遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
土療治

 粘土には、水を吸って膠質様に膨化する性質と、ガスや毒物を吸収する吸着力がある。これを利用したもの。

下痢
 食あたりや寝冷えの下痢によい。
 赤痢などだと、今では、すぐにむつかしい新薬がつかわれるが、以前は、よい薬がなかったためでもあるが、白陶土・カオリン・アドソルビン(いずれも粘土を精製したもの)などを飲ました。
 むかしの赤痢は、今のとは大変なちがいで、症状がひどく、はげしい痛みのため、ずい分苦しい病気だったが、分泌物や毒素をうまく吸収するためか、いく分殺菌力もあるためか(古代エジプトで土の乾燥性、保存性能力が知られ、ミイラの製作に用いられた。最近の研究で、殺菌力があり、細菌を凝集し、吸収、吸着することが確認されているという)、たしかに治りがよいようだった。

便秘
 多くの便秘は、便の量が少ないためや、便がかたくなりすぎるためなので、私どもは、慢性の頑固な便秘に、硫苦(硫酸マグネシウム)のように腸の水分吸収を妨げる塩類下痢とともに、粘土をよくつかった。
 土だけだと、便はかたくしまるが、塩類下痢と一緒、つまり硫苦水に土をまぜるた、いわば泥水を飲むと、水分にとんだ軟い便になり、分量もふえるので、まこと工合よく通じる。
 ミミズ療法と称していたが、大学の医局にいたころおもしろい経験がある。

     さる、地方の財閥の大人が頑固な便秘に悩まされて入院された。
     レントゲンの精密検査で大腸のS字部という所が伸びて太くなり、便がそこにたまるというものだった。もとの病院(その財閥所属の病院)では、院長以下この便秘にはさんざん苦労したらしかった。
     それが、何のことはない、このミミズ療法で難なく快通。大いに両目を施したわけだが、百万(今では億万)長者と泥水の組み合わせのおかしさが、いまだに忘れられない。

鼓腸
 醗酵や腐敗で、胃や腸がはったり、悪臭のあるガスの多いときにも、好んで用いられた。

中毒
 毒素を吸収するから、中毒するほどの量の劇薬でも、粘土と一緒にのむと、中毒しないか、ずっとその作用が緩和される。だから場合によっては、薬効がよわめられたり、なくなったりもする。
 ふるい民間療法にも、
     誉石毒(砒霜毒)に、「地に穴を掘り、水1升を入れ、かきまわし、にごり水を用ひ吐をとるべし」(経験千方)
     菌毒に、「カワラケを削り粉にして湯に立てて呑む」(多能)。
     獣肉毒(猪・鹿等の肉)に、(竈のやけ土、細末にし水にて用ふ)(経験千方)。
     「壁の黄なる土2匁、水に和して服す」(済急方)。
 などと出ている。

ジンマシン
 食べものや薬のカブレにもよい。
 腸内にある、あるいは出来る毒素を吸収するからだろう。本草網目「赤土」の項にそれらしいのが出ている。
 「風疹掻痒甚だ忍び難きに、赤土を研末し、空心に温酒にて一銭を服す」(御薬院方)。

(1975・10:遠藤仁郎)<健康と青汁230号より>




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