<1985年3月15日発行 第343号>
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目次
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1. 滋養になるもの
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医学博士 遠藤 仁郎
からだが弱いとか、病気したとき、あるいは、カゼの流行期などになると、きまって、滋養になるもの、栄養のあるものを、うんと摂って、体力をつけ、抵抗力をたかめよといわれる。
しかし、その、滋養になるもの、栄養のあるものについては、あまりくわしいことはおしえてもらえない。
そこで、ふつうには、カロリーの多いものとか、蛋白質にとんだものが、栄養価がたかいといわれるから、そういうものがよいのだろう。
また、昔から、うまいものは身につくというから、うまいもの、好きなものをうんと食っていればよいのだろうと、真白いご飯に、肉や魚や卵のおいしいおかずをそえて食べたり、いわゆる滋養食品・栄養食品として売り出されているものを食べている。
なるほどそうすると、からだはふとって来るし、元気そうにもなるので、体力・抵抗力がたかまるかのように感じられる。
けれども、そういうものばかり食べつづけていると、ながい間には、かえってからだをいため、抵抗力をよわめることにもなりかねない。
なぜかといえば、そういう食べものはカロリーや蛋白質にはとんでいるが、それが体内で処理(代謝)され、体力になり、抵抗力になるために必要なミネラル(アルカリことにカルシウム)やビタミン類に乏しい、いわゆるエンプティ(からっぽ)のカロリー食品ばかりであり、血がにごる(酸性にかたむく、有害な代謝産物ができるなど)。
また危険な生産用薬や添加物に汚染された食品が多ければなおさらだ。
血がにごると、からだ中のはたらきに狂いを生じ、体調をくずし、体力・抵抗力をよわめ、病気しやすくなり、老化をはやめるおそれが多分にあるからだ。
だから、いかに滋養があり、からだによいといわれているものでも、そのままでは、決してためによいものではなく、ミネラル・ビタミンがそろって、すなわち、全体としてバランスがよくとれていなければ、本当に身につくものではない。
しかも、そのミネラル・ビタミンは薬でではなく、自然の食べものでそれらにとんだもの、つまり、良質ナッパからとるべきであるから、それが十分そえられてはじめて本当の滋養物になり栄養物になるのだということ。
したがって、滋養になり栄養があるといううまいものが食べたければ、かならず、それに釣り合うだけ十分のナッパを食べなければならないし、ナッパさえ十分、それに相当するだけ、あるいは、それ以上にも食べていれば、どんなものでも、安心して食べられるんだということはよく心得ておきたい。
(59・6)
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2. 天敵利用の無農薬自然農法
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渡辺 忠夫
夏にはエンサイ、バイアム、冬にはケールと小松菜と濃緑粗朴な、強健な蔬菜を農薬を一切使わないで、自給栽培しましょう。
小鳥やトンボ、カマキリ、クモの類やガマ蛙、トカゲの類等害虫を喰べて蔬菜を守ってくれる天敵を可愛がってうまく利用しましょう。
菜園のスス払いをしてクモを殺すのは害虫のお手伝をした事になります。
ガマ蛙やトカゲは夜の菜園を守って蝸牛(かたつむり)夜盗虫等夜行性の害虫を捕食しますから、形がみにくい故をもって、いぢめて追払う様な事をしない様に願います。
農薬は害虫も益虫も共に殺し人間の健康を害しますから、一切の農薬を使わずに天敵任せにしたらよいと主張するものです。
『あなたはそれでも良かろうが、自分達は生活が掛っているから左様には行きません』と農家の方から反論されました。
皆私達が学んだ農業には賀川豊彦の立体農業論とか、多角経営の晴耕雨読自活論とか、農園芸自体に理想が在って『商工従業者並みの金銭収入が目的だ』とか、金さえ儲かれば自他の健康や生命を多少無視しても、法律で許された範囲の農薬を使って何が悪い、と言った金儲け萬能主義の農園芸はありませんでした。
間違いだらけの日本の農政に混迷を深めている農家に言っても無駄ですから、せめて延才園芸の家庭菜園だけでも、完全な無農薬で天敵動物愛護に徹して頂き度いと念願します。
(59・10 延才会報から)
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3. ナッパ・青汁の効
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医学博士 遠藤 仁郎
ナッパの生のしぼり汁である青汁は、たしかに、健康のためによいし、病気をなおすのにも役立つ。薬効成分があるのでもない、ただの青ナッパにすぎないのに、なぜだろうか。
もっとも、緑の葉には、血色素(ヘモグロビン)と化学構造が全く同じで、ただ中心になっているミネラルが鉄とマグネシウムのちがいだけという葉緑素(クロロフィル)がある。
そして、その製品にはいろいろの薬効があることがわかっている。
そこで、青汁の効はその葉緑素のためだろう、としている人が少なくない。
けれども、葉っぱや青汁の中の自然の葉緑素は全然吸収されないから、その効果とはかんがえにくい。
ただし、口から肛門にいたる消化管の中では、直接の効果、たとえば傷の治癒促進とか、脱臭効果といったことはもちろんある。
さて、草食獣は草木の葉っぱを食べてそだち、肉食獣はそれを食って生きているし、われわれは植物のすべてと、それでそだった動物の肉・卵・乳を食べて生きているのだから、草木の葉っぱは、大地のミネラルと太陽のエネルギーとによって、これらの生命のもとを創造しているわけだ。
そして、その緑の葉が草食獣の唯一の食べものであることからわかるように、葉っぱ、したがってナッパにはかれらが生きるために必要な栄養分(カロリー・蛋白質・ミネラル・ビタミンその他)が完全にそなわっている。
しかも、とりわけ注目すべきことは、とくにミネラル(アルカリ・カルシウム・鉄、その他痕跡成分など)とビタミン(A・B1・B2・ニコチン酸・葉酸その他のB群ビタミン、C・E・K・Pなど)にとんでおり、とかく不足がちなわれわれの日常食のそれら(ミネラル・ビタミン)を補って十分余りがあることだ。
いいかえるなら、ナッパなしにはわれわれの栄養を完全にすることはできないのであって、十分のナッパをとることによってのみ、はじめてわれわれの食のあやまりを正すことができ、食のあやまりによって招かれている血のにごりをとり除き、からだ中のすべての細胞・組織・臓器のはたらきを完全にして、体力・健康力・生命力をもりあげることができる。
このことこそがナッパ・青汁にいわれている効能のもとであり、そこにこそナッパ・青汁の重要性があるといってよかろう。
(58・8)
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4. 肝炎の検査データ
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医学博士 遠藤 仁郎
「肝炎で3〜4ヶ月まえから青汁をやっている。大変調子がよくなりよろこんでいました。それが1月になって狂って来、検査データがすこし悪くなった。青汁をつづけているのに、なぜだろうか?」
「材料は?」
「自家産のケール。」
「農薬は?」
「つかっていません。」
「分量は?」
「3〜4合。」
「何か薬でも?」
「なにものみません。」
「ほかの食べものは?」
「みな手づくりで、安全性はとくに気をつけています。」
「なにか変ったことは?たとえばお正月?」
「いそがしかった。」
「そのためかも知れませんよ。何分鋭敏な反応で、わずかなことも影響します。
それに、年末から年始にかけてはどうも、あれこれ故障のおこりやすいものです。
私自身も1月中ほどに神経痛やシビレが出て、しばらくつづいたことがあります。平素あまり食べない餅や菓子や酒など、ついすごしたためと思っています。」
「自覚的にはなにか変調が感じられました?」
「いや、体調は少しも変りません。食事はおいしいし、疲れやすいともだるいとも思いません。ねむりも便通もよろしい。」
「それじゃあ、あまり神経質にならずに様子をみられてはどうですか。検査上のミスということがないでもありません。肝炎のデータについては、いつも、むかし、肺結核のおそれられた当時のことを思い出します。私もやった覚えがありますが、おかしいと思って毎日検温し、一分二分の熱にひどく神経をとがらせたものです。そして、少々の熱はあっても、体調さえ悪くなければ、気にしないことだ。
少しも心配はいらない、といわれて安心すると、熱は自然下がってしまう、といったことがよくありました。
肝炎のデータはまったくそれと同じ、気にするだけでも高くなります。
多少の凸凹はあっても病勢はそうそうむやみに動くものではありません。
いつもビクビクしており、そのたび毎に一喜一憂するのは、少しもプラスしないばかりか、むしろマイナスの条件を加えることになります。」
(59・1)
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5. 小児心臓病
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医学博士 遠藤 仁郎
ママ、気をつけて 酒、たばこ、薬も影響
「ウーマン・リブとやらで女性が地位向上を果たしたのは喜ばしいが、男から奪った酒とたばこは彼女らの健康を損ね、こども達にも悪影響を及ぼしている。
若い女性は何をはき違えているのだろう」
新生児百人に一人、この驚くべき先天性心臓病発生率の原因を米コロラド大、J・ノラ教授は皮肉たっぷりにこう説明した。
5年前の本紙主催・心臓病国際シンポジウムでの講演である。
ノラ教授はいう。胎児の心臓は妊娠2ヵ月以内に大体の形ができあがる。
その間に妊婦が毎日アルコールを飲めば25−30%、風疹に感染すると35%の割で心臓奇形の赤ちゃんが生まれてくる。
同じようにホルモン剤、睡眠剤、食欲抑制剤も危険という報告もある。そのほとんどは今、妊娠女性の常識になりつつあるが、百人に一人の確立は減るどころか、逆に微増している。
しかも、もっと重くもっと危険な症例が−。
昨年暮れ、東京女子医大病院の新生児センターに生後まもない赤ちゃん(男児)が運び込まれた。チアノーゼの出た顔は青く、脈もかすか。赤ちゃんは手の施しようもないまま、その日のうちに死んだ。
解剖所見は「新生児肺高血圧持続症」。
心臓そのものには異常がないのに、肺全体にウッ血症状が見え、そしてチアノーゼ。
先天性心疾患と同じ症状を示す奇妙な病気で、最近になってやっと日本やアメリカの学会で症例が報告され始めた。
重症だと、生後、2、3日で死ぬ恐ろしい病気だ。
「妊娠中、お酒かたばこは・・・」門間和夫助教授(46)は、まだ涙が渇ききらない若い母親にそっとたずねた。
「いえ、酒もたばこも・・・。それに、風疹の検査も大丈夫でした」。
外出にも気をつけ、医者から早産止めの薬ももらった。
“犯人”はそれだった。
インドメサシンという座薬。
薬効は早産止め以外に解熱、鎮痛作用もある。
さらにもうひとつ、恐ろしい副作用がある。
「ヘソの緒を通じて胎児に入る母親の血液は肺動脈から動脈管というバイパス血管を通って大動脈に流れます。
そのバイパスをこの薬が収縮させ行き場を失った血液が活動前の肺に流れ込むんです」
肺はウッ血し、分娩後の呼吸を不能にしてしまう。
母親は赤ちゃんを思って薬を使用した。
処方した医者も思いは同じだったろう。
しかし、逆の結果を招いた・・・。
門間助教授はこれまで解熱、鎮痛剤40種を赤ちゃんサイドから研究し、インドメサシン系を含め34種の危険薬を見つけている。
この中には、あのアスピリンも含まれている。
「あなたの薬が赤ちゃんを死に至らしめた」門間助教授はその日のうちに問題の薬を処方した産婦人科医に電話し、その事実を告げた。
「でも、産婦人科医に限らず、内科、歯科の医者の中にもまだ不勉強な人が多いんです。妊婦に多い腰痛や歯痛に、今現在も危険な薬が調合されているんです。」
気をつけてママ。
それは胎児からの命をかけた呼びかけである。。
(58・5・3 サンケイ)
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6. 糖尿病でも一定限度の砂糖はよい
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British Diabetic Associationの最近の報告によると、糖尿病患者に対し過去40年間与えられてきた食事上の助言の多くは、おそらく有害だったと思われる。
特に、炭水化物を避けるべきだという助言は、脂肪の摂取量を増す結果となり、それが冠動脈性心疾患の頻度を高めている原因かもしれないという。
さらに食事上の通説に反する所見としてHotelDieu病院(パリ)のG.Slama博士らは、食事終了時の糖(ケーキとして与えた蔗糖20g)が血糖やインスリン・レベルに影響しない、と報告し次のように述べている。
「最もよく行なわれる糖尿病食の処方では、単糖の使用を低血糖反応の矯正に限っている。
これは、単糖が複合炭水化物より早く吸収され、血糖値を高めるという通念によるものだ。
この単純な差別が、あまりにも融通性のないものであることは、いまや明らかである。
砂糖は、黒糖やソルビトールより優れた栄養のある甘味料だ。一定限度の砂糖を使用できれば、糖尿病患者は特に自宅外で食事するとき、血糖管理に悪影響を生じることなしに他の人たちと同じ食物をとり、他の人たちに近い生活をしていると感じることができよう」
(Medical Tribune 1984.9.12)
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7. 青汁卅年
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和仁 政子
緑葉の大きな力を一人でも多くの方に知っていただきたいと努めております。
高血圧、硬化症、心臓病など、以前は体質的なものとして救われなかったものが、青汁の偉力により好転し、次第に体調を回復されるようになり、ほんとに有難いことと敬服し感謝いたしております。
今夏もベランダで青じそを作り、大人の掌大1304枚収穫し、今までの最高でした。
成育は大変よかったのですが、5月末から8月下旬までと早く終ってしまいました。
下部の小葉を取ることがよくなかったことを後で知りました(園芸の本)。
来年はもっとよく作りたいと思っております。
しそ葉が手近にありますと、手間もかからず三食に利用でき、大変調法いたします。
廿九年、生れてはじめて3ヶ月の入院生活をしましてから卅年。
その節、元気だった父が見舞ってくれご著書「緑葉食・青汁の話」を呉れました。
直感的にこれはいいと思いましたが、さて飲めるかしらと不安でした。
清浄野菜をもらって摺鉢で作ってみましたが、小松菜系の野菜で、水分が多く割合のみやすく安堵したことを今も思い出します。
これが「緑葉食・青汁」のはじめての出会いでございました。
それから丸卅年ご指導いただき、いつも有難く思っております。
お蔭さまで私の体質(母方の体質の様で・・・)もいくらか変ったのではなどと思っております。
(59・9)
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8. 薬はねむっている
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岡山県 M.Y.
青汁叢書第十輯「こうするしかない」をご恵贈いただきまことにありがとうございました。
さっそく拝見。一気に読了させていただきました。
友人たちにも同読するようにしたいと思っています。
退職後、約12アール(一段ニ畝)の畑に芋類・豆類・根菜・緑葉菜を栽培し、友人・知人にも食べてもらっています。
殺虫剤・農薬を使用しないので除草、青虫退治に追われますが、おかげで家内も極めて健康です。
ケールも大きく育っていますが、何といっても緑葉食が第一です。
時に訪ねてくる友人が「ご飯はあまり食べなくても、よくもまあ、野菜ばかりこんなに食べられるものだ」と、おどろく程です。
健康保険はかなり高額の保険料(税)を納入しますが、一度も使用しないというので、毎年贈ってくれる救急薬セットがたくさんたまっています。
こんな贈物も私どもには何だか無駄のように思えます。
何万円もするバファリンや、正露丸が箱の中で眠っているようです。
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9. メニエール
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10. 字も書けだした
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藤沢市 K.S.
大勢の人々が青汁を知ることと愛用することが、健康と幸福につながる道であり、方法であることを認識してほしいと存じます。
私も、文字も書き難い状態だったのが、拙文乱筆ですが、ごらんの通りの程度までに回復してまいりました。
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11. 血色がよくなった
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12. 脂肪の取りすぎご用心
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新潟県 J.M.
胆石患者が急増 20年前の5〜6倍
豊かになった食生活を反映して最近、おなかの中にコレステロールが固まってできる胆石患者が、急速にふえている。
胆石は小さいのはケシ粒、大きいのは卵くらいもあり、胆ノウ、肝臓などにでき、エクス線撮影などでポッカリと浮き出る。
多い人は20〜30個も持つ。激痛で、病院へ駆け込む人もあれば、サイレント・ストーン(沈黙の石−無症状胆石)と呼ばれ、まったく自覚症状のないケースも多い。
岡山市内の病院の調べでは20年前に比べ患者数は5〜6倍近くもふえており「脂肪の取りすぎにご用心」と医師は注意している。
胆石は肝臓に含まれているコレステロールがかたまってできるのと、ビリルビン(胆汁色素)が胆ノウ、胆管に沈着、凝集して石になる場合の二つに分けられる。
いずれも、胆ノウの中の石が移動して胆ノウ管をふさいで、右上腹部に痛みが出、熱もあり、肩や背中にも響く痛みが出る。
また総胆管に石が落ち込み、黄ダンになるケースもある。
治療は石のある胆ノウを取り除く手術、薬でとかす方法、スプーン状の管を総胆管に入れて取り出す方法−などがある。
岡山市内の大病院では、胆石による痛みで手術を受ける人がふえる一方。
岡山済生会総合病院(岡山市伊福町)の話では20年前、年間20〜30人の患者だったのが、最近は年間120〜130人が手術を受け、5〜6倍にもなっている。
これはCTスキャナー(断層撮影装置)超音波、エクス線など発見技術が大きく進歩、サイレント・ストーンも発見が容易になったこともあるが、大きな原因は食生活の変化。
これまで胆石といえば、肉食中心の欧米人はコレステロールがたまり、コレステロール石、野菜食の多い日本人は寄生虫、胆道の感染などが原因のビリルビン石−というパターンに分かれていた。
同病院でも20年前はビリルビン石の方が3対2の割合で多かった。
ところが、38年ごろを境に逆転、最近はコレステロール石の方が3倍も多くなっている。
間野清志同病院副院長(消化器外科)は
「日本人の食事が肉、卵、バターなど動物性の脂肪分を多くとるようになり、体内にコレステロールが多くなっている。
反対にビリルビン石は原因となる寄生虫が減っており、これも原因の一つでしょう」
と見ている。ちなみにコレステロール石は、ブルー、イエローなどで光沢があり、カフスボタン、タイピンにしても似合いそうな石がある。
ビリルビン石は黒く、コークスの様なものが多い。
(57・2・5 山陽)
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13. 質問箱 青汁はからだを冷やすす
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コラム紹介
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