遠藤語録文字 乾燥青汁ピロサンマーク
 

 花にも葉にも不老延命の効がいわれている。むかし、南陽県の山の中に甘谷というところがあり、両岸に甘菊がしげっていた。その露のしたたった流れを汲む人々は、140〜150才も生き、なおかくしゃくとしていた、という。
 わが国にも、似た話がある。
 風土記に、甲斐の国、鶴の都、菊花山あり。流るる水菊を洗ふ。その水を飲めば、人の寿鶴の如し云々。
 また、柳田先生の遠野物語によれば、遠野から釜石へ越えるところに仙人峠がある。「この山に一人の仙人が棲んで居た。菊の花を愛したと言って、今でも、こんな山の中に残って咲いて居るのを見ることがある。これを見附けて食べた者は長生するといふことである。」という。

 「キク」の名は「きわまる」の意で、この後にはもう咲く花がないからだそうだ。「サキナ」(幸菜)とか、千代見草、齢草など、縁起のよい名がついているのは不老長生にちなんだもの。
 今朝みればさながら霜をいただきて翁さびゆく白菊の花
 この歌から翁草という名も出たという。
 本草綱目、菊の葉の項には、苦、平、無毒。久服血気を利し、身を軽くし、老衰にたへ、天年を延べる。
 烈公食薬には、菊の芽並花とも却老延年の薬なり。うてなも煮附にして用ふべし。菊の萼を煮て、二三度湯を流し、苦味程よく去りたる時、美淋醤油にて煮、常に食の菜に用ひ良。葉も製すべし、右は髪を濃くし、気根をよくするの效あり。疔や癰によい。
 本草に、丁腫死に垂んたるに、葉の擣汁を服せば活く、神験の方。(肘後方)ものあたりや吐潟にしぼり汁。
 民間薬(富士川游)に、獣肉毒、物あたりに、菊の葉を塩にてもみ、しぼり汁をのむべし。直に吐くなり。その後、黒豆をせんじ用ふべし。(掌中妙薬集)
 霍乱(急性吐潟)、菊の葉を塩にてもみ、しぼり汁をのむべし。治すること妙なり。(仝上)痙攣にもよい。乳不足、苗菊を薬種にとり、少し是を水にて煎じ置て、度々のみてよし。乳出ること妙なり。
 その他、頭眩(めまい)や死肌(肌色のよくないもの)、肝気不足(元気の衰え)、腰痛にもよいし、「目のくもりを去る」、腸胃を安んじ、四肢を調へる」によいなどともある。
 いずれも青汁共通の効。

 食用
 「葉は生のもの熟せるもの、いずれも食ってよし」(本草綱目)なんだが、ふつうの菊はにが味があり、匂いがつよくて、そのままでは、薬味に少々添える程度が精々というところ。よくゆがくか揚げ物にでもせぬと、とても十分には食べにくい。
 茶にもする(菊茶)。大和本草によれば、「菊の葉を乾して茶とし服す。色も香も好し」と中華の行厨集という書にあるそうだ。
 なお、甘菊、料理菊というのがあり、花はともに苦味がなく食べよいそうだから、作っておきたいものだ。観賞用の菊で注意せねばならぬことは、危険な農薬がつかわれているかも知れないこと。したがって、うかつに食べてはならぬということだろうか。

<1970・11 健康と青汁 第171号より>




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