ケール青汁と甲状腺機能


 アブラナ科の植物が、動物で甲状腺機能を抑え、甲状腺を腫れさせる成分(チオシアネート、およびイソチオシアネート)を持っていることは、医学専門書(Ingbar:Thyroid)にも掲載されています。
 ケールは、大根、かぶら、菜の花、小松菜などと同じアブラナ科に属する十字科植物です。ケールには、甲状腺ホルモン機能を抑える成分があるのです。
 やや詳しく説明を加えましょう。

 甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニンなど)ですが、その化学構造をみると、ヨードを含む物質であることがわかります。食餌に含まれているヨードが、甲状腺に取り込まれ、そこでホルモンに合成されます。
 ところが、ケールが含んでいる特定の成分は、ヨードが甲状腺に取り込まれる経路でその効率を抑えることがわかり、そのため、甲状腺でのホルモン生産を減少させることが知られています。
 からだのほうは、甲状腺自体を大きくしてでもホルモンを作ろうとしますから、甲状腺が腫れてくるのです。甲状腺機能低下症の人が、ケール青汁を飲むと、甲状腺の腫れが強くなることのあるのは、このためです。

 この問題を解決するのは簡単です。
 青汁の材料をアブラナ科以外の野菜にすればよいのです。青汁として使える材料には麦の若葉、桑の葉、明日葉などが乾燥粉末として手に入ります。
 もう一つの対処法があります。
 前述したように、からだの中に入ったチオシアネート、イソチオシアネートがヨードの甲状腺への取り込み効率を妨げているのですから、それならより多くのヨードを供給すれば良いということになります。海藻などヨードを多く含んだ食物をとっておれば、甲状腺ホルモン産生抑制効果を打ち消してくれるでしょう。たとえ、ケール青汁であっても、極端に大量に飲むので無ければ、飲み続けても問題はおこらないでしょう。

2008ー9ー27 遠藤治郎



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