ミソ(味噌) |
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原料の大豆が良質蛋白にとみ、カルシウムやビタミンBにとんでいるので、それらの、ともに不足している白米飯に偏った従来の習慣食の欠陥を補うのに適しているわけです。 平和にして、中を補し、脾胃を調へ、人を益す。 一切病人之を忌まず (大和本草)
しかし、何分、食塩の分量が多いため(約10%)、とても、十分の量は食べにくいし、十分に摂ろうとすれば、どうしても、食塩の害がさけられなくなります。 事実また、わが国の習慣食には欠かすことの出来ないものになっているし、同時に、食塩過剰摂取の原因にもなっています。 そこで、味噌は栄養食品というよりは、単なる調味料とみなすべきものです。 以前の田舎では、味噌はたいてい自家製でした。毎年、春に仕込み、少くとも1年はねかしました。 ながくねかす程よいとされ、よく熟した三年味噌五年味噌を食べるのを誇りとしていました。 医者と味噌は古いほどよい。 今では、農家でも殆んどつくらず、市販品を利用するようになっていますが、市販品には、質の劣るものもあり(原料に大豆以外の雑豆あるいは芋がつかわれている)。 着色したものもあれば、人工甘味のはいったものも少くありません(最近までズルチンがはいっていました)。 防腐剤もつかわれています(近頃の味噌にはカビもはえません)。 毎日食べるものだけに、せめて味噌くらいは良質安全なものであってほしいものです。 純正品として売り出されているものがないではありませんが、果して、どこまで信用出来るでしょうか。 ことごとに疑わねばならぬことは、まことに情ないことですが、それが今の世相なのです。 戦時中や戦後には、かなりやっていた家があったように、簡単につくれるのだから、味噌くらいは家庭でつくりたい。大豆を水に浸けて十分ふくらませ、軟らかくなるまでトロ火で煮き、つぶし(スリバチかミンチで)、適宜米麹をまぜ、目方で約1割の食塩を加えて、よく搗きまぜておく。 それだけです。 ながく置くほどよいのですが、窮屈な住居では、少量づつの速成も止むを得ません。 食べ方 味噌汁が、もっとも多いようですが、汁にすると塩味がうすくなり、つい、使用量がふえ、食塩の摂取量が多くなります。 で、むしろ、ヒシオのようにナメ味噌にする。 無塩食でも、時折、味噌をなめれば、ほんの少量で、十分おいしく食べられます。 昔は、そうしたもののようです。 なめ味噌 その他のナメ味噌には、柚の皮をすりこんだ柚味噌、ゴマ・クルミ・カヤなどをすりこんだゴマ味噌・クルミ味噌・カヤ味噌。 タイ・カツオ田麩をまぜたタイ味噌・カツオ味噌。 イリコ・イナゴを炒ってまぜたイリコ味噌・イナゴ味噌。 これらも、純正なものであれば、ただの味噌よりは、栄養価が高くなっているだけでも、ずっとよいわけです。 事実、また、病人や子供たちに好まれています。 けれども、市販品には着色・人工甘味・防腐剤その他の添加物の危険があるので、つとめて、自家製にしたいものです。 ヒシオ味噌 もともと甘味のあるものですが、この頃の市販品の甘さのあくどさは、確かに人工甘味によるものです。 それに色もつけてあり、防腐剤もつかわれているようです。 これも、なるべく、家で安全なものをつくりましょう。 子供のころ、母がつくっていたのをよく覚えていますが、夏の土曜に、むした豆と麦を、新しいムシロにくるんで、ねかしておくと、やがて黄色いカビがつく。 頃あいをはかって、適宜の食塩を加えて練り、強い陽当りに出して熟成させる、という簡単なものでした。 今では「ヒシオの素」が売り出されているので、もっと楽に、おいしいヒシオが出来ます。
<1969・6 健康と青汁 第154号より>
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