遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
ニガテ(苦手)

 ニガテ(苦手)といってただ手をあてるだけで、病気を治す能力のある人があることは、古くから知られている。
支那では、古く
 「黄帝曰く、瓜苦手毒、積を按じ痛を抑えしむべし」
とあり、
ローマのプリニウムは、
 「医療力をそなえた人がある」。
ガレノスは、
 「健康者が病者の体にたえず触れることが、病者を強健にする」。
また、プルターク英雄伝には、
 「ギリシャのピルス王は、一方の脚の拇趾に不思議な霊能があり、疾病を踏み治す力があった。死後、ほかの部分は皆焼けたが、この拇趾だけは焼けずに発見されたという」、
 などとある。
 この能力は、程度の差はあるが、万人にそなわっているので、すぐれたものでは、まさに驚異的で、他の療治の無効だったものにも著効をしめすし、手をおくだけでなく、体の一部、あるいは衣服に触っても、その力を及ぼすという。
 大智度論八には、釈迦が手を患部にふれて難病を治したことが出ているし、
 新約聖書マコ伝一五には、
「ここに12年血漏(ろう)をわずらいたる婦人あり、
 此婦・・・・・・イエスの事を聞て群集の中より、
 彼の後に来、その衣にさわれり。
 是、その衣だにさわらばたすかるべしといえばなり。
 ここに血の漏(いづ)ること直にとまり、
 既に疾いえしと其身に覚えたり。
 イエス自ら能力の己より出たるを知り、
 おほぜいの人々を顧みていけるは、
 我が衣にさわりし者は誰なるか・・・・・・」。
 なお、17世紀ごろ、欧州の王室に「お手つけ」ということがあった。
 英国のエドワード懺悔王に始まるもので(1042)、ルイレキ、テンカンに王自ら手をおくか、王が力を移した「み手代(しろ)」が用いられた。
 また、ハンガリー王は黄疸に、スペイン王は精神病、ノールウエイ王は甲状腺病に治効があったという。
 その本態はあきらかでないが、古くローマ時代にアウラとよばれ、バラモンではプラナ、東洋で霊気、生気、精気、元気、衛気などとよばれているもの。
 一種の放射線(動物磁気、生物磁気)で、神仏の像に画かれている後光(ごこう)はこれを表象したものだそうな。
 天地宇宙の間の万有はすべて、それぞれ固有の気を発しており、その性質の強弱は体質、年令、性別、人格、健康度、精神力、生活力によって異る。
 そして、強く充満すれば放散して他におよび、病者はそれによって活力をうる、という。
 実際、施術にあたって、受術者は術者の手から、一種霊気に触るような感じをうけ、忽ち力づくのを覚えるそうだし、術者はその手から力の放散するのを感ずること、バイブルにある通りだという。
 農薬禍をいち早く警告し健康運動に挺進していられる奈良県五条市の篤学の士梁瀬氏も、この能力をもっていられるが、同氏に直接確めたところ、やはり、これは事実だそうだ。
 梁瀬氏は京大出の医学士で、もともと寺院の育ち、幼時から宗教的な雰囲気にあったこと、また純菜食家であることなど、素質的にも環境的にも恵まれていられたのだろう。
「苦手、温和掌は賢者の富貴と調ふべし矣、
 而して此は固より天資に係る、
 強て求むべきに非ず。
 何ぞこれを必せんや」
 との、香川修庵(一本堂行余医言)のまけ惜しみもさることながら、診察にあたって、患部にふれると一種の感じをうけ、病気診断にも役立つというのだから、われわれ医者たるもの、何とか習得したいところだ。
 もちろん、それにはかなりの難易があるらしい。
 本格的には、斎戒沐浴、断食、あるいは酒肉を断ち、精神の統一をはかることが条件だが、ただ、毎日30分くらい静坐して、合掌、振指(バラモン法)、掌指屈伸などの運動をやるだけでもよい、ということだ。
 梁瀬氏も、「そうむつかしいことではない」といっていられるが、どうも私など俗気が多すぎるとみえ、いまだにこの能力はえられない。
 それはともかく、今日ではまだ十分解明されていない領域のもの。
 科学医学からはむしろ否定的ないしインチキ視され、精々がとこ暗示的のものくらいに片づけられている(欧王室の「お手つけ」など確かにこの類いだろうが)。
 しかし、
「この磁気療法も、催眠術と同様、おそらく遠からず科学医学にレギュラーなものとして採用されるだろう」
(B、アシュネル)、

「目下のところ生物磁気は学校医学の頑冥さに対して戦っているが、幾十年かの間には普通のことになるだろう」
(H、ムツフ)。
 といっている学者もあるように、やがては科学的にも解明され、有力な治療法として活用される時が来るかも知れない。
 少くとも、一概に排斥したり、一笑に付してしまうべきものではなさそうだ。


<(1971・12 遠藤)健康と青汁 第184号より>




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