仙家の食 |
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仙道者「仙語録」に、著者玄道子の冬季における一日の大筋という項があるが、それには、 「食は暮の六時に一回、門生持参の生野草(冬はハコベラ)と、長命の四果(松実、榧実、胡桃、榛実)を摂り、穀類は、時に巨勝を服するため麦粉を若干。あとは、仙人茶を喫するだけで、18時間働きつづけ、睡眠は6時間である。そして、寝る前、夜の最冷え込む時間、風呂場で全裸となって、背中や腰を感覚が薄れてしまふくらい冷水を浴びる云々」とある。 仙家の食 この仙語録や、仙道の原典抱朴子などによると、仙家の食の特長は、純菜食であること。野草・木葉と長命の四果や巨勝(胡麻)、大豆などが主になっており、それらすべてが山野自生のものか、あるいは、自らの手でつくったもの。つまり、絶対安全なものばかりであること(安全食)。「みずから耕すにあらざれば、もって飢をみたさず」(抱朴子)。しかも、それらを、自然のままか、自然にちかいかたちで食べていることだ。 カロリー源 カロリー源になっている長命の四果や胡麻、大豆などは、いずれも脂肪にとんだ高カロリー食品であり(したがって少量で足る)、同時に、動物蛋白にちかい良質蛋白質にもとんでいる(表)。 また、これらの脂肪は、動物性脂肪とちがい、血液コレステロール(動脈硬化と関係のふかい)をたかめないばかりか、むしろ、それを低めるはたらきをもっているなど、カロリー源として、もっともすぐれたものばかりだ。さらに注目すべきことに「断穀清腸」といふ行法があり、「穀類を断って、常に腸(気海)を軽くしておくもので、長生久視の条件であると同時に、高度仙行の準備態勢とされてゐる」(仙語録)ことだ。 ミネラル・ビタミン源
径1尺の大ザル一杯の野草は少なくとも600〜700グラムはあろうから、これらをあわせ用いる仙食は、栄養的にみても、よくバランスのとれた完全食になっているし、便通のためにも申し分のない組み合せだ。 のみもの のみものには、自然の水(真玄の気を含む真清水)と、山野の霊草薬樹をあつめてつくった仙人茶が用いられている。「仙人茶がおいしくなったら、物の真味がわかったのである。仙人茶がまづいと思ふ間は、味覚が人工食で狂ひ、物の真の味がわからなくなっている証拠である」(仙語録)。 体行 そして、あかるい日光、澄んだ空気、自然のめぐみのみちみちた環境のなかで、五体は存分に動かし、きたえ、また、よくねむり、性の乱費をつつしむ。 心行 世俗の欲を超越し、煩悩を去り、作善却悪、自己完成の徳行をつみ、絶対の安心、玄気をやしない、何ものにもこだわらず、しばられない、恬淡無為の境地をひらくことに専念する。「仙法は静寂無為にして、その形骸(肉体)を忘れんことを欲す」(抱朴子) 理想的自然生活 すなわち、人為的なものすべてを捨て、あらゆる点で合理的な、人間本来の理想的、絶対的の自然生活にかえり、至高至上の人生に徹しようというのだ。 なるほど、そうして、心身ともに正常自然化されるならば、体内を流れる血はほんとうにきれいになるだろう。そして、からだ中のすべてのはたらきは完全にととのい、体力、抵抗力(自衛能、自癒能=生命力)は最高最良の状態にたもたれるにそういあるまい。したがって、健康になり、長生きもでき、病気のなおりもよくなろう。また、神通力といった超能力を発揮することも、あるいは、不可能ではないかも知れない。 (54・3)
<(1980・1 遠藤)健康と青汁第281号より>
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