遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
湯治

 温泉浴には、熱湯効果と化学的成分(成分については、今なお明かにされないところもあるようだが)による効果。
 瀑泉では、水流の機械的効果も加わる。
 また、温泉地の快適な環境。俗事からの解放による精神的リラックスの影響。

 局所への作用としては、組織に活力をあたえ、慢性病変を刺戟し、筋・皮膚・神経等の慢性病の治癒をはやめる。
 ことに、外傷、運動マヒ、皮膚疾患に有効。

 全身作用としては、代謝をたかめ、食欲をすすめ、便通・利尿、性欲亢進、精神を賦活する作用など。
 胃腸疾患、代謝疾患、糖尿病、肥満症、通風などの悪血性疾患全般によい。
 正しく利用すれば、たしかに、すぐれた効果が期待できる自然の恩恵だ。

 わが国は世界でも有名な温泉国であり、上代から知られ、ひろく応用されていた。
 しかし今では、殆んどの温泉場は観光地、歓楽境と化してしまい、静かに落ついた湯治など思いもよらぬことになってしまったのは、まことに惜しい。
 なお、湯治は刺戟のつよい療治なので、適応に十分注意しなければならないし、その実施にも十分慎重でなければならない。
 したがって、専門の温泉医の指導の下に行うべきだ。しかし、わが国では、まだそうした施設は、大学付属の病院や研究所だけで、一般には、簡易に利用できるところは殆んどない。
 で、とかく、素人判断でやることになりがちなので、昔からいわれている心得のあらましをあげてみよう。

まず、入湯の好ましくないもの。
 すべての急性病、ことに熱のある病気。腎炎・肝炎・関節炎などの急性期。
 慢性病の急性増悪期。
 老人、妊婦。衰弱者、重病者。
 高度の高血圧・動脉硬化・心臓病。
 出血(吐血・喀血その他)、あるいはそのおそれのあるもの。
 精神病、テンカン。

入湯してよいもの
 症状の落ついた慢性病で体力十分なもの。また、特別な事故のおそれのないもの。
 外傷、運動マヒ、皮膚病、リウマチ、糖尿病、軽度の高血圧、動脉硬化。
 胃腸病、肝臓病。

入湯心得
 体力・体質・泉質によるが、原則として、過労時、空腹時、食直後はさけること。
 刺戟がすぎ、疲労しない程度にとどめること。

回数
 通常、1日1〜2回。
 虚弱者、衰弱者は1回。
 「つよき病人は1日3度浴すべし。よわき人は1日1度入るべし」(大和本草)。

入浴時間
 温度、体力しだいだが、大体控え目に。
 「湯治するに、汗出るを第1忌む。かろく浴し、早くあがるべし」(同上)
 浴後は安静をまもる。

日数
 「日数は7日、27日なるべし。是を俗に1廻り2廻りといふ」(養生訓)、といわれているが、通常、3〜4週。
 西欧では、昔から3週間が至適とされている。
 なお、自堕落にならないよう。規則正しい日常。
 適度の運動と休養。十分の睡眠。食事の節制(ふるくから、湯治には飲酒、濃厚食、飽食を忌む、とされている)をまもること。

飲み湯
 1日1回、または適宜。
 量は少量をよしとするもの、大量をすすめるものなど、諸説があるが、病状、泉質にもよる。
 通常、100〜1000ccとあるが、まず1〜2合が無難だろう。

湯あたり
 浴泉、飲泉のいずれにもみられる。
 多くは、2〜5日であらわれ、しだいに回復する。

局所反応
 ふるい病巣の症状がつよくなる(炎症反応)。
    皮膚炎  赤くなったり痒くなる。
    関節炎  痛み出したり腫れたり、赤くなる。
 神経痛・外傷  また痛みだす。
    婦人病  分泌が増す。

全身反応
 発汗、動悸、全身倦怠がつよく、食欲・睡眠がさまたげられる。
 頭重頭痛、メマイ、発熱することもある。
 神経質なものや虚弱者にことにつよい。

(1975・10:遠藤仁郎)<健康と青汁230号より>




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