遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 サツマ芋

サツマ芋白  米
熱 量118342
蛋白質  1.3  6.4
カルシウム 24  6
 33160
ビタミンA 10 ※  0
ビタミンB1  0.15  0.10
ビタミンB2  0.04  0.04
ビタミンC 30  0
※ カロチン芋では1000〜4000
 サツマ芋はよい熱量食品ですが、もちろん、その熱は米麦にくらべるとずっと少いものです。それは水分が多いからです。蛋白質も相当あり、質的にも穀類と大差はありません。しかしアルカリにとみ、ビタミンBとのバランスの点では、はるかにまさっています。カルシウムは24ミリグラムで、穀類にくらべ著しく多くあります(白米では僅か6ミリグラム)。そしてカルシウム対燐の比もよろしい(この比は1:1‐2が理想的とされていますが、サツマ芋では1:1.38、白米では1:26.7)。また熱量の割にビタミンB1の多いことは、さらに注目すべきです。芋の熱量は、ほとんど糖質(澱粉と糖類)と蛋白質によるものですが、これらの1カロリーについてB1は1ガンマ(千分の1ミリグラム)あればよいのです。それが、なんとサツマ芋では1.27ガンマもあるのですから、よほどの余祐があるわけです。なおビタミンCのあること、カロチン芋ではAにもとんでいます(ふつうの白い芋では僅か10単位にすぎませんが、カロチン芋では、色の濃さによって1000から4000単位、あるいはそれ以上のものもあります)。

 こうした諸要素のそろっていることは、主食品としては比類をみぬところでありまして、栄養バランスの上からいえば、穀類はもとより、豆類よりもさらにすぐれた食品というべきであります。ですから芋を主食にすれば、少くとも邦食欠陥の一つであるビタミン類(ABC)の不足は大いに緩和されます。
 また、今一つよいことは満腹価の大きいこと。つまり、すぐに腹にこたえ、適当な副食物なしには、とても充分には食べられない。このことも完全食を得やすくするのに重要なことです。
 このようにいろいろの点で邦食の改善に有利な性質をもっており、またそれだけに、穀食にくらべ刺戟性も少いと考えられるので、私はこのんで腎臓炎、高血圧、糖尿病、その他の治療食に応用しています、病体の負担をかるくすることにかなり役立つように感じられます。

 かように栄養上すぐれている上に、味はよし(嗜好の差はありますが)、収穫は多く、価も安いのですから、もっともっと利用すべきものであると思います。もっとも芋ばかりを主食にすることは特別の場合(芋地方あるいはある種の病気のばあいなど)に限られ一般には無理でもありましょうが、一日一食くらいを芋にすることは、さほど困難ではないでしょう。
 芋飯などそのよい例で、芋と米と同量を飯にたくとすると、カルシウム:燐の比は1:6.43、1カロリー当りのB1は0.54ガンマ(白米では0.29ガンマ)となり、そのバランスは白米飯よりは、ずっとよくなりますから、その害も少くなります。小麦粉の衣をきせたテンプラ、アワテ餅(生芋をアンに入れた小麦粉団子)も同じです。そのほか、蒸したり、焼いたり、から揚げしたり、あるいは汁の実にするなど食べ方はいくらでもあります。
 寒さに弱い欠点はありますが、適当な貯蔵法を講ずるのもよいし、乾燥しても良いでしょう。少し手はかかりますが蒸し芋を乾したカンコロも重宝ですし、切り乾しした芋粉は、そのまま、あるいは小麦粉、ソバ粉、その他の粉と混ぜて、用途はすこぶる広い。しかし、利用法はどうであろうとも、ともかく、芋は主食品。米麦と同格のもので、ふつう一般にやられているような副食とすべきものでないこと、そして適当な蛋白質食品と、充分な野菜ことに緑葉類を配してはじめて完全食となるものであることは、よく心得ていなければなりません。
 いずれにしても、現在、このすぐれた芋が食糧として用いられているのは、ほんの少量にとどまり、大部分は家畜の飼料、あるいは澱粉原料にしか利用されておらず、いたずらに腐敗するにまかされているものが少くないというのは、まことに勿体ないことです。

<1960・11 健康と青汁 第51号より>



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