<1976年9月15日発行 第241号> | ||||||||||
目次 | ||||||||||
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1. 老人の貧血 | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
老人には貧血しているものが少なくない。年をとると、からだ中の、すべての組織や臓器のはたらきが衰え、血のでき方も、自然、へって来るから、少々貧血しているのは、ふつうのこと。つまり、生理的の老化現象ともいえないでもない。何か原因はないか しかし、なにぶんにも、ながい間つかったからだ。どこに故障が出ても、少しも不思議はない。しかも、そのうちには、はっきりわかっているのもあれば、まるで気づかずにいる、かくれたものもある。だから、まず、信頼できるところで、精密検査をうけるのが無難というものだ。そして、格別、原因らしいものも見つからない、というのであれば、ともかく、一応、食べものについて考えてみる。 食のまちがい 貧血と関係のあることは 不完全食 血の材料である鉄分や蛋白質が不足しているばあいはもとより、食全体としてのバランスがとれていない不完全食でも、貧血をおこす。不完全食だと、栄養分の利用効率がわるいため、その不足をまねきかねないからだ。消化能力 まして、咀み方が不十分であったり、消化・吸収能が衰えていればなおさらだ。有害有毒食品 いまでは、殆んどの食品が生産(農畜水産)用薬剤、産業廃棄物、加工・貯蔵用の諸混入・添加物、あるいは洗剤などによって汚染されているが、それらの中にも貧血を原因するものが少なくない。 どうすればよいか そこで、老人の貧血食については、まず安全食であること。すべての栄養素のそろった完全食であり、ことに鉄分や蛋白質にとんでいること。そして、調理・調味にも十分気をつけることが大切。すなわち、すべての食品は、できるだけ安全なもの(新鮮・自然食品)をえらび、危険な薬剤や、産業廃棄物、添加物などに汚染されていたり、そのおそれのあるもの(加工・貯蔵、ことに既成食品など)は、つとめて、さけること。主食には、その危険の多い米麦よりは、汚染の少ないか、ない雑穀・豆、ことに芋類。蛋白食品には、同様危険の多い肉・卵・乳類よりは、安全水域の魚介類、安全度のたかい大豆もの、ナッツ類。野菜・果物類には農薬汚染のないもの。安全な山野・水域の野・山菜、海藻。調味料や嗜好品にも、同様。 完全食 すべての栄養素のよくそろった、ことに鉄分や蛋白質にとんだ食でなければならないわけだが、主食品にしても、蛋白食品にしても、それだけで完全なものは殆んどない。で、それらに不足しているビタミンやミネラル類にとんでいる良質ナッパ類(鉄分にとみ、すぐれた蛋白質もある)は、どうしても十分に添えられなければならない。 調理 加工による栄養そのロスをさけるため、調理はなるべく簡単にすべきであるが、歯の悪いものや、胃腸の消化・吸収能の衰えたものが多いので、必要に応じ、粥状にしたり、粉砕、すりつぶすなど、食べよくする工夫が肝要。なお、洗剤はつかわないこと。それを、なお、よく咀んで唾を十分混ぜて食べる。 緑葉食・青汁 つまり、このばあいも、ほかのばあいと同様、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食が適当ということになる。動物蛋白質 ただし、問題になるのは、大豆やナッパの蛋白質は(動物蛋白に劣らずすぐれたものではあるが)、消化の点では、たしかに劣っている。ために、ことに消化能の衰えている老人では、蛋白不足をおこすおそれがないではない。したがって、適宜、良質安全な動物食品の利用をはかるべきだ。また、鉄分にとむ動物食品は肝臓、小魚(全体食できる)、卵黄などだが、肝臓には、各種汚染物質が濃縮貯蔵されているかも知れないので、安全性に十分の注意を要する。小魚類また同じ。 調味 なるべくうすく。自然のままか、自然に近い状態で食べるのが原則だが、食欲に応じ適宜加減する。なお、胃のはたらきが衰えているもの、手術で胃をとってしまったものなど、胃液の分泌が悪いと、消化・吸収(ことに鉄分や蛋白質)がよくないので、胃液の酸に代る酸味、梅酢、酢のもの、あるいはクエン酸・塩酸水など、酢の補給につとめること。(50・11)(遠藤) | ||||||||||
2. ユキノシタ | ||||||||||
医学博士 遠藤 仁郎
西洋古方では、浄血のほか、胆石や腎石など結石をとかす作用がある、といわれている。南方先生によれば、ユキノシタの属名であるSaxifragaは「石割り」の義で、石に生えこんだ根が石を割る、と信じられ、したがって結石を治す、といったものだ、そうだ。 (南方全集、7、139)
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3. 長寿はきつい労働から | ||||||||||
アメリカには、現在、百才以上の長寿者は6600。 (Davidson栄養学 1975版より)
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4. トーマス・パール | ||||||||||
130才まで一生懸命はたらき、152才で死んだ。剖検したハーヴェーは、その重要臓器が、いずれも完全な状態にあるのにおどろいた、という。かれの日常食は、控え目で、おもにチーズ、ヨーグルト、いろいろの野菜、碾きぐるみの小麦粉の黒パン。飲みものは乳漿だった。死のまえ、ロンドンを訪ね、なれないご馳走を食べて健康を害した。 | ||||||||||
5. 味噌のつくり方 | ||||||||||
米沢藩の碩学位戸善政編の「かてもの」(米沢図書館版)に出ているもの。 | ||||||||||
6. 老人にはし瓶 | ||||||||||
年がよると、夜の排尿回数が多くなる。膀胱の容積が小さくなることと、膀胱が過敏になり、尿意をつよく感ずるようになるためらしい。そのうえ、厄介なことに膀胱の出口をしめている括約筋の力がよわくなるのではずんで来ると、まてしばしがきかず、ぐずぐずしていると、こぼれ出してしまう。だから老人の枕許にはいつも、ことに寒い夜にはぜひ、洩瓶を用意しておくべきだ。 | ||||||||||
7. 古老の知恵をメモ | ||||||||||
あたらしい科学知識偏重の傾向がつよいため、ながい間つみかさねられた、二度と得がたい貴い経験がおしいことにしだいに忘れられようとしている。今のうちに、せめて、明治の人間がまだ生きている間に、何事であれ、その生活の知恵をメモしておきたいものだ。いわゆる科学的なるものに、わずかづつではあるが反省が加えられつつあるかにみえる今日、とくにその感がふかい。 | ||||||||||
8. 老人・身障者席 | ||||||||||
バスや電車には、たいてい老人や身障者のために席が設けてある。しかし、そこにすわっているのは、元気のよい筈の子供や若いものばかりで、老人が来ても、いっかな立とうともしない。料金ははらっているぞ、と頑張っているんだろうが、そのじつ、気の毒なことに、やはり、かれらの健康がすぐれないからであろう。 | ||||||||||
9. 光頭と健康 | ||||||||||
何万燭光かと、光りかがやく禿頭のあのつややかさこそ、健康のしるし。かげりが来たら、気をつけなければいけない。それは、どこかに異常のある、かくれない証拠だから。 | ||||||||||
10. 死の海・瀬戸内 | ||||||||||
韓国産のアナゴは宇野港(岡山県)で陸揚げされ、トラック便で阪神・東京方面に輸送されている。それは、これ以上瀬戸内を船で行くと、死んでしまうからだそうだ。情ないことながら、瀬戸内のよごれは、そこまできている。まこと、死の海に化してしまっているわけだ。 | ||||||||||
11. サルビヤの花がとりもつ | ||||||||||
倉敷市 K.N.
昨年夏、真紅なサルビアの花咲く中洲小学校の前を通りかかり、思いきり鮮明な色合いに魅せられ、これぞ、何より自然を愛し、人の心がとけこめる、人間本来の姿に生きる真実であろうと痛感しました。聞けば、これは貝原校長の発案であり、土地は、校長が特に市より借りうけ使っていられるとか。なんと、ほほえましい限りではありませんか。 | ||||||||||
12. 毎日元気で | ||||||||||
岐阜県 T.T.
15年前より青汁を飲用し、病弱であったのが健康になり、毎日元気でくらしております。 | ||||||||||
13. 青汁のおかげ | ||||||||||
京都市 Y.T.
2年前、頭に箱がおっこちてきて当り、入院したりしまして、以来、少し具合がわるくて、まだ仕事もあまり出来なくて困っています。庭のケール畑も草ボウボウで、折角、交換して自由に使えるようになった畑もあるのですが、遠いので行くこともできず、残念でしようがありません。 | ||||||||||
14. べんとうに入れて | ||||||||||
東京 K.O.
庭にケールを植えはじめて十数年になりますが、今年は、殊の外育ちがよく、北里の研究所にも、べんとうに入れてもって来ています。おかげさまで元気で働いています。 | ||||||||||
15. 慢性前立腺炎 | ||||||||||
岡山県 H.I.
先生のご著書により、私の健康が回復しましたことに大きな喜びを感じています。 | ||||||||||
16. たのしみにしている | ||||||||||
長崎県 H.I.
おかげ様で、血圧も下がってしまいました。お情けのたまものと、お心づくしの程、一生忘れません。食欲もあります。また便も、青い便ばかりしますので、たのしみにしています。 | ||||||||||
17. 質問箱 | ||||||||||
広島県 K.
問 | ||||||||||
コラム紹介 | ||||||||||
寿命
スコッファーン説に、蘇格蘭の古諺に、 南方熊柳全集 一、353
西洋の口碑に鷦鷯は三年、 犬はその三倍の九年、 馬はその三倍の二十七年、 そして人間はその三倍の八十一といふ げに、平穏なる温和なる老境は、 静に、また浄く優雅におくられたる一生の賜物である キケロ
病みて服薬を肯ぜざる一の死 倉公病三死 驕恣禁忌を守らず七の不治 病家要覧十不治 驕恣にして理を論ぜず一の不治 扁鵠六不治 淳干意病六不治
心の師となるを願ひ心を師とせざれ 涅槃経
惣じて歳四十より以上の人は万事慎しむにしくはなし、 素問に曰ふ、 人四十にして陰気自ら半すとこの陽気と指すものは 有生の初より賦する所の真精なり。 この真精盛なれば陽気も根本かたくして強く、 真精おとろふれば根本かたからずして末梢のみ盛にみゆ。 世人是を陰不足して陽有余なりといへど 実は陽も亦不足せるなり ねぬ夜の夢
7世紀ごろのイギリスの平均寿命は、 男28才、女32才にすぎなかった、という | ||||||||||
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