとしても、決して使い続けてはなりません。とくに妊婦や子供や体の弱い方は、そうです。

      番茶、冷水は適切
       こうした甘味や飲料を加えるよりも、いっそ香ばしい番茶か冷水で、ほどほどにうすめる方が適切です。案外らくに飲めます。けれども、いつまでも薄いものを飲んで、青汁を沢山飲んでいると考えてはなりません。

    口なおしの工夫
     それから、飲み始めの方でも、また飲みなれている方でも、飲んだ後に口なおしをするのも一考です。これには、番茶、冷水、果物が適切です。チュウインガムや氷砂糖その甘いものも好きであれば仕方がありあませんが、いつまでも続けないようにしたいものです。

    飲む決意をもって ひと息に、ぐうっと
     青汁をおいしく飲むためには、とくに飲み始めには、材料を配合したり、調味をしたり、口なおしをしたり、いろいろ工夫があります。けれども、飲む意思がなければ、とうてい飲めません。おいしく飲めるまで続きません。ところが、飲む意思さえあれば、こんな工夫をする必要もなく、ひと息に、ぐうっと飲めます。おいしく飲み続けている方には、こうして飲み始めた場合が案外多いようです。丈夫になるには、今のところ、青汁を飲む以外に、これに優る方法はないのですよ。

    なれたら、ゆっくりと
     といって、飲みなれたら、ガブのみにせず、口の中で、ツバキをまぜながら、少し温めるようにしてゆっくり飲むのが望ましいのです。とくに胃の弱い方には、そうです。

    副作用があったら
     なお、青汁を飲み始めると、人によっては、時に、吐きけ、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、ガス、ジンマシン、ほてり、といった副作用が起こることがあります。これは、からだが青汁になれていないために、あるいは、だんだん丈夫になり始めたために、一時的に起こる現象です。
     別に心配する必要はありません。そのまま続けていけば、そのうち起こらなくなります。とはいっても、どうにも辛抱できない場合は、量を少し控えたらよいでしょう。そして、馴れるにつれて、だんだん量を増していけばよいわけです。いったい、青汁が体に合わない、という人はないのです。
     また、青汁は何かと食べ合わせる、ということも決してないのです。といって、材料の品種を誤ったり、安全清浄でないものを利用したり、あるいは調味その他で有害物を加えたりすれば、普通に食べている場合より、はるかに多量に有害有毒物を食べこむようになるので、前記とは異なった副作用が早く強く現われます。この点、十分注意することが肝要です。(おわり)




2-10. ケールのとう立ち

     やがてケールのとうが立ちます。やわらかいうちに摘んでせいぜいお上り下さい。とてもおいしいものです。サラダにしてよし、漬物にしてよし、煮物にしてもよろしい




2-11. 青菜入り蒸しパン

    玉島市 S.T. 

       材料 小麦粉
      青汁(又は野菜のすり潰した物)
      塩 少々
      甘酒少々(又はふくらし粉)

     家庭で蒸しパンを作る場合にも(流し焼の場合も同じ)、小麦粉を水溶きするかわりに、青汁で粉を溶きますと、完全な栄養パンが出来上がります。
     分量はいくらでもよろしい。これに塩少々を加え、青汁で溶きましたものを蒸すわけですが、甘酒のある場合には、甘酒(堅造り)を青汁(又はすりつぶした野菜)と一緒に加えて、混ぜ合せ、ない場合には、お砂糖少々を加えてもよろしい。
     ふくらし粉も適当にお入れ下さい。




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