製造年月日から賞味期限へ

製造年月日表示から期限表示(「消費期限」「品質保持期限」)への移行
(平成6年9月12日食品衛生調査会第40号より)

 平成5年12月27日付け厚生省衛生第1114号をもって諮問のあった
食品の日付表示を期限表示とすることについては、下記のとおり答申する。








食品の日付表示については、別記のとおりとすることが適当である。


<別記>

食品衛生調査会常任委員会報告

1 期限表示の基本

 食品の期限表示については、製造・加工技術の進歩等を踏まえ、品質保持に係る情報としては、製造年月日よりも、品質保持の期限そのものの表示(以下「期限表示」という。)を行うことの方が有用であるため、現行の表示基準に規定されている製造・加工年月日及び輸入年月日の表示に代えて、次に示すような期限表示を導入することが適当である。

(1)期限表示の類型
 期限表示は、食品の劣化に伴う衛生上の危害の発生を防止する観点から、食品の製造後において飲食に供することが適当である期間の終期を示すものである。この終期を過ぎた場合、劣化速度が速い食品と比較的緩慢な食品とでは、衛生上の危害が発生する可能性に差があり、これを明らかにするため、次の二種類の期限表示を導入することが適当である。

(2)期限設定を行う者
 食品の劣化速度は、製造時の衛生管理の状態、原材料の衛生状態、保存状態等の諸要素により左右されるので、表示される期限の設定は、当該食品に関する知見や情報を有している者が行うべきである。このため、期限の設定は、基本的には、製造者が行うべきである。国、製造者団体等については、製造者等に対して、期限表示を行うために有効な情報を提供することが望まれる。また、製造者等には、製品のロット番号等による管理の推進が望まれる。

(3)保存方法の表示
 期限表示は、定められた方法により保存することを前提とするものであり、常温で保存することを前提としない場合は、期限表示に併せて保存方法を表示することを原則とすべきである。表示される保存方法は、食品、添加物等の規格基準並びに乳及び乳製品の成分規格等に関する省令に定められている保存基準を基本としながら、家庭における通常の保存方法も考慮して表示することが適当である。

(4)その他
 なお、シアン化合物を含有する豆類及び放射線照射食品の日付表示は、流通あるいは加工工程の管理の観点から付されているものであり、品質保持の観点から付された日付表示とは取扱いを異にする必要がある。このため、これらの食品の日付表示は、現行のとおりとすることが適当である。


2 期限表示の対象食品

 現在、表示基準において製造・加工年月日表示が定められている食品については、劣化速度に応じて、下記のとおり期限表示を行うことが適当である。

(1)消費期限を表示すべき食品
 具体的に消費期限を表示すべきものとしては、食肉、生かき、生めん類、弁当、調理パン、そうざい及び生菓子類が該当すると考えられる。また、その他の加工食品について期限表示を行う場合も、劣化速度の速いものについては、消費期限を表示する必要がある。  なお、上記の食品であっても、無菌的操作等の製造・加工工程の管理等により劣化速度が比較的緩慢な食品である場合には、品質保持期限を表示することも差し支えない。

(2)品質保持期限を表示すべき食品
 劣化速度が比較的緩慢な食品については、品質保持期限を表示すべきであり、具体的な例としては、マーガリン、清涼飲料水、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、冷凍食品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、即席めん類、魚肉ねり製品並びに乳及び乳製品等が該当すると考えられる。
 なお、品質保持期限が3ヶ月を超える場合には、「日」まで表示する意義は乏しいので、「年月」のみの表示で差し支えなく、また、長期的に保存しても衛生上の危害が発生する可能性が低い食品については、品質保持期限の表示を省略できるとして差し支えない。


3 その他

 期限表示の導入に際しては、施行までの周知期間の設定、施行後の移行期間の設定、製造者・消費者等への普及啓発、期限表示に対応した食品衛生監視の実施等により、円滑な実施に努める必要がある。


以上でした。