健康と青汁タイトル小
 食品の発癌・制癌性インデックス
 食品の発癌・制癌性(1)


 食品の発癌・制癌性(2)
 食品の発癌・制癌性(3)


1. 発ガン物質あれこれ

     ドイツ生まれで米国公衆衛生局癌研究部のヒューパー博士は、30年前から発癌物質カルシノーゼンの研究に没頭している専門家であるが、その説によるとタバコはともかく、空気汚染は確かに癌発生因子の一つであり、また重視すべきは食物、化粧品、薬物であると力説する。
     このうち食物については特にパン、ひき肉にはポリオキシエチレン・ステアレートをふくみ、これが発癌因子で、ラットの実験から膀胱癌が認められ、またバターやマーガリンに加えられる黄色色素のベーター・ナフチラミン誘導体も同様で、この色素は口紅にも使われ、くちびるから体内に浸透して発癌因子となるという。
     さらに女性ホルモン剤エストローゼンも動物に癌を起させ、婦人には乱癌の原因となると主張するのを裏づけるように、米国医師協会誌の編集者タルボット博士もその誌上で、アミノトリアゾール色素で色づけられたキャンディーや野菜類は発癌物質と警告している。

    (Newsweek Jan.11,’60)



2. わけがわからんです

    “食品”部門は秘密会

     国際ガン学会議は9日午後1時半から東京帝国ホテルで開会式を行なったのち、第一日の会議にはいり「地理病理学からみた胃ガン」「対ガン」「食品添加物」の3部門が討議された。とくにパリ大学トルオー教授が座長をつとめた食品添加物部門では討議の内容については一切外部に発表しない、という申し合わせをし注目された。

       これはジュース、バターをはじめ、あらゆる食品に使われる色素、防腐、増量、漂白剤などがガンをつくる原因物質になるおそれがあるので、対ガン連合ではこの問題を正式にとりあげ、食品関係者に勧告を出すことになっていた。しかし、第一日の会議では討議内容が外部にもれると「政治的なゴタゴタがおこるおそれがある」として、出席者がテープレコードで記録するのも断わるといった“秘密学会”となった。利害のある食品メーカーからの圧力をおそれたものといわれるが、このような国際学会では初めてのことだと関係者はいっている。

     これは去る10月11日の朝日新聞の記事です。これほどの重大問題の討議が、しかも国際学会でもあるというのに、秘密会にされるとは、一体何としたことでしょう。一般大衆の福祉を無視し学会の権威を失墜すること恐らくこれより甚しいものはないでしょうが、なぜ、こうまで遠慮や気兼をせねばならぬのか、お偉いかたがたのなされることは、私ども青汁仲間にはトントわけがわからんですナ。


3. 亜硝酸塩と癌

     医学博士 遠藤 仁郎 


     食品添加物にはいろいろ問題が少くないのだが、新たに問題になって来たものに亜硝酸塩がある。
     これは、塩漬けにする肉類の色をよくするためと防腐の目的に、ハムやソーセージに入れてあり、チーズにもはいっているらしい。この亜硝酸塩は、狭心症の時に吸入するアミール・ニトリトやニトログリセリンの類で、血管を拡張したり、血圧を下げるほか、正常の血色素と結合してメト・ヘモグロビンをつくる(メト・ヘモグロビン症と)いった中毒。
     また、肝臓のビタミンAをへらしたり、甲状腺の機能を下げるなどの影響がある。しかも、幼いものほど犯されやすいので、乳児ではそのためのメト・ヘモグロビン症で死んだ例もある。
     こういった点でも注意されねばならぬものだが、さいきん、ナイトロサミンというものに強い発癌性その他の毒作用のあることがわかって、いっそう問題が大きくなった。というのは、ある条件のもとでは、このナイトロサミンが、亜硝酸塩とアミン(蛋白質が分解してできる)との間に生ずるらしいふしがあるからだ。ナイトロサミンの類の発癌性は非常に強いもので、ネズミの各蔵器に出来るし、生まれて間もないうちだと、唯の一日あたえるだけで癌がつくれ、妊獣だと仔獣にまでも出来るという。
     こういう物騒なものが食物の中にあっては全くたまったものではないわけだが、どうやら、あることらしい。ノールウェイで動物に多数の重症の肝臓病がみられたことがあるが、それは亜硝酸ソーダで貯蔵したニシンが原因らしく、多分、ナイトロサミンが出来たのだろうとされ、有毒と無毒ニシンについて調べたところ、有毒ニシンからはジメチール・ナイトロサミンが30〜100PPMも証明された。このものは、ネズミだと5PPM、いや2PPMでも肝臓に腫瘍が出来るものだ。
     つまり、食品中の亜硝酸塩とアミンとの間の化学作用で、このおそろしいナイトロサミンが出来るし、アミンの量が多ければ多いほど、その危険は大きい。だから、ハムやソーセージその他、亜硝酸塩の添加されている蛋白食品を始終食べることは、余ほど気をつけぬと、癌の原因になるかも知れぬというのだ。


4. 脂肪と癌

     別項、大腸癌や胃癌と脂肪との関係について記したが、調理によっても発癌性をあらわすようにもなるらしい。

      1、あげもの 脂肪を高温に熱すると発癌性をおびて来ることは、以前から知られていたが、ふつうの揚げ方では、それほどの高温にはならぬので、まず大丈夫だろうと考えられていた。
       が、たびたび使っている間に、やはり発癌性が出来るらしい。
       アメリカでは、フライ用の油を1回だけしか使わないようにして、胃癌がうんと少くなったという。
       家庭での揚げ物には、その注意は出来るが、市販のフライやコロッケ、揚げ豆腐などの油は、いったい、どれ位ながく使われていることだろうか。
      2、燻製もの 燻製は、煙でいぶして乾燥するので、発癌性のつよいベンツピレンなどが付着している。
       こうした肉、ソーセージ、魚などを食べていると、消化官の癌、ことに胃癌になるらしい。
       アイスランドがそのよい例で、ここでは羊肉や魚を燻製にしてたくわえているが、胃癌がとても多いところだという。
      3、焙り焼き 肉や魚を焙り焼きする(焼き肉、ステーキ、バーベキウなど)のも、同様の危険があるといわれる。
       それは、脂肪が不完全燃焼して、多量の発癌物(ベンツピレン、ベンツアントラセンなど)を生じ、それがついているからだ。
       だから、肉や魚は、じかに燃える脂肪の焔で焦がしてはならぬし、新聞紙で焼くべきでもない、といわれている。
       もっとも、その際の発癌物の分量はごく僅かなものにすぎないから、さほど気にすることもあるまいが、始終食べることには注意すべきだろう。


5. 発癌性のカビ毒


     カビのつくる毒素に発癌性のつよいものがある。

    1. 南京豆などにつく、カビから出るアフラトキシン。強力な肝臓毒で、実験動物に肝癌その他の癌が出来る。アフリカ土人に多い肝癌の原因とみられている。米につく同じようなカビもあるらしい。
    2. 黄変米のカビ毒ルテオスキリンも肝臓をおかし癌を生ずる。わが国をはじめ、米食人種に多い肝癌との関係がうたがわれている。また、米麹にも肝毒性があるという。
    3. カツオブシ(小麦、コーヒーなどにも)つくカビの毒素オクラトキシンにも発癌性がある。

     おそらく、まだまだ、あることだろうが、こうした危険なカビの見分けは、とても、われわれ素人には出来ないから、ともかく、カビの生えたものは食べないこと(熱をあてても、カビは死滅するが毒素はこわれず、そのまま残る)。そして、飼料にもしないこと(動物食品―肉、乳、卵を介して、間接にとり入れられる)。梅雨どきは、一年中でいちばんカビのつきやすい時節。カビを防ぐには、貯蔵食品は、すべてよく乾燥し、湿気を防ぎ、時折、日光にあてること(乾燥するだけでなく、日光によって破壊される毒素もある)。


6. ガン発生の恐れ

    海産物成分と反応
    発色剤を使うな
    国立予防衛生研

     最近出回っている色のうすいタラコに添加されている発色剤は、海産物特有の成分と反応して発ガン物質を作る恐れがあり、早急に使用を禁ずべきだと国立予防衛生研究所・食品衛生部の俣野景典主任研究官らが警告している。

    色の薄いタラコも危険
     発色剤というのは硝酸、亜硝酸のカリウム塩、ソーダ塩で、それ自体に色はなく肉類の色素タンパクに結合してうす赤い肉色を固定化する働きをする。
     古くから畜肉ハムなどのピンク色を着けるために使われてきたが、最近では魚肉ハム、ソーセージ、イクラ、スジコなどとともにタラコにも使われている。ところが海産物に含まれるトリメチルアミンオキサイドやその分解物のトリメチルアミン、ジメチルアミンと発色剤の亜硝酸とが反応してジメチルニトロアミン(DMNA)という有毒物質が生成されることがわかってきた。
     DMNAは極微量で動物に急性肝出血や、悪性肝ガンを高率に発生させることが知られており、シロネズミにわずか2−5PPMずつ2ヵ月食べさせたら肝ガンが発生したとの報告もある。
     俣野主任研究官らは数年前に、ノルウェーで飼料用ニシン魚粉に含まれていたDMNAのために牛、ミンクなどが肝障害で大量に死亡した例を知り、亜硝酸の危険性を追求した。
     その結果、タラコに亜硝酸を多量に使うとDMNAが生成されることが理論的に明らかとなった。
     タラコには食品添加物として亜硝酸ソーダは許可されていないが、全く同じ働きをして魚肉中で亜硝酸となる硝酸カリなどについての使用規制はない。
     タラコは年々需要が伸び、43年度に2万5000トンも生産されているが、昨年から添加物の害が問題化し、真っ赤に着色したタラコは好まれなくなった。
     かわりに業者は、明るい色とおいしそうなつやの出る発色剤を使い始めた。このため硝酸カリより効果のよい亜硝酸ソーダの不正、大量使用も半ば常識化しているという。
     東京都衛生研究所の調査でも亜硝酸を30−40PPMも含むタラコがみつかっている。俣野主任研究官らはこうした現状に対し、タラコの発色剤を早急にやめるよう行政当局と業界に警告している。

    (45・6・1 産経)


7. 土の中の発癌物


     土の中にある発癌物質には、発癌性ならびに発癌促進性物質による土の汚染、それらに汚染された水による汚染、および土中における発生、とが考えられる。

    1、土の汚染
     大気を汚染している発癌物の降下による汚染。
     工場・暖房からの煙やすす。自動車・航空機の排気ガス、原水爆による放射能塵。
     発癌性のある農薬の散布(DDTなど)肥料の施用(合成硫安には相当の3・4ベンツピレンがある)、工場・鉱山の廃水、乱用されている洗剤(発癌促進性がいわれている)、などによる汚染。

    2、水による汚染
     上記発癌物質に汚染された水による土の汚染(灌漑や滲透)。

    3、土中での発生
     一定の条件下では土中での発生も考えられる。
     たとえば、アフリカのトランスケイには食道癌が多いが、その地域の土壌にはモリブデンが欠乏している。  そして、そこにそだつ植物には、強力な発癌力をもっているジメチール・ナイトロサミンが証明されるという。これは、土壌にモリブデンが不足すると、植物体中に硝酸塩がふえ、これが亜硝酸になり(植物体内または細菌作用で)、この亜硝酸が一定の条件の下で、アミンと化合してナイトロサミンになる、というのだ。同様のことは、除草剤2・4・Dをつかった場合にも、硝酸塩肥料が乱用される場合にも、おこりうる。
     さて、胃癌は沖積層の低湿地や、有機質にとむ泥炭地、あるいは遊離硝酸分の多い土地、などに多発するといわれている。こうした有機分の多い低湿地では、一方、有機分の分解(腐敗・醗酵)によって各種のアミンが出来るし、他方、亜硝酸菌の繁殖(通気の悪いところでよく繁殖する)により、亜硝酸も出来やすい。
     そこで、何かの都合で、土壌の中でも発癌性のあるナイトロサミンが出来るのではないか。
     2・4・Dも、硝酸肥料もよく使われているので、その可能性は、いっそう大きいように感じられる。
     また、亜鉛や硅素にとむ土壌や水の地域にも癌が多い。しかも、この影響は、石灰の存在で弱められるか、なくなる。なお、一体に、石灰岩性土壌地方には癌は少いそうだ。
     ただし、亜鉛や硅素には発癌性は知られていないようだから、あるいは、これらの場合でも、何か発癌性のものが出来るのでもあろうか。
     それはともかく、土壌中の発癌性ならびに発癌促進性の物質は、植物に吸収されて、食用植物からは直接に、牧草その他飼料植物は、それらによって飼育される家畜の供給する食品(乳・卵・肉)をへて間接に、あるいは、また、飲用水として、結局はわれわれのからだにはいって来るわけだ。(遠藤)


8. ガン発生高める米食 栄養学会で発表 動物実験で裏づけ

     「日本人に胃ガンが多いのは米飯を主とした日本食のためである」という研究結果が21日、京都市左京区の京都会館でひらかれた「日本栄養食糧学会」で、女子栄養大学(東京)の難波諄士教授から発表された。日本食とアメリカ食をつかって動物実験したもので、食事とガンの関係を実験的に裏づけたのははじめて。

     実験は、ネズミ60匹を「日本食グループ」「アメリカ食グループ」「ネズミ食(固型)グループ」の3グループに分け、昨年3月から400日間飼育して、発ガン状況を調べた。日本食は、胃ガンの多い新潟県の農村の日常食、アメリカ食は国連食糧機構の発表したアメリカ人の平均食をつくり、双方に発ガンを早める発ガン物質「NメチルN−ニトロニトロゾグアニジン」を飲料水にまぜて与えた。
     その結果、日本食グループは実験期間中に75%が死亡したが、アメリカ食グループの死亡は50%だった。さらに、これを解剖して発ガン状況を調べたところ、日本食グループは90%が胃、十二指腸、消化器官に発ガン。これにたいし、アメリカ食グループの発ガンはわずか33%だった。
     この実験結果は日本食が、ガンの発生を高める原因になることを実証したわけだが、この発ガン因子がなんであるかは、わかっていない。
    (サンケイ44・4・23)


9. 芳香料と癌

     芳香料の多くのものは無害のようだが、中には、発癌性や発癌促進性のあるものがある。
     たとえば、サツサフラス油の主成分であるサフロールは、香料として飲料に入れられていたが、肝臓をおかし、癌を発生することがわかって、今では、使用が禁止されている。
     しかし、このサフロールは、茴香油、樟脳油、ナツメ、月桂樹、肉桂油など、多くの芳香油にも含まれている。また、シトロン油、レモン油にも発癌性があるらしい。テレビン油、ユーカリ油などにも同様の作用のある成分があり、赤トウガラシも肝癌の発生を促進する、などのことが、知られている。
     なお、芳香料は約300種あるが、その発癌性については、まだ精しい検査が行われていない。こうした芳香量は、食品その他に広く添加されているので、たとえ、それがごく少量ではあっても、ながい間に累積されることは考慮を要する、と警告されている。


10. 酒と癌

     アルコールそのものには発癌性はない。
     しかし、食道癌や胃癌には、酒好きの人、ことに強い酒のグイ飲みをする人に多いようだ。
     強いアルコールでは、直接粘膜の損傷がおこるし、それが慢性にながくつづけば、癌発性の下地をつくることにもなるだろう。
     南米プエルトリコに食道癌が多いのは、自家製のラム酒(サトウキビの汁を醗酵させてつくる酒でアルコール分は60〜80%)による、といわれている。
     また、酒の醸造につかわれる材料に発癌性のものがあったり、醗酵中に発癌性のものが出来、あるいは混りこむこともありうる。
     わが国をはじめ、米食人種には胃癌や肝癌が多いのだが、米につくカビに関係はないだろうか。
     米には、黄変米をおこすカビ(肝臓をおかし癌をつくる毒素を出す)だけでなく、アフラトキシン(南京豆に多いカビの毒で、同じく肝臓をおかし強い発癌性がある)様の毒素を出すカビがつく。
     そういう変質米がまぎれこむことはないだろうか。
     また、酒の醸造につかわれるカビ(日本酒やインド・南方・中国などの酒の醸造には、カビの糖化酵素が利用されている)はどうだろうか。
     その道の学者の研究によれば、わが国の醸造用カビにはアフラトキシンをつくるようなものは絶対にない、とのことだ。
     もっとも、動物の実験上からは、ふつうのコウジそのものにも肝毒性があるといわれているが。
     アフリカや欧米のビールや、それを蒸溜したウイスキーの醸造には、麦芽の糖化酵素が利用されているので、カビ毒の心配はない。
     しかし、アフリカの土人、ことにザンビアに食道癌が多いが、これは、かれらが飲むビールその他の酒に、醗酵の際に生ずるアミン(いろいろのものが出来る)から、発癌性の強いナイトロサミンが出来るためだ、という。
     ウイスキーに発癌性がいわれているのも、同じことによるのだろうか。
     日本酒にも僅かにはあるが(5PPM以下)、この程度では、特別の意義はおけないそうだ。
     なお、酒がすぎると、直接食道、胃、また解毒器としての肝臓を傷害するだけでなく、食べものがとかく偏りがちとなり、全体としてのバランスがくずれ、ために体抵抗力をよわめることになりやすい。
     こうした点からも、発癌にたいして不利な条件をあたえることになろう。特殊の発癌物質があればなおさらである。


11. 燻製品と癌


     煙やすすの中に多くの発癌性物質(ベンツピレン・ベンツアントラセンなど)のあることは、よく知られている。そこで、煙でいぶしてつくる燻製品には、そういう発癌物がついており、燻製品をよく食べるところには癌が多い。たとえば、アイスランドでは羊肉や魚を燻製にして保存しているが、胃癌死亡は35%に上っている。

     焦げと癌
     焦がすことだけでも発癌性をおびて来る。
     西ドイツに胃癌が比較的多いのは(欧人には一般に少いのに)、かれらが幼児から焦がした馬鈴薯を食べているためではないかといわれている。コーヒーにも発癌性がいわれ、タンニンやカフェインに疑がかけられているようだが、豆を焦がすことに関係があるのではないか。
     そうすると、焦げパン、焦げ飯、焼芋、焼味噌田楽なども気になるわけだが、動物の実験では、パンの焦げによる発癌率は0〜0・52%と僅かのものだから、大して問題ではあるまい。しかし、焼き肉の焦げでは0・95%だという。これは、脂肪が焦げるとき、ことに多量の発癌物が出来るからだろう。
     そして、ステーキやバーベキューなどにはかなりのベンツピレンがついている(5〜10PPM)から、発癌性がないとはいえないわけだ。


12. 動物食品の発癌物質


     1、飼料の発癌物質
     発癌性のあるカビ毒、アフラトキシン(南京豆や穀物につくカビ毒)、ルテオスキリン(黄変米)その他類似のカビ毒のついた飼料を食べた家畜の供給する食品(肉・卵・乳)に移行しうる。
     発癌性のある農薬(DDTなど)放射能降下物、煤煙、排気ガスなどに汚染された飼料。牧草も同じ。
     また水にとけたものは、魚介類にとり入れられ、かなり濃縮されて存在する可能性もある。

     2、成長促進剤
     家畜の成長を刺戟し促進するために、飼料に加えられる成長促進剤のうちにも発癌性のあるものがある。
    たとえば、
     抗生剤のペニシリン(病気の治療にも用いられる)。
     合成ホルモン。エストロジエン。癌原性のため禁止されたところもある。
     抗甲状腺剤(甲状腺のはたらきを弱める薬剤)。メチ−ルサイオユラシル。
     砒素(ふとらせるため、産卵を増すため)。
     などで、肉に残り、乳や卵にも出る。
     もっとも、肉や組織に残る量は極く僅か(痕跡的)だけのもので、屠殺までの間に時間をおけば、減りまたは消失せしめることが出来るとか、調理でこわされる、ともいわれてはいる。

     3、保存剤
     塩蔵食品 食塩には、直接、発癌性はないようだが、その過食は、日本人に胃癌の多い原因の一つに数えられている。
     燻製品 煙でいぶしてつくる燻製品には、煙や煤の発癌物質、ベンツピレンやベンツアントラセンなどがまぶれついている。
     硝酸塩、亜硝酸塩 サケ、ニシン、タラコなどの貯蔵や煮干し、またハムやソーセージ(チーズにも)に、硝酸塩や亜硝酸塩が添加される。
     これは、色をよくすることと、ボツリヌス菌を防ぐのが目的なのだが、アミンと化合して強力な発癌性のあるナイトロサミンが出来ることがある。(ことに魚肉で)。


13. 自然食と癌

     医学博士 遠藤 仁郎 

     ちかごろ癌がひどくふえたし、年令層も、しだいに若くなって来つつある。以前にも、癌は決して少くはなかったが、それでも、今ほどではなかった。そして、ふつう40才以後のものだった。それが、今では30代や20代はおろか、もっと若い青少年層にも珍らしくなくなった。いやそれどころか、学童でも、事故死についで多いのは癌死だといわれているほどだ。だから、どうもこれは、ただ人口がふえ、長生きするようになり、また、診断法が進んで来たためばかりではなさそうだ。

     どうしてこういうことになったか、癌の原因が不明なので、はっきりしたことは勿論わからないが、どうも環境の不良条件との関わりが少なくないようだ。今では、実験的に癌をつくる方法がいろいろ知られているが(物理的、化学的、生物学的)、それらによる環境の汚染が甚しくなっている、と考えられるからだ。全くのところ、現在、私どもの周囲には、発癌物や発癌促進物質がいっぱいあり、まるで、それらにとり囲まれているようなものだ。もっとも、その量はごく微量で、それぞれの個々についてみれば、恐らく、とるに足らぬほどのものであるが、空気からも、水からも、食品からも(農産品、畜産品、水産品、とくに加工貯蔵また調理によっても)、職場からも(工業薬品、工場・鉱山の廃水、廃ガス)、医療上(医薬品・放射線)からもと、毎日、しかも幼時から、いや母胎内にいるころから、とり入れられているとなると、それらが互に協力し合う可能性もあり、また、これら発癌因子の影響が、その一回量によるだけでなく、むしろ、逐次累積された総量によるといわれていること。あるいは、生体の幼弱であるほど影響をうけやすいということなどからも、たとえ箇々の量は僅かであるとしても、断じて軽視すべきではない。したがって、この業病からまぬかれるためには、能う限り、こうした危険なものから遠ざかるようつとめなければなるまい。

    自然治療
     癌はふつう不治とされ、ごく初期に手術して完全にとり除かない限り、まず100%生命にかかわる、と考えられている。しかし稀にではあるが、確かに自然に治るのがある。そして、それは、一つに個体のもつ抵抗による。つまり、最近の感染による病気が、病原菌の毒力と、その個体の抵抗力とによって、治・不治がきまるのと同じことが、癌にもある、というので、からだの抵抗力しだいでは、癌でも治りうるわけだ。
     けれども、ともかく、一旦発病したとなると、簡単には治すことは出来ないのだから、なんとしても、予防が肝腎だが、それにも抵抗力を、つねに最上最良の状態に保つことが大切だ。

    緑葉食・青汁
     そこで私どもは、癌の場合にも、緑葉食・青汁を中心とした完全食。しかも、安全かつ良質――放射能性降下物はいたし方ないとして、出来るだけ、危険な農薬や洗剤、工場・鉱山の廃水、添加物などの汚染のおそれのない、そして、十分の有機質肥料(堆肥・緑肥など)を施した自然(健康)農法によった――の食品ばかりからなる完全食、たとえばイモ・マメ・ナッパ食。しかも、調理は簡単に、なるべく多くを生食し、味つけは薄く、といった――自然のままか、自然にちかい食を適当と考えている。また事実、そうした食を熱心に励行して(青汁は毎日4〜5合以上も飲んで)、再起不能といわれた癌から立ち直り、ながく元気でいるという事例もある。

     さて、この緑葉食・青汁の効について、これまで、食の完全化、つまり、乱れている栄養のバランスを正しくすることによって、栄養の不調和にもとづく体の不調を直し、抵抗力をたかめ、病魔を駆逐する、のだと解釈していた。
     けれども、ふつう一般習慣食でも、青汁2合も飲めばバランスはとれるし、イモ・マメ・ナッパといった食では、もっと少なく、僅か1合でも、よく釣り合って来る。だのに、それだけでは十分でなく、4〜5〜6合もの青汁ではじめて効果が出るというのは、どうしても栄養のバランス以外の何ものかによるとしか考えられない。
     それが果して何か。もちろん想像の域を出ないが、ここに、これと関連があるかに感じられる興味ぶかい実験がある。それは、アメリカの学者がやっている、動物の実験癌にたいする精製食品と自然食品の影響をしらべたデータだ。

       自然のままの飼料と、それを精製したもの(精製によって失われたビタミンやミネラルは薬品で補った――したがって、栄養的には完全な筈の精製飼料)とをあたえたネズミに、レントゲン線や化学的発癌剤で癌をつくってみた。そうすると、自然食動物に比べ、精製食動物の方が、ずっと発癌しやすく、また、より早く、かつ、より強くあらわれる、という結果が出た。

     つまり、自然食には発癌にたいし防衛的にはたらく力があることを示すわけだ。しかも、それは、今までに知られている栄養素とは、明らかに異った何物かによる、とこの研究者たちは、未知の成分の存在を想定している。

     ところで、微量のゲルマニウムや、適量のセレン(過量は発癌性)が発癌を抑制する。あるいは、微量の銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトなどが、発癌性物質ベンツピレンの分解酵素の作用を促進する(すなわち、発癌物質の分解をすすめる)という実験データもあるし、土壌中のモリブデン不足で発癌が促進される、などの点、またこれら微量ミネラル分は精製によって失われやすいといわれている点からすると、あるいは、こうしたいわゆる痕跡要素があずかっているように感じられる。また現に癌の多いところには痕跡成分の欠乏が考えられると説く学者もある。
     それはともかく、癌の予防には、将来は知らず、少くとも今日においては、発癌性あるいは発癌促進性物質はつとめて避け、自然的な食べ方――天地の恵みを十分にそなえた自然食品を、自然のまま、あるいは、なるべく自然にちかい状態で食べるよう心懸くべきであり、緑葉食・青汁を中心とした完全食の励行は、唯一ではないにしても、かなり有力な予防法であり、また、病勢をくじき、治癒への手助けにもなるのではないかと考える。


14. タバコと癌

     医学博士 遠藤 仁郎 

     タバコの煙には、発癌性と、発癌促進性とがあり、直接には気道(喉頭・気管支)や肺を刺戟する。最近ふえた肺癌の有力な原因に数えられている。
     肺癌は、シガレット(紙巻)喫煙者に多く、シガー(葉巻)やパイプでは少い。そして、喫煙歴のながいほど、ことに若い時から吸っているほど、また喫煙本数の多いほど、多い。口・咽頭・食道・胃・膀胱の癌にかかる危険があり、大腸癌は葉巻と関係があるらしい。
     なお、喫煙量が多いと、ただ癌が発生しやすいだけでなく、悪性度の強い癌が出来る傾向がある。発癌物質としては、ベンツピレン、ベンツアントラセンなどのほか、煙に中に数種のアミンがあり、唾液にとけて胃に入り、そこで、亜硝酸塩と化合して、発癌性の強いナイトロサミンが出来る、という。
     また、喫煙で、トリプトファンの分解産物の尿への排出が増すことが最近わかって来たが、これは、膀胱癌発生との関連が考えられている。
     ニッケルにも問題があるようだ。「人癌の多発原因に関する研究」をつづけている、国立癌センターの平山博士が、昭和45年6月25日、厚生省記者クラブで発表した中間報告によると、「喫煙者は非喫煙者に比べ、癌で死ぬ割合が倍も高い。特に肺癌はその差が著しく、7倍も水をあけられている。また、喫煙に、酒・肉類・熱い日本茶などの常用が重なると、癌の発生を促進することとなる」という。

    (日本医事新報、45・7・4)


15. 米と癌

     医学博士 遠藤 仁郎 

     胃癌は穀物ことに米食の多い地域に多いという。
     白米は栄養的に甚だ不完全な食品であり、その偏った過食が、一般的抵抗力をよわめることでも、癌の発生をたすけることになるのかも知れない。
     吉田博士が発表されたアゾ色素の発癌性は、欧州の学者の追試では否定されたが、それは飼料の差によるものだった。
     わが国の実験は米で、欧州では小麦で飼ったネズミで行われたが、小麦の全穀にはアゾ色素の発癌を妨げる成分があり、米には、玄米に僅かにあるだけで、白米にはない、ためであったという。

     次に問題になるのはカビ毒。米につくカビのうちには発癌性の強いルテオスキリンを出すカビ(黄変米)や、アフラトキシン(南京豆に多いもので、発癌性の極めて強いカビ毒)様の毒素をつくるカビもあるという。
     また、稲作にあたって使われる肥料や除草剤2.4Dにも、いくらか気にかかることが無いでもない。
     というのは、硝酸肥料や2.4D使用で、植物体内に硝酸塩がふえ、その硝酸塩から亜硝酸が出来、それがアミンと化合して、発癌性のあるナイトロサミンが出来る可能性がないとはいえないからだ。また実際、意味のない程度の少量には証明されている。
     なお、胃癌は、有機分の多い低湿地域に多いという事実、稲がもともと水田作物であることも、いっそうその疑いを濃厚にするわけだ。
     さいきん、東京の女子栄養短大の難波淳士博士がやられた、日本食とアメリカ食での発癌実験でも、日本食に発癌率の高いことが実証されている。
     こうした事実から、どうも、主食の米に何か発癌性のものがあるように思えてならない。


16. アオカビと癌

     市川市の時任あい氏によると、
     アオカビの生えたパンを鶏にあたえたところ、
     全身に腫物が出来て、
     次々に死亡したが、
     家畜試験場で癌と診断された、
     という。

    (日本医事新報 45・10・24)


17. きのこ

     きのこの類には癌を防ぐ(抗腫瘍性)作用があり、シイタケ、ナメコ、エノキタケ、ヒラタケ、マッタケなど、なかなか有力なものらしい。
     キクラゲ(ミミタケ)にも僅かにあり、クロカワやヤマブシタケなどにもいわれている。おそらく、そのほかのきのこ類にもあるのではなかろうか。
     また、コレステロールを下げる作用もあるらしい。年によっては、掃きすてるほどに出来る雑茸類も、粗末にしては勿体ない。乾燥してたくわえておき常時利用したいものだ。




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