健康と青汁タイトル小
 養育・育児インデックス

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養育・育児(3)



1. 質問箱 1才の子供

    広島県 T.U. 


     満1才の子供に青汁はどうでしょうか?病気は喘息。


     ちっとも差支ありません。ぜひお試めし下さい。初め盃1杯くらいから。次第に増量します。
     当地では生後1ヶ月位から始めている方が少くありません。丈夫にそだち体格も標準以上大きくなるようです。


2. 幼児の食生活

    金光町 M.Y. 

     「勝則、ぶどうの種を、いっしょに食べると、おなかの中で、ぶどうの木が生えるぞ。」
     とたしなめる私に、
     「おとうちゃん、ぶどうの木が生えて、大きいぶどうがなったら、おとうちゃんにもあげよう。」
     といいながら、またたく間に一房のぶどうをたいらげてしまいました。
     専門医から妊娠不能といわれ、全く希望を失っていた私たちに、神の恵みを得て、奇蹟的にも授った長男です。
     出生時、産声も十分に発することのできなかった子供、その上に母乳がなく、人工栄養だけで育ったのに、生後2年7ヶ月で、身長93.6糎、体重14.1瓩という標準をはるかに越えた発育をとげるまでになりました。
     胃腸も丈夫で、ぶどうの種まで食べても、一度だって下痢したことはありません。
     これも一つには青汁のおかげと常に遠藤先生に感謝いたしています。
     同時に人工甘味料はもちろん砂糖も出来るだけ与えないようにしたためと思っています。
     今頃でも甘い菓子はほとんど食べず、特に生菓子など口に入れても、はき出してしまいます。
     従って歯がすばらしく丈夫で、ベークライト製の食器や箸など度々かみ割ることがあります。
     生後1ヶ月頃から、ミルクの中に青汁を入れてやりました。
     はじめはさかずきに一ぱいぐらいからしだいに増していきました。
     そのため生後3ヶ月頃から標準以上の発育をとげるようになりました。
     菓子を食べさせないかわりに果物はよく与えました。
     生後2ヶ月頃からリンゴ汁を与え、みかんなど顔をしかめても、むりやりに口の中へしぼり込んで飲ませました。
     6ヶ月頃からは夏の間中、毎日のように、トマトをしゃぶらせました。
     便の中に、トマトの種子がたくさん出ても下痢するようなことはありませんでした。
     ぶどうや桃の汁なども早くから飲ませました。
     青汁はとてもすきで、ミルクや牛乳の中に入れて飲みます。
     「みどりの乳」といって喜び、青汁だけでも飲みます。
     決して顔などしかめたりはしません。
     ままごと遊びをする時でも、ケールの葉をとって来て「ほい青汁ができました。」とか「これはみどりの乳です。」などとひとりごとをいいながら、よく遊びます。
     この間ガラスびんの上にころんで二針も縫う程の傷をしましたが、とても早く全快しました。青汁の効果だと思います。
     青汁、果物の外に私は「味付のり」をかなりたくさん与えます。
     多い日には6〜7束も食べさせます。
     これも生後4ヶ月頃から続けています。
     これらの食物によって、子供の健康ばかりでなく、頭脳の発達、運動機能の発達にもよい効果をあげているように思います。
     言語などもとても豊富で既に幼児語は殆どかげをひそめるまでになっています。
     要するに、幼児の食生活に青汁、果物、海苔を出来るだけ多く与え、砂糖、人工甘味料のはいった菓子類を出来るだけ、与えないように注意することが、子供の心身の健全な発育をもたらすものと確信するものであります。
     幼児をもたれる多くのお母さまのことを思い、筆をとった次第です。


3. 丈夫なこども(一)

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ちか頃の子供たちはみんな大きくなりました。
     今では親より小さい子供は、おそらく、ないでしょう。
     まことに結構というものではありましょうが、もとより、それも、全体としてバランスがとれていての話です。
     しかし、実際には、どうも、ただ脚ばかりがのび、胴体は細いままの、ヒョロ長い体格になりつつあるようです。
     そして、健康状態も決して、特によくなったとはいいかねるようです。しかも、この傾向はひとりわが国だけでなく、欧米諸国共通の現象で、アメリカやドイツではその対策が真剣に研究されているということです。
     わが国の、少くとも庶民階級の健康状態は、明治の中期までは非常によかったようで、それは次のベルツの記載一つをみても、なるほどとうなづかれます。
     明治22年2月11日の憲法発布祝賀観兵式の日の日記に

    「観兵式は練兵場の底なしの泥沼にもめげず挙行された。兵士たちがひざの上までよごれて、5時に帰営するのを見た。しかし若者たちが、それでもなお元気よく、朗らかに行進していたのがうれしかった。8才から14才の少女たちも、雪解けの中に数時間立っていなければならなかったのだが、いささかも疲れなかったのように、楽しげな顔色で家路についていた。大多数のものは、ハカマをつけ、素足か、せいぜい薄いソックスだけで、大抵はダブダブの不細工なクツをはいていた。これがヨーロッパの少女であれば、次の日は全部病気になっていることだろう。」
    とあります。
     これが、当時でも、すでに隋弱とされていた東京の姿です。
     脊丈こそ低くかったが、がっしりした体躯、強靭な体力、旺盛な精神力に、はたらきに働き、ねばりに根張る、疲れ知らぬ頑健さこそ、わが国力の源であり、わが発展の底力でした。

     そして、日清日露の両戦役を勝ちぬき、新日本の礎をきづき上げたのでしたが、実にそれは、質素な農山村の古い伝統的の食べ方、育て方の賜物でした。
     しかしながら、この良風は、西洋文明の輸入とともに、旧来の陋習として惜し気もなく捨て去られ、文化的と称せられる、贅沢な日常生活がこれにかわり、まず都市を、そして、次で、今や田舎の隅々にいたるまで毒してしまいました。

     文化的生活といえば、いかにも立派ですし、人々のあこがれの的でもあります。けれどもそれは、何もただ西洋人の真似をすることではなく、その人その土地の本質にかなった、合理的な生活ということでなければなりません。そして文化的栄養というものは、要するに、ほんとうの健康(体格の上でも、体質の上でも)を約束し保証してくれるものでなければなりません。決して贅沢な食事、うまいご馳走をウンと食うことでもなし、ただ、清潔であり、便利でさえあればよいのでもありません。

     さて、現在の実際はどうでしょうか。一つ学校の給食について考えてみましょう。
     白米飯をパンにかえ、牛乳を加えたことはよいとして、副食物には肉や魚や卵が主であり、バタやマーガリンもよくつかわれています。しかし、野菜はもともと少い上に、殆んどが白いものばかり。ために熱量や蛋白質や脂肪は十分ですが、どうしてもミネラルやビタミンが不足します。
     そして指導者たちは、「どうせわれわれの食事ではミネラルやビタミンを満足にみたすことは不可能だ」とあっさり割切り、薬品による強化食を推賞。カルシウムやB1・B2はパンに加えられ、Aは肝油やリバーAといったもので補われます(いやそれどころか栄養所要量の基準の引き下げさえ敢行されています)なるほどそうすれば、必要とされている基準量はうまくそろえることが出来ますから、いかにも合理的で少くとも、今の栄養学からは文句のない完全食ができ上っている筈であり、諸外国でも同じようなことがいわれているらしいので、子供たちは、これで十分丈夫にそだつ筈だと、安心していられるようにも見かけられます。ところが、その欧米の先進国でも、子供たちの体格の劣悪化の究明に躍気になっているというのは何としたことでしょう。
     いずれ諸学者のむつかしい学説がつぎつぎに現われることでしょうが、実際このいかにも合理的にみえる食べ方の何処に間違があるのでしょうか。

     その一つは、どうやら、科学を盲信しすぎていること、あるいは誤解している所に、あるのではないかと私には思えます。つまり、栄養学でわかったことだけがすべてであると盲信し、それですべてを律しようとする、そして、それ故に、余りに人工的になりすぎているからではないでしょうか。
     所要栄養素がいくらいくらときめられ、それだけが揃えばよいかのようにいわれます。そして、吸収利用のよいようにせよ、万事衛生的に清潔に扱え、見た目も味もよくしておいしく食べさせようという風です。

     そこで、いきおいご馳走になり、調理、調味はいやが上にも念を入れ、生食などといった不潔で、不衛生的で、野蛮なことはもっての外だ、と非難され排斥される。不足するミネラルやビタミンは、安全(清潔で衛生的)であり、便利でもあるからとて薬剤が賞用され、強化食品が重宝がられる。手数がはぶけ、安くておいしい市販の既製食品やことにインスタント食品がよろこばれ、それらの消費をもって文化的生活の目安のようにさえいわれるといったぐあいです。

     こうして自然から遠ざかり、あまつさえ添加薬剤や色素の害毒にもさらされ、さらに糖害、農薬の害も加わります。しかもこのような科学的と称せられる不完全栄養の影響は発育ざかりの子供たちにはとくに大きいのです。
     これらの積り積った害毒の結果がヒョロ長い体格、ひ弱い、抵抗力に乏しい体質として現われているのではないでしょうか。
    (つづく)


4. 離乳食は青汁から

    岐阜県 Y.N. 

     実家の母も祖母も、大変いい事だというので、里へ帰るとつくってやります。
     飲みにくいなどといった事はありませんが、忙がしくてなかなか自分でつくるなど、思いもよりませんし、父も弱そうなので、飲むといいと思って、時々新聞をみせてやりますが、つくり手がなくて残念です。
     満3才になる長女が、青汁をとても喜んで、何を入れなくても、「あまいあまい」といって、1合位のんでしまいますが、たまにはリンゴ汁や蜂蜜を入れてやります。
     私が顔をしかめて飲んでいると、「苦いか」といって聞きますので、何だか悪いような気がします。
     昨年の12月、次女が生れましたが、もう離乳期なので、蜂蜜を青汁の中へ入れて、2サジ3サジやってみましたが、ダラダラと出てしまいますので、リンゴの汁と、半々位に混ぜるとよくのみます。
     うちの離乳食は青汁からというわけです。

    (35、4、20通信)


5. 乳児のときから青汁を

    倉敷市 E/I/ 

     子供たちに、乳幼児の時から青汁を始めて、本当によかったと喜んでおります。
     上は女の子で、6才、下の男の子は、としごでございます。私は、たてよこ小さく、体も弱い方で、よく、かぜをひいたり疲れを出したりします。主人も、最近はあまり病気をいたしませんが、小さい時は弱かったそうです。こんな二人ですし、よくとしごは丈夫に育ちにくいと言われていますので、下の子が生まれた時には、どうしたら丈夫に育てられるかと、大変に心配しました。
     幸い、叔父が大変熱心に青汁をすすめてくれますので、前々から時々は飲んでいたのですが、この機会に家族全員、本気に青汁を始めることにいたしました。
     下の子に始めたのは、生後3ヵ月頃からです。初めのうちは、午前中にスプーンを青汁にしたしてなめさせる程度にし、おなかの調子をみながら、だんだんと増してゆきました。
     お誕生の頃には、たしか5勺位になっていたと思います。この頃は毎日1合飲んでおります。母乳以外、甘いお菓子の味など全く知らない時に始めたせいでしょうか、青汁が大好きで、お菓子など、そんなにほしがりませんし目につくような偏食もございません。虫歯もまだ、みあたりません。
     先日も、幼稚園からみなさんとご一緒に、西小学校のプールへ行ったのですがはだかになった時、つきそいのお母様方が、私のところの男の子のからだを見てみなさん、びっくりなさいました。引きしまって、色ツヤがよいのです。へいそから、とても力が強く、インコツのようにかたいからだ、とは思っていましたが、こうしてほかのお子さん達と比べてみると目立って頑丈なのには、内心私もびっくりいたしました。これは、乳児の時から、かがさず飲ませている青汁のおかげだと、とてもうれしゅうございました。
     上の女の子にも、生後2年頃から青汁を始めたのですが、なにぶん甘いお菓子の味を知っていましたので大変手がかかりました。お母さんのおっぱいよりおいしい「青いお乳」と、なだめ、すかして始めたのですが、そのうち「青いお乳ちょうだい」と求めてくるようになりました。
     この頃は毎日1合よろこんで飲んでおります。でも、やはり下の子とちがって、食事にもいくらかムラがありますし、今でも甘いお菓子の味が忘れられない様子です。この春二人の子供が、一度にハシカにかかりましたが、そんなに手をとることもなく、大変らくに治りました。
     ハシカ以外病気らしい病気はしておりません。乳幼児のときから、青汁を飲ませて、本当によかったと心から喜こんでおります。

    (36・8・8)


6. 食生活はこれでよいか

    姫路市 S.M. 

     ある家を訪問した時、ちょうど、おやつの時間だったらしく、ママさんを囲んで、小さい姉妹がにぎやかに何かを食べていた。私は、そんな風景が大好きなので、しばらく母子の姿に見とれていたが、やがて、そこいらをつたい歩きしていた一番小さい子の口に、ママさんが、あめ玉ほどのバターのかたまりを、ポイと投げ入れるのをみて、びっくりぎょうてんしてしまった。
     思わず、「だいじょうぶなの?」という目を向けてしまったが、幼児はいかにもご機嫌な様子で、口をもぐもぐさせているし、ママさんの顔に屈託がなかった。
     こんな小さな子までが、バターの味を知っているのかと驚いたが、そういえば、このごろの子供はチーズも大好きで、テレビのコマーシャルでみるように、うちでも、もっとチーズを厚く切ってくれといって困るのよ、と近所の奥さんがこぼしていたことがあった。
     バターやチーズばかりか、うに(雲丹)なども、近ごろの子供は好きらしい。
     大人が食べるものを子供も食べて悪いということはもちろんないけれど、うにが好きな子供なんて、何となくかわいげがない感じがする。
     こんな感じ方は、私だけのものかもしれないから、頭が古いと非難されてもしかたがないが、若い人の食べ物に対する考え方というか、受け入れ方についてみていると、かわいげがないどころか、すさまじいほどのものがあって、心配になってくる。

     こんな話をきいた。
     聞かせてくれたのは、小学校の1年を受持っている先生だが、クラスの中に、どうしても給食を食べない子供がいたそうである。1ヶ月近くなだめても、すかしても、ガンとしてきかないので、給食を食べない子は、もう学校に来なくともよいと言ってしかった。
     そしたら、「学校の給食はまずいから食べなくてもよいとママがいった」と、泣き泣き訴えたそうである。他の子供への影響を考えると、そのままにしておくわけにもいかないので、後日、その母親を学校に呼んで話をきいた。
     そのいい分はこうである。いくら栄養のあるものでも、まずいと思って食べたのでは栄養にならないから、まずいものは食べなくてもいい、と子供にいった、ということなので、学校給食をあなたは食べてみたことがあるのか、と聞いてみると、食べたことはないけれども、値段から考えてみておいしいはずはない、という答えであった。
     それでは、一体、家では毎日どんなものを食べているのかと問うと、その時、その時、子供が食べたいというものを食べさせている。給食ではそうはいかないでしょうと、逆襲してきた、あげくが、毎日栄養剤をのませているからだいじょうぶ。
     給食ぐらい食べなくても心配はご無用だ、ということであったそうだ。話をしているうちに頭が痛くなってきた。と先生はいったが、私も少々頭にきかかった。
     こんな考えの人は少ないだろうと思うが、私どもは、毎日いただく食物について、もう一度、考えなおしてみる必要はないであろうか。衣食足って礼節を知るという言葉を思いだすが、このごろは、衣食があり余って礼節も失われ、精神も腐れそうになっているように思われて仕方がない。
     時代と共に、大人も子供も、その嗜好が変るということは今後もあることだろうし、悪いことだとも思わない。けれども、あれが食べたい、これはきらいだと、選択することだけ覚えて、与えられたことに対して喜ぶことも、感謝することも忘れてしまっては、生命に対して、あまりに傲慢すぎるような気がする。
     食べたいものだけ食べるというのは、生命力のうすれた病人か、老年者の特権で、健康な若い人がそんなことをしていては、肉体ばかりか精神の成長もとまってしまうのではないだろうか。
     母子心中や、一家心中というようなことが、このごろまた、新聞に報ぜられるようになってきたが、戦前は、ほとんど親子兄弟食いかねての悲惨な心中が多かったのである。経済の高度成長のおかげで、今の若い人たちは、日本にもそういう時代のあった事を知らない。知りたくなければ知らなくてもよかろうが、現代でも、後進国といわれる国の人々は、今日も、明日も、飢えにさいなまされているというのに、そのことすら知らないでは現代人として失格です。
     食べ物には、いつも、まず感謝して向うことにしたいものだ。食べ物に対する侮辱は自分の命に対する侮辱だと私は思う。



7. コーラ、ドリンク類の中毒

     医学博士 遠藤 仁郎 

     日本大学歯学部薬理学の田村助教授らの研究によると、コーラやドリンク剤を動物に飲ませてみると、急性の中毒症状をおこす。
     大量だと死ぬものもある。そして、「問題なのは、このような急性中毒をおこし得る物質を、長期間にわたって摂取したとき、全身的にどんな影響を及ぼすかについて、まだ何も知られていないことである。」また、「幼年期から永い間にわたって、コーラ、ジュース類を多量に飲んだ者に、癌を多発するかどうか、アルコール類と消化器癌の相関関係をみたときと同じ方法で、近い将来に詳細な調査を行ってみると、興味ある成績が出るのではないか、と考えている」(日本医事新報45・8・22日号)。
     と結んであるが何とも気味の悪いことではないか。


8. 乳児栄養のこと

     医学博士 遠藤 仁郎 

     乳児は、からだのはたらきがすべてまだ幼稚であり、不完全。しかも発育はきわめてさかん。
     そこで、もっとも完全な食が必要。
     自然の完全食は健康な母乳。しかも生母の乳。
     生母の乳は生児の消化能にうまく適応している。
     産後の初乳は脂肪にとみ、緩下作用があって、胎便を排出する。
     ついで、生児のよわい消化力に相応したうすい乳が出、しだいに濃厚になる。
     また、各種の抗体があり感染を防ぐ面でも大切(人工乳でも発育はよいが、死亡率は母乳の2・5〜3倍)。乳の十分な分泌と質的の完璧をはかるべきはいうまでもないが、それは一にその母体の食べ方による。穀食に傾いていた従来の邦人の乳が、欧米人のそれに比べ、蛋白質や脂肪が少いのは当然だろうが、それにもまして乏しいのはミネラルやビタミン類だ。
     したがって、ただ蛋白質や脂肪を増すだけでなく、必ず同時にミネラル・ビタミンにとむ良質緑葉を十分にとらなければならない。事実また、緑葉菜をとり、青汁をのめば乳の出はよくなるし、子供の発育もよくなる。

     乳の与え方
     いぜんはごく自然的に、ほしがれば与えるというやり方であったが、近頃は、まるで機械に燃料や潤滑油をさすように、キチンと時間をきめ、分量をきめることがはやっているようだ。
     しかし、赤坊とて一つの生きもの。厳格に機械的に扱うのはどうであろうか。
     時にとらわれず、空腹を訴えれば腹一杯に自由に飲ます。時には十分飢えさせもする。(泣くのは運動、泣く児はそだつ)で、よいのではなかろうか。
     外国でも、最近また、こういうやり方になっているとか(わが国のよいところをとったのだろう。こっちが向こうの粕を追っかけているあいだに)。

     赤坊に青汁
     ともかく、母親の食べものをまず完全にすることだが、それでも必ずしも理想通りにはゆかぬ。
     そこで、私どもは、なるべく早くから赤坊に青汁をのますべきだと考える。
     茶さじか箸につけてねぶらす程度なら、生れてからでもよい。
     1〜2週もたてば茶さじに半分か1杯くらい。少しも差支はない。
     もちろん純粋の青汁で砂糖など一切入れない。
     なれるにしたがい分量はふえ、半年もたてば、5勺や1合でも平気でのむようになる。
     そして、発育はよく、少々のことでは病気もしないし、してもすぐ治るといった、とても丈夫な子供にそだつ。
     人工栄養だと、その必要性はいっそう大きい。
     ふつう、牛乳があたえられるが、これも、牛の体質、年令、飼料によって成分は一様ではない。
     しかし、一般に母乳に比べ濃厚で、ことに蛋白質や脂肪にとんている。
     といって、うすめて用いれば、それだけ他の栄養素、とくにミネラル・ビタミンが不足になる。
     で、ミネラル・ビタミン源である野菜、ことに良質ナッパ(青汁)が必要なわけ。
     乳製品。加工により、いくぶん減ずる成分はあるが、大体において同様。
     なお、加糖品の多いことは特に注意すべきで、こうしたものの場合は、より多くの青汁をそえねばならぬ。
     それは、加糖により熱量は増すが、それだけにミネラル・ビタミンとのアンバランスが甚しくなるからだ。
     また、そうした甘い乳によって、子供が甘味になれてしまうこと。親たちには、砂糖がいかにも大切な栄養分であるかのごとき印象をあたえ、発育ざかりの子供には欠くべかざるもの、といった錯覚を生じ、食物は砂糖でおいしくせねばならず、お八つには菓子でなければならぬという、あやまった観念をうえつけてしまう恐れがあるからだ。
     穀粉栄養の場合は、白米または玄米だけでなく、麦、ソバなどの雑穀粉、あるいは芋粉(あるいはつぶし芋)、豆粉ことに大豆粉をあわせ利用すること。
     そして、十分の青汁を加えること。

     豆乳(大豆乳)
     青汁を加えた豆乳は、ことによい。
     いまでは、牛乳そのものの品質に、いささか疑問もあり(模造乳の混入、農薬の残留、防腐剤などの添加)、また、早くから与えることで牛乳アレルギーをおこす子供も少なくないので、私は、むしろ、これをすすめたい。


9. 乳歯の虫歯

     現在、子供たちの虫歯は非常に多い。
     昭和44年7月の調査で、5〜14才の虫歯(乳歯及び永久歯)は実に96.2%。
     永久歯だけでなく(同上5〜14才。85.7%)、乳歯もずいぶんやられている(同上5才未満57.2%)。
     しかも、この乳歯の虫歯は自覚症がないか、少いので、歯髄がやられ、痛が出るようになって、はじめて気づくことが多いので、とかく手遅れになりがち。
     その上、乳歯の虫歯は、永久歯にも悪い影響があるので、つとめて予防すべきだ。

    予防法として、
     なるべく早くから気をつけ、たびたび検査をうけること。歯の掃除を十分にすること。
     もっとも、これで果して確実に予防できるかどうか、甚だ心もとないのだが。
     その他、弗素を水道に入れたり、直接歯に塗るといった方法もあるが、やはり、根本は正しい、バランスのよくとれた食べ方。
     ナッパ・青汁を中心とした完全食、にある。
     赤坊に、なるべく早くから青汁をのますこと。
     歯が出てからは、野菜、果物を、よくかんで食べさせること。
     歯の清掃にもなり、歯を強くし、顎や顔面の発達をよくするためにも大切。
     そして間食には、糖分の強い菓子、ことに粘着性の菓子を避け、果物や野菜(ニンジン・ダイコン・キウリ・トマトなど)、あるいは、いり豆、乾し芋、スルメ、昆布など歯ごたえのあるもの。


10. しもやけする子

     初霜をすりつけると霜焼けせぬ、という。しかし、霜がおり出してからは、もうおそい。秋風のふきだす頃から、霜やけしやすいところを摩擦する。素手でも布でも、冷水摩擦ならなおよい。冷水(氷水)に浸けるか、熱水(やけどせぬ程度の)と交る交る浸ける。
     要するに、その部の血行をよくし、寒さにならすことだ。そして、食べ方を直す。
     まず砂糖をへらす。菓子をやめ、味つけの砂糖を出来るだけ少なくすること。
     白米飯やパンなど食べすぎないこと。野菜とくに良質ナッパをよく食べさせ、青汁をしっかり飲ますこと。


11. ここまできている運動不足 中学生の足ガクガク

    岡山の農村地帯
     【岡山】宿題に追われたり、テレビの見すぎから運動不足になり、ヒザの関節痛を訴える生徒が岡山県の農村地帯の中学校でふえていることがこのほど西大寺保健所の健康調査でわかった。歩いているうちに急にヒザの力が抜け、体育の授業にも影響するほど。京阪神にくらべると遊び場にめぐまれている農村地帯でのできごとだけに関係者はショックを受けている。
     集団的にヒザの関節痛を訴えたのは、岡山県邑久郡邑久町立邑久中学校(坂本忠校長)の生徒たち。同県西大寺保健所が昨年2月から実施した追跡調査によると、全校生徒499人のうち、ヒザの関節痛を訴えたのは2割弱の88人。うち43人は医師の治療を受けていた。そのほとんどは最近2年間に発生したもので、症状は歩いているとき急にヒザの力が抜けたり、ヒザがガクガクする―というもので、体育の授業を休む者も多い。
     同中学の校区は農村地帯。予想もしなかった生徒たちの“足の弱体化”現象に同保健所は岡山大医学部整形外科教室の協力を求めて原因を追究した。その結果、88人の生徒にはいずれも関節炎症はみられず、大腿四頭筋(ひざ関節を支える重要な筋肉)の力が弱くなっていたり、関節周囲の靭帯(じんたい)がゆるんでいることがわかった。宿題などの勉強に終われたり、テレビにかじりつきすぎて戸外で遊ぶ機会が少なくなり、極端な運動不足かららしいという。
     そこで、学校側は同保健所などの指導でヒザ関節に最も影響がある大腿四頭筋の強化訓練を実施した。訓練は踏み台を使うだけの簡単な“テレビ体操”のようなもので、体育の時間などを利用して毎日欠かさず1分間の訓練を約2ヵ月間にわたって反復させたところ、ヒザ痛を訴えていた女生徒21人のうち19人は痛みもとれて回復、残り2人の痛みもほとんどなくなった。
     ヒザ関節筋力の測定でも訓練後は大部分の生徒が健康な状態に回復したという。こうしたヒザ関節の異常を訴える生徒は同校以外にも広がる傾向にあり、学校の体育クラブ活動を敬遠したり、家から学校までの通学距離の短い生徒に多いことから、同保健所では、体育クラブ活動や野外での遊びの普及で“歩け歩け運動”を活発化して足腰をきたえ、こどもたちの健康管理に注意するよう呼びかけている。


    都会っ子にも多いはず
    岡山大学医学部整形外科教室の高取正昭講師の話
     「ヒザ痛のもとになる大腿四頭筋は、ヒザ関節をささえる重要な筋肉で、最近は11歳から14歳くらいの小中学生の間で、運動不足からヒザ痛を訴えるケースがふえている。こんどの場合もその一つの例で、運動不足から筋肉が弱くなり、関節の骨などとのバランスが原因だ。リューマチなどの炎症性のものではなく、おそらく都会のこどもたちの間にもひろがっているのではないか。なおすには適当なトレーニングが必要で、小、中学校の体育の時間などにはこの面にも十分配慮すべきだ」

    (47・5・18 サンケイ)


12. 子供の健康と食べもの

     医学博士 遠藤 仁郎 

     子供たちは、すくすくと丈夫にそだち、頭脳がすぐれ、辛棒づよく、将来、世の中のために役にたつ立派な人間になってほしい。幼稚園から小学校は、その基礎がため、土台つくりの大切な時。からだや心を丈夫にするには、運動と、暑さ寒さにたいする鍛錬が必要だが、基本になるものは、十分の、そして正しい栄養。
    親の正しい理解が根本

       子供は親の真似をする。子供の食習慣は両親の(あるいは家族の)食べ方によってきまる。離乳期ごろの幼児は、自然の動物と同様、正しい本能といったものをもっているが、それが、ゆがめられ、まちがって来るのは親のせい。
       したがって、子供が弱いのは、親の責任だともいえる。もっとも、今では、外からの、ことにマスコミ(テレビその他)の影響が大きい。それだけに、よほど親がしっかりしていなければ、ふりまわされ、おしまくられてしまう。
       いずれにしても、食にたいする親の正しい理解が根本の要件といえよう。

    少なくとも二つの間違いがある

       さて、現在の一般の食べ方には、少なくとも二つのまちがいがある。
       その一つは栄養のみだれであり、もう一つは危険な食品の氾濫(また食品そのものの質的低下も)。
       これは、熱量・蛋白質偏重のまちがった栄養知識が支配的で、とかく穀・肉・糖食にかたむき、熱量・蛋白質にたいし、ミネラル・ビタミン類の不足を招く結果となっているためで、その傾向は子供たちにとくに著しい。
       これは、まず、改められねばならぬ。
       しかし、たとえバランスはうまくとれているとしても、食品そのものが有害・有毒であっては、とても本当の健康はのぞめない。しかも、それらの害毒の影響は幼弱なものほど甚しいから、子供たちの食べものはできるだけ安全なもの―有害・有毒な薬品(農・畜・水産薬)や工場・鉱山の廃棄物などに汚染されていない、また、貯蔵・加工食品では危険な添加物のおそれのないものでありたい。
       そこで、一つ一つの食品については、栄養素のあり方だけでなく、安全性の点についても、つねに十分の注意が払われねばならぬわけだ。

    子供たちの好くもの

       この観点から、子供たちの好んで食べるものについて考えてみよう。

        主食  いぜんは白米飯が主だったが、今はパンが多くなっている。しかし、そのいずれにしても、かなり食べすぎている。
         なお、白米は栄養的に劣っているだけでなく、残留農薬がまだいくらか気がかりだし、パンは漂白によるビタミン破壊や、漂白剤の残留の懸念がないではない。
         また、間食にも好まれているインスタントラーメンのごときは、むしろ危険な食品ともいいたいもの。
        蛋白食  肉や魚、卵・乳。また、ことにそれらの加工品。ハム・ソーセージ・ベーコン・チーズなどが好まれる。蛋白質の多くなったことは確かによいことだろうが、残留する畜・水産用薬剤や、貯蔵・加工用の添加薬品には、発癌性のもの、その他有害なものが少なくない。
         また、血液コレステロールを増し、動脈硬化をまねく牛・豚肉の脂肪、乳脂(クリーム)、バター、マーガリンのとり方も多くなっている。
        味つけ  一般に濃厚。食塩には高血圧や胃癌との、砂糖には肥満、そして、ともに後の成人病との関係がいわれている。
        間食  チョコレートをはじめ、甘味の強い菓子が多い(砂糖のほか、色素その他の添加物の害がさけられない)。氷菓・ジュース類、また同じ。コーヒーには、発癌性や動脈硬化促進性がいわれている。
         茶にはそうしたおそれはないし、弗素が多いので虫歯予防に役立つかも知れないから、番茶や煎茶はもちろん、紅茶も砂糖ぬきならば、コーヒーよりはずっとましといえよう。
        コーラ  子供たちの大好物になっているようだが、成分的にも、また添加物(着色料その他)にも種々疑問の多い飲みもの。
         子供にあたえているのは日本だけで、欧米先進国では子供の飲むべきものではないとされているという。
        果物・野菜  くだものはいくらか食べるが、野菜は一般に好まれず、ことにナッパ類はきらわれる。しかも、農薬汚染の危険がないとはいえない。
         いずれにしても、熱量や蛋白質は十分に、いや、むしろ多すぎるほどだが、これに釣り合わねばならないミネラルやビタミンは不足がち。
         そのうえ、加工食品や出来あい食品(インスタントもの)が好まれるため、各種有害添加物の危険も少なくない。
    からだだけは大きくなったが

       その結果、子供たちのからだは大きくなった。
       正しくは丈が高くなったが、胸囲はせまく、体重は比較的に少ない。
       つまり、ひょろ長が体格か、あるいは、むやみにふとって来た。いや、ふとりすぎて来た。しかし、体力的にはむしろ低下し、学力もあまり向上してはいないようだ。
       たしかに小利巧にはなったが、落ついてじっくり勉強にとり組めない。わがままで気短か。疳癪もち。忍耐力に乏しく頑張り根性がない。
       自殺、ノイローゼ、麻薬耽溺、精神病の下地がここにつくり上げられている。
       そして病弱児も多くなった。虫歯がすごい。44年5月の調査によると、5才まで乳歯で57.2%
       5〜14才乳歯・永久歯ともで96.2%。
       近視も多い。リウマチがふえ、僅かな運動で急死するような子供も少なくない。アレルギー性のかぶれやすい児。気管支炎や喘息児も多くなった(公害のせいも与っているだろうが)。
       もとは大人の病気だった虫垂炎、胃潰瘍、糖尿病の子供も少なくないし、中高校生には高血圧・脳卒中・心筋梗塞さえも出はじめている。
       癌もふえた。事故死についで多い子供の死亡原因は白血病その他の小児癌だ。
       こうしたことは、子供たちの体質が悪くなり、また、成人や老人の病気が現われだした、つまり、老化現象がはやくも出はじめていることを示すもののような気がする。
       そして、そのよって来るところは、運動や鍛錬の不足のためもあろうが、主として、食のみだれ、バランスのわるい不完全食であることや、有害有毒食品の影響としかかんがえられない。
    どうすればよいか

       それには、つとめて自然の安全な食品にすることと、なるべくミネラル・ビタミンにとむものを多くとること。
       主食には、精製米麦をさけ、雑穀、豆、芋を混食し、食べすぎないこと。
       蛋白食には、肉や卵類だけでなく、小魚・大豆も利用。調理は簡単に、なるべく自然のままか、自然にちかいかたちで食べること。
       調味はうすく。間食には、果物・野菜(人参・大根・キウリ・トマトなど)。干し芋、いり豆、昆布、スルメ、貝の干物など、ということになろう。
       しかし、もっとも肝腎なことは、何といっても、良質ナッパを十分に、しかもなるべく多くを生で食べ、青汁にもして飲むことだ。
       栄養のバランスをとるためには、もちろん、薬剤による方法がないではない(強化食、ミネラル、ビタミン剤)。

       しかし、科学はまだ未完成。栄養についてもわかっていることはごく一部分。未知のものはいっぱいある。そこで、わかっているものだけしか補うことのできない薬にたよっていては、とうてい必要な栄養素の全部を完全にみたすことはできない。
       どうしても、自然の食べものにもとめるほかはない。
       さて、自然の食べもののうちで、すべての栄養素の完備しているもの、つまり、それだけ食べていればそれでよい(完全食品)というものには良質ナッパだけ。
       そこで、何を食べるにしても、必ず良質ナッパがそえられなければ完全食にはならぬ(その程度はまちまちだが)わけだし、青汁を十分に利用すれば、簡単にバランスのよくとれた食とすることが出来るわけだ。
       もちろん、材料ナッパは良質であるだけでなく、安全無毒性でなければならぬし、その潤沢な供給が先決問題だ。

    実行させることができるか

       しかし、はたして子供たちが食べるだろうか。
       心配される向きもあろう。だが、心配は無用。案ずるよりは生むがやすい。ともかくやってみることだ。
       但し、子供だけにおしつけては絶対にだめ。かならず、家内中そろって、ことに親たちが率先して、食べ方の全面的建直しに、真剣にとり組むことだ。
       食構成、調理、調味もとより、食べる順序にも、まずいもの・きらいなものを先にし、うまいもの・好きなものを後から食べるなど、工夫すること。
       それで、もし、食べなければ、食べるようになるまで食べささない。
       きびしい折檻のようだが、今はあまりに甘やかされすぎている。といって悪ければ、親が心配しすぎでいる(過保護)。子供は大事な躾けの時だ。2〜3日くらいの絶食で死ぬことは勿論、病気するものでもない。腹がへれば何でも食べられる。
       それはともかく、少々乱暴すぎるくらいに扱わなければ、本当の健康体につくり上げることはできない。
       「健康になるためには、はげしすぎるということはない」、といわれている通りだ。
    せめて青汁だけでも

       それも出来なければ、せめて青汁だけでも飲ます。
       青汁は大量の生ナッパを食べる方便(1合の青汁はナッパ250グラムにあたる)。鼻をつまみ、目をつぶってでも、ともかく毎日飲むくせをつける。
       そのうち、からだの調子が変って来て、何でもおいしくなるから、ナッパでも、味のうすいものでも、豆でも芋でもよろこんで食べるようになる。

    たとえば偏食児

       弱い子供には偏食児が多い。
       偏食の原因は色々あろうが、食べ方のあやまりもその一つ。
       偏食のために不健康となり、好き嫌いがひどくなる。
       食べねば悪かろうと心配して機嫌をとり、気に入るもの(ご馳走、お菓子)ばかり食べさせ、いやが上に偏食をつのらせる、という悪循環をくりかえす。
       この悪循環を断ち切るのに、もっとも簡単なのは、菓子をやめ、味つけの砂糖をへらして、青汁を飲ますことだ。
       こうやっているうちに、しだいに、何でも食べられるようになり、元気づき、顔色がよくなり、からだはしまって来る。
       勉強にも精が出だし、学業の成績も上って来る。
       も一つ面白いことに、怪我をしなくなる。運動能力が増すと同時に、落ついて沈着に行動するようになるからであろう。このことは、交通事故による子供の犠牲の多い折柄、、注目すべきことではあるまいか。
       しかし青汁はうまいものではない。ことに甘い菓子の味を覚えた子供たちに飲ますことが仲々むずかしい。こういう子供たちに残されたチャンスは、先生や友達と一緒に集団で飲む幼稚園や学校での青汁給食だ。
    もっと早く赤坊の時から

       それよりもなおたやすいのは、赤坊の時から飲ますこと。
       分量しだいでは、生後すぐからでもよい。
       しだいに増してゆけば、やがて5勺や1合でも平気で飲むようになり、大好物になる。本能ともいえるものらしい。
       発育がよく、病気せず、「いじ」がよく、いたって育てよいとは、これを実行している母親たちの一致したよろこびの声だ。
       なお、いわゆる成人病の下地は、ふつう考えられているよりは、ずっと早くから始まるものなので、その予防についても、なるべく早くから心懸くべきだといわれている。
       ながい将来のためにも、幼い時から正しい食べ方をよく理解させておきたいものだ。

    (45・8)


13. 乳幼児食の食塩

     医学博士 遠藤 仁郎 

     乳児に多量の食塩をあたえると、腫れたり熱が出ることがあるので、ドイツでは、以前から、生後1ヶ年間の食べものには食塩を入れないのが例になっている。しかし、牛乳の食塩量は母乳より多いので、牛乳栄養児では、母乳栄養児より2倍も多くの食塩をとっている。
     また、現在のドイツ製の乳製品や離乳食の野菜粥、果物、穀製品にも、大なり小なり食塩が加えられており、ふつう(食塩の入れてない)の乳児食にくらべ、2〜3倍になっている。
     アメリカ製品だと、もっと多い。そこで、ドイツの家庭の幼児食で4.3グラム、10〜12才児で7.3グラムの食塩をとっており、保育所・幼稚園・学校などの給食では、もっと多い。
     そして、これらの幼児食を数ヶ月間あたえた幼若ラットの実験では、対照(食塩の少ない食をあたえた)にくらべ、ずっと多くの高血圧があらわれ、死亡率も高かった、というデータが出ている。
     いままでのところ、この程度の食塩が、はたして、乳幼児にとって有害かどうか、まだ何ともいえないけれども、それがはっきりするまでは、乳幼児食には食塩を加えないほうがよかろう(Droese S.D.M.W.7.Jul.1972)というのである。

     これは、ドイツでの話だが、わが国でも、おそらく同じ、いや、もっと多量の食塩が入れてあるのではなかろうか。
     さて、この食塩添加だが、いわば、これは、乳幼児たちの自然の味覚を無視して、母親たちやメーカーの舌で加減したもの。というのは、母乳の中の食塩はごく少ないし(いちど舐めてごらんなさい、いかにも水くさい)、幼児たちは、その食べものに食塩を加えても加えなくても、同じによく食べるのだ。
     だのに、さぞかし、これではまずかろうと、母親やメーカーの思いやりから食塩が加えられているのだが、これは、全くいらぬおせっかい、といったものだとD氏らは指摘している。
     つまり、乳児や幼児が、この、まずい、水くさいものを好んで食べるのは、それが、かれら乳児たちのもっている本能的の、自然の味覚だからで、それを、ゆがめてしまうのは大人たちだ、というわけだ。(甘味についても同じことがいえよう)それにつけても、私どもは、この、乳幼児たちの自然の味覚を、もっともっと大切にしてやらなければ、とつくづく思う。

    (47・9)


14. よわい子に丈夫な子

     シカゴ在住の娘、御会のお説のとおり、完全母乳で育て、いまのところ(生後6ヶ月)コリコリのかた太りで、成功いたしております。あちらでは珍らしいか、映画に出演したとのこと。主にヨーロッパへ輸出だが、日本へも行くかも知れぬ、と申して来ました。よわい親に丈夫な子。ありがとうございました。


15. 交通事故

     医学博士 遠藤 仁郎 

     子供の事故が大変多い(子供の死因の第一は不慮の事故)。
     車の激増、絶えない無暴運転(無免許、飲酒その他)のいたましい犠牲には相違ないが、あるいは、子供たちの側にも、自然にやしなわれている筈の自衛能といったものに、何か欠陥があるのではないか、と感じられないでもない。
     それは、終日テレビや本にかじりついていて、運動しないこと。
     また、敏捷な動作や巧妙な動作を要する遊戯の機会が少ないため、機敏な動作になれていないことにもよるのかも知れない。
     しかしいま一つには、一般に落つきがなくなり、いつも、イライラしているためではあるまいか。

    カルシウム不足
     その原因にもいろいろあろうが、その一つとしてカルシウムの欠乏がいわれている。
     子供たちの食べものは、主食の米飯やパンにしても、とくに好んで食べる肉類にしても、ともにカルシウムは少なく、酸性度は強い(酸性度が強いとカルシウムの利用が悪くなる)。
     全体食べられる小魚類、乳製品、良質緑葉菜類はカルシウムにとんでいるが、とり方が十分でない。
     間食には甘味のつよい菓子が多いし、味つけの砂糖もよくつかわれるが、いずれも、カルシウムは少ないか無いうえに、酸性がつよい。そこで、一般にカルシウム不足に陥り、その結果、神経や精神の興奮性がたかまり、反応性が強まって、イライラして落ちつきがなくなる、というのだ。
     しかし、それならば、カルシウム剤をあたえれば(内服か注射で)よい筈だが、それだけでは効果がないところから見ると、どうも、ほかにも、何か、これに関係するものが、まだまだあるようだ。

    漂白剤
     このごろの子供は、よくパンを食べる。が、いまのパンは真白く漂白した粉でつくられている。
     こういうパンを犬にあたえると、漂白剤の種類によっては、落ちつきがなくなり暴れまわるようになるという(犬のヒステリー)。
     こういう漂白剤が、もしつかわれているとしたら(おそらく、無いこととは思うが)、あるいは、子供たちのイライラと関係があるかも知れない。

    青汁給食でケガが減る
     ずっと前のことだが、青汁給食小学校の校長先生の坐談会で、
     「青汁をのませはじめてから、子供たちがケガをしなくなった」
     という話が出たことがある。
     これは、青汁で、子供たちの栄養が完全か、完全にちかくなり、神経や精神の興奮性が鎮まり、落ちつきが出、イライラしなくなること(学業の成績も上る)、および、体調の好転とともに、動作が機敏かつ巧妙になる、ことをしめすものではないだろうか。

    食品添加物
     ところで、さいきんアメリカでは「過運動症」の子供がふえている、という。過運動症というのは、家でも学校でも、少しも落つかず、暴れまわり、勉強しない、といったぐあいで、家族や学校当局はもとより、専門医のあいだでも、すっかりもてあましていた。
     それが、添加物を除いた食事によって、しだいに平静になり、勉強もするようになること、そして、添加物のある食事にもどると、たちまち、また悪化すること、がわかった(別項参照)。
     欧米先進国では、一人あたり1年間に食べている(いや食べさされている)添加物の量は、いうに1キロ以上になっているそうだが、西洋人のやることは、何でも真似、しかも、度はずれにやりすぎる、少々おめでたい国柄だけに、わが国の添加物の量は、おそらく同様、ないしは、より以上にもなっているのではないだろうか。
     しかも、子供たちは、そうした添加物の多いインスタントものを好んで食べる傾向があるので、子供たちが落つかず、いつもイライラして、事故をおこしやすくなっていることと、かかわり合いが無いとはいいきれないのではないか。
     それはともかく、食のみだれのあまりにも甚しい今日、ただ青汁による食の完全化だけでなく、それとともに、食の自然化をはかり、添加物その他の害を除くよう心がければ、子供たちのイライラを減らし、落つきをとりもどし、事故を無くすることにも、いっそう効果があるのではあるまいか。

    (48・10)


16. 食べものがつまって窒息しそうなとき

     アメリカでは、毎日、10人くらい食べものをつまらせて死ぬものがあるそうだが、ドクターHeimlichは、次のような簡単な方法で助けることができると、発表している。
     患者がおきていれば、後から、両腕で腰(バンドの高さで)を抱き、一方の手で他方の手頚をしっかりにぎりしめ、患者を前にたおして、強くしぼりあげる。
     うつ伏せになっていれば臀部、あお向きになっていれば股にまたがり、両手を重ねて、強くおす。
     肺には、いつもいくらかの空気がのこっているので、横隔膜を下から強くおし上げると、この空気が圧搾され、つまったものが、シャンパンの種をぬくように、とび出る、という。

    (Medical News,JAMA,1974.8.12.)


17. 乳児にはまず母乳をつぎに青汁を(その一)

     友成 左近 

    造物主の手を出る時は凡ての物が善であるが、
    人間の手に移されると凡ての物が悪くなってしまう。
     ルソーの教育小説「エミール」冒頭の一句で、その全編をつらぬいている中心思想ですが、わが国の教育には、とくに最近20年間、これを地でいっているようなところがあり、それは育児、わけてもその栄養面についても同様であって、ために病弱な乳幼児が目立って多くなっています。
     そこで青汁仲間では、その是正を、早くから標題のように提唱しています。

    病弱化の最大原因はまず第一に母乳軽視
     病弱な乳幼児が最近目立って多くなったのは、まず第一に、ここ数年前から母乳運動が推進されているように、新生児の当初から粉ミルクに依存して、母乳を軽視する場合が著しく多くなったことです。
     (なおもうひとつ、病弱になる素地をもって生まれる場合も多くなっているのですが、その最大原因は、母親の食物に、妊娠前はもとより妊娠してからも間違ったところが多いため、胎児の発育に必要な栄養が著しく不完全であるうえに、有害有毒物も少なくないことです。が、この食改善については、まだ母乳運動のように目立ったものがみあたらないようです。)
     というのは、乳児の健康な発育に必要な栄養には、母乳が唯一最適であるだけでなく必要不可欠であって、粉ミルクでは、母乳化などといって、どんなに改良したものでも、母乳わけても初乳の代用は不可能であるからです。
     従って、粉ミルクに依存すれば、それも新生児の当初から依存し、そしてその度合が多ければ多いほど、健康な発育が妨げられ、わけても種々の病因に対する抵抗力がついてこないのです。
     ために下痢、発熱、しっしん、便秘、嘔吐その他いろいろな病気にかかりやすく、死亡率も母乳栄養児より数倍も高くなっています。
     そしてこの病弱化は、その後の養育では容易に取り返せないのです。

    粉ミルクが母乳代用不可能なのは
     では粉ミルクが、どんな点で母乳代用が不可能なのか、
     まず第一に、母乳わけても初乳には各種の病原菌に対する免疫が格別多いのですが、粉ミルクにはこの重要な成分が全く欠けています。ために大腸菌などにも感染して、ひどい下痢にかかる場合が多いのです。
     第二に、母乳は各種の成分がうまくそろった最も完全な栄養食ですが、粉ミルクは、どんなに改良したものでも、あれこれと成分が不足しているうえに、各成分が量的にも不調和です。わけても糖分を多量に添加しているので、とかく肥満体になりやすく、また甘味が好きになって味覚の正常な発達が妨げられます。
     (なお、この点について母親に大切なことは、妊娠中に必ず母乳を味わって、これより甘いもの塩からいものは健康な発育の妨げになると共に、味覚の正常的確な発達も妨げられるのだと、その基準を心得ておくことです。)
     第三に、母乳の各成分は組成の点からも、また生のままである点からも、まだ発達していない乳児の消化器で、すべてうまく消化吸収するのですが、粉ミルクはこの点著しく劣っています。わけても蛋白質が、母乳と組成が異なっているので、未消化のまま吸収されて厄介なアレルギー体質になることがあります。
     第四に、母乳は格別の事由がない限り最も安全なものですが、粉ミルクは、かつて砒素中毒その他の事故を引き起こしているように、乳牛飼育や粉ミルク加工で思わぬ有害有毒物がはいっていることがあるかも知れません。
     (なお人によっては、母乳にPCBなどが残留しているからといって粉ミルクに依存していますが、この粉ミルクにも同様に残留していることを忘れた愚かなことであって、そこで大切なことは、必ず母乳で育てるのだと、妊娠中から食物をよく吟味して、有害有毒物は極力食べこまないようにすることです。)
     このほか母乳は、粉ミルクのように調乳や用器の消毒などの手数がかからず、必要に応じて、いつでも清潔に授乳することができます。また母乳を十分出すための食費などは、粉ミルク代よりケタちがいに少なく、さらに母乳をのませていると、母体の回復が順調にいきます。
     もうひとつ、母乳をのませることで、母乳も乳児も精神的社会的に健全に成長します。

    粉ミルク依存は栄養という自然の理法に違反
     にもかかわらず、粉ミルクに依存して母乳を軽視する人が多くなったのは、戦後わが国の経済が回復成長して生活水準が向上し、まだ医療も進歩普及するにつれて(そして今のところ乳幼児死亡率は低下していますが)急増していることから、そこにいろいろな事由があげられましょう。
     が、その基調は、この生活水準向上や医療進歩の主要条件であった科学技術の無分別な過信誤用であって、市場に流通してくる企業の加工製品がすばらしく、これを使うのが文化的であり、そして乳児は、大企業が科学技術を駆使して製造した粉ミルクで育てるのが文化的で、母乳などで育てるのは時代後れである、いった考え方です。
     けれども、乳児が発育する生理栄養には、科学技術では操作できない自然の厳然とした理法があり、それに最も適合しているのが、出産と共に必ず自然に出てくる母乳であって、この母乳で乳児を育てるのが、その生理栄養の理法に副ったマトモな育て方です。
     けれども粉ミルクは、もともと仔牛のための牛乳であって、(ふつうの食物としては最も優れたものではあっても)しょせん乳児の生理栄養には不自然なものであり、母乳化などといって、どんなに改良したものでも、とうてい母乳に代われるものではありません。
     それに、科学技術には方法上きびしい限界があるうえに、製品化には企業経営上きびしい制約があるので、なおさらです。従って、こんな粉ミルクに依存して母乳を軽視するのは、乳児栄養の理法に違反していることであって、病弱化するのはその当然の帰給です。

    乳児にはまずぜひ母乳をそれも必ず初乳から
     そこで乳児には、とくに新生児の間は母乳だけを、それも必ず初乳からのませることが肝要です。
     そして、少なくとも2ヶ月いな3ヶ月間は必ず母乳をのませて(次稿でみるように青汁で栄養補足はするが)粉ミルクなどはのまさないこと、さらにその後も8ヶ月ないし10ヶ月ころまでは、なお母乳をのませながら補食して、その間に離乳の準備をすることが大切です。
     というと、母乳がうまく出てこないときは、という人があるかも知れませんが、それは(まれにはあるでしょうが)本当に出てこないのではなく、妊娠中もさることながら、とくに出産後に栄養その他の手当を怠ると共に、ぜひ初乳からと本気になってのませないからです。
     もうひとつ、労働条件その他で前記のような母乳哺育が困難な場合がありますが、そんな場合、最初からできないと決めてかかるのではなく、できるだけ前記に近づけるように最善の工夫と努力をすると共に、その改正を社会的政治的に推進することが大切です。
     なお余談ながら、婚約、結婚、妊娠した方には、こうした母乳栄養をすすめると共に、お祝いのひとつに適切な手引書(たとえば松村龍雄著・光文社発行「母乳主義」など)を贈ってはどうでしょうか。
    (つづく)


18. 予防接種事故

     医学博士 遠藤 仁郎 

     このごろ、幼児の予防接種でよく事故がおこる。
     かねて種痘は問題になっているし、さいきんは三種混合(百日咳・ジフテリー・破傷風)ワクチンの接種で死亡事故がおきた。
     そして、そのたびに接種そのものの是非が、やかましく論議される。

    ワクチンだけの責任か
     だが、多くの先人の血のにじむ苦心の末に開発された、そして、多くの貴い人命をまもって来た予防接種がムザムザ捨てられてよいものだろうか。
     あの、猛威をふるった天然痘も、いまは絶滅寸前(それも種痘の普及によって)。
     わが国でも、ここ20数年来、たまに海外からの侵入はあるが、国内での流行は絶無。
     しかし、種痘によっては年々幼い生命が奪われている。
     けれども、比較的近い所に常在流行地があるわが国では、断じて早急に廃止すべきではない。
     そこで、ワクチンの改良にたゆまぬ努力がはらわれ、今では、以前とは比較にならぬほどすぐれたものができている。
     それでも、副作用は絶えない。
     三種混合ワクチン事故でも、急拠おこなわれた検査の結果、ワクチンには異常が認められなかった、という。
     とすると、問題はむしろ接種をうける側、つまり、幼時の健康状態にあるのではないか。

    子供の健康状態
     いまの子供たちは、以前の子供にくらべ、体質的に劣って来ており、抵抗力がよわく、ものごとに感じやすくなっている。
     ために、以前には無かったか少なかった、少なくとも、あまり問題になるほどでなかった副作用が、今の子供には、強く出、また、多く出るようになっているのでないか、と考えなければなるまい。

    なぜそうなったか
     もし、そうだとすると、なぜそうなったのだろうか。
     それには、親からの遺伝的にうけつぐものもあろうが、妊娠中の母親の食べ方や、生後の栄養にも、大いに関係があるようだ。

    妊婦の食べ方
     妊娠中の栄養のいかんによって、胎児の発育に重大な影響のあることはよく知られているところだが、その欠陥(熱量・蛋白質偏重の不完全栄養、有害有毒食品の氾濫)によって、いずれかの組織や臓器に、何らかの異常を生じ、感じやすい体質(アレルギー性)に生れつくことも無いとはいえまい。

    乳幼児の栄養
     また、むかしから、子供の健康のために母乳栄養、ことに初乳の大切なことが強調されていたが、今では、大多数のものは、いきなり人工栄養になってしまっており、初乳をのまさないことも多いようだ。
     これが子供をひよわくし、ものごとに感じやすくなっているにちがいないことは、初乳をのますだけでもアレルギーが防がれる、という最近の学説からも明かであろう。
     さらに、幼児の食が、肉・卵食・糖食(菓子・味つけの砂糖の乱用)、精製穀(白米飯・白パン)に傾き、野菜(ことにナッパ類)、果物の乏しい、はなはだしく不完全(有害有毒食品も多い)食であることも、大いにあずかっていよう。

    過敏体質になった
     こうして、今の子供たちは、見かけだけはいかにも立派そうにそだっているが、もともとひ弱く、感じやすく(アレルギー性)なっている。
     そのため、いろいろの病気にかかりやすい。
     また、予防接種にたいしても、本当に健康な子供とはちがった反応(アレルギーというのはそういう意味の言葉)をおこし、時には生命にもかかわるような、はげしいことにもなりかねないからだになっているのであろう。

    体質をよくすること
     そこで、対策としては、ただ末梢的な小手先の措置に終始せず、まず、子供の体質をよくすること。
     そのためには、妊婦・産婦の食を合理化し自然化し、(緑葉食・青汁を中心とした安全・完全食)、本当に健康な子供をうむこと。
     そして、初乳からはじめて、母乳栄養をつづけ、離乳後も、つねに、同様の安全かつ完全な食をあたえることだ。
     そうすれば、かならずや、頑健そのものの健康児とすることができよう。
     そして、予防接種は、何の心配もなくいつでもでき、大騒ぎになるなどといったことは、万が一にもおこることはあるまい。

     (50・2)


19. 乳児にはまず母乳をつぎに青汁を(その二)

     友成 左近 

     乳児には、新生児の当初から母乳を、それも必ず初乳からのませて育て、少なくとも2ヶ月いな3ヶ月間は粉ミルクに依存しないことが肝要です。

    母子ともども生きた体の自然の理法に副ったこと
     というのは前稿でみたように、出産すれば必ず自然に母乳が出てくるので(うまく出てこないのは、母親が食物その他で生理栄養の理法に副わないことをしているからで)、まず、この母乳で乳児を育てるのが、母子ともども生きた体の厳然とした自然の理法に副い従ったことであるからであって、そうして初めて乳児は健康に発育します。
     そして、事実、古来まだ科学技術の発達していなかった時代から、人類ひとしくこうした育て方をしているのであって、最近進歩してきた科学によっても、乳児の健康な発育には母乳が唯一適切であるだけでなく必要不可欠なのです。
     すなわち母乳は、とくに初乳には各種の病原菌に対する免疫が格別多く、また各種の成分が最もよくそろっているうえに、まだ発達していない乳児の消化器でうまく消化吸収します。
     それに、哺乳の手数も経費も最少ですみ、また母乳をのませていると、母体の回復が順調にすすみ、そのうえ母子ともども精神的にも健全に成長します。
     けれども粉ミルクは、もともと仔牛を育てる牛乳を加工したものであって、(この牛乳は、ふつうの食物としては最も優れたものであっても)しょせん乳児の生理栄養には不自然なところがあります。
     従って、母乳化などといって、どんなに改良したものでも、免疫性の点からも成分の調和と消化吸収の点からも、母乳の代用は不可能であって、これに依存して母乳を軽視すれば、乳児はとうてい健康には発育せず、程度の差こそあれ病弱化することはまぬがれません。

    母乳の栄養補足には青汁が最も有効適切
     ところで、この母乳も、母親が食物その他にどんなに気をつけても、栄養上完全無欠なものではなく、鉄や銅といったミネラルが不足しています(そのため乳児は、これを肝臓に貯えて出生します)。
     また、どんなに気をつけても、実状そこには限度があり間違いもあるので(その第一は良質青野菜の不足で)、母乳には、さらにあれこれと成分が不足するようになり、それは主として各種のミネラルとビタミンです。
     従って、母乳がどんなに沢山出ていても、こうした不足分を早期に補足しないと、乳児は健康に発育しないようになります(鉄などは6ヶ月もすぎれば貯えがなくなるので貧血するようになります)。
     また、乳児が成長するにつれて、母乳だけでは、どんなに沢山出ていても栄養総量が不足するので、それ相応に補食し、やがては離乳しなければなりません。
     そこで、まずこの栄養補足には、そうした不足分が豊富であるうえに、その他の成分もすべてうまくそろっており、そして、まだ発達していない乳児の消化器にかなうものであることが肝要ですが、そうした条件を最高度に備えているのは唯一つ青汁です。
     また、その後の補食にも離乳後の食物にも、それ相当量の良質青野菜が必要不可欠であり、青汁はその最も有効な食べ方です。
     というと、あんなまずい青汁ではなく果汁で、と思う方が多いでしょうが、それはトンダ思い違いです。
     まず栄養面については、母乳の不足成分を十分補足するには、食品成分表をみれば分かる通り、果物の汁では不十分であって、野菜それも良質青野菜の汁でなければなりません。
     つぎに好みの面については、あんなまずい青汁、というのは、乳児ではなく母親の好みであって、この好みは、もともと栄養という自然の理法に副っていた生来本有の食欲が、生後の生活で社会心理的に着色し変質もして、栄養の理法にはあれこれと副わなくなっているものです。
     そこで肝要なことは、乳児の生来本有の食欲がマトモに発達して、栄養の理法に副ったものが好きになるように育てることであり、母親の好み通りに育てないことです。
     そしてそれには、母乳についで青汁をのませることが最も友好適切であって、それは、青野菜が栄養の理法に副った食物として必要不可欠のものであるからであり、どんな民族でも、その他の食物はそれぞれ異なってはいるが、青野菜だけは共通して必ず食べている通りです。
     そして、これを青汁にすれば、まだ発達していない乳児の消化器にうまくかなうからです。
     そして事実、母乳についで青汁をのませて(そしてその後の補食にも、母親の好みでなく、本当に栄養上優れたものを食べさせて)育てた乳児は、シンから丈夫に育っているだけでなく、そうした優れたものを好んで食べ、劣ったものは(その第一は甘いもの)そう好んでは食べないようになっています。
     そしてこれは、その後の健康な成長の重要な土台です。

    青汁の飲ませ方
     そこで、この青汁の飲ませ方ですが、なにぶん乳児の消化器はまだ発達しておらず、母乳以外は湯さましだけしか飲ませていないので、格別慎重にしなければなりません。
     で、まず材料には必ず安全清浄なものを使い、作り方や飲ませ方の清潔にもトクと注意すると共に、消化器の発達に副って、ごく少量ずつ飲ませて馴らせながら、だんだんと増量することが大切であって、その目安はつぎの通りです。
     まず、飲ませ始める時期は、一時減少していた体重が出生当初より増加し始めたころであって、生後2、3週間ごろです。
     が、全く未経験で心配であれば、もう少し後にしても時期おくれにはなりませんが、おそくも2ヶ月までには飲ませ始めることが大切です。
    (なおそれまで、特別の事情がない限り、母乳と湯さまし以外はなにも、わけても甘いものは飲ませないことが大切です。)
     つぎに、初めて飲ませる分量は、日にほんの一滴、ハシか小サジの先をぬらす程度のごく少量であって、これを直接なめさせるか、湯さましにまぜて飲ませます。
     そして、2、3日続けて、便その他に異状がなければ、2、3日単位に1滴ずつ増量していきます。
     そして、生後3ヶ月ごろには、日に小サジ4杯(20ml)以上になるようにして、一度にでもよし何度かに分けてもよし、そのままでもよし湯さましにまぜてもよし、とにかく毎日飲ませること、さらに6ヶ月ごろには40ml、1ヶ年ごろには100ml以上にすることが大切です。
     なお念のため、生の青汁が材料の手当その他で使えない場合は、乾燥青汁を(小サジ山盛り1杯8gが生の青汁100mlと換算して)利用することができます。
     が、いずれにしても、青汁はまずかろうと余計な心配をして、(湯さましにまぜて薄めるのは適切ですが)果汁は加えない方が望ましく、甘味料などは決して加えないことが大切です。
     もうひとつ余談ながら、とくに婚約、結婚、妊娠した方には、お互い、こうした青汁の活用をすすめると共に、お祝いのひとつに、前稿で付記した母乳栄養の手引書に加えて、遠藤先生の「青汁読本」や「青汁と健康」などを贈ってはどうでしょうか。

    (おわり)




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