遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
消化性潰瘍

 胃(十二指腸)潰瘍は消化性潰瘍といわれ、胃(十二指腸)の粘膜(胃と十二指腸の境にある幽門のあたりが多い)が胃液のために消化されてできる。

どうしてできるか
 胃液には強力な蛋白質消化能がある(それで、かたい肉でもこなれる)が、正常の胃(十二指腸)粘膜は、これにたいし十分防衛されており、自然に消化されることはない。
 けれども、この間のバランスがくずれると、消化されて潰瘍になる。

胃液の分泌
 胃液の分泌は、食事ではじまり、食べものの種類や分量により、また分泌神経の興奮性によってちがう。うまいもの、好きなものでは、まずいもの、きらいなものよりよくよく出るし、胃中の停滞時間のながい(食量が多いとか、脂濃いものなど)ほど多く出る。
 そして、消化が終われば分泌も終わる。しかし、分泌神経の興奮性が高まっていると、強酸性の胃液が消化の終わった後まで分泌される。
 そこで、潰瘍では、なるべく胃液分泌を刺激しないような食事(質・量ともに)をあたえ、酸を中和する薬や、神経の興奮をおさえる薬がつかわれる。

粘膜の抵抗力
 正常の粘膜が胃液にやられないのは、健康(きれい)な血でやしなわれているからだ。(アルカリ性の血液や分泌されるアルカリ性の粘液で保護されているため、といわれている)
 が、そこに欠陥があったり(血のにごり)、血管の痙攣や動脈硬化などで血のめぐりが十分でないと、粘膜の抵抗力・防衛能がよわり、胃液の攻撃をうけやすくなる。
 で、治療的にも粘液剤その他の被覆剤や、粘膜の活力を鼓舞するための薬剤(賦活剤)がつかわれているが、そのほか、血液のにごりや、血のめぐりにたいする注意が、大切と思われる。

血のにごり
 血のにごりにもっとも影響の大きいのは食べもの。一般に、潰瘍家は贅美食。すなわち、精製殻(白米飯・白パン)、肉・魚・卵などの濃厚味食を飽食(しかも荒がみで)し、菓子や酒をこのみ、野菜類は嫌う傾向がつよい。
 ために、熱量・蛋白質にかたより、ミネラル・ビタミンは不足するという不完全食(欠陥栄養)になっており、代謝は不完全。ひいて、血のにごりをまねくことになる。
 なお、これには、氾濫している有害有毒食品(農・蓄・水産用薬・産業廃棄物あるいは添加物などに汚染された食品、加工・貯蔵・既成・インスタント食品など)、タバコの乱用、運動不足などもあずかっていよう。

神経の興奮性
 胃液の分泌や、粘膜の血流に関係する神経の興奮性には、生まれつきの素質はもとよりだろうが、こうした栄養の欠陥(カルシウムの不足だけでも神経の興奮性はたかまる)、タバコの乱用。されに精神的ストレス
 テンポが早く、いそがしい、刺戟の多い、イライラつづきの毎日。睡眠不足による心神の過労。それをまぎらすための刺戟・興奮性飲食物や医薬の乱用などによってもたかめられ、また不安定となり、ために胃液分泌はさかんとなり、欠陥は痙攣しがちになるだろう。

潰瘍体質
 つまり、潰瘍家は、
(一)消化力の強い胃液の分泌と
(二)粘膜の抵抗力、防衛能の弱りとのために、潰瘍ができやすく、
 また、一旦できると治りにくくなっていると考えられる。(潰瘍体質)。しかも、それは、うまれついた素質、および、その後の日常における、あまりにも不自然、不合理な諸条件によって招かれたもの、と解すべきであろう。(潰瘍が文明病・文化病といわれる所以)。したがって、その治療にも、予防にも、胃(十二指腸)の局所にたいする処理だけでなく、同時に、食を中心とするに日常生活諸般の合理化・自然化をはかることがより根本的であろう。

合理的潰瘍食
 そこで、合理的な潰瘍食は、
 無刺戟性であること(なるべく刺戟を少なくし負担をかるくする)とともに、完全食であり安全でなければならない。できるだけ安全かつ純正食品をえらび、よくバランスのとれた(しかもミネラル・ビタミンには十分余猶のある)完全食にする。そうすれば、食料が少なくてすむ(負担がかるい)うえ、代謝は完全、血は浄化され、粘膜の強化とともに、神経は安定し、胃液の分泌、粘膜の血のめぐりともに正常化され、防衛能・治療能が盛り上がってくる。

    主食
     なるべく控えめ。白米よりは粗搗米・玄米。パンは黒パン・全殻パン。雑穀・豆類。さらによいのはイモ類。少なくともそれらの混食。

    蛋白食
     肉類すぎないよう(胃液の分泌をたかめる)。乳・大豆ものの利用

    副食
     良質(ビタミンにとみ、吸収しやすいカルシウムにとむ)ナッパを主とする野菜・山菜・海藻などを十分(主食・蛋白食の2〜3倍)そえ、なるべく多くを生食。青汁 少なくとも一日2〜3合(もとのナッパ500〜750グラム)以上。栄養のバランスをとるに都合がよいだけでなく、潰瘍面にたいする葉緑素の直接効果も期待できる。
     もっとも、営業のバランスをとるには、青汁二合(もとのなっぱ500グラム)で十分だが、経験上、多いほど効果が著しい。まだ十分科学されていない微量成分(痕跡ミネラルやフラボン体など)効果ででもあろうか。

    調理
     なるべく簡単に。
     潰瘍家の食には、ビタミンCが不足しているといわれるが、これは、食構成が不適当なだけでなく、加工(精製・調理)過度のせいでもあろう。また、抗潰瘍ビタミンといわれるビタミンUも貯蔵や加熱によって破壊されやすい。ともに、生食すれば十分に、かつ容易に補給することができる。なお、肉類の調理には、フライや焙焼することや、肉汁はさける。(胃液の分泌を刺戟する)。

    調味
     なるべくうすく。味が濃いもの、ことに脂濃いものは、胃にもたれ胃液の分泌をます。糖分がすぎると栄養のバランスをみだす。また、カルシウムをうばい神経の興奮性をたかめる。香辛刺戟物 なるべくひかえる(胃液分泌をすすめる)。

    咀嚼
     潰瘍家には荒がみが多い。かみ方が悪いと、いきおい大食になり、負担過重。胃液分泌を増すだけでなく、不完全栄養をまねき、抵抗力をよわめることにもなる(やわらかい主食や動物食品は、あまりかまなくてもこなれるが、野菜類は十分かまなければ素通りしてしまうからだ)。少なくとも一口30回。多いほどよい。胃が悪いから、飯はカユ、おかずはウラゴシするのはかまないことを前提にしている。口の中でオモユになるまでかめば、そして、かみ切れないもの(粗硬繊維)だけ出せば(かみ出し)、いかにかたいものでも少しも差支はない。かめないばあいは歯をなおす。それもできなければスリバチでする(すり餌)、ミキサーでつぶし(ミキサー粥)、それをよくかみ、唾と混ぜて食べる。

    食事の回数と分量
     食事回数は一日3回でも2回でも、あるいは、もっと多くても、少なくてもよい。一回量は腹八分。いつもいくらかの余猶を残し、次の食事までに快い空腹を感じるよう加減する。間食、とくに夜食はやめる。

    食事時間
     規則正しいに越したことはないが、あまりこだわることはない。要はよくかむこと。食事時間が不規則であるより、かみ方の悪い方がずっと悪い。

    嗜好品

       果物
       農薬の心配さえなければ、少々酸っぱいものでも、さまで気にするにはあたらない。但し、少量からためすこと。また、食べすぎないこと。

       菓子
       栄養のバランスをみだすうえ、添加物の害も加わる。つとめてさける(菓子や砂糖の好きなものに潰瘍は多い)。

       
       アルコールの強いものは直接胃をいため、慢性になると潰瘍や癌になりやすい。また、栄養のバランスをみだす。なるべくさける。

       
       茶そのものはよいが問題はお茶うけの菓子。農薬汚染にも注意。紅茶は砂糖ぬき。

       コーヒー
       精々うすいものの少量、砂糖ぬき。

       ソーダ水
       純正品の少量はよいが、大量はガスのため危険なことがある。ジュース・コーラーその他なるべくさける。

       タバコ
       胃液の分泌を増すこと、および神経刺戟による血管痙攣と、一酸化炭素による酸欠状態とのため粘膜の抵抗力をよわめるなど、潰瘍素質をつのらせる。百害あって一利なし。厳に禁煙。


その他

     便通
     通じが悪いと潰瘍は治りにくい(胃液分泌を増し、神経が感じやすい)。いつも快通するよう気をつける。今までの潰瘍食は、消化のよいものが主で、便秘傾向になり、かえって治りを妨げている。といって、くすりで加減すると、癖になる。なるべく繊維の多いもの、ことに生の青ナッパをよくかむか、ミキサー粥(生菜粥)にして食べ(青汁のしぼりカスでもよい)、適度の運動とで、自然の便通をはかる。

     適度の運動

     十分の睡眠
     心の安定 気をつかうだけでも潰瘍になる(ストレス潰瘍)

 要するに、潰瘍の治療・予防には、菜食にかたむいた完全(安全)食。緑際食・青汁。イモ・マメ・ナッパ・青汁食といった食を中心とする、一般日常生活の合理化・自然化をはかることだ。そうすれば、自然、食べる量はへり、胃の負担はかるくなり、栄養のバランスもとれてくる。気分はおちつき、神経の興奮性も鎮まり、ものごとに動じなくなり、よく眠り、疲れなくなるので、いろいろのストレスにも強くなる。そして、よほど頑固な潰瘍でもしだいによくなって来る。

食禁
 なお、潰瘍では、あれはいけない、これはいけないと、とかく、禁食品が多いものだ。
 しかし、いたずらに食禁をきびしくするより、「安全純正食品による完全食」という原理のもとに、なるべく寛大にし、融通性を持たすべきだ。食養生は、一時的の投薬とはちがい、生涯つづけなれば意味がないからだ。それだけに、厳格にすぎては実行しにくい。「良い」、「悪い」といったところが、それに人により、また分量によりけり。たとえ、ふつうには「よくない」というものでも、ためしてみてどうもなければ、ちっとも差支えはない。かように、完全食という条件のもとでさえあれば、安心して食べられる食品をしだいにふやしてゆくことが出来るから、食養生はさらにやりよくなる。(51・9)

<(1977・7)健康と青汁 第251号より>




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