女性と酒 |
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いまでは、女性もかなり飲むようになった。 元来、女性はアルコールによわい、といわれているから、酒による病気にもかかりやすいようだ。イギリスのモルガン氏らが、1975年に、飲用期間の同じ男性77、女性23、計100名のアルコール中毒者について、肝障害をしらべたところによると、慢性肝疾患は女性に高率(女性86%、男性65%)だった。 もっとも、肝癌は少なかった。その理由として、女性の体が小さいこと。アルコール分解能が十分でないこと。台所をあずかっているだけに、飲む機会が多いこと。 しかも、留守の間にのみ、主人が帰ることには醒めているので、酒癖の発見がおくれるものが多いこと、などのためだという。(Morgan,Br.m.J.l:939,1977)。 それはともかく、女性の飲酒でもっとも重大なことは、妊娠や胎児・乳児への影響だろう。 妊娠能 慢性中毒女性は妊娠しにくい。 性欲がおとろえるためかも知れないだが、アルコールで精子の運動が妨げられるため、ともいわれている。 胎児の障害 妊婦の飲酒で、アルコールは直ちに胎児に移行するが、その濃度は母体のそれにちかい。胎児のアルコール分解能は、胎児が幼者であるほど弱いので、それだけ障害をうけやすい。飲酒癖の母親には、胎児死亡、流産、早産、発育不良、未熟児などが多い。奇形もあるらしい。 新生児 また、そうした妊婦の新生児には、発育不完全で、体重・身長が低く、精神発育も障害され、(低能児)、聾唖、癲癇児が少なくない。 授乳婦 母乳に移行するアルコールの濃度も、母体のそれにほぼひとしい。乳児のアルコール代謝能は、幼若なものほど弱いので、授乳婦の飲酒も問題だ。もっとも、飲酒女性の母乳は、よく出ないから、実害はなかろう、とはいわれているが。 (53・2)
<健康と青汁267号>
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