遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 パン食ならよいか

 ちかごろ米食にいろいろケチがついたので、パン食にきりかえる人が多くなっているようです。パンの原料である小麦の栄養分で、米とめだってちがうのは、ビタミンB1が、米では大部分が外皮(糖の部分)や胚芽にあって、胚乳にはごく僅か(約5%)しかないのに、小麦では胚乳の中に60%以上もあるので、粉にしてもかなりのBがある、ということでしょう。また、蛋白質やカルシウムもやや多く、燐はいく分少いなど(カルシウム対燐比は1:4・5〜9・5)、小麦の方が米に比べ確かにすぐれています。だから、米食よりはパン食のほうがよい筈です。
 しかし、それはつくりたての粉でのことで、製粉して時間がたつにしたがい、ビタミンはしだいに減って行くのですが、はたしてパンになるまでに、どれだけ倉庫の中にねていることでしょうか。それに、今時のパンは、白さを好む一般の傾向から、フスマを捨てて胚乳部だけを製粉するのはともかくとして、それでもまだ色がよくないので、わざわざ漂白してあります。
 そのため、折角多いビタミンがこわされ、その上、ながい間には、漂白剤そのものの害もないとはいえません。犬にこのような粉を与えるとヒステリーになるという実験があります。天野慶之先生の「おそるべき食物」の読篇「有害食品」にはアメリカのある富豪の子供が喘息になり、ながい間さんざん苦しんでいたが、自分の農場でできた小麦を自分の水車でひき、自分の工場で焼いたパンを食べさせるようになって、さしもの難病もはじめて治った。という話がのっています。
 これは、市販のパンには実のところ、どういう仕懸けがしてあるか、どんな混ぜものがはいっているかわからぬ、ということを物語るものです。(漂白剤、その他の添加剤、あるいは農薬など。)こうなると、米食をパン食にかえてみたところが、はたして、どれだけの利益があるだろうか、とついうたがいたくなります。
 昔だべた食パンは、色こそ悪かったが、かみしめて頃よい歯ごたえがあり風味も味もとてもよかった。今のは、まるで「フ」でもかむようにカスカスしているのさえあって、風味も味もてんでよくない。そして、ながく置いてもカビ一つはえません。
 このアメリカの富豪のように、何もかも自分でできれば理想的でしょうが、せめて、安全な材料だけでもなんとか手に入らないものでしょうか。そして、なるべくフスマもしっかりすりこんでおくと、出来上がりの色はともかく、とても美味しい、栄養価にとんだパンが出来るのですが。
 それにしても、パンはビタミンやミネラルの点で、自米飯よりはマシですが、やはり補正食品として良質ナッパをそえなければならぬことは、米と同じです。(半搗米とほぼ同様で約2倍の大根葉で釣り合いがとれる。註、表の単位、蛋白質はグラム。カルシウム、燐、鉄はミリグラム。ビタミンAは国際単位。B1、B2はガンマ。Cはミリグラム。図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あればうまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす。)だから、パンならばいくら食ってもよい、というものではありません。



 バタ
 ふつう「パンにはバタ」というわけですが、これには、バタの脂肪でパンの分量をへらすことと、バタの代謝にはB1が不要なので、B1が少くてすむという利益があります。しかし、バタには脂肪(約80%)と、脂肪にとけるビタミン(A)のほかには、そう大した栄養分はありません。したがって、パンにバタを添えるだけでも、完全食にはなりません。また、バタには動脈の変化を招く性質があるし、色づけしてあったり、防腐剤その他の添加物の恐れがないでもありせん。
 なお、パンにはバタ、といった西洋流の食事では、他の料理にも、とかく脂肪類(マーガリン、牛豚脂など)が多くつかわれがちです。ジャム、マーマレード またジャムやマーマレードをつけて食べる人も少くありません。これらは果物の砂糖煮ですが、ビタミンはいくらもありません。そこへ砂糖がウントはいっています。ですから、まず砂糖を塗って食べるようなもので、ふえるのはカロリーばかり。全体としてのバランスはむしろ悪くなります。なお砂糖にも、動物脂肪と同様、動脈硬化をおこす性質のあることは近頃やかましくいわれています。
 その上、色がつけてあったり、人工甘味や防腐剤その他の薬品がはいっているものが少くありません。腎臓炎の子供が、パンにイチゴのジャムをつけて食べたところまっ赤な小便が出て(血液ではなかった)その後、折角よくなりかけていたのが、また悪くなった、といったことがありました。どうしてもジャムやマ−マレードがほしければ、かならず安全なもの、できれば自家製にすべきです。但し、それにしても、なるべく少量にすること。また、それだけパンの量をへらすこと。そして、つねに十分の良質ナッパをそろえること。でなければ、結果としてひどく偏った食べすぎになってしまいます。

 青汁粉
 少しでもビタミンやミネラルを補給しようという意味で、バタやジャムやマーマレードに青汁粉を混ぜる。また、青汁粉を油でねったペースト、あるいは油酢を別えた青ヌタ、をパンに塗って食べるのも面白いでしょう。それにしても、これらによって摂り入れられる青汁粉の分量は僅かなもので、とても、パンとバタやジャムやマーマレードとのバランスはとれっこありません。

 グリンパン
 そこで、も一歩進めて、小麦粉に1―2割の青汁粉を混ぜてパン(グリンパン)とか、むしパン(グリン蒸しパン)にすることを提唱したいと思います。こうすることは、ただ栄養のバランスをとるのに都合がよいというばかりでなく、こうひとつ大切な利益があります。それは、現在の小麦粉は上記のように、フスマを捨てて胚乳だけになっている上に、漂白さえされており、そのための栄養素のロスもあれば、漂白剤自身による害毒もさけられない状態です。しかも、それは、一般に見ばのよい白いパンが好まれるからなのですが、青汁粉を入れて青い色をつければ、フスマを多くすりこんで色が悪くなってもよいわけだし、まして漂白しようなどという馬鹿げたことは、テンから考える必要もなくなるだろうからです。





<(1964・12 遠藤)健康と青汁 第100号より>




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