遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
野菜ならよいか

 それでは、野菜なら何でもよいか、というと、これも、そう簡単にはまいりません。大根の白い根は、やわらかくて食べよいが、葉はガサガザして食べにくい。同じナッパでも、白菜やキャベツのほうが、水菜や小松菜よりは食べよい。
 じっさい、今までの食習慣では、こういう白い野菜が、一般に好まれており、煮て食べるものも、漬物にするのも、どうも、白いものが多いのですが、それではダメなのでしょうか。
 これも、次の表をみれば一目瞭然。

熱量 蛋白質 カルシウム B1 B2
白 大根(根) 25 1.1 38 18 0.3 0.03 0.04 30
色 キャベツ(白) 24 1.6 45 22 0.4 0.08 0.05 50
菜 胡瓜 0.7 19 27 0.3 33 0.02 0.02 15
黄 人参(根 51 1.3 35 35 0.5 1300 0.06 0.04
色 トマト 33 1.3 18 0.2 130 0.08 0.03 20
菜 南瓜 54 1.1 44 56 0.5 330 0.03 0.03 20
緑 大根菜 49 5.2 190 30 1.4 3000 0.10 0.30 90
色 小松菜 20 2.3 170 63 3.3 2000 0.10 0.15 90
菜 菠ホウ薐レン草 28 3.0 98 52 3.3 2600 0.12 0.30 100
カロリー mg mg mg 国際単位 mg mg mg

 私どもが野菜に求めているのは、主食の穀、豆、芋類や、蛋白食の肉、卵、大豆、また砂糖や酒などに不足している、ミネラルことにカルシウムと、ビタミン類です。が、白い野菜には、根でも、葉でも、果でも、カルシウムはいくらか多いものもありますが、ビタミンは殆んどCだけで、Aは全然ありません。
 キウリには少々ありますが、これは外皮が青いからで、上品な料理のように、皮を剥きとってしまえば、少くか、無くなってしまいます。
 ですから、白い野菜は、野菜には相違ないが、良質ナッパに比べれば大変劣っており、ビタミンやミネラルの補給源としての価値は殆んどありません。
 そこで、こうした野菜を、いかに馬力を出して食べてみても、食改善という意味には大して役立ちません。
 そのうえ、これらの野菜は、遠路の輸送や貯蔵に堪えるので、出荷用の換金野菜として栽培されるわけで、それだけに農薬の心配も大きい。
 寒い季節だけは大丈夫と思っていたが、冬の白菜でもホリドールのような猛毒剤をまいた上で巻かすのだといいます。

有色菜ならよいか
 それでは、近ごろやかましくいわれる有色菜ならば、つまり、黄色か緑色の野菜ならば何でもよいかというと、それも一概にはいえません。
 黄色菜では、人参(根)、南瓜、トマトが代表的のもので、人参や南瓜をよく食べる所には長寿者が多いというし、南瓜を冬至に食べると中風のまじない、などともいうように、よい野菜にちがいありません。
 しかし表のように、人参や南瓜には、ビタミンAは多いが、ミネラルのほうは必ずしもそろっていません。
 トマトも大変よいとされ、ジュースなどの加工品もある程ですが、栄養分はそう大してそろって多くはありません。
 もちろん、果物や白色菜に比べれば確かによろしいが、良質ナッパには、とても比べられません。
 したがって、有色菜であれば何でもよい、というわけではありません。
 なお、人参やトマトは病虫害をうけやすいので、農薬がよくつかわれること、トマトのごときは3日にあけず、いや、殆んど毎日のように消毒するということです。
 ですから、使用時よく洗うことが大切です。しかし、浸透性の農薬は、いかによく洗っても除くことは出来ません。
 その上、一部の悪質農家は、鮮度をながく保つために、出荷直前にホリドール液につけるといいます(これはトマトだけでなく、胡瓜も茄子にも、ナッパにもだそうですが)。
 もし事実とすれば許すべからざる、まさに殺人的行為ともいうべき無暴な行いです。

緑色菜
 残るものは緑色菜ですが、これにもピンからキリまであり、中には随分つまらぬものもあります。
 しかし、良質のものでは、有難いことに、今まで述べた食品に不足していたビタミンやミネラル類は、すべてそろって多いのです。
 たとえを大根葉にとってみましょう。根のほうは白色菜の代表として記したとおり、存外くだらぬものですが、葉はビタミンも多ければ、カルシウムや鉄にもとんでいます。
 小松菜、水菜、菜種、ケールも同様、すべての栄養分がうまくそろっています。一級品です。
 梅漬けに使うほかは使いみちの殆んど知られていない紫蘇。西洋料理のアクセサリーになっているパセリ、馬のよろこぶ人参葉。これらは特に成分がよろしい、特級品。
 ところが、ふつう好んで食用されているチシャ、レタス、菊チシャ、菊菜、ミツ菜、芹、葱などは、色はややうすく、軟らかくて食べよいが、一級品や特級品に比べると、やや劣っている、いわば二級品。
 もちろん無色菜や白色菜とは格段のちがいですが。例外は、緑色が濃く葉は軟らかく、一般に、おそらく最優秀菜とされ、栄養書にも料理書にも緑葉菜の代表者となっている菠薐草ですが、これは、余りよい野菜ではありません。
 それは、なるほどビタミン類はそろって多いのですが、ミネラルがダメだからです。
 私どもが野菜ことにナッパを大切に考えるのは、それらが、穀、豆、芋や、肉、卵などに不足しているミネラルやビタミン類を十分もっているからなのですが、菠薐草はカルシウムが少いうえに、蓚酸カルシウムとしてあるため、利用されません(蓚酸カルシウムは水に溶けにくく吸収されにくい)。
 鉄も、多いようにいわれ、貧血によいなどとされていましたが、これも余りよく吸収されません。
 このように、菠薐草はビタミン源としては、良質ナッパと同様すぐれていますがミネラル源としての価値の乏しいのが欠点の一つ。
 それから、もう一つ。菠薐草には、余り大量、ことに生で食べると、腎臓や膀胱に結石ができるおそれがあります。
 これも気に喰わぬことなので、今までふつうのように、ほんの少量を炊いて食べるには少しも差支はありませんが、穀、豆、芋、肉、卵などに釣り合うほど、あるいは、それ以上に余裕をもたして食べる(しかも生で食べたり青汁にして)のは考えものです。
 そこで私どもは、以前から、菠薐草を青汁にしてのむのはよくない、と警告して来ました。
 年中いつでもなるナッパといえば菠薐草だし、よい野菜とされているところからすすめられて、熱心に青汁にして飲み、実際、石が出来た人を私どもはかなり知っています。
 なお、それ以外に蓚酸の多いものは、野菜では不断草(夏チシャ)その兄弟分のビート(砂糖大根)の葉。雑草ではイタドリ、ギシギシ、秋海棠、カタバミ、オキザリスなど。子供のころ、たいていイタドリやギシギシは食べた経験があろうと思いますが少量は差支ないとしても、大量をつづけるのは慎しむべきです。

 それはともかく、良質ナッパといえば、緑色が濃くて、繊維がつよく、ふつうには、食用というよりは、むしろ飼料用にまわされ、人間の食うものではないか食っては悪いかのように思われているもののほうだ、というわけです。
 そして、農薬の心配のないものでなければならず、そうした安全良質菜の円滑な供給が望ましいのはいうまでもありません。

ここで起る疑問
 さて、こうしたナッパを食べなければならぬ理由が、穀、豆、芋、肉、卵などに不足しているビタミンやミネラルを補うためだけというのであれば、何もナッパでなくても、薬を飲めばよいではないか。薬屋には、いくらでも錠剤やアンプル入りの栄養飲料があり、いわれるところの不足成分は十分はいっている。そして味もよいし、飲みやすい。そういう便利なものがあるのに、何を物好きにナッパなどと野暮ったいことをいうのだ、というわけです。
 なるほど今では、よい薬がいろいろ出来ています。しかし、それは、何といっても人間のつくったものです。絶対、そのものに間違いはないでしょうか。製造過程中になくなったり、あるいは、初めから十分いれていないものはないでしょうか。
 この信頼性の問題にさておくとしても、今一つ大切なことは、薬になっているものは、私どもの栄養として必要なもの=神さまからいただいているすべてではない、ということです。
 つまり、薬になっているものは、栄養学者がはっきりさせた成分だけですが、自然の食物の中には、まだまだわかっていないもの、いわゆる科学されていないものが、まだ、いくらあるか知れないのです。
 私どもは、栄養学でわかっている成分と、こうしたまだわかっていない成分の両方がそろって、はじめて本当に完全な健康がえられるのです。
 そして、そのためには、どうしても、良質のナッパを十分にとらなければならない、と私どもは考えます。
 また事実、からだが弱いので、マスコミの宣伝のままに、あらゆる薬をのんでみたが、一向に丈夫になれなかったものが、発心してナッパを食べ、青汁をのむようになって、はじめて本当に健康になった、ということは、しばしば私どもは経験しています。
 <(1967・4 遠藤)健康と青汁第128号より>




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