遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
虫垂炎

 俗にいう「盲腸」「盲腸炎」正しくは「虫様突起炎。」最近では簡単に「虫垂炎」とよばれています。大腸のはじまりの盲腸のそばに、虫のような突起物がぶら下っていますが、これを虫様突起とか、虫垂とかいいます。
 この虫垂という所は、その構造が口の中の扁桃腺と大変よく似ています。そして、扁桃腺がよく炎症をおこして痛んだり膿んだりするように、虫垂もよく炎症をおこし(虫垂炎)、そこに膿をもつのが恐ろしい急性化膿性虫垂炎です。ひどくなると腹膜炎をおこし、うっかりすると破れて腹中にひろがり、手遅れになると生命にもかかわる大事になるものです。
 この虫垂の化膿は、ほかの何処の化膿の場合も同じですが、化膿菌に対する抵抗力が弱ったものに来やすい。よく果物の種子や、ご飯の中の砂などがはいっておこるようにいわれていますが、決してそういうことはありません。(だから、たとえ誤って呑み込んでも、少しもあわてるには及びません。わざわざ食べる必要もありませんが)

 ところで、この化膿菌に対する抵抗力の弱るのは、多くの場合、穀類や肉類、砂糖や菓子などの濃厚食に偏った食べすぎ、つまり誤った過剰栄養の結果です。また戦時中から戦後の食糧の乏しかった当時にはずっと減っていたのが、食べ物が豊富になって来るのと共に、またふえて来たこと、美食する習慣の欧米人には大体に多いのですが、戦時中、ことに捕虜生活の間には、殆んどなかったといわれていることなども、同じく食物との関連のふかいことをしめすものといってよいでしょう。
 食糧が乏しいと、穀物も肉類も減り、砂糖も菓子もなくなり、搗きの悪い米を食い、麦や雑穀も食べます。そして野菜の量はいきおい多くなり、野草さえも利用するようになるから、栄養素のバランスは却ってよくなっています。
 しかし、食糧が豊富になると、どうしてもおいしいものを食べ、白米飯に肉や魚や卵が多くなり砂糖も菓子も氾濫して来ます。そして野菜のとり方は、それに逆比例して減ってゆき、とくに緑菜類が少くなる。
 そこで、熱量や蛋白質ばかりがむやみに多くなり、それらが体内で処理されるために無くてはならぬ栄養素、ビタミンやミネラル類は逆に甚しく、不足することとなる。そして代謝は不完全になり、中間の有害な産物がいろいろ出来て、全身の細胞の機能をおかしその結果として一般抵抗力をよわらせます。

 こうして化膿菌に対する抵抗力のよわいからだが出来上るわけです。若いものに多いのも、貧困者よりも富裕者に、田舎の人より都会のものに、簡易生活者よりも文化生活者に多いのも、同じです。
 虫垂はもともといらぬものだ。だから切ってしまえばよいともいわれていますが、手術はうまくいっても、後で何かと故障の残ることもあり、ほかの病気のもととなることも無いとはいえぬものですし、だいいち痛い目にあう必要は別に無いのですから、なろうことならこんな病気にはかかりたくないものです。
 何といってもまず予防です。虫垂炎になりたくなければ粗食すべし。飯や肉類の食いすぎをやめて野菜をしっかり食い、砂糖や菓子をへらして、欲しければ果物にし、せめて青汁だけでもうんと飲む。そうしておけば、恐らく虫垂炎などになるおそれはありません。
 またたとえやっても大したことにはならずにすむでしょう。また青汁を飲むだけで治ってしまうこともあるようです。昔から民間療法で、「盲腸にはハコベの塩もみ汁」といわれていますが、別にハコベでなければならぬのではありません。何の青汁でもよろしい。ともかくしっかり飲むとよろしい。
 三面古武氏の報告されているのもその例です。しかし、ともすると、とんでもない大事になりかねぬし、一応治っても平素の食養生が悪いと、何度でも繰りかえす病気ですから、油断は禁物、なるべく早目に切ってもらっておいた方が安全というものです。

<(1958・1 遠藤) 健康と青汁第17号より>




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