健康と青汁タイトル小 <1961年10月15日発行 第62号>
 目次



1. 講座 くすりと健康

     医学博士 遠藤 仁郎 

     毎年10月の中ほどに、厚生省が音頭をとっている催しに「薬と健康の週間」というのがあります。
     薬の正しい使い方とか、毒劇薬にたいする注意といったものがうたわれています。農薬や麻薬の害に悩まされている当今のこと、それらの正しい認識や、危害防止に役立つことは、まことに結構なことです。けれども、一面、こうした運動は、うっかりすると薬で健康を守るというか、薬なしでは健康は得られぬし、病気の予防も出来ぬといった、薬剤依存観念をうえつける結果になりかねぬのではないか、と私はおそれます。

     薬はたしかに有難いものです。もちろん無ければなりません。しかし、それだけでやって行けるものでもありません。昔の人は、「薬は気の偏なるもの、以て生を養うにたらず、病なきに薬を服すべからず」と戒めたものです。それは、昔の薬には劇毒薬が多かったせいもありましょう。そして、今では、安全で、しかも病気を予防したり、健康を増進する薬も多いのだから、ということでもありましょう。

     さて、病気の予防の薬といえば、ワクチンや、殺菌剤や、抗生剤などですが、ワクチンはそう頼りになるものばかりでもありませんし、たまには副作用もあります。殺菌剤や抗生剤では、耐性菌(薬に抵抗する菌)ができて始末におえなくなったり、おそろしい反応がおきたり、あるいは、腸内細菌の変化で、かえって体抵抗力をよわめたり、効く薬のないバイ菌やカビがはびこったり、などといったことにもなります。
     また、健康増進には、やれビタミン、やれミネラルやれ何、やれ何と、ずいぶん沢山のものがいわれ、その総合剤が数多く売り出されています。そして、これらはすべて安全な筈の薬です。しかし、考えてみれば、これらはすべて、もともと薬ではなくて、食物としてとり入れるべきもの、そのとり方が足らぬから健康をそこねたり、病気になって薬としてのまねばならなくなるので、食物が完全ならば、その必要はないものです。また、食物であれば、それ以外に、まだ科学でわかっていない、しかも大切な成分がそろっているので、一層よいわけです。ですから、本来、これらは食べるべきもので、薬としてのむべきものではありません。

     なお、食物としては全く無害のものが、薬としてのむ場合には害をなすこともないではありません。たとえばビタミンAは、食べ物からとる場合は少しもさわることはないのですが、薬剤になっているAは往々中毒します。子供が高単位のビタミンのはいっている糖衣錠をお菓子とまちがえて食べたり神経質な母親が効を急いでのましすぎたりしてAやDの過剰症(中毒)をおこした例は、専門誌上にもチョイチョイ見うけられます。
     また無難な筈のB1などでも、そればかり余り大量にとりすぎると、B群ビタミンの仲間の他のビタミンとの間の均衡がやぶれて、かえって妨げとなることもあります。

     こうみて来ると、薬というものは真の健康のためにはいらぬもので、病気になってやむを得ずのむのにすぎぬことは、今も昔もかわりはありません。ところで、日本人ほど薬の好きな(ことに注射がすき)国民はないと、世界中のものわらいになっているほどですし、そのための失費とて馬鹿になりません。薬なしでは健康は得られぬとか、守れぬといった錯覚をあたえ、あるいは、それにいよいよ拍車をかけるようなことをやるよりは、もっと抜本的な健康促進運動がありそうなものだろうにと、この週間が来るたびに私は思います。


2. 青汁に近づく人々へ(3) ―容易に効果が出ない場合―
前文参照クリック

     友成 左近 

     青汁は、毎日の食事を栄養上完全なものにしようとする、ひとつの、そして根本的な手がかりです。毎日つづけて、相当量ずつ飲んでいると、乳幼児や青少年のように成長期にある人々の発育成長はすばらしく、人並に健康な人々はますます健康となり、病気にかかっている人々は、治療がはかどります。
     が、人によっては、容易に効果があらわれてこない場合があります。それは、青汁の用い方が誤っているか、食事その他の生活全般が著しく不摂生である場合です。あるいは病気そのものが、もうすでに、よほど重大なところまできている場合でしょう。
     いまひとつ、病気のおもな原因が、カラダの方にあるのではなく、実は気のせいである場合が考えられます。が、はたして気のせいであるのかどうか、当人には、とうてい分らないことです。医者にも、見分けがつかないことがしばしばです。

    容易に効果が出ない場合でも辛抱強く続けて
     で、私は、容易に効果があらわれてこない場合でもとにかく、縁あって青汁に近づくようになったのですから、辛抱強く続けて飲み青汁に親しむようになってほしい、とおすすめします。必ず効果があらわれてきます。というのは、こういうわけです。

    病気が治る率は近代医学でも新興宗教でも同率か
     ある病院の調査では、内科の外来患者のうち、約3分の1は、全く気で病んでいる人々、神経症患者であるそうです。とすると、まだ医者にはかかっていないが、カラダのあちこちに不調不快を感じている人々、そして新聞その他の広告であれこれとクスリを買って飲んでいる人々の相当部分も、やはり気のせいで病んでいるわけでしょう。
     こんな人々は、たとえば胃腸神経症の人では、胃腸薬を買って飲んだり、医者にかかったりすれば、時には治ることもあり、一時おさえに役立つこともありましょう。が、容易に治らない場合が多く、まれには、胃を切り取ってしまうような外科手術までしても、まだ治らない場合もあるそうです。
     ある内科神経科病院の調査では、訪ねてきた胃腸神経症患者の約5分の1は、もうすでに外科手術までうけているそうです。で、こんな人々は、ふつうの医療で治そうとしても容易に治らないことが多くどうしても心理療法にもよらねばならないわけです。
     けれども、こうした方面の治療が、まだあまり進んでいないわが国では、ある社会評論家もいっているように、病気が治る割合は、近代医学でも、イワシのアタマの新興宗教でも、たいして変わりはない、ということになるわけです。

    青汁は新興宗教ではなく人類の知恵に学んだもの
     といって、決して私は、青汁がイワシのアタマのようなものである、というのではありません。青汁によって、いろいろな病気の治療がはかどることは、近代医学の知識でも十二分に裏づけることができるのです。
     それだけではなく、青汁には、まだ近代医学では明きらかにしていない未知の栄養分や薬効が含まれていると推定できるのです。ここが大切なところです。いかに進んだ近代医学でもカラダや病気について明きらかにしていることは、そのホンの一部です。まだ分からないことが大部分なのです。
     分からないことについては、人類の歴史と共に積み重なってきている知恵に学ぶ以外、妙手はないわけです。青汁は、この人類の知恵に学んだものです。さらに近代医学で誤りないものと確証しているものです。で、私は青汁を飲み始めたが、どうも効果があらわれてこないような場合でも辛抱強く飲み続け、青汁に親しむようにしたら、必ず効果があらわれます、とおすすめします。それは、こういう意味からです。

    心身の不調は相互に作用する
     私たちは心身の統一体です。最近の精神身体医学が明きらかにしているようにカラダにどこか故障があれば、ココロにも不快を引きおこし、ココロのどこかに不快があれば、いつの間にかカラダのどこかに不調を引きおこすものです。カラダであれ、ココロであれ、どちらかに不調がおこれば多かれ少なかれ、どちらもやられてくるのです。また一方が治っていけば、他方もいつしか治っていくものです。

    青汁はどんな薬剤にもまして効果が高い
     で、気のせいで病んでいる人々は、やはり事実カラダのどこかに病気をおこしている場合が多いので、ただ気のせいだと、ほっておかずに、それ相応の治療をすることが必要です。が、なにぶん気のせいであるので、そう容易には治療がはかどりません。こんな場合、青汁のように、既知未知すべての養分や薬効がうまく含まれているものは、どんな薬剤にもまして効果が高いのです。

    青汁は気から治っていく第一歩
     それだけではありません。青汁は、決してそうおいしいものではなく、最初のうちは、これで病気が治る。という期待がなければ、近づき難く、続けにくいものです。
     で、いったん青汁に近づいて、これを続けていくようになれば、もうすでに、気から治っていく第一歩がふみ出されているわけです。それから私は、青汁材料を買い入れて、朝夕必ず自分で作って飲むように、おすすめします。
     こうすればほどほどに手もかかるのでかえって、これで丈夫になる、という信念がおこってきます。さらに私は、空地を利用して、僅かなりとも青汁材料や生食する青野菜を、みずから栽培することをおすすめします。こうすれば、さらに手がかかりますが、青汁・青野菜でカラダが丈夫になる、という信念が、強くなってきます。
     それだけでなく、こうして手を労している間は、病気のことなどすっかり忘れて、なんともいえず楽しくなり、いつの間にか病気は治ってしまいます。

    青汁に親しむ間に病気は忘れて治る
     こういうと、病人にそんなことができるか、といわれるかも知れません。
     そこは医者とも相談して下さい。程度さえ弁えれば、ほどほどにできるものです。というのは、気のせいで、あったのか、なかったのか知れませんが、とにかく胃下垂とか胃アトニーとか、肝臓病とか腎臓病とか心臓病とかで、長年わずらい続けていた人が、こうして青汁に親しんでいる間に、いつの間にか、忘れたように病気が治ってしまった実例がいろいろあるからです。
     とにかく縁あって青汁に近づいたことです。配達の青汁でもよし、できれば材料を買って自分で作って、これで丈夫になる、と信じて、辛抱強く続けて下さい。またさらに、できれば空地を利用して、僅かなりとも、青汁材料や生食用の青野菜を栽培して下さい。必ず病気は治り、丈夫なカラダとなります。

    (おわり)


3. 特集 農薬による国民健康の危機

     遠藤青汁の会では、さる7月19日、倉敷中央病院の定期研究会で、主題のような特別公演が催されたので、もよりの会員に案内して聴講しました。
     講師の梁瀬先生は、奈良県五条市で開業されている方ですが、昭和34年以来医業のかたわら、パラチオンなどの有機リン剤その他の滲透性農薬による慢性中毒患者が、農村はもとより都市においても、著しく増加していることを警告して「健康を守る会」を組織し、さしあたり、こうした農薬一切使わない野菜果物を作って食べよう、という運動を推進している方です。
     遠藤青汁の会は、お互いに、食事を栄養上完全なものにして、より以上の健康をはかろうと、青野菜の生食と青汁の飲用をすすめているわけですが、同時に、この青野菜・青汁材料は、人糞や農薬の一切かかっていない清浄安全なものでなければならないことを、常に力説しています。
     で、本紙は、パラチオンなどによる恐るべき被害についての梁瀬先生の報告が「健康を守る会」から発表されたので、早速さる3、4、5月号に転載させて頂いて、青野菜・青汁材料は必ず安全なものでなければならないことを訴えたわけです。が、この度、直接、先生の講演をきき農薬による慢性中毒が全国民におこる危険があり、いな現におこり始めており、国民一人一人はもとより、大部分の医師も、まだ、それと、はっきり自覚していない実状を知り、ことが極めて重大であることを痛感しました。
     とりわけ、青汁の飲用においては、なにぶん毎日多量の青野菜を摂取するので、もしこれが農薬を使ったものであると、ことは極めて深刻です。とくに、この頃のように、青汁飲用者が急速に増加している状況では、ついどんな手違いがおこらないとも限りません。
     で、ついこの間訴えたことではありますが、もう一度、梁瀬先生の講演から、農薬による被害と、その対策について、その要旨をお伝えして、青野菜、青汁材料は必ず安全清浄なものでなければならないことを、重ねて強調したいと思います。なお、こうした記事は、極めて専門的なものであり、また各方面に重大な意味をもってくると思われますので、もし聞きまちがいや誤解があってはと考え、念のため、梁瀬先生に目を通して補正して頂きました。
     このことも付記して、先生に謝意をあらわします。

    (友成左近)


     梁瀬 義亮 

    梁瀬 義亮 

3-1. 奇妙な症状の多発 原因は農薬による慢性中毒

     私は、五条という人口3万5千の田舎町で開業しているものですが、昭和34年来、医業のかたわら、パラチオンその他の滲透性農薬が広く使用されるに伴なって、それによる慢性中毒患者が全国的に発生していることを警告して、こうした農薬は一切使わない農法を推進しようとしているものです。こうした運動をおこすようになったのは、私自身にもトンダ失敗があったからです。


3-1-1. 野菜果物の多食をすすめていたところ

     私は、まえまえから、医師として、訪れてくる患者を診療している間に、病気を治療するにも、病気を予防するにも、その根本において、当人の体質を改善しなければならないと考え、体質の改善には、なによりもまず、食事を改めねばならない。日本人はもっと野菜果物を沢山たべねばならない、という持論をもっていました。
     で、土地がら、農家の青年諸君と語りあって、野菜の増産をすすめ、非農家の人々にも、大いに野菜を食べるようにすすめてきました。ところが、昭和32、3年頃より、私の医院に訪ずれてくる患者に、どうも、えたいの知れない奇妙な症状をもったものが、ふえてきました。
     アタマがボンヤリする、ヤタラに頭痛がする、よく眠れない、イライラする、耳なりや目まいがする、といった症状で、在来通りの治療をしても、うまく治らないのです。あるいは、顔にズズぐろいシミが出て、どんな治療や食改善をしてみても、ますますひどくなる。といった症状や、ふつうの治療では容易に治らない疲労、貧血といった症状や、口内炎、舌炎、胃腸カタル、肝臓炎、腎臓炎、ネフローゼなどです。
     そして、大いに野菜を作って食べようという私たちの仲間からも、やはり同じような症状をもったものがあらわれてきます。私自身にも、私の家族にも、同様どうもゲセない症状があらわれてきました。いったい、これはどうしたことか、ボンヤリしてきたアタマをふりしぼって考えている間に、昭和34年の2月、これは農薬による慢性中毒ではあるまいか、と思いつきました。
     それは戦時中、私は毒ガス教育に関係していたので、パラチオンなどの有機リン剤が使われ始めると同時に、その害毒について、人一倍強く意識して、研究していたからではあるまいか、と思います。


3-1-2. パラチオンのもとは体内にしみこむ毒ガス

     いうまでもないことですが、こうした農薬は、第二次大戦中ドイツで作られていた毒ガスに、ある種の改良を加えて、毒性を弱くしたものです。そして、この毒ガスは、鼻からも皮ふからも、またこれが付着し滲透した食物からも体内にしみこんで、神経とくに脳神経系統を犯すものでした。
     従って、こうした農薬を作物にふりかけると、その体内にしみこんで、定められた濃度のものであっても約3週間は、その体内にとどまって、作物につく病害虫をやっつけるのです。このため、従来使用されていた除虫菊などのように、ただ作物の表面に付着するものより、はるかに病害虫の駆除に効果が高いわけです。
     で、こうした農薬は、野菜果物だけでなく、すべての作物に広く使用されるようになったのです。が、ここに無知や悪徳が関連して、重大問題が発生したわけです。


3-1-3. 急性中毒にはあわてたが慢性中毒には無関心

     当時、新聞紙上でも盛んに報道されたように、こうした農薬を、定められた通りに(とくに十分な防備をして)散布しなかった農民に、あるいは、散布直後、付近の用水で遊んだ子供に、急性の中毒者があらわれ、その他いろいろな事故がおこって、重大な社会問題が発生しました。
     で、早速この取扱法の指導監督が改められました。が、こうした農薬は極めて強度な毒物であるのに、取扱法の規定は、全くもって不備であるため、いろいろな事故が絶えないことは新聞紙上の報道でも明きらかな通りです。
     ましてや慢性中毒の発生については、残念ながら、農家も非農家も、また監督機関も、全く無関心であったのです。(やっと最近になって、厚生省や農林省が関心をもち始めてきたようです)。


3-1-4. 無毒化してない間の野菜は処置なし

     こうした農薬は、作物の葉から、また果実からも滲みこんで、長い間その内部にとどまって、病害虫をやっつけるのですが、その間に、作物の新陳代謝によって、しだいに分解して無毒化するのです。(従って、冬期のように作物の新陳代謝が衰えているときや、いったん採取したものでは、それだけ長い間、分解されずに有毒のままとどまるわけです)。
     また、水の上や土の上におちた場合は(一部は作物の根から吸収されますが)空気と日光と水によって、しだいにうすめられながら分解して無毒化します。(従って、土の中深くはいったものは、それだけ長い間分解しないのです。たとえばDDTについては、15センチメートル以上深い土の中では、三年たっても、半分位しか分解していないという報告があります。
     で、今日では、土壌そのものが、もうすでに、農薬によって、かなり汚染されているものと推定されます)で、こうした農薬は、散布後、(その種類により、また濃度と量により、さらに、作物の種類や時季や天候などによって、その期間が著しく異なりますが、とにかく)一定期間すぎなければ、作物の内部に、無毒化されないままに、とどまっているのです。
     そして、いうまでもなく、この間はどんな洗剤を使って洗っても、皮をむいでも、煮ても焼いても、無毒化しないのです。全く処置なしです。


3-1-5. 微量でも連続摂取すると慢性中毒を引きおこす

     従って、こうした食物を食べれば、当然、農薬も、無毒化されないまま私たちの体内にはいってくるわけです。ただ、それが微量であるため、すぐ症状となってあらわれてくるような有毒作用は引き起こさないだけのことです。
     けれども、たとえ微量であっても、連続して摂取していると、そのうち必ず、慢性の中毒を引き起こすのです。決して無関心であってはなりません。ですが、これまでは、一般に、いわゆる中毒量以下の微量であれば、たとえ連続して摂取していても、大した害はあるまい、と常識的に考えていました。
     けれども事実は、そうでないのです。アメリカにおいても、細胞生理に関する最近の研究に基づいて、たとえ微量であっても、長らく連続して摂取していると、細胞の生理機能に重大な障害を与える、ということが叫ばれています。
     問題は、一回量や一日量だけではないのです。それだけではないのです。それが、たとえ中毒量以下の、ごく微量であっても、連続して摂取して、総量が多くなる、ということにも重大問題があるのです。


3-1-6. 農薬の無毒化している野菜は極めて少ない

     ところが、野菜は、苗の間はともかく、成長後となると、農薬散布後、二週間とか三週間と、一定期間すぎると、成熟しすぎてモノにならないものばかりです。どうしても無毒化されないうちに取り入れて、市場に出したり、みずから食用したりするようになります。
     また、無知というか悪徳というか、散布の翌日取り入れて市場に出すものもあるようです。
     (ラジオの「明日の農作業」も、むし暑い頃、雨のふったあとなどトマト・キュウリに農薬を散布するように、すすめています。そのためでもあるまいが、まれには、取り入れた手が荒れる位タップリとふりかけたものを市場に出しているものもあるようです)。
     それだけではありません。2千倍くらいのパラチオン溶液に、わざわざ野菜をしたして出荷するものもあるようです。
     (野菜の中に含まれている酵素をこわすので、鮮度が数倍もつようになるからです。が、この酵素こそ、野菜を食べる主たる目的であり、この酵素をこわす作用が中毒をおこす一つの原因なのです)。
     (なお念のため、云いそえておきたいことは、農薬を使わずに作ったものでも必ずしもすべて安心できない、ということです。付近の田畑で散布すれば、とんでくるからです。動力噴霧器で散布すると、風向きにもよりますが、100メートルはユウにとんできます)。ところで私たちは、毎日どうしても。相当量の野菜を食べねばなりません。がこの野菜はこのように農薬を使い、これが完全に無毒化していないものである以上、ごく微量ではあっても毎日毎日、農薬を摂取しているわけです。そして、これは積り積って相当な総量となるので、いつかは慢性の中毒におちいるようになるわけです。


3-1-7. 農薬を使わない安全野菜を食べていると治る

     そこで私は、慢性の農薬中毒ではないかと思われる患者に、農薬のかかっている疑いのある野菜果物を一切禁止して、農薬を全然使わない安全な野菜を沢山たべるように指導しながら、それそれ症状に応じて治療してみたところ、結果は予想通り極めて良好でした。たとえば、口のまわり、目のまわりに、紫がかったシミの出ていた婦人のシミがとれました。この婦人は相当裕福な方であり、その上美人であったので、美容には人一倍努力して、果物や野菜を毎日沢山たべていたそうです。が、これに農薬が含まれていたので、その慢性中毒の症状が、たまたま顔のシミとなってあらわれたわけです。それとは知らず、このシミを取ろうとますます沢山、果物野菜を食べたので、顔のシミがいよいよはげしくなっていたのです。また、精神分裂病と診断されて入院していた青年を引き取って治療したところうまく回復しました。この青年は、分裂病となるような素質や性格が全然認められなかった円満な青年でしたが、常識では判断できない、全く理性を失なった衝動的な行動をするようになっていたのです。さらに、ひどい貧血状態に陥って、少年らしい快活さを全く失っていた少年が再び元通りになりました。この少年は、非常に朗らかな元気もので、学校の成績もズバぬけていたのですがいつの間にか、元気がなくなり、青白くなって、勉強もサッパリできなくなっていたのです。その他、口内炎、舌炎、胃腸病、肝臓病、腎臓病、心臓病、皮ふ病などの治療が、農薬を使わない安全野菜を沢山たべることによって、目立って促進しました。はっきりしているものだけで、約400例ほどあります。


3-2. 農薬による慢性中毒の症状

     この頃の農法では、病害虫の駆除に、パラチオンなどの滲透性農薬を使うことは、いわば全く常識となっています。野菜果物などは農薬散布後、所定の期間がすぎないうちに取り入れ、まだ無毒化していないうちに出荷され食用されている場合が、極めて多くなっています。
     ところが、栄養と健康上野菜は、どうしても毎日、相当量たべねばならないので、誰でも、多かれ少なかれ、こうした野菜を食べているわけです。食べている以上、いつの間にか、その慢性中毒をおこす恐れは十分あるわけです。
     それがすでに症状となってあらわれている人々も、決して少なくないはずです。ただ、当人も医師も、まだそれと知らずに、すごしているだけのことかも知れません。この頃、トランキライザーなどの精神神経鎮静剤やグロンサンなどの強肝剤やその他各種の強壮剤や栄食剤が、異常な売れ行きを示しているのは、その背景の一つとして、まだ気づかれていない、農薬による慢性中毒が、多くの人々におこり始めているのではないかと思われます。
     それでは、この中毒が症状として、どういうふうにあらわれるかというと、私たちの臨床経験では、だいたい、こうです。(これはパラチオンの中毒を主としたものですが、他の農薬中毒の症状も、だいたい、これとよく似ています)。


3-2-1. 精神・神経作用に異常がおこる

     パラチオンなどの有機リン剤は、もともと神経とくに脳神経を犯かす毒ガスを改良したものですから、ほとんどすべての場合、まず最初に、精神神経作用に異常がおこってくるようです。

    • なんとなくアタマがボンヤリする。
    • アタマが重く、とくに後頭部から首にかけて、こったような感じがする。
    • 夜ねつきが悪く、朝早く目がさめる。
    • 夜中に度々目がさめ、容易にねつかれない。
    • ひる間ヤタラにねむい。
    • 目がボーッとしてピントが合わぬ。
    • よく目をこする。
    • マブタがピクピクとケイレンすることがある。
    • 耳なり目まい立ちくらみがする。
    • 人によって、耳がよく聞こえすぎて、物音がやかましくてたまらなくなったり、耳が遠くなったりする。
    • ハナがきかなくなったり、ヘンな臭いがするようになったりする。

     まず、こういった症状があらわれてきます。
     それから、やがて、

    • 気分がイライラしてくる。
    • あれもしなければ、これもしなければ、と気はあせるが、容易にとりかからず、根気がなく、いつも心ばかりカラまわりする。
    • 時々きつくプーンプーン、ピーンピーンと耳なりがする。
    • ヤタラハラがたつ。ツマラぬことによくおこる。

     事実、これまで仲のよかった夫婦、親子、兄弟、嫁姑、近隣、師弟などの間に、いさかいがおこっています。
     そして、いよいよ、

    • 理性の力が衰えて、非常に衝動的となる。
    • 全くクダラぬことでケンかをしたり、罪を犯したりする。
    • 危いと気づいても、ブレーキをふみ忘れて思わぬ交通事故をおこす。
    • 記憶力がトミに衰えて人と約束しても守れない。
    • 時間の観念がうすくなってショウもないことで、遠くまで歩いて出かける。
    • 被害妄想がおこったり、精神分裂状態になる。
    • 判断力がサッパリなくなり、およそ理性的に計画して行動することが、ほとんどできなくなってくる。

     最後には、

    • 働らく意欲が全くなくなり、人生に対する興味がうせてくる。
    • ひどく人間ぎらいとなり、人のいないところに行ったりする。
    • 万事に悲観的となり、暗いことばかり考え、いっそのこと死んだ方がましだと考えるようになる。

     事実原因らしい原因もなく自殺するものがふえています。


3-2-2. 内臓諸器官に異常がおこる

     脳神経についで犯され易いのが自律神経です。
     従って、内臓諸器官が犯されていろいろと異常がおこってきます。
     まず、自分でよく見える口腔内ですが、

    • 舌の先や横が、原因もなく、ただれたり、痛んだりする。
    • ヤタラに口や唇がかわく。
    • ノドがつまったように感じる。
    • 歯ぐきからよく出血する。
    • 食事中によく唇をかむ。
    • また舌の先や横や歯ぐきに紫がかった色素が沈着する。

     つぎに、誰でもすぐ異常を感じ易い胃腸ですが、

    • おなかがいつもボッテリと重苦しく、とくにミゾオチが圧えつけられたようである。
    • 食べるとすぐ満腹感がおこる。消化が悪くなり、悪心や吐き気がする。
    • おなかがゴロゴロなる。便秘する。が時々原因もなく下痢する。
    • 排便しても、すっかり出てしまった感じがしない。まだ残っているような感じがする。
    • オナラが多くなる。事実、慢性の胃カイヨウや十二指腸カイヨウまでおこしている場合が少なくありません。

     さらに肝臓、腎臓、造血器、内分泌系諸器官が犯されて、いろいろな症状があらわれます。全身的には、

    • 疲れ易い。
    • からだがだるい。
    • なにをするにもタイギである。
    • 手足がよく冷える。
    • しびれ易い。とくに下肢がだるく、神経痛のような痛みを感じる。
    • 胸がしめつけられ、おさえつけられるように感じる。
    • 血圧が異常に低くなったり高くなったりする。
    • 小便の回数が多くなる。
    • 一度尿意をもよおすと、こらえきれなくなって、もらすこともある。
    • ヤタラに汗をかく。ね汗をかくこともある。
    • 顔や肌が黒ずんできて、ツヤがなくなる。
    • 口や鼻や目のまわりに紫がかったシミが出たり、紫がかった吹出物がよく出る。
    • 口角炎が起ってアクチがきれる。
    • 唇が荒れ、小さな水泡がよくでき、あとに紫がかった色素が点状に沈着する。
    • しっこい湿疹が出て大変かゆい。
    • 月経の量が多くなったり少なくなったり、また周期が乱れる。



3-2-3. 殆んどすべての人が慢性中毒にかかっている

     このように、全く種々様々の症状があらわれるのですが、いうまでもなく、人それぞれ体質が異なるのでこうした症状のあらわれ方も十人十色です。
     私たちはこうした症状を訴えてくる患者を、一応慢性の農薬中毒のためではないかと考えて、それぞれ対症的な治療をしながら、農薬のかかった疑いのある野菜果物を一切やめ、安全な野菜を毎日多量にとるように指導しているのですが、うまく治っていく場合が非常に多いのです。
     こうした臨床経験から、私の地方では(他の地方も恐らく同様かと思いますが)殆んどすべての人が慢性の農薬中毒にかかっているのではないか、当人がまだ症状として自覚していないだけのことではあるまいかと思われます。
     (いうまでもなく、人それぞれ体質が異なり、農薬のかかっている野菜、果物を食べる量も異なるので、症状が早くはっきりとあらわれてくる人もあれば、容易にあらわれてこない人もあるわけです。が、無毒化されていない野菜を毎日かなり食べていることは事実ですから、決してあらわれてこないという保証はないわけです)。
     というのは、こういうわけです。パラチオンなどによる中毒では、典型的に、紫褐色がかった色素の沈着が歯ぐきや舌などの口内粘膜にあらわれます。ところが、友人の歯科医堀内君の調査によると、もうすでに小学生12%、中学生9%に、こうした色素沈着が口腔内にあらわれているそうです。
     私の臨床経験では、中毒患者と思われるもののうち約10%に、こうした色素沈着があらわれています。こうしたことから推定すると、恐らく殆んどすべての人々が、当人の症状自覚の有無にかかわらず、農薬による慢性中毒にかかっているのではないかと思われるのです。


3-2-4. とくに危険なのは神経の変性的変化

     ところで、こうした農薬による中毒がどうして起こるのか、というと、これまでは、コリンエステラーゼ(酵素の一種)の抑制作用であると考え、専ら血液中のコリンエステラーゼの消長のみを中毒の目安にしていました。
     すなわち、血中コリンエステラーゼ値は、有機リン剤中毒で、とくに著しく低下するのです。で、それが正常値になったら、それで中毒は治ったものとされていました。
     このため、相当はげしい中毒でも、二ヶ月位すれば、血中コリンエステラーゼは、ほぼ正常に復します(有機リン剤が、身体の新陳代謝によって分解して、コリンエステラーゼを抑制しなくなるから)。
     それで、有機リン剤による中毒は、2ヶ月たったら治る、と考えていたのです。従ってまた、微量による慢性中毒の場合は、コリンエステラーゼは、あまり変化しないので、蓄積作用はない、慢性中毒おこらないと考えていたのです。今でも、学者の中に、そう考えているものが多いのです。
     けれども、血中コリンエステラーゼの低下は、有機リン剤による中毒の一つの症状です。この消長のみで中毒が起ったとか、治ったとか、治っていないとか考えるのは誤りです。というのは、こういうわけです。パラチオンによる急性中毒の後、コリンエステラーゼが正常になって、なお数年たっても、健康が回復せず、精神病者とか廃人とかになっている例が多いのです。
     また明きらかな慢性中毒患者で、コリンエステラーゼに異常を認めない例も多いのです。すなわち、有機リン剤には、コリンエステラーゼの抑制作用以外に、神経とくに脳神経細胞に、ある種の損傷を与えて、変性的変化を引き起こす作用があるのです。
     それだけではなく、肝臓、腎臓、造血器などの細胞にも変性的変化を引き起こすのです。ここに、パラチオンなどによる慢性中毒の恐るべき危険があるのです。
     一回摂取量がごく微量でも、それ相応の損傷を与えるので、これが長い間連続していくと、重大な損傷となるからです。
     しかも、これは、神経とくに脳神経に著しい作用を与えるのですが、神経組織は、その他の細胞組織と異なって、いったん傷つけられると、容易に回復しない性質のものであるからです。
     なお、少し余談となりますが、この頃、小児マヒが流行するようになったのは他にも種々原因があるわけでしょうが、一つには、農薬による慢性中毒で、神経組織がいためつけられ傷つけられているからではあるまいか、と思われます(小児マヒのウイールスは神経組織を犯す性質のものですから)。
     いずれにしても、パラチオンなどの農薬による慢性中毒が現に広くおこっていることは事実です。で、その中毒作用の機序や治療法の研究が緊要であることはいうまでもありませんが、それよりも、こうした農薬による被害の防止法、いな、こうした農薬は一切使わない農法の促進が極めて緊要ではないか、と思います。


3-3. 危険な農薬は一切使わない安全栽培の提唱

     今日の農法では、農薬をフンダンに使うことが、いわば一種の流行となっています。そして、この農薬は従来から使用されていた除虫菊やデリスなどのように作物の表面に付着して病害虫を駆除する接触剤だけでは、とうてい間にあわず、作物の体内にしみこんで、しかも長い間とどまって、病害虫を駆除する滲透剤が広く使われています。


3-3-1. 危険なのは滲透性農薬

     ところで、接触性のものは、毒性も弱く、雨にあたれば流れおち、食用するときには洗いおとすこともでき、別にそう危険ではありません。危険なのは滲透性のものです。これには、今日、パラチオン、テツプなどのリン系のもの、BHC、エンドリンなどの塩素系のもの、ヒ素系のもの、水銀系のもの、フッ素系のもの、その他いろいろあります。除草剤のPCPなども滲透性のものです。
     こうした農薬は、それぞれ毒性に強弱はありますがいずれも人体に有毒作用を及ぼすことには変わりありません。で、これを散布すれば、散布する当人はいうに及ばず、付近に住む人々にも、鼻から口から皮ふから、しみこんで有毒作用を及ぼします。
     使い方を誤れば、急性中毒をおこす危険があり、所定通りに使っても、連続していると、慢性中毒をおこす危険があります。
     また、こうした農薬は、作物の内部にしみこんで、有毒なまま、とどまっている残存期間に、それぞれ長短がありますが、いずれも相当な期間がすぎなければ無毒化しないのです。従って、農薬を散布した野菜果物は、残存期間中は、どんな洗剤を使って洗っても、皮をむいでも、煮ても焼いても処置なしで、これを食べれば有毒作用を及ぼします。
     これが連続すれば、慢性中毒を引き起こす危険があります。
     (なお、この残存期間は農薬の種類により、散布する濃度や量や、時季や天候により、また作物の種類によって、著しく異なります。使用法に2週間とか5週間と定められてある残存期間、すなわち収穫前散布期間は、至って頼りないもので、実際は、それよりはるかに長い間、残存しています。しかも、こうした農薬が食物に残存しているかどうかは、微量であれば、唯今のところ、簡単には検出できないのです。また、こうした農薬を、ごく微量でも、長期間、連続摂取した場合に起こる慢性中毒については、まだ世界中どことも、十分な研究が行なわれていないのです)。


3-3-2. 危険な農薬まで使うのは化学肥料の使いすぎ

     では、なぜ、こうした危険な農薬まで、しかも多量に使うようになったのか、というと、病害虫がわいて手のつけようがないからです。
     では、なぜ、そんなに病害虫がわくのか、というと、堆肥その他の有機質肥料に代えて、化学肥料を多量に使っているからです。
     すなわち、有機質肥料が少なく、化学肥料を多量に使っていると、土壌の栄養成分が悪くなり、また土壌の中にいる有効細菌が少なくなって、土地がやせてきます。従って、作物はひよわくなって、病害虫におかされ易くなり、また病害虫がはびこるようになるのです。
     それは、こういうわけです。化学肥料には一定の種類の成分しか含まれていないので、専らこれにたよっていては、土壌成分の高度な調和を保つことができないのです。従ってまた、化学肥料中の有効成分は、有機質肥料中の有効成分より効き方が極めて不自然なのです。また、土壌中の有効細菌は、病害虫とくにウイールスを食い物にしているだけでなく、それ自体が肥料ともなるのであって、まことに自然の耕作者なのです。が、これは、病害虫よりも化学肥料に弱いので、化学肥料を使えば使うほど減っていくのです。(こうしたことは、私たち人間が、平素の食物の改善をマトモに考えずに、ヤタラに新薬を使って病気を治そうとしたり、丈夫になろうとすることについても同様です)。
     こうして、作物が病害虫におかされるので、いわゆる「人知」をはたらかせて農薬で病害虫を駆除するようになったのです。ところが、農薬を使えば、一時は病害虫が少なくなります。が、それ以上に、この病害虫の天敵である有効細菌その他の益虫が少なくなるのです(有効細菌は、病害虫より、農薬に弱いので)。
     すると、生き残った害虫はわが世の春とばかりに増殖してくるわけです。そこでまた農薬を使うわけですがそうなると、益虫はますますへり、害虫は農薬に対する抵抗力がついて、いよいよ増殖してきます。
     そこで今度は、ますます多量に農薬を使ったり、強い農薬を使うようになるわけです。全くもってイタチゴッコです。こうした悪循環がくりかえされてきたため、今日では、害虫の量と種類の多いこと、しかも農薬に対する抵抗力の強いことは、全く驚くばかりです。そして、農民も食費者も、意識するとしないにかかわらず健康と生命がむしばまれているのです。


3-3-3. 農薬は安全で健康のためのものであるはずなのに

     こうなってきたのは、そこに、いろいろな背景があることでしょうが、その根本は、有機質肥料にかわる地力の培養をマトモに考えずに、テットリばやく化学肥料を多量に使って、できるだけ多量の生産をあげようという数量意識が根強く働いているからではあるまいか、そして、その結果が自分たちに、また社会的にどんな影響を及ぼすか、深く考えようとしないからではあるまいか、と思われます。
     いったい、農業は、作業する農民にも、その付近に住む人々にも、また生産物を食用する消費者にも、まず第一に安全であり、栄養と健康に役立つものでなければならないはずです。が量産意識に禍いされて、この安全と健康が度外視されているのではないでしょうか。そこに無知や悪徳がはたらいて、この禍いが、さらに大きくなっているのではないでしょうか。


3-3-4. 農法の根本は土地をこやすことなのに

     また、いうまでもなく、農法の根本は、土地をこやすことです。
     既知未知を問わず、各種の成分が高度に調和するようにすると共に数限りない有効細菌を活用することです。それには、まずもって、深耕して堆肥その他の有機質肥料を十分に施こし、空気と日光と水を底深く通すことが肝要です。
     ところが、この頃では、あまり深耕しないばかりか、堆肥も非常に少なくなっています。全国平均で反当たり、明治中期には700貫であったのが、昭和初期には200貫、今日では70貫といわれています。おおざっぱな話ですが、水田では、米だけとって、ワラは全部堆肥にして返しさらに、なにほどか緑肥かなにかを追加すれば、地力は少しも衰えないそうです。(空気、日光、水の成分が加わってくるので)。
     が、この頃では、ワラは加工品にして全部は返さず、それかといって緑肥もあまり与えないようになっています。畑作に至っては、さらにはげしく、マルで土地から収奪しているようなものです。土地がやせてくるのは当然でしょう。そこで、その代わりに、化学肥料をやるわけです。これは、堆肥に比べて、手数も少なく、しごく便利です。けれども、一時は効き目も高いことですが、やがては作物がひよわくなり、病害虫もはびこって、これにおかされるようになります。
     そこで、農薬を使って駆除しようとするわけですが、前に述べたように、病害虫には抵抗力がついて増殖し、有効細菌はへっていくので、ますます多量に使ったり、強く新手の農薬を使うようになるわけです。(高知県や徳島県あたりでは、もうすでに、所定の5倍濃度のパラチオンでなければ、効き目のない二化メイ虫が出ているそうです。これでは、二化メイ虫よりも人間の方がやられる恐れがあります。青森県あたりでは、リンゴ園を通る学童は、防毒面をつけねばならないことがあるそうです)。


3-3-5. ウイールス性疾病の流行する背景の一つは

     余談になりますが、この頃、小児マヒが地域的に流行する傾向があるのは、前に述べたような背景の他に、いま一つ、農薬やきつい消毒薬を使いすぎたため小児マヒウイールスを食い物にしていた有効細菌がやられすぎて、細菌界のハーモニーがこわれ、ウイールスがバカに強くなって繁殖してきたことが考えられます。
     国体を迎えるに当って、市内外を徹底的に消毒した熊本市や、多量の農薬まで使って、カやハエをボクメツして、日本一の衛生都市として厚生大臣の表彰をうけた夕張市で、小児マヒが多発したことを考えれば、こういう推定も成立するでしょう。
     といって、生活環境の消毒が不必要というわけではありませんが、消毒薬のみにたよらず、もっと他の施策も必要と思われます)。まだ、この頃、とくに眼科では、ウイールス性のものが目立って多くなっており、その他の病気についても、ウイールス性のものが増加しているようですが、そこに、やはり同様な背景があるのではないか、と思われます。
     (もっとも、ウイールス性のものについては、その他の細菌性疾病のように、抗生物質やワクチンが、まだ十分に発達していないことも、その重大な原因でしょうが)。


3-3-6. 全国民の健康が損なわれる恐れ

     このように、細菌の農法では、でなくても有毒作用のはげしい農薬を、いよいよ濃度を高くして、広く多量に使用するようになっている次第です。
     が、こうして、生産数量は一応増加するでしょうが農民も消費者も、それだけはげしく有毒作用をうけるようになっているわけです。精神神経作用に異常をおこしているもの、内臓諸器官とくに口腔や胃腸や肝臓や腎臓に故障がおこって、どうもからだ具合がおかしい、というものが増加するのも当然です。
     ある部落では、大部分の人々に、多かれ少なかれ、アタマやカラダに、おかしな症状があらわれて、なにかのタタリがあらわれたのではないか、と大さわぎしたことがあります。


3-3-7. 微量でも積り積っていくから危険

     くりかえし訴えたいことは、こうした農薬は、たとえ、一度にはいってくる量が微量であり、さしあたり別になんとも作用が起こらなくても、これが積り積っていくと、やがては必ず慢性中毒を引きおこす恐れがある、ということです。
     一度や二度の摂取量のみが問題なのではなく、連続して摂取すること、その全体量が問題なのです。参考までに、一つの事例をあげましょう。
     富山県の神通川流域に住む人々に、中年をすぎると、骨がまがり、これをためそうとすると折れ易いという骨軟化症にかかる人が多いそうです。その原因は、最近あきらかにされたところでは、神通川の水に鉛やカドミュームが比較的多量に含まれていることです。


3-3-8. とくに野菜に農薬を決して使わないこと

     そこで、こうした危険な農薬は、これから一切使わないようにする必要があります。とくに野菜果物のように、どうしても散布後間もなく収穫し易い性質のものには、絶対に使用しないようにしなければなりません。
     が、これは、いうまでもなく、社会的に重大問題です。けれども、農民、消費者すべての健康と生命にかかわることです。農薬の使用禁止によって打撃をうける農民や製造会社に、社会的保障を与えても、危険な農薬を全廃するように、運動を推進する必要があります。


3-3-9. 農薬を使わなくても収穫に変わりなし

     ところで、問題は、こうした農薬を全廃しても、作物がうまくできるか、ということです。私たち仲間の経験では、野菜や米についてはできる(果物その他については目下研究中)。という自信をもっています。
     まず第一に、土地を深く耕やし、堆肥、緑肥、油粕などの有機質肥料を適当に施こして、地力を養ないます。
     第二に、石灰を適量やって、各作物に適した酸アルカリ関係を保ち、また水はけをよくして、各作物に適した水分を保ちます。
     第三に、病害虫の発生時期をそらして作物を作る(ある病害虫の発生時期には、その虫のつき易い作物を作らない)ようにします。
     こうすれば、化学肥料は使わず、農業も、ぜいぜい除虫菊乳剤やいおう剤程度のものを、苗の間に使い、滲透性の危険なものは一切使わなくても、病害虫に犯されることは殆んどありません。
     それは、作物それ自体が強く育つので、病害虫に打ち勝つからです。土壌に有効細菌が沢山いるので、土質がたえず改善され、またウイールスその他の病害虫をやっつけるからです。こうして、少しは病害虫にやられることはありますが、農薬を使った場合と同等の、いなそれ以上の収穫があります。
     いったい農法というものは、土地、作物、病源その他、天地自然の仕組みや理法を正しく理解して、どこまでも謙虚な態度をもってこれに従う以外に、妙手はないのです。化学肥料も農薬も(毒性のごく軽微なものであれば)、ことと次第によっては必要であることもありましょうが、専らこうしたものにたよって、天地自然に立ち向い、これを征服して、意のままにしよう、といった態度は、厳につつしまねばなりません。
     ある応用動物学者がいっているように、専ら農薬によって昆虫をやっつけることは不可能であり、有益動物によって駆除することが最も有効なのです。ダーウインがいっているように「自然界の均衡をこさないわことが望ましい」のです。


3-3-10. 危険な農薬全廃のために組織的な社会運動を

     私たちは、こう考えて、まだ至って小規模なものですが、「健康を守る会」を組織して、危険な農薬の全廃運動を推進しようとしているのです。
     すなわち、さしあたっての方策として、危険な農薬は一切使わない野菜果物を求める消費者をつのり、この需要に応じる農民をつのって、組織したものです。この結果、五条では、もう農民にも消費者にも、殆んどすべて、農薬が危険であることが常識となっています。
     が、過渡的に、まだ野菜果物に農薬を使っている農民も、こうして作った野菜果物を食用している消費者も、かなりいます。が、できるだけ早い機会に、危険な農薬は一切使わないようになること。そして、これが足がかりとなって、こうした運動が全国的にすすめられることを念願しています。

    (おわり)


4. 心機一転法

     S.T. 

     私は此頃生者必滅と云う仏教思想から来て居る

      「一度生を享けし身の滅せぬ事のあるべきや」
     と云う文句を時々高唱し、生に執着するの愚かなる事を自分に云い聞かせて居ります。
     老人になりますと残生の短き事を痛感し、生に執着するのあまり、兎角ノイローゼになり勝ちです。之れは其ノイローゼを誡める好文句と思います。
     又之れは独り老人に必要な文句であるのみならず、若い者にも大変必要な文句ではないかと思います。若い者は老人と反対に、人生を無限のものの様に考えて、之れを浪費し勝ちのものです。
     所が「未だ覚めず池塘春草の夢、階前の梧葉既に秋声」で、人生は恰も消すことの出来ない火の付いて居る蝋燭の様なもので、之れを節約する唯一の方法は、其光を最大限に利用して人生を最有意義に送るより外ないのです。
     之れを誡めるにも此文句は大変有効ではないかと思います。
     併し人生を最有効に利用すると云っても、ノベツ幕なしに働くことが決して有効な方法であるとは参りませぬ、其間に適当な休養リクレーションを摂る事が必要です。
     之れを私は心機一転と云う語で表わしたいと思います。
     此心機一点には色々の方法がありましょうが大体其本業と異った事をするのがよいのだと思います。即ち精神労働をやって居る人ならば精神を休養させて、肉体を適度に運動さす方法をとる事、筋肉労働をして居る人ならば、精神方面を働かして、肉体を休養さすと云う事が適当な事ではないかと思います。
     バスの運転手さんは殆んど皆前に小さなコケシ人形とか釣り花生ケを懸けて居ります。運転手さんは多数の乗客の生命を預かって居る大切な任務の人です。それでバスを運転して居る間は少しの油断も許されないのです。そこで停車中と其他視力の緊張を必要としない時に、眼を此小さな人形又は花に向ける事は、大変よい慰安になる好適な心機一転法なのでしょう。
     其他坐業の人が脚を使う散歩をするとか、時々暇を求めてアルコウ会を作って一日半日の山野旅行をすると云うのも、一つの良い心機一転法ではないでしょうか。近来銀行員会社員等の人が、昼食後の休稽時間を利用してボール投をして居るのを見掛けますが、之れも一種の心機一転策と思います。
     私の知って居る或ドクターは非常に健康に注意して居る人ですが其人は毎朝出勤前に300回程、縄跳びをし又午後2時間位テニスをすると云うて居ります。
     此ドクターは最早70に手の届く年令の人ですが、40才台位の油の乗りきった働き盛りの人の様な容姿で患者を診察して居ります。
     却説心機一転の具に供せられるものを少し拾って茲に挙げて見ましょう。囲碁、将棋、書画、骨董、生花、盆栽、散歩、旅行、読書、新聞、雑誌、劇、其他の興業物、音楽、謡曲、小鳥飼、和歌、俳句、茶ノ湯、香焚き、坐禅、入浴、体操、知人との閑談、リクレエイション、小食事等々です。
     之等は凡て心機一転の具です。但し之れには適当な程度が必要です。度を過ごすと反って害になります。之れによって若い者は益々元気になってフルに其本業に精進し、老人も健康を保持し延命して分相応な働きをして少しでも人生に貢献してゆくと云う事が出来るでしょう。即ち「一度生を享けし身の滅せぬ事のあるべきや」に徹底する事が出来るのです。


5. 頭を冷静に

     感情を抑えるよりは、それを表に出す方が、血圧に対しては良い影響を与えるように見える。この抑えられた怒り(感情)と高血圧症との間には、きわめて密接な関係があることの明らかに証拠をChicagoのDr,Donald Okenは、10名の精神障害患者についての研究を、報告した。
     怒りを抑えて表面にあらわさない患者は、怒りを声や動作によって示す患者よりも、血圧を高め、ことに、心拡張期血圧(最低血圧)をはるかに高めるので、いっそうよくない。高血圧症の事故は最高血圧の上昇よりも、むしろ最低血圧の上昇の方がはるかにおこりやすいからである。

    メジカルダイジェスト52(1960)


6. 農林省厚生省 収穫前の散布期間厳守を指示

    大津市 Y.T. 

     昭和36年7月29日付の日本経済新聞は、要旨つぎのような報道をしています。

       最近、パラチオンなどの農薬を、収穫まぎわの野菜果物に散布すると、無毒化されずに残ったものが、くりかえし人体にはいり、肝臓障害などを誘発する恐れがある、という声が医師の間から出ている。
       このため、農林省では、厚生省と協議した結果、パラチオンなど三種の農薬について、散布期間を定め、このほど各都道府県に、両省共同で「収穫前の散布期間を厳守するよう」指示した。このほか、農林省では健康保持のため、その他の農薬についても散布期間を決め、農業による慢性障害の防止に乗り出すことになった。
       パラチオンは、2週間前を原則とするが、とくにキャベツ、白菜などの葉菜類については3週間前。メチルジメトン剤(みかん、りんごなどの果実用)は、散布は4週間前、塗布は5週間前。モノフルオール酢酸アシド剤(果樹用)は、4週間前。なお、こうした期間は、わが国では、まだ十分に試験データがないので、アメリカにおける調査資料に基づいて決めたもの。その他の農薬についてはアメリカにおいても、まだ十分な調査資料がなく、ねずみなどの動物実験でも、一つの薬品について結論を出すまでに、二年以上はかかるので、すべての農薬の散布期間を決めるには、相当長期間かかるわけ。

     ――さて、こうした期間が実際上厳守されるようにするため、どんな手がうたれるのであろうか、また、たとえ厳守されたとしてもはたして本当に慢性中毒をおこす恐れはないのだろうか、自分の健康と生命に、みずから責任をもたねばならぬ以上、一度も二度も考えてみる必要がありはしないでしょうか。


7. 乳児のときから青汁を

    倉敷市 E.I. 

     子供たちに、乳幼児の時から青汁を始めて、本当によかったと喜んでおります。
     上は女の子で、6才、下の男の子は、としごでございます。私は、たてよこ小さく、体も弱い方で、よく、かぜをひいたり疲れを出したりします。主人も、最近はあまり病気をいたしませんが、小さい時は弱かったそうです。こんな二人ですし、よくとしごは丈夫に育ちにくいと言われていますので、下の子が生まれた時には、どうしたら丈夫に育てられるかと、大変に心配しました。
     幸い、叔父が大変熱心に青汁をすすめてくれますので、前々から時々は飲んでいたのですが、この機会に家族全員、本気に青汁を始めることにいたしました。
     下の子に始めたのは、生後3ヵ月頃からです。初めのうちは、午前中にスプーンを青汁にしたしてなめさせる程度にし、おなかの調子をみながら、だんだんと増してゆきました。
     お誕生の頃には、たしか5勺位になっていたと思います。この頃は毎日1合飲んでおります。母乳以外、甘いお菓子の味など全く知らない時に始めたせいでしょうか、青汁が大好きで、お菓子など、そんなにほしがりませんし目につくような偏食もございません。虫歯もまだ、みあたりません。
     先日も、幼稚園からみなさんとご一緒に、西小学校のプールへ行ったのですがはだかになった時、つきそいのお母様方が、私のところの男の子のからだを見てみなさん、びっくりなさいました。引きしまって、色ツヤがよいのです。へいそから、とても力が強く、インコツのようにかたいからだ、とは思っていましたが、こうしてほかのお子さん達と比べてみると目立って頑丈なのには、内心私もびっくりいたしました。これは、乳児の時から、かがさず飲ませている青汁のおかげだと、とてもうれしゅうございました。
     上の女の子にも、生後2年頃から青汁を始めたのですが、なにぶん甘いお菓子の味を知っていましたので大変手がかかりました。お母さんのおっぱいよりおいしい「青いお乳」と、なだめ、すかして始めたのですが、そのうち「青いお乳ちょうだい」と求めてくるようになりました。
     この頃は毎日1合よろこんで飲んでおります。でも、やはり下の子とちがって、食事にもいくらかムラがありますし、今でも甘いお菓子の味が忘れられない様子です。この春二人の子供が、一度にハシカにかかりましたが、そんなに手をとることもなく、大変らくに治りました。
     ハシカ以外病気らしい病気はしておりません。乳幼児のときから、青汁を飲ませて、本当によかったと心から喜こんでおります。

    (36・8・8)


8. ケールのつくり方

    岡山市 M.T. 

     ケールの種子は稔り難いですから、普通野菜の種蒔の様にせず、特別の蒔方をすれば、一家庭に4、50粒で充分と思います。

    1. 土を篩でおろし左図の如く床を造る。
    2. 大筆位いの竹を寝させて押えると半径の溝ができます。
    3. 溝の中に図の如く一寸間位に一粒づつ入れる。
    4. 小砂を溝一杯に覆いする。
    5. 発芽するまでは硝子(ビニール)覆が必要。発芽後も覆は必要です。

     斯すれば90%は芽が出ます。一寸位になったら間引して移植します。度々移植すると丈夫なのが出来ます。翌年春3月頃に花がさきますが、花を咲かせず切取って芽を出させますと、苦心して苗を植えて造るよりも楽で完全なのが取れます。枝を一株に3本位目通りに仕立ます。虫取に楽です。雨が降っても地面のどろが上らないから清潔です。私方現在仕立て居りますのは一昨年の秋蒔の分ですが優秀です。一度御覧下さい。


9. 青汁の歌 十四首

    文学博士 H.Y. 

    神農の噛みしももくさわかちつつ生の力を証すきみはも
    緑ばの生の力を証しつつ正しき食の道を説くきみ
    青汁の著るき効に世の病いやさんきみの情あふれて
    いやちこに奇しき効験の青汁に病なき世をきみはみるらん
    (みるは想像するゆめにみるのこころ)
    みどり葉の藍より青き青汁に湛ゆるきみのめぐみあふれて
    天地の恵みの露はきみ故に人を湿ほす時となりけり
    天地の恵みの露はきみ故に医薬及ばぬ民に及ばん
    (高価なる新薬医薬など手の届き難き貧民にも青汁の恩恵は及ぶべし)


10. 遠藤青汁の会より

     “青野菜・青汁材料には、虫くいの跡があり、虫のついているようなものを、おすすめします。危険な農薬がかかっていない証拠です。栄養分が多く、おいしい証拠です。”



11. 質問箱 C以外にこわれるのは?

    金光町 I.T. 


     ビタミンCが一番早く消失すると聞いていますが、他のビタミン、ミネラル類は何時間たっても構わないのでしょうか。


     C以外にもいろいろあるでしょう。少くとも葉酸もその一つです。しかしミネラル類はもとよりビタミンAやB1,B2などは変りません。


コラム紹介

    十月の詩

    深山 旅愁  
    部屋の飾り付けや、
    物の置き場所を替えると、
    変った居心地がうまれる。
    なれっ子になると、のび切ったゴムみたいになる。
    なれっ子の心を、たるんで居ると云う。
    時には旅をすることだねえ、
    変った空気を吸えば、
    再び新しい動きをみせて、
    心に張りが出来てくるから。



    人生の声
    沙門  悟
    健康なからだに徒歩がしてくれる



    人間が目先の利害だけを考え、
    自然の複雑な関係を無視して、
    自然界に手を加えていると、
    自然から手ひどい仕返しを受ける。
    ストアラー「自然と生命のパレード」より



    “おかしなはなし”
    ある農業改良普及員は、
    自家消費の野菜を、
    化学肥料や農薬は一切使わずに
    自給しているとのことです。







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