妊婦の病気 |
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お互い、だれでも、いつなら病気してよい、という時のあろう筈もないが、妊娠の時だけは、とくに健康でありたい。それは、病気そのもの、あるいはその診断や治療上の処などが、たとえ母体には全然問題にならぬほどのことであっても、胎児には重大な影響をおよぼすかも知れないからだ。 ひとつ、流感と「つわり」について考えてみよう。 流感が流行すると、流産したり、早産したり、死産することもあれば、奇形児が生れることもある。また、それほどのことはなくても、どこかの組織や臓器に、なにがしかの変化をあたえ、機能や抵抗力のよわい箇所となり、後の発病の原因となる、といったことがあるかも知れない。 こうした変化は、病原ビールス直接の影響によることもあろうが、むしろ、診断のための検査(レントゲンその他)や、治療に用いられる薬剤によるところが少くないようだ。この際のレントゲン検査は、ふつう胸部だけだから、下腹部にあたる線量はごく少いが、それでも、妊娠の初期だとなにがしかの影響がないともいえない。よくつかわれる下熱剤アスピリンその他のサリチル酸剤は、動物実験では奇形を原因するという。 もっとも、用量が少いからべつに問題はないといわれているが。また、抗ヒスタミン剤やキニーネ剤にも催奇形(奇形をつくる)性がある。肺炎の疑いでもあれば、抗生剤、サルファ剤、ステロイド(副腎皮質)剤などがつかわれるが、これらにも催奇形性のあるものがある。 なお、ステロイド剤には胎児の副腎機能を悪くし、未熟児や胎児を原因することもあるそうだ。 予防のためにはワクチン接種だが、これも妊娠中はうかつにはやれない。というのは、接種によって、胎児に免疫学的耐性といって、抗原にたいして反応する能力がなくなる。つまり、後でワクチンをやっても、それに対する免疫が出来ない、という状態になることがある。また、奇形を原因せぬとも限らぬので、胎生4ヶ月までは接種すべきでない、ともいわれている。
むかしの人は科学的知識が無かっただけに、妊娠中は出来るだけ病気せぬよう、一般注意にこまかく気をくばった。そして、妊娠の守らねばならぬ禁制も多かった。いずれも、ながい経験から生れた貴重な訓えで、多くのものは今日もそのまま通用するばかりか、むしろ、今日の科学医学による新しい(したがって経験の短い)ものよりも正しく、またすぐれたものが少くない。 もっとも、こうした注意も、妊娠と気づいてからでは、もう遅すぎる。最も大切なのは妊娠初期の1〜2ヶ月だが、その頃は、まだそれと気づかぬことが多いので、妊娠の可能性のある時は、つねに健康状態に注意し、一般抵抗力をたかめ、病気をさけるべきだし、そういう条件のもとで、はじめて妊娠は計画すべきだ。 何としても、まず正しい自然的な日常生活。適度の運動。平和な家庭。そして、正しい食養――危険な農薬や添加物のおそれのない安全食品による緑葉食・青汁を中心とした完全食――に徹底することだ。 <健康と青汁第182号より>
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