<1971年4月15日発行 第176号>
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目次
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1. 自然食と癌
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医学博士 遠藤 仁郎
ちかごろ癌がひどくふえたし、年令層も、しだいに若くなって来つつある。以前にも、癌は決して少くはなかったが、それでも、今ほどではなかった。そして、ふつう40才以後のものだった。それが、今では30代や20代はおろか、もっと若い青少年層にも珍らしくなくなった。いやそれどころか、学童でも、事故死についで多いのは癌死だといわれているほどだ。だから、どうもこれは、ただ人口がふえ、長生きするようになり、また、診断法が進んで来たためばかりではなさそうだ。
どうしてこういうことになったか、癌の原因が不明なので、はっきりしたことは勿論わからないが、どうも環境の不良条件との関わりが少なくないようだ。今では、実験的に癌をつくる方法がいろいろ知られているが(物理的、化学的、生物学的)、それらによる環境の汚染が甚しくなっている、と考えられるからだ。全くのところ、現在、私どもの周囲には、発癌物や発癌促進物質がいっぱいあり、まるで、それらにとり囲まれているようなものだ。もっとも、その量はごく微量で、それぞれの個々についてみれば、恐らく、とるに足らぬほどのものであるが、空気からも、水からも、食品からも(農産品、畜産品、水産品、とくに加工貯蔵また調理によっても)、職場からも(工業薬品、工場・鉱山の廃水、廃ガス)、医療上(医薬品・放射線)からもと、毎日、しかも幼時から、いや母胎内にいるころから、とり入れられているとなると、それらが互に協力し合う可能性もあり、また、これら発癌因子の影響が、その一回量によるだけでなく、むしろ、逐次累積された総量によるといわれていること。あるいは、生体の幼弱であるほど影響をうけやすいということなどからも、たとえ箇々の量は僅かであるとしても、断じて軽視すべきではない。したがって、この業病からまぬかれるためには、能う限り、こうした危険なものから遠ざかるようつとめなければなるまい。
自然治療
癌はふつう不治とされ、ごく初期に手術して完全にとり除かない限り、まず100%生命にかかわる、と考えられている。しかし稀にではあるが、確かに自然に治るのがある。そして、それは、一つに個体のもつ抵抗による。つまり、最近の感染による病気が、病原菌の毒力と、その個体の抵抗力とによって、治・不治がきまるのと同じことが、癌にもある、というので、からだの抵抗力しだいでは、癌でも治りうるわけだ。
けれども、ともかく、一旦発病したとなると、簡単には治すことは出来ないのだから、なんとしても、予防が肝腎だが、それにも抵抗力を、つねに最上最良の状態に保つことが大切だ。
緑葉食・青汁
そこで私どもは、癌の場合にも、緑葉食・青汁を中心とした完全食。しかも、安全かつ良質――放射能性降下物はいたし方ないとして、出来るだけ、危険な農薬や洗剤、工場・鉱山の廃水、添加物などの汚染のおそれのない、そして、十分の有機質肥料(堆肥・緑肥など)を施した自然(健康)農法によった――の食品ばかりからなる完全食、たとえばイモ・マメ・ナッパ食。しかも、調理は簡単に、なるべく多くを生食し、味つけは薄く、といった――自然のままか、自然にちかい食を適当と考えている。また事実、そうした食を熱心に励行して(青汁は毎日4〜5合以上も飲んで)、再起不能といわれた癌から立ち直り、ながく元気でいるという事例もある。
さて、この緑葉食・青汁の効について、これまで、食の完全化、つまり、乱れている栄養のバランスを正しくすることによって、栄養の不調和にもとづく体の不調を直し、抵抗力をたかめ、病魔を駆逐する、のだと解釈していた。
けれども、ふつう一般習慣食でも、青汁2合も飲めばバランスはとれるし、イモ・マメ・ナッパといった食では、もっと少なく、僅か1合でも、よく釣り合って来る。だのに、それだけでは十分でなく、4〜5〜6合もの青汁ではじめて効果が出るというのは、どうしても栄養のバランス以外の何ものかによるとしか考えられない。
それが果して何か。もちろん想像の域を出ないが、ここに、これと関連があるかに感じられる興味ぶかい実験がある。それは、アメリカの学者がやっている、動物の実験癌にたいする精製食品と自然食品の影響をしらべたデータだ。
自然のままの飼料と、それを精製したもの(精製によって失われたビタミンやミネラルは薬品で補った――したがって、栄養的には完全な筈の精製飼料)とをあたえたネズミに、レントゲン線や化学的発癌剤で癌をつくってみた。そうすると、自然食動物に比べ、精製食動物の方が、ずっと発癌しやすく、また、より早く、かつ、より強くあらわれる、という結果が出た。
つまり、自然食には発癌にたいし防衛的にはたらく力があることを示すわけだ。しかも、それは、今までに知られている栄養素とは、明らかに異った何物かによる、とこの研究者たちは、未知の成分の存在を想定している。
ところで、微量のゲルマニウムや、適量のセレン(過量は発癌性)が発癌を抑制する。あるいは、微量の銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトなどが、発癌性物質ベンツピレンの分解酵素の作用を促進する(すなわち、発癌物質の分解をすすめる)という実験データもあるし、土壌中のモリブデン不足で発癌が促進される、などの点、またこれら微量ミネラル分は精製によって失われやすいといわれている点からすると、あるいは、こうしたいわゆる痕跡要素があずかっているように感じられる。また現に癌の多いところには痕跡成分の欠乏が考えられると説く学者もある。
それはともかく、癌の予防には、将来は知らず、少くとも今日においては、発癌性あるいは発癌促進性物質はつとめて避け、自然的な食べ方――天地の恵みを十分にそなえた自然食品を、自然のまま、あるいは、なるべく自然にちかい状態で食べるよう心懸くべきであり、緑葉食・青汁を中心とした完全食の励行は、唯一ではないにしても、かなり有力な予防法であり、また、病勢をくじき、治癒への手助けにもなるのではないかと考える。
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2. イノコヅチ(牛膝)
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医学博士 遠藤 仁郎
イノコヅチの名は、おそらく豕槌の意で、節の高い茎(それで、フシダカの名もある)をイノコ(豚)の脚の膝かしらになぞらえたもの、であろうとのこと。
漢名牛膝は、文字どおり茎の節が牛の膝に似ているからの名。
本草綱目に、「茎葉、寒湿痞痛、老瘧、淋閉 諸瘡を主る(時珍)」とあるから、リウマチや熱病、尿の出にくいものによい、というのだ。
そして、「気湿の痺痛、腰膝痛に、葉を粥に煮、塩醤を和して、空腹に食ふ(聖恵方)」ともある。
わが民間では、「牛膝、(ドクダミ)、この二味を用ふべし。千日になる瘧(マラリヤ)も落べし(妙薬博物筌)」とか、 酋
「尿閉に牛膝根茎葉ともに陰干、細末にし、酒にてさいさい用ふべし(和方一万方)」とある。
利尿の効は、この草に加里分が多い故(灰分中の25%ちかくにも達するという)という。よく知られた食用野草で救荒本草には、「苗葉をとり、炊き熟し、水を換へ浸し酸味を去り、淘浄し、油塩に調へ食ふ」とあるが、葉に加里塩が多いので多量は考慮を要する、と注意されている(新井 救荒食品)
宿根草で、私の庭にも、毎年、何本かはえる。軟い葉なのでグリーンサラダにしたり、時には煮ても食べる。一度に、そう大量食べるわけでもないからであろうが、とくに小便がよく出るといった印象をうけたことはない。
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3. タバコと癌
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医学博士 遠藤 仁郎
タバコの煙には、発癌性と、発癌促進性とがあり、直接には気道(喉頭・気管支)や肺を刺戟する。最近ふえた肺癌の有力な原因に数えられている。
肺癌は、シガレット(紙巻)喫煙者に多く、シガー(葉巻)やパイプでは少い。そして、喫煙歴のながいほど、ことに若い時から吸っているほど、また喫煙本数の多いほど、多い。口・咽頭・食道・胃・膀胱の癌にかかる危険があり、大腸癌は葉巻と関係があるらしい。
なお、喫煙量が多いと、ただ癌が発生しやすいだけでなく、悪性度の強い癌が出来る傾向がある。発癌物質としては、ベンツピレン、ベンツアントラセンなどのほか、煙に中に数種のアミンがあり、唾液にとけて胃に入り、そこで、亜硝酸塩と化合して、発癌性の強いナイトロサミンが出来る、という。
また、喫煙で、トリプトファンの分解産物の尿への排出が増すことが最近わかって来たが、これは、膀胱癌発生との関連が考えられている。
ニッケルにも問題があるようだ。「人癌の多発原因に関する研究」をつづけている、国立癌センターの平山博士が、昭和45年6月25日、厚生省記者クラブで発表した中間報告によると、「喫煙者は非喫煙者に比べ、癌で死ぬ割合が倍も高い。特に肺癌はその差が著しく、7倍も水をあけられている。また、喫煙に、酒・肉類・熱い日本茶などの常用が重なると、癌の発生を促進することとなる」という。
(日本医事新報、45・7・4)
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4. タバコ癌と食べもの
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タバコの発癌作用は適当な食べ物で減る。タバコによる発癌がふえたのは、むしろ、防衛力を減じた今日の食べ物にある、と考えられる。白パンになったことだけでも、関係がある。一般栽培法の変化も、同様の役割をやっているだろう。なにか、欠けると癌が出来、補えば防ぎうる、ようなものがあるに相違ない。
(Voisin)
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5. 乳の出
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医学博士 遠藤 仁郎
ちかごろ人工栄養がはやり、慨わしいことにも、まじめに自分の乳を飲ます母親がしだいに減って来ている(戦前70〜80%が母乳だったが、さいきんは逆転して母乳は僅か20〜30%にすぎぬ)という。それは、乳の出の悪いものが多くなったことにもよろうし、女性の職場進出のためでもあろう。しかしまた、あやまった指導、あるいは宣伝におどらされて、人工栄養にたよる気持が大きくなっていることにもよろう。
ところで、乳の出のよくない人が多いこと、また、母乳が質的に劣っているといわれていることは、ともに、現代人の不健康のあらわれといってもよかろう。妊婦食に、高蛋白食、高熱量食がすすめられるのは兎も角として、それに釣り合わねばならぬミネラル・ビタミンはひどく不足し、甚しい不完全食になっているため、つわりその他の妊娠中毒症に悩まされるものが多いうえに、妊婦はすべて病人扱い。すべて控え目、大事、大切にされ、運動も不足する。こうして、妊娠・分娩を辛うじて過し、疲労困憊の極にたっした母体には、乳を出すだけの余力も無いだろうし、そうした母体から出る乳が健康的であろう筈もあるまい。
むかしの産婦はあふれ出る乳に悩んだものだが、今は乳の乏しいのがふつう。そこへ、生児は乳を吸う力がよわいので、乳腺への刺戟に乏しく、泌乳反応も十分でない。かれこれしているうちに次第に出なくなるので、止むなく人工栄養に切りかえる。
また、1〜2の栄養素のあり方だけから、母乳よりも牛乳の方がよいなどといった迷説がとなえられたり、いくらかの成分を補って、これさえ飲ませれば、からだの成長はもとより、頭脳の発達もよくなると、まるで神さまででもあるかのように、誇大に宣伝される。
もともと学者の説や宣伝によわい、しかも授乳にさほど熱意のない若い母親の中には、折角よく出ている乳を、わざわざやめてまで、人工栄養に切りかえる、という馬鹿げたことさえやってのけるものもないではない。そして、まちがいだったと気づく頃には、もう乳はすっかりひ上ってしまって、今さらどうにもならず、そのまま人工栄養をつづけるといったことになる。
それは、しかし、まだよい。もっと困ったことに、こうした「くせ」を産院や病院でつけてしまうのではないか、と思われるふしもある。というのは、母乳の分泌が、十分になるにはかなりの時がかかるし(2〜3日から始まり1〜2週間で、時には3週間もかかってようやく十分になる)、赤坊の吸引刺戟によって分泌はたかまって来るのだから、なるべく早くから赤坊にしゃぶらせ、飲み残りはしぼりとるようにし、少々出は悪くても、少くとも2〜3週間は思い切ってはならぬ(初めのうち少々不足しても大丈夫)、といわれているのに、産院や病院では、それを待たず、(早く十分の栄養を与えようという配慮からではあろうが)、すぐさま人工乳を足してしまう。
赤坊にしてみれば、瓶からの方がうんと飲みよいから、努力を要する乳房をいやがって、しだいに飲まなくなる。そして、勿体ないことに、もっと我慢していれば、よく出るようになるかも知れない乳を、思い止ってしまう、ということになっているように見かけられる。母乳が乳児の正しい自然の食であるように、(栄養分はもとよりだが、さいきん、母乳に感染にたいする抵抗物質が分泌されることがわかり、この点からも、母乳の重要性が強調されていることも注目されねばならぬ)、授乳こそ真の母性愛のあらわれであり、しかも子供の健康、子供の幸福だけでない、親子の情愛のきづなともいうべきもの。いや、授乳そのものこそ母性としての唯一無上の喜びでもある。
むかしの人は、母性当然のつとめとして、喜んで授乳したし、その期間も長かった。そして、人工栄養にたよらねばならぬことは、まことに恥しい、また悲しいこととされた。私どもは、いずれも2〜3年くらい(次の妊娠まで)は母の乳房にぶら下っていた。当時は、それがごくふつうのことで、3〜5年というのもザラであり、中には10年も乳をのんだものもあった(北米インジアンやエスキーでは12〜14〜15年も飲ましていた)。
それが、だんだん切りつめられて、1年になり、半年になり、今では、もっと早く離乳するようにもなった。しかも、授乳は母体の健康上にも有利で、現に、統計は、授乳者が、非授乳者にくらべ、乳癌にかかる率の少いことをおしえている。
遺憾なことにも、この頃は、しだいに欧米風をまね、授乳をいやがる傾向になり、それとともに、乳癌がふえて来ている。深くかえりみなければならぬことではあるまいか。
乳の出をよくするためにも、また、良質の乳を出すためにも、何よりもまず、日常生活の合理化、とくに母体の栄養を正しくすべきだ(乳の出の悪いのも、母乳が質的に劣るなどといわれるのも、要は、母体の食べ方がまちがっているからだ)。そして、いたずらに薬剤、ことにホルモン剤などの新薬にたより、あるいは乱用すべきではない。
しかし、授乳食にも、妊婦食と同様、高蛋白食がすすめられており、とかく肉・卵食に傾いた高蛋白・高熱量含になっている。たしかに、蛋白質も熱量も、不足すれば乳の出は悪くなる。
兎に蛋白質の多い豆科の植物をあたえると、平素は他のものと混食するが、授乳期には豆科のものばかり撰んで食べ、常の4倍もの蛋白質をとるという。
蛋白質は、ふつうには当キロ1グラム、50〜60グラムのところ、授乳婦には少くとも100グラム。
熱量は、2000カロリーのものが3000カロリーは必要とされている。
しかし、それとともに、それらに釣り合うだけ十分のミネラル・ビタミンも増されなければならぬ。すなわち、
カルシウム 1.0 のところを 2.0グラム。
鉄 12ミリ が 15。
ビタミンA 5000 が 8000。
B1 1.0ミリ が 1.5。
B2 1.5ミリ が 3.0。
C 70ミリ が 150。
といったぐあい。
したがって、主食には白米よりは粗搗米。出来れば玄米にすべきだが、目下では農薬(水銀・砒素)の危険が考慮されねばならぬ。むしろ小麦粉(無漂白もの、出来れば全穀もの)、ソバ、豆、芋類の併用。蛋白食には、骨・内臓ともに食べられる小魚類、内臓、卵、乳、大豆。そして、これらに釣り合うだけ十分の緑葉を添え、しかもなるべく多くを生食し、青汁にしても飲む(少くとも1日2〜3合)ようにしなければ、本当の完全食にはならない。
むかしは、野菜、海藻を十分に配した食がすすめられたし、ハコベ、タンポポ、チサなども利用された。また、事実、ただ青汁をのむだけでも乳の出はずっとよくなる。もちろん、すべての食品は安全かつ純正品でなければならず、危険な農薬や洗剤、鉱山や工場の廃液に汚染されたもの、あるいは何が添加されているかわからぬ貯蔵・加工・既成食品などは、つとめて避けなければならぬことはいうまでもない。それは、幼弱なものほど、こうした有害有毒物の影響をうけやすいからだ。なお、調理調味は簡単にし、なるべく自然のままか、自然に近いかたちで食べること。
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6. 冷やすのと温めるのと
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医学博士 遠藤 仁郎
冷やすのと温めるのとは、まるで正反対の処置なので、その応用も、全然ちがうもののように、ふつう考えられる。そして、初めの医者は「冷やせ」といったのに、次の医者は「温めよ」というと、患者も家人も、全く戸惑いしてしまうのも、もっとものことだし、それで、もし変ったことでもおこると、反対の指示をしたものはひどく恨まれる、といったことにもなりかねない。
ごく大雑把にいって、症状がはげしいときは冷やし、軽いものは温める、というのが原則だ。たとえばどこかに炎症があるばあい、腫れや痛みがきつければ冷やし、さほどでもなければ温める。
冷やすと、その部の血行をゆるめて腫れをおさえるので、炎症が幾分やわらげられ、痛みも楽になる。
温めると、その部の血行をすすめ、腫れの吸収をすすめるので、軽い炎症はそれだけで散って消えてしまうからだ。
虫垂炎(俗にいう盲腸炎)でも同様、炎症が強ければ冷やす。軽いものや慢性のものは温める。胆石の疝痛は胆嚢の痙攣のためだが、はげしい痛は冷やすと気持がよい。冷やすことで胆嚢の興奮性がおさえられ、痙攣が鎮められる。軽い痛は、多くの場合、温めるとぐあいがよい。反射的に胆嚢の興奮性がやわらげられるからだ。
胃潰瘍や胃炎の痛も、同様。痙攣によるものだが、比較的軽いので、温めることが好まれる。なお、温めることで胃の血行をよくし、潰瘍の治りを促がすというので、以前は、懐炉や蒸しタオル・コンニャクなどで、火傷するくらい温めたものだ。
もちろん出血があれば冷やす。心臓の痛、狭心症や心筋梗塞など、きついものはまず冷やすのがふつう。胸くるしいとか軽い動悸といった程度のものにはぬる湯の湿布が快いようだ。といった調子で、多くの場合、この原則があてはまる。
しかし、からだの反応というものは、体質、病状、その他の条件で、それぞれみなちがっているので、いつもこの原則通りにゆくとは限らない。軽い虫垂炎は、1週間もたつと、ふつう、冷やすのはやめて温めるのだが、氷嚢を懐炉にかえたその日から、また症状が強くなり(熱が出、痛もひどくなるなど)、あわててまた冷やし、やっとおさまる、といったこともある。
また、熱が出て頭が痛むとき、大抵は氷嚢氷枕で気持がよいのだが、時には、反対に温めるほうが凌ぎよいばあいもある。終戦の翌年のこと、私は発疹チフスらしい熱病にかかった。脳症をおこし、半ば夢うつつの状態だったが、頭痛にはかなり悩まされた。この痛は氷嚢氷枕では少しもよくならなかったが、熱湯を入れた枕にし、湯に浸した手拭を頭にのせて、はじめてやっと我慢できるようになった。
だから、冷やすのがよいか、温めるのがよいかは、そうやかましく考えないで、ためしてみて気持のよい方にすればよいわけで、ふつう冷やすところでも、冷やしてぐあいが悪く、温めてよければ、温める。逆に、ふつう温めるべきところでも、温めて気持が悪く、冷やしてよければ、冷やすという風に、その場合場合に応じて適宜にすればよい。
なお、冷やすには、ふつう冷水、氷が用いられるが、冷えた石や金物でもよし、手でもよい。温めるにも、懐炉、湯たんぽ、温湿布のほか、炒り塩、炒り糠でもよし、太陽にやけた石や砂、屋根の瓦でもよい。いよいよ何もなければ、肌のぬくみ、手のぬくみ、息のぬくみ(嘘気熱)も応用できる。
また、氷よりも水のほうが、懐炉や湯たんぽよりも手のぬくみとか、ぬる湯の方が気持がよいといったこともあるから、それぞれ試してみて、ぐあいのよい方をとるべきだ。
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7. 許せぬ横暴 チクロかん詰まだ売っていた
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東京 28万個も
業界、回収にそっぽ
東京都内に出回っているかん詰の100個に1個はチクロ入り、大阪でも販売店の5軒に1軒がチクロ入り食品を売っている―東京都衛生局の調べでこんなショッキングなデータが出た。
東京の違反品は一流メーカーを中心になんと28万8208個(うちビン詰2万942個)小売業者から「廃棄する」との誓約書をとったが、監視の目をかすめて売られる恐れも十分ある。ほかの食品より7ヵ月も回収を猶予しているのにこの無責任。業界の姿勢はどうなっているのだろうか―。
都の立入り検査は1日から14日まで食品Gメン延べ約3千人を動員、あらかじめ作ったチクロ入りかん詰のリストに従い店頭から見つける方法で3万3989店で行なわれた。うち7675店がチクロ入りかん詰を売っていた。
とくに違反の多かったブランドは
「マルは」 = 大洋漁業、 約5万個。
「あけぼの」 = 日魯漁業 約2万5千個。
「サンヨー」 = KK逸見山陽堂、約2万個。
「ちょうした」= 田原缶詰、 約1万3千個。
「こけし印」 = 三井物産、 約8千個。
「ノザキ印」 = 野崎産業、 約3千個。
「コスモス」 = 北洋商事、 約3千個の順。
とくに「マルは」印「まぐろ味付」かん詰の一部は食品衛生法で表示を義務づけられている「人工甘味料添加」のラベルがないうえ、チクロが検出され、“二重違反”だった。
また「ちょうした」のさんま蒲焼かん詰の一部は、チクロを使用していながら「合成甘味料含有」の表示を塗り消してあった。明治製菓製のチクロ入りの桜桃かん詰24個の場合は、明治商事KK東京食品支店から6日に10ケースを卸売りされていた。
これらのかん詰はいずれも厚生省が発ガン性のある人工甘味料チクロ(サイクラミン酸塩)の使用を禁止した昨年11月10日以前に製造したもので、今月1日から販売禁止になってからもメーカー、問屋とも積極的に回収をせず、店頭に出回っていたわけ。しかも、清涼飲料水など他の食品は2月1日から販売禁止されたのに、かん詰類だけは食品業界が「このままでは倒産する」と泣きつき猶予したいきさつがあるだけに、都は「業界の事後対策はデタラメ。モラルを疑う」といい、今後監視を強化する方針。
禁止直前にたたき売り
なぜ、チクロかん詰がまかり通っているのか。メーカー側は販売禁止になる直前の9月中旬まで工場原価の半値で“たたき売り”して在庫品の一掃をはかった。
これが問屋、小売店へと流れ、安売りされているわけ。全国缶詰問屋協会の北田専務理事は「原則として返品は認めていない。売れ残ったものは廃棄するか、自家消費してもらうほかはない。小売業者の中には禁止前に安く大量に仕入れて、値引きして売り、こんなに売れるとは、と喜んでいるところもあった」と安売りを認めている。
大洋漁業本社(東京)缶詰事業部の佐田克郎副部長は「監督不行届きだった」と認めながら「チクロかん詰の大口出荷は2、3ヵ月前にやめているが、小口の出荷は9月まで続けた。そのさいは“9月中に売切れるように”といってある」と弁明、そして「商品が市場へ流れれば所有権は問屋や小売店へ移る。その処理をいちいち本社からはできない。それぞれの流通機構で自主的に判断してもらわねば……」と責任を回避している。
また日魯漁業の場合は鞍橋俊典加工品販売課長が「昨年10月から製造を中止した。チクロのラベルも当時の在庫品(5百万個)を大幅に上回る1700万枚を印刷して小売店まで流した。小売店は酒屋、スーパーマーケットからパチンコ店にまで広がっているので“目こぼれ”があったかもしれない」と話している。
4万個を摘発 神奈川
大阪5軒に1軒落第
【横浜】神奈川県衛生部はチクロ食品の販売がいっさい禁止された1日から県内各保健所と協力、食品加工、製造所、販売店の一斉摘発を続けているが15日現在、製造所1、販売店1355、飲食店、パチンコ店87の計1443の業者から4万7千個のチクロ入りかん詰類を摘発、4万個を販売禁止、7千個を廃棄処分にした。出回っていたチクロ入りかん詰類は果実のかん詰が90%で、残りは魚介類かん詰、ビン詰ソース、ポリ容器入り水菓子など、同部は一度摘発、行政処分されたにもかかわらず再び販売している悪質販売店には告発など強い態度で臨む。
大阪市衛生局は22保健所の係員約100人と大阪府警の協力で1日からはじめ、これまでに食料品の販売店を中心にデパート、スーパー、パチンコ店など計985点を対象に調べた。この結果、カン詰、ビン詰、タル詰、ツボ詰食品のうち、サイクラミン酸塩(チクロ)入りの食品を売っていたのが208店もあった。販売店5軒に1軒の割。違反品目は304品目、個数にして8249個で、うちチクロ表示の185件、5417個をただちに廃棄処分にさせた。
このほか「合成甘味料添加」とあるだけで、チクロ入りかどうかわからない72件、3823個は移動禁止処分にするとともに、大阪市衛生研究所で分析をいそいでいるが、22日までに分析した43件のうち27件までが違反食品だった。
(45・10・23 毎日)
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8. こんどは“化粧品公害”
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医師もお手上げ 厚い企業秘密の壁
原因不明と見られていたしつこい皮膚炎が、実は薬用石けんや口紅、ファンデーション、香水などの化粧品によるものである場合が非常に多い―との研究報告が、4日、東京都庁舎で開かれた第3回日本都市医学会総会で慶応大学皮膚科の中山秀夫博士、東京都立広尾病院皮膚科の佐々木伸子医師らによって発表された。
そして現在の薬事法によると、化粧品の内容成分は一種の企業秘密だが皮膚炎の原因を究明するためには化粧品についても医薬品同様、成分を公開しなければならないことが強調された。
薬用石けんで死者も
広尾病院の調査によると、最近1年間に化粧品が原因とみられる皮膚炎の患者が96人訪れた。これは、皮膚科外来患者全体の4.3%にのぼる。16歳から62歳の女性からアンケートをとったところ、全女性が化粧品による皮膚炎の経験をもっていることがわかった。
化粧品に含まれている物質で皮膚炎の原因になる可能性のあるものは、香料、色素、殺菌剤、染料、清涼剤など十数種類におよぶが、中山博士によると、これらのうちでも香料と殺菌剤が問題。香料と名のつくものは、世界中で約5千種類。中でもよく使われるものが4百種類ほどだが、この成分や配合方法などは厚生省への届け出義務がない。
ローズオイルは石けんや美容院でよく使われるクリーム類、化粧水の中などにたっぷりはいっているが、ある美容師は毎日のようにこれを使ったため、顔と手にひどい湿しんができた。
いちばん原因をつかみにくいのが薬用石けん。これには香料もはいっているが、ビオチノール、トリブロモサリチルアニライド、ヘキサクロフェンなどの殺菌剤が全身の皮膚炎を起こし、なおも知らずに使用を続けたために死んだ老人の例が発表された。
ビオチノールは現在、生産が中止されているが、その石けんはまだ売られている。このように成分と皮膚炎の因果関係が明らかになったのは中山博士がたくさんの試験紙をつくって、患者のハダの反応を調べたため。もしも、メーカーが全製品の成分と量を明らかにして、試験紙を全国の皮膚科医に配っておけば、患者はどこにいても簡単に自分のハダに合わない化粧品を発見できるという。参加者の間では“化粧品公害”に無策の厚生省と化粧品会社の姿勢に対して強い不満の声が多かった。
(45・10・6 サンケイ)
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9. エンサイを作りましょう
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渡辺 忠夫
エンサイは丈夫で作りやすい野菜です。甕菜(エンサイ)は、甘藷に近縁の植物で、いもは着きません。いわば甘藷の蔓だけ作るようなもので、夏の季節の野菜としては、最も作りやすく、素人作りで容易に出来るものです。
種子の他、甘藷の蔓を挿す様に、挿枝でも直ぐ発根して繁殖する丈夫な植物です。台湾や南支南洋方面では最も普及した、最も安価な野菜ですから、南方に行った方は大概良く知って居るものです。戦前の価格ですが、台湾の市場の小売は、一斤(600グラム)で2銭か3銭が通り相場でした。
日本の夏は台湾やインドネシヤに負けない暑さですし、その上、日本の夏の方が日照時間が長いので、エンサイの生育と繁茂には条件が良い訳です。堆肥や鶏糞等の有機質肥料を与えれば、畑土も肥えて、驚く程よく出来ますが、痩せた土地でなければ尿素や硫安等の化学肥料も併用出来ます。
エンサイは特に水が好きですから、畑の土が乾かない様に、ジャンジャン水を掛けて下さい。ケールや夏だいこん等の栽培で悩みの種の、青虫やカ虫は、植物の性質上、エンサイに寄りつきません。畑に流れる程水を与えますと、夜盗虫やコオロギ等の害虫は溺れたり、逃げ出したりして防ぐ事が出来ますから、全然農薬を使わなくて、うまく栽培出来るのは、エンサイの利点です。
太陽を食べる、と申しますか、豊かな夏の日光の恵みを、緑の野菜の形に替えて、思う存分食べましょう。ジュースにして飲むのも宣しいでしょう。それなら甘藷の蔓でも、と考える方もありましょうが、形こそ似ていますが、エンサイはケールやホウレンソウと仝等以上に、軟かくて美味しい野菜です。甘藷の蔓とは全く味が違います。
播種の適期は4〜5月ですが、梅雨季でも、うまく播種育苗すれば夏に間に合います。エンサイが水を好み水に強い点で、梅雨季の育苗が出来るものです。作りやすくて、美味しい、エンサイを何とか、日本の家庭菜園に、広く普及し度いのが、半年以上の長い年月を、台湾で過して此の野菜に特別の親しみを感じる小生等の念願です。
緑葉食で健康長寿を目的とした、貴会とは全く同じ目的ですが、特に延才会を組織して普及に努力して居ります所以です。(延才会幹事)
◎種子は宮崎市丸山町 延才会 渡辺忠夫氏宛、または遠藤青汁の会宛へ申し込んで下さい。
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10. 食養断想(35)
病気の今昔――主として肝臓病について
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友成 左近
肝臓病患者が、この頃急に目立って多くなっているが、昔は少なかったものである。それも昔は、主として中年期以後の人であったが、この頃は、青年期の人も少なくない。これはお互い、なにより大切な健康をはかるのに、深く留意しなければならないことがらである。広くものごとで、格別に重要なことを肝要といっているように、肝臓は、健康と生命にかかわる臓器のうちで、格別重要なものである。
第一に、胃腸で消化吸収された栄養素は殆んどすべて、肝臓に送りこまれるのであるが、肝臓は、これを生きた体に役立つ固有の栄養分につくりかえると共に、必要な分量だけ血液に送り出し、余分は一時貯えておく。
第二に、腸内で食物が消化されるときに役立つ胆汁をつくって、十二指腸に送り出す。
第三に、飲食物などから体内にはいってきた有毒物を解毒する働きをもっている。
第四に、熱量として使われた蛋白質から、体内で生成する有害物を尿素につくりかえて、腎臓で排泄しやすいようにする。
その他、病原菌に感染すると、これにたいする免疫体をつくって防衛するなど、生命と健康のために数限りない機能をはたしているのであって、生きた体の化学工場であり、また倉庫もかねているわけだ。
肝臓は、右上腹部の肋骨に囲まれたところにあって、ふつうは、外から手にふれないが、その重量は1キロ半というふうに、各種の臓器のうちで最も大きなものである。またこれは、ツイではなく、ひとつであるが、少々傷ついても間もなく再生するというふうに、最も強い臓器である。さらにこれは、それを組織している細胞が、二週間ぐらいですっかり入れかわってしまうというふうに、わが身をけずって働くこと最大の臓器であり、かつ、最も誠実な働きものの臓器である。
肝臓は、少々やられても、みずからは殆んど症状をあらわさない沈黙の臓器であるが、十分働けないと、からだ全体に各種各様の症状があらわれる。ために、肝臓が病気にかかっているのに、その手当をせずに、他の病気の手当ばかりして、悪化させることがある。肝臓病には、その原因や病状によって、つぎのようなものがある。
第一は流行性肝炎だ。これは、患者が大便と共に排出した肝炎ビールスが、口からはいってきて感染した場合である。
第二は血清肝炎だ。これは、流行性肝炎と同様にビールス性であるが、肝炎にかかったことのある人の血液を、輸血して感染した場合である。
第三は慢性肝炎だ。これは、ビールス性肝炎が慢性化して、容易に治らなくなった場合である。
なお、血清肝炎は、流行性肝炎より数倍もはやく慢性化しやすいということだ。
第四は、中毒性肝炎だ。これは、飲食物や医薬や工業薬品などにふくまれている有毒物が体内にはいって、肝細胞が損傷した場合であって、有毒物の性質や量などによって、急性にくる場合もあれば慢性にくる場合もある。
第五は肝硬変症だ。これは、ビールス性であれ中毒性であれ、やられた肝臓が、硬くちぢかんでしまった場合である。
第六は肝臓ガンだ。これには、胃などにできたガンが転移した場合と、肝臓に原発した場合がある。
肝臓病は、急性であれば、ただそれだけで生命にかかわることがある。慢性であれば、からだのあちこちに不調が起こって、あれこれと病気にかかる原因となる。硬変やガンがすすめば生命にかかわることは、いうまでもない。
肝臓病にかかるのは、ひとつには、体外から肝炎ビールスや有毒物がはいってくるからであるが、もうひとつには、こうした病原にたいする抵抗力が劣っているからであり、従ってまた、体内に有害物が著しく多量に生成するからである。それを考えれば、このごろ目立って肝臓病患者が多くなったことが、よく分かる。
第一に、体力のもとである毎日の飲食物が、栄養上著しく不調和・不完全であるため、病原に対する抵抗力が劣っている人が著しく多くなったからである。すなわち、米・麦・砂糖や肉・魚といった熱量原や蛋白原の多い食物は、よほどの例外でない限り、必要なだけ、いな必要以上に食べているが、これが体内で栄養として利用されるのに必要不可欠な、各種のビタミンや、カルシウムその他のミネラルの多い野菜・果物、わけても青野菜はなにほども食べていないからだ。わが身をけずって働くこと最大の肝臓としては、この栄養が著しく不調和不完全であっては、とうてい十分に働けず、またやられやすいわけだ。
第二に、こういうふうに栄養が著しく不調和であると、熱量原や蛋白原が不完全に利用されて、あたかも煙突にススがたまるように、体内に有害物が多量に生成するからである。
第三に、毎日の飲食物や生活環境に有毒物が急に多くなったからである。すなわち、この頃の飲食物は、植物性であれ動物性であれ、原材料からして殆んどすべて、多かれ少なかれ、有毒な農薬や医薬や工場排出物に汚染されている。その上、いよいよ多量に使用されている既製の加工食品には、殆んどすべて、多かれ少なかれ、有毒な添加物がはいっている。さらに、空気や水が、工場や自動車の有毒な排出物で汚染されているので、それが不可抗的に体内にはいってくる。
第四に、こういうふうに肝臓は、マトモに食わせもせずにコキ使われているため、もともと強い臓器であっても、しだいに抵抗力をよわめられるからであり、もともと感染力はそう強くない肝炎ビールスにも、やられてしまうのだ。
第五に、ケガや病気で輸血する人が多くなったからであり、この血液に肝炎ビールスがひそんでいるかどうか、今の医学では確実には検査できないからである。しかも、別に肝炎にかかったおぼえのない人にも、このビールスがひそんでいることがある。
第六に、病気の治療や予防で注射をうける人が著しく多くなったからである。すなわち、肝炎ビールスは、ふつうに行なう注射器の消毒では容易に死滅しないので、肝炎ビールスがひそんでいる人に使った注射器で注射をすると、その度毎によく消毒していても、ただそれだけで感染することもあるという。
第七に、肝臓病にかかるのは、こうした数々の原因が重なりあってのことであるが、正しい予防法・治療法を怠って、安易に医薬にたよる人が著しく多くなったからである。すなわち、あれこれと数多くの肝臓薬が宣伝されているが、今のところ、有効な予防薬も治療薬もまず皆無といってよく、中にはそのうえ副作用のあるものもあるのだ。
肝臓病を予防して、よりいっそうの健康をはかるには、これにかかる筋道を裏がえしにする以外に、これといった方法はない。
第一に、完全栄養をはかることである。それには、良質の青野菜を、毎日体重の1%以上と、できるだけ多量に(それも、つとめて生のままに、また青汁にして)食べて、各種のビタミンとミネラルと十二分にとりいれると共に、米・麦・砂糖や肉・魚といった熱量食と蛋白食を、できるだけ芋と大豆に切りかえる以外に、これといった妙手はない。
第二に、飲食物はすべて、よく吟味して、できるだけ安全なもの、それも、つとめて既製の加工食品をさけて、原材料でまかなうことである。とくに多量に食べる青野菜・青汁には、必ず、農薬その他の有毒物に汚染されていない安全なものを使うことが肝要である。
第三に、できうる限り清潔な環境で生活すると共に、ムリな労働はひかえることである。
第四に、輸血しなくてもすむように、ケガや病気にかからないことである。
もし肝臓がやられたときには、決して安易に医薬にたよることなく、こうした予防法をさらに強化して、早期に根治することが肝要である。
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11. 肩身が広い
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大阪府 S.S.
大阪に来てから数名の方に青汁をすすめ、大変感謝されています。大阪では土地がないのでケールが作れず、仕方なしに大阪センターから製品を送ってもらい、毎日飲用して、大変元気に働いています。
近いところにあるショッピングセンターで、孫のような若い娘さんの中で大変愉快に朗らかに働かせてもらい、毎日感謝の日を送っています。70になる私が、毎月皆勤賞をもらうのに、多くの人が不思議がります。そういう人には、「青汁のお蔭です」と話して、青汁の効果を一通り話してやると、多くの人が皆、私もやってみようと、次々愛好家が出来ますので、私も肩身が広い思いです。毎月の新聞は残らず読ませていただき、一部の人には回覧で見てもらっています。
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12. 糖尿によいようだ
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高知県 S.H.
主人が6年くらい前から糖尿病です。「青汁の効用」という本により、青汁のいいことを知りました。ちょうど大根やカブのある時なので、さっそくやってみました。
一日グラスにかるく一杯(もっと飲みたいのですが、野菜がすぐなくなるので)。のみ始めてから、まだ1ヶ月たらずですが、この間(1週間くらい前)の血糖検査では、お医者もびっくりするほどよくなっているのです。
主人も、私もよろこびました。きっと青汁のおかげにちがいない。なんとか続けたいと思います。野菜のある間はいいのですが、その時期がすぎると困りますので、ケールを植えてみたいと思います。畑は家のまわりに充分ありますので。
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13. 不思議のよう
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神奈川県 S.I.
旧年はケールの種ありがとうございました。さっそく、少しまきました。大きくなるのを待ちきれず、かわいなの2〜3枚とり、色々とまぜてジュースにして、いただいております。そのせいか、私のリューマチ、子供の胃、ちくのうもよくなり、鼻血が出なくなり、不思議のようです。沢山ふやして、困る人をたすけたいと思います。
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14. 不安定な血圧
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15. 一刻も早く
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東京都 R.M.
今の農業政策では、遠からず日本人は全滅しましょう。先生の青汁を、一刻も早く政府諸公に知らせないといけません。人間は心と肉体より成り立つもので、心を完全に育てるのは釈迦の教法。肉体を完全に育てるのは先生の青汁教法。と、私は確信しております。
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16. 大豆の揚げもの
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17. 石油からの肉
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安価な石油成分ケロシンで酵母や細菌を培養し、その蛋白質を利用しようという研究が、諸外国でもさかんに行われている。わが国でも、その技術を導入し、石油からの人造肉として売り出そうという計画がある。しかし、原油中の不純物ことに発癌性のタール分や、使用される酵母や細菌の毒素、醗酵の際に生ずる有害物質の問題など、まだ十分解決されていない、というのが実状のようだ。
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18. イチジク葉の汁で
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19.質問箱
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奈良県 Y.
問
先生の著者に出て来る「肝臓緑葉食」というのはどういうことですか。
答
緑葉食は、ナッパを十分そえた完全食。肝臓はその緑葉食の蛋白源の肉や魚の代りに肝臓を食べること。貧血や栄養不足やネフローゼなどによいようです。
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コラム紹介
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