遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 タンポポ

 英語の Dandelion 佛語の Dent-de-lion 独乙語の Lowenzahn いずれも「獅子の歯」という意味で、葉のかたちから来た名。
 わが国、古くはタナ。それがタンと転じ、花の後にできる絮(わた)がホホけているのでタンポポとなったのだそうです。
 タナは田菜の意。今では、食用に栽培されてもいるので、その名がピッタリというものでしょう。
 しかし、昔、田で栽培された事実はないそうですから、賀茂先生の説のように、恐らく「四方に散布した実が田まで及んで、よく茂ったことを物語るもの」でしょう。
 西洋では、古くから薬用にされ。聖書には苦苣とともに、苦菜(Bitter herb)の名の下に記載されているそうです。
 根も葉もともに、もとは局方の健胃整腸剤でしたし、民間では、血を浄める「春のサラダ」として食べ、「春の療法」として生のしぼり汁を飲んだのだそうです。
 これについて Hovorka・Kronfeld 著の「民間医学」に、次のような、まことに興味ふかい記事があります。
 「下腹の渋滞をともなう疾患で、タンポポの処方されないものは一つとして無かった。ただ、悲しむべきことには、そのもっとも有効な応用法、すなわち、新鮮圧搾汁として用いることが、今日では流行はずれになったことだ。」
 つまり、西洋でも、以前には、青汁がもっとも有効な用い方として一般に知られていたことが、これでわかります。
 また肝臓に特に効果があるといわれています。
 和漢方にも多くの記載があり、それから出ているわが民間療法でも、健胃整腸だけでなく、利尿、解毒、解熱、解凝、さらに不老長寿の効もいわれています。
 また、とくに婦人によいとされ、産前後に食べ、あるいは乳の出をよくし、乳瘍(乳腺炎)など、すべて乳の病に薬用や食用されています。
 私ども幼い頃には、牛が病気すると、タンポポやアザミを摘んで来て食べさせたものですし、正月の七草粥にも入れ、疫病神をはらうといい伝えていました。
 これは、西洋の「春のサラダ」や「春の療治」とも通ずるものでしょう。
 なお、外用法として、乳房その他の腫れ物や水腫に、つきただらして貼ったり、西洋では、この汁で顔を洗うと「美しくなり人に好かれるようになる」といっているところもあります。
 内用法としては青汁が一番効果的でしょうが、何分地べたにへばりついて育つものだけに、不潔になりやすいので、やはり、ひたしもの、和え物、汁の実などにするのが無難でしょう。
 下肥や農薬の心配のないところのものは差支えないですが。
 但し、春さき散歩してみればわかることですが、ずい分多くあるように見えても、青汁にするだけの分量の採集は仲々容易なことではありません。
 それに、効能にしても、一部はもちろん特殊の成分によるのでしょうが、主には、一般緑葉のそれとみられるので、とくにタンポポばかりにこだわる必要は少しもありません。
 また、必ず青汁にせねばならぬこともないので、適宜、生食すればよいわけです。少々苦味はありますが、グリーンサラダに入れてもよし、細くきざんで飯や汁物に入れても結構です。
 栽培種の食用タンポポは、一種の甘味と芳香があって、生食によいそうですが、私はまだ食べたことがありません。栽培は、いずれ、たやすいものでしょうから、ぜひ、いちど試作してみたいと思っています。

<(1966・3 遠藤)健康と青汁第115号より>




ご意見・ご要望はこちらへクリック
階層リンク 田辺食品 利用者の声 上の階層へ  
サービスリンク 更新記録 全体構成 商品紹介 注文方法
Copyright 2005 08 田辺食品株式会社
s