遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
水を飲む
水を飲む

  昔から、水を飲むことは健康上大切だといわれているが、それは、小便の出をよくすることだ(利尿)。
 飲んだ水は、腸から吸収されて、体中をめぐり、腎臓から出るわけだが、その際、血の中や組織の中にたまっている老廃物や異常代謝産物、あるいは体外からはいって来ている異物などを洗い出す。
 つまり、からだ中の掃除をして血を浄め、からだ中のすべての働きをよくすることになるわけだ。水を飲めば、病気にならず、借金が出来ず、妻をやもめにすることもない(英諺)雑多な混合物よりは、むしろ多量の水をのむべし。水は健康的滋養物なり(ブース養生七則)だから、水をのむのは、十分の尿を出すのが目的なので、うすい、水のような尿が出るのがよい。そのためには、ともかくうんと飲め、のめるだけ多くとか、少くとも一日2舛くらいは、などといわれている。

 けれども、分量が多くなればなるほど、心臓や腎臓の負担が大きくなるから、心臓が弱かったり血圧が高いような場合、または、腎臓が悪かったり水分の排泄のよくない場合などは、そのために急に病状が悪化する恐れがあるので、もちろん禁忌。うっかり無暗なことをやってはならぬ。ともかく、いかに水がよいからといって、誰れ彼れの見さかいなしに、余りに大量の水をすすめることには問題がある。
 それに、尿の出方は、一般の食べ物によっても大いにちがう。白米飯や餅や菓子などがすぎたり、肉・卵を多く食べ、味が濃厚(食塩も砂糖も多い)であれば、なかなかうまく利尿はつかぬ。
 どうしても、うんと水を飲まねばならぬし、また、そういう場合、からだの方からも多くを要求する。
 しかし、主食の米をへらして芋豆の類に、蛋白食は小魚や大豆にし、野菜ことに良質菜っ葉を十分にそえ、なるべく生食し、青汁をのみ、味はうすく、間食には果物、というふうにすれば、それだけでも、十分利尿がつき、わざわざ多量の水をのむ必要はない。

 ところで、問題は水の質。昔の通人は、茶をたてるにはもとより、飯を炊くにも水をえらび、医者は薬湯を煎じる水にもこまかく心を配っている。水は水でも、蒸留水はとても不味くて飲めないし、煮さましよりは生水の方がうまい。水道水よりは、井戸水や泉の涌き水がはるかに味がよいし、汲みおき水より汲み立ての方がうまい。
 これは、自然の水、ことに生の水にはいろいろの成分があるからであり、汲みたての水には、時間の経過によって変化するような不安定な何物かがあるためであろう。朝の井戸水には薬が涌いている(宮城県)それはともかくとして、気になるのは、乱用されている農薬や洗剤、あるいは鉱山や工場の廃液などによる水の汚濁。また、加工飲料に入れられている添加物のことだ。耕地に、山野に、ところきらわずふりまかれる農薬、使用ののち無雑作に捨てられている洗剤は、その後、いったいどうなっているだろうか。

 しだいに分解、無毒化するものは無論問題ではない。けれども、いつまでも毒性の残るものは、井戸にしみ出るものもあろうし、川に流れこんだものは下流の町の水道にはいって来る。
 鉱山・工場の廃液また同じ。また、ところによっては、工場や暖房の煙、煤、自動車の排気ガス(これらには発癌性の成分がある)も問題になろう。いや全く、何が流されているか、知れたものではない。
 現にドイツでは、水道の水に、かなりの発癌物質が含まれているという。こうした水を飲むことがはたして、全然、私どもの健康と無関係でありうるだろうか。
 また加工飲料、サイダー、コーラ、加工乳、ジュース類、水にうすめて飲む濃厚ジュース、粉末ジュース。いずれも、人工着色、人工甘味、人工香料製品であり、防腐剤その他雑多な添加物の入ったものばかりだが、これまた、はたして、そのすべてが無害無毒性のものであるかどうか。
 こうして、実のところ、今日では、情ないことだが、本当に安心して飲める水さえもなくなってしまったといっても、少しもいいすぎではなさそうだ。


<1970・7 健康と青汁 第167号より>


生水

 夏の食あたりシーズンには、何もかも煮て食べ、水も「煮さまし」を飲めといわれる。なるほど、そうすれば、バイ菌の危険だけはなくなろう。
 けれども、熱をあてることでおこる変化は、どうもそう簡単なものではなさそうだ。というのは、水にとけている成分(ミネラル)にかなり影響があるからだ。

 その第一は水の硬度とアルカリ度。水の硬度とアルカリ度は主にカルシウムによるのだが、煮沸すると、水にとけているカルシウム分が不溶性になるので、硬度が減るとともに、酸性度がつよくなる。
 ところで、さいきん、水の硬度の低い軟水で、酸性度が高いほど、中〜高年令層の死亡率、ことに血管病変による死亡率が高い。すなわち、わが国では脳卒中死が多く、欧米では心臓の血管死(心筋梗塞)、とくに、その急性死が多い、ということが知られている。わが国の水はもともと軟水で、カルシウム分が少く、アルカリ度が低いのだが、その水を煮沸すれば、いよいよ軟水となり、酸度を増して来るわけで、血管病変(動脈硬化)の発生に傾いている水の性質を、さらに悪くすることになる。
 いったい、水からのミネラルことにカルシウムの供給ということについては、従来、殆んど考えられていなかったようだ。
 それは、水に含まれている分量がごく僅かなものにしかすぎないからでもあろうが、
  • 毎日の使用量は相当多いこと、
  • 畑地にくらべ水田の寿命(畑700年、水田2800年といわれる)のながいことも、水にあるミネラルの供給によるものであること、
  • 硬水域のものの体組織中のカルシウムやマグネシウム量が軟水域のものより多いこと

 などという事実からすれば、水からのミネラルの供給は決して無視できない。
 しかも、注目すべきことは、イオン化され、吸収されやすいかたちになっている水中のカルシウムが、加熱することによって、不溶性となり、利用されにくくなってしまうことだ。
 また、水のケイ酸でも問題がある。水にとけているケイ酸塩も動脈硬化と関係があり、その多い地方には脳卒中死が多いといわれている。
 わが国の水には、だいたい、ケイ酸が多いのだが、それを煮沸すると、生水では不溶性のものが、かなり溶性になる。
 つまり、煮沸することで動脈硬化の発生や進展をすすめることになる。なお、ケイ酸に富む水は高癌死と関係があるが、カルシウム分で、その影響が減るか無くなる、ともいわれている。とすると、煮沸してケイ酸が増し、カルシウムがへることは、癌の発生にとっても不利の条件をあたえることになるわけだ。
 その他、まだ明かにされていない、しかも大切な成分にも、変化があるかも知れない。いや、かならずあるに相違あるまい。それは、生水の方が、しかも水道水よりも井戸水や泉のわき水の生水のほうがさらにうまい、ということだけを考えても想像にかたくない。
 ともあれ、煮炊用の水はいたし方なしとしても、せめて飲み水だけは、出来ることなら生水に、それも、なるべくは良井の水や涌き水が欲しいものだ。人間は花と同様生水を飲まねばならぬ。
(サラ・ベルナール=仏名女優)

<1970・7 健康と青汁 第167号より>


水道水

 いまの水道の水は十分に消毒がしてあり、完全に殺菌されているようだから、水道管の破損とか、浄水技術上の重大なミスでもないかぎり、バイ菌の感染のおそれは、まずないだろう。
 しかし、あのプンと来る塩素臭の強い、そして、そのままだと金魚も鯉も死んでしまい、畑や植木鉢の草木もそだたぬような水が、はたして、われわれのからだにどうだろうか。
 煮炊するにはともかく、少くとも生水を飲むばあい、出立ての水よりは、しばらくおいて、塩素分を発散させた後の水の方が安心というものだろう。

 なお、水道水自体にも問題がないではない。

  • その一つは水質汚濁。多くの水道水は河川の水を浄化して用いている。ために、上流から流れて来る農薬・洗剤、あるいは鉱山・工場の廃水などによる汚濁をまぬかれぬこと。
     また、ところによっては、工場・暖房の煙や煤、自動車の排気ガスも問題であることは別記のとおり。また、水道地域より、井戸地域ことに深井地域には癌が少いという。これは、井戸(ことに深井)では厚い土の層で発癌性の汚物が濾されるからであろう。
  • その二は、水道管の腐蝕による有害分の溶けこみ。水の硬度が強い(カルシウム分の多い)ばあいは、拆出するカルシウム塩のために管が塞るほどで、水道管壁がそれで被われるから、そうやたらには腐蝕されないが、わが国の水のように、カルシウム分に乏しい軟水、ことに酸性に傾く水では、腐蝕がおこりやすいので、いろいろのものが溶けこむおそれがある。

    一、亜鉛 水や土壌に亜鉛の多い、たとえば亜鉛鉱山の下流地域には癌が多い、といわれる(この影響がカルシウムで減るか、無くなることは別記)。ところで、ふとい水道管は亜鉛メッキした鉄管だから、わが国の多くの水道水のように、軟水(カルシウムが少い)で酸性の水では、かなりの亜鉛がとけこむわけだ。
    二、カドミウム カドミウムは、動物に高血圧をおこす唯一のものであり、人間でも、腎臓に年とともにふえ、高血圧患者でもことに多いなどのことから、高血圧や動脈硬化との関係が考えられている。水道管をメッキした亜鉛には、不純物として常にカドミウムが含まれている。そして、亜鉛メッキの容器にレモン汁を入れておくと、数時間で、急性中毒をおこすほどのカドミウムが溶けこむそうだから、わが国の水道では、カドミウムの溶けこむ危険もあるわけだ(硬水の多い欧米では問題はないのだが)。
    三、鉛 水道の引込管は、だんだんビニール管になりつつあるようだが、まだ鉛管のつかわれているところも少くない。この鉛管も、軟水では腐蝕されやすい。ことに、長く停滞している水には、かなりの鉛がとけこむ。たとえば、夜をこした水には0.3PPMにもなることが稀でないという。また、軟水域の人の骨の鉛含有量は硬水域より大きい、ともいわれている。そして、上記軟水域に多い血管病変についても、鉛が関係しているのではないかと考えられている。
    四、銅 外国では引込管に銅がつかわれているらしいが、これも軟水だとかなり溶けこむ(1.5ミリグラム対立にもなる)。ガス湯沸しの導水管は銅製で錫メッキしてあるのだが、メッキが剥げると銅が溶けこむ。ことに長く使わずにいた後に沸かした湯を飲むと中毒することがあるという。銅の急性の中毒は、ムカムカしたり、精々吐くくらいのことで、大したことはないが、慢性になると、肝臓を悪くする(肝硬変)おそれがあるからウッカリ出来ない。といって、良い井戸のないところでは水道にたよる他はない。しかし、少くとも、ながく使わずにいた後の水(たとえば一夜おいた朝)の最初の部分(つまり引込管の中にある部分)は炊事用や飲用にはしないほうが安全だろう。

<1970・7 健康と青汁 第167号より>




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