脳卒中 |
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むかしからわが国には脳卒中が多い。今では死因の1位を占め、年々、17〜8万もの生命がうばわれ、さらに多くのものが後遺症に悩まされている。 脳出血と脳血栓 脳卒中には、脳出血と脳血栓とがある。脳出血は、脳の血管が破れて出血し、脳組織をはかいするもの。高血圧のある人におこりやすい。脳血栓は、脳の血管が凝血のためふさがり、血行がとだえ、脳組織が崩壊するもの(脳軟化)。高血圧とはとくに関係はなく、むしろ低血圧のものに来やすい。なお、いぜんは、脳出血が多いとされていたが、さいきんは、脳血栓がふえて来ている。 下地は動脉硬化 脳出血は、脳動脉が硬化して抵抗力のよわいところが出来(もろくなったり、小さい瘤のようになって)、血圧に抗しきれず、破れる。脳血栓は、動脉硬化のため血管の内面に変化を生じ、そこに血が凝りつき(血液も凝りやすくなっていて)、血管をせばめ、ついにふさがってしまう。さて、動脉硬化の原因としてよくいわれているのは、コレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)など血液脂肪の増加(高脂血症)。が、これは、脳軟化とはかなり関係があるらしいが(高脂血症で血液が凝りやすくもなる)、脳出血とはあまり関係はないようだ。いや、それどころか、コレステロールの低いもの(血液コレステロールの標準は、だいたい200+年令mg とされているが、200以下のもの)に、かえって脳出血は多発する、とさえいわれている。 真因はなにか とすると、脳動脉硬化の真因は、もっとほかにあるに相違ない。また、脳出血の、も一つの因子である高血圧(同時に動脉硬化の原因でもあるが)にしても、多くは原因不明(本態性高血圧)。脳血栓の一因子である血液凝固性のたかまり(血のねばり)についても、高脂血症との関係がいわれている以外、くわしいことはわかっていない。これらは、いずれ、なにか代謝に異常(現代医学ではまだ十分解明されていない)があり、そのために生ずる悪血(血の濁り)によって、おこるものであろう。 日常生活の不自然・不合理化 このことは、 ・脳出血が、白米飯・野菜(但し緑葉の乏しい)、食塩過剰にかたよった従来の邦食 ・脳血栓が、肉・脂・糖にかたよった西欧食 と、ともに栄養的にはなはだしく不完全な食の、飽食家に多いこと (有害有毒食品の氾濫や環境汚染も無関係ではあるまい) と同時に、 運動不足、タバコ、アルコールあるいは薬の乱用、精神的ストレス過剰といった日常をおくっているものに多いこと。 などがしめしているように、脳卒中(脳出血にしても脳血栓にしても)の原因は、こうした日常生活のあやまり(不自然・不合理化)にあるのではなかろうか。(生れつきの素質ということも無論無視はできまいが)したがって、その対策としては、環境や素質はともかく、せめて、栄養のあやまりを正し、適度の運動。そして心の安定をはかるなど、日常諸般の条件を合理化し、自然化して、代謝の正常化をはかり、血の濁り、血のねばりを除くことに努力すべきであろう。 正しい栄養 まず、栄養が完全であり安全でなければならない。バランスがよくとれ、ビタミン・ミネラルには、むしろ余裕のあること。食品は、なるべく安全なものをえらび、危険な生産用(農・蓄・水産用)薬剤、産業廃棄物(工場・鉱山)、排気ガス、粉塵、各種添加物、洗剤などに汚染されていたり、そのおそれのあるものはつとめてさけること。 主(熱量)食品 米食の多いところほど卒中が多いといわれている。 これは、白米が栄養的に劣っていること(完全食にするには3倍の良質ナッパが必要。半搗米は2倍、玄米は同量のナッパでよい)。とかく偏った過食になり、食塩のとりすぎに陥りがちなため、肥満や高血圧、あるいは、血の濁りをおこしやすいこと。また、酸性食品であり、カリウムに乏しいことにもよるのであろう。(水の酸度のつよい地域、カリウムの摂り方が少ないと卒中が多いといわれている) そこで、主食には、米なれば玄米(汚染さえなければ)。パンは黒パン、全穀パン。むしろ、ソバ、豆、イモにするか、せめて、それらの混食。ソバ、豆は、ともに、同量のナッパで完全になり、カリウムにとむこと(とくに豆類)も有利。イモは、アルカリ食品であり(カリウムも多い)、栄養的にもすぐれている(完全にするに半量のナッパでよい)優秀食品でもある。 蛋白食品 肉・魚の摂り方の少ないところには脳出血が多いという。(脳卒中の多い東北地方でも、魚をよく食べる三陸沿岸には少ない。)しかし、これは、他の食品のとり方(肉・魚食が少なければ、いきおい穀食ことに白米飯がふえるなど)に関係することで、要は、全体としてのバランスの問題であろう。牛乳をよく飲むところに卒中が少ないというのも同じ。 動物食品を加えて穀食をへらすことはたしかに合理的だ。但し、欧米風の陸棲動物食品(肉・脂肪)の過食はもとより(脳血栓が多くなる)、比較的無難といわれる魚介類にしても、偏った過食はつつしむべきだ。それは、肉・魚類が栄養的に不完全(2〜3倍の良質ナッパをそえなければ完全食にはならない)で、この偏過食は、穀類のばあいと同じく、代謝の異常(悪血)を原因するからだ。 なお、動物食品の多くが必ずしも安全とはいえないことも(加工品はことに)、十分考慮に入れなければなるまい。この意味で、栄養的にも安全性からも大豆ものが適当でないか。大豆の蛋白質は、動物蛋白に、そう劣るものではないし、全体として栄養的にすぐれており(同量のナッパで完全になる)、カリウムにもとんでいる。また安全でもある(加工品ことに豆腐にはいささか疑問がなくもないが)。大豆消費の多いところに長寿者が多いという事実は、その優秀性を裏書するものであろう。 野菜類 野菜・山菜・海藻・果物をよく食べるところには卒中が少ない。豊富なビタミン・ミネラルによって、栄養のバランスがよくとれ、代謝が円滑となる(血がきれいになる)こと。カリウムにとんでいること。繊維にとみ、便通をよくし、肥満や血液コレステロールの増加を防ぐことなどによるのであろう。したがって、つねに、十分にとるべきであり、中でも、すべてのビタミン・ミネラルがそろって多い良質ナッパは最適している。 調理 つとめて新鮮な自然食品をえらび、調理はなるべく簡単に。自然のままか、自然にちかいかたちで(生食)。 調味はうすく 食塩 高血圧を原因し、カリウムとのバランスをみだす。砂糖 肥満、高血圧を原因。血液脂肪を増す。酸味 クエン酸、醋酸などがよいといわれる。どれだけ有効かはともかく、食塩、砂糖をへらすには有利。但し市販の酢には合成品が多い。なるべく純正醸造酢。果物酢は最上。脂味 バター、牛豚脂はコレステロールを増す。むしろ植物油。 緑葉食・青汁 こうみてくると、脳卒中の予防食としては(治療食としても)、緑葉食・青汁、ことにイモ・マメ・ナッパ・青汁(少なくとも1日3合以上、5合でも6合でも)食が、現時点においてもっとも合理的といえそうだ。食量 つねにひかえめ。必要の最小限にとどめ(昔からいう腹八分。精食少食健康長寿のもと)、理想体重(身長センチ−100〜110キロ)に保つこと。食事回数 同一食量でも、これを頻回に分けて、少量づつ食べる方が、回数を少なくしてドカ食いするよりよいらしい。古人のいう「小餐相接続すべし」が理想的のようだ。 嗜好品 間食は、とかく余残のカロリー源になる。栄養バランスの範囲内にとどめ、なるべく無難なものにすること。
適度の運動 扁桃炎や、意識障害などで飲めないばあいは、注腸・鼻腔注入してもよい。 健康食 適度の運動によって、代謝は円滑になり、悪血をのぞき、すべての機能に有利にはたらく。とかく運動の不足がちな現在。食のあやまりの影響はいっそう甚しくなる(肥満、高血圧、悪血を招きやすい)。つとめて運動すること(体重の調整、浄血)。動物脂肪を多くとっても運動が十分だと血液コレステロールはふえない、というデータがある。また高血圧も、運動によってかなり下がる。但し、不馴れの、しかも急激な運動は危険。 心の安定 気やみすると老化をはやめる。動物でも、頭部に頻回の電気刺戟を加えると、脳血管に硬化があらわれるという。平穏な日常がのぞましいわけだ。しかし、五体と同様、つかわなくなると、これまた早くぼける(廃用性萎縮)。無理にならぬ程度の仕事をもち、ハリ(生き甲斐)のある毎日をおくること。いつもニコニコせっせと動き、イモ・マメ・ナッパで息災長寿。 なお、高血圧のある人の気をつけなければならないことは、
馴れない急激な運動 感情のはげしい動揺 寒冷時の外出、入浴 長風呂・熱風呂 セックス <(1977・1 遠藤)健康と青汁第245号より>
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