遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 糖尿病と血のにごり

 病気の原因となる「血のにごり」と、日常生活ことに食とのかかわりについて、糖尿病のばあいをかんがえてみよう。糖尿病は、血液中の糖分(血糖)が多くなり(過血糖)、腎臓から、それがあふれ出る病気。この過血糖は、血糖を下げるはたらきのあるホルモン、インシュリンの作用が十分でないため、とされている。そして、インシュリンの作用が不十分なのは、
 (1)インシュリンの分泌が十分でないか(量的異常)、
 (2)作用の劣った、不完全なインシュリンが分泌されるばあい(質的異常)
 とがあるとかんがえられるが、いずれにしても、インシュリンを分泌する細胞(膵臓にあるランゲルハンス島という特殊の細胞)になにか異常があるためだ。(そのほか、インシュリンの作用を妨げるホルモン、グルカゴンなどがふえているばあいもあるが、これにはふれない)

ラ島の傷害
 では、ラ島の細胞に異常がおこるのは何のためか。それには、負担の荷重、すなわち、糖分のとりすぎによる疲労、ということも勿論だが、もともと、ラ島の細胞自体が弱くて、疲労しやすいからでもある。そして、ラ島が弱いのは、生れつきのばあい(遺伝的に糖尿病になりやすい素質がある)もあろうし、また、胎内や生後の日常生活のあいだに傷害された結果のこともあろう。そのもとは何か。遺伝的のものはともかく、母胎内や生後にうける傷害のもとは何だろうか。

キサンツウレン酸とビタミンB6
 それに関連して興味のあるのは、ずっと、いぜんのこと、和歌山医大の教授をしていられた古武博士が発表されたキサンツウレン酸説だ。それは、動物にキサンツウレン酸――蛋白質を構成している大切なアミノ酸の一つのトリプトファンの分解産物――をあたえると糖尿病になる。そして、ビタミンB6は、これに防止的にはたらき、脂肪は誘発的に影響する。すなわち、B6が脂肪代謝のために消費されて不足してくると、トリプトファンの代謝が不完全となり、異常分解産物としてキサンツウレン酸ができ、これがラ島を傷害して、糖尿病がおこる。このさい、B6が十分にあれば、そういうことにはならない、というのだった。ただし、これは、動物実験の一データにすぎず、これをもって糖尿病の原因とすることは、もちろんできまいが、ともかく、不完全な栄養(欠陥食)のために、糖尿病をおこすような異常代謝物、つまり「血のにごり」を生ずるだろうこと。そして、また、そういう欠陥食を、妊娠中、授乳中の母親や、その後の日常にとりつづけていると、糖尿病の下地になる変化がおきたり、ついには発病するようにもなるだろうことは、かんがえられるわけだ。

過酸化脂肪
 また、糖尿病では、よく心臓、腎臓、脳、網膜などの最小血管に変化があらわれるのだが、その原因について、血中の過酸化脂肪の増加が問題になっている。この過酸化脂肪は、抗酸化(酸化をふせぐ)物質の欠乏しているときに、脂肪(不飽和脂肪酸)が酸化されて生じやすい。とすると、抗酸化作用のあるビタミンEやB2、Cなどの不足した食のばあいにも、おそらくおこるだろうが、ここでも、「血のにごり」と欠陥栄養との関連がかんがえられるわけだ。それはともかく、こういうことは、ほかにも、おそらく、いろいろありうるだろうから、糖尿病の原因は食べすぎ、ことに糖質の食べすぎだけではなく、こうした意味での欠陥食にもとづく「血のにごり」にあるように思われてならない。(53・4)

<(1985・10)健康と青汁第350号より>




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