糖尿病 |
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1. 食養生がいちばん | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
72才の婆ちゃん。「糖尿と高血圧(190もつれ)があり、いつも主治医からやせろ(47キロが標準のところ60キロある)といわれている。4日まえ、牛乳をのんではげしい下痢をした。3日まえには、胸もとが苦しくて、もう死ぬかと思った。昨日は1日絶食し、今朝からようやく下痢がとまった。食欲に変りはなく、下痢の間も征露丸をのみながらふつうの食事をしていた。」よくふとった威勢のいい婆ちゃん。しんどそうな様子はなく、診てみても特別悪いところもない。血圧は150/80。 「くすりもらえますか?」 「何の?」 「腹さげの。」 「いらんよ。これまで、いつも痩せろといわれているように、糖尿にも血圧にも痩せなきゃだめだ。こんど下痢したのも、おそらく神さまのおはからいだよ。牛乳で下痢するんなら、適当にのんで下げる方がいいくらいだから、とめぐすりは出さない。平素の食養生がいちばんの薬だ。食事はどういうふうなんだ?」 「独りくらしで、朝はパン、バタやジャムで。昼はウドン、夕はご飯。おかずは魚が主。野菜は少ない。味は濃い方。間食もよくする。毎日コタツにあたってテレビを見ているので、つい、何やかや食べる。」 「それじゃあ、やせろといわれても無理だ。三度の食事、パンにしても、ウドンにしても、ご飯にしてもなるべくひかえること。いっそのことイモ、ジャガイモ、サツマイモにしてみてはどうだ。イモはすぐ腹にこたえるから、腹いっぱい食べても穀類にくらべると、身になるところが少ない。そして野菜類ことにナッパをうんと多くし、味つけはうすくする。甘味が濃いのは糖尿によくないし、塩気の強いのは血圧に悪い。間食にはくだもの。運動もせいぜいする。コタツばかりにかじりついておらず、暖かい日にはできるだけ外へ出ることだ。」(59・2) (1985・10)<健康と青汁350号より>
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2. 心筋梗塞と網膜症 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
<質問> 四六才の主人、糖尿病があり、心筋梗塞をやりました。いま、バイパス手術が問題になっています。また、眼は網膜症で視力がだんだん落ち、光凝固をうけましたが、かえって悪くなったようなので、精神的にもまいってしまっています。先生のご本を見て、青汁はどうかと、粉末を飲みはじめているのですが… 心臓の手術 心臓の方から申しあげましょう。糖尿病があると、傷の治りがよくないのですが、青汁を飲んでいると、経過が大変よろしい。ともかく、しっかり飲んで、出来るものなら、やっておもらいなさい。大事なのは、その後の再発を防ぐことですが、これにも青汁は絶対です。梗塞の原因は心臓冠状動脈の硬化であり、血液コレステロールや中性脂肪がふえている(血のにごり)ためであることはご存じのとおりです。 糖尿病に多いのは、血糖の高いこと(これも血のにごり)が下地になっているとかんがえられています。しかし、それだけではありません。というのは、これらの血のにごりは糖分や脂肪の代謝の異常のあらわれですが、それらがおこるにも、さらにさかのぼった原因がなければならないからです。 そして、それはあまりにも不自然化した、まちがいだらけの日常生活、ことに食生活のあやまり。すなわち、うまいものばかりいつも腹いっばい食べ、野菜類が少ないために、カロリー・蛋白質とその体内代謝になくてほならないミネラル・ビタミンとのバランスがみだれているという、不完全食になっているうえ、しだいに多くなりつつある有害有毒食品(農薬その他生産用薬や添加物などの汚染)の害も加った結果であろうとかんがえられます。そこで、ただ糖分や脂肪分に気をつけるだけではなく、もっと根本的に食事全体をなおさなければなりません。 そのためには、 1.食べものは、すべて出来るだけ安全な自然食品にすること。 2.とりすぎているカロリー蛋白食品は必要の最低限におさえ、不足がちなミネラル・ビタミンにとむ野菜類、中でももっとも有力な給源である良質ナッパを十分〜十二分にとること です。 しかし、それにはかなりの大量が必要ですから、青汁にして飲もうということになります。 網膜症 網膜症も同じで、血糖の高いだけが原因ではなく、広い意味での血のにごりが関係しているにそういありません。したがって、光擬固で進行をくいとめることは、勿論大切ですが、血のにごりをとり去ること、血糖にたいする注意だけではなく、食べもの全体として完全にし安全にして……が、もっと大切でありましょう。 さて、この食事の中心になるものはナッパ・青汁ですが、その必要量ほ少なくとも一日一キロ(青汁にして約四合)以上。多いほどよろしい。 <質問> 粉末ではどれくらいですか? 大阪のピロサン(緑)の一袋、東京の顆粒の一袋が、それぞれ、生の青汁のほば五勺に相当するようですから、まず8〜10袋ということになりましょう。なお、青汁の効力を強めるためには、他の食べものも、なるべくミネラル・ビタミンにとんだものにすること。たとえば、主食の白米よりは玄米、雑穀(玄)。さらによいのはイモ類。蛋白食品では、肉や魚の切り身よりは、全体食ベられる小魚、大豆などにし、それに、ナッパを主とする野・山菜、海藻を十分そえること(イモ・マメ・ナッパ・青汁食)。 なお、青汁絶食もぜひやってみてほしいと思います。他のものは何も食べず、朝から晩まで青汁だけのむのです。五〜六合以上でもらくにのめます。もっとも徹底した青汁食というわけで、最高の完全食です。一日だけでも、二〜三日、あるいはもっと長くてもよろしい。思いもよらない、奇蹟のようなことがおこることがあります。もし、少しでも効きめらしいものが出ると、この食事の実行にハズミがつくことにもなりましょう。要するに、なるべく自然にちかい食事にし、出来るだけ血をきれいにしようというのがネライです。 しかし、何分、難病のこと。はたしてどれほどの効果があらわれるか、それはわかりませんが、ともかく熱心につづけてみていただきたいと思います。 (61・2)<健康と青汁374号より>
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3. 糖尿病 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
糖尿病は、尿に糖(ブドウ糖)の出る病気。 口が渇く、水を飲む。小便が多い。しだいに体力、気力、精力が衰える。 細菌感染にたいする抵抗力がよわくなって、化膿しやすくなったり、結核にかかりやすくなる。 痒みや神経痛が出たり、眼が悪く、ソコヒになる。などといった症状が出て来ます。 原因は、糖代謝ホルモンであるインスリンの不足による、とされています。 このインスリンは、膵臓(胃の後にあって消化液を分泌する臓器)にある、ランゲルハンス島(ラ島)という特殊の組織から分泌されるホルモンで、糖分の利用をよくし、血液中のブドウ糖(血糖)の量を下げるはたらきをもっています。 このラ島の機能が正常であれば、必要に応じて十分のインスリンが分泌され、摂り入れた糖分は十分に処理され、血糖はつねに正常に保たれます。けれども、インスリンが不足すると、とり入れた糖分の利用がうまく行かず、血糖が高くなって(過血糖)腎臓からあふれ出るようになる。 これが糖尿病。そこで糖尿病では、食餌ことに糖質の摂取を制限し(減食)、ちょうどインスリンの活動能に適合するよう、その範囲内の量にとどめること。または、薬として不足分のインスリンを補い、あるいは血糖降下剤(血糖を下げる薬)をのんで、糖代謝を正しくすること。などが治療の根本方針となっています。 さて、このインスリンの不足は、これまで、ラ島が傷害されて、インスリンの分泌が減るため、とされていました。 ところが、最近になって糖尿病の多くで、血中のインスリン量は、決して、正常人に比べて少くない(つまり、ラ島のインスリン分泌能は悪くない)ことがわかり、糖尿病の原因は、インスリンの活動能がよくないためだ、と考えられるようになって来ました。
それには、素質ということもありましょう。すなわち、生れつき抵抗力の弱いラ島であれば、負担の過重(過食、とくに糖質の)によって、疲労に陥りやすく、ついには傷害されることにもなるわけです(糖尿病が遺伝病といわれる所以)。 また、糖尿病の多くは、美贅食の飽食家で、肥満し、運動不足、あるいは精神的の過労傾向のつよいものの病気ですが、そうした不自然不合理な日常生活によって、何らかの代謝異常をまねき、何ものか有害物が出来、それが、抵抗力のよわいラ島、あるいは、その他の糖代謝に関連のある組織や臓器を傷害するのであろう、とも想像されます。 糖尿病に、動脈硬化、高血圧、肝・腎疾患、結石症(胆石や尿石など)の多いこと(いずれも代謝異常によると思われる病気)。コレステロールや、脂肪や、蛋白質その他の代謝にも異常のあることなど、ともに、これを思わせるものです。 また、最近の説のように、生産されたインスリンの活動力の弱いことが原因だとしても、それも、何ものかインスリン作用を妨げるものがあるのか、初めから構造上に欠陥のあるインスリンがつくられているのか、正常のインスリンが、何らかの変化をうけて不活性に変えられるのか、でなければならぬわけですが、そのいずれにしても、やはり、何か広い意味での代謝の異常の結果、そういうことになると見るほかはないでしょう。 なお、化学薬品の繁用、あるいは濫用されている今日のこと、医薬品(これによっておこる糖尿病もある)のみでなく、食品添加物、農薬、洗剤その他の影響もあずかっているかも知れません。 ともかく、糖尿病における代謝の異常は、決して、ひとり糖質代謝だけに限られたものではなく、もっと広範囲のものであり、そこに生ずる血液変化(古方のいわゆる悪血=血の濁り)にもとづく複雑多彩な変化であって、糖尿は、ただ、その一表現にすぎぬ、と理解すべきものです。 したがって、糖尿病の治療には、ただ糖代謝だけを目標とした狭いものでなく広くすべての代謝が正常に行われるようバランスのよくとれた完全食でなければならぬし、心身の安定、適度の運動、勤労、休養、睡眠、便通など、日常生活を合理化し、また危険な薬品類はつとめてさけるよう注意し、代謝の完全化と、体液の正常化をはかることが肝要であり、またこれこそ糖尿病治療の根本というべきだ、と私どもは考えています。 糖尿食 糖尿食で大切なことは、
今では、糖尿病協会といったものもあり、食餌指導はよほど合理化されて来ています。けれども、私どもからみれば、それでもやはり、ミネラル、ビタミン類の不足、つまり良質菜っ葉のとり方が足らず、全体としてのバランスにおいて、必ずしも満足でないように感じられます。その一例として、某大学病院でサンプルとされている食構成の一つをあげてみましょう(表一)。
なるほど熱量、糖質、蛋白質、脂肪の関係は注文通りです。しかし、B1が少く、熱量(脂肪を除いた)とB1との比(至適比1:1)は1:0.59で、B1が不十分。カルシウム対隣の比(至適比1:1−2)は1:1.38で、理想的ですが、カルシウムの絶対量が不十分(厚生省の基準量(0.66)では十分ですが、私どもの理想量(1.5以上)には遙かに及びません。 もっとも、これが、ただB1やカルシウムの不足だけのことであれば、それは、薬でも簡単に補うことが出来ます。 けれども、栄養がこのように不完全だということは、決して、ただB1やカルシウムのことだけではなく、これ以外にも、恐らく欠陥のありうること(ことにまだ十分明かにされていない、しかも大切な栄養分、いわゆる未知因子の)を示唆するものなので、ただ、不足分だけを薬で補うのでは、本当に完全な食にすることは、とうてい出来ません。 この意味で、私どもは、すべてのほかのばあいと同様、緑葉食青汁を中心とする食べ方、とくに、主食には、米はなるべく避け、麦類、ソバなどの雑穀か、むしろイモ・マメにし、蛋白食は獣鳥魚介の切身はさけ、なるべく、全体食べられる小魚類か大豆にする。そして、十分の菜っ葉をそえ、しかも、なるべく生で食べ、青汁ものむ。といった食をすすめています。
さらに、ケールを400(青汁約2合)にすれば、表A2のように、すべてのバランスがうまくとれて来ます。また、表一Aの食構成の、白米飯をサツマイモに、魚肉をワカサギに、牛肉をウズラマメ(煮豆)にかえると表一Bのようで、熱量と蛋白質はやや減るが、その他の点ではAよりは遙かによく――熱量対B1比は理想的、カルシウム対燐比もよくなります(もっともカルシウムはなお不十分)。 また、これに、凍豆腐30を加えると、蛋白質も熱量も十分になり、カルシウムもふえます。(表一C) なお、青汁を1合そえれば、表二B・Cのように、それだけでも栄養素はそろい、バランスのよくとれた完全食になりミネラル・ビタミンには十分の余裕ができます。もっと青汁が多ければ、さらによくなるわけです。またこのように、主食、蛋白食に、なるべく栄養的にすぐれたものをえらび、良質菜っ葉を十分にそえた食では、栄養的に完全(ことにミネラル・ビタミンに余裕のある)になるばかりでなく、十分の満腹感もえられます。 問題はただ、こうした食が果たして実行可能かどうか、ということです。 何分にも、糖尿病者の多くは、もともと美食家です。そういう人々が、こうした粗食に堪えられるだろうか。 確かに、それは一つの問題です。けれども、ものごとはすべてやってみることです。ともかく、まず、現在一般にすすめられ、行われている糖尿食に、良質菜っ葉をうんと添え、青汁も毎日少くとも2合(出来れば3合でも、4合5合でも)飲んでみる。 また、週一回か、十日に一回くらい、青汁だけを飲むか(青汁絶食日)、生野菜と果物だけを食う日(野菜果物日)にします。そうするとそれだけでもよほど完全食に近いか、殆んど完全な食になります。 そして、健康状態がよくなるにつれておのずと、主食や蛋白食の量が減って来るし、しだいに嗜好にも変化があらわれ、精美食よりは、栄養価にとんだ食、あるいは自然食品――主食には白米飯よりも雑穀、マメ・イモ、蛋白食には小魚・大豆の方が好ましくなり、それらの本当の持味がわかって来るので、そうした食べものへの転換にも、その続行にも、さまで困難も苦痛も感じることはありません。 食品の安全性 食品はすべて純正安全なもの。自然物か、なるべく自然に近い状態のもの。危険な農薬・洗剤・工場排水などの汚染のおそれのあるもの、有害有毒な添加物のおそれのある加工食品や貯蔵食品はつとめてさけること。
一般注意
(1966・10)<健康と青汁122号より>
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