遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
唇の荒れ

 寒くなって蒲団をひっ被って寝たあとなど、唇がかさかさに乾き、たびたび舐る。ますます乾く。そしてうっかり大口をあけると裂目ができて痛む。蜂蜜やリスリンを塗って、いつもすぼ口をして、恐る恐る飯を食ったり、ものを言ったりせねばならぬ、といったことの経験のある人は多分少くないと思います。私なども以前はよくありました。今でも癖になっていて、寒くなると、つい蒲団を被ってしまうが、こうしたことは全然なくなりました。

 この唇の荒れにも色々の原因があるようですが、主なものは口角炎(口角がただれたり、切れたりするもの、私の郷里では「アクチ」が切れる」といいます)と同じく、ビタミンBことにB2群の不足のようです。
 毎年の厚生省が発表する国民栄養の実態によると、私どもの日常食では、カルシウムやビタミン類が不足しているのですが、中でも甚しいのはB2ということになっており、実際口角炎が多いと注意されています。それは主食の白米の食べ過ぎがひどく、副食が一般に少い上に、B2の多い乳や肉類のとり方が足らぬからだ、と説明されています。

 けれども、乳こそ少いが肉類は決してそう少いことはないのですから、私は、むしろB2の多い緑葉類の乏しいのが第一の原因ではないかと思います。それは、同時にカルシウムやビタミンAが不足していることからも、よくうなづけることで、それらはすべて質のよい菜っ葉にはそろって多いものです。
 そこで、私は、邦食の改善には、どうしても良質の緑葉類をうんと大量に、少くとも一日400〜500グラム位は食べねばならぬと考えるのですが、実際のわが国平均の摂取量は、野菜全体としても、やっと200グラムそこそこ、しかもその大部分は白いもの、僅の有色菜のうち緑のものとなると極く少いのです。

 唇が乾いたアクチを切らしていた当時の食べ方を思い出してみると、「あの痩せでご飯は四杯五杯食い」という川柳の通り、白いご飯ばかり食べ、添えものは一体に少く、野菜が主でしたが大根の根や玉葱、イモ、マメのことが多く、菜ものも白菜、キャベツといったものばかりで、ニンジン、ネギなどでしたが、これは嫌い。それに菓子類もよくたべていました。
 そして痩せて(これは今も同じですが)蒼白い顔をして、厚着をし蒲団を被って寝てはリスリンのご厄介になっていたわけです。唇が荒れ、口角がただれるような人は、ともかくまず栄養の合理化をはかること、質のよい緑色の濃い菜っ葉をうんと食うことです。

 こうして食全体のバランスに気をつければ、肌は美しくなり、唇の色は澄んでいかにも活々として来ます。そして抵抗力も増して来ますから、少々寒さにあたる位のことで、肌が荒れたり唇が乾き口角がただれるなどということはなくなってしまいます。

<(1959・2 遠藤)健康と青汁第30号より>




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