健康と青汁タイトル小
 養育・育児インデックス

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3-1. 子供の虫歯 母親の育児態度に原因 安易に菓子与える

     子供の虫歯が多いのは母親の育児態度にも大きな原因があるという母親にとってショッキングな調査結果が岡山大学教育学部のアンケート調査でわかった。
     調査したのは同学部の山口茂嘉講師(35)=幼児心理学専攻。
     山口講師は幼児の虫歯と母親の育児態度の関連性に着目、岡山市内の幼稚園児を対象に調査。

    「虫歯が多い子の母親の育児態度は、子供のわがままを安易に受け入れるなど場当たり的。幼児期の子供にとって大切な心と体のふれあいの不足をお菓子などの物を与えることで埋め合わそうとしている傾向が見られる」
     との分析結果を得た。
     これまで乳幼児の虫歯の問題は小児歯科や栄養学の分野で取り上げられることは多かったが、心理学の分野で取り上げたのは初めて。山口講師は調査結果を9月2日から3日間、横浜国立大学を会場に開かれる「日本教育心理学会」で発表する。
     調査は岡山市郊外にある選抜試験のない幼稚園に在籍する5歳児154人とその母親を対象に行った。
     毎年6月に幼稚園で実施している歯科医による検診結果をもとに虫歯の実数を調べたところ、対象児は1人平均7、8本の虫歯を持っており、虫歯にかかっている率は89.6%だった。
     母親の育児態度との関連を調べるためにまず子供の世話の程度、しつけの一貫性などを問う18項目の質問を用意、アンケート調査した。
     山口講師はこの調査結果を基に虫歯の少ない子25%(3本以下、37人、少群)と虫歯の多い子25%(12本以上、32人、多群)を抽出、両群の母親の育児態度を比較分析する方法を取った。
     それによると「買い物に行ったとき、お菓子やおもちゃなどを子供が欲しがったら買ってやるか」という質問に対し、虫歯多群の母親は22%が「よくある」と答えたのに対し、少群の母親は半数の11%だった。
     子供との接触を問う「子供の遊び相手になってやるか」の質問では少群の母親30%が「よくある」と答えているのに対し、多群の母親で「よくある」と答えた者はわずか9%しかいなかった。
     また、多群の母親の73%までは共かせぎなど仕事を持っていた。
     この分析結果から山口講師は、虫歯が多い子のお母さんは、子供の言うがままにお菓子を買い与えたり、寝る時間になっても子供が遊んでいても放っておくなど、しつけにけじめと一貫性がない。
     また、虫歯が多い子のお母さんに仕事を持っている人が多いことからもわかるように、子供との身体的・精神的接触の不足をお菓子などを安易にけじめなく与えることで無意識に補おうとしているのではないか―としている。
     同講師は忙しくても、子供と一緒に話したり、遊んだりする時間を持つように努め、子供にとって本当に必要なものとそうでないものを見分けて与えることが大切だ」と話している。
    (53・6・9 山陽夕刊)


3-2. 子供の虫歯 硬いものをよくかんで食べさせる

    新宿医院院長 H....A. 

     「パパはキンピラが食べたいというのだが、子供が嫌いなので作りません。実は、わたくしも嫌い」というお母さん。
     目下、歯医者通いに追われています。ところでお母さん、あなたのキンピラ嫌いが歯を悪くし、もしかすると、かわいいお子さんも、そのうち虫歯だらけになってしまうかも知れませんよ。このごろのし好の特徴として、軟らか食品し好が挙げられ、とくに若い人や子供に多く見られます。これは、加工、調理食品の普及によるものです。さらに学校給食が拍車をかけているといってもよいでしょう。子供の食べ残しを嫌って、好みの食品を与えるといった傾向があるからです。子供たちの好む食品はというと、ハンバーグ、ソーセージ、シューマイ、ギョーザ、コロッケ、メンチカツといったもので、中には、揚げもののパン粉のころもさえ、硬いといって嫌がる子供もいるのです。野菜は、というと、もちろんサラダです。これには、もっぱら生でもおいしく食べられるものが使われます。例えば、レタス、キュウリ、トマトといったどれもが軟らかい野菜ばかりです。おやつも、これまたショートケーキ、マシュマロ、ポップコーンといったふわふわしたものばかりです。このような食品に慣れてくると、ガリガリかむといったことが次第に苦手となり、このごろは、昔のように、するめや煮干しをかんだり、硬いいり豆をボリボリ食べたりという人はほとんど見かけなくなってしまいました。
     軟らかいものに慣れた口は、すっかり怠けものになり、硬いものにはことごとく拒絶反応を示します。軟らかい食品ばかり食べていると、とくに子供では、歯ぐきからあごにかけての発達に悪影響を及ぼします。子供のあごは、乳歯が主として生えている間は、V字型の形をしています。しかし、かむことによってだんだんと発達し、コの字型にはってきて、このへんから永久歯といれかわるのです。ところが、硬いものを十分にかまないと、アゴの発達が未発達のままにとどまってしまいます。つまり、V字型のままにとどまってしまうので、永久歯の生えるスペースがなくなり、その中で無理に生えようとすると、歯が二重に生えたり、ゆがんだりして、歯並びはガタガタになってしまいます。八重歯がかわいいなどとよくいいますが、これは健康上、決して好ましいものではないのです。
     このように、歯並びが悪くなると歯ぐきに無理がかかり、おまけに歯のかみ合わせも悪いため、歯は傷みやすく、また歯ブラシもうまく当たらないので、虫歯になりやすくなるのです。なにごとも、過保護はいけません。日常、硬いものを積極的にとるようにしてください。大人が食べれば子供たちもおのずと食べるようになるものです。

    (59・5・23 サンケイ)


3-3. 食知識に弱い現代ママ
多い「いやがるとたべさせない」

     現代ママは子供の健康について、偏食が多い(5割)など、かなりの不安を持っていながら、食生活の正確な知識を十分に身につけていないため、適切に対処できない…。
     こんな“欠陥ママ”像が、武田薬品工業の「子供の偏食と健康」調査で浮き彫りにされています。
     調査は、東京(23区内)と大阪市に住み、第一子に小学生の子供を持つ母親400人にアンケートし、まとめました。おもな分析結果は次の通りです。

    1. 子供の栄養摂取と偏食では、「偏食が多い」が50%、「栄養的に不安な食品が多い」が約30%で、栄養のバランスについて40%の母親が不安を訴えており、現代の加工食品はんらん時代を象徴しています。
    2. 偏食の原因としては「子供がいやがるとあえて食べさせようとはしなかった」が40%でトップ。2番目は「母親の嫌いなものは出さなかった」(17%)で、「父親の嫌いなものは出さなかった」(8%)の倍以上。マザコン時代が分かります。
    3. 子供たちが好きな料理は1、カレーライス2、ハンバーグ3、焼き肉4、スパゲティ5サラダの順。一方、嫌いな料理は1、野菜煮物2、野菜いため3、煮魚4、酢のもの5、野菜料理一般。現代ママの得意、不得意な料理がそのまま子供の好き嫌いに現れているのでは?
    4. ビタミン不足と知識では、栄養士のチェックによる子供のビタミン摂取実態は、「十分とれている」が3%弱で、残りの97%は「不足です」。

     これに対し母親の意識調査では「十分とれている」と思い込んでいる人が40%に達し、「かなり足りないと思う」はわずか4%にしか過ぎませんでした。つまり実態とママたちの“思い込み”が極端にかけ離れているわけです。このビタミン不足についての原因としてママたちは「インスタント食品などの加工食品の利用にある」と考えていますが、子供に「ある程度注意する」は60%にすぎません。つまり、ビタミンについては、知識不足で、改善についても適切な“処置”ができていないといえるのではないでしょうか。
    (58・5 サンケイ)


3-4. 青汁によだれたらす孫

    伊藤 T.I. 

     うちの孫子(8ヶ月)に3ヶ月位前からケールのグリーンジュースを飲ませはじめました。初めは少し変な顔をしていましたが、今ではペチャペチャ、ゴクンゴクンと口のまわりをグリーン一色にして飲むようになっています。
     食卓でジューサーを廻しはじめると、じっと眺めている口もとからヨダレをたらしはじめます。赤ちゃんは、生後間もない時期は食物の味をはっきり知らないため、少々にがいものでも要するに何でも食べます。大人が好き嫌いするのはうまいものの味を知ってしまったために、ケールをまずいと感じます。赤ちゃんがケールをおいしそうに飲むのはそこから来ているわけで、赤ちゃんのうちから飲ませると、大人になってもケールをウマイと感じ、飲み続けることができます。ケールは、幼児のうちから飲ませるようにしたいものです。(60・4・15 ケール健人の会会報)


3-5. アーオイシー

    多治見市 H.Y. 

     私共に3才6ヶ月になる男の孫がいます。
     生れて2ヶ月位の時から、本当に体が青くなる位のませました。
     今では体重16kg。むしば無し。家では青汁見本といっては、体の弱い方を見ると、孫をさして申します。
     私の家では色々と青汁のエピソードもありますが、やはりこれは続けて根気よくなさる方はそれぞれに効果をあげて、ケール作りにはげんでいらっしゃる方もあります。
     又、二人目の孫が生れます。
     この子も青汁見本になる位元気な子に育てたいと想っています。
     今の孫は尚チャン青汁のむ?オーケーと答えて片手に牛乳、片手に顆粒をもって、気嫌のよい時は1袋、少し御気嫌の悪い時は半分位、口の中をまっ青にして、「アーオイシイー」といってのみます。
     本当にたのしみです。

    (61・7)


3-6. 子供に成人病対策のススメ 文部省が詳しい手引書

     “飽食の時代”を迎えて糖尿病や高血圧などの成人病が子供たちの間にまで広がっているため、文部省は動脈硬化の予防を呼びかけた児童・生徒向け手引きと学校での糖尿病の管理・指導法を説いた教師用テキストを作成、全国の公立小・中・高校などに配布した。

      「ラーメン、うどんのつゆは残すこと」
      「おやつは食べたい量の半分ぐらいで十分」

     などと具体的に解説している。
     同省がこの種の手引きを作ったのは初めてで、食足りた世相を象徴した形だ。

     手引きは子供用が「児童・生徒の健康づくりのポイント―動脈硬化の予防はこどもから」でB5判15ページ。
     教師用は「学校における糖尿病の管理指導―小児糖尿病の手引き」(A5判113ページ)。
     いずれも日本学校保健会に委託して編集を進めた。子供用の手引きは、分かりやすいようにカラーイラストを豊富に使って動脈効果の恐ろしさを説明。肥満や高血圧、糖尿病、血液中にコレステロールが増えすぎる高脂血症などが動脈硬化の原因になることを紹介。
     「実はこうした病気はみなさんのようなこどもの時から始まっている」として、高血圧などの実態にも触れている。
     さらに成人病の主因に「食生活のみだれ」をあげてカロリーのとりすぎや偏食、塩分のとりすぎなどに注意するよう指摘。
     心構えとして、
      「牛乳か鉄分を多くとる」
      「食塩は一日に10グラム以下に」
      「緑黄色野菜をたっぷり」
     などを例示した。具体的な食事の知恵も細かく解説し
      「主菜、副菜を組み合わせて一日に30種類以上食べれば合格」
      「ラーメンやうどん、そばのつゆを全部は飲まずに残しておくこと」
      「かけじょうゆはだし汁などで薄めて使う」
     といった方法を伝授している。おやつについても食べ過ぎを戒め、
      1. 決まった時間に食べたい量の半分ぐらいを食べる
      2. カルシウムやビタミン類の豊富な食品を選ぶ
     ――などを手ほどき、最後に、食生活をただすと同時に活発に運動をすることも動脈硬化予防に役立つことを強調している。一方、教師用の手引きは糖尿病の子供をあずかる先生たちのために病気の基礎知識から日常の指導法、食事療法の進め方まで懇切に説き起こし、子供たちに糖尿病をコントロールしながら学校生活を続けさせる方法を示したのが特徴。学校で積極的に検尿を実施して糖尿病を早期発見する必要性にも触れ、「病気を初期の段階で発見し早くから適切な治療や管理を行うことのできる体制づくりが強く望まれる」と訴えている。
    (61・7・31 日本経済)


3-7. お八つの果汁

     医学博士 遠藤 仁郎 

     こどものお八つに果汁ばかりあたえている若いママさん。おばあちゃんが、いくら青汁をすすめても、一向にきき入れようとしない。
     お八つの果汁。お菓子よりは、というのだろうが、どうであろうか。

     今時の若いママさんは、こどもには、好きなものさえあたえればよい、とされているようだから、どうしても、カロリーや蛋白質にかたより、ミネラルやビタミンの不足がちな食事になってしまう。
     これを補うためにクダモノ。
     つまり、クダモノやそのしぼり汁には十分のミネラルやビタミンがある、と思っているのだろうが、とんでもない。

     ここに天然果汁の成分を出してみたが(4訂版日本食品標準成分表により1合分)、ごらんの通り、肝腎のミネラル・ビタミンは殆んどないにひとしいか、ごく僅かなものにすぎず、比較のために出した青汁に比べれば、まさに雲泥の差だ。

      天然果汁・青汁成分比較(各1合)
       カロリー蛋白質脂肪糖質カルシウムB1B2備考
      ミカン 720.90.1818.914.475.60.1260.05463.0果汁100%
      パイン 95.40.720.1825.228.8180.1620.01410.8
      ブドウ 95.40.540.3625.29.0Φ0.0360.018Φ
      リンゴ 78.20.360.1821.15.4Φ0.0180.0185.40
      青汁 48.65.30.545.7521.027000.1120.558189.0ケール100%
         mg国際単位mgmgmg 

     ましてや、市販のいわゆるクダモノジュースともなれば、ただの甘味飲料にすぎず、添加物の害も加わるから、はたして、菓子よりどれだけマシだろうか。
     少なくとも、果汁故の有利点は大してありそうもない。

     そこで、おばあちゃん、見るに見かねて、せめて、青汁だけでも飲ませ、食べもののまちがいを直してやろうとされているのだが、相手にされない。
    「病気でもしなければわかってもらえないのだろう。いや、それでも、まだ気がつかないのでは・・・・・・?。こどもの将来を思うと、全くやりきれない気持になる」
     となげかれていた。

     若いママさんたちのなまじっかの、しかも、まちがいだらけの栄養知識のわらえぬ現実だが、クダモノについてもう一つ忘れてもらいたくないことは、カキ、リンゴ、ナシなどかたいやつをかじること。
     よくかむことで歯の鍛錬になり、頭もよくなるといわれている。
     今のこどもの歯はだんだん弱くなっている。
     甘いものが過ぎるうえに軟いものばかり食べているからだ。
     だから、せめてクダモノだけでも、かたいやつを、しかも皮ごと(ミカンなど外皮も中の袋も)十分かみくだく。ウマ味がなくなるまでカジらせる。
     食べものの乏しかった昔のこども、私たちは、みな、そうしていた。
     いかにも行儀は悪いがからだのためだ。
     歯のない赤坊や老人はともかく、立派な歯をもっているこどもたちに、なぜジュースにする必要があるのか。
     お八つに果汁といった、こどもの弱体化に拍車をかけるような、いわゆる文化生活の愚かしさ、馬鹿馬鹿しさに。もうソロソロ気がついてもよいのではないか。
    (62・4)


3-8. むかし話(初期の旧稿から) 困ったこと

     医学博士 遠藤 仁郎 

     村の助役の二番息子、10才。顔色がすぐれず一向にふとらぬ。
     学校でも小さい方だというので、ある日近くの町の保健所へ行った。
     レントゲン検査の結果、肺門淋巴腺が腫れている。
     肉や魚や卵をしっかり食わせ、日光にあたらぬように気をつけよ、と注意された。
     そとへ出せぬようでは学校も休まさねばならんだろうが、ほかの子供に伝染の懸念はないだろうか、また養生法はかねて先生(私)から聞いているのとはまるで逆だし、だいいち子供の多い妾の家の現在の経済状態では、とてもそうしたものを充分に食べさすわけには行きかねる、と、
     そうでなくても神経質な妻君、ひどく心配顔で相談にやって来られた。
     なるほど、年の割に小さいし痩せてもいる。
     顔色もよい方ではない。虫もその時調べてもらったが、これはいない由。
     これまでは毎日学校へ行っており、運動も普通にやっていたが、別にくたびれもせぬし熱もない。
     食は変らず、便通・睡眠もよい。寝汗をかくこともない。
     食べ方を詳しくきいてみると、主食は白米飯2〜3杯。
     副食は飯の約3分1量。何でも食べる。野菜もよく食べるが分量が少なく、菜っ葉は割と好かぬ。
     生食はしていない。あらがみの癖がある。
     間食に甘いものを欲しがるし、他の子に比べて弱いので、つい隠してでもやるようになる、という。
     こうした所に、この児の弱い真の原因がひそんでいることは詮索せずに、ただ弱いから、肺門部に所見があるから栄養食と、肉類偏重の不完全食をすすめ、鍛錬を禁じて、いやが上に不自然生活を奨励するとは、わざわざ病気になれとおしえているようなものではないか。
     これでは、いかに厚生省が力瘤を入れて保健所をつくり、保健婦を養成しても、健康日本の建設はおろかなこと。
     いや、出来れば出来るだけ、いよいよその人たちの仕事は繁昌することであろう。
     私ども医者にとってはありがたいといったものかも知れないが、医学のすすんだという日本こそ呪われたるかな、というもので、まことに困ったことではある。

    (24・7)


3-9. 緑葉による合理的完全食  むかし話(初期の旧稿から)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     この食養法は合理的完全で、栄養学の要求するすべての条件を具備するのみならず、原料豊富、しかも主食の節約と相俟ち、経済的にも極めて有利であり、まこと「有用なるものにすべて安価なり」の好事論である。合理的完全食により、諸機能はその本然の状態に復し、食思増進、便通整調、尿利増加、精神・神経機能鎮静・強化され、睡眠佳良となる。なお性機能は強靭となり、月経整調、乳汁分泌を増し、生殖能旺盛、所謂貧乏の子沢山の譬えの如くである。

    妊婦の栄養
     婦人の栄養は原則的に男子と異る所はない。ただ体質的に稍少量(概ね男子の80%で足る)の差あるのみである。妊婦に於ては、胎児の発育のために充分なる栄養を必要とするは言うまでもないが、特に多量の熱量及び蛋白質を要するものではあるまい。胎児の発育如何に旺盛なりとはいえ、少なくとも初期に於ては極めて微々たるものに過ぎず、一方経血停止による体液余剰傾向の存在もあり、さほど多量の熱量・蛋白質を要するとは考えられない。事実、また食欲を減じ、殊に動物性食品その他濃厚食を嫌悪し、むしろ淡白食を嗜好するもので、これは、無機質・ビタミンを欲する、正しい自然の要求の発露に他ならない。
     また、往々認められる異嗜症の如きも、多くは無機質に富むものに向っている事実も同様に理解される。かく、妊婦の合理的完全食は、特に無機質・ビタミンに富む食品が適しており、菜食殊に緑葉菜を充分に利用すべきである。
     現に悪阻の如きも緑葉汁によって容易に治し得る。古来、妊娠食として海藻類の賞用されているのはまことに当を得たものというべきで、妊婦用として動物食品の特配が考慮され、新聞紙上に麗々しく報道されるが如きは、近来の蛋白質偏重栄養学の齎らす余弊の一表現に過ぎず、無意味なるのみならず、却って有官であって、胎児にとってはまことに迷惑至極といわねばならぬ。
     妊娠後期の胎児成長旺盛なるに及んでは、食思また自然亢進するものにて、この際には特にその配合の合理性に注意し、誤りたる栄養観念に基づく偏食(穀肉食)は厳に避けねばならぬ。

    乳児の栄養

      母乳栄養
       母乳。しかも生母の乳汁が最も適当していることは、その成分が生児の成長とともに一定の変化を示すことからも想像される。
       勿論、母乳の成分の完全なることが条件であって、母乳の完璧は母体の健康ならびに食養の合理的なることを前提とする。多くの研究の示す如く、乳汁の成分は、体内にその貯蔵物の存する限り、可及的正しき割合を維持するが如く調節されるものであるが、長期に亘る不完全栄養は必然的に乳汁成分の不完全化を招来する。
       従って、母体の栄養は常に質的・量的に完全でなければならぬ。就中、充分の熱量・優良蛋白質・無機質、殊に石灰ならびにビタミンの補給が必要である。ために、多量の蔬菜類殊に緑葉を用うべきであるが、事実は全くこれと相反し、ここにも蛋白質に富む濃厚食偏重の傾向があり、一層石灰・ビタミンの欠乏の因をなしている。妊産婦用として動物食品を特配するなど、凡そ愚にもつかぬ考えと申さねばならぬ。もっとも、一つには現下の食糧事情下止むを得ぬ点も無いではないが、根本は、誤りたる栄養観念から発した指導に基づくものに他ならない。かかる不完全食の是正に緑葉殊にその生鮮汁が適当なることは屡説せる如くである。

      人工栄養
       家畜乳はその成分が量的に不自然であり、また、飼料による所は勿論であるが、山羊あるいは羊乳の如く、無菌的で生乳のまま用い得るものの他は、加熱処理のため、ビタミンCの喪失、石灰の溶解性低下等のため、甚だしく不完全となるを免れない。
       これまた緑葉汁添加により容易に補い得る。貯蔵乳特に粉乳は殊に然りである。なお煉乳は、偏酸性の強い蔗糖を多量に含有するため、これが影響が少なくない。充分なる緑葉汁を加えねばならぬ。元来、乳児の食品に甘味殊に蔗糖を加えることは、甚だ不自然なことで、百害あって一利無きものである。
       凡そ、乳児用の砂糖特配ほど馬鹿気切ったことはあるまい。乳児の味覚はいまだ発達し(正しくは歪曲され)ておらず、空腹を覚えれば味は無くとも飲むものである。甘味を加えねば飲まぬのは、まだ欲しくない、飢えていない証拠である。授乳時間が来たから与えるといった機械的な栄養法は決して合理的とはいえない。成人の歪められた感覚から乳児の舌を推し測るが如きは誤まれるも甚しいものである。
       面湯・穀粉乳・甘酒・飴湯等、含水炭素を主とする食品は一層不完全であって、熱量に乏しく、蛋白質は質的に劣悪なるため、大量を用うるに非ざれば不完全なるを免れず、脂肪また不足し、無機質は乏しく、ビタミンは殆んど存在しない。特に多量の緑葉汁及び含脂性食品(豆乳の如き)の添加を要する。生鮮葉の欠乏する際は乾燥葉未を利用すべきで、粉粒さえ充分微細ならば消化は極めて良好。乳児にも支障なく与えることが出来る。

    幼児の栄養
     発育旺盛。食思また漸次増大するが、消化能いまだ幼稚であり、しかも味覚の自然尚お失われず、各種食品を自由選択せしむるも、その組合せは完全に合理的であったという実験がある程の時期である。
     従って、この間に於ける正しい指導は極めて重要である。迅速なる発育は充分の栄養、殊に熱量・蛋白質を要することは勿論であるが、現在、考えられているが如く、動物蛋白の偏重の誤まれるは、上述の理論的根拠からも容易に理解される所であり、常に、同時に無機質(塩基・石灰・苦土・燐酸その他)ならびにビタミンの関係を考慮しなければならぬ。
     ことに石灰対燐酸の正しい比率確保は絶対に必要である。優良蛋白質の要は言を俟たず、動物食品また大いに利用すべきであるが、常に、これと調和せしむべき充分なる果物・蔬菜類、殊に緑葉菜を配伍せねばならぬ。もっとも、咀嚼ならびに消化力いまだ不十分なるため、調理上慎重の考慮を払うとともに、生鮮汁の活用によりビタミン・酵素等の効用を十二分に発揮せしむべきである。
     歯牙発生の状は概ね摂取物の種類を示唆するものであるが、最も早く発生する門歯は、成熟せる果実を噛み破りその汁を吸うに適するもの。次で生ずる小臼歯は、果実・蔬菜・穀類の咀嚼の可能を物語る。而して動物食摂取用と考えられる犬歯の発生の遅れる事実は、幼児に肉食の必ずしも必要でないことを物語るものとも考えられよう。
     調味は可及的淡白を旨とし、特に甘味・鹹味等の附け味を減じ、食品本来の持味を賞味するに慣れしむる如く指導すべきである。一旦濃厚なる附け味に習慣するときは淡白食への復帰は相当困難である。甘味品に対する嗜好は、味覚の自然の如く考えられ、あるいは幼児には必需品なるがの如く誤解され勝であるが、これまた習慣及び美味を求める慾望の結果に過ぎず、栄養上決して必要不可欠の食品ではない。
     すなわち、その栄養価としては単に熱量源としての意義に止り、偏酸性強く、塩基・石灰に乏しく、ビタミンを欠き、その分解にはビタミンBを要する等、甚だ不完全なる食品であって、これが過食は体液の酸性度をたかめ、石灰喪失を増大し、体質悪化・抵抗力減弱を原因する。故に、これが濫用は最も慎むべきである。
     この意味に於て糖類摂取の主因となる間食に関しては、特に留意すべきである。間食の多くは穀粉・豆類に加うるに甘味を以てせる菓子類であって、何れも糖類附加により一層不完全となるものである。故に、常に同時に緑葉を配し、これが害毒に軽減を図るべきである。芋類は比較的無難であるが、これとても完全食ではなく、過食の不可なるはいうまでもない。古来、育幼の原則として「三分の飢と寒さ」と訓えられている。いまだ消化能の強固でないこの時期、過食は厳に戒めねばならぬ。

    少壮年の栄養
     原則的には幼児に於ると同様であるが、発育の最も迅速なる時であり、食欲は益々旺盛、味覚の赴くままに穀肉の過食に傾き易く、ために無機質殊に石灰ならびにビタミン不足に陥り易い。しかも、この期は、これらの欠乏の影響の最も大なる時である。故に常にその補給源たる蔬菜殊に緑葉類を充分に摂取せしめ、穀肉類との間の調和に顧慮を払わねばならぬ。
     食べ方としては、所謂「飢えて方に喫し飽かずして巳む」で、常に若干の余力を残すを厳とするが、余りに消極的なるもまた不可。消化能の発達とともに鍛錬を加うべく、時には大いに満腹飽食せしめ、また、食品の種類も可及的広汎に亘らしめ、中毒し易き食品は少量を反復摂取(所謂脱感作食法)せしめ、凡ゆる食品に馴れしめ、咀嚼の習慣とともに、如何なる質的・量的不摂生に対してもビクともせざる底の強靭なる消化力を涵養せねばならぬ。

    老齢者の栄養
     消化力は漸次減退し、代謝沈衰、排泄能また低下する。ために易消化性で、有害代謝産物の少ない、所謂無刺戟性食が適当とされる。たヾし、食品はなるべく広範囲多種類ならしむべく、動物食品また決して禁止するの要はなく、飲酒・喫煙また無下に排するには及ばない。
     要は、合理的完全食の原則に則する如く調和せしめ、殊に塩基・ビタミンに富み、石灰対苦士・燐酸比の正しき割合の確保に留意し、量的には消化・代謝・排泄能に順応せしめ、以て、過重なる負担は厳に慎まねばならぬが、徒らに厳に失し余生をして余りに無味乾燥ならしめることは当を得たものとは為し難い。(20・12)


3-10. 砂糖とは?

    大阪アップル歯科医師 Y.T. 

     私の診療所では、はじめて来院された患者さんたちのために「予防教室」という講座を開いて、自分で自分の健康を守っていくために必要な知識についていろいろな話をすることにしています。その時に次のようなクイズを出して、出席者の皆さんに答えてもらいます。
     子供の発育のために、また大人の皆さんの栄養として、砂糖は、

    1. 不可欠の栄養である。
    2. 不可欠ではないが、ある程度は必要である。
    3. 有害である。

     さて、皆さんはどれが正解だと思いますか?
     私たちは毎日、主食としてごはんやパン、めん類などを食べていますが、米や麦などの穀類に含まれている炭水化物は澱粉(でんぷん)と呼ばれ、体の中ではまずブドウ糖に分解されます。もともと澱粉はブドウ糖がたくさん結合してできたものだからです。こうして分解されたブドウ糖は私たちの血液にとり込まれ、全身に運ばれてエネルギー源として消費され、余った分はそれぞれの組織で貯蔵されることになりますが、それでも血液中には常に100ミリリットルあたり約0.1グラムが確保される仕組みになっています。
     このようにブドウ糖は私たち人類の体の健康を保つ上で、欠くべからざる働きをになうものです。

     これに対して、砂糖は体内で分解されて同量のブドウ糖と果糖になります。果糖は果物やはちみつなどに多く含まれている成分ですが、私たちの体にとっては、ブドウ糖のようにぜひとも必要な栄養素ではありません。しかも、ブドウ糖にくらべ、分解されてエネルギーになるまでに約20倍ものビタミンB1を消費する厄介者で、全身の代謝に大きな負担をかけることになります。
     私たちの体に必要なブドウ糖を摂取するには、米、麦などの穀類、大豆、小豆などの豆類、それにサツマイモ、里芋などの芋類などで十分で、わざわざ厄介者の果糖を生むことになる砂糖をとることは、健康のためにも発育のためにも好ましくありません。虫歯予防のためにだけではなく、あなたの大切な子供の発育のためにこそ、砂糖の摂取はできるだけひかえるのが賢明でしょう。
    (61・11・15 サンケイ))


3-11. 一粒の栄養剤より日光と家庭料理を

    東京 R.K. 

     テレビで、骨形成に必要な○○を飲めばもう大丈夫といったようなコマーシャルが放映されるのをみると、いつも首をかしげてしまう。本当にそれでいいのかしら。その一粒で、カルシウムが補充されさえすればそれでいいのかしら。何と機能本位で味気ない、心貧しいことだろう。
     成長期の子供の骨形成に必要なのは、どこにもふんだんにある戸外の日光。○○を飲ませるよりも、さんさんたる日光の中で、思いっきり遊ばせることを考えないのか。それに、骨ごと食べられる小魚、牛乳、タマゴなどどんな食物にもカルシウム源はたくさんある。それらを上手に料理の中に取り入れることで、カルシウムは十分とれるではないか。
     私たちは今、あまりにもコマーシャリズムにふりまわされ過ぎてはいないだろうか。若いお母さんたち。自分のかわいい子供に、もっと自分の手で作った料理を食べさせ、戸外の日光のもと、もっともっと自然に触れさせながら育てていってみてはどうだろう。そうすることが、体の栄養ばかりでなく、心の栄養、心の豊かさをも自然にはぐくませていくのではないだろうか。


3-12. 孫に生かせた甘党の教訓

    堺 T.U. 

     ケールを飲み出してからもう5年位たちました。
     私の物心ついてからの思い出の中で最もつらく悲しかったのは、歯痛の苦しい日々だった事であり今もはっきり脳裏にやきついております。
     私の生家は和菓子製造業で、近くの村の冠婚葬祭やそのた村の行事に使用する和菓子類を一手に引き受けていたような環境ですのでいつも手のとどく所に甘いものが一っぱいあったものです。
     虫歯の痛さに夜中目を覚し母親が和紙をほっぺの大きさに丸く切り冷水でねったメリケン粉をぶ厚く引きのばし張ってくれるのです。そんな事が数え切れない程でした。
     食べるものもおのずから偏より学校もよく休む弱い子で通っていました。又、友達がそら豆のいったのをポリポリと食べているのが、子供心にうらやましく思いました。十代の後半にもう子供を2・3人も生んだ様な悪い歯だと医者に言われ、一本一本抜いては義歯を入れ、歯痛でポロポロ涙を流し乍ら家族の食事の用意をし自分は食べられずにいた事等度々ありました。

     従って当然の事ながら、何を食べても入歯ではおいしくない生活を余儀なくされて来たのです。私のつらい体験を再び2人の子供らに味わいさせてはいけないと赤ちゃんの頃より甘いものはひかえて参りました。
     じゃこの粉末を離乳食から利用しました。琵琶湖畔にある実家へ帰る時もお菓子は沢山あるけど食べないようにと約束して行きます。実家では、菓子屋の娘が「甘いものはあかん」と言う私を反逆児に思えたことでしょう。
     毎日の食事には夫々の素材の持味を生かしたもので料理をこしらえました。おやつは食事の一部とみなし4回食と考えて、手作りのものをしました。芋類。コンブ。するめ。いり豆。小魚。旬の果物等を取り入れました。
     何でもガツガツとおいしく食べる子にしようと、努力致しました次第です。

     お陰様で小学校高学年には歯の優良児と健康優良児の表彰をされました。努力が報いられた喜びは何ものにもかえがたいものでした。大阪市より戴いたその表彰状は今も私の宝物として持っております。甘いものが氾濫している現在、子供の歯を身体の健康を守るべく努力が必要だと思います。
     赤ちゃんの頃からその対策をたて甘い味をおぼえさせない。今私の孫への対応はおみやげにはお菓子類は一切持って行きません。

    (ケール健人会報より)


3-13. 成長期の赤ちゃん食事療法は慎重に

    東京家政大学教授 G.T. 

     大昔は、人間も自然のなかの生きものにすぎなかったからどうということはなかったけれど、人の英知が自然にないものをつくり始めてきたときから、いろいろな問題が起こってきました。
     例えば、身につけているものにも、息をする空気のなかにも、様々な物質があり、それらは昔は存在していなかったので、かつての自然人にとっては全くの異物です。
     このように自分の身の回りを見ると、自然とはほど遠いもので一杯になってきたので、からだの方はそれらの異物から身を守らなければならなくなりました。そこで異物がからだに入ってきたときに、それを抑えてしまうための抗体が作られるようになってきたのです。この外から入ってくる異物を抗原と言い、それに対してからだのなかにできるのが抗体です。

     これからも人間の文化が発達していけばいくほど、いわゆる抗原となるものは多く、それに対する抗体の産生も盛んになることでしょう。そして、この抗原がからだに入ると抗体が戦ってくれますが、ときにはその時の反応がいろいろと面倒な症状を引き起こしてしまうことがあります。これがアレルギー反応で、呼吸器のほうへくれば気管支喘息の発作を起こすでしょうし、皮膚のほうであれば蕁麻疹(じんましん)や皮膚炎を起こすことがあり、胃腸のほうの症状としては、下痢や腹痛などが現れたりします。
     このような状態になってくると、今までは何でもなかったようなものに対しても、からだは敏感に反応して、アレルギー症状を起こしたりすることがあります。近ごろではアトピー性皮膚炎と食事との関係が強調されるあまり、ふだん私たちが食べているものでさえも悪者とされて、それこそレトロブームにあやかったような、昔の食べ物がもてはやされたりしています。

     その結果、ついにはふだん食卓に上がることの多い卵や牛乳大豆などが悪いときめつけられて、初めから拒否されてしまうようなことさえ起こっています。
     すなわち妊娠の終わりごろになると、お母さんはそれらの食べ物を止めたり、生まれた後も1歳ごろまでは初めからそのようなものを与えないようなことがあります。
     しかし食べ物は人間が一生涯食べ続けなければならないものであり、ことに幼小児はからだの成長や成熟のために十分にとらなければなりません。
     しばしばアレルギーの元凶として烙印が押されている卵や牛乳や大豆などは、栄養源として優秀であり、しかも安易に入手できるのですから、ふだんの食生活のなかではふつうに食べられているものです。
     したがって、それらを食生活のなかから除くとするならば離乳食の選択が困難になるばかりでなく、それは直接子どもの成長を阻害することにもなりかねません。

     そこで食事を制限するときは、必ずそれにかわる食品を与えなければならないということです。近ごろ離乳期の赤ちゃんで体重が増えないという相談を受けることがあります。よく聞いてみると、アトピー性皮膚炎のために、あるいは親がそういう体質だからということで、安易に卵や牛乳や大豆などを止めてしまっているのです。
     成長期の赤ちゃんにとって、そのなかの主要食品を中止するのは子どもの将来にもかかわる重大なことなのであって、それほど簡単なことではなく、病気で薬を使ったり、手術をしたりするような治療と全く同じことなのです。このような食事療法は、医者の指導のもとに慎重な態度で望まなければなりません。

    (63・11・41 サンケイ)


3-14. こんな弁当よう食べん

     医学博士 遠藤 仁郎 

     家族に病人が絶えない、といわれるので、ナッパ・青汁、ことにイマナ青汁食をすすめていた。
     熱心にやっていられるというより、やろうとしていられるらしいが、おばあちゃん一人のほか、主人公をはじめ、こどもたちも大反対。いちばん問題になるのは昼食。もっとも、ご主人は外食が多いのでよいとして、むつかしいのは学校へもって行くこどもたちの弁当。
     いつかの青汁教室で、そのお母さんが、「おかずにナッパを入れると、こどもたち、“こんなもん恥しうて食べられん”といって、捨ててしまい、好きなものを買って食べる、というンですと嘆かれていた。
     いまや世をあげてグルメ、グルメのご馳走時代。いつも、お花見弁当のようなものばかりもって行っている。いや、こどもだけではない。たいていのママさんたちも、おいしくさえあれば、手数がはぶけさえすれば、こどもたちがよろこんで食ってくれさえすればと、それで満足されているのだそうだ。
     これでは、ほんとうに、日本も遠からず、そのためだけでもダウンしてしまうだろう。まことに困ったことだ。そのとき、ちょうど出席されていた横溝老(もう85〜6だろうがまことに元気のよい)が、こう話された。

     「わしら貧乏人のこどもは、いつも麦飯をナッパのおかずで食べた。学校へもって行く弁当はオカン(お母さん)がつくってくれた梅干入りのムスビ(大きい)だった。
     いつも白いおマンマをおいしいおかずで食べていた金持の分限者のこどもの弁当にゃ魚や卵もはいっとった。学校を出て5〜60年だった時分だった、一ペンみんなが集まったことがあったけど、出て来たもんは貧乏人のガキばかり。分限者のともだちはみんなもう死んでしもうて、一人も出て来なんだ。
     ご馳走バア(ばかり)食うとったらオエン(だめ)。誰がどういおうと、やっぱし先生のいうようにする方が、こどものためですぞ。」

    (平2・4)




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