遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
遠藤語録:慢性肝炎インデックス

  1. 慢性肝炎            健康と青汁230
  2. 健康相談室 慢性肝炎      健康と青汁336




慢性肝炎

 慢性肝炎は治りにくい。やがては肝硬変になる。
 というので、慢性肝炎といわれただけでも、少なからずショックをうける。ましてや、肝硬変になりかかっているなどといわれると、スッカリ気落ちしまうのも、無理はない。しかし、慢性肝炎は、かならず肝硬変になるときまっているわけではない。なるにしても、その経過はまちまち。ドンドン進行するのもあれば、随分ながくかかるのもある。
 また、肝硬変にしても、もうどうにもならない末期のものから、ごく初期の軽いものまである。昔は、進行して、腹に水がたまるほどにならなければ診断がつかなかったが、今は、ごく初期のものでも診断されるようになっているからだ。そこで、同じ肝硬変でも、今のは、ずっと治る可能性は大きいわけだ。

抵抗力しだい
 さて、肝炎の経過にそのような違いがあるのには、いろいろの条件が関係しているが、要は、肝炎をおこしたり、悪くする傷害因子と、これに対抗し、回復しようとする抵抗力とのバランスできまる、といえよう。

回復力の強い臓器
 肝臓はからだの中で、もっとも大きい臓器で、回復能もさかん。動物実験で、肝臓を何分の1かに切りとっても、やがて、もと通りに回復(再生)して来る。ギリシャ神話に、アトラスが、ジュピターにそむいて捕えられ、罰としてオリンポスの山上で鎖につながれ、地球を背負わされる。そこへ禿鷲がやって来て、肝臓を食い出すが、いくら食っても、後から後から出来てくる、という話がある。それほど肝臓は再生能がつよい。だから、たとえ慢性肝炎であろうが、肝硬変のはじまりであろうが、条件をよくしておけば(不利な条件をへらし、有利な条件をふやす)、病気の進行をとどめ、回復にむかわせることも不可能ではない筈だ。

肝炎は近頃ふえた。
 肝臓の病気は、いぜんはこう多くはなかった。私が大学を出たところ(50年まえ)には、春さきに黄疸になる人が多少あるくらいで、肝硬変などはたまに入院して来るという程度で、肝炎という言葉さえまだ無かった。それが、終戦後からふえだし、さいきんは、物凄く多くなった。

どうしてそうなったか
 肝炎ビールスをもっているもの(保菌者)が多くなり、それから感染するものがふえていること、あるいは、肝毒性のある新薬が次々に開発されていることも、たしかに肝炎多発の原因ではあろう。が、どうもそれだけではなく、一般に抵抗力ことに肝臓の抵抗力が弱くなり、やられやすくなっていることもあずかっているだろう。
 肝臓はきわめて多様の機能をもっているが、なかでも重要なのは解毒作用。体外からはいって来たり体内でできる、あらゆる有害有毒物は、すべて肝臓で始末される。しかし、以前には、それは、精々、体内で生ずるもの――不完全な栄養による代謝中間産物、あるいは、便秘による腸内の分解産物くらい、に過ぎなかった。それが、いまでは、それだけでなく、体外性の害毒がすごくふえて来た。環境の汚染で空気も水も汚れ、農・畜・水産の不自然化、高度の食品加工(精製・調理、各種の添加物)による有害有毒食品の氾濫、アルコール、タバコ、薬品の乱用、等々。これら有害有毒物による負担荷重で、肝臓はつねに過労状態にあり、ために、抵抗力の低下、防衛能の滅殺をまぬかれえなくなっている。その結果として、あるいはビールスその他の感染、あるいは肝毒性薬剤により、容易に発病し、また、回復困難になっているのであろう。

食の合理化自然化
 ところで、肝炎には、いまのところ、まだ、これという適確な治療薬はない。そこで、その治療にあたっては、何としてもまず、これらの負担をできるだけ減らすべきであり、なかでも大切なのは食の合理化、自然化であろう、と考えられる。

 すなわち、肝炎食の2大要件は、
     
  1. 栄養的にできるだけ安全な食でなければならないこと(完全化)。
  2.  
  3. 有害有毒食品はできるだけ避けなければならぬこと(安全化)。

 それは、栄養が完全であれば、代謝がうまくゆき、有害有毒な代謝産物ができないか少ない(便通がよくなり腸管内での生成もへる)ため、また、安全化によって有害有毒物のとりこみが無くなるか減るため、肝臓の負担がかるくなる。そして、栄養の完全化(合理化)とともに、肝細胞の回復にも大いに役立つだろうからだ。


どうすればよいか
 完全食にするには、十分の良質ナッパさえ添えればよいが、もちろんそれは農薬汚染のない安全なものでなければならない。また、その他の食品も、すべて安全でなければならないが、現在、市販品には本当に安心して食べられるものは、残念ながら、殆んどない。したがって、食品の選択には、つねにこの点に配慮し、精製品よりは、自然食品をえらび、有害有毒な生産(農・畜・水産)用薬や、産業廃棄物、洗剤、あるいは危険な添加物に汚染されたり、そのおそれのあるもの、したがって、貯蔵食品や既成食品などはつとめて避けること(自然化)。
 そして、調理は簡単に。調味はうすく。自然のままか、自然にちかいかたちで食べること。そして、調味料、嗜好品にも細心の注意をはらうなど、神経質すぎるくらいでなければならない。この意味で、私どもは、肝炎にも肝硬変にも、緑葉食・青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食をすすめている。

緑葉食・青汁
 ずいぶん前のこと。まだ青汁を始めて間もない頃だった。腹水がいっぱいたまり、食事もロクにできないというところまで進行した何例かの肝硬変が、緑葉食・青汁でよくなった。当時は、有害有毒食品はなかったから、ナッパ・青汁で栄養のバランスさえとれば(合理化)それだけでよかったわけだ。

イモ・マメ・ナッパ・青汁食
 しかし、今は公害いっぱい。大気も水も食べものも汚染されてしまっているから、ただ栄養のバランスだけではなく(より大量の良質ナッパ・青汁が必要になっているうえ)、かならず同時に食の安全性に十分配慮しなければならない。

イモ・マメ・ナッパ食は、
 主(熱量)食品には、栄養的にも安全性にも、米麦よりすぐれているイモ類を、蛋白食品には、同様肉や卵よりは大豆ものを主とし(安全なものでさえあれば動物食品もちろん結構だが)、十分のナッパ・青汁をというのであって、同時点において実行可能な、もっとも完全かつ安全な食(合理的完全食)といいうるものであろうと考えられるからだ。

蛋白も不足しない
 これらの食で、いつも問題になるのは蛋白が不足しないかということ。(肝疾患ではとくに十分の蛋白質が必要といわれているので)しかし、普通食にナッパ青汁をそえる緑葉食・青汁はもとより、イモ・マメ・ナッパ・青汁食でも、少しもその心配はない。馬鈴薯、甘藷各300、大豆100、小松菜300、青汁4合(ケール1キロ)の総蛋白は約90。うちナッパ蛋白45〜6グラムであり、このナッパ蛋白は、肉類にまさるとも劣らぬ優秀蛋白。しかも、良質ナッパには蛋白質の節約効果がある(豊富なビタミン・ミネラルで、栄養素の利用がよい)ので、それらの乏しい不完全食のばあいにくらべ、ずっと少量で足るから、蛋白質不足に陥るおそれは少しもないし(もっとも消化吸収の点で劣っていることは考慮に入れなければならないが)、いくらかの動物食品があればなおさらである。
 事実、また、医者通いをつづけたり、入院をくりかえして、毎日、盛り沢山の薬をのみ、あるいは、点滴注射をうけ、しかも一向にハカバカしくなかった血液検査データが、この食べ方によって、比較的短期間に、主治医をおどろかすほどに好転したり、社会復帰できるまでに回復したという例も少なくない。

大豆製品には注意
 ただし、大豆製品には必ずしも安全とばかりいいきれないものがある。それは、まず豆腐。いぜんの豆腐は大豆から豆乳をつくり、ニガリか石膏でかためたのだから、絶対安全だった。が、いま一般の市販品にはそういう純粋なものは殆んどない。原料には、主に精油会社で油をぬきとった大豆粉。昔の搾油はただ圧搾するだけだったが、いまはヘキサン(石油製品で毒性がないとはいえないもの)で抽出するのだが、その残留はないだろうか。
 次に、凝固剤のグリコノラクトンも無害とはいいきれないものだ。そこで、すぐれた蛋白源の豆腐や凍豆腐にもいささか不安がつきまとうしだいだ。なるべく自家製にしよう。あるいは、豆乳として、または煮豆、納豆、黄粉としての利用が望ましい。調味料の味噌、醤油も、また同じく大豆粉が原料であり、添加物汚染のおそれもある。醤油はともかく、味噌は自家製にしたい。


 市販の殆んどは合成品。原料の氷醋酸は石油化学製品であり、種々の添加物で調味したもの。なるべく、純粋の醸造酢。もっともよいのは、農薬に汚染されていない果物酢、レモン、スダチ、ダイダイ、夏ミカン、ユズ、梅酢など。

脂肪
 バター、添加されている抗酸化(酸敗を防ぐ)剤のうちには肝毒性のものがある。マーガリンには、その他、固形化(水素添加)のさいの触媒ニッケルガ−ボニ−ルの残留はどうか。植物油、抽出溶媒ヘキサンや、脱臭・脱色用薬剤(PCBその他)の残留はないか。あげもの用の油はいたし方ないが、サラダなどの調味用には、むしろ、原料そのもの(黄粉、いりゴマ、ナンキンマメ、クルミなど)の方が無難。なお、肝炎では、脂肪が極端におそれられているようだが、ふつうの使い方程度には、少しも差支はない。

だし
 化学調味料の多くは石油化学製品。必ずしも安全とはいえない。椎茸その他のキノコ、コンブ、カツオブシ、出しジャコ(安全水域産の)など自然物が無難。

嗜好品
     果 物 農薬汚染、ワックス処理に注意。
     菓 子 糖分で栄養のバランスをみだす他、添加物の害がさけられない。つとめてさける。どうしても欲しければ、安全な材料で自家製にすること。
      酒  まぎれもなく肝毒性。厳禁。
      茶  市販品には農薬汚染のほか着色のおそれもあるらしい。自家製の番茶や草茶(ノエンドウ、カワラサイコなど)が安全。焙じれば香味もよい。カワラヨモギ(昔から肝臓によいといわれている)は、なおよいかも知れない。
    ジュース類多くは合成品。何がはいっているかわからない。純粋の天然果汁と称するものも、添加物に注意。自家製のしぼり汁が安全。コーラ類も同様、よいものとはいえない。
     タバコ よくない。禁煙。

薬の乱用
 つとめてさける。いかによいといわれる薬も、薬はやはり薬。「薬は毒」ということを忘れないこと。医薬品だけでない、家庭用薬品、殺虫剤などにも十分注意。

便通
 毎日快便。できれば朝夕に排便するくせをつける。それも、薬をつかわず、食べものと運動、とくに腹の皮の運動(ペコペコ腹を走らせたり、ふくらましたり凹まして力むなど)とで。また、撫で、さすり、もみなどして、かなり効果がある。

運動
 適度の運動 肝炎では安静がやかましくいわれるが、それは急性肝炎でのこと。慢性肝炎では、適度の運動は、むしろ必要。但し、はげしい運動、疲労の残るほどの運動はさける。

肝臓マッサージ
 腹に力を入れて、肝臓をおし下げるようにし、腹をへこまして力んで、肝臓をおし上げるようにする運動。また、肝臓部、つまり右胸の下の部分を、平手か握りこぶしでトントンと叩くなど。肝臓の血行をよくするといわれている。

心の安静
 精神的の影響も少なくない。長い慢性病だけに、検査成績によって一喜一憂しているのを、よく見かける。しかし、いらぬ心配、取越し苦労など、邪魔にこそなれ、何の役にもたつものではない。いつもほがらかに、あくまで希望をもって、熱心に、正しい養生法、緑葉食、青汁、イモ・マメ・ナッパ・青汁食を中心とする、日常生活の合理化、自然化につとめてみてほしい。
(50・1)

1975・10<健康と青汁230号より>




 健康相談室 慢性肝炎

 52才、農協役員。血液検査の結果、慢性肝炎といわれた。何か薬でも、とのことだが、正直いって、肝臓にはこれという薬はない。大切なことは、肝臓のために悪いもの(食べもの、薬その他)はできるだけさけ、肝臓のためによいこと、ことに安全良質の自然食品からなる、バランスのよくとれた食事をすることだ。

 悪いものの筆頭は、何といってもアルコール。絶対のんではいけない。
 「しかし、仕事の関係上、その機会が多く、三日にあけずつきあいがある。もともと飲める口なので、断りきれないことが多い。」
 「となると、酒と心中するほかはない。したくなければ、飲まぬ工夫が必要。その一つは病気を機に、とめられている、とことわるしかない。それでも止むをえないばあいは毒消しに、安全良質ナッパからつくった青汁をうんと――酒の量より多く、できれば倍くらいのむことだ。それで、栄養のバランスがうまくとれ、血がきれいになれば、肝臓のアルコール分解能がさかんになるから、そうでないばあいにくらべ、肝臓のうける負担はよほど軽くなる。しかし、肝臓毒であることに変りはないから、なるべく控えることはあくまで必要だ

 その他、食べもの飲みもの全般の安全性と、食べもの全体のバランスに十分気をつけること(食の安全化・完全化)。農薬その他生産用薬剤や各種添加物に汚染されたものや、インスタントものなど加工・保存食品はもとより、肉も魚も卵も乳も、野菜も果物も、今では安全なものは殆んどないという状態だから、食べものの選択にはよほど慎重でなければならない。
 この意味で、私は、現在可能な、比較的安全な完全食としてイモ・マメ・ナッパ食を提唱している。すなわち、主食にはイモ類、蛋白食には大豆ものを多くし、それに良質ナッパを主とする野菜・山菜・海藻などを十分そえ、青汁は少なくとも一日3合以上、4合でも6合でも、多いほどよい。そして、調理は簡単にし味つけはうすく、調味料の安全性にも気をつけること。
 タバコ、菓子、ジュース類(カラ党にはあまり関係ないかも知れないが)、コーラなどのよくないことはいうまでもないし、茶・果物なども農薬汚染のおそれのあるものはできるだけさけたい。そうしていれば、病勢の進行はおさえられ、あるいは、しだいに回復することの望みも無くはあるまい。
 いまひとつ大切なことは便通をよくすること。便秘すれば腸内で有害物ができ肝臓を負担する。しかし、下剤の中には肝毒性のものがないともいえないので、できるだけ薬だけにたよらず、繊維にもとんだ正しい食事と適度の運動とで加減することが望ましい。
 最後に望みたいことは、あなたご自身の健康をまもるためにも、農協あげて安全良質食品の生産にとり組んでほしいということだ。
 
(58・3)

1984・8<健康と青汁336号より>



ご意見・ご要望はこちらへクリック
階層リンク 田辺食品 利用者の声 上の階層へ  
サービスリンク 更新記録 全体構成 商品紹介 注文方法
Copyright 2005 08 田辺食品株式会社