麦飯 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
麦飯にする大麦や裸麦の栄養価は、米にくらべるとかなりすぐれています。じっさい、むかしの農家の健康を保証していたのは、まさに、この麦飯と大根葉と味噌とでした。 少くとも明治時代までの農家の多くは、牛肉はもとより食べず、魚でも「だしじゃこ」でもあればよいほう。魚らしい魚といえば、蚕上りや、豊作の秋祭に塩サバぐらいのもので、平素は殆んど麦飯とナッパの毎日をすごしていました。 その農家から出た兵隊は、日清日露の両戦役にうちかって、近代日本の礎をきずきあげたので、麦飯とナッパは、実に、日本発展の原動力だったのです。
(白米では1:25。理想比は1:1−2) ビタミンB1は白米の倍、B2は倍以上。 もっとも熱量にたいしB1は不足です (理想は熱量1カロリーにたいしB1一ガンマ)。 そのうえ、ありがたいことに、麦は値が安いことと、季節の関係上から、金のかかる農薬をつかうこともないので、まず、その汚染のない安全な食品といってもよいでしょう。 ただし、押麦は漂白されているようだし、切断麦も、ただフスマやフンドシをとって、磨きをかけただけでなく、どうも漂白されているのではないかと疑われる白さをしています。 もしそうだとすると、折角多いビタミンも、少々あやしくなってくるでしょうし、あるいは漂白剤による害も気になります。 それに、加工後の貯蔵期間のロスもあるでしょうから、いまでは、白米も麦も、そう大してちがいはないかも知れません。 ◇ ところで注目されてよいのは、麦飯が減食するのに都合のよいことです。それは、麦飯が米飯ほどうまくないことにもよるでしょうが、いまひとつ、麦が水加減しだいで、いくらでもふくれあがるということです。むかしの農家が麦飯を食った理由の一つはこれであったといいます(もちろん貧ゆえであったことはいうまでもないでしょうが)。 ◇ それで、むかしの百姓は達者で働けたんじゃ。今の若いものは米を食って怠けてばかりいるが、わし等の若い時分には、米をせ負って隣村(そこは畑ばかりで米ができぬ)へ行き、麦と取り換えて来たもんじゃ」と。 ◇
(図は理想的と考えられる釣り合いを基準としたもので、ミネラルやビタミンがカロリーや蛋白質の高さにそろうか、それ以上あれば、うまく釣り合っているか、むしろ余裕のあることをしめす。 訂正 1月号ソバ粉の成分表でB1B2の単位がミリグラムになっていました。謹で訂正します。) <1965・3 健康と青汁 第103号より>
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ご意見・ご要望はこちらへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||