<1975年9月15日発行 第229号> | ||||||||||
目次 | ||||||||||
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1. こうしたら癌も防げるのでないか(9) | ||||||||||
前回参照 | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
安全良質食品の供給 (痕跡成分は、作物のために奪い去られ、雨水のために流され、あるいは地下ふかく沈下するため、表層土壌にはしだいに欠乏して来ている)昔から、精農家が地力恢復のために深耕(いわゆる天地がえし)をやっていたのは、そのため。 また、以前、肥料として用いられた糞尿(人畜糞)、油カス、魚粉など有機質肥料には、主養素とともに痕跡分も十分あったので、その不足はおきなかった。 しかし、化学肥料(主養素のみで痕跡分は無いか乏しい)の使用が増すにつれて、その間のアンバランスがめだって来、偏った(不健康)肥沃土となってしまった。 そこに育つ作物は、外観上にはいかにも立派そうだが、質的には劣り、ただミネラル・痕跡成分の不足だけでなく、ビタミンにも蛋白質にも欠陥を生じることとなった。 そして、病・虫害に弱く、味もよくない。 これを飼料とする動物は、当然、欠陥動物になり、それら欠陥植物、欠陥動物を食べる人間の健康も完全ではありえないわけで、癌にも弱くなる道理。 なお、化学肥料には、それ自体発癌成分をもつものもあり(硫安にはベンツピレンがある)、窒素肥料ことに硝酸塩肥料では、作物の硝酸塩がふえ、亜硝酸となり、直物中で、あるいは摂取後、体内で、発癌性ナイトロサミンを生ずるおそれがある。 癌は化学肥料の使用とともにふえている、ともいえなくもなかろう。 それはともかく、これが解決には、健康土壌による健康栽培しかない。 「癌は土と水とに関係する、土が唯一の原因ではないにしても、予防は土にはじまらなければならないし、土を忘れて癌を防ぐことはできない」 健康栽培 耕地には、日当り、風通し、水はけのよい、そして農薬汚染や工場(煤煙・粉塵)、礦山(廃水)、ハイウエイ(排気ガス、鉛)公害などのおそれのないところ。 なるべく深耕、少なくとも30〜40センチ以上。 肥料には、化学肥料はさけ、堆肥を主とし、石灰(炭カル=炭酸石灰粉最適)、草木灰、鶏糞、油カス、魚粉など持久性有機質肥料。 (人糞も十分腐熟したものは使用してよい。生肥は不潔であり、寄生虫の危険がある)。私どもは、これを、健康農法とか、自然農法とよんでいるが、こうしてつくった野菜はきわめて健康で、病気しないし、虫にも強いので農薬は一切不要(つまり安全)。 しかも、味はすこぶるよく、収量も多い。 ほかの農作物(穀・豆・芋など)も、同じ要領で安全良質のものが得られる。 また、こうした安全良質作物を家畜・魚介類の飼料にすれば、安全良質な肉・卵・乳の供給も決して不可能ではあるまい。 (49・8)
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2. 精力をもたすには | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
ちかごろのインテリ男性は、30才にしてはやくも衰えはじめ、40〜50ともなれば、救いを薬にもとめているものが少なくない、といわれる。
猪を食うと精がつくという。 猪にかぎらず、エキス分の多いうまい肉は神経を興奮する。 同じ牛肉でも、肉牛よりも、屠殺するまで労作につかわれていた役牛の肉の方がよくきく。
蛇性の淫とやら、蛇は元来精力の強いものらしいし、もたげた鎌首はたくましさのシンボルでもある。 骨をきざんで飲んだり、黒焼にもする。 蛇酒、マムシ酒もよく、肉を食ってもよいそうだ。
夫婦してうなぎを食へばをかしがり(川柳) モツを生で食べると、とくによいという。
頓医抄に、蛤汁は起陽の薬とあり、婚礼その他縁起ものに欠かせぬものになっているのは、そのいわれかららしい。 そのほか、すべて肉食では、たしかに元気が出る。 また、体格は大きく立派になるし、早く成熟もする。 そこで、力士やレスラーはさぞかし、と思われるが、存外はやく衰えるとか。
つまり蛋白質をよくたべると、一時的には馬力が出る。 けれども、その体内代謝に必要欠くべからざるビタミンやミネラルの不足で、種々の有害産物ができ(いわゆる血の濁り)、疲労しやすい。そこで、元気にまかせての乱用と相俟って、体力・精力の衰えをまねくもののようだ。
なにかの本で、睾丸料理を食ってひどく精力がつき、手当りしだい人間も動物もなぎたおしてしまった、という王様の話を読んだことがある。 太閣が朝鮮征伐で虎狩をやらしたのは、荒淫の末の腎虚の救いを虎の肉や精にもとめたためだったそうだが、どうやら、期待はずれだったとみえ、間もなく中止されている。 鹿やオットセイの精も、古くからいわれている。 今のホルモン料理は内臓料理で、栄養価の点で、ただの肉食よりは確かにすぐれているから、おそらく強精効果も大きいだろう。
納豆もよいそうだ。
人により、量により、元気がつくのも、却ってくじけてしまうのもある。
人参や牛蒡も精力がつくという。 人参好きは色好み、と俗にいうのは、何か特別の成分があるのかも知れないが、栄養価の点からでもうなづける、というものか。ただし牛蒡には大した栄養価があるようでもないから、たくましい姿からの連想か、それともなにかホルモン様の成分でもあるのだろうか。あるいは、根のふかいものだけに、地中ふかく沈下している痕跡成分にとむ故の効ででもあろうか。
タケノコ、ワラビ、キノコ、アスパラ、ナタネやケールのトウなど、旬のものも精がつよいといわれるが、なにか特効成分があるのだろう。
5種の辛、熟せるを食すれば淫を発し、生を啖(くら)へば恚(いかり)を発す(首愕厳経)。 香味つよいもの、刺戟物などすべて淫慾をかきたてる。 フキノトウ、防風、セロリ、パセリ、ネギ、ニラなど。ニンニクはその尤なるもの。
食塩も同じ。欧州には結婚式で花婿花嫁に塩をふりかけるところがある。 アフリカ土人は戦闘や狩猟に出るときは禁欲し塩を絶つそうだ。 塩からいもの好きは腎張り 塩をよくつかう料理人は恋愛中 などなど。 しかし、確効があるにしても、いずれも、要するに当坐かぎり。 一時的の興奮にまかせて衰えかけた精力を濫費すれば、却って枯渇をはやめることにもなろう。 合理的強精法 だから、正しい強精法というものは、結局、食を中心とする日常生活の合理化によって、真にねばりづよい健康体となること。 その結果としての精力回復、そして蓄積をはかることだ。 こうした意味で、緑葉食・青汁――良質ナッパをうんと食い、しかも、なるべく多くを生で食べ、青汁ものむ。 そしてミネラル・ビタミンに十分余裕のある完全食にすること(危険な農薬や産業廃棄物、洗剤、あるいは添加物に汚染してない安全食であることはいうまでもない)――と、なるべく正しい、自然に則した生活。 また、事実、そうした自然生活をおくっているところには、健康かつ精力的な長寿者が多い(コーカサス地方の老人は100才すぎてもなお可能、といわれている)。 青汁がよろこばれる理由の一つも、どうやら、このあたりにあるらしい。 ただし、慎しむべきは過淫。 いかに絶倫であっても、すごせばかならず衰えをはやめる。 少なくとも、「御して泄らさず」の房中術(千金方)は心得ておくべきだ。 したがって、合理的な強精法とは、つまりは正しい健康法。 簡素な自然生活をおくり、安全で良質、よくバランスのとれた完全食(自然食)の適量をとり、精力の乱費をさけ、体力・精力との調和をうまくとってゆくところにあるといえそうだ。 (49・2)
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3. コウゾ(楮) | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
樹皮の繊維がつよい。 「楮葉は茶にして諸病を治し、若葉は菜にし、又、古株より菌を生ず(コフズタケといふ)。」 出血に
なお、外用として浴湯がいわれている。 「小児の身熱で、食しても肌を生ぜざるに、浴湯がよし。また悪瘡に主効、肉を生ず」肌色のよくない子、梅毒瘡、カブレのかゆみなどによい、というわけ。 夏、アセモが出ると、桃の葉イチジクの葉などと同様。 コウゾの葉を入れた湯の行水をしたことがあるが、これも、そういうところから出たものだろう。 イチゴも食べられる。 もっとも救荒本草には、 「樹にて熟せる楮桃、紅色なるを取り之を食ふ。甘美なれども久しく食ふべからず、人骨を軟ならしむ」と注意されている。 | ||||||||||
4. 九八翁をおくる | ||||||||||
縁者の中の最長老の叔父が98才でなくなった。 (50.・3)
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5. どうしても食べねばならぬ良質ナッパ | ||||||||||
食べものには、食べても食べなくてもよいものと、どうしても食べなければならぬものとがある。 | ||||||||||
6. 年がよったら | ||||||||||
万事控えめ。 | ||||||||||
7. 腰痛 | ||||||||||
特別な原因のない、ふつうの腰痛には、腰の運動、前へかがみ、後にそる、左右にまげる、横にひねる、など。腰をたたく、もむ。 | ||||||||||
8. 青汁のお蔭で齢91才 | ||||||||||
千葉県 Y.Y.
10年を一昔とすれば、幾昔前、主婦の友社より、遠藤博士の青汁の本をとりよせ、好奇心に駆られ、農家のこととて、野菜を青汁に致し、また先生よりケール、エンサイの種をいただき、また冬期は大阪センターより乾燥青汁を取り寄せ愛飲いたしおり、幸にして、心身頑健に相なり、健康診療以外は医師を訪問いたさず。 神代経た鎮守の森の鉾杉と共に栄えむ青汁の会 | ||||||||||
9. そろって八十以上のよろこび | ||||||||||
新潟県 Y.W.
「青汁の効用」を読んで先生の御人格が拝察せられ、敬意を表さずにはいられません。 | ||||||||||
10. 達者の頂点 | ||||||||||
奈良県 T.Y.
お彼岸も近づき、朝晩しのぎよくなりました。 | ||||||||||
11. スモンの下痢と腎炎 | ||||||||||
田辺市 K.N.
先日、病院で、二人の患者さま、スモンの下痢と腎臓の方に、青汁をすすめましたところ、二人ともよくなり、ことにスモンの下痢には困っていられましたため、大変よろこばれ、退院いたしました。 | ||||||||||
12. とても調子がよい | ||||||||||
和歌山県 K.N.
青汁と健康のご本、毎日読ませていただいています。 | ||||||||||
13. 元気になった | ||||||||||
徳島市 K.
青汁を知ってから、はや10年になります。 | ||||||||||
14. 質問箱 貧血しています | ||||||||||
広島県 M.
問 | ||||||||||
コラム紹介 | ||||||||||
長生きはそれ相応の努力のたまもの サービトの養生訓
(前嶋信次「アラビアの医術」より) 白髪も皺も、 にはかに貫録をつかみとるわけにはいかない。 ただ、正道をふんで一生をおくってきた齢たかき者が、 重みという最後のみのりをとらえるのである。 キケロ
一燈照隅・万燈照国行 内外の情況を深思しよう。 このままで往けば日本は自滅する外はない。 我々はこれをどうすることも出来ないのか。 我々が何とかする外無いのである。 我々が日本を易えることも出来るのである。 暗黒を嘆くより一燈を点けよう。 先づ我々の周囲の暗を照す一燈にならう。 微かなりとも一隅を照さう。 手のとどく限り、 到る処にわが燈明を連ねよう。 一人一燈なれば、 萬人萬燈である。 日本はおのづから明るくなる。 是れ我々の一燈照隅・萬燈照国行(ぎゃう)である。 (青木五郎 真事の伝え126号より)
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