主食のよしあし |
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いままで、主食になるものを、あれこれ考えてみてきましたが、これらの特長は、いずれも熱量にとんでいること。 それは、主として糖質(澱粉)と蛋白質とで、脂肪に乏しいこと。 蛋白質は、含量にはかなりの差があるが、マメ以外には一般に少なく、質的には、いずれも一般に劣っていること。 カルシウムは、大体に乏しいが、マメにはやや多いこと。 イモは、アルカリにとんでいるが、その他は、いずれも燐が多く、酸性度がつよいこと。 ビタミンBは、いずれも、相当多いが、加工(搗精や漂白など)で失われるものが少くないこと。 イモや生マメには、Cもあること。 といったぐあいで、栄養的に、多少の優劣はあっても、そのちがいは、まあ、いわば量的のもので、根本的、本質的の差があるわけではないこと。 そして、悪いといわれる米食も、食べ方しだいでは差支はないこと。また、たとえ、米食を、栄養的に多少すぐれている小麦、大麦、ソバ、マメ、イモ食などにかえてみたところが、それだけで、栄養のバランスが完全になるわけでもないこと。 つまり、主食には、白米飯でも、パンでも、ウドンでも、ソバでも、マメでも、イモでもよろしいが、そのいずれにしても、多かれ少なかれ、補正食品である良質ナッパを添えなければ、完全な食にはなりません。 もちろん、これら、主食になる食品の欠陥をうめあわす方法には、ほかにもいろいろあり、かならずナッパでなければならぬのではありません。 ここに、ナッパをとりあげているのは、これであれば、ただ、それだけで、簡単に完全食にすることが出来ることと、そのために必要なナッパの分量によって、ただちに、その優劣を知ることが出来るからにすぎません。 まえの各項でのべたように、大根葉でいえば、 白米には約3倍をそえなければ完全になりませんし、半搗米には2倍、玄米には同量。 麦(小麦粉、大麦)では半搗米なみに2倍。 ソバや小豆では、玄米とおなじく同量。 サツマイモでは1/2量で十分。 となっており、これで、これらの良否のだいたいの傾向がわかります。 ところで、主食はもともと、あまり食べすぎないほうがよいものなのですが、今までは、偏った白米の過食になっていました。 そして、このことが、今までの習慣食の誤りの根本になっていたのですが、それは、白米が栄養的に不完全であるためというよりは、むしろ、その軽さ、満腹価に乏しく、腹ごたえのないため過食になっていたことが、主な原因でした。 そこで、主食のよしあしを決めるには、ただ栄養的の面だけでなく、満腹価の面、つまり腹ごたえがあって減食するのに都合がよいかどうかの、二つの点を目安にする必要があります。 これらの点を考慮にいれて、主食品に順位をつけてみると、 イモ類が栄養的にも腹ごたえの点でも最上=A級品。 次がマメ類、ソバ、玄米=B級品。 小麦粉、大麦、半搗米はその次=C級品。 白米は最下=D級品。となります。 これで、主食としては、なるべく米、ことに精白米を少くし、出来れば玄米、せめて祖搗米とすること。 また米よりは麦、ソバなどの雑穀のほうがよく、マメ、イモならばさらによいこと。 したがって、これら、いわゆる代用食品を出来るだけ多く利用すべきであり、これらの利用が多ければ多いほど、栄養的にはすぐれた主食になること。 つまり、食べすぎにならず、添えるナッパが少くてすむ、それだけ完全食になりやすい、ということが、よく理解できましょう。 また、農薬や、添加あるいは混在する有害薬品などの危険にかんがみ、なるべく、そうした心配のない、あるいは、そうした危険の少ない純正食品をえらぶよう努むべきですし、根本的には、そういう良質無毒の、安全食品の供給をはからなければなりません。 なお、嗜好上から、これまで、あまりにもとらわれすぎている、純白米飯の淡薄さへの執着をすて、麦その他の雑穀、あるいはマメやイモなどを併用すべきこと、また、満腹価をたかめるため、良質の植物油を利用すること、さらには、粉食またはマッシュ食に慣れることとともに、そうした形態の調理法にも、いちだんの工夫がのぞましいわけです。 <1965・5 健康と青汁第105号より>
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