遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 自然食と癌

 ちかごろ癌がひどくふえたし、年令層も、しだいに若くなって来つつある。以前にも、癌は決して少くはなかったが、それでも、今ほどではなかった。そして、ふつう40才以後のものだった。それが、今では30代や20代はおろか、もっと若い青少年層にも珍らしくなくなった。いやそれどころか、学童でも、事故死についで多いのは癌死だといわれているほどだ。だから、どうもこれは、ただ人口がふえ、長生きするようになり、また、診断法が進んで来たためばかりではなさそうだ。

 どうしてこういうことになったか、癌の原因が不明なので、はっきりしたことは勿論わからないが、どうも環境の不良条件との関わりが少なくないようだ。今では、実験的に癌をつくる方法がいろいろ知られているが(物理的、化学的、生物学的)、それらによる環境の汚染が甚しくなっている、と考えられるからだ。全くのところ、現在、私どもの周囲には、発癌物や発癌促進物質がいっぱいあり、まるで、それらにとり囲まれているようなものだ。もっとも、その量はごく微量で、それぞれの個々についてみれば、恐らく、とるに足らぬほどのものであるが、空気からも、水からも、食品からも(農産品、畜産品、水産品、とくに加工貯蔵また調理によっても)、職場からも(工業薬品、工場・鉱山の廃水、廃ガス)、医療上(医薬品・放射線)からもと、毎日、しかも幼時から、いや母胎内にいるころから、とり入れられているとなると、それらが互に協力し合う可能性もあり、また、これら発癌因子の影響が、その一回量によるだけでなく、むしろ、逐次累積された総量によるといわれていること。あるいは、生体の幼弱であるほど影響をうけやすいということなどからも、たとえ箇々の量は僅かであるとしても、断じて軽視すべきではない。したがって、この業病からまぬかれるためには、能う限り、こうした危険なものから遠ざかるようつとめなければなるまい。

自然治療
 癌はふつう不治とされ、ごく初期に手術して完全にとり除かない限り、まず100%生命にかかわる、と考えられている。しかし稀にではあるが、確かに自然に治るのがある。そして、それは、一つに個体のもつ抵抗による。つまり、最近の感染による病気が、病原菌の毒力と、その個体の抵抗力とによって、治・不治がきまるのと同じことが、癌にもある、というので、からだの抵抗力しだいでは、癌でも治りうるわけだ。
 けれども、ともかく、一旦発病したとなると、簡単には治すことは出来ないのだから、なんとしても、予防が肝腎だが、それにも抵抗力を、つねに最上最良の状態に保つことが大切だ。

緑葉食・青汁
 そこで私どもは、癌の場合にも、緑葉食・青汁を中心とした完全食。しかも、安全かつ良質――放射能性降下物はいたし方ないとして、出来るだけ、危険な農薬や洗剤、工場・鉱山の廃水、添加物などの汚染のおそれのない、そして、十分の有機質肥料(堆肥・緑肥など)を施した自然(健康)農法によった――の食品ばかりからなる完全食、たとえばイモ・マメ・ナッパ食。しかも、調理は簡単に、なるべく多くを生食し、味つけは薄く、といった――自然のままか、自然にちかい食を適当と考えている。また事実、そうした食を熱心に励行して(青汁は毎日4〜5合以上も飲んで)、再起不能といわれた癌から立ち直り、ながく元気でいるという事例もある。

 さて、この緑葉食・青汁の効について、これまで、食の完全化、つまり、乱れている栄養のバランスを正しくすることによって、栄養の不調和にもとづく体の不調を直し、抵抗力をたかめ、病魔を駆逐する、のだと解釈していた。
 けれども、ふつう一般習慣食でも、青汁2合も飲めばバランスはとれるし、イモ・マメ・ナッパといった食では、もっと少なく、僅か1合でも、よく釣り合って来る。だのに、それだけでは十分でなく、4〜5〜6合もの青汁ではじめて効果が出るというのは、どうしても栄養のバランス以外の何ものかによるとしか考えられない。
 それが果して何か。もちろん想像の域を出ないが、ここに、これと関連があるかに感じられる興味ぶかい実験がある。それは、アメリカの学者がやっている、動物の実験癌にたいする精製食品と自然食品の影響をしらべたデータだ。

     自然のままの飼料と、それを精製したもの(精製によって失われたビタミンやミネラルは薬品で補った――したがって、栄養的には完全な筈の精製飼料)とをあたえたネズミに、レントゲン線や化学的発癌剤で癌をつくってみた。そうすると、自然食動物に比べ、精製食動物の方が、ずっと発癌しやすく、また、より早く、かつ、より強くあらわれる、という結果が出た。

 つまり、自然食には発癌にたいし防衛的にはたらく力があることを示すわけだ。しかも、それは、今までに知られている栄養素とは、明らかに異った何物かによる、とこの研究者たちは、未知の成分の存在を想定している。

 ところで、微量のゲルマニウムや、適量のセレン(過量は発癌性)が発癌を抑制する。あるいは、微量の銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトなどが、発癌性物質ベンツピレンの分解酵素の作用を促進する(すなわち、発癌物質の分解をすすめる)という実験データもあるし、土壌中のモリブデン不足で発癌が促進される、などの点、またこれら微量ミネラル分は精製によって失われやすいといわれている点からすると、あるいは、こうしたいわゆる痕跡要素があずかっているように感じられる。また現に癌の多いところには痕跡成分の欠乏が考えられると説く学者もある。
 それはともかく、癌の予防には、将来は知らず、少くとも今日においては、発癌性あるいは発癌促進性物質はつとめて避け、自然的な食べ方――天地の恵みを十分にそなえた自然食品を、自然のまま、あるいは、なるべく自然にちかい状態で食べるよう心懸くべきであり、緑葉食・青汁を中心とした完全食の励行は、唯一ではないにしても、かなり有力な予防法であり、また、病勢をくじき、治癒への手助けにもなるのではないかと考える。

<1971・4 健康と青汁 第176号より>




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