遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 スモン
 近頃よくいわれるものにスモン(SMON)という病気があります。
 10年ほど前からやかましくなったもので、以前にはなかったし、外国にもない、わが国独特の病気だそうです。SMONというのは、
ubacute(亜急性)
yelo(脊髄)
ptico(視神経)
europathy(神経障害)。
 つまり、脊髄や視神経のやられる亜急性の病気という意味の言葉の頭文字をとったもの。ふつう、初めに、腹痛、下痢、便秘などの腸症状があり、ついで、数日〜数月(多くは1〜2週ないし1〜3ヶ月)後に、足先からはじまる神経症状――運動や知覚の障害、シビレ感など――が現われ、しだいに上行、一週間くらいで臍の高さまでに達します。
 その後、ながい間にわたり、軽快・増悪をくりかえし、運動障害は比較的はやくよくなるが、知覚の異常ことに不快なシビレ感は、いつまでも頑固につづき、なかなか完全には治りません。
 重いものでは、視神経もおかされ、視力がおとろえ、目がかすみ、ついには全盲になったり、死ぬこともあります。病原はわからず、家族のうちや、病院で、多数かかることもあるので、ビールスが原因だろうといわれていますが、まだ、その正体ははっきりしていません。

 したがって、治療法としても、多くの神経疾患にやられているように、過労をさけ、ビタミンを補給したり、副腎や脳下垂体のホルモンなどが試みられている程度で、適確なものは、まだわかっていませんし、完全になおることはない、といわれています。
 また、予防法にしても、病原ビールスがつかめれば、ワクチンも出来ようというものですが、今のところ、全くお手あげといった、まことに厄介な病気です。

 さて、この病気のもとがどんなビールスであろうと、また、今までに知られているものであろうと、最近現われたものであろうと、ともかく、こうした病気は、すべて、つまりは病原体と生体の抵抗力とのバランスによります。すなわち、たとえビールスの毒力が強いものであっても、生体の、そして神経系の抵抗力が、それをはねかえすことが出来るに十分であれば、やられるものではないですし、抵抗力が弱いもの、衰えているものでは、毒力はそう強くなくても、やられやすい道理。ところで、生体の、そして神経系の抵抗力を強くするのは、何はともあれ、それを養っている血液状態が正常であること、したがって、まず正しい栄養、完全な栄養が根本だ、というわけです。

 しかし、今日の日常食はあまりにも不完全。白米飯はいくぶん減ったようですが、主食の量は依然多いし、肉(獣鳥魚介)類、卵類の消費は著しく増し、砂糖や酒も多く、脂肪もうんとふえています。けれども、野菜、ことに良質ナッパ(ビタミン類がそろって多く吸収しやすいカルシウムにも富んでいる)の摂り方はいよいよ乏しくなって来ています。ために、熱量や蛋白質ばかりが多く、それらが体内で完全に処理されるために無くてはならぬビタミンやミネラルは甚しく不足している、という不完全きわまる食べ方になっています。
 そのためだけでも、代謝が不完全となり、いわゆる「血の濁り」をおこすことによって、生体の、そして組織の抵抗力を弱めることになるわけです。しかし今日では、なおその上に、種々の毒物の影響もまぬかれることが出来ません。危険な農薬がひどく乱用されています。食品の貯蔵や加工にあたって、あらゆる薬剤が用いられ(添加、混入)、色素や人工調味料が用いられていますが、その中には有害なものが少くありません。水も汚染されていますし(工場・鉱山廃液、農薬、洗剤)、空気も汚染されています。
 医薬品も乱用されています。もっとも、これら食品中や水・空気中の有害物の量は、その各々についてみれば、あるいは、とるに足らぬ微量にすぎないでしょう。しかし、あらゆるものが汚染されている今日では、日々とり入れる総量は馬鹿にならぬものになるかも知れません。

 また、それら相互の間の作用(相乗作用)によって毒力が強められることがないともいえません。おそらく、これ以外にもいろいろの悪条件はあるでしょうが、ともかく、化学薬品に依存することの甚しい今日の日常生活では、これらの複雑なからみ合いによって、生体の、そしてその組織の抵抗力が弱められることにもなるでしょう。
 こうして、ビールスの侵襲によって障害されやすくなっているのではないでしょうか。日常生活の不自然化、ことに食の乱れの甚しくなった最近になって、こうした病気があらわれたことは、その間の因果関係を思わせるものではないでしょうか。
 もちろん、これだけが、この病気の原因だというだけの勇気はありませんが、少くとも、これらの事がらが本病と全く無関係だとは断じていえないだろうと思います。そこで、この病気の治療にも予防にも、ともかく、まず日常生活の建て直し、自然化、とくに食の合理化、完全化――危険な農薬や添加物の心配のない安全商品だけによる、緑葉食・青汁を中心とした完全栄養をとることが大切だ、と考えます。

 <1969・4 遠藤 健康と青汁第152号より>




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