<1983年9月15日発行 第325号>
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目次
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1. 老人性掻痒症
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医学博士 遠藤 仁郎
「75才の老人。かねて高血圧があり、脳血栓を3回やっています。北海道のもので、夏は北海道、冬は息子のいる京都、というくらし。いまは、3度目の脳血栓で京都にいます。すすめられてピロサンを毎日3袋のんでいますが、さいきんからだが痒くて困っています。ピロサンのためでしょうか」との電話。
「ピロサンのためとは思えません。何かのカブレではないでしょうか。」
「かかりつけの先生は老人性掻痒症だと、薬を下さいました。けれども、それをのむと食欲がなくなり調子がよくないのでやめています。」
「その他には?」
「高血圧のほかに痛風があるので、その薬もずっとのんでいます。」
「そうだと、それが原因とも思えません。次に問題になるのは食べものです。ご飯や間食はどうですか。」
「元来ご飯好きでよく食べ、お菓子も大好物。」
「それが原因かも知れませんナ。」
「しかし、いまは先生にとめられて、梅干しくらいのおにぎり3ケと制限されていますし、お菓子も食べないようにしています。」
「それは結構ですが、いっそのこと、ご飯をやめてイモに、肉や魚よりは大豆ものに、そして、ナッパを主とする野菜・山菜・海藻などを多くすべきですが、平素野菜はどうですか。」
「わりと食べる方ではあります。」
「もっとも野菜といっても何でもよいのではなく、ナッパ類でなければダメですし、それもうんと必要です。」
そこで青汁ということになるわけですが、それも少々ではダメ。なまの青汁で少なくとも3合(もとのナッパ700〜800グラム)以上、4合、5合でも、多ければ多いほどよろしい。ピロサン(緑袋)だと、1袋が生の5勺にあたるようですから、少なくとも5〜6袋、できれば8〜10袋あるいはそれ以上ということになります。
それと、ほかの食べもの(調味料、嗜好品も)もなるべく自然の安全なものにして下さい。インスタントものや出来あいの加工・保存食品にはいろいろ添加物があり、それが痒み(カブレ)の原因になることが少なくありません。これらの点にも十分気をつけ、安全良質のナッパ・青汁(ピロサン)中心の正しい食事をとっていれば、老人性掻痒症もかなりよくなります。(57・1)
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2. 小鳥なみ
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医学博士 遠藤 仁郎
「市内の54の主婦です。10年ほど前から、からだ中に吹出物がし、ここ1〜2年はとくにひどく、痒くてたまりません。いろいろ手当してもらいましたが、一時しのぎにすぎず、一向に治りません。青汁がよいと聞きましたが、どれくらい飲めばよいのですか」との電話。
「おそらく、ご飯や砂糖、肉や魚や卵がすぎるという、食べもののまちがいから来ているのでしょう。おかずは?」
「魚がすきで、野菜はあまり多くありません。」
「お菓子は?」
「大好きなんで……。」
「そこいらに原因がありますよ。ご飯、魚、糖分などが多くて、野菜が少ないと、どうしても血がにごってきます。そしてカブれやすくなり、吹出物が多くなります。そこで青汁が必要になるわけですが、少々の分量ではダメ。少なくとも1日4合(もとのハッパ1キロ)以上くらいは飲まなければなりません。」
「市販の青汁では何本?」
「あの1本は5勺、ナッパの120〜130gですから、毎日8〜10本以上ということになります。青汁は、そうした食事に不足しているミネラルやビタミンを補って、食べもの全体としてのバランスをよくし、血のにごりをとるのが目的です。そして、健康なものでも良質ナッパ400〜500gは必要ですが、どこか異常のあるばあいはもっと多い方が、いや、多ければ多いほどよいのです。また、甘いものがすぎると青汁のききめがへりますから、菓子やジュースなどは極力ひかえ、味つけの砂糖も少なくして下さい。もひとつ大切なことは、食べものはすべて安全なものにすること。農薬その他生産用薬剤のかかったものや、いろいろの添加物のはいった、インスタントものなど出来あい食品はできるだけさけることです。それは、それらの中にカブレのもとになるものが少なくないからです。で、主食品には白米よりは玄米、雑穀、豆。さらにイモがよいし、肉や魚の切り身よりは小魚、もっとよいのは大豆。それに安全なナッパをうんとそえ、調理は簡単に、味つけはうすくする。」
「先生のいわれるイモ・マメ・ナッパ・青汁ですなあ……。」
「そうです。」
「それじゃあ小鳥なみですなあ……。私のうちでは小鳥を飼っていますが、農薬のかかっていない雑穀に、新鮮なナッパ、そしてキナコをやっています。」
「それが、つまり、イモ・マメ・ナッパ食。小鳥さまの方が人間さまより、ずっといいものをもらっているわけですよ。それに小鳥は砂糖を食べません。あなたも、せいぜい小鳥なみにやられることですなあ……。」(57・12)
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3. 心筋梗塞にかかって(10)
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前回参照 |
友成 左近
内科にもどって発熱の治療を
前記のようなしだいで、手術後の治療は、心臓外科としてはほぼ終了したのですが、11月の16日、もっとさかのぼれば5日に始まった原因不明の発熱が、相変わらず続いています。そこで、12月17日から、「モチはモチヤで」というわけで、内科にもどって治療を続けてくれるようになりました。(といって、まえに内科から心臓外科に移ってからも、内科の医長がほぼ毎週1回診察してくれたのですが、それと同様に、内科にもどってからも、心臓外科の医長が回診してくれました。)
ところで、内科にもどってから、念のため重ねて、発熱時の静脈血や動脈血を採って検査し、また超音波やラジオアイソトープなどで調べてくれたのですが、どうにも決定的な発熱原因はつかめませんでした。そして発熱は、7度5分から8度程度であり、それに先立って頭痛が起こり、ときには寒気もする、という具合です。そして日によっては、鎮痛剤(ポンタール)だけで辛抱できることもあれば、朝夕2回も発熱して、その度毎に解熱剤(インダシン)を使うこともある、といった有様です。そのうえ、鎮痛剤の副作用で(初めの間ついうっかり、頭痛がするままに空腹時でも服用したため)胃をいためて、食欲がひどく減退しました。
ために、なんともやりきれない思いがして、療養姿勢がくずれそうになるときがありました。
が、それをどうにか立て直して、マトモに療養に心がけたのですが、その手がかり足がかりの第一は、これまで長年のあいだ青汁食養生をご指導下さっている遠藤先生のご教示です。
先生は、私この度入院して以来、毎週一度木曜日に、診察に登院された序に病室に来られて、あれこれとご教示下さったのですが、こうした原因不明の発熱については、つぎの通りでした。
こうした発熱は、察するに、今日の医学では検出しかねるビールスやカビなどが、それも、さして病原性のないのが、体内のどこか弱いところに、病巣をつくって繁殖するからであろう。そしてそれは、手術で一時体力が、とりわけビールスなどに対する抵抗力が低下しているからであろう。それで、こうしたビールスが病巣をつくって繁殖しても、もともとさした病原性はないので、低下している体力でも、これに抵抗して、おさえつけることができるので、そう高熱にはならない場合が多く、また、解熱剤を使えば、うまく下熱し、別に使わなくても、やがてはしぜんに下熱するのであろう。
が、こうしたビールスは、なんともシブトイので、いったんおさえつけられても、おさえつけている体力が弱いため、また繁殖するので、毎日のように週期的に発熱するのであろう。そこで、こうした発熱に対処するには、そこに的確な治療法がないので、症状に応じて適宜、体を温めたり、氷枕をしたり、また鎮痛剤や解熱剤を使うことは大切でしょう。
が、それと共に、ぜひ心がけねばならないのは体力の強化であり、そしてそれには、なによりもまず食養生に、よりいっそう精出すことが大切であって、そうすればそのうち、毎日発熱するようなことはなくなり、そしてやがては、全く発熱しないようになるだろう。要約こういうご教示です。
そこで、どんなに食欲のないときでも、まず第一に青汁を、これまでより少し増やして毎日4合、それも青汁粉末で成分を2倍に強化したのを飲み、その他の食物も、これまで以上に改めて、毎度しっかり食べるようにしました。また、そうイキがあがらない程度に、毎日何回か廊下を歩きまわって、適度な運動に心がけ、それから、夜間に十分眠れるように、昼間はつとめて眠らないようにしました。
そうして、そのうち必ず発熱しないようになるだろうと、とにかく気ながに、そのときの来るの待つことにしました。さて、こう心がけて療養につとめているうちに、その効果があらわれてきたのか、さして頭痛や寒気はせず、そして発熱も7度をそうこえない日が多くなりました。そして大晦日には、夕食後に多少頭痛がしていたのですが、就寝時刻の9時に、7度ちょっとあったので、これ幸いと、鎮痛剤も解熱剤も使わずに就寝しました。
すると、いつもより早く寝つき、そして夜半に、全身が少しホテリ、汗も少し出て目ざめたのですが、そのとき6度5分に下っていました。そして間もなく、気持よく寝ついて、翌朝5時すぎに目ざめたのですが、そのとき6度1分で、気分がしごく爽快でした。思えば、11月の16日、もっとさかのぼれば5日以来、殆んど毎日、頭痛が起こり、ときには寒気もして発熱していたのであり、そして、きょうは軽いからと、鎮痛剤や解熱剤を使わずに就寝すると、やがては下熱するものの、その間、度々目ざめ、そしてその後の寝つきが悪く、ために朝の目ざめが、なんとも不快であったのです。
が、大晦日には、頭痛も発熱も軽くはあったものの、鎮痛剤も解熱剤も使わないのに、いつもより早く寝つき、そしてやがて、ほどよくホテって発汗もして目ざめたときは、下熱し始めており、そして間もなく気持よく寝つき、朝方元旦に目ざめたときは平熱になっており、気分も快適であったのであって、いうなれば、なんともありがたいお年玉をいただいたしだいです。
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次回参照 |
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4. カルシウムの錯覚
乳製品だけでは不足 小魚、海藻類をもっと多く
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日本の食事のなかに
カルシウムのとりかたが少ないとよくいわれます。骨折などが多くなり、その原因はカルシウム不足だと指摘されています。では乳製品などを多く食べるようになったこのごろの食生活にどうしてカルシウムなどが足りないのでしょうか。
実はそこに錯覚があるのです。確かに牛乳などをはじめとして、チーズ、ヨーグルトといった乳製品のとりかたは多くなりました。これらにはカルシウムが豊富に含まれています。ところが、実際に、カルシウムのとりかたをみますと、非常に少ないのです。日本人の平均所要量に対して、平均摂取量がどれくらいになっているかをみると、大人の場合はカルシウムが600ミリグラムでよいのですが、すべての年齢の平均である平均カルシウム所要量の方は700ミリグラムになります。しかし、国民栄養調査では、ずっと600ミリグラムに満たない状態が続き、カルシウムのとりかたは確かに低いのです。
ではどうして、乳製品が多いのに、カルシウムのとりかたが少ないのでしょうか。くり返すようですが、それが錯覚なのです。確かに乳製品にカルシウムは多く含まれています。しかし、一方で、日本の食事の中のカルシウムを支えてきた小魚、海藻、緑の濃い葉菜類などからのカルシウムの量が減ってきていることを見逃していることが、このようなことになったのです。カルシウムがどのような食品群から多く供給されているかを調べると―。
確かに乳類は第一のカルシウム源ですが、それにほぼ近く野菜類があります。そして、今までの日本の食事ではおそらくトップに近いところにあったと思われる魚介、海藻といったものの比重がかなり低くなっているのに気がつきます。本来はこのようなところの比率がかなり高くないといけないのです。
洋風化がマイナスに
日本での毎日の食事が洋風化したことは、ある意味ではプラスになったこともありますが、このようにカルシウムについては、マイナスにでてきているのです。しかも、欧米のように、牛乳を毎日何本も飲むところでは洋風の食事でもカルシウムを乳製品から多くとることができます しかし、日本のようにせいぜい1日に1本程度ということになりますとこれは到底カルシウム源としては十分でありません。しかも、他のカルシウム源としてよい食品が好まれなくなってきていることが非常に大きいのです。こう考えたときに、牛乳の飲みかたが急速に伸ばせないのなら、もっと今まで食べてきた食品類に目を向けることが必要というわけです。よく骨が折れやすいのは、食品の汚染などが原因ではないかなどといわれますが、そういったことで骨が簡単に折れるものではありません。やはり、カルシウムそのもののとりかたが少ない食生活に偏ってきているということが問題のポイントといってよいでしょう。
(57・1・29 サンケイ)
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5. 寿命の延びは見かけだけ
新生児の死亡減り中高年の病気激増
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医学博士 遠藤 仁郎
ここ数年、多くの日本人は平均寿命が延びたことを、あたかも世界の長寿国になったかのように、得意になっている観があります。この平均寿命の数字に対して、カナダ政府は「先進国の平均寿命が延びているように見えるのは、実は、統計上のマジックで、ただ新生児の死亡が激減したからに過ぎない。それが、我々を幻惑している」と『健康展望』の中で述べています。
これを日本の事情に当てはめてみると、確かに戦後の新生児の死亡は十数分の1にも減っています。その結果、新生児の期待寿命(0歳であと何年生きられるかという年数)は、ぐっと長くなっています。実は、この0歳における期待年数のことを、私たちは平均寿命といっているので、中高年者には直接あてはまらない期待寿命です。
厚生省の資料で年齢別の平均寿命の推移を調べてみると、25年前と比べて、45歳の男性では2.7年しか延びていませんし、女性も3.7年延びただけで昔とあまり変わりません。さらに昭和28年以降の各年齢層の有病率をみますと、わずか20年の間に50歳代の発病率は倍になり、60歳代では約4倍というように、中高齢者の有病率は時代とともに激増しています。そして寝たきり老人は60歳以上の人口の4%、介護を必要とする老人が16%…。この率は欧米の2倍から3倍というのにも驚かされてしまいます。いくら長生きができても、病気や恍惚(こうこつ)の人では、あまりに悲惨だと思いませんか?
(58・5・16 サンケイ)
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6. まちがえていた食生活
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岡山県 Y.O.
ご指導をうけまして2年あまりになります。今まで考えていました食生活のまちがいをつくづく感じます。大食、野菜の選び方、砂糖のとりすぎと、気づかぬままに、平気ですごしていました。主人が労働者なので、大食をするのは当り前のように思い、腹八分目といわれる言葉もあまり気にしないで、腹十二分に食べていました。とくに好物となると、何も考えず、よろこんで食べる様子をたのもしく思ったりしたこともありました。本当に、おいしい物をよく買ってもらい食べたものでした。
思い出しますと、なにか恐ろしいような気持になります。主人が糖尿病と注意をうけて2ヶ月になります。さっそく青汁をのみ、食生活をかえました。あれほど好きだったお菓子も、考えて食べるようになりました。おかげで、とても順調によくなっています。血糖の検査も異常がありません。もう何週間も糖がおりておりません。目の方もよく赤くなり血のような色をして、痛い痛いといっていましたが、さいきんふと気付きましたら、いつの間にか赤味がとれて普通になっていました。主人もうれしそうに、毎日、規則正しい生活をしています。
物資の不足時代には、あんなに一生懸命にいき、あこがれと夢をもっていたように思います。物があふれ、わがままになり、不満ばかりいっている現代に不信を感じます。青汁をのみ、イモ・マメ・ナッパを食べて、物に感謝の気持をもち、すなおな日々でありたいと手を合わせます。(58・3)
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7. よく眠れる
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茨城県 Y.O.
今年はことのほかきびしい暑さですが、おかげさまで元気にしています。ひとえに青汁故と感謝いたしております。田舎の母も、この暑さでねこむのではないかと案じていたのですが、これも青汁でとても元気です。いままでケールを沢山つくっていましたが、神経質な母のことで虫とりに追われ、あずかっている孫の面倒とで無理だったようです。いまでは、青汁の素にしたので、体もらくになり、夜ねむれないのがよくねむれるようになったそうです。私どもも同じようで、夜は1時でも2時でも平気でおきていたのが、このごろでは、10時までがやっとで、朝は4時に目がさめ、たいへんさわやかで、1日気持ちよく過せるようになりました。それに、不思議なことに私の脉のケッタイがおこらなくなり、ホッとしています。今まで青汁ののみ方が足らなかったのかも知れません。
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8. 90まで生きられそう
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直方市 R.M.
この写真は、長男(60才)と私(88才)ですが、私は生れつき色黒で、顔一ぱいソバカスで、人の前に出るのが恥かしいのでしたが、今では、長男より私が色白くなり、何かと元気で、90才まで生きられる確信が、どうやらできるところであります。全く先生のおかげで、有難さに拝みに行きたいくらいです。(58・4)
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9. 脳梗塞後の経過頗る良好
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友成 左近
81の正月を迎えました。57年前以来、青汁健康法を実行して、脳梗塞予後の状態はたいへんよく経過しています。血圧も安定しており、脳血管疾患の徴候は、まず見られません。しかし、最近になって、長期にわたる投薬の作用か肝機能が少々低下しているといわれ、より強めに青汁飲用をする必要があるのではないか、という状態になりました。(ぜひしっかり飲んでください)
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10. 塩の摂取量を減らす簡単な方法
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愛媛県 Y.H.
【オーストラリア】
ニューサウスウェルズ大学の研究者によると、塩の摂取量を減らす簡単な方法がある。Nature誌に発表された種明かしは、食卓塩のふりかけ容器の穴の数を少なくし、穴の大きさを小さくするだけのこと。食堂、レストラン、旅客機の中などで1900人以上の成年者について調べたところ、小さな穴が1つだけのふりかけ容器でも、強く振ったり振る回数が増えることはなく、塩の摂取量が少なくなることがわかった。少なくとも高血圧の一つの因子として、塩の過剰摂取が関連していると考えるなら、食卓塩の容器をできるだけ遠くにおくことだ、と研究者たちは述べている。
(Medical Tribune 83.3.24)
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11. 質問箱
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コラム紹介
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