塩(食塩) |
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「太陽と塩ほど有用なものはない」といわれますが、調味料としても、「味は塩にあり」「塩ほどうまいものはない」です。 また、絶対に欠かすことの出来ない大切な栄養素の一つでもあります。 そして、「塩は万病に奇効を奏する。出来るだけ十分にとれ」ととなえる一派(石塚左玄氏)もあるほどです。 しかし、食べすぎると高血圧を原因することはよく知られていますし、わが国に胃癌の多いのは、塩からいもの(漬物・塩魚・佃煮など)を食べすぎるからだ、ともいわれています。 古くから、多くの食養家が、塩の過食をいましめ、減塩食や無塩食をすすめている所以でしょう。 たとえば、村井弦斉氏は多年山中に入り、無塩生活をした経験から、塩の害を力説し、塩断ちすることで体抵抗力は著しくたかめられる、としています。 また、昔から神仏への願かけの際に、よく「塩のもの断ち」ということをやりました。 これは、塩がそれほど断ちがたいものであると同時に、そうすることによって心身を浄め、強めると信じられていたからでしょう。 それはともかく、一体、どれくらいの塩を食べるのが適当なのでしょうか。 ふつう、毎日の尿に出る食塩の量が、大体10〜15グラムなので、それくらいを摂るのがよいだろうと考えられているようです。 けれども、この数字は、決して、それだけの塩を食べねばならぬということではなく、ただ、調べてみると、それだけの食塩が尿に出ている。 つまり、それくらい食べている(食べた食塩の大部分が尿に出るので)ということをあらわしているにすぎません。 学者の説によれば、絶対に必要な食塩量は、特別の場合(強い発汗・下痢・嘔吐などで甚しく食塩を喪失するような場合)を除き、それよりもずっと少く、1日僅か2〜3グラムでよいのだそうです。 しかも、この程度の食塩は、ふつうの混食では、自然に十分含まれています。 ですから、塩断ちしても少しも差支はないわけで、それ以上は、ただ、舌の好みによって習慣的に食べているだけのことだ、というわけです。 < 1969・6 健康と青汁第154号より>
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