遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 心筋梗塞

 心臓をやしなっている冠状動脈が凝血(血栓)で閉塞され、血行が杜絶しておこる。閉塞の場所、程度によって症状はまちまちだが、ひどいのは、たちまちにも生命をとられてしまう。欧米先進国では、いぜんから多かったが、近年はとくにふえ、中・高令層の死因の一位を占め、しだいに低年令層にもおよんで来ている。そして、おびただしい研究費がつぎこまれながら、原因にも、予防法にも、適確なものは、まだ、つかめていない。わが国では、私どもが大学を出たころ(50年まえだが)には、無い病気だ、といわれていた。また、最近まで、文明国の中では、もっとも少ない国とされていた。それが、戦後、生活様式の欧米化とともにふえはじめ、今では、どこにでもみられるようになった。そして、成人病検診が盛んになるにつれて、冠不全(冠状動脈の血行が完全でない)と診断をされ、今にも心筋梗塞にやられるのではないかと、ビクビクしている人も少なくない。

原因はなにか
 冠状動脈に血栓ができるのは、冠状動脈が変化していること(動脈硬化)と、血液自体が凝固しやすくなっている(凝血亢進状態、いわば血のねばり)のためとであり、これらの変化のもっとも有力な原因として、血液脂肪の増加(高脂血症)があげられている。つまり、血液のコレステロールかトリグリセライド(中性脂肪)、またはそれらのともに増加しているものに、血栓ができやすく、心筋梗塞にかかる危険が大きい、といわれている。しかし、高脂血症があっても、かならず心筋梗塞がおこるわけではないし、血液脂肪を低めることで発病が防がれたり、減らすことができるともきまってはいない。また、反対に、血液脂肪はふつうでも、発病することが決して少なくはない。

血液脂肪をへらす
 が、ともかく血液コレステロールや中性脂肪をへらすことがすすめられている。すなわち、食事中の脂肪の総量をへらすこと。コレステロールを増す飽和脂肪(牛・豚・羊脂・乳脂・ヤシ脂など)をへらし、コレステロールを増さないか減らす作用のある不飽和脂肪(液状の植物油)にかえること。中性脂肪を増す砂糖や蜂蜜、精製穀(白米飯・白パン・白メン類)の過食をさけること。あるいは、コレステロールや中性脂肪をへらす薬をのむ。

それだけではない
 脂肪ことに飽和脂肪や、糖分のとり方をへらすことやコレステロールや中性脂肪降下剤で、血液脂肪はたしかにへり、心筋梗塞の発病が防がれ、あるいはおくらすともいわれてはいるが、必ずしもそうではない。すなわち、血液脂肪の増加だけが心筋梗塞の唯一の原因ではないわけだ。
 また、血液脂肪の増加にしても、ただ脂肪や糖分のとりすぎのためだけではなく、それらの代謝に異常があるからにきまっている。それは、心筋梗塞が、高血圧や糖尿病・肥満症など(いずれも合併することが多いもの)とともに、生活様式の欧米化――肉・卵・脂・糖・精製穀食にかたよった、栄養的には甚しく不完全な贅美食の飽食家、運動不足、ストレス過剰、タバコ・酒・薬の乱用傾向にある、したがって、いろいろの代謝の変調をまねき、悪血(血の濁り)を生じやすいものに多い、ことからも理解されよう。そして、心筋梗塞=冠状動脈の血栓の真因もまた、おそらくここにあるにそういない。なお、さいきんの環境汚染、有害有毒食品の氾濫もけっして無関係ではあるまい。

予防するには
 とすると、本症の予防には(治療にも)、ただ血液脂肪だけでなく、すべての代謝が完全におこなわれるよう注意すべきであり、食を中心とする日常諸般事の合理化がとくに必要なわけだ。

    食の合理化(完全化・安全化=自然化)
     脂肪・糖質・蛋白質についてのバランスのみならず、ビタミン・ミネラル源として、つねに十分の良質ナッパを主体とする野菜・山菜・海藻・果物を配し、調理・調味、また嗜好品にも細心の注意をはらい、食全体としてバランスがよくとれていなければならない(完全食)。そして、なるべく自然の安全な食品のみをえらび、危険な産業廃棄物や添加物に汚染されていたり、そのおそれのあるもの、とくに加工食品・貯蔵食品はつとめてさけること(安全化)。すなわち、食の自然化が肝要。

      主食
       白米飯・白パン・白メンなど、精製食品はなるべくさけ、米なれば玄米。パンは黒パン、全穀パン。むしろ、雑穀(ソバ・トウモロコシ)、雑豆。さらによいのはイモ類。これらは、いずれもミネラル・ビタミンにとむこと、また繊維にとみ腸管内ビタミン合成に有利。また過食を防ぎ、通便をよくし、吸収を妨げ、したがって肥満・高血圧を防ぎ、血液コレステロールの低下作用もある。せめてこれらを混食し、なるべく少量(粗食少食)。

      蛋白食品
       陸棲動物(牛・豚・羊など)の肉、ことに肥肉はさけ、精々やせ肉の少量。鶏肉はまだよいらしい。むしろ魚介類。これまでわが国に少なかったのは、主に魚介類をとっていたからだといわれている。(かなりコレステロールの多いものもあるのだが)

        卵類
         鶏卵ことに卵黄、魚卵など、いずれもコレステロールが多い。

        乳類
         乳脂(クリーム)、バター、チーズなど、コレステロールが多い。脱脂乳やその製品がすすめられている。

       なお、家畜では(養鶏・養魚でも)、飼料の汚染、配合薬剤(肥肉剤ことにホルモン剤)。加工品にはさらに各種の添加物などに注意。この点、大豆やナッツ類など植物蛋白の利用が有利。これらの脂肪は、コレステロールを増さないばかりか、むしろ低下作用があり、心筋梗塞の蛋白源としてもっとも適している。もっとも、消化・吸収が劣っている点は考慮しなければならない。また、加工品ことに豆腐は、材料として抽油後の大豆粉がつかわれていること、凝固剤や添加物など、安全性にいささか疑問がないではない。

      野菜類
       野菜・山菜・海藻・果物類、ことに良質ナッパを十分にそえること。それは、そうすることによって減食しやすいこと、ビタミン・ミネラルにとんでおり(とくに良質ナッパ)、栄養のバランスがとれやすいので、すべての代謝がうまくおこなわれ、悪血(血の濁り)を去り、すべての細胞、組織、臓器の機能が円滑になると考えられるからだ。なお、これらに多いビタミンC、繊維、ペクチン、あるいはメシイン(十字科やネギ類にある)などには、いずれもコレステロール低下作用がある。また、キノコ、コンニャク、海草類にも同効がいわれている。
       
      調理
       なるべく簡単に。自然のままか、自然にちかいかたちで(生食)。調理に手がこむだけ、栄養分ことにミネラルやビタミン、繊維などが失われる。

        調味
         調味はうすく。
        食塩
         高血圧を原因。
        糖分
         血液脂肪を増し、肥満・高血圧を原因。
        脂肪
         動物脂肪、ことにバター(マーガリンも)、牛・豚脂をさけ、なるべく植物油(但しヤシ油をのぞく)にする。

      合理的食
       そこで、心筋梗塞の予防にたいしても、治療にたいしても、徹底した緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食が適当とかんがえられる。また、せめて青汁だけでも、少なくとも一日3合以上(多いほどよい)は飲むべきである。なお、食量は全体としてなるべく控えめ、必要最小限にとどめ(少食)、食事回数は少ないよりは、むしろ少量づつ頻回にする方がよいらしい。つまり、古人のいう「少餐相接続すべし」(陶弘景)。

    嗜好品

      果物
       もっとも無難。農薬などの汚染のないものは皮ごと。但し、糖分のつよい乾果物には注意。

      菓子
       つとめてさける。血液脂肪を増し、肥満・高血圧・悪血を原因する。添加物の害。

      コーヒー
       コレステロールを増すこともあるので、なるべくさけ、一日1〜2杯はともかく、5杯以上、しかもうんと砂糖を入れてのむのは問題。茶には、そういうことはないという。但し紅茶は砂糖ぬき。


       実験データは一定していないが、毎日2合以上を、長期にわたってのんでいると、動脈硬化を促進することがないとはいえないという。アメリカのある病院で調べたところによると、酒と心筋梗塞との関係ははっきりしなかったそうだが。酒の種類、のみ方、また体質にもよることなので、一概にいえないだろう。飲まぬにこしたことはない。禁酒しないまでも、せめて節酒。

      タバコ
       厳に禁止すべきもの。血液脂肪を増し、動脈硬化をすすめる。ニコチンのためもあろうが、一酸化炭素その他にもよるらしい。狭心症の最良の治療法は何かの問題について、5ヶ国から集った心臓専門家の間で一致をみた意見は、「禁煙と体重減少につとめるよう忠告する」ということであった(Medical Tribuue,1972.11.2)。

    運動
     つとめて運動すること。心筋梗塞は、血圧の高いもの、肥満しているものに多いので、減食し運動して理想体重(身長センチ−100〜110キロ)を保つこと。血液コレステロールがへり、その他、すべての代謝も順調となり、悪血(血の濁り)がのぞかれる。脂肪にとんだ食事をしていても、肉体労働をしっかりやっていれば、動脈硬化の危険はかなり防がれるらしい。

    精神的の安定
     精神的ストレスがすぎ、神経の興奮、緊張がすぎても血が濁り、動脈硬化を原因する。てきぎのリラックスが肝要。

なるべく早くから
 動脈硬化の徴候が出はじめるのは、だいたい5才から15才の間だという。完成した動脈硬化は、もうどうにもならないが、こうした初期の変化は、もちろん治しうる。だから、動脈硬化を防ぐためには、若い時から、なるべくは子供の頃からの注意が肝要。それどころか、乳児の時からはじめなければならぬ、とさえ警告されている。GNP世界第2といい気になって、アメリカの真似をしているわが国でも(さいきんの景気のおちこみで、いくぶんひきしまって来たかにはみえるが)、このままだと、おそらく、遠からず、同じ轍をふむことだろう。少なくとも、この節の子供のように、脂こい肉類、チーズ、バター、チョコレートやケーキばかり好んで食べ、肥満児の多くなっているのは、たしかに考えものだ。(50・5)

<1976・4 健康と青汁 第236号より>




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